2020年12月08日 (火曜日)
埼玉県の広報紙『彩の国だより』、22万部水増し、税金の無駄遣い?住民監査請求へ
税金で制作されている埼玉県の広報紙『彩の国だより』が、配布されることなく約22万部も捨てられている疑惑が浮上した。疑惑の裏付けは次の通りである。
12月1日、筆者は埼玉県庁に対して、『彩の国だより』に関する問い合わせを行った。その結果、次の事実が判明した。
■22万部水増しの根拠
①「彩の国だより」は新聞折込みで配布されているほか、「各市区町村・県地域振興センター・県広聴広報課」に置いてある。
②新聞販売店向けの卸部数は、2,012,000部(11月)である。この数字は、公共施設に置く部数を含んでいない。すべて新聞折込みを前提として提供された部数である。
③次に「彩の国だより」を折り込む「運び屋」、つまり新聞の部数がどの程度あるのかを調べた。その結果、埼玉県全域で1,674,569部だった。出典は日本ABC協会が発行している『新聞発行社レポート』(4月)である。公共機関が広報紙を新聞折込みのかたちで配布する際、広告代理店への卸部数を決めるための指標としているのがABC部数である。
ただし、埼玉県の地方紙・埼玉新聞の部数はABC部数に登録されていない。そこで筆者は、埼玉新聞に発行部数を問い合わせた。その結果、発行部数は、115,645部(11月)であることが分かった。
④以上の調査から埼玉県下における新聞の総部数は、次の数式で明らかになる。
115,645部(埼玉新聞)+1,674,569(朝日、読売、毎日、日経、東京、産経)=1,790,214部である。
■住民監査請求へ
以上のことから次の事実が判明した。埼玉県下の新聞の総部数が約179万部しかないのに、約201万部の「彩の国だより」が広告代理店へ提供されている。約22万部が水増し状態になっている。
ちなみに「彩の国だより」の全戸配布は行われていない。
広告代理店名は、埼玉県折込広告事業協同組合である。
「彩の国だより」は県の税金で制作されている。今後、埼玉県民である筆者は、住民監査請求を行う予定だ。
■なぜ広報紙の水増し実体を調査する必要があるのか
地方自治体の広報紙は税金で制作されている。その広報紙が大量に廃棄されていることは、税金をドブに捨てているに等しい。筆者は、これまで「押し紙」報道を続けてきたが、新聞関係者の良心に期待していたのでは、この問題は永遠に解決しない。
「押し紙」とか「押し紙」裁判という言葉をインターネットで検察しても、メディア黒書の記事は、トップページに表示されなくなった。
内部からの是正は不可能だ。今後、外部から是正するために、現在の新聞のビジネスモデルにより実害を受けている地方自治体の損害を明らかにする。
本来、新聞販売店は新聞の売買だけで経営できなけばならない。新聞業界はそのようなビジネスモデルに改めなければ、今後、生き延びることはできない。