教育現場で進む「心の教育」、従順な生徒を大量に育成、観念論による洗脳
最近の学校教育が常道を逸している。
先日、京都へ取材に行く機会があり、夕方、東京へ戻るために京都駅の新幹線改札を通ったときのことである。中学生と思われる一団が床に腰を下ろして、教員の話に耳を傾けている。
教師は、「無事にここまで帰ってこられたことに感謝をしてください」と繰り返している。安倍内閣の下で進行している文教政策の一場面だった。「心の教育」の現場である。
埼玉県朝霞市の自宅近くに、川沿の散歩道がある。夕方になると、近くの中学校の生徒らが走っている光景によく遭遇する。驚いたことに、わたしとすれ違うときに立ち止まり、「こんにちは」と言って礼をする。礼儀正しいというよりも、気持ちが悪い、子どもらしくないという印象を受ける。おそらく教師から、部活の途中で、年長者とすれ違うときは、挨拶するように指示されているのだろう。これも「心の教育」の一場面である。
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わたしが中学生だった昭和47年ごろ、現在の「心の教育」とそっくりな体験をした。通っていた中学では、公立校であるにもかかわらず、朝礼である種の呪文をとなえる儀式が行われていた。その呪文の中に、「すべてのものに感謝しよう」とか、「草にも木にもよいことをしよう」とか言った5ヶ条があった。【続きはウェブマガジン】