1. 大津市民病院の新理事長に滋賀医科大の河内明宏教授、過去の有印公文書偽造事件は不問に、前近代的な人事制度の弊害 

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大津市民病院の新理事長に滋賀医科大の河内明宏教授、過去の有印公文書偽造事件は不問に、前近代的な人事制度の弊害 

赤色に錆び付いた人事制度。人脈社会の腐敗。それを彷彿させる事件が、琵琶湖湖畔の滋賀県大津市で進行している。

大津市の佐藤健司市長は、9月9日、大津市民病院の次期理事長の名前をウェブサイトで公表した。新理事長に任命されるのは、滋賀医科大付属病院の泌尿器科長・河内明宏教授(写真、出典=九州医療新報)である。河内教授の理事長就任は、今年の6月に既に内定していたが、今回、任命予定者として公開されたことで、近々、公式に理事長に就任することが確実になった。任期は、2022年10月1日から25年3月31日である。

デジタル鹿砦社通信でも報じてきたように、河内教授は滋賀医科大病院の小線源治療をめぐる事件に関与した当事者である。はたして公立病院の理事長に座る資質があるのか、事件を知る人々から疑問の声が上がっている。

佐藤市長に対して、新理事長選任のプロセスを公開するように求める情報公開請求も提出されている。

◆滋賀医科大付事件の闇

小線源治療は、前立腺がんに対する治療法のひとつである。放射性物質を包み込んだシード線源と呼ばれるカプセルを前立腺に埋め込んで、そこから放出される放射線でがん細胞を死滅させる治療法だ。1970年代に米国で始まり、その後、日本でも今世紀に入るころから実施されるようになった。この療法を滋賀医科大の岡本圭生医師が進化させ「岡本メソッド」と呼ばれる高度な小線源治療を確立した。

【参考記事】前立腺癌の革命的な療法「岡本メソッド」が京都の宇治病院で再開、1年半の中断の背景に潜む大学病院の社会病理

この岡本メソッドに着目したのが、放射性医薬品の開発・販売を手掛けるNMP社だった。NMP社は、岡本メソッドを普及させるために2015年、滋賀医科大付属病院に寄付講座を開設した。講座の指揮を執るのは、岡本医師だった。

ところがこれを快く思わない医師がいた。泌尿器科長の河内明宏教授である。河内教授は、寄付講座とは別に泌尿器科独自の小線源治療の窓口を開設し、前立腺がんの患者を次々に囲い込んだ。そして部下の成田充弘准教授に患者を担当させたのである。

しかし、成田准教授には、小線源治療の実績がない。専門は前立腺がんのダビンチ手術で、小線源治療は未経験だった。それを憂慮した岡本医師が、成田医師による手術を止めた。幸いに塩田学長も未経験者による手術のリスクを察して、河内教授らの計画を中止させた。

河内教授は計画がとん挫したことに憤慨したのか、岡本医師を滋賀医科大から追放するために動き始める。水面下で河内教授が取った行動は不明だが、松末病院長と塩田学長は、なぜか小線源治療の寄付講座の閉鎖を決めた。その結果、岡本医師の治療の順番待ちをしていた98名の前立腺がん患者が混乱に陥ったのである。

寄付講座の開設に際して、河内医師には関連する公文書を偽造した疑惑がある。寄付講座の人事を決める際に、みずからの息がかかった成田医師を幹部として送り込むことを企て、「岡本」の三文判を使って、人事関連書類を偽造したのである。岡本医師が成田准教授の寄付講座への抜擢を承諾したかのように工作したのである。

書類の偽造に気付いた岡本医師は、弁護士を通じて河内教授を大津警察署へ刑事告訴した。大津警察署は、2020年8月21日に河内教授を大津地検へ書類送検した。地検の取り調べを受けた河内教授は、公文書偽造の責任を部下の2人の女性に押し付けたらしく不起訴となった。地検は、2人の女性に非があると結論づけたようだが、不自然きわまりない。

さらに河内教授は、岡本医師の医療過誤を探すために、無断で岡本医師の患者の診療録を閲覧していたことも分かっている。

◆佐藤市長、「地域医療に精通している方であると判断」

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