岡本圭生医師を追放する滋賀医科大病院、4月から成田充弘准教授を「泌尿器科の小線源治療」の担当に
滋賀医科大学医学部附属病院(以下、滋賀医科大病院)は、岡本圭生医師の小線源治療学講座(〝岡本メソッド″)とそれに併設する外来を今年12月末で閉鎖する方針を告知している。同病院は、閉鎖に先立って、この4月から岡本医師の外来とは別に、泌尿器科で小線源外来を開設する方針も発表しているが、その担当医を成田充弘准教授が務めることが分かった。
成田医師は、前立腺癌の治療をめぐり医療裁判(滋賀地裁)の被告になっている。患者に対する説明義務違反を問われているのだ。
成田医師の担当医就任が判明したのは、前立腺癌の術後経過観察のために同病院に通院している患者が、病院に問い合わせた結果である。成田医師のほかに、大学院生の和田晃典医員も加わる。
ところが成田医師も和田医師も、小線源治療のエキスパートではないようだ。少なくとも、病院のウェブサイトは両医師の専門を次のように記している。
成田充弘医師:泌尿器体腔鏡下手術(黒薮注:俗にいうダビンチ手術)、前立腺癌
和田晃典:泌尿器癌治療
滋賀医科大の小線源治療をめぐる係争は、このところメディアの注目を集めている。参考までに事件の概要を簡潔にまとめている3つの報道を紹介しておこう。このうち「3」は成田医師を被告とする医療裁判についての記事である。
■1治療が受けられない?専門医師いるのに病院が治療認めない理由(大阪毎日放送の映像ドキュメンタリー、8分)
■2滋賀医科大学医学部付属病院で発覚した患者モルモット未遂事件――患者を守るために体を張ったスーパードクターに対する組織的報復(MyNewJapan、黒薮執筆)
■3「医師、未経験の治療だと説明せず」 がん患者ら提訴へ(朝日新聞、出河雅彦記者)
【小線源治療〝岡本メソッドとは】
小線源治療とは、放射線を放つ小さなシード線源を前立腺に埋め込んで、そこから癌細胞を破壊する治療である。厳密には、永久挿入密封小線源療法と呼ばれる。滋賀医科大病院とは別の医療機関でも実施されている。
小線源治療のひとつである〝岡本メソッド″は、滋賀医科大病院で実施されている高水準な小線源治療で、卓越した成果をあげている。岡本医師が長年かけて開発・発展させたものである。これは、米国のマウンドサイナイ医科大学のストーン教授によるメソッドをさらに改良したものだ。
高い線量で癌細胞を完全に死滅させながらも、前立腺周辺の臓器は放射線被ばくを回避する革命的なものである。海外でも高い評価を受けている。ラジオ日経でも詳しく紹介された。癌が転移さえしていなければ、悪性度の高い癌でも、浸潤した癌でもほぼ100%完治させることができる。
前立腺癌は低リスク、中間リスク、高リスクに分類されるのだが、岡本メソッドでは、5年後の非再発率が、低リスクで98.3%、中間リスクで96.9%、それに高リスクでも、96.3%である。ただし高リスクの場合は、ホルモン治療や外部放射も併用する場合があり、この方法はトリモダリティ治療とも呼ばれる。
一般的な前立腺癌治療の代表である全摘手術や外部照射治療では、非再発率は40%から70%にとどまる。このことからも岡本メソッドの治療成績は際立っている。
手術の実施件数は、1100件を超えている。保険にも適用されており、既に評価が定まっている。
岡本圭生医師を追放する滋賀医科大病院、4月から成田充弘准教授が「泌尿器科の小線源治療」の担当に、