1. 横浜副流煙裁判の何が悪質なのか、提訴直後の警察による「恫喝」と原告による4500万円請求、読売裁判との共通点と決定的な違いは?

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2020年01月20日 (月曜日)

横浜副流煙裁判の何が悪質なのか、提訴直後の警察による「恫喝」と原告による4500万円請求、読売裁判との共通点と決定的な違いは?

この10年間に類似した2つの裁判にかかわった。とはいえ、焦点の当て方によっては、2つの裁判は性質が異なるとも言える。両者の違いを明確にすると横浜副流煙裁判の悪質度が鮮明になる。

最初の裁判は、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士らが、わたしを被告として起こした著作権裁判である。概要は次の通りである。

発端は、読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長がメディア黒書に対して1通の催告書を送付したことである。メディア黒書に掲載した読売新聞の文書を削除するように求めた内容だ。わたしは削除を拒否して、今度は江崎氏が送付した催告書をメディア黒書で公表した。内容が怪文書めいていたからだ。

 これに対して読売の江崎氏は、その催告書を削除するように求めてわたしを提訴したのである。(厳密にいえば、提訴の前段で仮処分の申し立てを行った)催告書は江崎氏の著作物なので、わたしには公表権がないので削除すべきだというのが江崎氏の主張だった。

 ところが裁判の中で、催告書を作成したのは江崎氏ではなくて、喜田村弁護士である疑惑が浮上したのだ。つまり催告書の著作権者は喜田村弁護士であって江崎氏ではない可能性が浮上したのである。

 催告書の名義は、「江崎」となっているが、著作権は譲渡できない法体系(注:著作者財産権に関しては譲渡できる)なので、江崎氏が催告書の著作権者という読売側の主張自体がウソということになる。

裁判所は、当然、読売を敗訴させた。しかし、読売がわたしに要求したのは、催告書の削除だけで、金銭要求はしていなかった。心から催告書が公衆の目に触れる事態を避けるために裁判を起こしたのだろう。

◆提訴直後に警察を動かした事実

第2の裁判は横浜副流煙裁判である。この裁判には、おもに取材者として関係してきた。わたしは裁判の当事者ではない。

周知のように横浜副流煙裁判は、不正な診断書を根拠として、藤井将登さん一家に室内での喫煙禁止と、4500万円の金銭請求を行ったものである。

読者は、読売裁判と横浜副流煙裁判の共通点と決定的な違いを推測できるだろうか?

まず、共通している点は、提訴の前提となる事実がウソだったという点である。前者は催告書の名義人を「江崎」に偽り、後者は医師法20条(診察せずに診断書を作成する行為)に違反して作成した不正な診断書を根拠に、裁判を起こしたのである。

二つの裁判の決定的な違いは、読売裁判では金銭要求がなかったのに対して、横浜副流煙裁判では金銭要求が行われたのだ。しかも、その金額は4500万円である。尋常な額ではない。

しかも、提訴直後に原告の山田義雄弁護士の要請により、当時の斎藤実・神奈川県警本部長(現、警視総監)が刑事2名を出動させた事実がある。刑事2名は、午後3時30分から6時にかけて藤井家で事情を聴取した。藤井さんは、提訴された直後だったこともあり、恫喝されたと感じたのではないだろうか。

◆恐るべき人権感覚の欠落

読売裁判の後、わたしは日弁連(最初は第2東京弁護士会)に対して、喜田村弁護士の懲戒請求を行った。しかし、排斥期間などを理由に棄却された。つまり読売裁判程度のことであれば、懲罰するに値しないというのが日弁連の立場である。恐るべき人権感覚の欠落である。

横浜副流煙裁判の「戦後処理」として、当然、弁護士懲戒請求も考慮されるだろうが、日弁連は基本的には弁護士の利益を守る組織であるから、何の処分も下さないのではないかと思う。