1. 禁煙ファシズムに審判、横浜・副流煙裁判で被告の藤井さんが完全勝訴、日本禁煙学会理事長・作田学医師の医師法20条違反(無診察で診断書を作成する行為の禁止)を認定

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2019年11月29日 (金曜日)

禁煙ファシズムに審判、横浜・副流煙裁判で被告の藤井さんが完全勝訴、日本禁煙学会理事長・作田学医師の医師法20条違反(無診察で診断書を作成する行為の禁止)を認定

横浜・副流煙裁判の判決が、28日、横浜地裁で下された。新谷普司裁判長は、原告の訴えを全て棄却した。訴訟費用(法廷の使用料など)も全額が原告側の負担となった。被告・藤井さんの全面勝訴である。

この裁判は、横浜市青葉区の団地マンション2階に住むAさん一家3人が、同じマンションの一階に住む藤井将登さん一家を発生源とする煙草の副流煙で、化学物質過敏症などに罹患(りかん)したとして、将登さんに対して4500万円の損害賠償を求めた事件だ。自宅の部屋(防音された音楽室)で吸った少量の煙草が、上階に住む隣人家族の化学物質過敏症などの原因になったかどうかが争われた。

◆副流煙の量
判決は、「本来、自宅内での喫煙は自由であって、多少の副流煙が外部に漏れたとしても、それが社会的相当性を逸脱するほど大量であるなどといった特段の事情がない限り、原則として違法とならない」を判断した。

裁判所が、この事件では「社会的相当性を逸脱するほど(注:副流煙が)大量であるなどといった特段の事情がない」と判断した理由は、原告・被告の住居の位置関係が真下・真上の配置ではなく、1階の被告からみると、真上のマンションの隣が原告宅だったことや、一年を通じて風向きが変化することなどである。こうした状況から考えて、副流煙が原告宅に入ることはほとんどないと判断したのだ。

◆3医師による診断書を却下
次に裁判所は、仮に微量の副流煙が原告宅に入っていたとすれば、それが原因で原告らの健康被害が発生していたかどうかを、診断書をもとに検証した。

この裁判では、原告から3人の医師による診断書が提出された。いずれも受動喫煙症や化学物質過敏症を認定した診断書で、提訴の有力な根拠である。診断書がなければ、提訴もあり得なかった。

裁判所は、原告3人が訴えている体調不良そのものについては、原因はともかくとして、それが客観的事実であることを認めた。

このうち原告A娘(最も症状が重い)のケースでは、作田医師が体調不良の原因を「受動喫煙症レベルⅣ、化学物質過敏症」と診断書に書いたが、A娘を直接診断していなかったことが認定され、必然的に「受動喫煙症レベルⅣ、化学物質過敏症」という診断も却下された。

なお、無診療による診断書の作成は、違法行為である。裁判所は、作田医師による医師法20条の違反を認定した。

【注】第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

◆日本喫煙学会の「診断基準」を判決が批判
倉田医師と作田医師は、日本禁煙学会の「受動喫煙の分類と診断基準」を元に診断書を作成した。

裁判所は、次のようにこの診断基準を批判した。

 「その基準(日本禁煙学会の『受動喫煙の分類と診断基準』)が受動喫煙自体についての客観的証拠がなくとも、患者の申告だけで受動喫煙症と診断してかまわないとしているのは、早期治療に着手するためとか、法的手段をとるための布石とするといった一種の政策目的によるものと認められる。(認定事実(4)ア)」

 つまりこの裁判のケースに即していえば、作田医師と倉田医師が訴訟目的で、「最初に結論ありき」の診断書を作成したことを裁判所が認定したのである。

◆宮田医師による診断書
原告A娘は、倉田医師、作田医師のほかに、宮田幹夫医師(元北里大学医学部教授)の診断書(病名は化学物質過敏症)も提出している。これについても裁判所は、診断書の内容を認定しなかった。判決から、核心部分を引用しておこう。

「宮田医師が原告A娘の症状の原因をタバコの副流煙であると考えているとしても、同医師が行った各種検査は、いずれもタバコの副流煙と直接むすびつくものではないから、その根拠となり得るものは原告A娘の主訴(甲38)以外には特段うかがわれず、客観的裏付けを欠いているといわざるを得ないことからしても、(認定事実(3)イ)、現に原告A娘に受動喫煙があったか否か、あるいは、仮に受動喫煙があったとしていも、原告らの健康影響との間に相当因果関係が認められるか否かは、その診断の存在のみによって認定することはできないといわざるを得ない」

◆訴権の濫用
判決は、被告の主張を全面的に認めた内容となった。
裁判は、提訴当初から「訴権の濫用ではないか」という見方があった。 実際、日本喫煙学会が訴訟目的で、「先に結論ありき」の診断書を作成していたことや、同じ脈絡の中で、作田医師が無診療で診断書を作成した事実も認定された。虚偽の事実を前提に、提訴に走った可能性もあるのだ。

原告の山田義雄弁護士はこうした事情を知っていたのだろうか。

被告一家は、2年間も精神的な苦痛を味わった。今後、訴権の濫用で反訴するのかどうか見極めたい。

なお、法廷に原告弁護士(2人)は、姿を見せなかった。作田学医師の姿はあった。よほど判決が気になっていたのだろう。

 

※判決文は、全文を後日公開します。

 

【参考記事】禁煙ファシズム、横浜・副流煙裁判は結審、被告が最終準備書面を公開