国費のコロナワクチンを闇打ちで接待に流用、「接種会場」は桜十字グループ西川朋希代表が理事を務めるビューティクリニックVIP室
東京都港区の「メットビューティクリニック」(以下、MET)元スタッフらがMyNewsJapanに内部告発した。スギ薬局会長夫妻のワクチン優先予約が問題になっていた昨年春から夏にかけ、METがコロナワクチンを闇接種していた、というもの。METは、ドモホルンリンクルで有名な再春館製薬が買収した桜十字グループ(熊本市)西川朋希代表が理事を務める医療機関で、西川氏は当時、菅総理と連日会っていた。まだ最優先とされた医療従事者すらワクチンを打てなかった時期で、接種券ナシでの脱法的な“闇打ち”に対し、スタッフらの間では「金さえあればなんでもできるのか」といった言葉も飛び交ったという。目的は国内外クライアントなど要人らの接待とみられる。国費で調達されたワクチンは、どのルートでMETに持ち込まれ、誰が“接待接種”を受けたのか。情報公開制度等で裏付け取材し、真相に迫った。
【Digest】
◇医療・福祉ビジネスを展開する巨大集団
◇菅首相と西川代表が首相公邸で会談
◇東京桜十字と(株)メディカルハック
◇闇接種の日程と場所を協議したラインの交信記録
◇桜十字グループが配給を受けたワクチンを流用か
◇コロナ専用シリンジがMETに
◇だれが闇接種を受けたのか?
◇桜十字とインドネシアの関係
◇医療崩壊の危機
◇桜十字は取材に応じず
東京都港区の表参道にある美容外科、メットビューティクリニック(以下、MET)の元スタッフらが、コロナワクチンの闇接種を内部告発した。2021年春から夏にかけて、数回にわたりワクチン接種が秘密裡に行われたという。目的は、国内外の要人らの「接待」であった可能性が高い。国費で調達されたコロナワクチンが私的に流用されたことになり、窃盗の疑いがある。
役職付きの元スタッフが次のように話す。
「ワクチン接種はVIPルームを使ってやっていたようです。しかし、VIPルームはいつでも使えるわけではなく、使用する際には事前にスケジュールを決めることになっていました。スケジュールを管理しておかなければ、VIPの患者さんに待ち時間が生じてしまう恐れがあるからです。そのVIPルームの使用目的を知らされないまま、上司の命令でスケジュールだけが入ることが増え、なにかおかしいと感じるようになりました。フロントに置いてあるはずの検温器がなくなることもありました。おそらくVIPルームで使っていたのだと思います」
METのVIPルームは、ビル裏口を入り、1階から2階へ階段を上がったところにある。タレントなどが美容の施術を受ける際に、人目を避けるために利用する。正面玄関から出入りすると、一般客と顔を合わせるため、それを避けるため裏口からVIPルームへの出入りを可能にしているのだ。そのVIPルームがワクチンの闇接種に使われた、という。
マイニュースジャパンが内部告発を受けたのは、2021年11月だった。その根拠は、ワクチン接種の日程と場所を決める際に当事者が使ったLINEの通信記録や、闇接種に使ったとみられるコロナワクチン専用のシリンジ(注射器)の写真だった。ワクチンとシリンジの配布ルートに関する港区の書面を情報公開請求で入手し、これら物的証拠と、取材で得た告発者たちの「証言」の整合性を検証することで、裏付けは決定的となった。