横浜副流煙事件、書面で裏付けられる斎藤実・警視総監(当時、神奈川県警本部長)の関与
既報したように横浜副流煙事件は、疑惑だらけの診断書を作成した作田学・日本禁煙学会理事長に対する刑事告発の段階に入った。ところがこの刑事告発をどの捜査機関が担当するかで揉めている。たらい回しの状態だ。
最初、告発人らが弁護士を通じて告発状を提出したのは、東京地検特捜部だった。3月29日のことである。ところがその翌日、東京地検はこの事件の発端となった横浜市青葉区を管轄する青葉警察署が担当するのが筋だと主張して、書面一式を弁護士の元へ送り返した。
そこで告発人らは、告発状を青葉署へ再提出した。これに対して青葉警察署は、この告発の根拠(医師法20条違反)となった横浜副流煙裁判の判決を書いた横浜地裁がある加賀町警察署(中区北部)こそが捜査に適任という見解を示した。
近々に弁護士と加賀町警察署の間で話し合いが行われる。
連載・「押し紙」問題②、「秘密裏に大量廃棄される広報紙」
◆メディアコントロールの温床
2019年の夏、わたしは新聞販売店で働いていたひとりの青年から、東京都江戸川区の広報紙『えどがわ』が日常的に廃棄されているという告発を受けた。告発メールには、販売店の店舗に積み上げられた『えどがわ』を撮影した写真が添付してあった。新聞折り込みを行った後に残ったものである。
わたしは、これだけ多くの水増しされた折込媒体を見たことがなかった。尋常ではないその量に、改めてこの種の不正行為と表裏関係になっている残紙問題が深刻になっていることを実感した。
残紙とは、新聞社が新聞販売店に搬入した新聞のうち、配達されないまま店舗に残った新聞のことである。広義に「押し紙」とか、「積み紙」とも呼ばれている。その正確な定義は次章で説明するとして、ここでは販売店で過剰になっている新聞部数と解釈すれば足りる。
たとえば新聞の搬入部数が4000部であれば、折込媒体の搬入部数も4000部である。販売店へ搬入される折込媒体の部数は、残紙を含む搬入部数に一致させるのが原則的な商慣行になっているのだ。もっとも私企業の折込媒体の場合は、この原則に当てはまらないことがあるが、公共の折込媒体の場合は、両者を一致させることが慣行になっている。
連載・「押し紙」問題①、「記者の志がジャーナリズムを変えるという幻想」
ウェブマガジン(有料)「報道されないニュースと視点」で、「押し紙」問題を新しい視点から捉えたルポルタージュを連載します。タイトルは、『「押し紙」とメディアコントロールの構図』。「押し紙」問題と折込広告の水増し問題についての最新情報を紹介すると同時に、新聞ジャーナリズムが機能しない客観的な原因を、「押し紙」を柱とした新聞のビジネスモデルそのもの汚点という観点から探ります。
1回目の序章の部分は、全文公開とします。 ■購読はここから
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◆記者の志がジャーナリズムを変えるという幻想
新聞ジャーナリズムが権力監視の役割を果たしていないという指摘は、かなり以前からあった。新聞を批判してきた識者は数知れない。読者は、次の引用文がいつの時代のものかを推測できるだろうか。
【引用】たとえば、新聞記者が特ダネを求めて“夜討ち朝駆け”と繰り返せば、いやおうなしに家庭が犠牲になる。だが、むかしの新聞記者は、記者としての使命感に燃えて、その犠牲をかえりみなかった。いまの若い世代は、新聞記者であると同時に、よき社会人であり、よき家庭人であることを希望する。
新聞折込を止めた山武市の英断、全国に広がるか?
千葉県山武市は、4月を機に同市が発行する『広報さんむ』の配布方法を、新聞折り込みから全戸配布(ポスティング)に切りかえた。『広報さんむ』が新聞販売店の店舗で大量に廃棄されている実態を、地元の『山武ジャーナル』(鈴木まさや代表)が丹念に調査して告発した結果だった。ジャーナリズム活動の成果にほかならない。
広報紙の大量廃棄の背景には、新聞社による「押し紙」政策がある。広報紙の折込み枚数は、新聞の搬入部数に準じて決める商慣行があり、その結果、新聞の配達部数を超えた『広報さんむ』が販売店に搬入され、配達されることなく、古紙回収業者によって回収・廃棄されていたのである。
同じような実態が全国各地にあるが、新聞社の「屋台骨」を批判すること対して委縮するメディアが多く、未だに解決に至っていない。「押し紙」制度(定数制度ともいう)は、少なくとも1970年代から水面下で問題になってきた。
山武市が『広報さんむ』の配布方法をポスティングに切り替えたのに伴い、鈴木代表がコラムを発表した。山武市における広報紙廃棄の実態が克明に描かれている。
横浜副流煙事件を「虎ノ門ニュース」が報道、日本禁煙学会を鋭く批判
メディア黒書で取り上げてきた横浜副流煙事件が、4月2日、インターネットのニュース番組「虎ノ門ニュース」で大きく報じられた。武田邦彦氏と須田慎一郎氏による解説と評論で、的を得た内容だった。「日本禁煙学会」と称する団体そのものの異常さを指摘するものだった。
このタイミングで「虎ノ門ニュース」が横浜副流煙事件を取り上げたことで、3月31日に、医者や科学者や市民が行った作田学・日本禁煙学会理事長に対する刑事告発の行方も注目される。医師法20条違反で刑事処分を受けた場合、次は医師免許に関して、厚生労働省から何らかの処分を受ける可能性がある。
ニュース番組は、日本禁煙学会の実態、作田氏による医師法20条違反、作田氏が勤務していた日赤医療センターの責任、弁護士による異常行動などにも言及している。タブーを排した内容である。
横浜副流煙事件、刑事告発の窓口が東京地検特捜部から青葉署へ変更、告発人らが告発状を再提出
日本禁煙学会の作田理事長に対して7人の市民が起こした刑事告発の扱い窓口が、東京地検特捜部から、青葉警察署(横浜市)へ変更になった。
既報したように医師ら7人は、3月29日に、告発状を東京地検特捜部へ提出した。その後、特捜部の担当者から告発人の代理人弁護士に連絡があり、横浜副流煙事件の発祥地である横浜市青葉区を管轄する青葉署へ、告発状を再提出するようにアドバイスがあった。代理人弁護士と特捜部の担当者が話し合い、最終的に窓口を青葉警察に変更することなった。
これを受けて首都圏在住の4人の告発人と弁護士は、31日の午後、青葉署に赴き刑事と面談し、書面一式を手渡した。刑事は、告発人から詳しく事情を聞いた後、犯罪を構成する要素が真実であれば、基本的には受理すると述べた。
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