2025年08月14日 (木曜日)
新聞社と公共機関の蜜月構造 ― ジャーナリズムの独立性を脅かす「特権と利権」
新聞社や関連会社が公共機関と取引を行うことで、ジャーナリズム本来の役割が損なわれる構図は、これまでも『メディア黒書』が繰り返し指摘してきた。主な構図は以下の通りである。
1. 公共機関による「押し紙」の黙認によって得られる莫大な新聞販売収入
2. 新聞に対する軽減税率の適用
3. 再販制度による価格維持
4. 記者クラブを通じた情報入手の優遇
5. 公共広告の出稿
これらの便宜に加え、新聞社や系列の印刷会社が公共機関から受注する折込媒体の印刷収入も巨額に上る。
2025年08月13日 (水曜日)
参院選選挙公報、首都圏で新聞社系が印刷を独占,神奈川新聞は1億4000万円で落札
7月2o日に投票が行われた参議院選挙の選挙公報について、首都圏の一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)を対象に印刷業者を調査した結果、いずれの自治体も新聞社系列の印刷会社に発注していたことが判明した。詳細は順次公表予定。
神奈川県では、神奈川新聞社が選挙公報の印刷を担当。入札情報によれば落札額は1億4,460万円(144,647,814円)。
2025年07月18日 (金曜日)
【YouTube動画】動画で見る参院選・選挙公報の水増し現場、税金の騙し取りもお咎めなし、新聞人は「知らぬ、存ぜぬ」
ユーチューブ動画で紹介したのは、廃棄される前段の参院選・選挙公報である。撮影日は、7月13日の21時。撮影場所は、千葉県流山市のASA(朝日新聞販売店)の前である。撮影者は、大野富雄・元流山市議。税金で制作された選挙公報が大幅に水増しされ、新聞に折り込まれないまま廃棄される前段を記録した動画を撮影した。
参院選の選挙公報は、7月12日に新聞折込のかたちで配布された。その翌日にあたる13日に大野議員はかねてから観察拠点としていた「押し紙」や折込媒体の収集場所を確認した。選挙公報は、12日に新聞に折り込まれたわけだから、本来であれば、13日に大量の選挙公報が積み上げられているはずがない。ところが収集場所には、大量の選挙公報が残っていた。(動画:1分10秒~)。大野元市議は、選挙公報の水増しの決定的な証拠を掴んだのである。
2025年07月17日 (木曜日)
参院選の選挙公報、全国で水増しが起きている可能性、流山市のケースは氷山の一角、背景に新聞社による「押し紙」政策
7月14日付けのメディア黒書で既報したように、新聞に折り込む参院選の選挙公報が、新聞の配達部数を大幅に超えて、新聞販売店に搬入されていることが千葉県流山市で発覚した。過剰になった選挙公報が山積みされている現場を、筆者は確認して、新聞販売店の店長に事実関係を確認した。
実は、流山市では4,5年前から、「押し紙」とそれに連動た折込媒体の水増しが発覚して、地元の市議が市議会で繰り返しこの問題を追及してきた。
たとえば、2021年10月時点での流山市のABC部数(新聞の公称部数)は、36,815部だったが、同市はこの数字をはるかに上回る50,128部の広報紙(流山市発行)を広告代理店に発注していた。その結果、たとえ「押し紙」が1部も存在しないとしても、1万3000部ほど折込媒体が過剰になっていた。これについて市当局は、広告代理店から指示された部数を発注しているだけと回答した。こうした問題は放置された。状況は改善しなかった。
2025年07月14日 (月曜日)
【速報】参院選の公報を水増し、千葉県流山市で発覚、住民が通報、背景に「押し紙」問題
7月20日に投票の参議院議員選挙の選挙公報が、ASA(朝日新聞販売店)で水増しされていることが分かった。筆者は、同市に在住する男性から通報を受け、14日の午後、男性と一緒にASAに急行した。店舗の外側に残紙や包装物(折込チラシの可能性が高い)に交じって、参院選の選挙公報の束が山積みになっていた。
目視できたのは、2包装。その下にも、包装束が積まれており推測で4包装から、5包装の公報が古紙回収の対象になっていた可能性が高い。
2021年09月27日 (月曜日)
大阪府の広報紙『府政だより』、10万部を水増し、印刷は毎日新聞社系の高速オフセット、堺市で「押し紙」の調査
大阪府の広報紙『府政だより』が大幅に水増しされ、廃棄されていることが分かった。
わたしは、全国の地方自治体を対象に、新聞折り込みで配布される広報紙が水増しされ、一定の部数が配達されずに廃棄されている問題を調査してきた。
この記事では、情報公開請求で明らかになった大阪府の『府政だより』のケースを紹介しよう。悪質な事例のひとつである。
大阪府は、広報紙『府政だより』(月刊)を発行している。配布方法は、大阪府のウェブサイトによると、「新聞折り込み(朝日、毎日、読売、産経、日経)」のほか、「府内の市区町村をはじめ、公立図書館、府政情報センター、情報プラザ(府内10カ所)などに配備」している。さらに「民間施設にも配架」しているという。
このうちわたしは大阪府に対して、新聞折り込みに割り当てられた部数を示す資料を、過去10年にさかのぼって開示するように申し立てた。その結果、6年分が開示された。
データを解析した結果、『府政だより』の新聞折り込み部数が、大阪府における日刊紙の流通部数をはるかに超えていることが分かった。ここでいう流通部数とは、日本ABC協会が定期的に公表している新聞の発行部数のことである。新聞社が販売店に搬入する部数だ。
次の表に示すのが、ABC部数(朝日、毎日、読売、産経、日経)と『府政だより』の折込枚数の比較である。いずれの調査ポイントでも、『府政だより』の部数が、新聞の流通部数を大きく上回っている。
2021年07月30日 (金曜日)
新聞の折込チラシVSポスティング、PR効果が高いのはどちらか?
経営が悪化して廃業に追い込まれる新聞販売店が増えている。新聞の購読者が減っているのに加えて、折込広告の激減が背景にあるようだ。
新聞のビジネスモデルは、「押し紙」で発生する損害を、折込広告の水増しで相殺する構図になっているので、折込広告の需要が減ると、販売店はたちまちその影響を受ける。歯車が狂ってしまうのだ。
折込チラシが減っている要因は、新聞の購読者が減っているためにPR効果がなくなり、広告主が他のPR媒体を選択するようになったからである。
広告主の新しい選択肢のひとつに、チラシの全戸配布がある。ポスティング業者に依頼して、チラシを全戸配布するのだ。しかし、PR効果はあるのだろうか?
2021年02月27日 (土曜日)
千葉県流山市の大野富生市議(NHK党)が広報紙の水増し問題を追及、市当局の見解、「不正があれば契約を破棄して、損害賠償を請求する」
千葉県流山市の大野富生市議(NHK党)は、26日に開かれた定例会で、広報紙『広報ながれやま』が水増しされている疑惑を取り上げた。メディア黒書でも既報したように、新聞のABC部数が全市で36、836部(2020年4月時点)しかないのに、新聞販売店には55,238部の『広報ながれやま』が搬入されている。千葉日報の部数が若干あるとしても、約2万部が水増し状態になっている。
配達されずに廃棄されている可能性が極めて高い。
■千葉県流山市で広報紙の大幅な水増し、約3万7000の新聞発行部数に対して約5万5000部を供給
また大野議員は、現在の折込定数55,238部(新聞に折り込む媒体の枚数)を固定した時期について質問した。これに対して、同市の総合政策部長は、2016年(平成28年)11月と回答した。つまり新聞のABC部数が大幅に減少しているにもかかわらず、約5年に渡って折込定数を固定していた事実が明らかになった。
2021年01月09日 (土曜日)
『週刊金曜日』が広報紙の水増し問題を指摘、「押し紙」同様に古くて新しい問題
8日に発売された『週刊金曜日』が埼玉県の広報紙『彩の国だより』(月刊)が、約22万部水増しされていることを報じた。(9ページ)『彩の国だより』は、新聞折り込みのかたちで、配布されるが、埼玉県が広告代理店(埼玉県折込広告事業協同組合)へ卸している部数は、新聞の発行部数を約22万部上回っていた。
紙媒体が、広報紙の水増し問題を取り上げたのは、『紙の爆弾』に続いて2度目である。この問題は、「押し紙」問題と同様に古くから水面下で指摘されていたが、近年、水増しの割合が増えたこともあって全国各地で問題になっている。「押し紙」同様に古くて新しい問題である。
2021年01月05日 (火曜日)
千葉県の広報紙『ちば県民だより』、21万部水増しの疑惑、必要な予備部数は9000部、背景に新聞社のビジネスモデル
千葉県が税金で制作して、新聞折り込みで配布する広報紙『ちば県民だより』が、大幅に水増しされている疑惑が浮上した。
筆者ら取材チームが調査したところ、『ちば県民だより』の発行総数は、187万部(2020年6月時点)だった。このうち新聞折り込みで配布することを前提に、広告代理店が新聞販売店に卸している部数は、177万9000部(2020年6月)だった。
ところが千葉県下における新聞の総発行部数は、約156万8369部である。約21万部が過剰になっている。配布されずに廃棄されていることを意味する。
新聞発行部数の内訳は次の通りである。
2020年11月22日 (日曜日)
地方自治体が発行する広報紙の水増し、新聞部数をこえる折込部数を提供、各地で発覚
地方自治体が発行する広報紙は、新聞折込、ポスティング、郵送などで住民に配布される。このうち最も多くの自治体が採用している配布方法は、新聞折込とポスティングである。東京23区の場合、16区が新聞折込を採用している。わたしが在住する埼玉県朝霞市はポスティングだ。
広報紙の配布をめぐり、このところ水面下で問題になっているのが、新聞販売店に卸す広報紙の水増し行為である。たとえば配達する新聞部数が1000部の販売店であれば、それに相応した広報紙の折込部数は1000部である。厳密に言えば、これに若干に予備部数が加算される程度だ。
2020年05月22日 (金曜日)
東京・豊島区の広報紙水増し問題、2018年度の水増し率は30%、背景に「押し紙」による新聞販売店の経営悪化
豊島区の広報紙『広報としま』が大幅に水増しされている問題で、過去10年分の関係資料を入手した。詳細については、検証が完了した段階で公表するとして、今回は、2018年度のケースに絞って報告する。
朝日、読売、毎日、産経、日経、東京の6紙が折り込み媒体となっている。卸部数は総計で7万8765部である。これに対して、ABC部数(2018年4月)は、5万4778部である。次に示すのが裏付けだ。
2020年05月14日 (木曜日)
折込広告の水増し詐欺の露骨な手口、「4・10(よんじゅう)増減」の全容(2)
ABC公査で不正を摘発されない体制を構築すれば、新聞社はABC部数をどうにでも操作できる。新聞社が販売店へ送り込んだ部数が、そのままABC協会へ申告され、ABC部数として認定される。さらにそれが折込定数になるわけだから、自由自在に折込媒体の水増しが可能になる。
広告主企業の中には、このような構図に気づいている企業もあるが、自主的に折込媒体の発注枚数を折込定数よりも少なめに設定するだけで、新聞社に抗議したという話はない。
わたしは複数の広告主から、その理由を聞いたことがあるが、共通して「新聞社とはトラブルになりたくない」という答が返ってきた。新聞社は社会的な影響力があるので、新聞社と係争になると、折込広告や紙面広告を出稿しづらくなる上に、紙面でバッシングされるリスクがあるからだ。それゆえに抗議しない。
しかし、大半の広告主企業は、この欺瞞的な実態そのものを知らない。そこへつけ込んで、大胆にABC部数を捏造する新聞社もある。そのための変形した手口が、「4・10(よんじゅう)増減」と呼ばれるものである。これは露骨な「折り込め詐欺」にほかならない。
2020年05月05日 (火曜日)
豊島区の『広報としま』の水増率43%の問題、過去10年分の関連資料を情報公開請求
新聞折り込みのかたちで配布されている東京都豊島区の広報紙『広報としま』が、43%も水増しされていた問題を調査するために、新たに4件の情報公開請求を行い受理された。4件の請求項目は次の通りである。
1、『広報としま』の新聞販売店向け部数を示す資料。対象は、2011年度から2018年度。及び2020年度。
2、『広報としま』の印刷会社を示す資料。対象は。2011年度から2020年度。
3、『広報としま』の新聞折り込み業務に関する新聞販売同業組合との契約書。対象は2011年から2020年の業務をカバーするもの。
4、『広報としま』の個人宅宛て郵送分の部数を示す資料。対象は、2011年度から2020年度。 ■出典
2020年04月29日 (水曜日)
東京・豊島区の広報紙3万部の水増し問題、朝日オリコミの折込定数でも「詐欺」の裏付けが成立
4月22日付けのメディア黒書で、「新聞人が東京・豊島区の広報紙を大量廃棄、水増し率が43%、折込定数がABC部数を大幅に超過」と題する記事を掲載した。
これはタイトルのとおり、東京都豊島区が発行する『広報としま』の水増し問題を取り上げたものである。『広報としま』は、新聞折り込み(朝日、読売、毎日、産経、日経、東京)のかたちで配布されている。 ところがこれら6紙のABC部数の総合計が43,722部しかないのに、76、500部の『広報としま』を販売店へ卸していることが判明したのである。水増し率:43%である。
2020年04月23日 (木曜日)
新聞の「折り込め詐欺」による毎日新聞販売店の年間収入、2002年10月の内部資料をベースに試算、最低でも総計140億円
新聞社の販売収入のうち、残紙よる収入はどの程度を占めるのかを試算してみよう。幸いにこの目的のために格好の内部資料がわたしの手元にある。2004年に毎日新聞東京本社の社長室から外部へ漏れた「朝刊 発証数の推移」と題する資料である。この資料は、『FLASH』や『財界展望』など多くのメディアで紹介された。
この資料によると2002年10月の段階で、全国の新聞販売店に搬入される毎日新聞の総部数は約395万部だった。
これに対して発証数(購読料を集金する際に読者に対して発行される領収書の枚数)は、約251万部だった。差異の144万部が領収書の発行対象とはならない残紙ということになる。144万部の中に残紙ではないものが含まれているとすれば、それは新聞を購読しているが、集金が未完了になっている読者である。こうした読者は極めて少数なので、144万部のほぼ全部が残紙と考えても大きな間違いない。
2020年04月22日 (水曜日)
新聞人が東京・豊島区の広報紙を大量廃棄、水増し率が43%、折込定数がABC部数を大幅に超過
今月の『紙の爆弾』(5月号)で、東京23区の広報紙の水増し実態を取り上げた。23区のうち12区で明らかな水増し行為が行われているとする調査結果を公表した。
その後、追加の調査を実施したので、その一部を紹介しよう。豊島区のケースである。
豊島区は、23区の中でも、もっとも水増し率が高い区である。大量に廃棄されているのは『広報としま』である。同区のウェブサイトによると、発行状況は次の通りである。
2020年01月29日 (水曜日)
折込広告の水増し詐欺で広告代理店の責任を問えるのか?
最近、わたしは折込チラシの水増し詐欺を取材している。国会図書館で、折込チラシの水増し事件に関する裁判の判例を検索してみると、何件かヒットした。驚いたことにこの種のトラブルを訴因とする裁判は、予測していたよりもはるかに前の時期、1989年(平成元年)に起こされている。原告は、ジャパンエンバ株式会社で、被告は広告代理店・読売インフォメーションサービスである。
ジャパンエンバ株式会社は、 毛皮製品の小売業者である。 読売インフォメーションサービスを通じて折込チラシを新聞販売店に卸していたが、チラシ水増しに関する手口を週刊誌報道で知り、支払いをストップした。これに対して読売インフォメーションサービスが支払いを求めて提訴したのが発端だった。
その後、ジャパンエンバも読売インフォメーションサービスを反訴した。過去の水増し分も含めて、水増しされたチラシの手数料を返済するように求めたのである。
ジャパンエンバは事業規模が大きいこともあって、億単位の取引をしていた。読売が請求した額は、約1億円。ジャパンエンバが反訴で請求した返済額は、約1億5000万円だった。
2019年12月14日 (土曜日)
全国の新聞発行本社が組織的にABC部数を操作、4月と10月が水増しのピーク、新聞人が折込詐欺に関与している決定的証拠
折込チラシの水増し行為を新聞発行本社が業界ぐるみで主導してきた疑惑が浮上している。筆者は、12月11日付けメディア黒書の記事で、産経新聞のABC部数が4月と10月に限って増える背景に、4月部数と10月部数が折込チラシの定数(販売店に搬入する枚数)を決定する基礎資料として採用される事情に言及した。
その後、全新聞社(日刊の一般紙)の総計ABC部数の上下動を調査したところ、やはり産経新聞と同じパターンになっていることが判明した。3月から4月にかけてABC部数が増え、4月から5月にかけて減数する。さらに9月から10月にかけて再びABC部数が増え、10月から11月にかけて再度減部数する。
たとえば次に示すのは2008年度における全新聞社のABC部数の月別上下動である。
2019年11月28日 (木曜日)
東京23区の広報紙を対象にした折込チラシ水増しの実態調査、目黒区など12の区で「水増しの強い疑惑」
折込チラシの水増し実態を、東京23区の広報紙(2019年度分)を対象に調査した結果、16の区で新聞折込がおこなわれ、そのうち12の区で水増し詐欺がおこなわれている強い疑惑が浮上した。ただし、今回の調査は予備調査なので、今後、当事者に取材を重ねることで、データの信憑性や特殊な事情がないかなど、さらに検証する必要がある。
【新聞折込を実施していない区】
次の7区では、広報紙の配布に際して、新聞折込は行われていない。
足立区、葛飾区、北区、江東区、中野区、渋谷区、台東区
【新聞折込を実施している区】
新聞折込を実施している区は、次の16区である。
荒川区、文京区、千代田区 、中央区、江戸川区 、板橋区 、目黒区、港区、練馬区、大田区 、世田谷区、品川区、新宿区、杉並区、墨田区、豊島区
【水増しが強く疑われる区】
水増しが強く疑われる区は12区あった。新聞社が新聞販売店に「押し紙」を多量に搬入している状況下では、新聞折込を実施している区のすべてで、広報紙が水増し状態になっている可能性が高いが、今回の調査で、「強く疑われる区」として区別した根拠は、次に述べる事情による。
2019年11月27日 (水曜日)
裁判所が折込チラシの水増し詐欺に強い関心を示す、折込広告会社のサンケイアイの社員が出廷へ 、産経の「押し紙」裁判
産経新聞の元店主が、産経本社を相手に起こしている「押し紙」裁判(東京地裁)の尋問が(2020年)3月10日に開かれ、証人として折込広告会社の(株)サンケイアイの社員が出廷することになった。裁判所が折込チラシの水増し行為にメスを入れる可能性が高い。
この裁判で原告の元店主は、折込チラシの水増し詐欺をしていたことを認めた上で、その責任は産経本社にあると主張している。裁判所に対して、サンケイアイの社員の証人申請を申してたところ裁判長も、
「裁判所としても確かめたいことがある」
と、言って申請を認めたという。
折込チラシの水増し問題が、法廷に持ち込まれ新聞社の社員が尋問されたケースは、佐賀新聞の例など過去にもあるが、折込広告会社の社員本人が法廷で直接尋問されたケースはない。その意味で、3月10日の尋問で、「押し紙」問題は新しい段階に入るとみて間違いない。
2019年10月30日 (水曜日)
4月と10月になると「押し紙」が増える理由、折込広告の水増し行為と表裏関係に
産経新聞の元店主が言う。
「折込広告の水増し問題を指摘されると、新聞社は異常に神経質になります。『押し紙』問題の比ではありません。折込広告の水増し問題は、『押し紙』問題とは異なり、新聞業界の外にいる広告主が憤慨する問題であるからです。折込広告の問題が浮上すると、新聞各社が情報を共有しているとも聞いています。新聞業界全体の運命に関わる大問題であるからです」
そのオリコメ詐欺がいま急激に問題視されるようになってきた。
11月1日に行われる佐賀新聞を被告とする「押し紙」裁判の尋問(佐賀地裁・10時~16時半)でも、ABC部数の中身が検証されるものと見られる。
また、折込広告の水増し問題について、ある市民が筆者に公益通報したところ、しぶや総和法律事務所の鈴木裕二弁護士が、公益通報者に対して提訴などをほのめかしながら、情報源を明かすように求めてきた。その「恫喝文書」の一部を紹介しよう。
本来であれば、貴殿に対し、直ちに民事上および刑事上の責任を追及するところですが、通知人としては、まず上記記事を投稿した経緯や上記画像の入手方法等について貴殿から事情を伺い、そのうえで今後の対応について検討しようと考えております。つきましては、本書面を受領してから7日以内に、弁護士鈴木宛て(03ー6416ー1933)にご連絡くださるようにお願いいたします。
しかし、公益通報者はひるまなかった。さらにオリコミ詐欺の実態を公益通報したところ、弁護士から音沙汰がなくなった。この問題を暴露されるのが恐いのだろう。新聞業界の決定的な問題点を突いているからだ。係争に広告主を巻き込まれたら、収集がつかなくなるからだろう。
公益通報者を支援している筆者としては、その後、オリコミ詐欺に関する新しい情報を入手した。それを根拠に攻勢をかける予定だ。
弁護士に依頼して、公益通報者にプレッシャをかけた人物の素姓や職業、経歴もすべて把握している。ある団体の役員を務める公人である。
2019年10月17日 (木曜日)
選挙公報の配布、岐阜県土岐市や御嵩町などが新たに新聞折込を採用、背景に新聞関係者による「営業」か?
埼玉県で参議院議員の補欠選挙が行われている。前知事の上田きよし氏とN国党の立花孝士氏の2人が立候補して、両氏による一騎打ちになっている。2人の政策が記された選挙公報は16日にポスティングで全戸配布された。
選挙公報の配布方法は、ポスティング、新聞折込、郵送などがあるが、歴史的にみると、主流を占めていた新聞折込が激減して、ポスティングが増えている。理由は、新聞の公称部数が実配部数を大きく上回っているので、配達されずに廃棄される選挙公報が大量に発生することが発覚したからだ。
ところが最近、奇妙な現象が見られる。従来は、ポスティングで配布していたが、新聞折込に切り替える自治体が現れたことだ。おそらく新聞関係者が「営業」をした結果だと思うが、情報公開制度などを利用して配布方法が変更になった背景を調査する必要がありそうだ。
新聞の購読者が激減しているにもかかわらず、配布方法として新たに新聞折込を採用する選択が無知の最たるものであることは論を待たない。
参考までに、新たに新聞折込を採用した自治体を紹介しておこう。
2019年10月15日 (火曜日)
15日から新聞週間、日本新聞協会は今年も「押し紙」問題・折込広告の水増し問題を避ける
日本新聞協会は、10月15日から21日の日程で、第72回新聞週間をスタートさせた。共同通信によると、今年は、「人工知能(AI)の進化や、AIを活用した社会の課題などについて語るパネルディスカッション」を開くらしい。
同協会は、毎年、新聞週間になると、なにかテーマを決めて討論しているが、わたしの知る限り、「押し紙」や折込広告の水増しについて、討論したことは一度もない。実は、表裏関係をなすこれらの問題こそが、新聞業界が早急にメスを入れなければならない部分なのだが、当事者たちは隠蔽に終始してきた。
いまだに「知らぬ」、「存ぜぬ」という態度を貫いているのだ。そのこと自体が新聞経営者(新聞人)としての資質が欠落していることを示している。鈍感というよりも、知りながら逃げているのだ。ジャーナリズムよりも、金銭の損得(ビジネス)を優先しているのだ。
これでは日本のジャーナリズムに責任が持てるはずがない。
2019年10月04日 (金曜日)
江戸川区で発覚した「オリコメ詐欺」、民間企業の折込広告も大量に廃棄
「折り込め詐欺」のすさまじい実態が暴露されている。
江戸川区の新聞人らが、『広報えどがわ』や選挙公報を水増して、廃棄している問題をメディア黒書で報じたところ、民間企業の折込広告も廃棄されているという情報が寄せられた。
「折り込め詐欺」と表裏関係にある残紙の中身が、「押し紙」なのか、それとも「積み紙」なのかは不明だが、いずれにしても広告主にとっては、不愉快な話だろう。折込広告は1枚も無駄にしたくないというのが広告主の本音だ。
が、実際には梱包されたまま廃棄されている。
改めて言うまでもなく、騙された場合は、損害賠償を請求することは出来る。
2019年10月03日 (木曜日)
『広報えどがわ』の水増し問題、江戸川区新聞販売同業組合が区に対してABC部数を超える部数を発注させていた決定的証拠
江戸川区の広報紙の配布を請け負った江戸川区新聞販売同業組合(以下、組合)が、媒体の必要枚数を偽って発注させていた決定的な証拠が明らかになった。折込広告を水増しして、過剰になった媒体を廃棄していた事実が浮上した。
【不正が発覚した経緯】
東京都江戸川区は、組合に依頼して、『広報えどがわ』を配布してきた。ところがメディア黒書に対する公益通報により、同媒体が配達されずに大量に廃棄されている疑惑が浮上した。
そこで筆者は真相を確認するために、2つの資料を入手した。まず、江戸川区に対して、『広報えどがわ』の新聞折込を発注するに際して、組合が江戸川区に提示した同媒体の必要枚数を裏付ける資料である。情報公開請求の結果、次の枚数が明らかになった。
30年度(2018年):166,300枚
31年度(2019年):144,700枚
次に筆者は、日本ABC協会が調査して、4月と10月に新聞各社へ通知している新聞発行部数を確認した。その結果、江戸川区の部数は、次のようになっていた。()内は、組合が区に提示した媒体の必要枚数との差異である。ABC部数には、「押し紙」などが含まれているが、たとえ「押し紙」が皆無であっても、水増し状態になっている。
2019年09月30日 (月曜日)
公益通報者に対して弁護士を使って圧力 江戸川区の選挙公報水増し問題
折込広告の水増し行為は、広告主にとっては許しがたい行為にほかならない。4年前、広告代理店・アルファトレンドが折込詐欺で広告主から提訴され敗訴した事件をメディア黒書で繰り返し報じたところ、同社があっけなく倒産したことがある。広告主の怒りを物語っている。
【参考記事】広告代理店・アルファトレンドが倒産、折込広告の詐欺発覚で
現在、取材中の江戸川区の選挙公報水増し事件が発覚したのは、公益通報があったからだ。その公益通報を最初に受けたAさんが、自分のブログで廃棄される選挙広報や江戸川区民報などの写真を公表したところ、国吉延男氏(YCと広告代理店を兼業、江戸川区北葛西3-1-18 )が、Aさんのブログを管理するKDDIに対して、Aさんの個人情報を明かすように求めて裁判を起こした。
この裁判で勝訴した店主は、渋谷区にあるしぶや総和法律事務所を通じて、Aさんに対して、公益通報者を密告するように求めてきたのだ。Aさんに対する刑事告訴や民事訴訟もほのめかしている。一部を引用してみよう。
2018年09月26日 (水曜日)
「押し紙」の存在を知りながら、広告主が大量の折込広告を発注する理由、広告代理店からの裏金キックバック説
新聞の折込広告が水増しされていることは、いまや周知の事実となっている。しかし、広告主の中には、折込広告の発注枚数を減らさない者も少なくない。その理由として、最近、販売店から興味深い情報提供を受けた。広告代理店から広告主企業の担当員へ、キックバックが行われているというのだ。(もちろん一部の新聞である)
メディア黒書で繰り返し報じてきたように、「押し紙」率が5割を超えている販売店も珍しくはない。当然、広告主が自主的に折込広告の発注枚数を減らさなければ、「押し紙」と一緒に折込広告も廃棄される。それを承知のうえで、配布予定のない折込広告を発注し続けているわけだから、常識的に考えれば、騙されていることになる。
ところが実は騙されているのではないという。広告代理店から、裏金をキックバックしてもらうことで、広告主企業の担当者が私腹をこやしているというのだ。
2018年09月15日 (土曜日)
内閣府の公共広告の価格は民間企業の3倍、大手広告代理店との癒着が鮮明、内部資料で判明、
地方自治体の予算の使い方に疑義がある場合、地元住民は訴訟という手段で抗議することができるが、国家予算の疑義については、訴訟を提起する制度がないことを、読者はご存じだろうか。筆者は2016年から17年にかけて、中央省庁の予算の使い方を徹底取材し、その中でずさんな出費の例を数多く見つけた。
そこで裁判を起こすことを視野に入れて弁護士に相談したところ、そのような制度は日本にはないことを知った。国家予算の使い方を司法で正すことはできないのだ。
次の記事は、内閣府から大手広告代理店に対して実施された疑惑の出費の一例を紹介したものである。2016年06月09日 の記事の再録だ。
2016年06月28日 (火曜日)
元新聞販売店主が語る新聞チラシ「折り込め詐欺」の実態、1日の不正収入が250万円から300万円のケースも
新聞販売店の元店主から、新聞チラシの「折り込め詐欺」の実態を話してもらった。2000年代の初頭の話である。
・・・・販売店の経営は、今も昔も、ほとんど折込広告の収入で成り立ってきました。折込広告の需要が多かった時代は、販売店はよく儲かる商売で、熱海のフジヤホテルの別館を借り切って○○会(同系統の販売店主で組織した会)の総会を開いていました。A社の新年会は、帝国ホテルで開いていました。ヨットを持っている店主もいましたよ。
・・・・店主として独立させてもらい、ビルを建てるのが、新聞販売店で働く者の夢でした。決して悪い商売ではありませんでした。