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2025年07月26日 (土曜日)

検閲から勇気へ、(コロンビアのメディア状況)

執筆者:ロベルト・トロバホ・エルナンデス

表現の自由──民主主義を支える柱──が、いま多くの国で脅かされている

世界全体の情勢は深刻であり、とりわけラテンアメリカ、そしてコロンビアでは、危機的な状況に対して警鐘が鳴らされている。

「国境なき記者団」が発表した2024年の世界報道自由度ランキングによれば、報道の自由は、本来その価値を守るべき立場にある者たちによって侵されている。ラテンアメリカは、世界のなかでも特に暴力、検閲、政治的干渉の圧力にさらされている地域である。

コロンビアにおいては、世界人権宣言やアメリカ人権条約に明記された表現の自由および情報アクセスの権利が深刻に侵害されている。ラテンアメリカのメディアは、暴力、誘拐、性的暴力、脅迫、嫌がらせ、経済的圧力、差別といった致命的な脅威に日々直面している。

「国境なき記者団」の報告によると、2019年以降、ラテンアメリカでは57名のジャーナリストが命を落とした。コロンビアでは2024年に入ってすでに3人が殺害され、1985年からの累計では35人にのぼる。この数字は、ラテンアメリカが世界で最もジャーナリストにとって危険な地域のひとつであるという現実を突きつけている。

メディアはこうした暴力の被害者であると同時に、無意識のうちに加担者となってしまうこともある。コロンビアでは、政治の深刻な分極化により、報道が「反腐敗派」と「腐敗支持派」に二分され、報道機関の中立性と信頼性が大きく損なわれている。この“セクト化”によって、メディアは民主社会における公平な仲介者としての役割を果たせなくなり、結果的に市民生活に重大な悪影響を与えている。

その顕著な例が、報道を政治的プロパガンダや自己宣伝の道具として利用する傾向である。たとえば、カリ市のチャンネル7の元局長であり、ペトロ大統領の支援を受けて国会議員にまで上り詰めたペペ・コルドーバは、公私の利害が交錯する中で、報道機関に対する国民の信頼を揺るがす行動を繰り返してきた。メディアが政治的アジェンダの手段に変質する時、国民はもはやジャーナリストを「民主主義の守護者」としてではなく、「疑念の対象」として見るようになる。

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