公取委、「押し紙」の謎、1999年「新聞特殊指定」改定をめぐる交渉記録の存在を認める
公正取引委員会は、1999年の新聞特殊指定の改定をめぐって、公正取引協議会(日本新聞協会の新聞販売担当部門)との間で行った新聞特殊指定(「押し紙」や新聞拡販に関する法律)に関する交渉記録が、多数存在することを認めた。
既報したように筆者は、1999年の新聞特殊指定の改定に関する交渉記録の全部を開示することを求めて、情報公開請求を行った。ところが公正取引委員会が公開したのは、1998年10年3月 3日付け「新聞業の景品規制の見直しについて」と、それに付随した「(新聞協作成記録用メモ)」の1件だった。
※だたし、開示された文書の大半は黒塗りになっていた。
そこで筆者は、公正取引委員会に対して異議を申し立てた。公正取引員会と新聞公正取引協議会が交渉を行った日付けを具体的に明記して、全部を公表するように求めたのである。具体的な日付けは、次の通りである。
西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ -モラル崩壊の元凶 押し紙-
執筆者:弁護士 江上武幸(福岡・佐賀 押し紙弁護団) 2025年(令和7年)9月22日
去る9月9日(火)午後1時10分に福岡地裁902号法廷で言い渡された西日本新聞佐賀販売店の押し紙裁判の敗訴判決に対し、9月19日(金)、福岡高裁に対し郵送で控訴申立を行いましたのでご報告します。
販売店敗訴判決が続いており、押し紙問題の焦点は、新聞社の責任問題から裁判所が何故かたくなに押し紙の違法性を認めようとしないのかという点に次第に移ってきたように思います。
なお、参考のため福岡地裁敗訴判決と控訴申立書を添付します。
公正取引委員会に対して異議申立て、「押し紙」関連の公文書の大半を不開示に
今年4月21日、筆者は公正取引委員会に対し、「押し紙」問題に関する公文書の公開を求めて情報公開請求を行った。しかし、該当文書の大半が不開示とされた。
そこで筆者は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、公正取引委員会の茶谷栄治委員長(冒頭写真)に対して異議を申し立てた。
以下に、異議申立書の全文を掲載する。申し立てに至る経緯については、次の記事で詳しく紹介している。
西日本新聞押し紙訴訟福岡地裁(敗訴)判決のお知らせ -モラル崩壊の元凶 押し紙-
弁護士・江上武幸(文責)福岡佐賀押し紙弁護団
9月9日(火)午後1時10分、福岡地裁902号法廷において、西日本新聞佐賀販売店の押し紙訴訟判決が言い渡されました。残念ながら、懸念していたとおり敗訴判決でした。
長崎県販売店の地裁担当裁判官の交代については、2024年12月26日(木)投稿の「西日本新聞福岡地裁敗訴判決のお知らせ」で報告したとおりです。今回の佐賀県販売店の地裁担当裁判官の交代についても、2025年8月1日(金)投稿の「佐賀県西日本新聞店押し紙訴訟裁判官交代について」で疑念を表明していたところです。
今回の敗訴判決を言い渡した三井教匡裁判長は、既報のとおり福岡地裁久留米支部に在籍していた当時、読売新聞販売店の地位保全仮処分決定を下した裁判官であり、押し紙問題については十分理解している裁判官です。そのため、一縷の期待を寄せていましたが、結果は敗訴判決でした。判決文が届き次第、内容を精査し、詳細をご報告いたします。
2025年09月09日 (火曜日)
流山市の参院選・選挙公報「水増し配布」問題 元市議が陳情書提出、背景に慣行化した新聞の「押し紙」
千葉県流山市で実施された2025年7月の参院選をめぐり、朝日新聞販売店(ASA)で選挙公報の配布数が水増しされていた疑惑が浮上した。これを受け、大野富男元市議(NHK党)は、折込部数の算定方法を厳格化するよう求める陳情書を提出した。陳情書は9月4日、市公式サイトで公開されている。
中央5紙は年間で約96万部減部数、京都新聞3社分に相当、地方紙の減部数にも歯止めかからず ― 2025年7月度ABC部数
2025年7月度のABC部数が明らかになった。それによると、読売新聞は前年同月比で約43万部減、毎日新聞は約27万部減と、大幅な減少に歯止めがかからない状況となっている。
中央紙(朝日、毎日、読売、日経、産経)の合計では、前年同月比で約96万部の減少となった。これは、発行部数28万5千部の京都新聞規模の新聞社が3社ほど消えたのに等しい規模である。
「押し紙」制度と折込媒体の水増し、新聞社の内部資料が示す虚像
「押し紙」裁判における発行本社の主張は、もはやパターン化している。それはおおむね次のような内容である。新聞社は、販売店が注文した部数に応じて新聞を搬入しているにすぎず、販売店が実際に配達している部数は知らない。したがって残紙は押し売りの結果ではないので、損害賠償に応じる義務はない、というのである。
しかし、新聞社は販売店の実配部数を把握している。実際、最近の「押し紙」裁判では、厳密な意味での「押し紙」(押し売りが立証できる新聞部数)は存在しないとされる一方で、大量の新聞が残紙になっている事実は認定されるケースが多い。さらに、新聞社の中には、販売店が配達している実配部数を把握していることを示す内部資料を保有しているところもある。
たとえば、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、西日本新聞などがその例である。
『ZAITEN』9月1日発売、参院選の選挙公報が水増し・廃棄されていた、 背景に「押し紙」
9月1日発売の『ZAITEN』(財界展望新社)は、「朝日新聞『選挙公報』折込で“水増し発覚”」と題する記事を掲載している。執筆は黒薮哲哉で、7月20日に実施された参院選に向けて税金で制作された千葉県版の選挙公報が、「押し紙」とともに廃棄されていた事実を報じたものだ。詳細は同誌をご覧いただきたい。
2025年08月27日 (水曜日)
新聞社系印刷会社が参院選公報を独占受注 首都圏1都3県の実態 もうひとつの「押し紙」問題
選挙公報など、税金で制作された新聞折込媒体を新聞社系の印刷会社が印刷するケースが少なからず存在する。既報のとおり、首都圏の1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)は、いずれもこのケースに該当する。当然、新聞折込の方法を採用すると、「押し紙」がある場合、その部数に応じて折込媒体も廃棄されていることになる。
「司法の独立・裁判官の独立」について-モラル崩壊の元凶 押し紙-
執筆者:弁護士 江上武幸(福岡・佐賀押し紙弁護団、文責)2025年8月21日
井戸謙一・樋口英明両元裁判官が今年6月に旬報社から共著『司法が原発を止める』を刊行されました。これを契機に、司法の独立・裁判官の独立をめぐる議論が再び活発化しています。
*瀬木比呂志元裁判官が『絶望の裁判所』(講談社)を刊行したのは2014年2月、生田輝雄元裁判官が『最高裁に「安保法」違憲を出させる方法』(三五館)を刊行したのは2016年5月です。なお、岡口基一元裁判官は現在もFacebookで最新状況を発信し続けています。
押し紙裁判においても、審理途中で不可解な裁判官交代があったり、販売店側の敗訴判決に類似性・同一性が認められることなどから、最高裁事務総局による報告事件指定がなされているのではないかとの疑念があります。
憲法76条3項は「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」と定め、81条は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか否かを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定しています。
このように、日本国憲法は裁判官の独立と違憲立法審査権を明確に定めていますが、実際に裁判の場で法令の無効を宣言するには、裁判官に相当の勇気が求められるのが現実です。
裁判官の独立を妨げる圧力や、さまざまなしがらみについて、少し考えてみたいと思います。
2025年08月14日 (木曜日)
新聞社と公共機関の蜜月構造 ― ジャーナリズムの独立性を脅かす「特権と利権」
新聞社や関連会社が公共機関と取引を行うことで、ジャーナリズム本来の役割が損なわれる構図は、これまでも『メディア黒書』が繰り返し指摘してきた。主な構図は以下の通りである。
1. 公共機関による「押し紙」の黙認によって得られる莫大な新聞販売収入
2. 新聞に対する軽減税率の適用
3. 再販制度による価格維持
4. 記者クラブを通じた情報入手の優遇
5. 公共広告の出稿
これらの便宜に加え、新聞社や系列の印刷会社が公共機関から受注する折込媒体の印刷収入も巨額に上る。
2025年08月13日 (水曜日)
参院選選挙公報、首都圏で新聞社系が印刷を独占,神奈川新聞は1億4000万円で落札
7月2o日に投票が行われた参議院選挙の選挙公報について、首都圏の一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)を対象に印刷業者を調査した結果、いずれの自治体も新聞社系列の印刷会社に発注していたことが判明した。詳細は順次公表予定。
神奈川県では、神奈川新聞社が選挙公報の印刷を担当。入札情報によれば落札額は1億4,460万円(144,647,814円)。