1999年の新聞特殊指定の改訂、大量の「押し紙」を容認する方向へ「改正」
「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、「実配部数+予備紙2%」を超える部数は、理由のいかんを問わず「押し紙」とされた。
ところが改訂後は、予備紙2%のルールが撤廃され、残紙はすべて予備紙とみなすようになった。これにより「押し紙」の概念はなくなり、残紙はすべて販売店が自主的に買い入れた部数ということになってしました。
「注文部数」という用語も、「注文した部数」に変更された。
特殊指定の改訂前と改訂後の「押し紙」の定義を図にしてみた。詳細については、近々に説明する。
劈頭の図は、搬入部数が4000部の販売店で例証したものだ。
USAIDの内部資料で露呈した公権力とジャーナリズムの関係、だれがメディアに騙されてきたのか?
トランプ大統領が、UASID(アメリカ国際開発庁)を閉鎖した件が、国境を超えて注目度の高いニュースになっている。USAIDは、原則的に非軍事のかたちで海外諸国へ各種援助を行う政府機関である。設立は1961年。日本の新聞・テレビは極力報道を避けているが、USAIDの援助には、メディアを通じて親米世論を形成すためのプロジェクトも多数含まれている。
実際、親米世論を育てることを目的に、おもに敵対する左派政権の国々のメディアや市民団体に接近し、俗にいう「民主化運動」で混乱と無秩序を引き起し、最後にクーデターを起こして、親米政権を樹立する手口を常套手段としてきた。そのためのプロジェクトが、USAIDの方針に組み込まれてきたのである。
USAIDの閉鎖後に公開された内部資料によると、助成金を受けていたメディアの中には、米国のニューヨークタイムスや英国のBBSも含まれていた。これらのメディアをジャーナリズムの模範と考えてきたメディア研究者にとっては、衝撃的な事実ではないかと思う。
Columbia Journalism Review誌の報道によると、USAIDは少なくとも30カ国で活動する6,000人を超えるジャーナリスト、約700の独立系メディア、さらに約300の市民運動体に助成金を提供してきた。
ウクライナでは、報道機関の90%がUSAIDの資金に依存しており、一部のメディア企業では、助成金の額がかなりの高額になっているという。
トランプ大統領がUSAIDを閉鎖した正確な理由は不明だが、「小さな政府」を構築すると同時に、事業を民営化する新自由主義政策の一端ではないかと推測される。
その役割を担って入閣したのが、イーロン・マスク氏である。従ってUSAIDが閉鎖されたとはいえ、今後は、従来とは異なった形で、経済的に西側メディアを支配する政策が取られる可能性が極めて高い。本当に資金支援を打ち切れば、西側世界はスケールの大きい世論誘導装置を失うからだ。
「香害」問題に新しい視点、横浜副流煙裁判をドラマ化した映画『窓』、ロサンゼルス日本映画祭2024〈JFFLA〉で上映
横浜副流煙裁判をドラマ化した映画「窓」が、9月14日にロサンゼルス日本映画祭(Japan Film Festival Los Angeles 2024〈JFFLA〉)で上映される。この映画は、煙草の副流煙が引き金となった隣人トラブルに材を取った作品で、ロンドンやパリの国際映画祭の最優秀長編映画賞など、国内外で数々の賞を受賞してきた。また、主演の西村まさ彦氏が最優秀主演男優賞を受けるなど高い評価を得てきた。
ロサンゼルスでの上映が決まったことで、「香害」が新しい視点から、禁煙ファシズムの発祥地である米国でもクローズアップされることになった。
既報してきたように、横浜副流煙裁判は、たばこの副流煙が原因で健康を害したとして、隣人が隣人に対して約4500万円の損害賠償を求めた事件である。舞台は、横浜市のマンモス団地。都会の砂漠。日常生活の中に潜んでいる事件だが、原告の訴えに根拠はなく、被告として法廷に立たされたミュージシャンの勝訴で終わった。
携帯電話基地局から放射させるマイクロ波の何が問題なのか?(上編)
携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と地域住民のトラブルが絶えない。2005年から、この問題を取材しているわたしのところには、年間で50件ぐらいのトラブル相談が寄せられている。わたしは取材すると同時に、問題解決にも協力している。
かつてわたし自身がトラブルに巻き込まれた体験があり、この問題の深刻さを熟知しているからだ。2005年、埼玉県朝霞市岡3丁目にあるわたしの住居(集合住宅)の真上にKDDIとNTTドコモが基地局を設置する計画が浮上したのだ。計画は頓挫させたが、そのための労力は大変なものだった。
基地局を設置する電話会社は、それがみずからの特権と言わんばかりに強引に目的を達する。過去には熊本市で九州セルラー(現、KDDI)が警備員を使って、座り込みの抗議を続けていた住民らを排除した事件が起きている。
その強権的な実態は、戦車が住居をなぎ倒して進んでいくイメージに類似している。しかも、無線通信網の普及が国策になっている関係で、マスコミはほとんど基地局問題を報じない。
本稿では、最初に基地局から放射されるマイクロ波が、人体にどのような影響を与えるのかを科学的な観点から説明する。その上で現在、さいたま市で起きている2件の事件を紹介しよう。
ひとつは、JR大宮駅の近辺に位置する高層マンションのケースである。事業主は楽天モバイルで、すでに基地局を稼働している。もうひとつはJR武蔵浦和駅に隣接する商業施設の中にあるタワーマンションのケースである。事業主はソフトバンクで、マンションの管理組合と協働して基地局設置に向けて計画を進めている。管理組合の理事長は、意外なことに「人権派」弁護士の集まりとして有名な東京法律事務所(新宿区四谷)の弁護士である。
横浜副流煙裁判を描いた映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立映画賞を受賞
映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立映画賞(London Independent Film Award)の最優秀外国映画賞を受賞した。作品は、11月18日から東京渋谷のユーロスペースで2週間に渡って再上映される。
麻王監督は、フェイスブックで、「元々、化学物質過敏症というテーマから、制作開始時点でこの映画はヨーロッパ圏の方にも刺さるんじゃないかと考えていたので、この連絡を頂けて嬉しいです」と、コメントを発表した。
この映画は、デジタル鹿砦社通信でもたびたび取り上げてきた横浜副流煙事件に材を取ったフィクションである。実在する事件と作品との間には、若干の隔たりがあるが、化学物質過敏症をめぐる問題の複雑さをテーマにしているという点では共通している。
事件の発端は、2016年にさかのぼる。横浜市青葉区のマンモス団地で、煙草の副流煙をめぐる隣人トラブルが発生した。
ミュージシャンの藤井将登さんは、同じマンションの上層階に住むA家(夫、妻、娘)の3人から、「あなたの煙草の煙が原因で体調を崩したので禁煙してほしい」と、苦情を言われた。
将登さんは喫煙者だった。1日に2、3本の外国製の煙草を自宅の音楽室で嗜む。しかし、音楽室には防音構造がほどこされ、密封状態になっているので、副流煙が外部へ漏れることはない。
とはいえ、自分に加害者の疑惑がかけられたことに衝撃を受けた。そこで暫くのあいだ禁煙してみた。ところがA家の3人は、なおも同じ苦情を言い続けた。煙草の煙が自宅に入ってくるというのだ。疑いは、煙草を吸わない奥さんと娘さんにも向けられた。将登さんは、A家の苦情にこれ以上は対処しない方針を決めた。副流煙の発生源は自分ではないと確信したからだ。
ところがその後もA家からの苦情は続き、警察まで繰り出す事態となった。2017年になって将登さんは、A家の3人から4518万円の損害賠償を求める裁判を起こされた。裁判が始まると日本禁煙学会の作田学理事長が全面的にA家の支援に乗り出してきた。提訴の根拠になったのも、実は作田医師が交付した「受動喫煙症」の病名を付した診断書だった。
裁判が進むにつれて、恐ろしい事実が浮上してくる。作田医師が作成したA家3人の診断書のうち、娘のものが虚偽診断書であることが分かったのだ。作田医師は、A娘を診察していなかった。診察せずに診断書を交付していたのだ。これは医師法20条違反に該当する。こうした経緯もあり、裁判は将登さんの全面勝訴で終わった。A家の主張は、何ひとつ認められなかったのだ。
麻王監督が映画化したのはこの段階までである。実際、事件を取材してきたわたしも横浜副流煙裁判は、将登さんの勝訴で終わったと思った。拙著『禁煙ファシズム』(鹿砦社)で、わたしが記録したのもこのステージまでだ。【続きは、デジタル鹿砦社通信】
「押し紙」弁護団への夏のカンパのお願い
平素はメディア黒書をご支援いただき厚く御礼申し上げます。
このたび2023年7月25日から8月24日の期間で、カンパをお願いする運びとなりました。集まったカンパは全額を「押し紙」弁護団に寄付します。これは長い歳月に渡って「押し紙」問題を解決するために尽力されてきた弁護団に対するわたしからの敬意の表明にほかなりません。ご協力をお願いいたします。
「押し紙」問題の到達点と今後の争点、読売が申し立てた「押し紙」裁判の判決文に対する閲覧制限事件④、
「押し紙」問題が指摘されるようになったのは、1970年代である。日本新聞販売協会が販売店の苦痛をくみ上げ、1977年にアンケート調査を実施して「押し紙」の実態を公表したのが最初だ。(全国平均で8.3%)。その後、1980年代の初頭から85年まで、共産党、公明党、社会党が超党派で新聞の商取引に関する問題を国会質問で取り上げた。その中に当然、「押し紙」問題も含まれていた。
しかし、日本がバブル経済に突入すると、折込広告の需要が急増したために、「押し紙」が存在しても損害を受けない販売店が増えた。特に都市部ではその傾向が顕著になった。残紙が販売店に利益をもたらす「積み紙」の性質に変化したのである。これは販売店にとっては触れられたくないことであるが、客観的な事実である。販売店は、「もうかる仕事」だった。
しかし、バブルが崩壊すると徐々に折込広告の需要が減った。それにともない残紙が販売店の負担になってきたのである。言葉を替えると、残紙の性質が「積み紙」から「押し紙」に再び変化したのである。
◆新聞社と販売店の共通認識
新聞社と販売店の間には、残紙の責任が誰にあるのかという議論がある。販売店は新聞社に責任があると主張する。注文部数を新聞社が設定しているからである。
これに対して新聞社は、残紙の責任は販売店にあると主張してきた。折込広告の水増しをしたり、より多額の補助金を獲得するために、販売店が自主的に仕入れ部数を増やして、広告主や新聞社を欺いてきたとする主張である。たとえば、読売の代理人で自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士は、20年以上もこの持論を展開してきた。読売に「押し紙」は1部も存在しないと主張している。
販売店の主張が正しいにしろ、新聞社の主張が正しいにしろ、紛れのない客観的な事実は、読者に配達されない新聞が大量に発生している事実である。この点に関しては、読売の濱中裁判でも裁判所が認定した。それゆえに、読売は判決文に閲覧制限をかけてきたのではないか。
判決の結果とは別に、 残紙は重大な社会問題なのである。というのも残紙を含む部数がABC部数として報告されているからだ。100万部を自称して広告営業を展開しても、実際には50万部しかない可能性もある。当然、折込広告の一部は廃棄されている。大量の広報紙が廃棄されてきた事実も、東京の江戸川区などで発覚している。残紙を隠すための2重帳簿(順路帳)も存在する。
今後、この点に公正取引委員会や裁判所、それに警察などがどのようなかたちでメスを入れるのか注視しなければならない。放置することがあってはならない。
読売新聞が「押し紙」裁判の判決文の閲覧制限を請求、筆者に申し入れ、筆者「御社が削除を求める箇所を黒塗りに」
メディア黒書に掲載した記事、「読売新聞「押し紙」裁判(濱中裁判)の解説と判決文の公開」(5月8日付け)(http://www.kokusyo.jp/oshigami_c/17608/)を改編したので、改編部分とその理由を説明しておきたい。この記事は、読売新聞を被告とする「押し紙」裁判(大阪地裁)の判決を解説したものである。判決は、原告の元販売店主の請求を棄却したが、商取引の一部分に関しては、読売による独禁法の新聞特殊指定違反を認定する内容だった。
今回改編したのは、判決文の取り扱いである。当初、原告の元店主の承諾を得た上で判決文を全面公開していた。ところが6月1日になってメールで、読売新聞大阪本社の役員室法務部部長・神原康之氏から、判決の公開を取り下げることを求める「申し入れ書」が届いた。その理由は、判決の中に読売社員のプライバシーや社の営業方針などにかかわる箇所が含まれていることに加えて、同社が裁判所に対して判決文の閲覧制限を申し立てているからというものだった。
確かに民事訴訟法92条2項は、閲覧制限の申し立てがあった場合は、「その申立てについての裁判が確定するまで、第三者は、秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない」と述べている。
裁判の審理が進んでいる中で、裁判所に提出された証拠類を含む書面に対して閲覧制限の申し立てが起こされ、裁判所がそれを認めることはよくあるが、判決に対して閲覧制限を請求した例は、わたしが知る限りでは過去に一件もない。判決文に対する閲覧制限は極めてまれだ。しかも、判決文は元店主の請求を棄却した内容である。
読売の神原氏が指摘するように、法律上では裁判所が判決を下すまでは判決文を公開できないルールになっている。それを理解した上で、わたしは削除に応じた。申し入れ書では削除の期限が6月5日の夕刻になっていたが、3日は削除を完了した。
しかし、裁判所が判決を下した後、判決内容によっては再度判決文を掲載する旨を伝えた。その際に読売が秘密扱を希望する記述を黒塗りにして、2週間を目途にわたしに提示するように求めた。次の回答書である。
ジャーナリズムに対する攻撃、アマゾンの著者経歴の改ざんから、「押し紙」に関する記事の攪乱まで
このところメディアに関連した不可解な現象が3件続いている。順を追って記録しておこう。
まず、最初はネット上の「書店」アマゾンに掲載されているわたしの略歴を何者かが勝手に改ざんした件である。この件は、すでに5月16日にフェイスブックで記事にしたが、再度、紹介しておこう。
『新聞と公権力の暗部』が発売になった直後に、著者の経歴から、「朝日ジャーナル大賞」の受賞歴が削除されたのだ。賞を朝日新聞社にお返ししたわけではない。朝日新聞を賞と取り消したとも思えない。どのような経緯で誰が削除したのかは分からない。
経歴の中身そのものは、重要な意味を持っているわけではないが、わたしのように知名度の低いライターにとって、受賞歴があるかないかは、消費者の行動に影響を及ぼす。今回の改ざんは、「朝日ジャーナル大賞」に関する部分を完全に削除して、次のような記述に改めたものである。
【兵庫県生まれ。 会社勤務を経てフリーランス・ライターへ。 「ある新聞奨学生の死」で第3回週刊金曜日ルポ大賞「報告文学賞」を受賞 。 『新聞ジャーナリズムの正義を問う』(リム出版新社)で、JLNAブロンズ賞受賞 取材分野は、メディア、電磁波公害、ラテンアメリカの社会変革、教育問題など。「メディア黒書」主宰(http://www.kokusyo.jp/)】■出典:AMAZON
ジャーナリズムの問題は、ジャーナリズムの土俵で決着を、17日の読売「押し紙」裁判の判決について
17日に読売新聞の「押し紙」裁判の判決が福岡地裁であった。早朝に空路、東京から福岡へ飛び、裁判所で判決の言い渡しを聞いた。残念ながら原告(元店主)の敗訴だった。詳細は改めて報告するが、判決を聞きながら日本の公権力が新聞社を手厚く保護しているという確信を深めた。
が、冷静に考えれば、かりに元店主の訴えてが認められていれば、日本の新聞業界は崩壊する。
「押し紙」が普遍的な問題であるからだ。日本は大混乱に陥る。癌が完全に切除され、公権力から独立したジャーナリズムが台頭する土壌が生まれるわけだから、「日本革命」の前兆になりかねない。
意外に認識されていないが、新聞・テレビは、公権力を維持するための世論誘導装置にほかならない。戦前からそうだった。戦後、「民主主義」の仮面をかぶった変革が起きたような錯覚が広がったが、実は何も変わっていないのだ。
「民は愚かに保て」の原理が、ちゃんと生きているのだ。ジャーナリズムの問題は、やはりジャーナリズムで決着をつける必要がある。司法だけが戦いの土俵ではない。
日本新聞協会の新聞人は冒頭の写真が物語る「押し紙」の事実をどう説明するのだろうか?
メディア黒書に掲載した好評だった記事「2022年」、「押し紙」、ワクチンの闇接種、NED、横浜副流煙裁判・・・
2022年は、メディア黒書の更新回数が例年に比べて大幅に減った。その中から特に好評だったものや、自薦の記事を紹介する。
このうち、『桜十字グループが東京・渋谷区の美容外科でコロナワクチン「接待」、元スタッフらが内部告発』は、マイニュースジャパンで最初に取り上げた。桜十字グループが菅首相とワクチン会談を重ねた後、関連する美容外科で外国の要人などにコロナワクチンの闇接種を行った事実をスクープした記事である。
また、「海外・国際」の3本の記事は、日本のマスコミとは異なった視点から、世界の動きを解析したものである。
さらに『横浜副流煙裁判、ついに書類送検!!分煙は大いに結構!!だけどやりすぎ「嫌煙運動」は逆効果!!』は、2月に出版した『禁煙ファシズム』(鹿砦社)について須田慎一郎氏から受けたインタビュー(ユーチューブ)である。
2022年10月度のABC部数、朝日新聞は年間で61万部の減部数、読売新聞は47万部、公取委や裁判所が「押し紙」を放置する理由
2022年10月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞はこの1年間で約61万部の減部数となった。また、読売新聞は約47万部の減部数となった。
産経新聞は100万部の大台を切った。各中央紙の詳細は次の通りである。
朝日新聞:3,961,962(-609,548)
毎日新聞:1,845,772(-133,140)
読売新聞:6,567,738(-470,330)
日経新聞:1,673,118(-179,936)
産経新聞:990,743(-70,533)
「押し紙」の経理処理は粉飾決算ではないか?、年間で1000億円規模、背景に税務関係者の天下りも
「押し紙」の経理処理が粉飾決算に該当するのではないかという指摘はかなり以前からあった。実際には販売していない「押し紙」が生む利益を、新聞社の収入として計上し、収入規模を大きく見せているのだから、常識的に考えれば粉飾決算ということになるだろう。
もう20年ぐらい前になるが、この点に関して「押し紙」裁判の原告だった販売店主に質問したところ、トラブルになった時は、●●さん(税務署の関係者)と話せば適切に処理してくれると発行本社から指示されていると説明した。そういえば税務関係者の天下りを受け入れている新聞社もある。
当時、「押し紙」問題に取り組んでいた沢田治さんも、この点に疑問を呈していた。
公正取引委員会にインタビュー「押し紙」黙認の姿勢が鮮明に ──「問題になっているのに、なぜ黙認するのか」 背景に政治力?
全国の新聞(朝刊単独)の「押し紙」率が20%(518万部、2021年度)で、卸価格が1500円(月間)として、「押し紙」による販売店の損害を試算すると、年間で約932億円になる。「朝夕セット版」を加えると被害はさらに増える。
これに対して、旧統一教会による高額献金と霊感商法による被害額は、昨年までの35年間で総額1237億円(全国霊感商法対策弁護士連絡会」)である。両者の数字を比べると「押し紙」による被害の深刻さがうかがい知れる。
しかし、公正取引委員会は、これだけ莫大な黒い金が動いていても、対策に乗り出さない。黙認を続けている。司法もメスを入れない。独禁法違反や公序良俗違反、それに折込広告の詐欺で介入する余地はあるはずだが黙認している。
わたしは、その背後に大きな政治力が働いていると推測している。
次の会話録は、2020年11月に、わたしが公正取引員会に対して行った電話インタビューのうち、「押し紙」に関する部分である。結論を先に言えば、公取委は、「押し紙」については明確な回答を避けた。情報を開示しない姿勢が明らかになった。
個人情報が含まれる情報の非開示はいたしかたないとしても、「押し紙」に関する調査をしたことがあるか否か、といった「YES」「NO」形式の質問にさえ答えなかった。
以下、公取委との会話録とその意訳を紹介しよう。「押し紙」を取り締まらない理由、日経新聞店主の焼身自殺、佐賀新聞の「押し紙」裁判などにいついて尋ねた。
携帯基地局のマイクロ波と「妄想」、隣人2人に同じ症状、
新世代公害とは、化学物質による人体影響と、電磁波による人体影響のことである。この両者が相互に作用して複合汚染を引き起こす。
米国のCAS(ケミカル・アブストラクト・サービス)が1日に登録する新しい化学物質の件数は、1万件を超えると言われている。勿論、そのすべてが有害というわけではないが、地球上は化学物質で溢れ、それに電磁波が重なり、生態系へ負の影響をもたらしている。透明な無数の牙が生活空間のいたるところで待ち構えている。
1年ほど前から、わたしは電磁波が人間の神経系統に何らかの影響を及ぼした可能性がある事例を取材している。具体的には「妄想」である。あるいは精神攪乱。2005年から、電磁波問題の取材をはじめた後、稀にこうした事例に遭遇してきた。ただし電磁波以外が「妄想」の原因である可能性もある。わたしは医師ではないので、このあたりのことはよく分からないので、事実を優先するのが基本的な取材の方針だ。
統一教会の「献金」と新聞社の「押し紙」、強制したことは一度もないとするそっくりな論理、両者とも半世紀にわたってトラブルが
旧統一教会が信者から献金を募る行為がクローズアップされ問題になっている。教団の献金制度が始まった時期は知らないが、教祖の文鮮明が、来日して日本の黒幕らと接触したのが1967年で、すでに1970年代には壺やら朝鮮人参を訪問販売している信者が街に繰り出していたから、半世紀ぐらい前から霊感商法や献金が続いてきたのではないか。わたしも教会に誘われたことがある。
参院選挙後の11日に教団が開いた会見を聞いて、わたしが最初に感じたのは、教団の論理は、新聞社が「押し紙」(新聞部数のノルマ)について弁解する際の論理と同質だということである。「押し紙」制度は、統一教会の活動と同様に、少なくとも半世紀は続いている。戦前にも「押し紙」は存在したとする記録もある。
新聞人の言い分は、「押し紙」を強制したことは一度もない、われわれは販売店からの注文部数に応じて新聞を搬入している、ノルマを課したこともないというものだ。従って、現在も日本新聞協会は、「押し紙」は1部もないという公式見解を持っている。販売店で過剰になっている新聞は、すべて「予備紙」であるとする見解である。しかし、残紙は古紙業者の手で大量に回収されており、「予備紙」としての実態はない。
「押し紙」についての新聞人の論理を頭に入れたうえ、献金に関する統一教会の言分を読むと、両者の論理が類似していることが分かる。詭弁の手口に共通性がある。次の箇所である。
最初に教団の論理を紹介し、次に新聞人の論理を紹介しよう。
朝日新聞、年内にも400万部の大台を割り込む可能性、渡辺恒雄氏が「読売1000部」の復活を呼びかけ、2022年5月度のABC部数
2022年5月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞は、年間で約48万部の部数を失った。部数の急落傾向にまったく歯止めがかかっていない。年内に400万部の大台を割り込む可能性がある。
読売新聞も年間で約31万部を減らしており、急落の傾向は変わらない。産経新聞は、約18万部を減らした。もともとのABC部数が100万部規模の新聞社であるから、没落の度合いは朝日や読売よりも深刻だ。残紙を整理した結果である可能性もあるが、影響力のないメディアに近づいている。
中央紙のABC部数は次の通りである。
2022年05月03日 (火曜日)
楽天モバイルが「非常時のみ運用する基地局」の計画を住民に打診、大阪市浪速区の高層マンション
携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルが増えている。4月中だけで、わたしのところへ7件の相談があった。すべて楽天モバイルの基地局設置に関する相談である。
相談が増えている背景に、情報の入手源に国境の壁がなくなってきた事情があるようだ。欧州では電磁波被曝は、人体に何らかの悪影響を及ぼすという考え方が主流になっている。実際、携帯電話で使われるマイクロ波の規制値は、日本の1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)に対して、欧州評議会は、0.1μW/c㎡を勧告している。欧州評議会は、日本よりも1万倍厳しく数値を設定しているのである。規制の次元が違うのだ。
ちなにみに日本の規制値は、世界標準をも上回っていて、米国と並んで世界で最もゆるやかな規制になっている。しかも、日本の場合、米国と違って基地局設置を規制する条例がほとんどないので、電話会社の事業が野放しの状態になっている。莫大な利益をあげている。
こうした構図の下で、電話会社による「迷惑行為」が急増しているのである。
横浜副流煙事件の元被告夫妻が、日本禁煙学会・作田学理事長らに対して1,000万円の損害賠償裁判を提起、訴権の濫用に対する「戦後処理」
煙草の副流煙で「受動喫煙症」などに罹患したとして、隣人が隣人に対して約4,500万円を請求した横浜副流煙裁判の「戦後処理」が、新しい段階に入った。前訴で被告として法廷に立たされた藤井将登さんが、前訴は訴権の濫用にあたるとして、3月14日、日本禁煙学会の作田学理事長ら4人に対して約1,000万円の支払いを求める損害賠償裁判を起こしたのだ。前訴に対する「反訴」である。
原告には、将登さんのほかに妻の敦子さんも加わった。敦子さんは、前訴の被告ではないが、喫煙者の疑いをかけられた上に4年間にわたり裁判の対応を強いられた。それに対する請求である。請求額は、10,276,240円(将登さんが679万6,240円万円、敦子さんが330万円、その他、金員)。
被告は、作田理事長のほかに、前訴の原告3人(福田家の夫妻と娘、仮名)である。前訴で福田家の代理人を務めた2人の弁護士は、被告には含まれていない。
原告の敦子さんと代理人の古川健三弁護士、それに支援者らは14日の午後、横浜地裁を訪れ、訴状を提出した。「支援する会」の石岡淑道代表は、
「禁煙ファシズムに対するはじめての損害賠償裁判です。同じ過ちが繰り返されないように、司法の場で責任を追及したい」
と、話している。
◆医師法20条違反、無診察による診断書の交付
この事件は、本ウエブサイトでも取り上げてきたが、概要を説明しておこう。2017年11月、横浜市青葉区の団地に住む藤井将登さんは、横浜地裁から1通の訴状を受け取った。訴状の原告は、同じマンションの斜め上に住む福田家の3人だった。福田家が請求してきた項目は、次の2点だった。
(1)4,518万円の損害賠償
(2)自宅での喫煙の禁止
将登さんは喫煙者だったが喫煙量は、自宅で1日に2、3本の煙草を吸う程度だった。ヘビースモーカーではない。
喫煙場所は、防音構造になった「音楽室」で、煙が外部へ漏れる余地はなかった。空気中に混合した煙草は、空気清浄器のフィルターに吸収されていた。たとえ煙が外部へ漏れていても、風向きや福田家との距離・位置関係から考えて、人的被害を与えるようなものではなかった。(下写真参照)
神奈川県真鶴町の町長選、不祥事(選挙人名簿の持ち出し)で辞任した前町長が当選
起きてはならないことが、起きてしまった。神奈川県真鶴町の町長選で、不祥事により辞任した前町長が再出馬して当選したのだ。開票結果は次の通りである。
当選 松本 一彦:1,493票
宇賀 かずあき: 1,405票
大塚 伸二:807票
森 あつひこ:136票
当選した松本一彦氏は、前町長である。2020年9月に行われた町長選(写真)の前に、選挙管理委員会から不正に選挙人名簿を持ち出し、選挙運動に利用したことが発覚して10月に辞任した。本人もそれを認めて謝罪した。
宮内庁と最高裁事務総局に対する情報公開請求、不透明な金銭、「報告事件」の存在も判明
11月29日付けの「デジタル鹿砦社通信」に宮内庁と最高裁事務総局の問題点を指摘する記事を書いた。タイトルは、「最高裁長官、退官後に宮内庁参与へ、竹崎博允・元長官ら、『勤務実態』は闇の中、最高裁に関する2つの情報公開調査のレポート」である。
この記事の前半の概略は次の通りである。
①最高裁長官を退任した寺田逸郎氏と竹崎博允氏が、宮内庁参与に就任していたことが判明した。
②筆者は、宮内庁に対する情報公開請求を通じて、宮内庁参与には勤務実態がないことを突き止めた。宮内庁との雇用契約そのものがないのだ。
③が、それにもかかわらず宮内庁は宮内庁参与に対して金銭を提供している。記録上は6月と12月の年2回の金銭支払いである。
④その金銭額は公開されなかった。黒塗りになっていた。しかも、支払いを実施したことを裏付ける書面が現時点ではほとんど確認できない。金銭支払の起案日は公開されたが、決裁日と(支払い)施行日は、一部が空白になっている。記録がない。次の表が、起案日、決裁日、施行日の一覧である。
5Gの時代へ、楽天モバイルの通信基地局をめぐる3件のトラブル、懸念されるマイクロ波の使用、体調不良や発癌の原因、軍事兵器にも転用のしろもの
5Gの普及に伴って、通信基地局の設置をめぐるトラブルが急増している。通信に使われるマイクロ波による人体影響を懸念して、基地局の設置・稼働に反対する住民。これに対して、あくまでも基地局を設置・稼働させる方針を貫く電話会社。両者の対立が水面下の社会問題になっている。基地局が稼働した後、自宅からの退去を検討せざるを得なくなった家族もある。これはマスコミが報じない深刻な社会問題にほかならない。
◆沖縄県読谷村のケース、「命どぅ宝」
読谷村は沖縄本土の中部に位置している人口4万人の地区である。村の36%を米軍基地が占める。その読谷村で楽天モバイルと住民の間で紛争がおきている。今年4月、読谷村字高志保にある賃貸マンションの屋上に楽天モバイルが通信基地局を設置する計画を打ち出したところ、マンション住民と近隣住民らが反対運動を立ち上げた。
無線通信に使われるマイクロ波に安全性のリスクがあるからだ。総務省は、自ら定めた電波防護指針(規制値、1990年に制定)の安全性を宣言しているが、海外の動物実験や疫学調査で、マイクロ波に遺伝子に対する毒性などが指摘されるようになっている。またマイクロ波による神経系統などの攪乱が引き起こすと思われる体調不良も問題になっている。
その結果、たとえば欧州評議会は、マイクロ波について、日本の規制値に比べて1万倍も厳しい勧告値を設けている。
読谷村住民の反対の声を受けて楽天は一旦、計画を延期したが、10月の終わりになって、工事の再開を告知した。そして11月8日に、抗議に集まった住民たちの声を押し切って工事に着手したのである。【続きは「デジタル鹿砦社通信」】
楽天モバイル、11月13日から工事を断行、和歌山県の基地局問題、住民の健康リスクよりも自社のビジネスを優先、懸念される電磁波の遺伝子毒性
楽天モバイルが矢継ぎ早に通信基地局の設置を進めている。10月27日付けの本ウエブサイトの記事で、「電磁波からいのちを守る全国ネット」が楽天に対して工事を延期するように申し入れた(和歌山件の例)こをと伝えた。楽天はそれに従ったが、その後、新しい動きにでた。
【参考記事】楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が年間で約70件、楽天、「弊社としては総務省の電波防護指針に従って法令遵守で設置しております」
11月5日、楽天サイドの担当員が、基地局設置に抵抗している鈴木さん(仮名)の自宅を訪問した。鈴木さんは、この案件は「全国ネット」に一任していることを理由に、面談に応じなかった。そすると担当員は、「工事のお知らせ」と題するチラシを投函して帰っていった。また、鈴木さんへの私信も添えていた。
「工事のお知らせ」は、文字どおり工事日程を通告したものだった。それによると11月13日から11月20日の予定である。楽天は、いよいよ自社のビジネスを進めるために、鈴木さんの近隣にもマイクロ波を24時間、365日、放射する基地局を所有するのである。
電波防護指針は、5Gの場合、1000マイクロワット・パー・センチメートルである。(欧州評議会の勧告値は、その1万分の1にあたる0.1)楽天のスマホを使っていない鈴木さんには、迷惑な話である。
楽天は、鈴木さんへの私信で、工事を再開することになった事情を次のように説明している。
コロナワクチンは本当に安全なのか、スパイクたんぱく質が血管障害の原因、米国ソーク研究所が発表
日本のメディアが、コロナワクチンを接種した人が死亡した事例を時々報じるようになった。たとえば5月26日付けNHKニュースは、「ワクチン接種601万人余 85人死亡 “重大な懸念認められず”」と題するニュースを配信している。その一部を引用してみよう。
厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた人のうち、これまでに85人の死亡を確認したと公表しました。厚生労働省は現時点で重大な懸念は認められないとして引き続き接種を進めていくことにしています。
厚生労働省は26日に開いた専門家部会で、今月21日までにファイザーのワクチンの接種を受けた601万6200人余りのうち25歳から102歳の男女85人の死亡を確認したことを報告しました。
厚生省がこのようなデータを公表した背景に、将来的に同種の事故が広がった場合、事前に警告したというアリバイを残したいという思惑がある可能性が高い。この数字がどこまで信用できるのか、権力構造の歯車である官庁・政界・新聞・テレビの信用度からすれば鵜呑みにはできない。米国では、ワクチン接種後の死者が数千人に達しているとの情報もある。
楽天モバイルは回答せず、「電磁波からいのちを守る全国ネット」の公開質問状
昨年(2020)年の12月3日、「電磁波からいのちを守る全国ネット」は、楽天モバイルに対して、4項目からなる公開質問状を送付した。しかし、1ヶ月が経過した今年の1月4日の時点で、楽天からはなんの回答もない。回答期限は12月18日だったので、その後、「全国ネット」は回答を催促したがやはり回答はなかった。
4項目の質問は次の通りである。
2019年10月07日 (月曜日)
危険きわまりない5G・第5世代移動通信、停止を求める国際アピールも
■がうす通信(154号2018/12/14)
日本でも5G・第5世代移動通信の運用が始まろうとしている。NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルネットワークの4事業者は2019年には「プレサービス」を開始する方針を示している。2020年には本格運用を開始するという。
5Gとは、事業者が「超高速」「大容量」「低遅延」「多接続」「高信頼」などの特長を、AI、IoT、自動走行車、ロボットなどをつないで実用化することで「日常生活をさらに便利にする」とうたい、新しいビジネスに利用しようというもの。
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5Gは、6GHz以下と、6GHzを超えた帯域を使って、新しい無線通信方式を導入、新たな装備の基地局で端末に近い場所で処理し、遅延を減らすことを目的にしている。9GHzや28GHzといった高い周波数も使われる予定になっている。
これで急増し続ける通信の送信量に対応し、IoTなどの普及にも備え無線周波数帯の確保が目指されている。しかし「5Gの技術は短距離でのみ有効で、個体を通過するのが難しい」というもの。そのため「市街地では10〜12軒ごとにアンテナを建てることになり、強制的な被曝を大規模に増やすことになる。
また、通信スピードが高速化される代わりに、高い周波数帯を用いる予定であるため、電波の直進性が高まることから、携帯電話基地局の影では電波が届きにくくなり、多数の携帯電話小型基地局(マイクロセル)を数10メートル単位で設置する必要がある。携帯電話端末の消費電力が増える事が予想される。
佐賀新聞の「押し紙」裁判、原告・寺崎氏が販売局員のハラスメントを克明に綴った陳述書を提出
佐賀新聞の元販売店主・寺崎昭博氏が起こした「押し紙」裁判で、去る7月1日に同社の販売局の実態を克明に綴った寺崎氏の陳述書が提出された。陳述書は、原稿用紙に換算すると60枚をこえる分量で、寺崎氏が販売店主になった経緯から、「押し紙」により廃業に追い込まれるまでの経緯を書いている。ABC部数をかさあげする手口にも言及している。
この裁判は2016年6月に寺崎氏が起こしたものである。請求額は8186万円。最初、寺崎氏が江上武幸弁護士に相談し、「押し紙」弁護団が結成され、提訴に至った。
地方紙を舞台とした「押し紙」裁判ということもあって、あまり話題になっていないが、裁判の中で新聞社販売局の前近代的な体質が浮き彫りになっている。
次に引用する陳述書のくだりは、寺崎氏が販売局員から、「押し紙」を買い取らなければ、商契約を終了すると脅される場面である。
「押し紙」問題を取材してきた本当の理由、M君暴行事件との接点、隠ぺいという深刻な社会病理
なぜ、「押し紙」問題を取材してきたのかとよく質問されることがある。「一旦着手したテーマで、まだ解決していないからだ」と答えるのが常だったが、正直なところわたし自身よく分かっていなかった。心の深層を探っていくと釈然としないものがあった。正義感ではない。もっと刺激が強い何かを感じてはいたが、具体的な像はかすんで見えなかった。
ところが11月1日に、国会議員会館で小坪慎也(行橋市議)氏らと開催した「押し紙」学習会で、自民党の木原稔議員が、「押し紙」と折込広告の水増し請求を指して明らかな「詐欺」だと断言されたとき、何かに打たれように、「押し紙」問題を取材してきた理由が分かった。漠然とした思考が具体的な輪郭を現したのだ。
佐賀県全域における西日本新聞の「押し紙」率は17%、2009年の内部資料
最初に広域における「押し紙」の実態が表沙汰になったのは、2005年の毎日新聞社のケースである。社長室からもれた内部資料を『FLASH』などがスクープした。毎日新聞の全国における「押し紙」の実態が暴露されたのだ。それによると2002年10月段階で「押し紙」率は36%だった。
2016年には、北九州の地方紙(厳密にはブロック紙)である西日本新聞の佐賀県全域における「押し紙」の実態が明らかになった。この資料(2009年8月度)については、まだ認知度が低いので、再度紹介しておこう。
「しばき隊事件」の大阪地裁判決を検証する、神原元弁護士は何を根拠に「原告のストーリーは全て否定された」とコメントしたのか? 暴行現場の録音記録との著しいギャップ
2014年に起きた「カウンター」、あるいは「しばき隊」と称するグループのメンバーが、大学院生のMさんに暴言と暴力で襲いかかり、ひん死の重症を負わせた事件で、司法判断が下った。この事件では、刑事処分のあと、Mさんが損害賠償を求めた民事訴訟が行われている。その第1審の判決が19日に下されたのだ。大阪地裁が下した判決の概要は次の通りである。
(1)被告エル金および被告伊藤大介は原告に対し、79万9,740円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。
(2)被告凡は、原告に対し、1万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。
(3)原告の被告エル金に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。
(4)原告の被告凡に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。
(5)原告の被告伊藤に対するその余の請求をいずれも棄却する。
(6)原告の李信恵及び松本英一に対する請求をいずれも棄却する。
(7)被告伊藤及び松本の反訴をいずれも棄却する。
(8)訴訟費用は、被告エル金に生じた費用の11分の4及び原告に生じた費用47分の1を被告エル金の負担とし、被告凡に生じた費用の220分の1と原告に生じた費用の188分の1を被告凡の負担とし、被告松本に生じた費用の5分の3と原告に生じた費用の188分の33を被告松本の負担とし、被告伊藤に生じた費用の188分の53を被告伊藤の負担とし、その余を原告の負担とする。
(9)この判決は第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。
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