2026年09月21日 (月曜日)
スロバキアのフィツォ首相、「偽旗作戦」(ポーランドで?)によって自国をロシアとの戦争に巻き込ませるつもりはない

(Slovakia’s Fico Won’t Let A False Flag (In Poland?) Drag His Country Into War With Russia)スロバキアのフィツォ首相は、NATOとロシアの直接衝突への懸念を示し、自国を戦争に巻き込ませない姿勢を強調した。記事は、NATO条約第5条が加盟国に軍事力の行使を一律に義務づけていない点を指摘。そのうえで、ポーランドなどで起きたドローンやミサイルをめぐる事件を取り上げ、ロシアとの軍事的緊張を意図的に高める「偽旗作戦」が行われる可能性があるとの見方を示している。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
NATO条約第5条は、同盟国を支援するために必ず軍事力を行使しなければならないと定めているわけではない。ましてや、ポーランドのリベラル派が望んでいるように見える、偽旗作戦(あるいは本当の事故でさえ)を利用するために作られた条項では決してない。
2026年09月15日 (火曜日)
なぜロシアは西側諸機関との協定を破棄しないのか?

(Why Won’t Russia Sever Its Agreements With Western Organizations?)ロシアは西側主導の秩序に挑戦しているものの、西側との全面的な断絶を目指す「革命国家」ではない。西側諸機関との協定を維持し、将来の関係再構築や内部からの改革も視野に入れつつ、BRICSなどを通じて段階的に多極化を進めることが、その大戦略だと筆者は論じる。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
ロシアが目指している世界秩序とは、西側と軍事・政治面で対等な立場に立ったうえで、BRICSを通じて西側の経済的覇権を平和的に切り崩し、徐々に多極化した世界へと移行していくものである。
2026年09月09日 (水曜日)
ロシアが新設した「1945年の対日戦勝記念碑」が象徴する、日露対立の再燃

(Russia’s New Monument To Its 1945 War Against Japan Symbolizes Their Newly Revived Rivalry)ロシアがハバロフスクに1945年の対日戦勝を記念する巨大なモニュメントを建設した。筆者は、プーチン大統領の択捉島訪問とあわせ、日露間の歴史的対立が再び強まりつつある象徴だと分析。その背景には、米国のアジア太平洋戦略や日本の軍事的役割の拡大があると指摘している。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
この状況を招いた責任はロシアではなく、米国にある。米国は、事実上その保護下にある日本が、1956年の日ソ間の妥協案に基づいて南千島列島をめぐる問題を解決することを認めなかったからだ。この妥協案では、色丹島と歯舞群島を日本側に引き渡すことになっていた。
2026年09月08日 (火曜日)
なぜ中国はウクライナへのドローン関連製品の販売を止めないのか?

(Why Won’t China Cut Ukraine Off From Drone-Related Sales?)ウクライナのドローン生産は、今なお中国製部品への依存が大きい。なぜ中国はロシアとの緊密な関係を維持しながら、ウクライナへの関連製品の流通を止めないのか。筆者は、戦争の長期化によって中国が得る地政学的・経済的利益と、双方を支える「積極的中立」という戦略から読み解く
執筆者:アンドリュー・コリブコ
ウクライナ紛争が延々と続けば、アメリカが計画している「(再び)東アジアへ軸足を移す」戦略の本格的な実施も、それだけ先送りされる。また、ロシアが豊富な天然資源を中国に格安で売る状況につながる可能性もある。そして中国は、いわば「積極的中立」という立場を維持することができる
2026年09月07日 (月曜日)
ロシアのアジア問題第一人者、プーチン大統領の択捉島訪問を建設的に批判

(Russia’s Top Expert On Asia Constructively Critiqued Putin’s Trip To Iturup)プーチン大統領の択捉島訪問をめぐり、ロシアのアジア専門家トロラヤ氏は、日米との緊張を高め、ロシアの外交的選択肢を狭める可能性を指摘した。背景には、米英豪の安全保障枠組みAUKUSと日本などの協力拡大があり、米日韓と露中朝という二つの陣営への分断が進む可能性がある。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
ロシア国内で、ロシアの外交政策に対する建設的な批判が表に出ることは極めて珍しい。ましてや、その分野の第一人者であるトロラヤ氏のような専門家から批判が出ることは、なおさらである。
ゲオルギー・トロラヤ氏を「ロシアを代表するアジア問題の専門家」と呼んでも、決して大げさではない。同氏は数々の肩書や実績を持ち、その一つが、ロシア科学アカデミー経済研究所の「アジアにおけるロシア戦略センター」所長である。
2026年09月03日 (木曜日)
ライプツィヒ事件には「偽旗作戦」の特徴がそろっている

(The Leipzig Incident Has All The Hallmarks Of A False Flag)
ドイツ・ライプツィヒで、ウクライナの貨物機付近から爆発物を積んだドローンなどが相次いで発見され、ドイツ側はロシアの関与を指摘した。しかしプーチン大統領はこれを「偽旗作戦」だと反論している。本稿では、事件をめぐる不自然な点や過去の類似事例、ドイツの急速な再軍備という背景を踏まえ、この事件が戦時体制への移行や今後の対ロシア政策のエスカレーションを正当化するために利用されている可能性を考察する。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
この事件は、ドイツ経済を戦時体制へ移行させることを正当化し、それによって生じる問題から国民の目をそらし、さらに将来ロシアに対して大規模なエスカレーション(対立の激化)に踏み切ることを正当化するために行われたものだ、というのが私の見方である。
2026年08月26日 (水曜日)
シコルスキ氏の「欧州軍団」構想は、ポーランドがウクライナに「平和維持部隊」を派遣するための手段なのか?

アジア版NATO構想と並行して、欧州では「欧州軍団」構想がある。これは、NATOに代わる新たな軍事同盟をつくるものではなく、欧州が自らの防衛をより多く担うことで、NATOの「欧州の柱」を強化しようとする動きと位置づけられる。執筆者のコリブコは、この枠組みが将来的にポーランド軍のウクライナ派遣に利用される可能性を指摘する。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
保守派のカロル・ナヴロツキ大統領は、ポーランド軍の最高司令官であり、軍をめぐる大きな権限を持つ。ところが、与党のリベラル連立政権が「欧州軍団」の枠組みを使って一部のポーランド軍の部隊をEUの指揮下に移した場合、話は別だ。そうなれば、その部隊のウクライナ派遣をナヴロツキ大統領が阻止できるのかどうかは、はっきりしない。
2026年08月21日 (金曜日)
駐ロシア中国大使、日本に不穏な警告を発する

中国とロシアが、日本の急速な軍事大国化への警戒を強めている。駐ロシア中国大使は、日本の「再軍備」が地域の平和を脅かしていると主張し、ロシア側も同様の懸念を示している。筆者は、日米同盟を背景に日本と中露の対立が軍事衝突へ発展すれば、北東アジアが第三次世界大戦の発火点になりかねないと警告する。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
もし「日本問題」(ほかに適切な呼び方がないので、こう呼ぶことにする)が近いうちに平和的に解決されなければ、北東アジアで第三次世界大戦が勃発する危険性は急激に高まるだろう。
駐ロシア中国大使の張漢暉(ジャン・ハンフイ)は、東京裁判(極東国際軍事裁判)から80年を迎えるのに合わせ、ロシア国営通信社TASSに時宜を得た論考を寄稿した。東京裁判は、いわば日本版のニュルンベルク裁判だが、西側諸国ではそのことを知らない人も多い。
張大使はまず、日本がカイロ宣言、ポツダム宣言、そして日本の降伏文書に反する形で再軍備を進めているとして、いくつかの事実を挙げた。その例として、各種ミサイルや海軍力の強化、武器輸出、そして日本の「2026年版防衛白書」を取り上げている。
これに関連して張大使は、次のように書いている。
2026年08月18日 (火曜日)
現実的に修正した「1956年妥協案」なら、北方領土問題を早期に解決できる可能性がある

ロシアと日本の間で長年の懸案となっている北方領土問題。本稿は、1956年の日ソ共同宣言を土台に、歯舞群島と色丹島の日本への引き渡しと引き換えに、国後・択捉への領有権主張を取り下げる「修正版妥協案」を提唱する。さらにロシア極東の資源開発や日露経済協力を組み合わせることで、両国の対中・対米依存をそれぞれ抑え、地域の安定と日本経済の再活性化につなげられると論じている。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
この記事で提案する、1956年の妥協案を現実に即して修正した案は、ロシアと日本双方の利益にかなうものであり、おそらく米国の利益にもなる。ただし実現には、まずロシア側が非公式にこの案を持ちかけ、最初の一歩を踏み出す必要がある。
2026年08月17日 (月曜日)
プーチン大統領、悪化する日露関係を嘆く

ロシアのプーチン大統領は8月中旬、太平洋艦隊の司令官らとの会合で、近年の日露関係の悪化に懸念を示した。記事は、日本が米国などとの安全保障協力や軍備強化を進め、北東アジアにおける対ロシア包囲網の中心的役割を担いつつあると分析。これに対しロシアも太平洋方面の戦力を増強し、中国や北朝鮮との連携を深める可能性があると指摘している。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
米国がこの1年間にロシアの周囲に築いてきた「封じ込めの包囲網(cordon sanitaire)」の北東アジア方面を日本が主導するようになるにつれ、日露間の緊張がさらに高まることは避けられないかも知れない。
プーチン大統領は8月中旬、ロシア太平洋艦隊の司令官らとの会合で、日露関係について語った。プーチン氏は、ここ数年で両国関係が悪化したことを嘆き、その原因となるような行動をロシア側はまったく取っていないと主張した。そして、現在では「日本が最新の防衛関連文書で、初めてロシアを主要な脅威の一つに位置づけるまでになった」と述べた。
2026年08月16日 (日曜日)
米国は「AUKUS+」を通じて、アジアで「NATO 3.0」構想を実行しつつある

米国は、中国への抑止力を強化するため、日本やフィリピンなどの同盟国に、これまで以上に大きな防衛上の役割を担わせようとしている。この記事では、米国が欧州でロシアに対して構築してきた安全保障の仕組みをアジアにも応用し、AUKUSや既存の同盟関係を結びつけた「AUKUS+」とも呼べるネットワークを形成しつつあると分析する。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
米国は、ロシアに対して用いてきた地域的な封じ込めモデルを、中国に対しても再現しようとしている。
米国のエルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)は8月上旬、東南アジア歴訪の最初の訪問地であるマニラで、重要な演説を行った。この演説は、米国が「NATO 3.0」という考え方をアジア地域に持ち込むことを事実上表明したものだといえる。
【黒薮注】NATO 3.0:ここではNATOの変遷を意味して、NATO 1.0は冷戦期、NATO 2.0は冷戦後、そしてNATO 3.0は、米国だけに負担を集中させず、ポーランド、日本、フィリピンなどの「前線国家」により大きな防衛負担を担わせ、米軍と一体化した地域的な抑止網をつくる段階。
2026年08月15日 (土曜日)
ロシア高官が言及した「日本がロシアにもたらす脅威」の高まり

ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官が、日本の安全保障政策に対する警戒感を強めている。米国の短・中距離ミサイルシステム「タイフォン」の日本への一時配備や、ウクライナとのドローン技術協力が進めば、千島列島やサハリン、太平洋艦隊司令部のあるウラジオストクが脅威にさらされる可能性があるとの見方だ。こうした動きは、ロシアと中国、北朝鮮の軍事・安全保障協力を加速させる可能性もある。一方で、日露関係改善の余地も残されている。日本をめぐる北東アジアの新たな安全保障構図と、その行方を左右する米国の思惑について、政治アナリストアンドリュー・コリブコが解析する。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
日本が米国の短・中距離ミサイルシステム「タイフォン」を一時的に配備していることに加え、ウクライナの最新鋭ドローン技術に関心を示していることは、千島列島(クリル諸島)、ウラジオストクにあるロシア太平洋艦隊司令部、そしてエネルギー資源が豊富なサハリンにとって、大きな脅威になり得る。
