1. ロシアが新設した「1945年の対日戦勝記念碑」が象徴する、日露対立の再燃

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2026年09月09日 (水曜日)

ロシアが新設した「1945年の対日戦勝記念碑」が象徴する、日露対立の再燃

(Russia’s New Monument To Its 1945 War Against Japan Symbolizes Their Newly Revived Rivalry)ロシアがハバロフスクに1945年の対日戦勝を記念する巨大なモニュメントを建設した。筆者は、プーチン大統領の択捉島訪問とあわせ、日露間の歴史的対立が再び強まりつつある象徴だと分析。その背景には、米国のアジア太平洋戦略や日本の軍事的役割の拡大があると指摘している。

 

執筆者:アンドリュー・コリブコ

この状況を招いた責任はロシアではなく、米国にある。米国は、事実上その保護下にある日本が、1956年の日ソ間の妥協案に基づいて南千島列島をめぐる問題を解決することを認めなかったからだ。この妥協案では、色丹島と歯舞群島を日本側に引き渡すことになっていた。

日本の高市早苗首相は、ロシアが新たに建設した「1945年の対日戦勝」を記念するモニュメントについて不満を表明した。

アイルランド人ジャーナリストのブライアン・マクドナルドは、ハバロフスクのアムール川を見下ろす目立つ場所に建てられたこの記念碑について、「その大きさと、どれほど目立つ場所にあるのかが分かるように」と映像を公開した。

さらに、次のように伝えている。

「地元当局から『イワン』と名付けられた兵士像は、日本の皇室の権威を象徴する菊の紋章が付いた国境標識を打ち壊す姿で表現されている。当局はこれを『対日戦勝を記念するロシア最大のモニュメント』と説明している」

この問題のより大きな背景には、プーチン大統領による択捉島訪問がある。択捉島は現在ロシアが実効支配しているが、日本が自国領として主張している4島の一つであり、プーチン氏の訪問は日本側の強い反発を招いた。

ロシアを代表するアジア専門家の一人、ゲオルギー・トロラヤは最近の記事で、プーチン氏の択捉島訪問をきっかけに事態が急速に動き、ロシアの安全保障を複雑にする可能性があると指摘した。

しかしわたしは以前の記事で、プーチン氏はそうした事態はいずれ避けられなくなるので、この点を見越して先手を打ったのではないか、と論じた。今回の記念碑の公開を考えれば、この見方には筋が通っている。

そもそも、大規模な記念碑は短期間で建設できるものではない。そのためプーチン氏は、択捉島を訪問する以前から、ロシアを取り囲む新たな「防疫線(cordon sanitaire)」のうち、北東アジア方面に国民の関心を向けることを計画していたと推測できる。

これら一連の動きは、ロシアが、米国の支援を受けた日本による対露封じ込めの動きを認識していることを示している。

だからこそプーチン氏は、択捉島に対するロシアの主権を改めて強調した。そして今回の新しい記念碑も、ロシア国民に日本との歴史的な対立を思い起こさせる効果を持つことになる。

歴史を忘却している人のために振り返ると、日露の競争は19世紀末に始まった。ロシアが北東アジアへ勢力を拡大し、中国の満州地域や朝鮮半島への影響力を強めたためである。日本は1894~1895年の日清戦争で、朝鮮半島をめぐって中国と戦っていた。

その約10年後に起きた日露戦争では、アジアの国がヨーロッパの大国を初めて破った。その後、日本は朝鮮を併合し、やがて満州に傀儡国家を建国することになる。

そして1945年8月、ロシア(当時のソ連)は日本に対して「雪辱を果たした」。ヤルタ会談での合意に基づき、ソ連は「満州戦略攻勢作戦」を開始した。この攻勢によって、日本軍は満州、朝鮮半島北部、樺太南部、そして千島列島から急速に排除された。

今回建設された記念碑が記念しているのは、この戦いである。

ロシア政府は、この歴史を国民に改めて思い出させることで、日本との歴史的な対立関係が再び強まることを国民が受け入れやすくなるよう、徐々に意識を整えようとしている。わたしは、この対立関係が今後、長期間にわたって日露関係を特徴づけることになると予想している。

わたしは、こうした状況を招いた責任はロシアではなく、米国にあると思う。米国は、事実上その保護下にある日本が、1956年の日ソ間の妥協案に従って南千島列島をめぐる領土問題を解決することを認めなかった、というのがわたしの主張だ。

1956年の妥協案では、色丹島と歯舞群島を日本側の管理下に戻すことになっていた。その結果、領土問題はその後およそ70年間にわたって未解決のまま残された。そしてこの問題は、日本の地政学的な国家意識の重要な一部となり、多くの日本国民にとって感情に強く訴える問題にもなった。わたしは、現在、米国がこの問題を利用していると主張している。

日本には、米国が構想する「AUKUS+」――つまり、アジア太平洋地域にNATOのような軍事ネットワークを構築する構想――を主導する役割が与えられている。

【黒薮注】AUKUS+:「AUKUS+」とは、米英豪3カ国の安全保障枠組みとして、それを日本、韓国、カナダ、ニュージーランドなど他の同盟・友好国との協力へ広げていく構想。インド太平洋における、より広い軍事・技術協力ネットワークの構想。日本政府にとって、憲法9条がこの構想の障害になっている可能性が高い。

その最大の目的は中国を封じ込めることだが、日本が再軍備を進め、ロシアにとってより大きな脅威となるにつれて、ロシアを取り囲む「防疫線」の北東アジア方面も強化されることになる。

したがって、プーチン氏が択捉島に対するロシアの主権を改めて強調することも、ロシア政府が国民に対して、日本との歴史的な対立関係が再び強まることを徐々に受け入れさせようとすることも、十分に理にかなった対応なのである。

 

筆者紹介:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』

Source:https://korybko.substack.com/p/russias-new-monument-to-its-1945?utm_campaign=post&utm_medium=web