2017年06月08日 (木曜日)

加計事件にゆれる文科省、ウエブサイト制作費として博報堂へ2年で約4000万円、請求書にも重大疑惑

加計学園の事件を機として関心を集めているのが内閣府と文部科学省の実態である。これら2つの腐敗した組織は、はからずも広告代理店・博報堂との取り引きにおいても不透明な実態が明らかになっている。

このうち内閣府については、既報したようにインボイスナンバーを外して会計監査・システム監査を回避した疑惑がある。総額64億円の請求書の存在が明らかになり、メディアもある程度まで報じた。これに対して文部科学省の実態はあまり知られていない。日本の教育の司令塔であるこの組織の不透明な実態を紹介しよう。

結論を先に言えば、たとえば文部科学省が2015年度に博報堂に発注した「日本人の海外留学促進事業」の実態である。たった9ページのウエブサイト制作費として、文部科学省は博報堂に対して2100万円もの資金を支払っていた。

さらに2014年度にも、同じプロジェクトで、1500万円のウエブサイトを博報堂へ、170万円のウエブサイトを博報堂プロダクツへ、それに110万円のウエブサイトを(株)パズルに発注した。

文部科学省が2年間で支出したウエブサイトの制作費は、3880万円にもなる。通常、ウエブサイトは、少なくとも5年ぐらいは使えるはずだが、発注を繰り返しているのだ。それに制作費も異常な高額だ。法人用の価格でも300万円ぐらいが限度である。

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2017年06月07日 (水曜日)

疑惑だらけの内閣府から博報堂ルートで4年間に64億円の新聞広告、本日発売の『紙の爆弾』

本日(7日)発売の『紙の爆弾』に筆者(黒薮)が寄稿している。タイトルは「首相広報紙となった新聞、『読売を読め』発言の裏側』。

日本の新聞が相対的に政府広報に近くなる傾向がある背景を、記者個人の私的な問題(職能や意欲)とは別の観点から分析したレポートである。新聞のビジネスモデルそのものの中に客観的な原因があることを指摘している。

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2017年06月07日 (水曜日)

国際ペンが共謀罪反対の声明、海外から高まる批判の声

国際的な作家・ジャーナリストの組織である「国際ペン」が、共謀罪に反対する声明を出した。

国際ペンは1921年に設立され、日本ペンクラブも加盟している。

安倍政権が成立を狙っている共謀罪法案は、海外からも厳しい批判を受けており、東京オリンピックのボイコットにも発展しかねない。ヒトラーによるベルリン・オリンピックの先例にならい、オリンピックの政治利用が顕著になっている。

さらにオリンピックの選手村用地が東京都から約1200億円の値引きで払い下げられる事件も起きている。まさに政治利用・利権オリンピックに変質しようとしている。

声明の全文は次の通りである。

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2017年06月06日 (火曜日)

国連の「立法ガイド」の執筆者・ニコス・パッサス氏、「(TOC)条約はテロ防止を目的としたものではない」、東京新聞が伝える

安倍内閣が共謀罪法案を成立させる根拠としているのが、TOC条約(国際組織犯罪防止条約)の批准である。オリンピックを前にテロを防止するためには、共謀罪法案の成立が不可欠だとしている。

ところが東京新聞が、国連の「立法ガイド」の執筆者である刑事司法学者・ニコス・パッサス氏(58)にこの点についてインタビューしたところ、「(TOC)条約はテロ防止を目的としたものではない」と明言したという。

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2017年06月05日 (月曜日)

環境省と文部科学省が国家予算を使ってメディア対策、博報堂のレクチャーを受ける、「取材対応演習」に36万円

環境省が国家予算を使って博報堂による「取材対応演習」のレクチャーを受けていたことが、情報公開請求で入手した資料で分かった。実施は2016年度。定員は30名。演習料は、36万円だった。推定になるが博報堂の講師の時給は18万円程度。

「取材対応演習」というのは、メディア対策のひとつである。最近、官僚たちが都合の悪い質問に対して、決まり文句のように、「回答しません」と返答するようになっているが、これもメディア対策のテクニックのひとつである。

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2017年06月05日 (月曜日)

東京オリンピックの政治利用、共謀罪法案の何が最も問題なのか?

共謀罪法案の成立が秒読みの段階に入っている。なぜ、これが危険な法案なのか、筆者なりに指摘してみよう。

内心の自由を侵害するとか、テロ集団の定義があいまいでどうにでも解釈できるとか、監視社会になるとか、共謀罪に関連してさまざまな問題点が指摘されているが、核心はひとつである。従来の刑法の法理が完全に崩壊することである。その他の問題は、枝葉末節にすぎない。

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2017年06月03日 (土曜日)

森友・加計よりも深刻なオリンピック選手村用地の払い下げ事件、1200億円の割引、報じられない背景は?

森友学園や加計学園の事件は、メディアで盛んに報じられるようになったが、なぜかほとんど報じられていないのが、晴海のオリンピック選手村用地の払い下げ事件である。この事件は、2016年5月に東京都が地価相場の9割引きにあたる129億6千万円で、公有地を払い下げた事件である。

約1200億円の値引きであるから、森友学園や加計学園の比ではない。豊洲問題よりも深刻だ。しかも、オリンピック関連であるから、東京都が払い下げを単独で決めたとは思えない。当然、オリンピックに係わっている人々も調査しなければならない。

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2017年06月02日 (金曜日)

インボイスナンバーを外した博報堂の請求書、環境省は15年度だけで約13億円

博報堂から内閣府や中央省庁へ送付された請求書にインボイスナンバー(書類の番号)がない問題の続報である。今回は、2015年度の環境省と文部科学省のケースを紹介しよう。次に示すのは、請求書と請求金額の一覧である。

■環境省

■文部科学省

なお、インボイスナンバーを外した請求書により、どのような不正が可能になるのかについては、次の説明を参照にしてほしい。

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2017年06月01日 (木曜日)

国際スタンダードからほど遠い安倍内閣の法改正、国連人権高等弁務官事務所などが勧告

国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・カナタチ氏が、18日に共謀罪に懸念を表する書簡を安倍首相に送付したのに続いて、30日には、国連人権高等弁務官事務所のデービッド・ケイ氏が対日調査報告書を発表し、その中で、特定秘密保護法の改正などを勧告した。

 中でも「特定秘密保護法」について、記者の活動が萎縮しないよう法改正を勧告しており、国の安全保障に問題がなく、公共の関心があるとの信念に基づいた情報開示を行う個人に対しては、処罰されない例外規定を含むべきだとしています。また、メディアの独立性を強化するため、政府による介入の法的根拠となる放送法4条の廃止などを勧告しています。(TBS)

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2017年05月31日 (水曜日)

加計学園疑惑や公共広告費の不正経理疑惑など問題が山積する内閣府、肝心の内閣委員会がほどんど開かれていなかったことが判明

加計学園の事件に安倍首相が関与している疑惑が濃厚になっているが、前川喜平前事務次官や安倍晋三の国会招致が行われる気配はない。安倍首相も管官房長官も疑惑そのものを否定している。証人喚問は必要ないという立場を取っている。

異常な国会運営は、実はこれだけではない。問題の鍵を握る内閣府のグレーな実態を明らかにする動きも抑制されているようだ。

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2017年05月31日 (水曜日)

内閣府の政府広報費、2015年度は予算枠を約14億円もオーバー、どこから資金を調達したのか?

内閣府の国内向けの政府広報予算と、実際に広告代理店に支出した額が大きく乖離していることが分かった。

内閣府が公表している「政府広報予算の推移」と題する資料によると、予算額の推移は次のようになっている。

2012年度(H24年):36億円
2013年度(H25年):36億円
2014年度(H26年):47億円
2015年度(H27年):47億円

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2017年05月30日 (火曜日)

陸上自衛隊で8年間に約9億円、インボイスナンバーのない疑惑の請求書、ワープロで作成か?

博報堂が発行した請求書にインボイスナンバー(請求書の管理番号)がないものが、多数あることが発覚している。既報したように内閣府の場合、2012年から2015年までの4年間で約64億円になる。

その他、復興庁、環境省、農林水産省、文部科学省、防衛省でも、同じタイプの請求書が見つかっている。これら5つの「役所」の場合、内閣府ほどの規模ではないが、防衛省の陸上自衛隊のように、2008年から2015年の間に疑惑の請求額が約9億円にもなるケースもある。

詳細を紹介する前に、インボイスナンバーとは何かという点と、インボイスナンバーの不在はどのような疑惑を生むのかに言及してみよう。注:次節の記述は、29日付けメディア黒書からの引用である)

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2017年05月30日 (火曜日)

日本ジャーナリスト会議(JCJ)が「押し紙」問題で黒薮にインタビュー

日本ジャーナリスト会議(JCJ)の機関誌(5月25日付け)に、筆者に対するインタビューが掲載されている。タイトルは、「『押し紙』国会で35年ぶりに議論」。

「押し紙」をめぐる最近の動きについて、質問に答えたものである。経済産業省や公正取引委員会が、凄まじい「押し紙」の実態を知りながら、それを放置することで、メディアコントロールに利用していることなどを説明している。

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