2018年05月29日 (火曜日)

28日に発売されたばかりの本書は、「M君リンチ事件」を追う鹿砦社特別取材班の調査報道の第5弾である。しかし、冒頭にM君の手記を掲載するなど、はじめてこの事件に接する読者に配慮した構成になっている。

3月に判決が出た損害賠償裁判(原告はM君)の判決に対する批判、鹿砦社が李信恵氏を訴えた名誉毀損裁判の背景、さらにはしばき隊を離れていった人々へのインタビューなど、最新の情況を報告しながらも、同時にこれまでの経緯を総括する内容になっている。

この事件は、在日外国人に対するヘイトスピーチなど差別に反対する市民運動に参加していたM君が、集団暴行を受けて、瀕死の重傷を負い、コリアNGOセンターの仲裁が功を奏せず、やむなく加害者に対して損害賠償裁判を起こしたというものである。従って第1審判決は、M君にとっても、支援者にとっても重要な意味を持っている。

判決は、被告5人のうち3人に対して損害賠償を命じたことで、形式的にはM君の勝訴だったが、賠償金額が80万円という極めて低い上に、M君が最も問題にしていた李信恵氏の責任は認定しなかった。その主要な原因は、裁判官による事実認定の方法にあったようだ。木を見て森全体を見ない事実認定が行われたのである。


たとえば、M君が事件現場の店に入ると、李氏がいきなりM君に襲いかかったのだが、その時、李氏がM君の顔面を平手で張ったのか、それとも拳でなぐったのかという点で、M君の証言が一貫していなかったことを理由に、M君の主張は信用できないとしたのである。

この場面で最も大事な検証点は、「急襲」で暴力の空気が生まれなかったかどうかという点なのだが。「平手」か「拳」かは、あまり問題ではない。

判決は次のように認定している。

 被告普鉉が原告を迎えに出て、同月17日午前2時頃、原告及び被告普鉉が本件店舗内に入ったところ、出入口に最も近い席に坐っていた被告信恵が、原告に対して「なんやのお前」などと言いながら、原告に詰め寄り、その胸倉をつかんだ。これに対し、被告普鉉が、直ちに「まあまあまあ、リンダさん、ごめんな。」と言い、被告金も「店やし、店やし。」などと言いながら、被告信恵を制止して、原告から引き離した。

ちなみに神原元弁護士は、筆者の電話取材の中で、胸ぐらを掴む程度は暴力ではないと述べている。また、李信恵氏の体格については、小柄と述べている。他の関係者は、大柄な人だと話しているのだが。

◇一貫した視点を欠いた判決文
この裁判の判決では、暴行を行ったエル金氏と伊藤大介氏に対して共同して79万円の支払いを命じているのだが、伊藤氏は、暴行そのものにはかかわっていない。賠償を命じられた理由は、「幇助」したからである。具体的には、「喧嘩するならすりゃいい」とか、「殴るんだったら殴ればいい」といった言動が幇助と認定されたのである。

この程度の言動を幇助とみなす一方で判決は、M君が店に入った直後の李氏の「急襲」は、暴力ではないとして何の問題にもしていないのである。実は、「急襲」により暴力的な空気が醸し出された可能性が高いのだが、この点の検証は回避して、李氏を免責しているのである。

伊藤氏に対する評価と、李氏に対する評価に一貫した判断基準がないのだ。
つまり判決文の視点に一貫したものがなく、形式そのものが破綻しているのである。とんでもない駄文なのだ。

ちなみに本書では、裁判官の職能の低さを示すエピソードも紹介されている。判決文の中に、人名の誤りがあるのだ。コリアNGOセンター理事の金光敏氏のことを「金敏光」と誤記しているのだ。しかも、同じ誤りが3箇所もある。

◇鹿砦社が李氏を訴えた理由

鹿砦社が李氏を名誉毀損で訴えた裁判については、李氏が反差別運動のリーダー、つまり公人であることに加えて、李氏の言動が出版社の経営にとってダメージを与えるからとしている。松岡社長は、「鹿砦社はなぜ李信恵を訴えたのか」と題する報告の中で、次のように述べている。

鹿砦社の社員で左翼運動に関わっている者は誰一人もいませんが、内ゲバで多数の死者を出した「中核派」や「革マル派」と関係があるかの如くイメージさせる李被告の発言は、社員にも誤解や動揺を与えています。すでに準備書面でも記載されているように、私が四十年以上前の学生時代、主に学費値上げ反対の運動に関わったことは否定しませんが、卒業後は運動から離れています。(略)
 鹿砦社や私が、かつて血で血を洗う内ゲバ殺人を繰り返した「中核派」「革マル派」に関係しているかのような発言は、なんら根拠のないもので営業妨害にさえあたると思います。

◇出版人の良心とは何か

M君リンチ事件は、さまざまな問題を孕んでいる。ツィッターが人間性を破壊していく社会病理、市民運動のあり方、それに連動した野党共闘の問題点、事件をタブー視するマスコミと「知識人」、弁護士倫理、法による言論規制、さらに筆者の個人的な見解になるが、こうした否定的な要素とは逆に、はからずも被害者に寄り添い支援するとはどういうことなのかという問題も提起している。改めていうまでもなく、鹿砦社によるM君の支援のことである。

出版不況の中で、こうした社会派の本を小さな出版社が制作することは容易ではない。お金の儲け方や「お勉強」の方法を紹介する本を出版する方が利益になるのだ。しかし、M君に正義があるので、支援を続けているのだ。

わたしはかつて取材していたラテンアメリカと、日本の諸問題を比較することが多いのだが、鹿砦社のM君支援にキューバを連想した。キューバは決して経済的に豊かな国ではない。今なお経済封鎖に苦しんでいる。鹿砦社も事情は同じだろう。

しかし、それでも正義がある人々に対しては支援を惜しまない。昨年、キューバは半世紀に及んだ内戦が終わったコロンビアから、元戦士の社会復帰を支援するために、1000名の医学生を受け入れることを表明した。戦士達が命をリスクを負ってまで闘い続けてきたからである。敬意の表明にほかならない。しばき隊とは質が異なる。

【参考記事】半世紀を超えたコロンビア内戦が終わる、世界を変える決意とは何か?

内ゲバ事件を曖昧にごまかしていいのか?。それが正常な社会なのか?鹿砦社のM君支援を通じて、出版人の良心とは何かという別の問題も見えてくるのである。

タイトル:真実と暴力の隠蔽
著者鹿砦社特別取材班
出版社:鹿砦社

 

2018年05月28日 (月曜日)

精神科医の香山リカ氏が、(元)しばき隊の「男組」組長の添田充啓氏の死を伝えている。カウンター運動の同志の死と、偲ぶ会を告知したものである。

【訃報】高橋直輝こと添田充啓さん、病気療養中のところ容態が急変し、4月に不帰の人となりました。享年45歳。葬儀は近親者のみで執り行いました。みなさまへのお知らせが遅れましたこと、おわび申し上げます。「偲ぶ会」は下記の通り行われますので、ご縁があった方にお集まりいただきたく存じます。 pic.twitter.com/4zmqrUlCXn

13:00 - 2018年5月26日  ■出典(注:入れ墨の写真が含まれています)

添田氏は、2016年8月25日に、沖縄の高江ヘリパッド建設工事現場で沖縄防衛局職員に暴行を加えて現行犯逮捕された。10月には傷害罪と公務執行妨害罪の容疑で起訴された。判決は、懲役1年6か月、執行猶予5年。

筆者がはじめて添田氏の名前を知ったのは、今年の2月、『反差別と暴力の正体』(鹿砦社)に収録された寺澤有氏のルポルタージュ「合田夏樹強迫事件-有田芳生参議院議員が沈黙する理由」を読んだ時だった。寺澤氏は「男組」と高橋氏について次のように述べている。

「男組」のホームページを訪れると、暴力団員風の入れ墨を誇示するメンバーらの姿が見られる。「組長」の「高橋直輝」こと添田充啓は、かつて暴力団組員だったことを隠していない。二〇一六年二月二十九日、韓国・MBCテレビで男組の関するドキュメンタリーが放映された。添田は、こう打ち明けている。
「暴力で、あいつら(デモ側)ぶっ飛ばしちゃえば、簡単にこんなの終わるだろうと思って、結成したのが男組です。見つけしだい、ぶっ飛ばしてましたね。裏で。警察に捕まってねえこともいっぱいやってます」
 二〇一三年九月と十一月、二〇一四年七月の三回、添田はデモ側に対する暴行容疑などで「男組」メンバーと一緒に逮捕された。

◇不可解なひと月半のブランク

添田氏の死を沖縄タイムスが報じている。それによると、

 添田充啓(そえだ・あつひろ)さんが病気のため東京都内の自宅で死去していたことが(黒薮注:5月)26日、分かった。

と、いう。ところが死亡が確認されたのは、ひと月半前なのだと言う。沖縄タイムスの記事は、次のように続ける。

4月13日に友人が自宅を訪ね、倒れている添田さんを発見。5月26日に葬儀を終え、友人らが公表した。■出典

筆者が不思議に思うのは、なぜ、添田氏の友人たちは、ひと月半も添田氏の死を公表しなかったのかという点である。遺体の発見が4月13日で、葬儀と公表が5月26日なのだ。

香山氏は、ツィッターの中で「みなさまへのお知らせが遅れましたこと、おわび申し上げます」と述べているが、この点を説明すべきだろう。

筆者は、入れ墨をしている人物が市民運動のリーダーをしていることに非常な違和感を感じている。添田氏は、沖縄へは行くべきではなかっただろう。確証はないが、添田氏を沖縄へ送り込んだのは、野党共闘を進めている側の国会議員だという説もある。それが事実であれば、相当、脇があまい議員たちだと言わなければならない。自民党以下かも知れない。

 

2018年05月25日 (金曜日)

『カウンターと暴力の原理』(鹿砦社)など4冊の書籍の販売禁止や550万円の損害賠償などを鹿砦社に求めて、李信恵氏(文筆業)が大阪地裁に提起した「反訴」事件に新しい動きがあった。23日に「反訴」を取り下げ、新たに別の訴訟を起こしたことが分かった。別訴の内容は、現時点では明らかになっていない。

この裁判の発端は、2017年9月に、鹿砦社が李氏に対して、ツイッターなどで名誉を毀損されたとして、300万円と謝罪広告などを求める裁判の提起である。これに対して李氏は、2018年4月に「反訴」していた。今回、この「反訴」を取り下げ、別の裁判を起こした。さらに別訴と、本訴の併合審理を希望している。

【参考記事】鹿砦社通信

4月に李氏が起こした「反訴」では、4冊の書籍の販売禁止を求める請求項目があり、言論・出版活動の自由という観点から、批判の声があがっていた。ひとりの著名な文筆家が、4冊の書籍の販売禁止処分を求め、裁判所に厳しい「罰則」を求めた前例はない。書籍の中で、李氏自身が批判されているとはいえ、書籍の販売禁止は抗議の領域を出ているのではないか、との批判があった。

ちなみに鹿砦社が、名誉毀損とした李氏の表現には、次のようなものがある。

  「クソ鹿砦社の対立を煽る芸風には乗りたくないなあ。あんなクソに、(以下略)」

「鹿砦社って、ほんまよくわかんないけど。社長は元中核派?革マルは?どっち?(中略)クソの代理戦争する気もないし。」

◇ヘイトスピーチ対策法の裏面

公権力による言論活動の規制は、影のように忍び寄っている。皮肉なことに、その引き金となっているのが、差別の廃止を求める市民運動(広義のしばき隊)とヘイトスピーチを繰り返す極右グループの対立である。

ちなみに李信恵氏は、市民運動のリーダー的な存在で、反差別裁判も起こしている。李氏らの運動を受けて、2016年5月24日には、衆議院本会議で、「ヘイトスピーチ対策法」が成立した。

しかし、この法律には、罰則規定がない。心の自由を法律で規制することは不可能であるからだ。ところが最近、「ヘイトスピーチ対策法」に罰則規定を設ける動きとも推測できる動きが浮上している。少なくともそれを正当化する時代の空気が生まれはじめている。

たとえば、神奈川県川崎市に住む在日の女性が、ツイッターで脅迫された事件に、その兆候がみえる。川崎署は女性を脅迫した男性を書類送検した。それを伝える『神奈川新聞』の記事を引用してみよう。

  同署によると、男性は容疑を認めている。男性は「極東のこだま」のアカウント名で、レイシスト(人種差別主義者)を名乗り、崔さんの近所に住んでいるかのように装っていた。ヘイトスピーチ反対運動に取り組む崔さんに対するヘイトスピーチを2016年2月からツイッターで始め、代理人弁護士によると、1年半の間で、ヘイトスピーチの投稿は数百件に上ったという。

  都内で記者会見した崔さんは「長い間、ネットで攻撃され、生きるのを諦めたくなる瞬間もあった」と振り返り、「匿名であっても許されることなく、刑事責任が問われるという社会の正義が示されることを望む」と話した■出典

注目してほしいのは、最後の節、筆者が太字で強調した部分である。差別的な発言に対して、脅迫を理由に罰するのであれば問題ないが、今後、かりに「ヘイトスピーチ対策法」に罰則規定が加えられた場合、言論弾圧に悪用される可能性が極めて高くなる。

川崎の事件でも明らかなように、差別的な発言や暴力は、現行の法律でも十分に取り締まることができるのに、あえて「ヘイトスピーチ対策法」を新設したわけだから、そこに何らかの別の意図があると考えるのが自然だ。

皮肉なことに、この法律の成立の奔走したのが広義のしばき隊と共闘している有田芳生議員である。

言論の内容がどうであれ、そこに反映している人間の心の自由を規制する法律のあり方は慎重に考察する必要があるのだ。

私見を言えば、「釘バット」を凶器として認定する法律を作る方が先である。

 

写真:「釘バット」を持った有田芳生氏

 

2018年05月24日 (木曜日)

奈良地検は、志岐武彦氏と筆者が連名で申し立てていた高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理した。志岐氏が22日に、奈良地検とコンタクトを取って分かった。

この事件は、メディア黒書でも繰り返し報じてきたが、再度概要を説明しておこう。端的にいえば、高市議員によるマネーロンダリングを問題視したのである。同様の事件で森ゆうこ議員も、志岐武彦氏が告発し、地検はそれを受理している。

その悪質極まりない手口を理解するためには、あらかじめまず政治献金の還付金制度に言及しなければならない。

【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

 このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。

 それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。

 「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。

 たとえば議員が1000万円を自分の支部へ寄付して、それに準じた還付金を受けるケースである。この場合、献金が政党支部に1000万円入るほかに、議員個人にも還付金が約300万円入る。政党支部の長を議員が務めるわけだから、「1000万円+300万円」は議員の手持ち資金となる。金を移動させるたけで、金がふくらむのだ。これがマネーロンダリングである。

 税の騙し取り以外のなにものでもない。

◇高市議員のケース、一部は時効

高市議員はこの制度を利用して2012年(平成24年)に、1000万円を自分の支部へ寄付して、約300万円の還付金を受けたのである。

他年度にも同じ手口を使っているが、すでに時効になっており、刑事告発の対象は、2012年度分だけになった。

「高市氏⇄支部」相互寄付・税還付・告発(予定も)の関係一覧

◇所得税法にも抵触

既報しているように、この事件は2017年2月に、最初の刑事告発を奈良地検に対して行った。本来は租税特別措置法違反を理由にするのが妥当だが、この法律には罰則規定がないので、詐欺罪で告発した。

しかし、奈良地検は告発を受理したものの、不起訴と結論づけた。詐欺には該当しないと判断したのである。

その後、議員による自身の支部への寄付と、それに伴う還付金の受領が所得税法にも抵触することが分かった。参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。言葉の相関関係が複雑で、分かりにくい文章だが、「偽って税還付を受けた者は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金を課せられる」とする論旨である。(注:太文字は黒薮)

第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条[非居住者に対する準用]において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条[外国税額控除]の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

【参考記事】

http://www.kokusyo.jp/mori_shiki_saiban/12630/

2018年05月23日 (水曜日)

日本消費者連盟など化学物質による人体影響に警鐘を鳴らしている7つの市民団体が、22日、東京永田町の衆議院第1議員会館で院内集会を開き、「香害」の実態を報告した後、消費者庁、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の4省庁に対策を取るように申し入れた。

集会を共催したのは、日本消費者連盟、化学物質支援センター、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、日本消費者連盟関西グループ、香料自粛を求める会、反農薬東京グループ、VOC研究会の7団体。

◇水面下で広がる健康被害

「香害」とは、芳香剤や柔軟剤に使われている化学物質が引き起こすアレルギー症状のことである。化学物質過敏症の一種である。

院内集会での報告によると、昨年の夏、日本消費者連盟の洗剤部会が「香害110番」を開催したところ、2日間で65名の電話相談があったという。その中には、たとえば飛行機の機内サービスで提供されるおしぼりに香料が使われていたために、体調が悪くなったという相談などがあった。報告者の杉浦陽子さんは、

「善意のサービスが、健康被害を増やすことになっている」

と、コメントした。

「香害110番」の反響が大きかったこともあり、日本消費者連盟が他の市民団体に問題提起をしたところ、運動が急速に広がった。

院内集会の参加者の中には、東京近郊はいうまでもなく、北海道から惨状を訴えるために上京した男性もいた。一旦、化学物質過敏症になると、極めて微量の化学物質に被曝しても、体が反応するようになるが、その度合いは個人差が極めて大きい。

そのために患者の家族など患者を取り巻く人々が病気をよく理解できずに、患者が孤立することも少なくない。たとえば、集会に参加したある患者は、電車の座席に坐る際に、座席に付着した化学物質を避けるためにアルミシートを敷くなどの対策を取らざるを得ない、と化学物質による人体影響を報告した。

また別の患者で元音楽教師の女性は、柔軟剤の化学物質が原因で、退職を余儀なくされたあげく、治療に全貯金を使ってしまったと体験を語った。

児童の被害例としては、教室の中で浮遊している衣服の柔軟剤などが原因で、体調を崩し登校が困難になるケースも報告された。幼児なので体の不調を具体的に説明するだけの知識がなく、対策が取れないまま放置されることもままある。

化学物質が氾濫している現代において、化学物質過敏症はだれもが等しくリスクを負っている疾患である。ただ、人体に対する汚染が一定レベルに達するまでは、なかなか症状が表面化しない場合もある。しかし、一旦発症すれば、生活に支障をきたすほど重症化することも少なくない。

その意味で新世代の深刻な公害なのである。化学物質支援センターの広田しのぶさんは、

「患者さんは、カナリアのような存在です」

と、被害者との共生の重要性を強調する。

◇予防原則を無視する省庁

こうした深刻な実態が広がっているにもかかわらず、省庁サイドの対応は欧米に比べてかなり遅れている。その原因のひとつが、科学的な根拠が医学的に立証されるまでは、腰を上げない省庁の姿勢である。「予防原則」をあえて無視することで、問題を放置しているといえるだろう。

集会の最後に共催者らは、省庁間で協働して解決に努めるように要望した。

 

消費者庁に対する要望書(PDF準備中)

 

2018年05月22日 (火曜日)

読売弁護団(西部本社)のメンバーの一部が、「押し紙」裁判を起こされた同業他社を支援するために、九州各地の裁判所を転々としてきたことが分かった。「押し紙」隠しのノウハウを新聞業界ぐるみで共有している実態が明らかになった。

九州各地を転々としてきたのは福岡国際法律事務所の近藤真弁護士ら3名である。近藤弁護士らは、2008年ごろに喜田村洋一・自由人権協会代表理事らと共に読売弁護団を結成して読売の主張を代弁してきた。「押し紙」は1部も存在しないと主張してきたのである。

筆者が2008年に読売に対して起こしたスラップ認定裁判でも読売の代理人として登場した。この裁判は、読売が筆者に対し短期間に次々と起こした3件の裁判(約8000万円を請求)が、「一連一体の言論弾圧」にあたるとして、5500万円の損害賠償を求めたものである。

同じ時期、近藤弁護士らは、宮崎市の朝日新聞販売店が起こした「押し紙」裁判でも、朝日新聞社の代理人に就任した。この裁判では、「押し紙」を「予備紙」と強弁し、裁判所もこの主張を認めた。以後、「押し紙」の中味は「予備紙」だという詭弁が広がったのである。

◇西日本新聞と佐賀新聞でも
その後、福岡地裁で西日本新聞社の店主が「押し紙」裁判を起こすと、西日本新聞社の弁護団に加わった。さらに今月になって、やはり「押し紙」裁判に巻き込まれている佐賀新聞社の弁護団に加わっていたことが分かった。

なぜ、こんな現象が起きているのだろうか?以下、筆者の推測になる。

「押し紙」政策は、社会通念からすれば、誰が見ても異常だ。その異常な実態を正当化することは、普通の正義感がある弁護士であればできない。それを無理やりに正当化するための理論を組み立てるためには、独特の詭弁術が必要になる。そこで読売裁判の経験がある近藤弁護士ら3人が適任との評判が広がり、九州各地を転々とすることになった可能性が高い。

「押し紙」は存在しないという主張が真実だったのか、それとも嘘だったのか、これから明らかになることは間違いない。それによって裁判官や弁護士の評価も決まるのではないだろうか。

なお、第1次真村裁判から第2次真村裁判へ至る過程、筆者が読売裁判に巻き込まれた過程などは、拙著『新聞の危機と偽装部数』(花伝社)に詳しく記録している。

 

2018年05月21日 (月曜日)

大量の懲戒請求書が特定の弁護士に送付された事件が話題になっている。次のような内容である。

とあるブログを発端として、各弁護士会に対し、大量の懲戒請求が届いた問題で提訴の動きが進んでいる。神原元弁護士は5月9日、請求者らに損害賠償を求めて東京地裁に提訴。佐々木亮弁護士と北周士弁護士も5月16日に記者会見し、6月下旬から訴訟を起こすことを明かした。

しかし、この問題で負担が生じているのは、請求を受けた弁護士だけでない。彼らが所属する弁護士会にも郵送費用などが発生している。■出典

この問題について筆者は、ある政治家の意見を聞く機会を得た。政治家の考えは次のようなものだった。事件を主導した者は別として、大半の懲戒請求者は、この種の「戦術」に深く考えることもなく協力した可能性が高い。懲戒請求の方法には、大きな問題があるが、被害を受けた弁護士は、事件の主導者だけに限定して裁判を起こすのが筋だというものである。

ちなみに原告の弁護士らは、懲戒請求者全員を提訴する方針らしい。すでに示談(金銭解決)で裁判を回避した被告もいるらしい。

◇喜田村弁護士の手口

この事件では、被告の数を増やすことで、請求額の総額をかさ上げしている可能性が高い。被告の数を増やすことによって、賠償金額を高くする手口は、実は筆者自身も体験している。

2008年3月、筆者は読売新聞西部本社から2200万円を請求する名誉毀損裁判を起こされたことがある。訴因は、販売店の改廃事件だった。読売の社員3名が、販売店で強制廃業を宣告した後、読売IS社の社員が店舗から翌日の折込広告を搬出した行為を指して、「窃盗」と書いたことを理由に、2200万円を請求されたのだった。

その際、請求の対象者が明確に指定されていた。読売新聞(西部本社)に対して500万円、3名の社員に対して、それぞれ別個に500万円。弁護士の喜田村洋一自由人権協会代表理事に対して弁護士費用として200万円というふうに。これにより喜田村弁護士らは、賠償額を高く設定したのである。

ここには、司法制度を基盤にして、お金を稼ぎ出す構図が浮彫になっているのだ。

【参考記事】喜田村洋一弁護士らによる著作権裁判提起から10年、問題文書の名義を偽って黒薮を提訴、日弁連はおとがめなし①

◇弘中惇一郎弁護士や弘中絵里弁護士のケース

これとよく似たケースで、弘中惇一郎や弘中絵里弁護士が原告代理人を務めた裁判がある。この裁判では、被告が行った表現行為をカテゴリー別に分類して、ひとつひつとの表現行為に対して「お金」を請求している。次のような分類だ。

ア 「■■のブログ」

名誉毀損・・・・・・・・・162記事 1620万円(単価10万)

名誉感情侵害・・・・・・・101記事  505万円(単価5万)

プライバシー権侵害・・・・・85記事  425万円(単価5万)

肖像権侵害・・・・・・・・・・5記事   25万円(単価5万)

合計・・・・・・・・・・・・・・・・・2575万円

イ 「■■のホームページ」

名誉毀損・・・・・・・・・13記事  130万円(単価10万)

名誉感情侵害・・・・・・・11記事   55万円(単価5万)

プライバシー権侵害・・・・12記事   60万円(単価5万)

合計・・・・・・・・・・・・・・・・・245万円

ウ 「■■のblog」

名誉毀損・・・・・・・・・・7記事   70万円(単価10万)

名誉感情侵害・・・・・・・・3記事   15万円(単価5万)

プライバシー権侵害・・・・・5記事   25万円(単価5万)

肖像権侵害・・・・・・・・10枚    50万円(単価5万)

合計・・・・・・・・・・・・・・・・・160万円

エ「YouTube」

名誉感情侵害・・・・・・・・3動画   15万円(単価5万)

【参考記事】老夫婦が訴えられた名誉毀損裁判で、原告代理人の弘中惇一郎弁護士らが「抽象的概念」に対して請求単価を設定、417本の「記事」に3200万円

◇提訴により弁護士懲戒請求を抑制

改めていうまでもなく、先の2例は典型的な高額訴訟である。とりわけ筆者のケースでは、他に2件の裁判を提起されており、約1年半の間に3件、総額で約8000万円の請求を受けた。

今回の懲戒請求者全員に対する提訴にみる請求方法は、喜田村弁護士や弘中弁護士が選んだ請求方法と極めて類似している。請求金額の総計は、メディアでは公表されていないが、懲戒請求者の数から察して、莫大な額になるのでは。

いわゆる「訴権の濫用」(広義のスラップ)が問題になりはじめたのは、今世紀に入ってからである。いまや1億円の請求も珍しくない。筆者は、スラップを抑制するための運動にも参加してきた。仲間のライターと日弁連に対策を取るように申し入れたこともある。が、日弁連はまったく動かなかった。

喜田村弁護士に対しては、懲戒請求も行った。3件のうちの最初の裁判の中で、虚偽の事実を前提に提訴に及んでいたことが司法認定されたからである。が、日弁連は処分しなかった。つまり、原則として弁護士懲戒には応じないという姿勢があるのだ。弁護士の保護者なのだ。

と、すれば今回の懲戒請求をめぐる訴訟も、一方的に弁護士側に理解を示すわけにはいかない。懲戒請求などさらさら認められるはずがないことを、知った上で、みずからが受けた「被害」を強調して、提訴に及んだ可能性が高い。

弁護士懲戒に対する抑止効果を狙った高額訴訟としか考えられない。広義のスラップと同類なのである。相手が右翼だから、何をやっても正当化されることにはならないだろう。

法律の専門家が、法律という刀を振り回して、素人を切りまくっているような印象がある。剣道の有段者は、素人相手にやたらと剣を使うべきではないのだが。

◇ミュージックゲート裁判

参考までに、ミュージックゲート裁判の例を紹介しておこう。これも請求の方法が悪質な実例である。

【参考記事】

ソニーなどレコード会社31社が仕掛けた2億3000万円の高額裁判に和解勝利した作曲家・穂口雄右氏へのロングインタビュー(上)

ソニーなどレコード会社31社が仕掛けた2億3000万円の高額裁判に和解勝利した作曲家・穂口雄右氏へのロングインタビュー(下)

2018年05月19日 (土曜日)

この記事は、2017年4月17日に、ビジネスジャーナルに掲載した記事の再掲載である。国勢調査の告知を担当していた博報堂が、告知(新聞広告)を間引きしていた事件である。この仕事を発注した総務省から、何のお咎めもなく、問題にもなっていないので再掲載した。

国勢調査は、国のもっとも大がかりな統計作成のための全数調査で、原則として5年に1度行われる。調査対象は国内の人口、世帯、産業構造などである。

この国勢調査に絶対に欠くことができないのが全戸に向けた告知なのだが、これを担当していた大手広告代理店の博報堂が、新聞広告(政府広報)による告知を大幅に「間引き」していた疑惑が浮上している。

2015年4月1日、総務省統計局長(当時)・井波哲尚氏は、博報堂の戸田裕一社長との間で「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」というタイトルの契約を交わした。それによると、一式(延べ回数にして25本)の新聞広告を制作・配信する取り決めになっていたが、博報堂が制作・配信したのは、12本だけだった。にもかかわらず、博報堂は25本分に当たる全額を請求していた。【続きはビジネスジャーナルで】

2018年05月18日 (金曜日)

化学物質による汚染問題に取り組んでいる市民団体が22日に、共同で院内集会を予定している。(衆議院第一議員会館、11時から入場証配布、11:30から13:30分)

最近、水面下で化学物質過敏症が問題になっている。マスコミが大々的に報じることはないが、ミニコミやウエブサイトでこの問題が取りあげられるようになった。

過去に化学物質の危険性が指摘された時期がいくつかある。記憶に新しいところでは、1990年代後半のダイオキシン、それに続く環境ホルモンなどである。そしていま「香害」が水面下で問題になってきたのであるが、その原因となる化学物質の中で、特に注目されているのは、イソシアネートである。

東京練馬区の内田義之医師(さんくりにっく)は、イソシアネートの毒性について次のように述べている。

 この化学物質は1960年代から、アレルギーを起こす物質として知られていました。昔は動物の皮膚に塗って、その動物をアレルギー状態にする際に使われてきました。ですからアレルギーを引き起こす化学物質であることは、かなり前から知られていたのですが、工業利用が優先されてきました。欧米では厳しい規制基準がありますが、日本ではほぼ野放しになっているのが実情です。

イソシアネートの用途は極めて広い。日常生活のいたるところに入り込んでいると言っても過言ではない。次のような製品だ。

 芳香剤、柔軟剤、化粧品、農薬、塗料、接着剤、アスファルト、コンクリート、加工繊維、合成繊維、

このうち化粧品への適用について言えば、化粧品の成分をマイクロカプセルと呼ばれる顕微鏡でしか確認できない微少のカプセルに閉じこめるのだが、カプセルの皮の原料にイソシアネートが使われているのだ。短期の使用では人体影響が少なくても、延々と使い続けた場合、化学物質過敏症などを発症するリスクが高くなる。

◇複合汚染のリスク

化学物質過敏症になると、引き金となった原因の化学物質とは別の化学物質にも体が反応するようになる。花粉症が増えている背景には、化学物質による汚染が進んでいる事情があるようだ。電磁波過敏症の増加の背景にも同じ事情がある。

【参考記事・メディア黒書】日本人の3%~5・7%が電磁波過敏症、早稲田大学応用脳科学研究所「生活環境と健康研究会」が公表

筆者は、電磁波による人体影響を取材してきたが、電磁波過敏症を発症する前段に化学物質過敏症を発症しているケースが多い。たとえば長野県のSさんのケースである。Sさんは電磁波が飛び交う都市部では生活に困難をきたすので、山間部の電磁波が少ない地域で暮らしている。

Sさんの職歴を聞いたところ、若い頃に水道の配管工事の仕事に従事していて、その時期に多量のボンドを吸い込んでいた。

東京目黒区のIさんの場合は、自宅でのウレタンコーティングの剥離作業が原因で急性の化学物質過敏症になり、その後、慢性化した。さらにその後、電磁波過敏症を発症した。

SさんやIさんのケースのように、ある種の複合汚染が癌などのリスクを高めることはいうまでもない。

◇第2のアスベスト

前出の内田医師によると、日本でイソシアネートの使用がほとんど規制されていない背景に、イソシアネートの代用品がまだ開発されていない事情があるのだという。使用範囲があまりにも広いので規制すると産業界が大きなダメージを受ける。広告依存型のメディアがほとんどイソシアネートの危険性を報じないゆえにほかならない。

次に紹介するのが、内田医師へのインタビューである。

【参考記事・ビジネスジャーナル】芳香剤や建材等の化学物質過敏症、急増で社会問題化か…日常生活に支障で退職の例も 

 

 

 

2018年05月17日 (木曜日)

『救援』(5月10日号)に、東京造形大学の前田朗教授(日本民主法律家協会理事、在日朝鮮人人権セミナー事務局長)が、一文を寄せている。「M君リンチ事件」の大阪地裁判決(3月19日)についての評論である。

その中で前田氏は、判決を厳しく批判すると同時に、被告弁護士らに対する不信感を露わにしている。

周知のようにこの裁判は、在日韓国人に対する差別に反対している広義の「しばき隊」、あるいはカウンターグループの内部で起きたリンチ事件の被害者Mさんが、現場にいた5人の「隊員」に対して、損害賠償を求めたものである。判決では、損害賠償が認められMさんの勝訴だったが、共同不法行為は認められなかった。そのために原告側は、実質的には敗訴と受け止めている。

Mさんが受けた暴行のすさまじさは、「しばき現場」の音声記録として残っている。身の危険を感じたMさんが、秘密裏に録音していたのである。

なお、M君がリンチを受けた原因は、組織内の金銭疑惑をめぐるトラブルである。隊員の1人が極右グループから金銭を受けたとする噂である。

裁判の争点は次の通りである。前田氏の評論から引用しておこう。

争点は、被告らの共同不法行為責任の存否(暴行の態様及び事前共謀若しくは現場共謀の有無又は教唆もしくは幇助の有無)、及び損害の発生及びその額である。

前田氏は争点を明らかにした上で、次のように判決を評論している。(注:格段落間のスペースは、便宜上、黒薮が設けた)

    第一に、判決文からは事件現場の様子を具体的にイメージしがたい。カウンター席九席の狭い店舗において原告と五人の被告がどのように行動したのか。暴行現場である通路が店舗とどのような関係にあるのか判決文からは合理的な人間行動がなされたとは読めず、不自然な事実認定に思える。

 第二に、判決文からは、被告五名らの人格と行動がいずれもちぐはぐで、統一的な人格の持ち主による言動を読み取ることができない。結論を先取りして説明するために強引な認定がなされたのではないだろうか。

 第三に、損害賠償額がABにそれぞれ80万円という、理解しがたい低額になっている。録音記録からは一方的暴行が数十分続いたことがわかるが、判決文の認定でさえ「20回程度殴打し、1回足蹴りをするなどの暴行」である。これで80万円の損害賠償で済むのだから、被告らが判決当夜に「祝勝会」を開いたのも頷ける。判決は「暴力のススメ」に堕していないだろうか。

 もう1点、判決文から読み取れるのは被告Cの人格である。長時間に及ぶ一方的暴力の現場に居ながら、暴力を止めることも立ち去ることもせず、それどころか「顔面は、赤く腫れ上がり、出血していた」原告に対して「まあ、殺されるなら入ったらいいじゃう」と恫喝したのがCである。唾棄すべき低劣さは反差別の論理を損なうものである。

  私は、在特会に対する反ヘイト裁判において、Cの弁護人から依頼を受けて裁判所に「ヘイト・スピーチの被害に関する意見書」を提出した。それだけに本件訴訟の経緯と内容を見ると脱力感に襲われる。被告らの弁護人には知りあいが多い。かねてより敬愛してきた弁護士たちであるが、彼らはいったい何のために何をやっているのだろうか。依頼人のために仕事をしただけかもしれないが、あまりに情けないという自覚を有しているだろうか。差別と暴力に反対し、人権侵害を許さない職業倫理をどう考えるのか。(■全文はここをクリック)

カウンターグループは「市民運動」や野党(立憲民主党、共産党)とも共同歩調を取っている。当然、これらの関係者も、この事件を綿密に検証すべきだろう。そして問題があれば、軌道修正しなければならない。さもなければ日本の革新勢力は内部から分断されてしまうだろう。

・「かかってこいや!へたれ!」
・「訴えるもんなら、訴えてみい!」
・「エル金さんの代わりに殴っていいか?」(のあとに「パーン」)
・「殺されるから(店に)はいってきたんちゃう?」
・「京都朝鮮学校の弁護団?お前の味方になってもらえると思うか?」
・「朝鮮学校のガキらの前で言えるんかこら!」
・「めっちゃ不細工やわ(笑)」(M氏の腫れ上がった顔を見て

2018年05月16日 (水曜日)

読売新聞の元店主からメディア黒書に内部告発があった。内容は、会計に関する不当な処理を強要されたというものである。現時点では、「告発された側」の言い分を聴取するに至っていないので、ここでは告発者側の主張だけを紹介しておこう。その上で「告発された側」の言い分を取材することにする。

この事件の背景を説明しておこう。読売に限らず、新聞販売店は地域ごとに「会」を組織している。たとえば、神奈川連合読売会。その下に地域ごとの会がある。さらにその下に支部がある。つまりピラミット状の組織になっているのだ。

この事件は、神奈川県内のあるYCの支部(8店で構成)で起きた。

今年2月にYCを廃業したKさんは、それまで支部会の会計を担当していた。ところが「平成21年4月から平成29年3月」(始末書)の会計で、不正経理が発覚した。その額は、推定で「3,690,000円」。(始末書)その責任をKさんが取ることになり、会計処理に誤りがあったことを認め、謝意を表す始末書を書かされた上で、使途不明金をポケットマネーから弁済させられたというものである。

Kさんは、始末書に捺印したが納得しておらず内部告発に踏み切ったのである。

「自分が使い込んだわけではありません。古い領収書がなかったので、どうすることも出来ませんでした」

・・・・会費はおもに何に使っていましたが?

「飲食費が多かったです」

・・・・2月に自主廃業されましたが、この事件と何か関係ありますか?

「それはまったく別問題です。経営が悪化したことが原因です」

内部告発された支部側の言い分については、取材後に紹介したい。

2018年05月15日 (火曜日)

自分と対立する言論に対して、「裁判を起こすぞ!」と恫喝する行為が、もはや日常の一齣になっている。特に、ツイッター上でその傾向が顕著になっている。これは社会病理である。背景には、名誉毀損裁判では訴えた側、つまり原告に圧倒的な法理になっている事情があるのだが、それはさておき、このような風潮は、言論を萎縮させ、最終的に法律で言論活動をがんじがらめにする危険性を孕んでいる。

司法制度を利用した言論の抑圧を狙ったツィートの具体例を紹介しよう。下記のツィートの投稿主C.R.A.C.は、反差別の市民運動を展開している団体だ。前身は、しばき隊などである。

C.R.A.C.さんがHideta福島(被災地復興に一票)をリツイートしました


事実を反映してないネット情報をあまり気軽に拡散してると、あなた自身法的責任を問われかねないので気をつけてくださいね。「放射能デマ」だの「福島差別」だのいいかげんなことをいい散らかす前に、まずは「ファクト」に向き合う姿勢を身につけましょう。

一方、被害者側のツィートの事例としては、山口貴士弁護士のツィートを引用しておこう。元しばき隊・隊員の神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)から、「懲戒請求をちらつかされ恫喝された」というものである。


  神原元弁護士が大量に不当懲戒請求された件、同業者として同情する気持ちはあるのですが、一方で、神原元さんから懲戒請求をちらつかされ恫喝された者としては、「因果応報じゃね?」という気持ちも少し有り、応援する気にもなれない訳です。はい。

さらに神原氏は、「フリーライター」について、次のようにツィートしている。このページの冒頭の画像である。

 もちろん、件のフリーライターが、裁判で無実が証明された人を記事で誹謗するなら、容赦なく法的措置をとる。冤罪被害者を守るため司法に救済を求めることをスラップ訴訟とは言わない。むしろ、人権擁護と社会的正義実現のために不可欠な訴訟であると断言できる。

筆者がこれら3つのツィートを引用したのは、C.R.A.C.と神原元弁護士が、在日の人々に対する反差別運動に取り組み、その運動の中でヘイトスピーチだけではなく、言論の自由にかかわる別の問題が浮上しているからである。

ここでは、M君リンチ事件を例に言論にかかわるあるひとつの問題を提起してみたい。それは言論人が、この事件をタブー視している事実である。

◇M君リンチ事件のタブー

裁判の提訴をほのめかして、言論を抑圧する風潮は、言葉を使って仕事をしている人間、つまり広義の文筆家にとっては、直接的な影響を受ける。表現が制限されると、仕事に支障をきたす。よほどの言葉の操り方が巧みでない限り、仕事ができなくなるだろう。

言葉が制限されている文藝ジャンルのひとつに児童文学がある。児童を対象とした文学であるから、当然、言葉に著しい制限がある。難解な言葉は使えない。素人の目には、児童文学は最も簡単な分野に映るが、書き手の側から見ると実はもっとも難しい分野なのだ。それは、繰り返しになるが、使える言葉が極端に制限されているからだ。

名誉毀損裁判が日常的になれば、司法当局によって「許可」される言葉と表現の範囲が極端に狭くなる。それが文学はルポルタージュを魅力のないものに変質させてしまうことは論を待たない。表現活動の障害となる。

それにもかかわらずM君リンチ事件に関心を示さない「文化人」があまりにも多い。この事件では、メインテーマである暴力のほかに、言論の問題も問われているのであるが。司法を利用して言論を抑圧する兆候がみられるのだ。

『カウンターと暴力の病理』(鹿砦社)には、 M君リンチ事件の取材班が、取材を拒否された「文化人」の名前がずらりと並んでいる。おそらく事件の重大性を理解していないか、理解していても、人間関係を忖度して沈黙しているのだろう。加害者の批判は、裁判というリスクを伴うから、加害者を批判したくないということなのかも知れない。

なかには逆に事件の隠蔽に協力しているとしか思えない人々も含まれている。

筆者は、1997年からフリーランスになったが、当時は、現在のような異常な言論環境はなかった。2000年後頃から、名誉毀損裁判が増え始め、それに伴い萎縮がはじまり、現在はツイッターのなかで、法律の素人までが、えらそうに名誉毀損裁判の提起をほのめかすようになっているのだ。

そのうちに、名誉毀損裁判が刑事事件のかたちを取り始めるではないか。

その時は、もう手遅れだ。