2018年06月15日 (金曜日)

自由民主党の和田政宗議員(NHK出身)が参議院内閣委員会で「押し紙」問題について質問した。和田議員が、

「公正取引委員会が新聞販売店から『押し紙』の申告・情報提供を受けた件数は何件でしょうか」

と、問うたのに対して、公正取引委員会の山本審査局長は、「調査にかかわることなので、お答えは差し控える」と答弁を避けた。また、販売店から「押し紙」についての情報提供があった場合の対処方法を尋ねられ、山本審査局長は、

「申告があった場合には、その内容を確認しましたり、事案に関連する情報などを収集いたしまして、独占禁止法に違反する疑いがあるのかどうか、そういった具体的な事実に接した場合には、違反事実の把握のために必要な調査をおこなっていくことになります」

と、答えた。さらに新聞発行本社を指導したケースについては、「平成」に入ってから1件あると答えた。この一件とは、北國新聞に対する「押し紙」の排除勧告である。

山本審査局長がみずから認めたように、「押し紙」問題が深刻になっているにもかかわらず、公正取引委員会は北國新聞以外の新聞社を指導したことはない。こうした実態に、販売店サイドからは不信の声が広がっている。

ちなみに読売・真村訴訟で2007年に下された福岡高裁判決は、読売の「押し紙」政策を認定している。しかし、公正取引委員会は、読売を指導していない。もはや独禁法の番人としての役割を果たしていないと言っても過言ではない。

読売・真村訴訟、福岡高裁判決

【参考記事】読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

「押し紙」問題は、2017年4月14日にも、共産党の清水忠史議員が取りあげている。

なお、国会質問の中継は、次のリンク先でアクセスできる。14日の内閣委員会、和田氏の質問は、「1:07」あたりからである。

国会中継の動画

【動画】「押し紙」の回収場面、資源の無駄づかいでもある。

2018年06月14日 (木曜日)

新潟検察審査会が、志岐武彦氏と筆者が申し立てていた森裕子議員の被疑事件について、8日、「不起訴処分相当」の議決を下した。しかし、検察審査会の判断に注目すべき意見(後述)が付された。

この事件は、森裕子議員が自らの政党支部に自ら政治献金を行い、税務署で所定の手続を取って、還付金を受けていたものである。このような行為は、租税特別措置法や所得税法で禁止されている。還付金制度を悪用していたのだ。

筆者らは、異なった会計年度を対象に2度に渡り、森議員を新潟地検へ刑事告訴した。新潟地検は告発を受理したが、調査した後、不起訴にした。そこで筆者らが、新潟検察審査会に審査の申し立てを行ったのである。

【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

ただし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。この条項を無視して、議員が自らの政党支部に寄付すれば、マネーロンダリングになってしまう。1000万円を寄付すれば、資金が1300万円にふくれあがるからだ。

 引用文にも明記されているように、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。従って、政治家が自分の政党支部などへ自分で寄付した場合は、還付金を受け取る手続きをしてはいけない。

 ◇検察審査会の意見

検察審査会は、不起訴処分相当の判断を下したが、次のような意見を付した。

 ただ、本制度(政党に寄附をし、税還付を受ける)に関し、被疑者において、政治家として行うのは好ましくないと思えるのにもかかわらず続けていた点で、やはり政治家が税還付の手続を行うことは、国民の目から見てどうかと思われるところもあるので、その点で、今後の法律の改正を期待するものである。

◇筆者の見解

筆者は検察審査会が何を根拠として、違法性を否定したのかまったく理解できない。確かに還付金制度は存在し、それを利用して還付金を受け取ることが出来る。しかし、受け取りを禁止する例外事項が、租税特別措置法41条18の1で明記されているのである。それは、「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められる」場合である。森氏の場合がこれに該当するというのが筆者らの主張である。

たとえば政治家が自分の政党支部に自分で1000万円寄附して、所定の手続をすれば300万円が税金から還付されるわけだから、政党支部は1300万円の収入を得ることになる。つまり「寄附をした者に特別の利益」を得る構図になっているのだ。

筆者は、かつて租税特別措置法41条18の1が定めた例外事項の具体例を示すように新潟地検と奈良地検に求めたことがある。しかし、答えられないとのことだった。が、マネーロンダリングにより森氏が特別な利益を得た事実を直視するだけで、租税特別措置法41条18の1に抵触することが分かる。

下記の表を見て、マネーロンダリングを容認するようでは、見識が疑われるのである。

2018年06月12日 (火曜日)

新潟「野党連合」の裏面が浮彫になってきた。

新潟県の知事選挙で敗北した野党連合(立・国・共・自由・社)は、スタートの時点から金銭に関する疑惑と隣り合わせだった。野党の幹部の中には、ここで筆者が指摘している「金銭に関する疑惑」が何であるかを認識していた方もいたはずだ。と、いうのも昨年、筆者らがこの問題に関する資料を複数の国会議員に提供し、国会質問を要請したからだ。実際、国会質問も行われた。

森裕子氏のマネーロンダリングについては、メディア黒書でも繰り返し報じてきたが、実は、新潟を選挙区とする菊田真紀子議員(無所属)にも同じ疑惑がかかっている。さらに、米山隆一前知事と小沢一郎氏の間で、野党共闘に関する密会が料亭で行われていたことも分かっている。もっともこれには金銭疑惑ではなく、野党間のバーターであるが。

野党連合の実態は、スキだらけだったのだ。

◇税金から森へ2700万円、菊田へ675万円の疑惑

既報したように新潟地検は、4月20日付けで森裕子議員に対する刑事告発を受理した。これで3度目の受理である。3度目の受理は、前の2回とは少し性質が異なるが、基本的にはマネーロンダリングの中で、浮上した不正である。

マネーロンダリングは、次のような構図になっている。

【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

ただし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。この条項を無視して、議員が自らの政党支部に寄付すれば、マネーロンダリングになってしまう。1000万円を寄付すれば、資金が1300万円にふくれあがるからだ。

 引用文にも明記されているように、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。従って、政治家が自分の政党支部などへ自分で寄付した場合は、還付金を受け取る手続きをしてはいけない。

ところは森氏には、最大で約2700万円の還付金を受け取った疑惑があるのだ。次の表が詳細である。

 

菊田氏も同じ手口の不正をやっており、『財界にいがた』の報道によると2016年度までに受けた還付金の額は、675万円に達している。

今回の知事選挙で野党連合は、菊田氏を知事候補に擁立する予定だったようだが、本人が断った。これはひとつには、『財界にいがた』が菊田氏のマネーロンダリングを報じていたからである可能性もある。

森議員も菊田議員も、自身の内部に火種をかかえたまま、今回の知事選挙を闘っていたのである。

ちなみに高市早苗議員(自民)も、同じ問題で告発され、奈良地検の捜査対象になっている。次の記事を参考にしてほしい。

【参考記事】奈良地検が高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理、政治家によるマネーロンダリングにメスか?

◇野党も料亭で密会

一体、だれが新潟におけるデタラメな野党連合の流れを構築したのだろうか。この問題を考える上で、参考にすべき資料を紹介しよう。2016年4月16日付けの米山隆一前知事のブログである。前回の参院選で、米山氏と小沢氏の間で、森裕子氏を勝たせるためのバーターを行ったことをみずから告白しているのだ。

私も民進党新潟県連に所属し、5区支部長を拝命するとともに、県連参議院野党統一候補選挙対策担当副代表代行となり、既に民主、維新、生活、社民、共産で統一調整がなされた森候補の応援と、市民連合@新潟との統一的選挙活動に尽力させていただく予定です。
 
 尚、衆参同一選挙も取りざたされているとこですが、本県においては、生活、社民、共産、市民連合が積極的に関与して野党統一調整がなされており、衆議院選挙においても各党各団体の協力が見込まれます。特に5区においては、参議院選挙での候補者一本化の過程で、私は向島のさる料亭で小沢一郎氏から5区田中票の取りまとめとバーターで森氏への一本化を依頼されてこれに同意しているところでもあり、自民党長島候補が強いという下馬評とは裏腹に結構いい勝負になるのではないかと思います■出典

政治腐敗という言葉が定着しているが、それは与党だけの問題ではない。野党も同じだ。野党に関していえば、広義の「しばき隊」やSEALDsともパイプを持っている。何が政治家をここまで劣化させたのか。

論理の飛躍になるかも知れないが、それは究極のところ小選挙区制ではないか?小選挙区制を廃止しなければ、政界は正常にならない。

 

写真:左:森裕子議員、右:菊田真紀子議員

 

 

2018年06月09日 (土曜日)

メディア黒書のバックナンバー 「中米エルサルバドルのロメロ大司教の暗殺から37年、内戦の発端を記録した動画」(2017年03月18日)を紹介しよう。

川崎市で右派勢力が予定していた講演会をカウンターグループが暴力的に中止させた事件は、今後の護憲運動にも影を及ぼしそうだ。護憲集会を右派勢力に妨害されても、抗議できなくなるからだ。

それでは、武力の行使が正当化されるケースとは、どのような場合なのだろうか?この問題を考えるための指標として、次のバックナンバーを紹介しよう。

■バックナンバー 「中米エルサルバドルのロメロ大司教の暗殺から37年、内戦の発端を記録した動画」

中米エルサルバドルのロメロ大司教が亡くなって、3月24日で37年になる。ロメロ大司教は、軍部が幅をきかせ、人間としての最低の生活権すらも奪われていたエルサルバドル民衆の声を代弁する人だった。常に貧しい人々の側に立っていた。

そのために政府は言うまでもなく、カトリック教会の上層部内でも批判の対象となった。ミサの場では、公然とエルサルバドル軍による暴力を非難した。いわるゆ「解放の神学」の先駆的な実践者である。

1980年3月24日、ロメロ大司教はミサの最中にエルサルバドル軍の傭員に狙撃され亡くなった。しかし、軍の暴力はこれで終わったわけではなかった。首都の大聖堂で行われたロメロ大司教の告別式に集まってきた人々の群れに向かって、無差別に銃を発砲したのである。

紹介したYouTubeは、その時の様子を映像ジャーナリストが撮影したものである。貴重な記録だ。

わたしはこの事件がエルサルバドル内戦(1980年~1992年) の引き金になったと考えている。もちろんそれ以前から、極端な社会的格差など内戦を誘発する客観的な条件はあったのだが、この事件で平和的な社会問題の解決が不可能であることが明らかになったのである。

この画像で最も興味深いのは、最後の1分(8:00)あたりからである。ラテンアメリカの人々の気質を典型的に示す場面が映っている。ピストルを持った人々が、ただちに反撃の体制を敷いているのが確認できる。

この年の10月、5つのゲリラ組織が統一して、FMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)を結成した。そして首都へ向かって大攻勢をかけたのだ。エルサルバドルは内戦状態に入ったのである。

FMLNは1992年に和平が成立した後、合法政党に生まれかわった。そして2009年に大統領選挙で勝利して政権の座についた。現政権は2期目である。

2018年06月08日 (金曜日)

朝日新聞(7日付け、電子)が、「アニメ化決定のラノベ、出荷停止 原作者が差別ツイート」と題する記事を掲載している。

アニメ化が決まっていたライトノベル「二度目の人生を異世界で」の原作者が、中国や韓国に対する差別的な発言をしたとして、出版元のホビージャパンは6日、これまでに刊行された計18巻を出荷停止にすることを決めた。アニメの公式サイトも、放送及び制作の中止を発表した。■出典

原作者が過去にツイッターで、「中国人が道徳心って言葉を知ってたなんて」「日本の最大の不幸は、隣に姦国という世界最悪の動物が住んでいること」などと投稿していたことを指摘され、このような事態になった。4人の声優も降板を表明したという。

出版停止にする冊数が18冊にもなっており、尋常な量ではない。李信恵氏が鹿砦社に対して4冊の単行本の販売禁止を求めて提訴した例はあるが、これとて訴えを取り下げている。

朝日新聞もこの事態を重く見ているのか、本紙の方でこの事件を第2社会面で囲みのかたちで紹介している。ただし、事件の背景についての記述はない。

常識的に考えて、出版社が18冊もの書籍をみずから出荷停止にすることなどあり得ない。反差別運動を展開しているなんだかの組織が、相当に強い圧力をかけた可能性が高い。

反社会的な圧力団体が差別を口実に言論・表現の自由に介入してくる傾向が、いよいよ本格化してきたのである。

◇「メキシコ人は時間にルーズだ」

朝日新聞の記事によると、これら18冊の本と「差別ツィート」の関係はないようだ。問題となった表現は次の2つの表現である。

「中国人が道徳心って言葉を知ってたなんて」

「日本の最大の不幸は、隣に姦国という世界最悪の動物が住んでいること」

筆者は、この程度の表現は、ジョークを超えた侮辱程度で、18冊の本の出荷停止と声優の降板という引責方法は、過剰な印象を受ける。とりわけ前者、「中国人が道徳心って言葉を知ってたなんて」が侮辱的な表現になるのなら、次のような言葉も差別的な表現ということになりそうだ。

「メキシコ人は時間にルーズだ」

「米国人は、味覚が鈍い」

「A高校は、不良が多い」

「日本人はコミュニケーションが苦手だ」

「屋台の食べ物は、汚い」

「イギリス人は、保守的な石頭が多い」

「警官にはイエスマンが多い」

この事件にみるように、「差別的表現」を逆手に取った言論弾圧、あるいは言葉狩りが顕著になってきた。反差別運動を展開しているグループは複数あるが、運動をしている人々(その大半は、中高年層)は、自分たちの運動の方法をみなおす必要があるのではないか。無知が国を滅ぼしかねない。

そのうち、禁じられた表現のリストができるのではないだろうか。その時、出版業界は成り立たなくなるだろう。

出版元のホビージャパンは、詳しく背後関係を説明すべきだろう。

2018年06月07日 (木曜日)

神奈川新聞(4日付け、電子)が、「ヘイト集会阻んだ市民の力 差別根絶への意思示す」と題する記事(執筆:石橋学記者、桐生勇記者)を掲載している。これは、瀬戸弘幸氏の講演会が3日、市民の抗議で中止に追い込まれた」というものである。石橋・桐生の両記者は、次のように阻止の様子を伝えている。

 ヘイトデモの現場でレイシストと対峙(たいじ)してきたカウンターの怒声を合図に、地域住民や市内外から集まった市民、市民運動のメンバーが一人一人を取り囲んでいく。民族虐殺をうたい、在日コリアン集住地区の桜本の街を標的にした「日本浄化デモ」をはじめ、市内外で行われてきたヘイトデモの常連参加者。県警が別の入り口に誘導しようとしたが、体を横たえるシット・インで行く手をふさいだ。1時間半にわたった非暴力の直接行動。警察官に促され引き返していったレイシストは十数人に上った。出典

一方、別の情報によると、この集まりは、「反ヘイト条例は是か非か」をテーマとした討論会が目的だったのだという。また、公開されている現場の写真から察すると、阻止の方法は、集会に反対する側が、入口付近に坐り込んで、通行そのものを妨害するというものだった。(上の出典先の写真を注視してほしい。特に中指を立てた下品なポーズを確認してほしい)

◇明らかな言論妨害

筆者は、人種差別はいうまでもなく、あらゆる差別には反対の立場である。
また、場合によっては体を張って闘わなければならい場合があることも知っている。たとえば、1990年代、熊本市で電話会社が携帯電話の基地局を設置しようとしたところ、住民が工事現場に座り込み、車両の通行を阻止する事件があった。

熊本は水俣病が発生した地であり、住民たちは公害の恐ろしさを知っていた。だから、こうした行動に出たのである。住民たちが選んだ真っ当な戦術である。
これが「住民運動」である。

一方、川崎市で起きた集会阻止事件には問題がある。集会を妨害した「市民」の側に責任がある。

集会は川崎市教育文化会館という市の施設で予定されていたのである。当然、使用の条件は満たしている。しかも、屋内の集会であるから、講演や討論会の内容が不特定多数の通行人の耳に届くわけでもない。

われわれ人間は、だれしもそれぞれ自分の思想・信条を持っている。そして自分の思想・信条こそが至上のものだと信じて疑わない。筆者自身もそういう傾向がある。そしてそれに基づいて行動する。「もしかしたら自分の考えは間違っているかも知れない」と自問する人は少数派だ。

と、なれば他人の思想・信条を法律で規制するのは誤っているだろう。無意味でもある。まして物理的な方法で、集会を妨害する行為は軽率といわなければならない。自分の対抗言論を抹殺することは、自分の思想・信条を客観的に検証するためのひとつの指標を失うことを意味するからだ。

「市民運動」を展開している人々は過ちを犯している。同じ座り込みといっても、熊本の「住民運動」の人々とは表情が異なる。熊本の座り込みには真剣さがある。中指を立てるなど、下品な仕草もない。これが「市民運動」と「住民運動」の違いなのだ。

言論の多様性が失われた国。その典型的な同時代のモデルが金正恩体制にあることは論を待たない。(冒頭写真:出典は有田芳生議員のフェイスブック)集会を妨害した「川崎市民」は、日本がそんな国になることを望んでいるのだろうか。

◇師岡康子・弁護士の裏面

ちなみに、たまたま本日の「デジタル鹿砦社通信」に、ヘイトスピーチ対策法成立に「大活躍」をした 師岡康子弁護士に関する大スクープが掲載されている。次の記事である。

 

【参考記事】M君リンチ事件隠蔽に第一級の資料が明らかに! 金展克(きん・のぶかつ)氏がカウンター運動の理論的支柱=師岡康子(もろおか・やすこ)弁護士のトンデモないメールを大暴露! 鹿砦社特別取材班

 

2018年06月06日 (水曜日)

『財界にいがた』(6月号)が、「森裕子参議院議員の不正税還付問題で新潟地検が3度目の受理」と題する記事を掲載している。執筆者は、元旭化成役員の志岐武彦氏である。志岐氏は、森氏を新潟地検へ詐欺と政治資金規正法違反容疑で告発していた。その告発が先月20日に受理されたのを受けて、手記を寄稿したのである。

森氏は志岐氏から過去に2度の刑事告発を受けている。いずれも政治資金の寄付者を対象にした還付金制度--寄付者は税務署で所定の手続を踏めば、寄付額の30%にあたる金額を還付金としてバックしてもらえる制度--を利用して、自分で自分の政党支部に政治献金を行い、莫大な額の還付金を税金から受け取っていたというものである。

たとえば1000万円を寄付すれば、寄付者はその30%にあたる300万円の還付金を受けることができる。政治家の場合は、自分の政党支部へ寄付であるから、手持ち金が1300万円になる。これは違法行為である。従って普通の政治家は、税務署で還付金を受ける手続をしない。

新潟地検は、2度の告発をいずれも受理している。

ちなみに森氏が受けた還付金の額は、2004年から2015年までの11年で最高で約2700万円に達している可能性がある。明細は、次の表に示す通りだ。

◇詐欺と政治資金規正法違反容疑

今回、志岐氏が告発した根拠は、詐欺と政治資金規正法違反容疑である。過去2回の刑事告発とは、若干異なった部分の不正を指摘している。幸いに、『財界にいがた』のウエブサイトに記事の一部が掲載されているので、紹介しておこう。

 ■『財界にいがた』の記事

なお、不正の構図は若干複雑なので、筆者が今年の2月22日にメディア黒書に書いた記事を以下に引用しておこう。構図が分かれば、いかに悪質な手口であるかが分かる。

なお、現在、新潟知事選が行われており、この時期に森氏を批判する記事を掲載することに対して、政治的な意図があるのではないかと勘ぐる読者がいるかも知れないが、そのような意図はない。

■事件の構図を解説する

森裕子議員が代表を務める政治資金管理団体にYMF経済研究会という組織がある。政治家が所属する組織には、地元の政党支部をはじめ、政治資金管理団体などがあり、運営上の法的な規則が微妙に異なっている。

事件の舞台は、いずれも森氏が代表を務めるYMF経済研究会と、彼女の地元である新潟県参議院選挙区第1総支部である。

政治献金の寄付先として、もっとも一般的なのは地元の政党支部である。しかし、これだけでは十分に政治献金が集まらない場合がある。そこで議員たちは、別に政治献金を集める方法を考案することがある。そこでよく使われる方法が、政治資金管理団体の設立である。森氏の場合は、YMF経済研究会がそれに該当する。

多くの政治家が政治資金団体を設立し、オフィシャルサイトを立ち上げ、全国規模ではでに政治献金を募るのである。森氏も例外ではなかった。

森氏は支援者の協力を得て2011年に、YMF経済研究会を立ち上げた。そして全国規模で政治資金を集めるようになった。YMF経済研究会の設立パーティーには、今回の告発者の志岐武彦氏(東京都在住)も参加している。

YMF経済研究会の政治資金の実態について、志岐氏は告発状で次のように述べている。

「平成26年(2014年)のYMF収支報告書の個人寄付欄を見ると、392名、420件の個人寄付があり、寄付総額は1332万円であった。」

この時期は、森氏が議員を失職していた時期である。

◆2013年の落選が引き金

事件の引き金は、森氏の失職だった。2013年の参院選で森氏は落選したのである。これがすべての引き金だった。

寄付金1332万円を集めた2014年は、前述したように森氏が議員を失職していた時期である。失職している時期であっても、もちろん政治資金を集めることは認められているが、代表者が直近の国政選挙に出馬しなかった場合は、有権者が政治資金団体に寄付しても、還付金は受けられない。森氏は2015年の国政選挙では候補にもならなかった。従ってYMF経済研究会は、2015年に還付金制度の適用除外となったのである。

ちなみに還付金というのは、有権者が政治資金管理団体や政党支部などに政治献金を行った場合、所定の手続を経て、寄付額の30%を払い戻してもらう制度の下で得られるお金のことである。たとえば100万円を寄付すれば、30万円が還付金として戻ってくる。このような還付金制度が導入されている理由は、寄付者の負担を少しでも軽減して、政治参加を促すことである。

政党支部への寄付であれば、還付金の請求が認められるが、政治資金管理団体に対する寄付の場合は、既に述べたように、認められない場合があるのだ。森氏のYMF経済研究会がそれに該当した。

◆森ゆうこオフィシャル・サイトの記述

こうした事情を森氏も知っていたらしく、みずからのオフィシャル・ウエブサイトに次のような告知をだした。

「【寄付金控除を希望される皆様へ】森ゆうこへの寄付は、政治資金規正法上と租税特別措置法上、森ゆうこが長を務める政党支部「新潟県参議院選挙区第1総支部」への寄付として扱われます。

 YMFへお送り頂いた寄付金は、その手続きを代行させて頂きます。
(寄付控除を希望しない方は、今まで通りYMF経済研究会への寄付となります。)

 寄付控除をご希望の方はお申し出下さい。」

オリジナルの記述のページ

森氏は、YMF経済研究会に寄付された政治献金を、地元の新潟県参議院選挙区第1総支部への寄付として扱うことを告知して、寄付を呼びかけていたのである。

ちなみにこの告知は、森氏が国会議員に当選した後に削除された。

このあたりの背景について、志岐氏の告発状は次のように述べている。

「披告発人らは、支部の名前で寄付しても(寄付を募っても、の意味)寄付が集まらないので、『森ゆうこ』の名前を使って、YMFで寄付を集めることとし、寄付者に税還付が受けられないことを知らせず、『披告発人(森氏)への寄付は支部の寄付として扱われる』と虚偽の発信をすることで、寄付金をYMFの口座に振り込んでも税還付ができると誤解させて寄付を募ったものである。」

森氏らは、実際にYMF経済研究会に振り込まれた寄付金のうち、167名分を政党支部への寄付とみなして、新潟県参議院選挙区第1総支部の政治資金収支報告書に記載したのである。これは、虚偽記載に該当する。

◆公正証書原本不実記載罪

次に森氏らは、この167名のために還付金を交付させる手続を選挙管理委員会で行った。選挙管理委員会は、167名による寄付が、実はYMF経済研究会に対して行われた事実を知らなかったと思われる。と、いうのも新潟県参議院選挙区第1総支部の政治資金収支報告書に167名の名前と寄付金額が、虚偽記載されていたからだ。事実を知らないまま、167名分の寄付金控除の書類を交付したのである。このような方法で森氏らが、選挙管理委員会に還付金を受け取るための寄付金控除の書類を交付させたことは、公正証書原本不実記載罪にあたる。

◆還付金の財源は国民の血税

167名の寄付者は、寄付金控除の書類を税務署に提出することにより、総額で150万円の還付金を受けることができる。実際に給付金を受け取ったか否かは不明だが、問題は森氏らが不正な手段で還付金を受け取らせるための手続を行った事実である。このような行為は詐欺に該当するといっても過言ではない。

改めていうまでもなく、この150万円の財源は国民の血税である。

以上が告発状と志岐氏の取材をもとに、筆者が組み立てた事件の概要である。

◆森議員は取材拒否

念のために筆者は、2月21日、2度にわたって森裕子議員の事務所に取材を申し入れた。告発状がまだ届いていないので取材には応じないとのことだったので、筆者の手元にある告発状を事前に送付して、それを基に取材に応じるように申し入れたが、やはり取材は拒否するとのことだった。
従って森議員の主張に関しては、取材が実現すれば、紹介したい。

個人的な見解になるが、森氏がオフィシャル・サイトで行った告知によって、YMF経済研究会への献金を新潟県参議院選挙区第1総支部への献金と見なされるかどうかが、起訴・不起訴の分岐点になるのではないか。常識的には認められないだろう。他の失職した元議員らのケースについても調査する必要があるだろう。

志岐氏の告発状

 

【注釈】

告発後、公正証書原本不実記載罪については、取り下げ、修正した告発状が再提出された。次のPDFが修正後のものである。

志岐氏の告発状(修正したもの)

2018年06月04日 (月曜日)

弁護士に対する集団による懲戒請求事件で、ただならぬな問題が浮上している。懲戒請求者の個人情報が、元「しばき隊」隊員で自由法曹団常任幹事の神原元弁護士から公安警察などに提供される可能性である。神原氏がツィッターでそれを示唆したのだ。

筆者がこの問題を知ったのは、猪野亨弁護士のブログによる。■出典

筆者は、知人から問題の「投稿」ツィートを入手した。(神原弁護士は、筆者のツィッターをブロックしている。)それによると、同弁護士は、5月12日に次のように「呟いて」いる。

私の手元にある懲戒請求者のリスト。これは他の事件の解決にもつながる貴重なリストである。

 公安警察等公的機関で保管して利用すれば犯罪(主にヘイトクライム)の抑止にもつながるかもしれない。

 私個人の被害回復よりそちらに力点を置く考え方も悪くない。そっちの方が正義にかなう。■出典

◇スパイ活動を展開

ところで公安警察とはどのような組織なのだろうか。ウィキペディアは次のように説明している。

国内的には、極左暴力集団、朝鮮総連、日本共産党、社会主義協会、学生運動、市民活動、新宗教団体、右翼団体などを対象に捜査・情報収集を行い、法令違反があれば事件化して違反者を逮捕することもある。さらには、同僚の公安警察官、一般政党、中央省庁、自衛隊、大手メディアなども情報収集の対象になっているとされる。


情報収集活動の手法は、たとえば特定の組織にスパイを送り込むことで、内部から情報を収集する。共産党員になりすまして、内部から党員のリストを盗み出すとか、宗教団体の信者になりすまして、やはり信者の個人情報を盗みだす。最近は、盗聴などにも熱心だと聞く。反政府系の集会やデモに紛れ込んで、「活動家」の顔写真を取るなどは日常茶飯となっている。

こうした尋常ではないスパイ活動を展開している公安警察に、神原弁護士は懲戒請求者のリストを提供して利用してもらうことを提案しているのだ。「私個人の被害回復よりそちらに力点を置く考え方も悪くない。そっちの方が正義にかなう」とまで述べている。

◇思想の破綻

神原弁護士のツィッターのプロフィールには、自由法曹団常任幹事と付されている。つまり、自由法曹団常任幹事の肩書で、前出のツィートを行ったことになる。

その自由法曹団は、日本共産党と親密な関係にある。自由法曹団の弁護士全員が共産党員ではないが、組織として両者が良好な関係にあることは間違いない。

改めて言うまでもなく、自由法曹団は人権擁護団体としても輝かしい実績がある。公安警察にとっては、当然、マークしたい団体に違いない。自由法曹団と公安警察は水と油のようになじまない存在なのだ。

その公安警察に自由法曹団の常任幹事の立場にある神原弁護士から、「懲戒請求者のリスト」なるものが提出される、あるいはすでに提出された可能性が浮上しているのだ。読者は、神原氏の自由法曹団常任幹事という立場と、公安警察に対する協力的なスタンスに、一貫した思想の破綻を感じないだろうか。

筆者はこうした人物が人権や反差別を叫んで、市民運動の内部に入っている事実に違和感を感じる。国会前の集会で、警察にデモ参加者を逮捕するように迫ったSEALDsの実像と重なってしまう。

2018年06月02日 (土曜日)

■■バックナンバー■■

押し紙」と一緒に捨てられているのが折込広告。旭化成、日産、ジャスコ、マクドナルドなどが受けた被害の実態を明らかにする。初出は2016年5月27日。

旭化成、日産、ジャスコ、マクドナルド・・・騙されていた広告主の数は際限がない。折込広告の水増し被害が後を絶たない。

「押し紙」により広告主はどのような被害を受けているのか、具体的な例を
紹介しよう。

折込広告の搬入枚数は、新聞販売店に搬入される新聞の部数に一致させる基本原則があることは、メディア黒書で繰り返し説明してきた。搬入部数には、「押し紙」が含まれているわけだから、当然、「押し紙」にも折込広告が割り当てられる。

ところが最近、広告主がこのような新聞社のビジネスモデルを知るようになり、自主的に折込広告の発注枚数を減らす傾向が生まれている。

次に示す表は、折込広告がどの程度、過剰になっているかを示したものである。資料の提供元は、山陽新聞岡輝販売センターの元所長で、「押し紙」裁判で勝訴した廣田(仮名)さんである。

当時、岡輝販売センターの実配部数は、1702部だった。しかし、それを遥かに超える折込広告が搬入されていた。次に示すのが、その詳細である。

なお、廣田(仮名)さんが内部告発したのは、「詐欺」「偽装」 に加担させられていたからである。責任は、新聞発行本社にあるからだ。

 

 

 

2018年06月01日 (金曜日)

携帯電話の基地局から発せられるマイクロ波(電磁波、あるいは放射線の一種)が、周辺住民に健康被害を及ぼしている問題が指摘されるようになって約4半世紀になる。頭痛、めまい、耳鳴りなど比較的マイナーな症状はいうまでもなく、ドイツやブラジルなど海外での疫学調査では、高い癌の発症率も明らかになっている。

ところが最近、米国ではマイクロ波の人体影響を否定する世論誘導が始まっている。たとえば、当初、マイクロ波に警鐘を鳴らしていたアメリカの国立環境衛生科学研究所が、180度見解を変更するなどの動きが見られる。産業界への配慮のようだ。

【参考記事】米国立環境衛生科学研究所によるマイクロ波の安全性に関する研究結果、高リスクを否定、背景にアップルやグーグル、軍事産業の権益

日本の情況はどうなっているのだろうか。結論を先に言えば、大半の人が何も知らされていないのが実態だ。NHKをはじめマスコミの責任にほかならない。週刊誌と月刊誌は若干報道しているが。

マイクロ波の規制値は、μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)という単位で表示される。次に紹介するのは、EUの基準である。

EU: 0.1μW/c㎡[屋外]、0.01μW/c㎡[屋内](提言)

また、著名な研究者によるバイオ・イニシアティブ報告は、EUよりも厳しく、2012年に次のような規制値を提唱している。

バイオ・イニシアティブ報告:0.003~0.0006μW/c㎡ (1.8GHz)

ちなみに同じ地点でマイクロ波を測定しても、時間により、あるいは日により数値が異なる。携帯電話を使っている人が多いときは数値が高くなり、少ない時には高くなる。

◇地下鉄で測定、EUの基準の10倍から30倍

筆者は30日、東京の地下鉄・丸の内線の車内で、簡易測定器を使ってマイクロ波を測定した。お昼の時間帯で、座席はほぼ満員。立っている乗客もいた。半分以上の人がスマホを使っていた。これ自体が異常な光景だ。

一般論になるが、電車内では、マイクロ波の数値が高くなる傾向があると言われている。マイクロ波が車両の鉄壁に反射するからだ。

測定の結果、1μW/c㎡から3μW/c㎡ぐらいの数値が観察された。EUの基準(屋外)の10倍から30倍ぐらいの数値である。ラッシュ時には、スマホの使用者がさらに増えるので、より数値が高くなるのではないかと思う。

地下鉄で毎日通勤している人は、朝と夕方に大量のマイクロ波を浴びている可能性が高い。短期間の被曝であればあまり問題ないにしても、これが5年、10年、さらに20年と続くと、健康被害が発生する可能性が高い。

公共の場では、携帯電話の使用は禁止すべきだろう。

以下、電磁波についての解説だ。メディア黒書(2017年2月11日)から転載しておこう。

◇電磁波とはなにか?

そもそも電磁波とは何だろうか。最低限必要な範囲で、電磁波の正体を説明しておこう。

電磁波の「電」とは電気のことである。その電気が空間に放たれたものが電波である。しかし、電気や電波には、その影響が及ぶ領域がある。炎に手を近づけていくと、熱を感じる領域があるように、電気や電波にも、影響が及ぶ範囲がある。この領域を「電場」という。

電波は、われわれの生活に利便性をもたらした。携帯電話やスマホはその典型と言えよう。通信の革命と言っても過言ではない。が、その背景にある負の側面、あるいは「闇」の部分は、マスコミによってすっかり隠されている。

マスコミの大口広告主である電気・通信業界の権益がからんでいるからである。

電波による交信で絶対に欠くことができないものがある。それはアンテナである。電波はアンテナから発せられ、アンテナで受け止められる。それゆえに携帯電話の普及には、携帯基地局の設置が絶対的に必要になるのだが、この基地局が住民と電話会社のトラブルのもとになっているのだ。

次に電磁波の「磁」について考えてみよう。「磁」は何を意味するのだろうか。「磁」とは磁気、あるいは磁場を意味する。磁石が鉄を引き寄せることは周知であるが、その際に働く吸引力が「磁気」で、磁気が及ぶ範囲のことを「磁場」という。

電流が流れると、その周りには「電(場)」と「磁(場)」が発生する。電磁波とは、電気によって生じる「電場」と「磁場」を伴った波のことである。電波の形状と性質をより厳密に描写した言葉ということになる。

ちなみに単純に電磁波=電波と理解しても許容範囲である。枝葉末節にこだわりすぎて、物事を複雑に解釈すると、かえって電磁波問題を理解する妨げになりかねない。

電磁波問題とは、人体が電磁波(電波)を被曝し続けたときに生じる被害を公害の観点から指摘することである。広義に捉えれば、電磁波による人体影響だけではなく、生態系への影響も電磁波問題の範疇に入る。

電磁波問題の検証作業には1年、2年、あるいは5年、20年という長い歳月を要する。短期間の電磁波被曝では影響が現れなくても、長期にわたる被曝により影響が現れる場合もあるからだ。携帯電話の普及が始まったのち、長い歳月を経て、ようやく基地局の危険性が指摘されるようになったのも、安全性の検証には、長期の被曝による人体影響を調べる必要があったからである。

電磁波はエネルギーが低いものでは、家電機器などから漏れる「低周波電磁波」がある。また高いものでは、レントゲンのエックス線や原発のガンマ線など、さまざまな種類がある。従来は、ガンマ線やエックス線などエネルギーが高いものについては、遺伝子に対する毒性があると考えられてきたが、既に述べたように、最近では全ての電磁波に毒性があるという見解が主流になってきた。

このあたりの事情について、電磁波研究の第一人者である荻野晃也氏は、『携帯電話基地局の真実』の中で次のように述べている。

これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。

また、北里大学の名誉教授・宮田幹夫氏らがまとめた『生体と電磁波』にも、次のような記述がある。

エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。

広島と長崎に投下された原爆の影響で、癌や白血病が増えたこともあって、かねてからガンマ線と癌の関係は定説となってきたが、実はマイクロ波など他の種類の電磁波でも、遺伝子に対する見解が変化してきたのである。

◇電磁波の分類

既に述べたように電磁波には、ガンマ線、X線、マイクロ波など様々な種類があるが、これらは何を基準に分類されているのだろうか。結論を先に言えば、それは電波の波打ちの頻度である。1秒間に打つ波の頻度、つまり周波数の違いにより、電磁波は分類され、ヘルツという単位で分類される。

波打ちの頻度が多ければ多いほど、周波数が高いことになる。少なければ少ないほど周波数が低いことになる。

たとえば電力会社が供給する電気の周波数は、東日本で50ヘルツ(一秒に50回)、西日本では60ヘルツ(一秒に60回)である。一方、携帯電話(第3世代)の周波数は、2000MHz(メガヘルツ)である。これは一秒間に20億回の波打ちが発生することを意味している。この領域の電磁波は、マイクロ波という呼び方で分類されている。

さらにガンマ線の周波数は、「10の19乗」から「23乗ヘルツ」にもなる。

従来から、ガンマ線やX線など極めて周波数の高い電磁波は、電離放射線と呼ばれている。「エネルギーが高く、分子や原子を構成する電子を『バラバラに離してしまう(「電離」といいます)』」(荻野晃也著、『携帯電話基地局の真実』)電離作用を伴うからだ。それが遺伝子を傷つけたりする。

これに対して、赤外線、マイクロ波、低周波電磁波など、ガンマ線やX線に比べるとはるかにエネルギーが低い電磁波は、電離作用を伴わないので非電離放射線と呼ばれる。

現在、電離放射線に遺伝子に対する毒性があることを否定する研究者はいない。それはすでに定説となっている。

これに対してマイクロ波など非電離放射線の毒性については論争がある。既に述べたように、すべての種類の電磁波が人体に悪影響を及ぼすという考えが有力になってきたものの、現在の時点では論争に決着が着いているわけではない。

従って「予防原則」に基づいて、危険性を想定した対策を取っておかなければ、後に、取り返しがつかない悲劇を生む可能性がある。

次に示すのが電磁波の分類図である。


◇携帯電話の電磁波(マイクロ波)

携帯電話に使われているのは、マイクロ波と呼ばれる領域の電磁波である。たとえば広く普及している第3世代携帯電話の周波数は、2000メガヘルツである。これは1秒間に20億回の周波が観測されることを意味する。電子レンジは、約25億回。とてつもない波の動きが熱エネルギーを発生させる。

こうした高周波の電磁波を携帯電話の受話器から直接に、あるいは携帯基地局の周辺で長期に渡って浴び続けたとき、人体影響が生じるリスクがないのかを考えるのが、俗にいう携帯電話の電磁波問題である。従って、パナウエーブ(白装束集団)の考えとはまったく性格が異なる科学である。

当然、長期にわたる科学的な観測が不可欠になる。たとえば10歳でスマホを使い始めた子供が、30歳になったとき、あるいは40歳に、さらには老齢に達したとき、電磁波被曝による負の影響を受けていないか、というような長期の問題なのだ。

◇安全基準

長期にわたる被曝を前提としているのか、電磁波問題に敏感な欧米では、地方自治体が独自に電磁波強度の基準を設定している。そのうちのいくつかを、日本の総務省が定めている基準値と比較してみよう。対象は1800メガヘルツの基地局である。

日本:1000μW/cm2

イタリア:10μW/cm2

スイス:6.6μW/cm2

EU:0.1μW/cm2(提言値)

ザルツブルグ市:0.0001W/cm2(室内目標値)

この数値を見ただけで、総務省がいかに電話会社のビジネスに貢献しているかが明らかになる。数値の大きな差異から異常な実態と言っても過言ではない。ちなみにザルツブルグ市の値でも、通信は可能だ。

◇携帯電話基地局の周辺で奇形

携帯電話の基地局が設置された後、直近の場所に次々と奇形植物が出現したという報告が複数ある。

そのうち筆者が直接取材した長野県木曽町で撮影した写真(奇形のヒマワリ=地元住民が撮影。奇形のナスビ=黒薮が撮影)ものを紹介しよう。

電柱の上に基地局を設置した後、設置場所の畑や近くの民家の庭で奇形植物が表れた。同じ現象が毎年続き、基地局が撤去された後、出現しなくなったので、原因が基地局のマイクロ波だった可能性が高い。

【参考資料】

■講演要旨(馬奈木昭雄弁護士)『人体実験を許すな。~携帯電磁波の危険性~』

■『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 』(黒薮哲哉、花伝社)

■危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー①

■危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー②

2018年05月31日 (木曜日)

国の仕事を発注した省庁と、それを受注した業者の癒着を、裁判を通じて明らかにする方法はあるのだろうか?結論を先にいえば、「NO」である。

筆者は、大手広告代理店と内閣府を含む中央省庁の取り引きで、非常識に高額な取引価格が設定されてきた事実や、それに連動した裏金づくりが行われてきた疑惑を繰り返し指摘してきた。

たとえば2015年度の国勢調査で総務省が博報堂に発注した「広報に関する総合企画の実施業務」である。両者の業務契約書によると、博報堂は全国紙5紙に、述べ25回の政府広告を掲載する予定になっていた。ところが「成果物」を調査したところ、12回しか掲載されていなかった。博報堂もそれを認めた。

理由を問うたところ、「受託業務であり、弊社の判断ではお答えできません」というバカにしたような書面が返ってきた。そこで業務の発注元である総務省に問い合わせたところ、「調査が近づくにつれて『かたり調査』等の発生事案が増加」したので、PR媒体を新聞広告から、広報用ポスターとテレビCMに切り換えた結果と弁解した。(これら2つの宣伝媒体の制作価格は、約2500万円)。

そこで筆者は、テレビCMの放送確認書(CMが放送されたことを示す証明証)を開示するように求めた。これに対して総務省は、放送確認書はすでに廃棄したと答えたのである。

【参考記事】総務省の裏金疑惑、見積書は不存在、2015年度の「放送確認書については、履行確認が終了し、処分した」

他にも博報堂に関する疑惑は山積している。たとえばインボイスナンバーが欠落した請求書を多量に中央省庁へ送付してきた事実である。コンピューターを使った会計システムを導入していながら、博報堂があえてインボイスナンバーを外した事実は、会計監査やシステム監査を回避しようとした可能性を示唆する。つまり大がかりな裏金づくりの疑惑が浮上するのだ。

この点について会計検査院に調査を申し立てたが、会計検査院は、問題はないという結論をだした。こうなれば、裁判を提起して真相を解明する必要があると考え、筆者は、弁護士のアドバイスを受けた。その結果、国家予算の使い方を訴訟で明らかにする制度そのものが存在しないことが分かった。

地方自治体の金については、地元住民による訴訟が可能だが、国家予算のレベルではその制度が存在しないことが分かったのだ。有権者が国会予算の使い方について、唯一、疑義を申し立てることができる機関は、会計検査院だが、問題はあまり調査能力がないことだ。

国家予算の使い方が不透明な最大の理由は、それを裁判によって検証する制度が存在しないからにほかならない。不正を働いても、それを解明できない制度になっているのだ。

国家戦略特区で次々と金銭疑惑が浮上している状況下、訴訟を可能にする制度を構築する必要がある。

2018年05月30日 (水曜日)

2018年4月度のABC部数が明らかになった。それによると、中央紙5紙(朝、読、毎、産、日)は、この1年間で約120万部の部数を失った。これは、東京新聞社(最新の部数が約47万部)が、たった1年で2.5社分きえたことになる。新聞の部数減に歯止めがかからない。

内訳は、朝日が約29万部、読売が約34万部、毎日が約21万部、産経が7万部、日経が29万部の減部数である。詳細は次のとおり。()内は前年同月差。

朝日:5,948,270(-294,948)
毎日:2,842,426(-207,827)
読売:8,474,483(-337,249)
日経:2,430,953(-285,510)
産経:1,522,427(-72,428)

2018年4月度のABC部数(全国)

ABC部数の解析方法については、繰り返し指摘してきたように、「押し紙」の存在を考慮に入れなければならない。ABC部数は印刷部数のことで、その中には配達されていない「押し紙」が多量に含まれている。従って部数の減部数が、必ずしも新聞の購読者が減ったことを意味するわけではない。

私的な見解を言えば、ABC部数が激減したとはいえ、購読者そのものは微減で、新聞社が「押し紙」を排除した結果である可能性が高い。新聞社が従来の「押し紙」政策を改めざるを得なくなっている結果だ。

その背景には、折込広告の需要が減り、販売店が「押し紙」で生じる損害を、折込広告の水増しで相殺できなくなった事情がある。「押し紙」をやめなければ、販売店の経営が破綻して、新聞販売網そのものが維持できなくなってきたのである。

 

【「押し紙」回収の実態】