2019年01月15日 (火曜日)

筆者が入手した資料によると、オリンピックの誘致活動の時期にあたる「平成23年9月1日」から「平成25年4月1日」までの間に、計7回、竹田恆和氏(当時、招致計画委員会会長)から、東京都に対して高額の補助金請求が行われていたことが分かった。
総額は約27億円にもなる。
◆フランスの司法当局が捜査に着手
日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恆和会長が、誘致目的で200万ユーロ(約2億5000万円)を支払った疑惑が海外で報じられている。既にフランスの司法当局が捜査に着手しており、2020年の東京オリンピックは腐った金で誘致した不名誉なオリンピックということにもなりかねない。
疑惑がかかっている200万ユーロ(約2億5000万円)は、どこから捻出されたのだろか。東京都が竹田氏に支払った27億円の中身を日本サイドでも検証する必要があるだろう。情報公開が不可欠だ。
◆27億円の請求明細
請求の内訳は次のとおりだ。
平成23年9月: 4070万円
10月:1億1430万円
平成24年2月:1億9200万円
4月:7億9287万5千円
6月: 937万5千円
9月:7億2687万5千円
平成25年4月:8億2677万8千円
【参考記事】五輪招致委の竹田恆和会長が東京都へ約27億円の補助金を請求、三幸商事は「ピンバッジ」で約3200万円を請求、懸念されるスポーツの政治利用

元総理大臣の鳩山由紀夫氏が、日本の議会制民主主義を否定するツィートを投稿した。
皇太子殿下の学友小山泰生氏の「新天皇と日本人」に、驚愕的なことが書いてある。天皇は国政への権能がないとされるが、法律が憲法上の瑕疵があると思われたら、法律の署名と交付を拒否できるというのだ。新天皇は当然この本の内容を認めておられると思う。首相の暴走に天皇が歯止めをかけられるのだ。(2019年1月7日 )
小山泰生氏の説が事実に基づかない妄言であることはいうまでもないが、それを真に受けて、新天皇が自分の権限を使って安倍内閣の暴走に歯止めをかけるべきだと言っているのだ。熟慮しないままこうした言葉を吐いたのだと推測するが、投稿されて5日になるのに、削除されていないということは、これが鳩山元総理の真意である可能性が高い。
このツィートが問題発言なのは、日本の議会制民主主義を否定しているからである。議会よりも、「陛下」の意思で国の方向性を決することができる体制を理想とする前近代的な考え方であるからだ。
こうした思想の持ち主がかつて、議会のトップの座にいたことに、筆者は一種の気味悪さを感じる。安倍内閣が暴走しているとはいえ、それは議会制民主主義に基づいた政策の断行である。国民が自民党を選択した結果なのである。それを議会とは無関係な「陛下」が変えることができる制度は、独裁国家である。
鳩山氏はそれを肯定しているのだ。
◆感性の劣化
鳩山氏のような皇室史観、あるいは英雄史観は、戦前・戦中の支配的な歴史観であるが、鳩山氏のツィートに象徴されるように現在も根強く残っている。彼らにとっては、もし、ナポレオンが古代に登場していたら、世界はもっと早く近代化されていたという理論になる。偶然に天才的な英雄が登場して、その人物が独断で歴史を変えるという考えである。
が、真実はそれぞれの時代にふさわしい人物、あるいは時の権力の利権を守る人物が時代のリーダーになるのだ。考え方の順番が逆なのだ。小沢一郎氏が政治の表舞台に登場したのは、構造改革=新自由主義の導入を進めるにあたり、2大政党制の導入が必要だったからだ。鳩山氏が総理になったのも、構造改革=新自由主義を継続するための2大政党制の茶番劇にふさわしい人物だったからだ。
が、英雄の決断で政治は変わるという歴史観が誤りであることを、鳩山氏自身が思い知ることになった。それにもかかわらず今だに英雄史観を克服していない。
日本の知的レベルが相対的に劣化していると言われるが、おそらく知的レベルとは、個人がもつ知識の量の大小ではないだろう。感性の劣化ではないか。あるいは思考力の劣化。
改めて言うまでもなく、安倍政権が長期化しているのは、財界が政権を高く評価しているからにほかならない。「陛下」の判断で国策が決まる国など、財界も含め、だれも望んでいない。

滋賀医科大学病院で、一部の患者の同意を得ないままQOL調査(闘病生活の質に関するアンケート調査で、それにより治療の評価などを行う)が行われていたことが問題になっている。調査件数は総計で約800件。しかも、一部の回答については改ざんや、「代筆」の疑惑も浮上している。何が目的で、こうした違法な医療行為が行われたのだろうか。背景をたどっていくと大学病院の闇が見えてくる。
◆岡本医師VS河内医師
既報したように滋賀医科大学病院では、岡本圭生医師による前立腺癌の療法として小線源治療が行われてきた。これは岡本医師が開発したもので岡本メッソドと呼ばれている。5年後の再発率が5%以下の成績で、極めて高い評価を受けてきた。
ちなみに同大学では、岡本医師とは別に泌尿器科でも、河内明宏医師らにより前立腺がんの治療が行われてきた。両者の関係がどのようなものだったのかは知りようがないが、脚光を浴びる岡本医師、平均的な泌尿器科の河内医師というのが正当な評価だろう。
QOL調査はこうした状況の下で、岡本医師が知らないうちに行われたのである。QOL調査の対象になった人々は、入院時と退院時に、調査票への記入を求められた。その調査票の一部が改ざんされたり、「代筆」されていた疑惑が浮上しているのである。
が、改ざんや「代筆」の実態を紹介する前に、事件の背景に言及しておこう。
◆事件の背景
実は、事件は2015年ごろから水面下で進行していたのである。岡本医師による小線源治療は評判が評判を呼び、滋賀医科大学病院へ全国から前立腺癌の患者が受診を希望してやってきた。癌は生死の問題であるから、病院が遠方に立地していても、生存の鍵になるのあれば大きな障害ではなかった。
ところが岡本医師の治療を希望しているにもかかわらず、患者の一部が河内医師の泌尿器科へ回されていたことが、後に判明する。しかも、そのうちの23名は、泌尿器科内で小線源治療の対象になっていた。それを知った岡本医師は、泌尿器科のこの無謀な計画を中止させた。小線源治療には精巧な手技が必要で、一定のトレーニングを受けていない医師が実施するのは危険だった。
しかし、泌尿器科の計画が中止に追い込まれても、医療現場が正常化されることはなかった。
2017年の11月、病院長が12月末で小線源治療を終了することを告知したのである。この時点では、既に次年度の治療予約が入っていたので、混乱に陥った。そこで小線源治療の終了を2年間、先送りしたのである。2019年、1月の段階では終了まで1年を切っている。
◆改ざんの目的は
岡本医師が知らないうちにQOL調査が実施され、しかも、内容が改ざんされたり、「代筆」されたものが含まれている事実が発覚したのは、岡本メッソドの存続を希望して患者会を立ち上げた人々が、ずさんなQOL調査に気づき、その実態を調査した果実である。
仮に岡本メッソドと泌尿器科による治療成績の比較検討が行われる際に、QOL調査の結果が使われるとすれば、調査結果の改ざんや「代筆」は許されない。違法行為であるばかりではなく、医療をめぐる比較調査の公平性も欠くことになる。
調査の目的が治療の評価であることは、河内医師も認めている。患者会の質問に次のように述べている。
「そもそも質問票は、入院された前立腺患者さん全員の治療の客観的評価のために診療の一環として配布し、その回答をカルテに添付していたもので」
事実、前立腺がん患者全員に病院職員から質問票が手渡されていたのだ。その総計数は約800件にもなる。
◆改ざんの中身
さて、書類改ざんの中身はどのようなものだったのだろうか?
特に問題なのは、質問票に患者の名前を入れ、しかも、自筆のサインをさせていることだ。ところが退院時の質問票のサインと入院時のサインとは明らかに異なった筆跡のものがあるのだ。当然、回答をのものを何者かが代筆した疑いがあるのだ。
実際、調査項目で「あり得ない回答」になっていたと訴えている患者もいる。たとえば、「死ぬことを心配している」という項目があり、「非常によくあてはまる」に○がしてあるのだが、本人はそのように回答した覚えはない話しているという。
そもそもQOL調査では、無記名にするのがルールである。なかには削除した調査票もある。
かりに小線源治療の優位性を否定するための証拠を集めるために、QOL調査が悪用されたとすれば、岡本医師の実績を失墜させるために、データを改ざんした疑惑が生まれる。
今後、改ざん疑惑のある調査票の中身の検証が必要になる。

新聞のABC部数が、実配部数を反映していなことは、かなり前から新聞販売店主らの証言で明らかになっていた。ABC公査の直前に、販売店が保管している帳簿類(現在は、PC上のデータ)の改ざんが行われるというのだ。ただ、改ざんの現場を撮影するとか、改ざんした当事者が具体的な手口を明かすことはなかった。その結果、改ざん作業は、断罪されることなく新聞業界の慣行と化した。罪悪感もなくなったようだ。
が、筆者はこの10月、帳簿類(PC上のデータ)の偽装にかかわった人物が、その手口を語った録音テープを入手した(上のyoutube)。手口を録音したのは、兵庫県の西宮市で毎日新聞販売店を経営していた板見英樹さんである。(現在は廃業)
発端は、2016年9月に神戸市東灘区にある2件の毎日新聞販売店にABC公査が入ったことである。その前日、毎日新聞販売店のコンピュータを管理しているデュプロ(株)の毛塚という社員が、板見さんの店に現れ、領収書の剪断機(せんだんき)を借りにきた。
なに使うのかを問うたところ、ABC公査に先だってPC上のデータを改ざんするのだという。興味を引かれた板見氏は、翌日の改ざん作業が終わったあと、改ざん作業を行ったデュプロの坂田という社員を自店に呼び出し、改ざんの一部終始を聞き出した。
口実は、次は自分の販売店にABC公査が入る可能性があるので、事前に改ざんの手口を教えてほしいというものだった。
坂田氏が語った改ざんの手口は、次のようなものだ。
【1】「過去読を起こす」
「過去読」とは、過去に毎日新聞の購読歴がある人のことである。PC上の発証台帳(一種の購読者一覧)には、「現読」はいうまでもなく、過去の読者の名前や住所などが保存されている。
その「過去読」を「現読」に変更するのだ。
「まあいえば、現在(新聞が)入っていないお客さんでも、入っているようにして、それでデータを全部作ってしまう?」(坂見)
「うん」(坂田)
【2】領収書の発行
「過去読」を「現読」に改ざんしたあと、領収書を発行する。新聞業界ではこの作業を「証券を発証する」という。
「証券を発証」した後は、剪断機(せんだんき)を使って、ニセの領収書にミシン線を入れる。
【3】領収書のバーコードを読みとる
ミシン線が入った領収書が完成すると、「読者分」を切り離して処分する。次に「店控え」分にあるバーコードを読み込む。するとそのテータが発証台帳に自動的に反映される。これがABC公査の際に提示されるデータになる。
◆他の新聞社でも同じことが
興味深いことに、この改ざん作業には、毎日新聞社販売局の社員が立ち会う。東灘区のケースでは、「川口」、「山本」の2名が立ち会った。
「たとえば今回、吉岡(住吉販売所の所長)のところへ川口(デスク)がいってますやんか」(板見)
「へえ」(坂田)
「それを坂田さんらがばーとデータとるときも、川口もそこにおるんですか?」(板見)
「いてます」(坂田)
「立ち会い?」(板見の妻)
「立ち会いで」(坂田)
「立ち会いをしとんですか?」(板見)
「はい」(坂田)
同じ手口の改ざん作業を、神戸新聞、産経新聞、朝日新聞でも実施していると、デュプロの坂田氏は述べている。
「9月の1週に朝日さん、2週に神戸さん、3週に毎日さん、4週に産経さん、そんなふうに割り当てて。読売さんは抜けていますが、そういうかたちで、2年に1回、9月前後にやっています」(坂田)
各社のコメントは次の通りである。
【神戸新聞】(口頭で回答しないとのコメントがあった。)
【朝日新聞】「具体的な指摘でなく、根拠も不明なご質問には、お答えしかねます。」
【産経新聞】「取引先販売店の業務に関する事案であり、コメントする立場にありません」
◆作業日は有給を取る
さらに作業日には、デュプロの社員が有給を取り、社員が「個人」の立場で改ざん作業を行ったというアリバイを作るのだという。
かりにニューヨークタイムズやワシントンポストで同じ問題が発覚すれば、輪転機が止まる可能性が高いが、日本では何の問題にもならない。

辛淑玉(シン・スゴ)氏がジャーナリストの石井孝明氏を名誉毀損で訴えた裁判の判決が、25日にあった。東京地裁は石井さんに対して慰謝料55万円の支払いを命じた。
訴因は、「ツイッター上で、北朝鮮の工作員やテロリストだと受けとられる投稿をされ、名誉を傷つけられた」(弁護士.com)というものである。
今世紀に入ってから、言論・表現をめぐる裁判が増えている。周知のように武富士が複数のフリーランス・ライターや出版社に対して高額訴訟を提起した事件(武富士敗訴)を通じて、裁判による言論抑圧の方法があることが広く知れわたった。
おりしもこの時代には、小泉構造改革の中で首相を長とする司法制度改革が進行していた。これに日弁連が全面的に協力していた。こうした流れの中で、国会の場でも、高額訴訟の「必要性」が議論されるようになった。たとえば次の発言である。
私は過日の衆議院予算委員会で、メディアによる人権侵害・名誉毀損に対し、アメリカ並みの高額な損害賠償額を認めるよう森山法務大臣へ求めました。
善良な市民が事実無根の報道で著しい人権侵害を受けているにもかかわらず、商業的な一部マスメディアは謝罪すらしていません。
これには、民事裁判の損害賠償額が低い上、刑事裁判でも名誉毀損で実刑を受けた例は極めて少なく、抑止力として機能していない現状が一因としてあります。■出典
2002年、公明党の漆原良夫議員の発言である。つまり国策として高額訴訟を奨励する政治的空気も生まれていたのである。
なぜ、高額訴訟なのか?裁判を提起する側が言論の萎縮効果を狙っていることはいうまでもないが、大きな政治的背景としては、新自由主義を導入する過程の中で、司法も市場原理に乗せる政策があったことが大きい。法科大学院を設置して、弁護士を「大量生産」するわけだから、訴訟が増えなければ、弁護士が生きていけない事情がある。
弁護士同士に競争させて、無能な人は自然淘汰しようという考えである。
こうした時代の空気と力学の原理に感染したかのように、次々と高額訴訟が提起されるようになった。スラップという言葉の概念もようやく生まれた。
筆者が取材した高額訴訟としては、次のようなものがある。
■ミュージックゲート裁判:2億3000万円を請求
この裁判は、キャンディーズの「春一番」や「微笑がえし」などで有名な作曲家・穂口雄右氏を被告とする裁判だった。ソニー・ミュージックレコーズ、日本コロムビア、キングレコードなど日本を代表するレコード会社31社が著作権違反を理由に、穂口氏が経営するミュージックゲート社(株)に対して、2億3000万円の支払いを求めたものである。穂口氏の和解勝訴だった。
【参考記事】ソニーなどレコード会社31社が仕掛けた2億3000万円の高額裁判に和解勝利した作曲家・穂口雄右氏へのロングインタビュー(上)
■読売裁判:約8000万円を請求
筆者が被告になった裁判である。2008年から2009年夏までに3件の裁判を起こされた。結果は次のとおりだ。
①著作権裁判:黒薮の完全勝訴
②名誉毀損裁判:地裁・高裁は黒薮の勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴。
③名誉毀損裁判:読売の完全勝訴
これらの裁判の他にも、オリコン、JR東日本、東進予備校、ユニクロ、DHCなどたくさんの企業が名誉毀損裁判を起こしている。
さらに最近の顕著な傾向として、企業ではなく個人が名誉毀損裁判を起こす例が増えていることだ。その中には、本人訴訟も少なくない。
筆者もこの種の裁判の被告にされたことがある。高額訴訟ではないが、対応に追われて大変な迷惑を被った。なにしろ原告の主張を理解するだけでも骨が折れた。弁護士が書いた書面ではないので、理解するのに苦労した。
【参考記事】黒薮・志岐の勝訴が確定、対八木啓代氏の名誉毀損裁判、浮き彫りになった本人訴訟の「暴走」
森裕子氏が志岐武彦氏を訴えた裁判も有名だ。
【参考記事】前参議院議員が痛恨の完全敗訴で控訴断念
◇言論の軽視
筆者は、社会的な弱者が名誉を回復する手段を持たない場合は、司法制度を利用して裁判を起こし、名誉を回復することもやむを得ないと思う。
しかし、辛淑玉氏はメディア関係者である。言論で反論する機会はいくらでもあったはずだ。あえて司法に判決をお願いした理由が分からない。
八木啓代氏のケースも同じだ。彼女は国際的な歌手であるばかりではなく、作家であり、社会運動家でもある。自分の主張をなぜ言論を使って拡散できなかったのか疑問が残る。
改めていうまでもなく、読売新聞は日本を代表する言論機関である。その言論機関がなぜ、言論で「押し紙」問題に反論できないのだろうか。
どこかピントが外れてはいないか?

煙草の副流煙が原因で化学物質過敏症になったとして隣人相互が原告(3人)と被告(1人)の関係になって進行している裁判に新しい動きがあった。被告の藤井将登さんの妻である藤井敦子さんが、原告3人が被告の煙草が原因で「受動喫煙症」になったと診察した作田学医師(訴外)に対して、診断書の訂正を求める内容証明を送付したのである。
この裁判は受動喫煙により健康被害を受けたとして、4500万円の金銭支払いなどを求めたものである。訴状にある訴因は、「受動喫煙による化学物質過敏症に罹患するなど甚大な被害を被った」と述べている。
【これまでの概要】重大な疑問が浮上、作田学医師は「受動喫煙レベルⅢ」と診断・認定したが、原告患者が喫煙者だった事実をどう見るのか? 煙草の煙と化学物質過敏症をめぐる裁判
作田医師は、3人の原告を次のように診断した。
原告A:受動喫煙レベルⅢ、咳、淡、咽頭炎
原告B:受動禁煙レベルⅣ、化学物質過敏症、
原告C:受動禁煙レベルⅣ、化学物質過敏症
ところが提訴から約1年後の平成30年10月26日になって、原告Aが平成27年の春まで煙草を吸っていた事実をみずからの陳述書で明らかにした。(理由については言及しない)作田医師が診断書を作成したのが、平成29年4月で、原告らが体調不良を訴えはじめたのは、それよりも半年ほど前だから、原告Aがみずから吸っていた煙草が体調不良の原因である可能性の方がはるかに高い。
それにも係らず作田医師は上記のような診断を下したのである。そこで藤井敦子さんは、内容証明で訂正を求めたのだ。
藤井さんが訂正を要求している点はいくつかある。たとえば夫である藤井将登さんの喫煙歴である。藤井さんは内容証明で次のように述べている。
夫の喫煙量は1日1.4グラム(そのうち半量は外出時に吸われます)でしかなく、私と同居の娘も全く煙草を吸いません。近所からクレームが寄せられたことはなく、管理組合へも●●氏以外からのクレームはありません。
これに対して作田医師は、原告Bの診断書の中で次のように藤井将登さんの喫煙習慣について事実を摘示している。
藤井将登の副流煙を四六時中吸わされたことにより、受動喫煙症および化学物質過敏症になっていった。
なお、問題になっているマンションのすぐ近くのバス停付近で煙草の吸殻が散乱している場所が確認されており、ここが煙の発生源である可能性もある。が、それにもかかわらず作田医師は、藤井将登さんが四六時中煙草を吸う事が原告Bが受動喫煙症や化学物質過敏症になった原因であると断定的に記述したのである。
藤井さんが記述の訂正を求めるのは当然である。
さらに原告Aが、元喫煙者であるにもかかわらず、「受動喫煙レベルⅢ」と診断したことについても訂正を求めている。
念のために補足しておくが、被告にされた藤井将登さんが煙草を吸っていたのは事実である。しかし、それはベランダで吸うといったものではなく、二重窓になった部屋の中で吸っていたに過ぎない。しかも、仕事の関係で外出していることの方が多い。自室で四六時中煙草を吸うなどということはありえない。
◇尿からのニコチン検出は?
さらに筆者が藤井さんを取材したところ、上記2点以外にも検証すべき項目が浮上した。次のURLで紹介するのは、作田医師らが作成した「受動喫煙症診断基準」と題する文書である。
後半に受動禁煙レベル0からレベル5までの判断基準が明記されている。この部分に注目してほしい。
作田医師は原告Bと原告Cを、レベルⅣと診断しているが、「受動喫煙症診断基準」によると、「非喫煙者が週1時間を超えて繰り返しタバコ煙に曝露。曝露後24時間以内に測定した尿からコチニンを検出」されなければ、レベルⅣとは診断されない。筆者が取材した限りでは、原告Bと原告Cの尿からニコチンが検出されたことを裏付ける証拠は提出されてない。
ちなみに作田医師がこれら3通の診断書を作成した平成29年4月は、事件現場のマンションでは、定期修繕工事が行われており、塗装のさいにイソシアネートなどの化学物質が大量に空気に混入していた可能性が高い。もし、そうであれば、原告Aを受動喫煙レベルⅢと認定したことに別の判断ミスも浮上する。と、いうのも「受動喫煙症診断基準」によると、「タバコ煙以外の有害物質曝露がない」ことがレベル3の認定条件になっているからだ。
◇神奈川県警の刑事3人と警官1人
提訴の根拠となる事実に十分な裏付けがないことが、作田医師による診断書作成プロセスの中で見えてくる。根拠に乏しいことを知りながら裁判を起こしたのであれば、訴権の濫用ということになる。
喫煙者を減らしたいという運動は理解できる。筆者も嫌煙派だから、非喫煙人口が増えることは歓迎する。しかし、運動の方法があまりにもラジカルになり、医療や司法が悪用されるとなれば、疑問視せざるを得ない。
しかも、この事件には、神奈川県警の刑事3人と警官1人が、藤井家の人々を2度に渡り取り調べているのである。こちらの真相はまだ全く闇の中だ。

12月21日は、筆者と読売新聞社の係争が始まった日である。今年で11年目にあたる。2007年のこの日、読売新聞(西部本社)の江崎徹志法務室長から、筆者のもとに一通の催告書がメールで送付されてきた。これが係争の発端で、以後、約1年半の間に読売は筆者に対して3件の裁判を起こした。その請求総額は約8000万円にもなった。次の裁判である。
①著作権裁判:黒薮の完全勝訴
②名誉毀損裁判:地裁・高裁は黒薮の勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴。
③名誉毀損裁判:読売の完全勝訴
全体の流れを総括すると、前半は黒薮の連勝で、後半は読売の連勝という、不自然な結果になった。
それぞれの裁判には個別の着目点がある。詳細については、次の3本の記事を参照にしてほしい。
【参考記事】
・喜田村洋一弁護士らによる著作権裁判提起から10年、問題文書の名義を偽って黒薮を提訴、日弁連はおとがめなし①
・喜田村弁護士に対する懲戒請求、第2東京弁護士会の秋山清人弁護士が書いた議決書の誤り②
・自由人権協会代表理事の喜田村弁護士らが起こした2件目の裁判、「窃盗」という表現をめぐる攻防③
◆虚偽の事実を前提に提訴
さて、①の著作権裁判を例に訴権の濫用に言及してみよう。この裁判は、江崎法務室長が筆者に送付した催告書を、筆者がメディア黒書に掲載したところ、江崎氏が削除を求めた事件である。削除を求めた理由は、催告書が自分の著作物であるから、筆者には公表権がないというものだった。
この裁判では、前代未聞のスキャンダルが発覚する。
江崎氏は、催告書が自分の著作物であると主張したのだが、判決の中で、催告書を作成したのは、江崎氏ではなく、彼の代理人を務めていた喜田村洋一・自由人権協会代表理事である高い可能性が認定されたのである。
著作権法では、執筆者が著作権者であって、この権利は他人に譲渡できない。(著作者人格権)しかし、江崎氏は喜田村弁護士が執筆した催告書を自分の著作物だと偽って裁判を起こしたのだ。著作権者は喜田村弁護士であるから、江崎氏が著作者人格権を根拠に、催告書の削除を求める資格はない。
それにもかかわらず虚偽を前提として筆者を提訴したのだ。これに関して、筆者の弁護団は、次のような声明を出している。
◆煙草の副流煙をめぐる裁判
虚偽を前提として裁判を起こすケースは、どの程度発生しているのだろうか。当時、筆者は著作権裁判の判決を大量にコピーして司法関係者に配布し、感想を取材したが、言語道断という答えが多かった。それにもかかわらず第2東京弁護士会は、3年の歳月を要して喜田村弁護士に対する懲戒請求を棄却したのだ。
「喜田村弁護士は、なぜこんな失敗をしたのだろうか?」
と、感想をもらす人もいた。
「こうした裁判を起こさないようにクライアントを説得するのが弁護士の役割です」
と、言う人もいた。
それから約10年、筆者はこの裁判のケースと類似した裁判に遭遇した。メディア黒書でも取りあげてきた裁判で、煙草の副流煙が原因で化学物質過敏症になったので、4500万円の金銭を支払えという内容である。この裁判では、原告の男性が提訴の2年前まで、喫煙者であったことが、提訴後に判明した。
もちろん元喫煙者が副流煙の影響で化学物質過敏症になったとする主張が絶対に間違っている確証はないが、社会通念からすれば、自分が吸っていた煙草による影響の方が、副流煙よりも人体影響を誘発しやすい。
ところが隣人の副流煙が、自分が化学物質過敏症になった原因だと主張しているのだ。
原告の診断書(作田学医師が作成)には、「受動喫煙レベルⅢ」と記されている。原告の指示するとおりに、作田医師が診断書を作成したということではないだろうか。
◆デュプロによるABC部数の改ざん工作
小泉構造改革の中で、日弁連の協力を得て行われた司法制度改革は、やたらと高額訴訟を増やし、訴訟をビジネスに変えた。約10年前には、前代未聞とされた裁判の構図と同じ裁判が、筆者がたまたま取材している事件でも浮上しているのである。
他にも類似した裁判が多発している可能性が高い。
最近は判事も劣化していて、最高裁事務総局による「報告事件」ではないかと疑われる判決が増えている。「報告事件」とは、最高裁事務総局が書記官に「報告」を求める裁判のことで、最高裁事務総局が影の裁判官となる。
対読売の係争開始から、11年目の検証に入る。一連の裁判の後半における黒薮連敗については、納得していないので再取材する必要がある。③の名誉毀損裁判の中では、読売の宮本友丘専務が一度も「押し紙」をしたことがないと証言しており、これについても再検証を要する。筆者のところに残紙の写真が大量に送付されてきているからだ。
対読売裁判が、「押し紙」問題の原点で、それから10年を経て、デュプロによるABC部数の改ざん工作の事実を掴んだ。これに関しては、近々に公正取引委員会に告発する予定だ。
2018年12月19日 (水曜日)

現在を読むキーワードのひとつに「新自由主義」があるが、この用語を日本のマスコミは避ける傾向がある。構造改革という言葉で曖昧にごまかして、報道しているメディアも少なくない。
国際問題に例を取れば、フランスで発生した暴動、米国とメキシコとの国境で起きている中米移民の問題、国内問題に例を取れば、水道事業の民営化や外国人労働者の受け入れ枠の拡大、非正規雇用の拡大、それに法人税の減税と消費税の増税などは新自由主義の政策と連動したものである。もう少し広い視点から見れば、米軍との共同作戦を前提とした日本の軍事大国化も新自由主義の政策から派生した流れにほかならない。医療に保険外診療の領域を増やしたのもやはり新自由主義の政策だ。
さらにいえば、小さな政府を前提に医療や教育を地方自治体へ丸投げするのも新自由主義の政策だ。自民党と維新の会が親密なのも偶然ではない。
新自由主義というキーワードを軸にすれば、個々バラバラに起こっているように見えるこれらの現象をひとつの視点で理解することができる。が、マスコミはその簡単な作業を避けている。マスコミ自体が日本の権力構造に巻き込まれているから、問題の核心を隠蔽するのだ。
◇福祉国家の崩壊
新自由主義とは、文字通り新しいタイプの自由主義経済を成熟させようとする思想である。もともと資本主義の経済政策の下では、ほとんど規制を設けずに資本家が裁量で労働者を使っていた。そのためにイギリスなどで長時間労働などが蔓延して社会問題となり、労使の紛争が起こるようになった。
が、おりしもロシア革命の影響で、福祉を売り物にした社会主義の影響が世界的に広がった。資本主義陣営は、社会主義という新興勢力に対抗するために、経済活動に規制を加えて労働者を保護したり、一定の福祉政策を導入せざるを得なくなったのだ。その結果、資本主義体制のもとで、一応、秩序ある社会が実現したのである。
新自由主義の政策は、一旦、構築した資本主義経済の規制を撤廃して、再び企業に経済活動の自由を提供すると同時に、国策により企業を手厚く保護する政策である。旧来の自由主義への回帰ではない。体系だった企業支援制度である。
その背景にはグローバリゼーションの中で、企業の国際競争が熾烈になっている事情がある。国際競争力の強化という口実がある。旧来の自由主義とは規模や質が異なる。
たとえば企業の負担を減らすために、法人税を下げて、消費税をあげるなどの政策が採られる。規制を緩和する。公的なものの民営化を進め、市場を提供する。「小さな政府」を構築するために議員定数の削減をめざす。
規制を緩和して企業相互が競争すれば、優性のものだけが生き残り、劣性のものは淘汰されるというかなり乱暴な考えだ。もちろん科学的な根拠があるわけではない。いわゆる市場原理主義である。医療も、教育も、福祉も市場原理主義にのせる。
安い労働力を獲得するためには非正規労働者を増やしたり、裁量労働の枠を拡大したり、外国人労働者を増やす。これも国際競争力の強化が口実になる。
さらには多国籍企業のために、軍事大国化をも進める。進出先の国で政変が起こり、多国籍企業に不利な政治体制ができた場合、武力で「鎮圧」する必要があるからだ。法科大学院を設置して、国際業務にたけた弁護士を大量に増やしたのも、企業の国際競争に備えることが目的である。
「新自由主義」の政策は、優先順位が国民よりも大企業にある。
◇アベノミックスは大企業には大成功
日本では新自由主義という言葉が、構造改革という言葉でごまかされている。「構造改革」と聞いても、大半の人は中身が分からず、漠然となにか素晴らしい改革が行われるのだろうと思うだろう。
が、その本質は新自由主義を導入するために必要な構造の改革なのである。日本でそれが本格化したのは、小泉内閣の時代である。その象徴として、郵政民営化が断行されたのだ。小泉の継承者は、改めていうまでもなく、安倍内閣である。アベノミックスは失敗だと言うひとが多いが、大企業にとっては、大成功なのだ。内部留保を大幅に増やしている。
安倍内閣が長期政権になっているのも、財界が希望する政策を実行しているからにほかならない。
しかし、新自由主義の失敗は、たとえばフランスで露呈した。暴動というかたちで表面化した。欧米で極右政党が台頭したのも、新自由主義の失敗がもたらした矛盾の解決を誤った方向へ求めた結果だろう。
米国とメキシコの国境に押し寄せている中米移民の問題は、歪んだ形のグローバリゼーションと新自由主義の矛盾が頂点に達した結果である。ラテンアメリカは、最も早い時期から新自由主義の実験場にされた地域である。中米のホンジュラスにある多国籍企業の果樹園では、バナナやパイナップルなどが収穫されるが、船で米国へ運ばれ、地元にはほとんど富は残らない。こうした不公平が多数の移民を生んでいるのだ。
新自由主義の中身をマスコミが解説すれば、世界が関連の中で見えるが、マスコミはそれを隠している。
ある意味では悪質だと思う。

病院での不自然死が報告されるようになった。点滴に毒を混入させて高齢者を殺したケースや、真夏の病室にクーラを設置せずに患者を死なせたケースなどが人々の暗い好奇心を刺激している。とはいえ、それも氷山の一角なのかも知れない。
メディア黒書にも病院の実態を告発する情報が寄せられた。告発者本人から事情を聞き、事実の裏付け資料を提示してもらった。その結果、その知られざる実態が浮かび上がってきた。小泉構造改革の中で医療を市場原理に乗せてから10余年、いま医療現場でなにが起きているのだろうか。
内部告発から見えてくるのは、高齢者が長期療養型病院に入院した場合、患者の希望に反して「治療」よりも、死期を早める方針が取られるケースがある事実である。その背景に高齢者を切り捨てる国策がある。
◇離床への意欲は強かったが・・
告発者のAさん(女性)は、父親の死が納得できずに、入院先だった東京都のY病院と折衝を重ねてきた。情報開示させたカルテや看護記録が医療への不信の裏付けとなった。
父親の佐々木元(仮名)さんは、平成29年4月1日になくなった。享年76歳。直接の死因は急性呼吸不全である。元さんはもともと間質性肺炎を患い、最初に慶應病院で診断を受けた。そこで入退院を繰り返した後、多摩病院に転院した。さらに平成28年8月25日に長期療養型のY病院に移ったのである。そしてそこで生涯を終えた。
転院してきた時に病院が作成した「入院相談フェイスシート」(平成28年8月25日作成)によると、元さんの身長は170センチ、体重は68.5キロだった。疾患名は、間質性肺炎である。既往歴として、慢性心不全と狭心症が記されている。
Aさんが転院当時の状況を語る。
「車椅子で生活していましたが、食欲もあり元気でした。上半身は普通で、自分で起き上がったり、動かすこともできました。離床への意欲も強かったので多摩病院のリハビリの先生からY病院へ転院して、リハビリを頑張るように言われたのです」
◇病室に死の静けさ
しかし、Y病院へ入院した後、寝たきりになる。その原因のひとつは、病院が投与をはじめた2種類の抗精神剤だとAさんは考えている。抗精神剤の服用と連動するように、元さんは活力を失い、ベットのうえで静かに横たわる状態になったのだ。看護記録によると、時々、大きな声を出したことなどが記されているが、おそらくは発作的なもので、それにより他の患者に迷惑をかけたという性質のものではない。
抗精神剤は統合失調症の患者などに投与され、精神の高ぶりを押さえる作用がある。そのために抗精神剤を投与されると、活気が失せる。傍目には、無気力になったようにも感じられることもある。暴れる患者には、多量投与される。
統合失調症とは別の病気の患者に対しても、抗精神剤が使われることは特に珍しいことではない。実際、元さんも多摩病院で少量の抗精神剤の投与を受けていたという。それがY病院へ転院して多量になったのだ。Aさんは、2種類の抗精神剤が本当に必要だったのか疑問を感じている。Aさんが言う。
「時々、父親を見舞っていたのですが、自分の父親だけではなく、同じ病室の他の患者さんらも同じような静かな状態で、ベッドに横たわっていました。あまりにも静かなので、異様な光景に見えました」
それぞれのベッドの上で呼吸はしているが、病室に死の静けさが漂っていたのだ。
病院は元さんに対する酸素吸入も減らした。「入院相談フェイスジート」によると、必要な酸素量は、「3ℓ」だったが、看護師による看護記録によると、たとえば9月30に次のような指示が医師から出ている。
「Dr指示により、0.3ℓから2ℓへ」
本来、「3ℓ」が必要なのに、0.3ℓに減らしていたのである。露骨な不自然死、あるいは医療事故の疑いを残さないために、酸素の量を若干増やしたのではないだろうか。元さんの病状が回復へ向かった結果、酸素量を極限にまで減らしたのであればともかく、元さんの病状は悪化していたのである。
◇摂食燕下(えんげ)障害
抗精神剤の過剰な投与によって起こる副作用のひとつに摂食燕下(えんげ)障害がある。Aさんが言う。
「父にも摂食燕下(えんげ)障害が現れました。そのめに禁食になったのです」
看護記録によると、病院は10月8日に最初の禁食を決めている。不自然に感じたAさんは、せめて水ようかんでも食べさせようと看護師に許可を求めた。しかし、許可は下りなかった。
「痰の吸引が出来なくなるから、ひと口の水ようかんもダメだと言われたのです。それでもお願いすると『何を考えているのか!』と怒鳴られました。病院の夜間の看護体制が40人の患者さんに対して看護士が1人でしたから、こうした処置が取られたのでしょう」
元さんの血圧は異常に低かった。たとえば10月22日は、「BP 77/58」とある。上が77で、下が58である。意識も朦朧としていたと推測される。同じ日の記録に次のような記述もある。
「呼名に開眼するが刺激していないとすぐ閉眼してしまう。BP低めであるが脈の緊張良好」
禁食になれば、当然、点滴で栄養補給しなければならないが、それも十分には行われていなかったようだ。Aさんが言う。
「父が餓死してしまうと看護士に泣いて訴えても、主治医が連休で他の医師では対応できない、と断られました。捕液も4日間していなかったので、お願いしましたが、これも主治医の不在を理由に断られました。仕方なしにわたしが少しだけ水を飲ませました。輸液を開始したのは、それから5日後でした。禁食は12日にも及びました」
◇不自然な身長についての記述
元さんの体重は入院してから急激に減ったという。平成29年1月7日のカルテによると、体重は49キロ。転院から体重が20キロ近く減ったことになる。カルテには記録されていないが、Aさんによると入院直後から、元さんは骸骨のように痩せてしまったという。
さらに不思議なことに、カルテには元さんの身長が156センチと記録されているのだ。入院時は170センチであるから、約4カ月で14センチも縮んだことになる。常識的にはあり得ないことだ。一体、何があったのだろうか?Aさんが次のように推測する。
「激減した体重とのバランスを取るために156センチと偽りの記録をしたのでしょう。身長が156センチで体重が49キロであれば不自然さはありませんから」
ちなみに元さんの急激な体重の減少に関して、看護記録には、次のような記述が残っている。
「奥さま、長女さま、ナースステーションにこられ、あばらが出ていてびっくりした、栄養状態が悪いのではないか?」
Aさんは元さんを転院させることや、自宅へ連れ帰ることも考えたが、病人を動かすのは危険だと主治医にいわれたので、それも断念した。こうして元さんは、まっしぐらに死への道をたどる。そして4月1日に亡くなったのである。
◇諸悪の根源である構造改革=新自由主義
入院から死まで約7カ月。カルテから次のようなプロセスが確認できる。
1、大量の抗精神薬を投与する。同時に酸素の吸入量を減らす。
2、抗精神薬の副作用として、摂食燕下(えんげ)障害が起きる。
3、禁食にする。餓死に至る。
病院は早く看取れば看取りの報酬も入るし、入院患者が増えて回転率が上がれば利益になるし、院内でも療養病棟と一般病棟で移動させるとその都度収益が入ります。つまり市場原理に組み込まれているのである。Aさんが言う。
「自分で十分に父を看護できませんでした。それが心残りです」
新自由主義の下で、金にならないものは、全て切り捨てられる時代に突入しているのである。
読売新聞が来年の1月から、朝刊・夕刊の「セット版」を4400円(税込み)に値上げする。25年ぶりの値上げだ。現在の価格が4037円(税込)なので、400円近い大幅値上げとなる。
1部売りも現在の130円から150円に値上げする。
朝刊・夕刊の「セット版」の価格改定にあわせて、「朝刊だけ」の購読料もあがるが、価格については販売店サイドで決めるらしい。今のところ「朝刊だけ」の価格は、4200円になるのではないかとする見方が有力だ。【続きはウェブマガジン】

俗な表現をすれば、「とんでも裁判」が増えている。そのなかでもとりわけ見過ごせないのは、メディア黒書でもたびたび取り上げてきた煙草の副流煙が化学物質過敏症の原因だとして、隣人を提訴した裁判である。請求額4500万円。
謎の渦中にあるといおうか、悪意に満ちているといおうか、取材を重ねるにつれて、その背後にほのみえる像が輪郭を現してくる。
何が問題なのかを整理しておこう。
【概要】
裁判の原告は小野田家(仮名)の3人。夫妻とその娘である。被告は、藤井家の家主である。
原告の小野田家と被告の藤井家は同じマンションの2階と1階に住む隣人同士である。2階に住む小野田家(仮名)の3人が、1階に住む藤井家の家主を訴えたのである。原因は藤井家を発生源とする煙草の副流煙である。副流煙で化学物質過敏症になったから、4500万円のお金を払いなさい、という訴訟だ。
なお、筆者はこの裁判に重大な関心を寄せているが、禁煙を奨励する運動には賛同するし、自分自身は煙草を吸わないし、化学物質過敏症が客観的な「病気」であるという認識も持っている。さらには煙草の副流煙が化学物質過敏症の原因のひとつであるという論理的方向性にも大きな異論はない。
ただ、論理の誇張や事実の捏造が化学物質過敏症を正しく理解する上で大きな負の要因になるから、裁判を通じて浮上した事実を公表するのである。
【何が問題なのか?】
この裁判の最大の問題は、原告家主(男性)が、数年前まで喫煙者であった事実が、提訴後に発覚したことである。ところが原告の書面は、後述するある時期まで、原告が元喫煙者だった事実の言及を避けたうえで作成されているのだ。それを明かすと副流煙による被害という大前提が破綻するからだろう。
分かりやすい問題例を紹介しよう。作田学医師が作成した原告家主の診断書である。そこには病名として次のように記されている。
「受動喫煙レベルⅢと診断する」
原告家主が元喫煙者であることが判明したのは、10月18日に筆者が原告弁護士を取材した際、その旨をもらしたからだ。その約1週間後、10月26日には、なぜか原告家主が喫煙者だったことを認める陳述書が裁判所へ提出された。そこにはこう書いてある。
「私は、以前喫煙しておりましたが、平成27年春、●●と診断され、その時から完全にタバコを止めました。」
なぜこのような書面が提出されたのかは不明だが、ひとつには喫煙の事実を隠していたのではないという立場を証拠付けるためではないかと思う。時期を逸しているのは論をまたない。
【作田医師の診断書】
以上の事実を踏まえた時、作田医師が作成した診断書の記述が問題になる。既に述べたように作田医師は、診断書に「受動喫煙レベルⅢと診断する」と記述したのだ。
原告家主が禁煙したのは平成27年春で、診断書が作成されたのは平成29年4月19日である。禁煙期間はおよそ2年である。2年の禁煙歴で、それまで蓄積された喫煙による人体影響が消えるのか疑問がある。
さらに原告家主の陳述書(平成30年9月15日付け)によると、家族全員が「受動喫煙により、恒例の家族旅行を中止せざるをえない状況」になったのは、平成28年の秋となっている。原告家主が禁煙に踏み切って1年半後である。それまでに蓄積された喫煙による影響が残っている可能性が極めて高いのだ。
東京大学と国立がん研究センターの研究によると、「年齢や体格指数、飲酒の習慣など、喫煙以外の発がん性に影響する条件を調整して分析した結果、男性はある時点から21年間禁煙を続けた場合、発がんリスクが全くたばこを吸わない男性なみに下がることが判明した」という。■出典
喫煙歴の影響が消えるまで男性の場合、21年を要するというのが専門家の見解だ。
筆者は、原告家主を「受動喫煙レベルⅢ」とした作田氏の診断は間違いだと考える。誤診はどんな名医でもある。しかし、問題は弁護士が、誤診の事実を知っていながら、裁判所に作田診断書を提出したことである。これらの証拠を前提に受動喫煙が化学物質過敏症の原因だと主張したのである。
ちなみに作田診断書は「甲1号証」、つまり原告が提出した最初の証拠書面である。
【禁じられた行為】
しかし、ある事実が虚偽と知りながら、それに言及した証拠を提出することは、弁護士職務基本規程で禁止されている。次の条項だ。
第75条 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。
作田診断書が誤りであるこは、原告家主の喫煙歴が判明すれば、だれにでも判断できるだろう。それを知りながら、弁護士が診断書を提出した疑いがあるのだ。
【刑事が出動】
さらに不可解なことに、提訴に至るまえに、神奈川県警の刑事3人と警官1人が藤井家を訪問して取り調べを行った事実である。しかも、取り調べは2度も行われてる。取り調べの指示を出したのが、神奈川県警の斉藤実本部長であることも判明している。
何を根拠とした捜査なのだろうか。
また、筆者に対しても、原告弁護士から、記事を書かないように要請する文書が送付された。これについては、後日、公開する機会があるかも知れない。
煙草の煙が原因で化学物質過敏症になったとして、起こされた裁判が横浜地裁で進行している。この裁判は近年まれにみる“恐怖裁判”である。禁煙を奨励する運動にかかわっている人々が介入していて、化学物質過敏症の主要な原因が煙草だとする極論を展開しているのだ。その中には医者も含まれており、原告の診断書まで裁判所に提出している。
裁判の原告と被告は、同じマンションの1階と2階に住む隣人同士である。2階に住む小野田家(仮名)の3人(夫妻とその娘)が、1階に住む藤井家の家主を訴えたのである。あなた方の煙草の煙で、化学物質過敏症になったと。だから4500万円のお金を払いなさい、と。
ところが10月になって、被告にとって怒り心頭に達する事実が判明する。原告夫妻の夫が数年前まで喫煙者であったことが判明したのだ。しかし、依然として裁判は続いている。【続きはウェブマガジン】


