
NHKがある奇妙な裁判を起こし、勝訴したことを伝える記事を、日経新聞(7月19日付け)が掲載している。記事のサマリーは次の通りである。
①2015年8月、NHKが千葉県内の女性宅を訪問して、受信料の支払いを求めた。女性はこれを拒否。
②女性は、「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏に電話で相談した。
③その2日後、女性は、HNKに対して慰謝料10万円の支払いを求めて、松戸簡易裁判所に提訴した。
④松戸簡易裁判所は、この事件を千葉地裁へ移送した。千葉地裁は、女性に敗訴の判決を下した。
⑤これを受けてNHKは、「NHKから国民を守る党」の立花氏らに対して、「勝訴の見込みがない裁判を女性に起こさせた」として、東京地裁で弁護士費用など54万円の支払いを求める裁判を起こした。
⑥東京地裁は立花氏らが「NHKの業務を妨害するため訴訟に関与しており、裁判制度を不当に利用する目的があった」と指摘して、請求通り54万円の支払を命じる判決を下した。【出典】
◇日本では訴権が優先のはずだが?
訴訟の提起そのものを違法とする裁判で、原告が勝訴することは極めて珍しい。サラ金の武富士がフリーライターらに対して起こした裁判が、違法とされた例はあるが、このケースでは武富士の武井会長が係争中に盗聴事件で逮捕されるなど、武富士に対する世論の批判が高まった事情もある。いわば特殊なケースなのだ。
日本では憲法で保障された訴権が優先されるのだ。
◇読売裁判の例
私自身も次のような体験がある。
2008年、読売新聞の江崎徹志法務室長が、筆者に対して著作権裁判を提起した。メディア黒書に筆者が掲載した江崎名義の文書を削除するように求める裁判である。江崎氏の主張は、この文書は自分が執筆し、自分が著作権者なので、筆者がそれを公開する権利はないというものだった。
ところが裁判の中で、争点の文書は、江崎氏が執筆したのではなく、読売の代理人・喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)が執筆した可能性が浮上したのだ。つまり本当は喜田村弁護士が執筆した文書であるにもかかわらず、江崎氏が著作権者になりすまし、強引に筆者を裁判の法廷に立たせた疑惑が浮上したのだ。喜田村氏と江崎氏が「共謀」していたことは言うまでもない。
判決は江崎氏の敗訴だった。争点の文書を喜田村弁護士が執筆していた高い可能性が認定されたのだ。つまり江崎氏には、提訴権そのものがなかったのである。それにもかかわらず強引に提訴したのだ。
当時、筆者は、読売からこの裁判以外にも、2件の裁判を起こされていた。請求額は約8000万円だった。
そこで筆者は、これらの裁判が「一連一体の言論弾圧」に該当するとして、読売に対して5500万円の損害賠償を求める裁判を起こした。裁判の提起そのものを問うたのである。
結果は、筆者の敗訴だった。江崎氏による著作権裁判を含め3件の裁判の提訴行為は問題がないと判断されたのだ。もともと訴権がない裁判を提訴する行為、つまり「でっち上げ」を、裁判所は「問題なし」としたのである。
江崎名義の文書を執筆した喜田村弁護士に対しては、弁護士懲戒請求を申し立てが、日弁連は、懲戒に値しないと判断した。
これが日本の司法の実態なのだ。
◇弁護士費用の賠償を命令
ところがNHKに対しては、裁判所は裁判の提訴行為を正当と判断して、原告が別の裁判で支払った弁護士費用を賠償するように命じたのである。
今回のNHK裁判で、NHKが敗訴していれば、「NHK受信料の恫喝的徴収→簡易裁判所への提訴」というパターンが広がる可能性がある。裁判所はこのあたりに配慮して判決を下した可能性が高い。
クローズアップ現代は、社会問題化しているNHK受信料の問題を取りあげるべきだろう。

中米ニカラグアは、7月19日に革命から38年をむかえた。フランスの人々が1789年7月14日のフランス革命を祝うように、ニカラグアの人々は、7月19日を盛大に祝う。2日前の17日には、「歓喜の日」も設けられている。
これは、当時、ニカラグアを支配していた独裁者ソモサが、早朝、自家用ジェットでマイアミへ亡命した日である。明け方の空に独裁者が永遠に消えたのだ。ソモサ一族は、約43年に渡りニカラグアの政治から軍、それに産業までを支配していた。ラテンアメリカの歴史の中でも、最も非道な独裁者のひとりである。
1972年の大地震の後、海外から贈れた救援資金を独裁者が横領したことで、独裁政権に対する反発が強まった。このころからFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)が急激に勢力を拡大し、最後は、首都マナグアの市民がFSLNに協力して、独裁政権を倒したのである。
が、本当の悲劇はそれからだった。独裁者のバックだった米国は、ニカラグアの隣国ホンジュラスを米軍基地の国に変え、コントラと呼ばれる傭兵部隊を訓練して、新生ニカラグアの転覆に乗りだしたのである。
1984年に最初の大統領選挙が行われ、FSLNのダニエル・オルテガが圧勝した。しかし、1990年にFSLNは国民野党連合 (UNO) のビオレータ・チャモロに破れた。FSLNが政権を去ったことで、米国も内政干渉から手を引き戦争は終わった。
それから16年後、2006年に再びFSLNのダニエル・オルテガが大統領に就任して、現在に至っている。
筆者は、1984年と1995年にニカラグアを取材した。
◇「国際貢献」はあくまでも建前

ニカラグアをめぐる問題で最も大事な点は、海外派兵をどう考えるのかという点である。外国の軍隊が、他国に入り、軍事行動を展開する背景に何があるのかという問題である。
日本が海外へ自衛隊を派遣するようになったのは、1992年である。国際平和協力法(PKO)に基づき、アンゴラへ派遣したのが最初である。それから今年で25年になる。選挙の監視が目的だった。
その後、徐々に自衛隊活動の規制を撤廃していき、現在では、日米共同の軍事作戦を展開できるまでになっている。いずれこうなるのではないかと、当初からその危険性を指摘する少数意見もあったが、「国際貢献」という建前の前に中止を求める運動は広がることはなかった。
筆者は、ニカラグアの取材を始めたころから、海外派兵の目的は、多国籍企業の防衛にほかならないという見解を持ってきた。「国際貢献」は建前であって、本質は、武力による「民主的政府」の転覆である。「民主的政府」ができると、多国籍企業の活動に支障が出る場合に、海外派兵が行われるのだ。
安倍内閣による軍事大国化の目的は、まさにグローバリゼーションの時代における多国籍企業の防衛である。
◇多国籍企業の海外進出と政変
日本企業が海外への進出を本格化させはじめたのは、1980年代の半ばである。1987年にホンダ技研が、メキシコに新工場を立ち上げるというので、筆者は現地採用の通訳として半年働いたことがある。このときの記録は、『バイクに乗ったコロンブス』(現代企画室)に詳しい。
円高が進み日本企業の海外進出がはじまったのだ。
第3世界の国々へ海外進出するメリットは、人件費が安いことである。ホンダ技研の給料は、通訳の場合、月額1000ドル(10万円)。現地の労働者は、その半分かそれ以下だった。
一方、第3世界のデメリットは、政情が不安定なことである。多国籍企業がせっかく工場を設置しても、政変で政府が変われば、直接的に企業活動に支障をきたすことがある。それゆえに「国際警察」の派遣体制の構築を切望する。それを具体化させていったのが、日本の場合、PKOに端を発した軍事大国化への道だった。
◇米国のフルーツ会社の裏庭
米国の多国籍企業は、ニカラグアにどのような権益を持っていたのだろうか。結論を言えば、それはフルーツ会社の事業である。中米からコロンビアにいたる地域は、米国のフルーツ会社の裏庭になっている。
収穫されたバナナやパイナップルが、港から多量に海外へ運ばれていく。豊かな果実を生む農園で働く人々は、雨漏りがするような家で暮らしていたのである。ニカラグアの農園で、農薬の雨を降らした影響が、最近になって人体に現れてきて、国境をこえた裁判にもなっている。
米軍によるラテンアメリカ諸国への介入には、その多くで多国籍企業の権益がからんでいた。1954年のグアテマラ介入や、1973年のチリの軍事クーデターはその典型である。グアテマラでは、農地改革のプログラムの中で政府がUFC(ユナイテッド・フルーツ・コンパニー)の土地に手を付けたとたんに、クーデターが起きた。チリの場合は、米国資本の鉱山の国有化などが原因である。
しかも、こうした介入には、必ず大規模は虐殺がセットになっている。
安倍政権が進めてきた海外派兵の青写真は、米国の軍事介入をそのままモデルにしたものにほかならない。
2017年07月19日 (水曜日)

「G5」とは、第5世代移動通信システム のことである。携帯電話は1990年代から普及がはじまり、世代が進むごとに「進化」してきた。最初は電話機能だけだったが、静止画や動画が送れるようになり、通信のスピードもどんどん上がっていった。そしていま、本格的にG5導入への動きが始まった。
こうした動きに東電が便乗しよとしているのを読者はご存じだろうか。「5Gの基地局を設置する場所として、電力を送る鉄塔を貸し出す事業に本格的に乗り出す方針」(NHKニュース)を固めたという。
しかし、この計画に関して、日本のメディアがほどんど報じない重大問題がある。それは電磁波による人体影響である。欧米では当たり前に報じられている電磁波のリスクが、おそらくは大口広告主である電話・電気・電力関連の企業への配慮から、日本ではほとんど報じられていない。
国民は重大なリスクに晒される。
◇「変調電磁波」とは
G5には、ある特徴がある。携帯電話(スマホを含む)の通信には、マイクロ波と呼ばれる領域の電波(電磁波)が使われているのだが、G5では、従来のものよりも高い周波数帯が使われる。
電磁波は、周波数が高くなると、より直進性が強くなる。従って、室内へ入りにくい「欠点」がある。一方、周波数が低くなると、直進性が抑制されて、部屋の中にも入りやすくなる。こうした情況を踏まえて、携帯電話の電磁波は、高い周波数と低い周波数を混合させた「変調電磁波」が使われているのだ。
「変調電磁波」は、人工的に加工したものであるから、人体にどのような影響があるのか、まだ分かっていない。特に、長期に渡って被曝したときの影響は未知数だ。と、いうのも地球上にこのような電磁波が登場し、それを日常的に使うようになって三〇年にも満たないからだ。
WHOの外郭団体である国際がん研究機関(IARC)は、マイクロ波に発ガン性がある可能性を認定(2011年)している。
東電が電話会社に協力することで、東電が所有している鉄塔などに、次々と基地局が設置される可能性が高い。これまで筆者が基地局設置のプロセスを取材した限りでは、電話会社は近隣住民の承諾を得ないまま、一方的に設置を進めてきた。同じことが起こる可能性が高い。
◇全ての電磁波にリスク
電磁波とは、簡単に言えば電波のことである。電波が磁場や磁気を伴っているから、電磁波と呼ばれているのだ。
意外に知られていないが、原発のガンマ線やレントゲンのエックス線も広義の電磁波である。欧米では放射線と電磁波は区別はしない。
従来は電磁波の中でも、エネルギーが高いガンマ線やエックス線は、人体影響があるとされてきた。これはすでに定説になっていて否定するひとはいない。日本でも、福島第一原発からのガンマ線が問題になっている。
ところが最近は、エネルギーの低い電磁波、たとえばマイクロ波や家電の低周波電磁波にも、遺伝子毒性があるとする説が有力になっている。
このあたりの事情について、電磁波研究の第一人者である荻野晃也氏は、『携帯電話基地局の真実』の中で次のように述べている。
これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。
また、北里大学の名誉教授・宮田幹夫氏らがまとめた『生体と電磁波』にも、次のような記述がある。
エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。
広島と長崎に投下された原爆の影響で、癌や白血病が増えたこともあって、かねてからガンマ線と癌の関係は定説となってきたが、実はマイクロ波など他の種類の電磁波でも、遺伝子に対する見解が変化してきたのである。
◇日本の規制値の愚
総務省は、マイクロ波の規制値を設置している。ところが現在の規制値には大きな問題がある。まず、数値を電磁波問題の研究が盛んな欧米と比較してみてほしい。
日本:1000μW/cm2
イタリア:10μW/cm2
スイス:6.6μW/cm2
EU:0.1μW/cm2(提言値)
ザルツブルグ市:0.0001W/cm2(室内目標値)
日本の規制値は、規制になっていないのが実情である。日本の規制値は、瞬時にマイクロ波を浴びた場合の人体影響(たとえば火傷)を基準にしているのに、対して、EUなどは、長期に渡って被曝した場合の遺伝子毒性などを想定した数値にしている。それが数値の違いに現れているのだ。
それにもうひつと電話会社の意図的な戦略がある。それは住民から、基地局を撤去するように要望が出された時の対策である。電話会社は、まず電磁波強度を測定する。そして、たとえば1μW/cm2だと知らせる。そのうえで、「弊社は総務省の基準値の1000分の1ですから、絶対に安全です」とウソをつくのだ。
筆者はこのような例を無数に見てきた。
電磁波で問題になるのは、一次的な被曝ではなく、遺伝子毒性の方なのだが、こちらは完全に無視されているのだ。
ちなみに現在は、EUの基準でも十分とはいえないとする見方が有力だ。
◇複合汚染の考え方

さらに日本の規制値には、次のような問題点がある。それは複合汚染という視点が完全に欠落して、電磁波による単一の人体影響しか考慮に入れていないことである。
米国のケミカル・アブストラック・サービスが登録する新しい化学物質の数は、一日で優に一万件を超える。もちろん全てが有害とは限らないが、これらの化学物質が外界に出て、環境や人体に入り込んでくる。従って、汚染状態が同じということは有り得ない。常に変化している。
人体も生活環境も、その中身は刻々と変化していて、静止の状態にはなっていない。これが基本的な科学の物の考え方なのだ。
当然、同じ強度の電磁波を被曝しても、化学物質による汚染の度合いで個人差が生まれる。環境問題では、動物実験の結果よりも、疫学調査を重視しなければならないゆえんにほかならない。動物実験は、試験装置の中の環境であるから、参考にしかならないのである。
ところが総務省は、電磁波だけを切り離して、しかも、長期影響を考慮せずに基準値を設置しているのである。
電磁波問題の背景には、巨大な利権がからんである。それゆえに報道されないのである。

昨日(14日付け)に続いて、防衛省から入手した博報堂によるPR活動で発生した請求金額(2016年度分)を紹介しよう。今回は、海上自衛隊である。(陸上自衛隊については、14日付けを参照)。
下記のデータは、博報堂が海上自衛隊へ送った請求書から拾った数字である。
海上自衛隊ホームページ(動画ページ含む)及び携帯サイトの作成、更新及び保守整備 :10,152,000
メディアトレーニング:486,000 (6月10日)
メディアトレーニング:486,000 (11月2日)
メディアトレーニング:486,000 (7月8日)
メディアトレーニング:486,000 (1月12日)
自衛官募集CMの放映:2,073,600
メディアトレーニング:432,000(2月15日)
メディアトレーニング:432,000(4月3日)
◇8年で5回もHPを再構築
ホームページの作成とメンテナンスに約1000万円支出されているが、これは明らかに不自然だ。と、いうのも2015年度からさかのぼって過去7年間で、海上自衛隊は4回もホームページを再構築しているからだ。今回を加えると8年で5回目になる。不必要としかいえない。
【参考記事】 海上自衛隊のホームページ、博報堂が7年間で4回も再構築、1回につき約1000万円を請求
頻繁にホームページを再構築していることに加えて、価格そのものも異常だ。ホームページ構築費用は、法人用の価格で300万円程度である。個人用の価格であれば、30万円から50万円である。それが相場だ。
メディアトレーニングというのは、マスコミ対応のノウハウを教える講座のことだ。たとえば、広報担当者が記者の質問に答えたくない場合に、「記憶しておりません」と答えるノウハウなど。透明性が求められる公共機関の職員には、不要なものである。
これについても価格が異常に高い。聞くところによると講義は、2時間程度だという。とすれば、価格は5万円から10万円が常識だろう。広報担当者が10人も20人もいるはずがなく、1回やれば十分だろう。
◇故意に外されているインボイスナンバー
陸上自衛隊と同様に、海上自衛隊に提出された請求書も「手作り」のもので、コンピュータで出力されたものではない。、請求書のインボイスナンバーも外してある。(請求書の実物、ここをクリック)この種の請求書には、どのような問題があるのか、14日付けのメディア黒書から、以下、引用しておこう。
通常、企業が発行する請求書には、インボイスナンバーを付番することで、コンピュータと連動した会計処理を可能にしている。手動で処理していると大変な労力を要すからだ。会計処理を迅速に進め、しかも不正の防止にも効力がある。
コンピュータと連動したこの会計処理の原理は、クレジットカードのシステムを思い浮かべると分かりやすい。クレジットカードの番号が分からなければ、コンピュータは作動しない。従ってクレジットカードにナンバーの付番は不可欠である。
現在の会計システムも同じ原理で作動している。もちろん、インボイスナンバーがなくても、処理する方法はあるが、それは合理性の障害になるので、なるべく避けるのが一般原則である。従って正常な商取引では、あえてインボイスナンバーを付番しない合理的な説明はつかない。
博報堂の請求書から、インボイスナンバーが外してある事実は、これらの請求書が正規の会計システムとは別のところで、会計処理されている可能性を示唆している。もし、そうであれば会計監査もシステム監査も受けていないことになる。つまり裏金になっている疑惑があるのだ。
筆者は防衛省に対して、インボイスナンバーを外している理由を問い合わせたことがあるが、「答えません」という回答が返ってきた。
一方、博報堂の監査法人である「あずさ監査法人」は、取材を拒否している。

防衛省から、2016年度(平成28年度)に陸上自衛隊が博報堂へ発注した業務の見積書・契約書・請求書を入手した。
業務件数は5件。このうち1件は請求書が欠落している。次に示すのが、4件の業務内容と請求額である。
①平成28年度自衛隊音楽まつり企画演出等役務:42,950,000円
②平成28年度用自衛官募集CMの制作・放映等、平成29年度用総合ポスター制作:141,050,000円
③平成28年度自衛官募集HPコンテンツの改修:14,256,000円
④平成28年度(10月~12月)募集広報事業の部外委託(スマートフォンバナー広告):5,400,000円
自衛隊音楽祭りに約4300万円、CMとポスターに1億4100万円、HPコンテンツの改修に、約1430万円、それにスマートフォンのバナー広告に約540万円である。
このうち自衛隊音楽祭は、見積額と請求額が年々徐々にあがり、高止まりの状態になっている。たとえば2009年度は、29,995,350円だったが、2014年度には、38,999,880円に、そして2015年度は、43,738,880円になった。28年度は、42,950,000円である。安倍政権になってから、大盤振る舞いになったのだ。
安倍首相による軍事大国化が進むにつれて、自衛隊のPRも活発化していることを示している。
HPコンテンツの改修に1400万円というのも異常に高い。50万円ぐらいが相場である。CMの制作・放映等に1億4000万円は、どう評価すべきなのか分からない。
◇なぜ、インボイスナンバーを外したのかが疑問
しかし、問題はこれだけではない。請求書がワープロ(おそらくはワード)で作成され、博報堂の公式の書式が使われていないのだ。また、請求書のインボイスナンバーも外してある。
通常、企業が発行する請求書には、インボイスナンバーを付番することで、コンピュータと連動した会計処理を可能にしている。手動で処理していると大変な労力を要すからだ。会計処理を迅速に進め、しかも不正の防止にも効力がある。
コンピュータと連動したこの会計処理の原理は、クレジットカードのシステムを思い浮かべると分かりやすい。クレジットカードの番号が分からなければ、コンピュータは作動しない。従ってクレジットカードにナンバーの付番は不可欠である。
現在の会計システムも同じ原理で作動している。もちろん、インボイスナンバーがなくても、処理する方法はあるが、それは合理性の障害になるので、なるべく避けるのが一般原則である。従って正常な商取引では、あえてインボイスナンバーを付番しない合理的な説明はつかない。
博報堂の請求書から、インボイスナンバーが外してある事実は、これらの請求書が正規の会計システムとは別のところで、会計処理されている可能性を示唆している。もし、そうであれば会計監査もシステム監査も受けていないことになる。つまり裏金になっている疑惑があるのだ。
筆者は防衛省に対して、インボイスナンバーを外している理由を問い合わせたことがあるが、「答えません」という回答が返ってきた。
一方、博報堂の監査法人である「あずさ監査法人」は、取材を拒否している。
◇中央省庁と博報堂の取り引き
博報堂と中央省庁(内閣府を含む)の取引では、インボイスナンバーのない「手作り」の請求書が大量に存在している。たとえば内閣府だけでも、2012年度から15年度の4年間だけで、インボイスナンバーのない請求書の請求総計は約64億円にもなる。
もちろん防衛省やその他の省庁にも同じ疑惑がある。
【参考記事】陸上自衛隊で8年間に約9億円、インボイスナンバーのない疑惑の請求書、ワープロで作成か?
【参考記事】インボイスナンバーを外した博報堂の請求書、環境省は15年度だけで約13億円
中央省庁と博報堂のPR活動を通じた取引は極めて不透明である。また、現在、内閣府と内閣官房から、少なくとも2人の元官僚が博報堂へ「天下り」している。なにか関連はあるのだろうか。
【参考記事】内閣官房の広報戦略推進官・田幸大輔氏が博報堂へ再就職、疑惑のプロジェクトに関与した高い可能性、博報堂へ「天下り」の実態(1)
【参考記事】博報堂に5人の国家公務員が天下り、2007年の国会・内閣委員会でも、共産党の吉井英勝議員が指摘
◇電通を排除したが・・・
メディアの報道によると、厚生労働省が7日に電通を6ヶ月の間、指名停止にした。労働基準法違反で、略式起訴されたことを受けた処置である。
そのこと自体は評価できるが、電通を排除したから中央省庁と広告代理店の取引が透明になるわけではない。それよりも、インボイスナンバーを外した請求書が多量に存在する問題を徹底調査しなければならない。調査して不正があれば、電通が抜けたあなを博報堂が独占することがあってはならない。
広告代理店へ国策プロパガンダの報酬として支払われているのは、国家予算である。取引実態の精査が不可欠である。
【写真】「手作り」の請求書、公金の振込先も黒塗りに
2017年07月12日 (水曜日)

東京都の小池知事が「家庭内の白熱電球を発光ダイオード(LED)電球と無償で交換する事業の受け付けを始めた」という。
小池百合子知事は都庁でセレモニーを開催し、歌手のピコ太郎さんと共に取り組みの推進を呼び掛けた。
ピコ太郎さんはセレモニーで「私の家の電球も(LED電球に)替えようと思う」とあいさつ。ピコ太郎さんと交換手順を説明した小池知事は「交換することで家の中の電気がどうなっているか、もう一度点検してほしい」と話した。
18歳以上の都民が対象。都内に約830ある協力家電店に使用中の白熱電球2個以上を持参すれば、LED電球1個と交換できる。都は5月、小池知事とピコ太郎さんが「PPAP」の替え歌でPRする動画を公開。既に19万回再生されている。(産経新聞)
LED(可視光線を発光する可視光発光ダイオード)による人体影響については、メディア黒書で報じてきたとおりである。加齢黄斑変性の原因になっていることは周知の事実であるうえに、最近では、ある種の波長の可視光線で昆虫が死ぬことも分かっている。パソコンやスマホの使いすぎが、睡眠障害の原因になることも定説となった。白熱電球からLEDに切り替えた職場で、健康被害が発生したことも報告されている。
【参考記事】危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー①
【参考記事】危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー②
◇すべての電磁波には人体影響がある
改めて言うまでもなく、LEDによる人体影響は、電磁波問題に属するわけだが、どういうわけか日本のメディアは、電磁波問題をほとんど報じない。電話会社が大口の広告主であるからだ。
電磁波問題は欧米では普通に報じられている。人々の間にも、「危険」という認識が根付いている。
電磁波による人体影響が指摘されるようになったのは、1980年ごろからである。米国で高圧線の近くに住む子供と小児白血病の関係が指摘されるようになり、本格的な研究が国際規模で始まったのである。もちろんそれ以前から先見性がある研究者は電磁波問題を指摘していたのだが、本格的にクローズアップされてきたのは、この時期からである。携帯電話のマイクロ波による人体影響の研究などは、さらに遅れて始まった。従ってまだ未知の領域が多い。
電磁波というのは、広義には原発のガンマ線やレントゲンのX線も含む。ガンマ線やレントゲンのX線は、極めてエネルギーが高い。これに対して、家電や送電線などの電磁波はエネルギーが低い。
当初は、エネルギーが高いガンマ線やX線は人体影響があるが、エネルギーが低いものについては、安全と考えられてきた。しかし、現在では、すべての電磁波になんらかの人体影響があるとする見方がほぼ定着している。
これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。(『携帯電話基地局の真実』荻野晃也・元京都大講師)
エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。(『生体と電磁波』宮田幹生・北里大学名誉教授)
◇懸念されるのは、20年後、30年後の人体影響
LED(ブルーライト)は、人工的に光の波長を組み合わされて作る。従って、自然光に近いものほど複雑でコストが高くなる。安いLEDは、特に危険だ。たとえ高価なものを使うとしても、どこまでが安全かという点は、まだ分かっていない。研究の途上だ。科学とはそういうもので、国が定める安全基準は、研究成果によって常に変化する。東京都が無償提供するLEDがどの程度の質なのか、興味深いところだ。
毎日スマホと睨めっこしている小学生の目が、10年後、あるいは20年後、30年後にどのような変化を起こしているのかは、誰も分からない。自動車の自動運転は、電磁波による制御が行われるわけだから、それが普及したとき、どのような人体影響が表れるか分からない。道路沿いの民家で癌の発症率が高くなるかも知れない。駅の改札でスイカを使うときに発せられる電磁波を、10年、20年あびたとき、身体がどうなるかも分からない。
最近、若い人の癌が増えているが、これはひとつには、電磁波の被曝が原因である可能性もある。しかし、電磁波の利用は企業の利権を孕んでいるので、あまり報道されることはない。
◇産業界と癒着した総務省
最も身近な電磁波問題といえば、携帯電話やスマホで使われているマイクロ波による人体影響である。マイクロ波に遺伝子毒性があることは、ほぼ定説となっている。しかも、当初、考えられていたよりも遥かにわずかな被曝でも、人体に影響があることが分かっている。
次に示すのは、マイクロ波の規制値国際比較である。
日本:1000μW/cm2
イタリア:10μW/cm2
スイス:6.6μW/cm2
EU:0.1μW/cm2(提言値)
ザルツブルグ市:0.0001W/cm2(室内目標値)
この数値を見るだけで、日本の総務省がいかに無知であるかが分かる。産業界と癒着しているかが分かる。
マイクロ波による人体影響を理由に、携帯電話の基地局の撤去を求めると、電話会社は必ず次のように弁解する。災害時にそなえて、携帯電話の基地局を維持する必要がある、と。公共的な性格があるので撤去できない、と。
ところが今月になってから九州北部を襲った豪雨で、携帯電話は何の役にも立たなかった。通信不能に陥ったのだ。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクによると、5日午後から携帯電話が通じにくくなった。ドコモは8日午後6時現在、福岡県の朝倉市、東峰村、熊本県の小国町、大分県の日田市の一部でつながりにくい状況だ。KDDIとソフトバンクも朝倉市や東峰村などで同様の状況という。基地局をつなぐ電線が切断されたか、停電で基地局から電波が送れなくなった可能性が高いという。
(朝日デジタル)
携帯電話といっても、ケーブルなしには機能しないわけだから、当然のことである。

2017年5月度のABC部数が明らかになった。それによると、朝日新聞が前年同月比で約32万部の減部数、読売新聞が約20万部の減部数となった。朝日・読売の2大紙の低落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。
一方、ゆるやかな没落傾向にあった毎日新聞と産経新聞も、ここひと月で大きく部数を減らしている。前月比で、毎日は約4万6000部を減らし、産経は約7万4000部を減らした。この数字を12倍して1年に試算すると、それぞれ55万2000部の減、88万8000部の減ということになる。両社の経営規模からすれば、極めて深刻な実態といえるだろう。
特に産経は、現在のABC部数が約152万部なので、このペースでいくと1、2年で倒産しかねない。
ABC部数には、「押し紙」が含まれているので、ABC部数の増減が直接的に新聞社の経営実態を反映しているかどうかは、慎重に検証する必要がある。ただ、たとえ減部数分が「押し紙」であったとしても、それを減らさなければ、新聞販売店の経営が成り立たなくなっているわけだから、新聞業界が急激に衰退していることは間違いない。
中央紙の5月のABC部数は次の通りである。(かっこ)内は、対前年比。(前月比ではない。)
朝日 6,216,135(-324,110)
毎日 3,003,814(-58,432)
読売 8,793,554(-198,117)
日経 2,716,083(-7,027)
産経 1,520,941(-46,364)
◇借金を背負う前に早めの相談を

最近、筆者のもとに新聞販売店からの相談が増えている。「押し紙」で経営が悪化している場合は、借金を累積させて廃業に追い込まれる前に、「押し紙」を断る方が賢明だ。弁護士が介入することで、解決するケースが急激に増えている。「押し紙」裁判に持ち込めば、新聞社サイドが判決を嫌う傾向が生まれている。判例ができると、その影響が甚大になるからだ。
裁判所もこのあたりに配慮しているのか、東京地裁で行われている毎日新聞の「押し紙」裁判は、「弁論準備」を口実にして密室で行われている。憲法では、裁判は公開で行うのが原則なのだが。
当面の対策として販売店は、新聞の商取引に関する書類は全文保管しておくことだろう。それと担当員との会話はすべて録音しておくことが大事だ。
メディア黒書は、もともと「押し紙」問題を告発するためのサイトだったので、今も販売店の相談に応じている。秘密厳守で、もちろん費用はかからない。
相談の電話は、048-464-1413。
【写真】白石興二郎日本新聞協会会長
【参考記事】2020年5月度のABC部数、朝日新聞は「500万部切れ」へカウントダウン、止まらぬ新聞発行部数の急落

今年はチェ・ゲバラが没して50年にあたる。医師、文筆家、革命家、そして国際主義者。1967年10月8日、ボリビアのアンデス山脈にあるチューロ渓谷の戦闘で捕えられ、翌日、銃殺刑に処された。
このところキューバのプレンサラティナ(紙)が連日、同紙が撮影し保存しているゲバラの写真を掲載している。これまで筆者がほとんど見たことのない写真ばかりである。
冒頭の写真は、オスバルド・ドルティコス大統領(大統領職1959年~1976)とカストロ首相が米国の銀行を国有化するための書類にサインする場に立ち会っているゲバラである。
以下、いくつかの写真を紹介しておこう。
◇医学生1000人を受け入れ
5日付けの朝日新聞が、キューバについての記事を掲載している。タイトルは、「元ゲリラの再出発、キューバ手助け 医学生1000人受け入れ、コロンビアから」。
半世紀続いた内戦の末、6月27日に武装解除の終了を宣言した左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)。今後の課題は元戦闘員をどう社会復帰させるかだ。「医療での国際貢献」が国是のキューバは、元戦闘員ら1千人を医学生として受け入れる意向を示した。(ハバナ=平山亜理)
キューバの国際貢献の重要な柱に、医師や教師の派遣がある。キューバは医師の養成に力を入れており、WHOの調査によると人口1000人あたりの医師の数は、6.723人で世界第2位である。(2010年の調査)
1985年に筆者は、革命から6年を経たニカラグアを取材したことがある。当時は内戦の最中ということもあって、たくさんの医師がキューバから支援に来ていた。メキシコでも、医療研修で滞在しているキューバ人医師らにあった。長期滞在者向けの「下宿屋」で、一緒だった。
教師の派遣にも力を入れている。1985年のニカラグアは、革命後の文盲撲滅キャンぺーが展開されていて、軍事独裁政権の下で教育を受ける機会がほとんどなかった労働者や農民が、仕事が終わった後、読み書きを習っていた。
ちなみにニカラグアに対する支援は、キューバだけではなく、米国の市民による支援も、規模が大きかった。新政府も、外国人の入国を歓迎していた。国の実情を、自分の眼で見てほしいという考えがあったのだろう。
こうした国際間の市民レベルの取り組みが国際主義である。
◇キューバの国際主義
他国の市民をあたりまえに支援する思想はどこから生まれたのだろうか。正確な答えは分からないが、それはゲバラの生きかたでもあった。キューバ革命の後、ゲバラはコンゴやボリビアの革命運動を支援している。
他国におけるゲリラ戦を支援する是非については、さまざまな議論があるが、少なくとも抑圧された民族を支援するという精神は崇高だろう。米国が軍事独裁政権下の軍隊に米国人司令官を送り込んで、軍事訓練を指揮するのとは意味が違う。
プレンサラティナで始まったゲバラの写真特集は、キューバの思想を象徴している。

加計学園をめぐる事件で、10日、前川喜平・前文部科学事務次官を参考人招致して閉会中審査が行われる。舞台になるのは、衆参の内閣委員会と文部科学委員会である。これら2つの委員会で、同審査会が行われるのだ。
そのこと自体は歓迎すべきことだが、読者は内閣委員会に関する極めて不可解な事実をご存じだろうか。内閣府が加計学園事件の疑惑の的であるにもかかわらず、先月閉会した国会では、内閣委員会がほとんど休会になっていたのだ。
同委員会の主導権を握る自民党が開かなかったのだ。
これについてはメディア黒書で既報したが、改めて内閣委員会の開催情況を確認してみよう。3月に国会がはじまり、内閣委員会も最初は順調に開催されていた。ところが4月13日から約2ヶ月「休会」になった。国会が閉会する直前の6月7日に再開されたが、この日が最終日となった。
加計学園事件についての質疑応答は、6月7日に行われただけだ。つまり内閣委員会を開かないことで、真相の解明を避けたのである。
このような異常な国会運営がまったく報じられなかったのは、皮肉なことに、内閣府に記者クラブがないからだ。そのため情報がメディアに十分に伝わらなかった。それをいいことに内閣委員会の開催を自民党は避けたのである。
◇内閣府にかかっている重大な不正経理疑惑
さらに内閣府が抱えているもうひとつの重大問題がある。広告代理店を巻き込んだ裏金作りの疑惑である。メディア黒書で既報したように、博報堂が内閣府に提出した広報活動費の請求書(2012年度から15年度)には、インボイスナンバーが付番されていない。故意に外してあるのだ。しかも、請求額は約64億円もの高額になっているのだ。
他の広告代理店の請求分を含めると、加計学園や森共学園に関して疑惑がかかっている金額の比ではない。
何者かがインボイスナンバーを故意に外した理由は、推測になるが、コンピュータと連動した博報堂の会計システムとは別のところで、請求書の事務処理をおこなうことが目的だった可能性が高い。
周知のように、現在の会計システムはコンピュータと連動している。そのためにインボイスナンバーを付番して、見積書、請求書、納品書をひもつきにして、会計処理するのだ。
クレジットカードに番号がなければ、コンピュータ処理できないのと同じ原理である。
これを逆説的に考えると、内閣府の請求書をコンピュータによる経理システムから外すために、何者かがインボイスナンバーを故意に付番しないように指示したともいえるのだ。それにより、内閣府が支払った国費を、非正規の銀行口座にプールすることができる。つまり裏金作りが可能になるのだ。ただし誰がこのような手口を指示したのかはまったく不明だ。
コンピュータと連動したシステムが整備されていないのであればともかくも、システムがあるのに、64億円もの大金をあえて別会計にする合理的な説明はない。
参考までに2015年度分の内閣府の請求書を紹介しておこう。ほとんどが黒塗りになっていて、支払い明細はまったく分からない。書式も、驚くべきことにエクセルである。博報堂の正規の請求書ではない。日付もロゴもない。
筆者は、実は内閣府の不正経理疑惑について、今年の2月末に、『週刊金曜日』に記事を書いた。そのコピーを内閣委員会の全メンバーに送った。金額があまりにも大きいので、この疑惑について考えてもらおうと思ったのだ。
共産党は特にこの問題を重大視して、内閣委員会での国会質問の準備をしていた。ところが内閣委員会そのものが開かれなかったのだ。開催を求めても断られたという。
現在、この問題について会計検査委員が調査しているようだ。
内閣委員会が休会に入ったのが4月13日からであるから、最初はこの経理問題がネックになり委員会が開けなくなった可能性が高い。その後、5月になり加計学園の問題が浮上して、一層開けない状態に陥ったのではないだろうか。
◇内閣委員会の秋元司委員長の言い分
内閣委員会の秋元司委員長(自民)は、これについて次のように弁解した。
委員会を開く場合、関係する大臣の出席を求める必要があるのだが、大臣のスケジュールが重なったために、他の委員会に譲った。しかし、他の委員会で同じテーマが取り上げれらている。「主戦場」を譲ったかたちになった。その方針に野党も合意していた。加計学園の問題も、他の委員会で取りあげられている。内閣委員会では、このようなことがよくある。
苦しい言い訳である。これでは、大臣(主に管官房長官)が出席を拒否したら委員会を開かなくてもいいことになる。自民党が主導する内閣委員会の運営そのものが異常と言わなければならない。
【写真】内閣委員会の秋元司委員長

政府広報のCMは、本当に契約書の仕様に従って制作され、放送されているのだろうか。それを疑わせる事実を紹介しょう。
筆者は、今年の4月13日に、次の文面で、総務省に対して情報公開請求を申し立てた。
現在、総務省が保管しているテレビCMの放送確認書の全部
放送確認書とは、テレビCMが放送されたことを証明する文書のことである。1990年代の後半に民放放送局で、テレビCMの「間引き」が発覚し、民放連や日本広告主協会などテレビや広告関係の団体が共同で対策に乗りだした。そして放送確認書を発行するシステムを開発したのである。
放送確認書を発行するシステムは、コンピューターと連動したものである。制作したテレビCMに10桁コードを付番してコンピューターに入力しておくと、実際にそれが放送された時点で自動的に10桁コードが記録される。それをプリントアウトした書面が放送確認書だ。
従って放送確認書に10桁コードが印字されていれば、テレビCMが放送された証となり、印字されていなければ、何らかの事情で放送されなかったことになる。何らかの事情とは、たとえば、プロ野球放送の延長や、自然災害の中継など臨時の特別番組が組み込まれた時などである。
広告主は、これを見て自分がスポンサーになったテレビCMが本当に放送されたかどうかを確認するのだ。
このシステムは2000年から導入された。現在では、民放連に加盟する放送局に対しては、導入が義務づけられている。衛星放送協会に加盟する放送局も放送確認書のシステムを導入している。いわば日本の放送界では、常識となっているシステムなのだ。もちろんテレビCMのスポンサーも知っている。
当然、筆者は総務省が放送確認書が何かを知っているものと思っていた。事実、確か3月だったと記憶しているが、国勢調査のテレビCMの放送確認書の開示を請求した際に、総務省は廃棄したと回答している。この回答を受けて、筆者は、現在保存されている全部の放送確認書の開示を申し立てたのである。
◇総務省による情報隠しの手口
ところが総務省は4月17日に、「行政文書開示請求書の補正について」という文書を筆者に送付して、開示を希望する文書をもう少し具体的に特定するように求めてきた。筆者は、総務省が放送確認書が何であるかを知らないことに驚いた。放送界や広告界では知らない者はまずいない。当然、放送を管理している総務省のテレビ担当者も知っているものと思っていた。
私は次のような文章で希望する文書を特定した。
現在、総務省が保管しているテレビCMの広義の放送確認書の全部
最初に定義した文章に、あえて「広義」を加えて、「広義の放送確認書」としたのである。と、いうのも放送確認書のタイトルは、放送局により、若干異なっているからだ。たとえば、テレビ東京は「タイムテレビ 放送確認書」、フジテレビは「タイム放送確認書」、TBSは「テレビスポット放送確認書」となっている。「広義」を加えることで、総務省による情報隠しの抜け道をなくしたのである。
ところが私の回答に対して総務省は、5月11日に、「行政文書開示請求書の補正について(2)」と題する文書を再び送付してきた。この中で、「『テレビCMの広義の放送確認書』がどのような文書か判然としないため、当省が開示する行政文書を特定することができず、手続を進めることができません。つきましては、開示する行政文書を特定するため、『テレビCMの広義の放送確認書」がどのような情報が記載された文書なのか、別紙に明記していただけますようにお願いします。」と通知してきたのだ。
筆者が回答しない場合は、「テレビCMに関する『放送確認書』という名称の文書のみについて、当省における保有状況を確認のうえ、開示決定等の手続を進め」るという。つまり「放送確認書」の頭に「テレビタイム」、「テレビスポット」や「タイム」が付いている放送確認書は、開示しないということである。
これが総務書による情報隠しの手口である。あるいは情報を隠す以前に、放送確認書そのものが存在しない可能性もある。つまり制作も放送もぜすに、お金だけ広告代理店に支払った可能性--つまりテレビCMの「中抜き」疑惑があるのだ。
「行政文書開示請求書の補正について(2)」に対して、筆者は回答しなかった。予測どおりに、総務書は筆者に何の書類も送付してこない。2ヶ月近くになるが、音沙汰がない。
政府のテレビCMが制作も放送も行われていないのであれば、総務省はそのための国会予算を広告代理店にプレゼントしたことになる。今後、徹底した検証が必要ではないか。
【参考記事】高市早苗総務大臣と森裕子議員の政治献金を悪用したマネーロンダリング、与野党政治家の劣化が顕著に
【写真】高市早苗総務大臣

昨日(6月30)で、筆者(黒薮)の最初の著書、『ぼくは負けない』(民衆社)が刊行されて40年である。初版が1977年6月30日で、再製本されたり、シリーズもので再出版されたりで、結局、25版ぐらい重ねた本である。アマゾンで7980円、または167円で購入できるが、ほとんどの公立図書館にある。ただし、「書庫」に移されている可能性が高い。
この本は、1970年ごろの日本の中学校教育のひどい実態を記録したものである。筆者は、もともと記録する習慣があったので、中学校での3年間の学校生活をかなり詳しく書き残していた。
道徳教育が熱心な学校で、朝礼で呪文を唱える儀式があった。それを弁論大会で批判すると、教師に殴られたり、自宅へ怒鳴りこまれたりといったひどい扱いを受けた。校長からも呼び出されて説教された。これらの実態を克明に記録して残しておいた。
たまたまこの中学校には、生徒指導のための日誌があった。その提出が義務づけられていた。筆者は、強制されるのが嫌いなので、提出を拒否していた。しかし、あまりしつこく提出を迫ってくるので、それならということで、ある時期から、この日誌を通じて、担任教師に「君が代」論争などを挑んだ。困った教師は、筆者の日誌にはコメントしなくなった。
勉強はまったくしなかった。内申書は最悪で地元の高校にも落ちた。
高校を卒業した次の年に、リベンジのために、中学校の記録をまとめて出版したのがこの本である。
40年後に本書を読み返してみると、道徳教育が重視されるようになった現在の状況下で、1970年ごろの中学校の実態が、復活しているのではないかという危惧を感じる。価値観の押しつけなど、「期待される人間像」にみる観念論教育が復活してきた危惧を感じる。40年の歳月は感じさせないはずだ。
序文は、和光学園の元校長・故丸木政臣氏に書いていただいた。すぐれた書評になっているので、序文の部分だけ紹介しておこう。

内閣府に対して5月22日に申し立てた情報公開請求の開示が大幅に遅れる見通しとなった。内閣府が筆者に通知してきた開示期限は、なんと2018年(平成30年5月21日)である。民間企業の社員に比べて、公務員の仕事が遅いことは周知しているが、度がすぎるのではないか?
筆者は、今年(2017年)5月22日に、内閣府に対して、次のような文面で情報公開請求を行った。
2016年度(2016年4月~2017年3月)に実施した政府広報に係わる契約書、及びそれに対応する見積書と請求書の全部。見積書が存在しない場合は、契約書と請求書。
これらの資料を入手する目的は、国策のPR活動(国策プロパガンダ)にどの程度の国家予算が投入されているかを調べることである。読者もおそらく周知のように、筆者はまず博報堂が関与したPR活動について詳しく調べた。その中でインボイスナンバーを外した請求書が内閣府だけで4年間で約64億円分あることが判明した。
【参考記事】内閣府だけで4年間で約64億円、インボイスナンバーを外した博報堂の請求書
しかも、インボイスナンバーを外した請求書の存在は、文部科学省や環境省、防衛省など他の省庁でも確認された。つまり組織的で、大がかりな裏金作りが行われてきた疑惑があるのだ。
そこで筆者は、調査の第2段階として、国策プロパガンダに関与している全企業(広告代理店以外も含む)を調査対象にして、情報公開請求を行ったのである。
その結果、内閣府は開示の手続に1年を要すと通知してきたのだ。
内閣府が開示延期の法的根拠としてきたのは、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の第11条である。
開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から六十日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、行政機関の長は、同条第一項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 本条を適用する旨及びその理由
二 残りの行政文書について開示決定等をする期限
内閣府は、大量の資料が存在するというのだから、おそらく莫大な金額が国策プロパガンダに投じられていることになる。
◇文部科学省は、開示命令に従わず
一方、昨年、文部科学省に対して行った情報公開請求(「日本人の海外留学促進事業」のPR活動など2点)については、情報公開・個人情報保護審査会(総務省に設置)から、文部科学省に対して開示命令が下りているが、文部科学省はそれに従っていない。
【参考記事】加計学園事件への関与が疑われている文部科学省、情報公開制度の運用にも大きな問題、審議会の命令にすみやかに従わず
国策プロパガンダに名を借りた不自然な国家予算の支出は、博報堂を対象とした調査で、多くの省庁にまたがっていることが判明したわけだから、第3者委員会を設置して調査するのが筋ではないだろうか。さもなければ延々と国家予算をドブに捨てることになりかねない。




