加計学園事件への関与が疑われている文部科学省、情報公開制度の運用にも大きな問題、審議会の命令にすみやかに従わず
加計学園事件への関与が疑われている文部科学省には、情報公開制度の運用にも大きな問題があることが分かった。どの官僚が司令塔になっているのかは知らないが、情報の扱いに関しては、国民よりも、企業の利益を優先して物事を決めているようだ。
発端から説明しよう。
昨年、筆者は文部科学省に対して、同省が博報堂と交わした業務に関係する公文書(「日本人の海外留学促進事業」のPR活動など2点)を公開するように申し立てた。これに対して、文部科学省は、大半を黒塗りにしたうえで、文書を公開した。
これに対して筆者は、情報公開・個人情報保護審査会(総務省に設置)に異議を申し立てた。その結果、同審議会は、筆者の主張を部分的に認め、黒塗り部分の一部を解除して公開するように命令を下した。
詳細については、次の記事に詳しい。
【参考記事】文部科学省が黒塗りにした文書の一部公開を命じる、総務省の情報公開・個人情報保護審査会
当然、文部科学省は、審査会の決定に従わなければならない。
ところがその後もすみやかに文書を公開しないので、同省に事情を問い合わせたところ、「これから検討する」との返答があった。文部科学省としては、現段階では、命令に従うかどうかを判断していないというのだ。
なにかやましいことでもあるのだろうか?
◇天下りを想定しての対応か?
筆者が問題にしている公文書は、博報堂が関与している次ぎの2点である。いずれも大半が黒塗りになっている。特に後半が凄まじい。読者には自分の眼で、その実態を確認してほしい。
■学校と地域の新たな協働体制の構築のための実証研究(約800万円)
これら2件のプロジェクトは博報堂が請け負ったものである。いずれの請求書も、インボイスナンバーが外してあり、コンピューターと連動した会計システムから除外したうえで、経理処理された可能性がある。当然、裏金づくりの疑惑があり、調査を必要としている。国家予算の使途を監視するのは、当然である。
「日本人の海外留学促進事業」について言えば、たった9ページのごく普通のウエブサイトの制作で、博報堂に対して2100万円を支出していたことが、別の公文書で判明している。相場は、300万円程度である。
調査という観点からも、文書の公開は不可欠といえるだろう。
このように文部科学省の幹部には、加計学園の事件でもはっきりしたように、情報の取り扱いに問題がある。国民の利益よりも、なぜか取引先企業の利益を優先している。
天下りが念頭にあるのだろうか?
【写真】松野文部科学大臣