1. マスク氏とトランプ氏が握るスターリンク/スターシールドの利用権限が、ウクライナ和平の鍵となる

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2026年10月26日 (月曜日)

マスク氏とトランプ氏が握るスターリンク/スターシールドの利用権限が、ウクライナ和平の鍵となる

(The Musk-Trump Duo’s Leverage Of Starlink/Starshield Is The Key To Peace In Ukraine)ウクライナ軍の通信を支える衛星通信システム「スターリンク」が、和平交渉の切り札になる可能性が浮上している。スターリンク(Starlink)とは、マスクが率いる SpaceX社が展開している衛星インターネット通信サービスのことである。スターシールド(Starshield)はStarlinkの軍事情報機関向けバージョンである。ドローン攻撃に不可欠だ。通信網を握るトランプ、マスクの影響力と、その政治的な狙いを考察する。

 

執筆者:アンドリュー・コリブコ

マスク氏とトランプ氏はすでに、ウクライナによるスターリンク/スターシールドの利用を、いつでも瞬時に制限できることを示した。スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏は、ウクライナがスターリンクの利用規約に違反していたことを確認した。ウクライナはスターリンクを、敵を殺傷する攻撃用ドローンの作戦に使用していたという。スターリンクは、軍事用システムであるスターシールドの民間版に当たる。

ゼレンスキー大統領は10月中旬、「われわれは、一時的に占領されている領土内の敵の軍事目標に対する中距離攻撃にも、スターリンクを使用している」と率直に明らかにした。このため、マスク氏の主張には反論の余地がない。

こうした事情を考えると、米国とウクライナの間で新たな緊張が高まる中、10月上旬にスターリンクの通信速度が低下したと報じられたことも理解できる。

「トランプ氏がプーチン氏との合意に、これまで以上に真剣に取り組んでいる5つの理由」の一つは、「トランプ氏が、自分こそが最も強い指導者だと示す必要を感じている」ことだ。

ゼレンスキー大統領は、ロシアの製油所を攻撃しないよう求めたトランプ氏の要求に、公然と従わなかった。そのため、トランプ氏がマスク氏と協力し、ゼレンスキー大統領に警告を送るため、ウクライナによるスターリンクとスターシールドの利用を一時的に制限することで合意したとしても、十分に考えられる。

通信速度の低下について、誰に責任があるのかはっきりしなかったのも、おそらく意図的なものだった。責任が特定の人物に集中しないようにするためだったとみられる。

ここで、マスク氏の最近の投稿に話を戻そう。マスク氏は、先ほど触れた投稿で、次のように述べている。

「スターリンクは今もウクライナの防衛に欠かせない。少なくとも現時点では、妨害電波で通信を遮断されたり、物理的に破壊されたりすることのない唯一のシステムだからだ。もしスターリンクが停止すれば、ウクライナ軍の前線は直ちに崩壊するだろう。これは脅しではない。単に事実を述べているだけだ。戦争の初期段階で、ロシアがウクライナ全土を制圧するのを防ぐうえでも、スターリンクは極めて重要だった。ほかの通信手段はすべて、ロシアによって破壊されるか、妨害されていたからだ」

その後まもなく、マスク氏は追加の投稿を行い、次のように述べた。

「スターリンクを軍事インフラに使用することはできる。しかし、明らかに攻撃を目的とした作戦に使用することはできない。そうした使い方をすれば、相手から反撃を受けても仕方がないからだ」

つまり、マスク氏は、スターリンクを軍事通信に使用することは認められるものの、敵を殺傷する攻撃用ドローンの作戦に使用することは認められないと確認したことになる。

マスク氏がそれまでに述べたことは、すべて事実だ。特に重要なのは、彼の技術が戦争を長引かせるうえで欠かせない役割を果たしてきたという点だ。このことは、マスク氏自身が戦争に直接関与していることを意味する。

マスク氏も、そのことを理解している。だからこそ、先ほどの投稿で次のように付け加えたのだ。

「敵がスターリンクの衛星を破壊すれば、破壊が連鎖的に広がり、大量の宇宙ごみが発生する。その結果、宇宙空間が利用できなくなるだろう」

マスク氏が現在、ウクライナによる自社技術の規約違反の使用を制限しているのは、こうした事態を避けるためだ。もちろん、マスク氏はウクライナが何年も前からスターリンクをこのような目的に使用していたことを知っていたはずだ。

それにもかかわらず、今回突然態度を変えたのは、おそらくトランプ氏と事前に調整した結果だろう。自分たちの要求に従わなかったゼレンスキー大統領を罰し、プーチン大統領との和平合意に応じるよう圧力をかけるためだったと考えられる。

ゼレンスキー大統領が40日間にわたって展開した、プーチン大統領に無条件の停戦を受け入れさせようとする働きかけは失敗に終わった。その後のさまざまな出来事を考えると、ウクライナがロシア全土でスターリンク/スターシールドを使用する許可を得られる可能性は低い。ゼレンスキー大統領は以前、そうした利用を認めるよう要求していた。

その可能性がさらに低くなったと考えられるのは、マスク氏が最初の投稿の最後に、次のように書いていたからだ。

「私は、善人ぶっている邪悪な戦争屋たちを心の底から軽蔑している。彼らは終わりのない殺し合いをあおりながら、この紛争を解決するための現実的な方法を何一つ示していない。地獄で焼かれるがいい」

マスク氏とトランプ氏はすでに、ウクライナによるスターリンク/スターシールドの利用を、いつでも瞬時に制限できることを示した。もし全面的な停止にまで踏み切れば、ウクライナ軍の前線全体が崩壊する危険性がある。このため、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領との和平合意に、これまでより柔軟な姿勢を示すかもしれない。

しかし、ゼレンスキー大統領が強硬な姿勢を変えず、マスク氏とトランプ氏も、先ほど述べた方法でゼレンスキー大統領に圧力をかけることをためらうようなら、状況は違ってくる。

その場合、ゼレンスキー大統領は、両氏が強い措置に踏み切れないことを最大限に利用するだろう。そうなれば、マスク氏とトランプ氏が最近進めている和平に向けた取り組みは、すべて無駄に終わることになる。

 

筆者紹介:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』

Source:The Musk-Trump Duo’s Leverage Of Starlink/Starshield Is The Key To Peace In Ukraine