1. スロバキアのフィツォ首相、「偽旗作戦」(ポーランドで?)によって自国をロシアとの戦争に巻き込ませるつもりはない

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2026年09月21日 (月曜日)

スロバキアのフィツォ首相、「偽旗作戦」(ポーランドで?)によって自国をロシアとの戦争に巻き込ませるつもりはない

Slovakia’s Fico Won’t Let A False Flag (In Poland?) Drag His Country Into War With Russia)スロバキアのフィツォ首相は、NATOとロシアの直接衝突への懸念を示し、自国を戦争に巻き込ませない姿勢を強調した。記事は、NATO条約第5条が加盟国に軍事力の行使を一律に義務づけていない点を指摘。そのうえで、ポーランドなどで起きたドローンやミサイルをめぐる事件を取り上げ、ロシアとの軍事的緊張を意図的に高める「偽旗作戦」が行われる可能性があるとの見方を示している。

 

執筆者:アンドリュー・コリブコ

NATO条約第5条は、同盟国を支援するために必ず軍事力を行使しなければならないと定めているわけではない。ましてや、ポーランドのリベラル派が望んでいるように見える、偽旗作戦(あるいは本当の事故でさえ)を利用するために作られた条項では決してない。

【黒薮注】NATO条約第5条:締約国は、欧州または北米における一または二以上の締約国に対する武力攻撃を、すべての締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。

したがって、そのような武力攻撃が発生した場合、各締約国は、国際連合憲章第51条によって認められている個別的または集団的自衛権を行使し、攻撃を受けた締約国を援助する。そのため、各締約国は、北大西洋地域の安全を回復し維持するため、武力の行使を含め、自国が必要と判断する行動を、直ちに、個別に、また他の締約国と共同してとる。

このような武力攻撃、およびその結果としてとられたすべての措置は、直ちに国連安全保障理事会に報告されなければならない。これらの措置は、安全保障理事会が国際の平和および安全を回復し維持するために必要な措置をとったときに終了する。

スロバキアのロベルト・フィツォ首相は最近、ロシアとの戦争に自国が巻き込まれないよう最大限の努力をすると国民に語り、注目を集めた。NATO条約第5条に基づいて、そのような戦争への参加を求められた場合も含まれるという。

フィツォ首相は同じ場で、欧州のNATO加盟国とロシアが、これまでになく戦争に近づいているとも警告した。さらに、最近ウクライナを訪問した欧州各国の首脳らについて、「彼らはNATOとロシアの大規模な衝突を引き起こす口実を探しているだけなのではないかと、私は深く懸念している」と述べた。

この点にとりわけ当てはまるのが、現在ポーランドで政権を握るリベラル派だと私は考えている。彼らはロシアとの大規模な対立激化を画策しているように見えるが、それを実行するには、保守派の大統領をうまく説得して同意させる必要があるという。

リベラル派のドナルド・トゥスク首相は春以降、ロシアによる攻撃の可能性について不安をあおってきたが、今月に入ってその発言は私が「ヒステリー」と表現するほど激しくなった。また、ラデク・シコルスキ外相も挑発的に「ロシアはすでに欧州と戦争状態にある」と主張している。そのため私は、彼らがゼレンスキー大統領とともに偽旗作戦を仕組む可能性があると推測している。

これに関連して、ポーランドの保守派の前大統領アンジェイ・ドゥダは退任後、2022年末に起きたプシェヴォドゥフでの事件について語った。この事件では、軌道を外れたウクライナの防空ミサイルによってポーランド人2人が死亡した。

私は、ドゥダの発言によって「ゼレンスキーがポーランドをロシアとの戦争に巻き込もうとしていたことが、遅ればせながら確認された」と主張している。当時ウクライナ側は、ポーランドに着弾したのはロシアのミサイルだと主張していた。私はこれを「ウクライナが、誤ってポーランドを攻撃した後、NATOをだまして第三次世界大戦を始めさせようとした」と解釈している。しかし、一部ではドゥダがその主張に乗るのではないかと考えられていたものの、実際にはそうしなかった。

同様に、2025年9月にロシアのドローンが誤ってポーランド領内に侵入した際も、ドゥダの後任であるカロル・ナヴロツキ大統領は、ロシアとの戦争につながりかねない動きには乗らなかった。このドローン侵入について私は、電波妨害によって航路がずれた可能性が高いとみている。

また私は、トゥスク政権が、ある住宅を破壊したのはロシアのミサイルだったと虚偽の説明をしたが、実際には軌道を外れた防空ミサイルだったと主張している。私の説によれば、ポーランドの国家機構内部の勢力が、ナヴロツキをロシアとの戦争へと誘導しようとして失敗したこの一件が前例となっており、同様のことが再び試みられるのではないかと疑う合理的な理由がある。

最近、ナヴロツキ大統領の報道官は、トゥスク首相がロシアによる攻撃が迫っていると警告するCIAの報告書を受け取ったと主張したことについて、「世論を刺激するためのでっち上げられた嘘」を広めていると非難した。一方、トランプ大統領は、ナヴロツキが状況を「コントロールしている」と述べた。

さらに米国は、欧州に駐留する米軍を大幅に削減する計画だとも報じられている。私は、もし米国がロシアによって近くNATO条約第5条が試される事態になると本気で予想しているのなら、そのような大規模な兵力削減を検討するはずがないと考えている。したがって、ナヴロツキもトランプも、偽旗作戦にだまされる可能性は低いとみている。

しかし万一、両者がそれに乗ってしまい、シコルスキ外相が以前提案していた「ウクライナ上空でロシアの飛翔体を迎撃する」案や「ウクライナに飛行禁止区域を設定する」案をナヴロツキが承認した場合、第三次世界大戦につながる現実的な危険が生じると私はみている。

そうなったとしても、フィツォ首相はスロバキア国民に、自国がその戦争に引きずり込まれることはないと伝えたいのだという。

そもそもNATO条約第5条は、同盟国を支援するために軍事力を行使することを必ずしも義務づけているわけではない。そして、ポーランドのリベラル派が望んでいるように私には見える、偽旗作戦(あるいは実際に起きた事故でさえ)を利用して戦争を引き起こすために作られた条項では決してない。

先週リトアニアで起きたドローン事件についても、私は別の記事で説明したように、ウクライナによる偽旗作戦だった可能性が高いと考えている。

これに加えて、トゥスク首相とシコルスキ外相を中心とする欧州のエリート層が、最近ロシアの脅威を盛んに訴えていることを考えると、ポーランドで何らかの偽旗作戦が計画されていると予想する理由があると私は考えている。

ナヴロツキ大統領が姿勢を崩さない限り、とりわけ、普段ナヴロツキが判断を仰ぐ傾向があると私がみているトランプ大統領が態度を揺らがせた場合でもナヴロツキが踏みとどまれば、第三次世界大戦につながる現実的な危険を伴う、ロシアに対する大規模な対立激化は回避されるだろう。

最終的には、そのすべてがナヴロツキ一人の判断にかかっているのかもしれない。

 

筆者紹介:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』
Source: https://korybko.substack.com/p/slovakias-fico-wont-let-a-false-flag?utm_campaign=post&utm_medium=web