2026年08月21日 (金曜日)
駐ロシア中国大使、日本に不穏な警告を発する

中国とロシアが、日本の急速な軍事大国化への警戒を強めている。駐ロシア中国大使は、日本の「再軍備」が地域の平和を脅かしていると主張し、ロシア側も同様の懸念を示している。筆者は、日米同盟を背景に日本と中露の対立が軍事衝突へ発展すれば、北東アジアが第三次世界大戦の発火点になりかねないと警告する。
執筆者:アンドリュー・コリブコ
もし「日本問題」(ほかに適切な呼び方がないので、こう呼ぶことにする)が近いうちに平和的に解決されなければ、北東アジアで第三次世界大戦が勃発する危険性は急激に高まるだろう。
駐ロシア中国大使の張漢暉(ジャン・ハンフイ)は、東京裁判(極東国際軍事裁判)から80年を迎えるのに合わせ、ロシア国営通信社TASSに時宜を得た論考を寄稿した。東京裁判は、いわば日本版のニュルンベルク裁判だが、西側諸国ではそのことを知らない人も多い。
張大使はまず、日本がカイロ宣言、ポツダム宣言、そして日本の降伏文書に反する形で再軍備を進めているとして、いくつかの事実を挙げた。その例として、各種ミサイルや海軍力の強化、武器輸出、そして日本の「2026年版防衛白書」を取り上げている。
これに関連して張大使は、次のように書いている。
「東京はまた、NATOの関連する軍事的枠組みへの参加を積極的に模索し、北大西洋同盟への統合を加速させている」
【黒薮注】北大西洋同盟:NATOの別称で、同じ意味。
さらに、
「日本は自国による植民地支配・征服を正当化し、台湾が中国に返還されたことの正当性を否定している」
とも指摘した。
中国にとっておそらく最も懸念されるのは、歴史的な宿敵であり、筆者の見方で、3500万人の中国人に対する「ジェノサイド」の責任がある日本が、核兵器保有の可能性をちらつかせていることだろう。そして、ひとたび政治的な決断が下されれば、日本には核兵器を大量生産する能力がある、というのである。
日本の急速な再軍備と核兵器をめぐる議論によって、地域的な脅威が再び高まっているとして、張大使は最後に次のように述べた。
「中国とロシアは、歴史的正義と国際法秩序を守ることに尽力する他の国々とともに、第二次世界大戦の歴史に対する正しい認識を断固として守り、日本軍国主義を復活させようとするいかなる試みも断固として抑え、苦難の末に勝ち取った平和を守り、より公正で合理的な国際秩序の形成を促進する用意がある」
この不吉ともいえる警告は、真剣に受け止めるべきだろう。なぜなら、これはロシア側の日本に対する評価とも一致しているからだ。
プーチン大統領の側近であるニコライ・パトルシェフは約1年前、ロシア国内メディアのインタビューで、要するに「日本はアジアにおけるアメリカの戦略を推進するうえで、これまで以上に大きな役割を担うようになる」と主張した。
その後、年末近くには、新首相の高市早苗が台湾有事における日本の軍事的関与について物議を醸す発言をしたことを受け、「日本は予想より早く中国に挑戦するかもしれない」との見方も示された。
先月末には、「ロシアの高官級外交官が、日本がロシアに及ぼす脅威の増大について言及した」。そして8月半ば、プーチン大統領がロシア極東を訪問した際には、「悪化する日露関係についてプーチンが嘆いた」とされている。
プーチン大統領とロシア太平洋艦隊司令官は、「AUKUS+」という言葉そのものは使わなかったものの、実質的には、日本がその中心的な役割を担おうとしていると指摘した。「AUKUS+」とはここでは、中国を封じ込めるためにアメリカが構築しつつある、NATOに似た軍事ネットワークを指している。
【黒薮注】AUKUS+:米・英・豪の3か国が、潜水艦や最先端軍事技術を共同で開発・運用し、軍事的な連携を深める枠組み。
したがって、日本の急速な再軍備と核兵器をめぐる議論は、ロシアにとっても深刻な脅威だということになる。
筆者によれば、この脅威を事前に取り除く方法は二つある。一つは、アメリカが「AUKUS+」を抜本的に再編し、その中で日本が中心的な役割を担わないようにすることだ。もう一つは、ロシアと中国が軍事力によって先制的に日本の脅威を無力化することである。
筆者はさらに、日本が国連憲章上の「敵国」とされていることを根拠として、ロシアと中国にはそのような行動を取る国際法上の権利があると主張する。しかし、その場合、日米の相互防衛体制を理由にアメリカが報復をちらつかせる可能性があり、結果として第三次世界大戦につながる危険が生じる。
かつて北東アジアで地域的な危機を引き起こす主な原因とみなされていたのは、北朝鮮の核兵器開発と核実験だった。しかし現在では、日本が再軍備と核兵器保有をめぐる議論によって、その役割に取って代わった、と筆者は考えている。
かつては北朝鮮の核開発が北東アジアの主要な火種だったが、いまや日本の軍備増強のほうが、中国とロシアという二つの核大国を同時に刺激する点で、より危険な火種になっている。そして、その中国とロシアに共通するライバルであるアメリカは、日本と相互防衛関係にある。
したがって、もし「日本問題」(ほかに適切な呼び方がないので、こう呼ぶ)が近いうちに平和的に解決されなければ、北東アジアで第三次世界大戦が勃発する危険性は急激に高まるだろう。
筆者紹介:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』
Source:https://korybko.substack.com/p/the-chinese-ambassador-to-russia
