読売の検索結果

2017年06月14日 (水曜日)

読売の部数は3年半で約110万部減、朝日は130万部、京都新聞社5社分の部数に匹敵、読売に懸念される加計学園事件の影響

4月のABC部数(新聞各社の公称部数)が明らかになった。新聞の凋落傾向には依然として歯止めがかかっていない。

この1年間で、読売は約19万部を減らした。ただし、この数字は「政府広報」の汚名をきせられる前の数字である。この件とは関係がない。

朝日は約36万部を減らした。朝日の方が読売よりも、部数減が激しいことを示している。

中央紙5紙のABC部数は次の通りである。()内は前年同月比である。

朝日:6,243,218(-363,344)
毎日:3,050,253( -65,179)
読売:8,811,732(-187,057)
日経:2,716,463( -14,309)
産経:1,594,855( -38,972)

全国の地方紙のABC部数は次の通りである。

■2017年度4月のABC部数(全紙)

◇肝心なのはABC部数ではなく実配部数

これらの数字を見る限り、新聞の凋落にまったく歯止めがかかっていないことがうかがえる。たとえば3年半前の2013年10月の部数と比較してみよう。()内は、3年半前の部数との差異である。

朝日:7,540,244(-1,297,026)
毎日:3,379,861(   -29,608)
読売:9,882,625(-1,070,893)
日経:2,775,184(   -58,721 )
産経:1,674,636(   -79,781)

朝日は約130万部を、読売は110万部を減らしている。意図的な「朝日バッシング」が多いこともあって、朝日だけが部数を減らしている印象もあるが、低落傾向は変わらない。

両社を合わせると、約240万部が消えた。これは京都新聞の約5社分に相当する。
◇「『押し紙』は1部もありません」

しかし、新聞社の経営を読み解く場合、ABC部数はひとつの参考でしかない。と、いうのもABC部数には「押し紙」が含まれているからだ。

「押し紙」とは、新聞の「実配部数+予備紙(常識的には搬入部数の2%)を超えて、新聞社が販売店へ送付する新聞のことである。つまり「押し紙」を除いた実配部数がいくらあるかが、新聞社の経営実態を見る際に重要なのだ。

その点、朝日は秋山社長の時代から「押し紙」を減らす政策を取っているので実配部数は、読売よりもはるかに多い可能性もある。

ライバル紙の読売新聞との戦いは、ABC部数ではなく、実際に読者にお金を出して購読していただいている「実配部数」の勝負です。頑張っている所長(黒薮注:販売店主)さんたちを強力に応援して、「攻め」と「守り」のメリハリのある戦いを挑みます。(『新聞研究往来』2012年1月16日)

「押し紙」はあっても、他社よりは相対的にはパーセンテージが低い。

なお、「政府広報」の汚名をきせられた読売は、「押し紙」は1部も存在しないと公言している。読売の代理人、喜田村洋一自由人権協会代表理事は、それを裁判の場で主張している。しかし、たとえ「押し紙」は1部もなくても、今後、加計学園事件の影響でABC部数が激減する可能性もある。

 

【参考記事「押し紙」否定論者の読売・宮本友丘副社長がABC協会の理事に就任していた、実配部数を反映しないABC部数問題に解決策はあるのか?

【写真】「押し紙」の回収風景。

「押し紙」回収の動画

2017年05月27日 (土曜日)

自由人権協会・喜田村洋一代表理事に対する疑問、共謀罪には反対だが、一貫して読売新聞社をサポート、二枚舌の典型

自由人権協会が5月15日付けで共謀罪に反対する声明を出している。声明そのものは、ステレオタイプな内容で特に感想はないが、筆者はある大きな疑問を感じている。

■自由人権協会の共謀罪反対声明

同協会の代表理事を務めている喜田村洋一弁護士が、一貫して読売新聞をサポートしてきた重い事実である。読売新聞は、安倍首相が熟読を勧めた新聞で、改憲論を主導し、共謀罪法案でも旗振り人の役を演じている。公称で約800万部の部数を有し、大きな影響力を持っている。

喜田村氏はその読売新聞をサポートしながら、その一方では共謀罪法案に反対する声明を出しているのだ。

この人物が過去に何をやったのか、筆者は克明に記録してきた。喜田村弁護士が作成した資料(主に裁判関係)も永久保管している。それを基に手短にいくつかの事実を紹介しておこう。

◇2つの真村訴訟

周知のように喜田村弁護士は、ロス疑獄事件の三浦和義被告や薬害エイズ裁判の安倍英被告の代理人弁護人を務めて無罪を勝ち取ったことで有名だ。これらの判決については、様々な意見があるが、弁護士としての職能が優れていることは間違いない。

その職能を生かして読売新聞をサポートしてきたのである。たとえば、福岡県広川町のYC店主が2002年に起こした地位保全裁判-真村訴訟で、読売の代理人を務めた。この裁判は、2007年12月に最高裁で真村店主の勝訴で決着した。

ところがその半年後、読売は別の理由をつけて、一方的に真村店主を解任した。その結果、再び店主は地位保全裁判を提起せざるを得なかったのである。これら一連の動きの中で、喜田村氏が東京から福岡へ何度も出張して、「大活躍」したのである。

この2度目の真村訴訟は仮処分申立てと本訴の2本立てで行われた。最初に判決が出たのは仮処分だった。店主の勝訴だった。裁判所は読売に対して、店主を元の地位に戻すように命令を下した。ところが読売はこの命令に従わなかった。

そのために裁判所は読売に対して、店主へ間接強制金を支払うように命じた。読売はこれには従った。1日に確か3万円だったと記憶している。

しかし、間接強制金の累積が3600円円を超えたころ、本訴で読売が勝訴した。そのために店主は、それまで受け取っていきた間接強制金の返済を求められた。喜田村弁護士らは、確実に返済をさせるために、真村店主の自宅を仮差し押さえたのである。その後、間接強制金の返済を求めて、店主を裁判にかけている。

◇黒薮裁判

真村店主が2度目の地位保全裁判を起こした2008年は、読売が裁判を多発した年である。前年の福岡高裁で同社の「押し紙」政策が認定されており、その影響もあったのではないかと思う。

まず、2月に喜田村氏らは、筆者に対して2件の裁判を起こした。1件は、著作権裁判、もう1件は名誉毀損裁判である。

著作権裁判は筆者の勝訴だった。裁判の中で喜田村弁護士らが、虚偽の事実をでっちあげて裁判を起こしていた高い可能性が認定された。当時の法務室長と共謀したでっち上げだった。

■弁護団声明

名誉毀損裁判は、地裁、高裁が筆者の勝訴。しかし、最高裁が口頭弁論を開いて、判決を高裁へ差し戻し、高裁の加藤新太郎裁判官が筆者に110万円の支払を命じる判決を下した。その加藤裁判官が、読売新聞の紙面に2度にわたりインタビューで登場していたことが後に判明した。退官後には、勲章をもらい、大手弁護士事務所へ再就職している。

読売は2009年にも筆者に対して裁判を起こした。総括すると、わずか1年半の間に、3件の裁判を起こして、約8000万円を請求したのである。

当然、これら一連の裁判はスラップの典型ではないかという批判が上がった。そのために出版労連が筆者を全面支援してくれた。九州からは、真村訴訟の弁護団が駆けつけて、東京で無償の弁護活動を展開してくれた。

また、筆者は逆に読売に対して、3件の裁判が一連一体の言論弾圧にあたるとして、5500万円の賠償を求める裁判を起こした。喜田村弁護士については、著作権裁判におけるでっち上げを根拠として、弁護士懲戒請求にかけた。しかし、2年半後、日弁連は請求を棄却した。

次の準備書面で事件の本質を的確に指摘している。

■懲戒請求申立の準備書面(2)

◇平山裁判

さらに喜田村弁護士らは、別の事件も起こしている。
筆者が最初の裁判に巻き込まれた時期、「押し紙」を断った久留米市の店主を解任して、地位不存在を確認する裁判を起こした。平山裁判である。

この裁判は店主の平山氏の敗訴で終わった。店主を解任する際、読売は読者調査(新聞の配達先を調べる作業)を行ったのだが、その費用まで店主に請求したのである。

平山氏は裁判の途中で病死された。告別式の出棺時に、中学生の息子さんが肩を小刻みに震わせて泣いていたのが筆者の印象に残っている。裁判の本人尋問の中で、この息子さんが幼少のころ、読売の担当員にからまれている平山氏をみかねて、担当員に「もう帰れ」と怒鳴った証言があった。

その後、裁判は奥さんが引き継がれた。しかし、敗訴して1000万円を超える賠償金を支払わされたのである。

これら一連の読売裁判を担当したのが、喜田村弁護士である。

◇7つの森書館裁判、清武裁判

喜田村弁護士が担当したのは、販売店訴訟だけではない。周知のように、7つの森書館や元読売記者の清武英利氏の裁判でも、読売の代理人を務めている。これらの裁判についても、不当裁判という批判が多い。

犯罪者も含めてすべての人は人権を有しているわけだから、読売を弁護する行為をどう評価するかは難しいが、読売を支援するのであれば、共謀罪に反対する声明など出すべきではない。自由人権協会そのものがまったく訳の分からない団体ということになってしまう。

【写真】喜田村弁護士らが断行した仮差押えの証拠

真村裁判・黒薮裁判・平山裁判については、拙著『新聞の危機と偽造部数』(花伝社))に詳しい。

 

2017年05月11日 (木曜日)

「読売新聞をぜひ熟読して」、新聞社が政府の広報部になった背景に絶望的な政界工作、事実を示す生資料を公開!

安倍首相の国会答弁が失笑をかっている。憲法改正の考え問われて、

  「読売新聞をぜひ熟読して」

と、答弁したのだ。

政界と新聞業界の関係は古くて新しい。手短に歴史を振り返ってみよう。

次に紹介する資料については、何度か単行本などで内容を紹介したが、生資料をインターネットで公開するのは今回がはじめてだ。

資料のタイトルは、「第四十回 通常総会資料」。1991年7月26日に日販協(日本新聞販売協会)が東京の如水会館で開いた通常総会の資料である。

この中に当時、新聞関係者の政界工作の受け皿になっていた自民党議員の一覧表が出ている。有力な議員が続々と名前を連ねている。小泉、小沢、森、石原・・・・。議員一覧(自民党新聞販売懇話会)は次の通りである。

■議員一覧

新聞関係者が本格的に政界工作に乗りだしたのは、1980年代の後半である。当時、新聞販売店に対する事業税の軽減措置が取られていた。しかし、これを廃止する政策が打ち出されていた。そこで金銭がらみの政界工作により、延長させていたのである。

新聞販売店から政治献金を募り、それを自民党新聞販売懇話会の議員に献金していた。

1990年代に入ると政界工作のテーマは、再販制度の維持に変わった。再販制度がなくなると、おなじ系統の新聞販売店のあいだで競争がはじまり、有力な販売店が台頭する。それは新聞社と販売店の縦の関係を崩壊させる。販売店のコントロールが難しくなる。

そして現在は、新聞に対する消費税の軽減税率適用を求める政界工作が続いている。新聞関係者は、2015年に税率8%の据え置きを勝ち取った。しかし、それに満足せず、現在は5%への軽減を求めている。

「押し紙」にも消費税がかかるからだ。しかも、「押し紙」には読者がいないので、消費税を販売店が負担することになるからだ。

現在、新聞販売懇話会に属する議員数は不明だが、2006年頃は、少なくとも100名を超えていた。山本一太議員や高市早苗議員が中心だった。

◇政府広報であることが発覚

しかし、政界工作とジャーナリズムは共存できない。こんな事は常識中の常識だが、日本では問題になってこなかった。お金がからんだ工作であるにもかかわらず誰も指摘しない。

「押し紙」問題にメスが入らないのも、新聞関係者が政治献金を通じて政界との「良好」な関係を構築しているからにほかならない。逆説的に考えれば、政界は新聞社の弱点を巧みに握ることで、新聞・テレビをコントロールしているのだ。

しかし、大半の新聞が、「政府広報」であることが発覚し始めている。国会の答弁で、首相が堂々と「読売新聞をぜひ熟読して」という段階にまでなっているのだ。

【写真】正力松太郎(元読売新聞社長、特高警察の出身で元A級戦犯容疑者)

2017年04月08日 (土曜日)

危惧される読売新聞販売店(YC)と警察によるスパイ活動、共謀罪と読売防犯協力会の関係

国会で共謀罪が審議入りした。平成の治安維持法とも言われるこの法律の審議入りに対して全国的な規模で反対の声が広がっている。日本ペンクラブも共謀罪に反対する声明を出している。

■日本ペンクラブの声明

この法律の危険な側面のひとつに、法律の施行に連動して、国家権力によるスパイ活動の必然性が浮上してくる点である。と、いうのも「共謀」を立証するためには、それを裏付ける情報の入手が不可欠になるからだ。その結果、会話の盗聴やインターネットの監視などが、昼夜を問わず日常的に行われるようになるのは間違いない。

旧ソ連や軍事政権下のチリ、それに北朝鮮のようになるのは間違いない。

◇新聞販売店を通じた情報収集

こうした状況の下で、特定の組織が警察によりスパイ活動に悪用されかねない危険性がある。たとえば全国読売防犯協力会(Y防協)という組織がある。これは全国の読売新聞販売店(YC)と警察の協力で、防犯活動を展開するボランティア組織である。本部は、読売新聞東京本社内にある。

警察と新聞関係者が協力体制を敷いている例は、世界でも極めてまれだが、このようなことが可能なのは、読売の故正力松太郎社長(元A級戦犯容疑者・写真)が戦前の特高警察の出身という特殊な事情があるようだ。

新聞販売店は早朝(午前2時)に仕事を開始する。しかも、販売店網は全国の隅々にまで張り巡らされている。そのため販売店をある種の「警察支部」的な拠点にすれば、確かに防犯には効果的だ。路地裏まで「監視」できる。

Y防協のウエブサイトによると、「活動の目標は次の4点に集約できる」という。

1.配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

2.警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する
3.「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

4.警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

■出典

「1」は特に懸念材料だ。読者の自宅を訪れた集金人から、訪問先の家に集まってなにかを話し合っている人々に関する情報が警察へ通報されるかも知れない。

防犯活動そのものは社会貢献に違いないが、それを警察と連携し、しかも、情報の通報が活動の中心になっているわけだから、共謀罪が成立すれば、Y防協は準スパイ組織に変質する危険性がある。

◇読売と全国の警察が覚書

Y防協が覚書を交わしている警察は次の通りである。

■出典

高知県警 2005年11月2日
福井県警 2005年11月9日
香川県警 2005年12月9日
岡山県警 2005年12月14日
警視庁 2005年12月26日

鳥取県警 2005年12月28日
愛媛県警 2006年1月16日
徳島県警 2006年1月31日
群馬県警 2006年2月14日
島根県警 2006年2月21日

宮城県警 2006年2月27日
静岡県警 2006年3月3日
広島県警 2006年3月13日
兵庫県警 2006年3月15日
栃木県警 2006年3月23日

和歌山県警 2006年5月1日
滋賀県警 2006年6月7日
福岡県警 2006年6月7日
山口県警 2006年6月12日
長崎県警 2006年6月13日

茨城県警 2006年6月14日
宮崎県警 2006年6月19日
熊本県警 2006年6月29日
京都府警 2006年6月30日
鹿児島県警 2006年7月6日
千葉県警 2006年7月12日

山梨県警 2006年7月12日
大分県警 2006年7月18日
長野県警 2006年7月31日
福島県警 2006年8月1日
佐賀県警 2006年8月1日

大阪府警 2006年8月4日
青森県警 2006年8月11日
秋田県警 2006年8月31日
神奈川県警 2006年9月1日
埼玉県警 2006年9月14日

山形県警 2006年9月27日
富山県警 2006年9月29日
岩手県警 2006年10月2日
石川県警 2006年10月10日
三重県警 2006年10月10日

愛知県警 2006年10月16日
岐阜県警 2006年10月17日
奈良県警 2006年10月17日
北海道警 2006年10月19日
新潟県警※ 2003年3月26日
沖縄県警 2008年6月12日

※新潟県警との締結は、03年9月に当時の生活安全部長と新潟県読売防犯協力会が締結したもの。県警の希望で新規更新はしていない

2017年02月23日 (木曜日)

博報堂、環境省のクールビスでも国家予算の使途に疑問符、新聞広告では読売と日経を優遇①

内閣府、文部科学省、総務省に続いて、環境省でも、博報堂による国家予算の使途が不透明な実態が分かった。約8億6000万円のプロジェクトで、博報堂は新聞広告はどのように出稿したのか?何が疑惑なのか?総論を紹介する。

クールビズとは、環境庁が進める地球温暖化防止やCO2削減のプロジェクトの総称である。その環境庁と博報堂の親密な関係は有名だ。たとえば、2007年6月8日に、民主党の末松義規議員が、環境省から博報堂へ3年間で約90億円もの国家予算が、環境関連プロジェクトに支出されていた事実を国会で追及したことがある。

その後も、自民党の竹本直一議員が、東日本大震災からの復興プロジェクトに関して、博報堂に対し除染関係の業務で約9億6000万円が計上された事実を国会で指摘した。

環境省と博報堂は、どのような国家予算の「食い方」をしているのか?

昨年、筆者は環境庁に対して博報堂との取引実態を示す各種の契約書、見積書、請求書を情報公開請求した。今年に入って、プロジェクトの「成果物」についても、情報公開を請求した。これに応じて環境省が開示した資料の中に何件ものクールビス関連のプロジェクトに関する書面があった。そのうちのひとつを本稿で紹介しよう。

プロジェクトのタイトル:「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」

契約金:862,852,000円

◇契約額が約1億円増額に

約8億6300万円のプロジェクトであるが、よく調べてみると、当初、環境省と博報堂が契約した時の価格は、約7億7600万円であったことが分かった。つまり一旦、契約した後、金額を増額して、再契約を結んだのである。しかも、増額が1億円近い巨額となっている。

環境省は見積書の表紙については開示したが、その明細は非開示にしたので、8億6300万円の具体的な使途はよく分からない。使途を推測する唯一の手がかりは、契約書に明記された作業内容であるが、記述が抽象的で、具体的にどのような作業を行う契約が結ばれたのかは、ほとんど分からない。

◇具体性のない仕様書

通常、プロジェクトの契約書には、「仕様」の欄に、詳細に作業内容を明記する。たとえば新聞広告に関して言えば、○月○日に、○○新聞に○○段スペースを掲載する、というふうに。しかし、環境省と博報堂と契約文は次のようなありさまだ。

・スポーツ・音楽・映画等の観点からも積極的に温暖化対策を啓発すること。

・自治体やNPO法人等地域関係者が連携した温暖化対策を実地すること。

もちろんウエブサイトの管理・運営など具体的な作業の取り決めもある。しかし、筆者が契約書を精査した限りでは、プロジェクトの中身が具体化されていないという強い印象を受けた。

契約の当事者である環境省と博報堂も、このような契約内容の問題点を認識しているのか、仕様書に「業務実施上の留意点等について」という節を設けて、プロジェクトの方向性を定めようとしているように見受けられるが、それも十分とはいえない。

たとえば新聞広告について言えば、次の記述に見るように、広告を掲載する新聞も掲載日も明記されていない。

・放送や新聞等の広告枠を利用した直接的な情報発信のみではなく、ニュース素材や社会現象となるようなPRとすることで、報道媒体によるニュース等に取り上げられ、高いパブリシティ効果を発揮させるメディア戦略を実行すること。

このような取り決めでは、博報堂の裁量で自由に作業を決定できることになりかねない。環境省が見積書の明細を開示できなかった事情もこのあたりに潜んでいるのではないか。国家予算の使い方には透明性が求められるはずなのだが。

■仕様書の例

◇箸にも棒にもかからない報告書

筆者は、このプロジェクトの実施報告書を入手した。これを手掛かりに、博報堂がどのような仕事をしたのかを検証してみた。

報告書は158ページである。しかし、仕事についての詳細を報告した内容というようりも、「成果物」の羅列の印象が強い。たとえば、博報堂が制作したロゴを使った媒体をコピーして掲載しているのだが、そのためのスペースに55ページも割いている。博報堂が執筆したオリジナルの文章はほとんどない。

■ロゴを使った媒体をコピーの例

しかも、博報堂が請け負った他のクールビス関連のプロジェクトの報告書の文面をコピーしたとしか思えない記述もある。

ほとんど報告書の態をなしていないのが実態なのだ。

◇日経と読売を優遇

新聞広告について検証してみよう。既に述べたように、新聞広告の具体的な仕様は、契約書には明記されていない。もっとも、環境省が開示しなかっただけで、別の書面を保管している可能性はあるが、少なくとも報告書を見る限り、ずさんな広告出稿を行った事実が確認できる。報告書によると、次の新聞に広告が掲載された。広告のサイズにも注目してほしい。

7月1日 日経 (15段)
7月17日 日経 (30段)
12月9日 日経(16段+記事スタイルの広告7段) 
12月16日 読売(15段)
12月20日読売(5段+記事スタイルの広告10段)
12月24日 読売Kodomo新聞(記事スタイルの広告11段)
12月24日~26日 ブロック紙+地方紙31紙(5段)
1月号 エコチルこども環境情報紙(記事スタイルの広告11段)

ちなみに「30段」広告とは、新聞の見開き2ページを割いた広告である。博報堂は出稿先として、なぜか日経と読売を優遇したのである。ちなみに読売広告社は、博報堂グループの傘下に入っている。

◇ジャーナリズム不在の悲劇

見積書も請求明細が開示されていないので、広告費として、日経や読売にいくら支払われたのかも分からない。

このような広告費ばら撒きの構図の下では、新聞ジャーナリズムを機能不全にすることができる。博報堂はジャーナリズムの監視がないところで、事業を展開することができるのだ。その結果、国家予算の使途に関する博報堂に対する疑惑が、環境省だけではなく、内閣府、総務省、文科省などでも浮上しているのである。

2017年01月24日 (火曜日)

読売新聞が1年で36万部減、朝日は27万部減、新聞の凋落に歯止めはかからず

2016年11月の新聞のABC部数が明らかになった。朝日新聞は約636万部で、前年同月比で約-27万部である。読売新聞は約900万部で、前年同月比で、-36万部だった。中央紙全体では、約82万部が減った。

新聞の凋落に歯止めがかかっていないことが明らかになった。

ABC部数の詳細は次の通りである。

朝日新聞 6,360,646(-273,799)
読売新聞 9,004,769(-363,735)
毎日新聞 3,027,684 (-176,882)
日経新聞 2,724,779(-4,241)
産経新聞 1,566,580(-1,836)

■2016年11月ABC部数全データ

なお、ABC部数には、「押し紙」(正常な新聞販売店経営に不要な部数)が含まれており、ABC部数の減少がかならずしも、新聞の購読者が減ったことを意味しない。

ABC部数の減少を解析する場合、購読者の減少と「押し紙」の減少の両面を考慮しなければならない。

 

2016年12月20日 (火曜日)

読売・喜田村洋一・自由人権協会代表理事らによる口封じ裁判から9年目に、今後も検証は続く

12月21日は、読売新聞社(西部本社)の江崎徹志法務局長がメディア黒書(旧新聞販売黒書)に対して、ある文書の削除を求める仮処分を申し立てた日である。代理人弁護士は、喜田村洋一・自由人権協会代表理事だった。2016年の12月21日は対読売裁判が始まって9年目にあたる。

江崎氏の申し立ては、わたしがメディア黒書に掲載した江崎名義の1通の催告書の削除を求めるものだった。しかし、江崎氏は法務室長という立場にあり、実質的には、江崎氏個人ではなく、読売新聞社との係争の始まりである。

事実、その後、読売から3件の裁判、わたしから1件の裁判と弁護士懲戒請求を申し立てる事態となった。

◇真村事件から黒薮裁判へ

この裁判の発端は、福岡県広川町にあるYC広川(読売新聞販売店)と読売の間で起こった改廃(強制廃業)をめぐる事件だった。当時、わたしは真村事件と呼ばれるこの裁判を熱心に取材していた。

係争の経緯については、長くなるので省略するが、2007年の12月に真村氏の勝訴が最高裁で決定した。日本の裁判では、地裁と高裁で連勝すれば、最高裁で判決が覆ることはめったにない。そのために最高裁の判断を待つまでもなく、高裁判決が出た6月ごろから真村氏の勝訴確定は予想されていた。

そのためなのか、読売も真村氏に歩み寄りの姿勢を見せていた。係争になった後、中止していた担当員によるYC広川の訪店を再開する動きがあった。そして江碕氏は、その旨を真村氏に連絡したのである。

しかし、読売に対して不信感を募らせていた真村氏は即答を控え、念のために代理人の江上武幸弁護士に相談した。訪店再開が何を意味するのか確認したかったのだ。江上弁護士は、読売の真意を確かめるために内容証明郵便を送付した。これに対して、読売の江崎法務室長は、次の書面を返信した。

前略  読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
    2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。当社販売局として、通常の訪店です。

わたしは、メディア黒書で係争の新展開を報じ、その裏付けとしてこの回答書を掲載した。何の悪意もなかった。むしろ和解に向けた動きを歓迎していた。

しかし、江崎氏(当時は面識がなかった)はわたしにメールで次の催告書(PDF)を送付してきたのである。

冠省 貴殿が主宰するサイト「新聞販売黒書」に2007年12月21日付けでアップされた「読売がYC広川の訪店を再開」と題する記事には、真村氏の代理人である江上武幸弁護士に対する私の回答書の本文が全文掲載されています。

しかし、上記の回答書は特定の個人に宛てたものであり、未公表の著作物ですので、これを公表する権利は、著作者である私が専有しています(著作権法18条1項)。  貴殿が、この回答書を上記サイトにアップしてその内容を公表したことは、私が上記回答書について有する公表権を侵害する行為であり、民事上も刑事上も違法な行為です。

 そして、このような違法行為に対して、著作権者である私は、差止請求権を有しています(同法112条1項)ので、貴殿に対し、本書面到達日3日以内に上記記事から私の回答を削除するように催告します。  

貴殿がこの催告に従わない場合は、相応の法的手段を採ることとなりますので、この旨を付言します。

わたしは削除を断った。先に引用した、

前略  読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
    2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。当社販売局として、通常の訪店です。

と、いう回答書は著作物ではないからだ。催告書の形式はともかく、書かれた内容自体はまったくのデタラメだった。著作権法によると、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」。上記の回答書は、著作物ではない。催告書の内容そのものが間違っている。

そこで、今度はこの催告書をメディアで公開した。これに対して、江崎氏は、催告書は自分の著作物であるから、著作者人格権に基づいて、削除するように求めてきたのである。

そして喜田村弁護士を立てて、催告書の削除を求め、仮処分を申し立てたのである。(回答書の削除は求めてこなかった。)

こうして江崎氏名義の催告書が、著作物かどうかが争点となる係争が始まったのだ。書かれた内容の評価とは別に、催告書が著作物かどうかという点に関しては、一応は議論の余地があった。書かれている内容そのものがデタラメであっても、それに著作物性があるかどうかは、別問題である。

結論を先に言えば、仮処分申立は、江崎氏の勝訴だった。催告書が著作物と認めれらたのだ。

判決に不服だったわたしは、本訴に踏み切った。代理人は江上弁護士ら、真村裁判の弁護団が無償で引き受けてくれた。わたしは東京・福岡間の交通費もふくめて、1円の請求も受けなかった。

■著作権裁判の訴状

◇重大な疑惑の浮上

本訴の中で重大な疑惑が浮上した。

既に述べたように、この裁判は、江崎氏が書いたとされる奇妙な内容(例の回答書が著作物であるという内容)の催告書が争点だった。内容が奇妙でも催告書が江崎氏の著作物であると認定されれば、わたしは削除に応じなければならない。

仮処分では負けたわたしだが、裁判の途中から様相が変わってきた。特に江崎本人尋問を機に流れが変わった。

確かに催告書の名義は江崎氏になっているが、催告書は喜田村弁護士が作成したものではないかという疑惑が浮上してきたのだ。

著作者の権利は、著作権法では、「著作者人格権(公表権などが含まれる)」と「著作者財産権」に別れるのだが、前者は他人に譲渡することができない。一身専属権である。

江崎氏は、著作者人格権を根拠に、わたしを提訴したのである。と、なれば江碕氏が催告書の作者であることが、提訴権を行使できる大前提になる。仮に他人が書いたものなら、それはたとえば、わたしが村上春樹氏の作品を自分のものだと偽って、著作者人格権による権利を求める裁判を起こすのと同じ原理である。

催告書の本当の作成者が喜田村弁護士だとすれば、喜田村氏らは催告書の名義を「江碕」偽り、それを前提にして、著作者人格権を主張する裁判を起こしたことになる。

◇東京地裁・知財高裁の判決

東京地裁は、わたしの弁護団の主張を全面的に認めて、江崎氏の訴えを退けた。喜田村洋一弁護士か、彼の事務所スタッフが催告書の本当の作者である可能性が極めて強いと認定したのである。

このあたりの事情については、地裁判決直後の弁護団声明を参考にしてほしい。弁護団は、この事件を「司法制度を利用した言論弾圧」と位置づけている。

■弁護団声明

次の引用するのは、知財高裁判決の重要部分である。催告書の名義人偽り疑惑について、次のように言及している。

上記の事実認定によれば、本件催告書には、読売新聞西部本社の法務室長の肩書きを付して原告の名前が表示されているものの、その実質的な作者(本件催告書が著作物と認められる場合は、著作者)は、原告とは認められず、原告代理人(又は同代理人事務所の者)である可能性が極めて強い。

繰り返しになるが、江崎氏は、元々、著作者人格権を主張する権利がないのに、催告書の名義を「江崎」に偽って提訴し、それを主張したのである。

■判決の全文(知財高裁)

喜田村弁護士は、自分の行為が弁護士としてあるまじき行為であることを自覚していたはずだ。弁護士職務基本規定の第75条は、次のようにこのような行為を禁止している。

 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

ところが名義を偽った催告書を前提にして、裁判所へ資料を提出し、自己主張を展開したのだ。

裁判が終わった後、今度はわたしの方が攻勢に転じた。喜田村弁護士が所属する第2東京弁護士会に対して、喜田村弁護士の懲戒請求を申し立てた。2年後に、申し立ては却下されたが、多くの法律家が前代未聞のケースだとの感想を寄せた。弁護士会の判断は誤りだと話している。現在、再審を検討している。
曖昧な決着はしないのが、わたしの方針だ。

参考までに、懲戒請求の中身を次の書面で紹介しておこう。

■準備書面

今後も検証は続く。

2016年11月23日 (水曜日)

1年間の減部数、朝日は35万部、読売は16万部、毎日は19万部、ネットメディアとの世代交代が顕著に

2016年度9月度のABC部数が明らかになった。朝日新聞は前年同月比で約35万部減、読売新聞は約16万部減、さらに毎日新聞は約19万部減である。3社あわせて70万部の減部数である。

これは中堅規模の地方紙2社分の部数に該当する。新聞の没落に歯止めがかかっていない実態を示している。

朝日新聞 6,433,159(-348,120)
毎日新聞 3,049,397(-188,808)
読売新聞 8,942,131(-160,267)
日経新聞 2,725,261(-6,284)
産経新聞 1,568,848(-31,339)

しかし、ABC部数には、「押し紙」(広義の残紙)が含まれているので、ABC部数が実際に配達されている新聞部数を示しているわけではない。わたしが新聞販売店を取材した限りでは、これだけ大きな規模で部数が激減していながら、なお、「押し紙」が搬入部数の2割も3割もある販売店が複数存在する。

これらの「押し紙」を排除すれば、新聞社の販売収入はさらに減る。それにともない紙面広告の媒体価値も低下していく。販売収入と広告収入という新聞社経営の2本柱があやうくなってきたのである。

ネットメディアとの世代交代が顕著になってきたといえよう。

2016年10月03日 (月曜日)

風化せぬ読売・真村事件、ひとりの販売店主を14年間も法廷に立たせた事実をどう評価するのか      

読売新聞の販売政策が争点となった真村裁判が始まったのが、2002年だから、今年で14年になる。裁判は先日、ようやく終わった。この事件には、読売から3件の裁判を起こされたわたしを含めて、さまざまな人々が登場する。

読売側の弁護団も、初期とは完全に入れ替わった。途中からは、喜田村洋一自由人権協会・代表理事も東京から福岡へかけつけ、読売のために働くようになった。

読売は、弱小のYC広川を経営する真村氏を相手に必死の戦いを繰り広げたのである。

10月2日、「新聞の偽装部数『押し紙』を考える」と題する集いが、東京板橋区の板橋文化開会で開かれ、真村弁護士団の江上武幸弁護士が真村事件について講演した。

◇真村事件とは

事件の発端は、読売が真村氏にYC広川の営業区域の一部を返上するように求めたことである。その背景に筑後地区の“大物店主”S氏の存在があった。S氏の弟がYC広川の隣接区にあるYCを経営しており、YC広川の営業地区を縮小する一方で、それを隣接店に組み込むというのが読売の方針だった。

久留米市など筑後地区にある他のYCでも、S氏がかかわった類似事件が続いて発生し、真村氏ら3人の販売店主が、地位保全の裁判を起こした。これが俗にいう真村裁判である。3人の原告のうちひとりは、既にYCの経営権を剥奪されていたので、和解解決した。他のひとりのケースは、あまり争点にはならなかった。中心的な争点になったのは、真村氏の事件だった。

結果は地裁から最高裁まで真村氏の勝訴だった。2007年12月に真村氏の販売店主としての地位は保全されたのだ。真村氏の勝訴に刺激されて、新たに3人のYC経営者が、江上弁護士に「押し紙」(広義の残紙)問題を相談した。2007年の秋のことだった。これら3店主が経営するYCには、約40%から50%の「押し紙」(残紙)があった。

◇喜田村弁護士に対する弁護士懲戒請求

こうした状況の下、真村事件を取材していたわたしに対する裁判攻勢が始まった。喜田村洋一自由人権協会・代表理事を代理人として、2008年2月から2009年7月までの約1年半の間に3件の裁判を起こしたのである。請求額は、約8000万円。

このうち最初の著作権裁判では、読売側が、虚偽の事実(催告書の名義人の偽り)をでっちあげ、それを根拠に提訴に及んだ強い可能性が司法認定され敗訴した。もともと提訴する権利がなかったのだ。前代未聞のケースだ。

そこで喜田村弁護士に対して、弁護士懲戒請求を行ったが、2年にわたる審理の末、日弁連は、喜田村弁護士に対する処分を行わない決定を下した。つまりでっち上げ裁判が許されるということになる。この事件と日弁連の判断が再検証を要することは言うまでもない。

2件目の裁判は、地裁、高裁はわたしの勝訴。最高裁が口頭弁論を開いて、判決を高裁に差し戻し、わたしの敗訴となった。わたしに110万円の支払いを命じた判決を下した加藤新太朗裁判官は、退官後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所に再就職(広義の天下り)している。

3件目はわたしの完全敗訴だった。この裁判で喜田村弁護士らは、自社(読売)に「押し紙」は1部も存在しないと主張し、裁判所もそれを認めた。

◇第2次真村裁判

一方、真村氏は最高裁で判決が確定した7ヶ月後に、YC広川を改廃された。
そこで再び地位保全の裁判を起こさざるを得なくなった。

第2次裁判の結果は次の通りである。舞台は福岡地裁である。

1、仮処分       真村勝訴

2、仮処分(異議審)   真村勝訴

3、仮処分(抗告?高裁) 真村勝訴

4、仮処分(特別抗告)  真村勝訴

1、地裁本訴       読売勝訴

2、高裁本訴       読売勝訴

3、最高裁        読売勝訴

このうち仮処分の異議審で真村さんを勝訴させたのは、木村元昭裁判官だった。仮処分としては、異例の25ページにも及ぶ判決文で、読売の主張を退けたのである。

さらに真村氏の後任者としてすでに販売店経営に着手している店主とも話し合って、真村氏に営業権を移譲するように命じている。

木村裁判官は、この判決を下した2週間後の2月1日に那覇地裁へ所長として赴任した。

その後、真村さんは仮処分裁判を勝ち進む。ところが抗告(高裁)で勝訴した数日後に本訴(地裁)判決があり、意外にも敗訴した。

そこで真村さんは高裁へ控訴した。控訴審が始まって間もなくすると、裁判官の交代があった。1年半前に仮処分裁判(異議審)で、真村氏を勝訴させた木村元昭裁判官が、那覇から福岡へ戻り、真村裁判を担当することになったのである。

そして真村氏を敗訴させたのだ。仮処分では真村氏を勝訴させ、経営権を取り戻せるように、後任店主との話し合いを勧めていた同じ裁判官が、今度は180度異なった判決を下したのである。

この件は最高裁事務総局による「報告事件」の疑惑があり、今後、情報公開などを通じて、調査する必要がある。

真村氏が敗訴した理由は、さまざまだが、その中のひとつに、わたしに対して真村氏が情報提供を行ったというものがある。メディア企業・読売がこうした主張をしたこと自体が議論の的になる。読売の記者は、この件をどう考えるのだろうか。

◇自宅の仮差し押さえ

第一次、真村裁判の判決が最高裁で確定したころ、「押し紙」について江上弁護士に相談した3人の販売店主のうち、2人は読売側に寝返った。もう1人は、販売店を強制改廃され、地位保全の裁判を起こしたが、地裁、高裁と敗訴。その後、病死された。

真村氏は、第2次真村裁判の仮処分申し立てで、勝訴していたが、読売が新聞の供給を再開しなかったので、1日に3万円の間接強制金(累積で約3600万円)を受けていた。ところが本訴で敗訴したので、読売は真村氏に対して間接強制金の返済を求める裁判を起こした。自宅も仮差し押さえした。

これら一連のプロセスにも、自由人権協会の喜田村洋一代表理事がかかわった。

裁判の開始から終結まで14年。ひとりの販売店店主を14年もの間、法廷に縛りつけたこと自体が、重大な人権問題である。

真村裁判の検証はこれから始まる。真村事件は、記録として歴史の壁に刻まれていく。

2016年10月01日 (土曜日)

2日に「押し紙」を考える全国集会、江上武幸弁護士が読売裁判の14年を語る

 明日(10月2日)に、「押し紙」問題を考える全国集会が開催される。集会では、江上武幸弁護士が読売裁判について講演する。

読売裁判は2002年に始まり、先日、ようやく終結した。この間、筆者(黒薮)を含む、多数の人々が事件にかかわった。筆者だけに限っても、4件の裁判と、1件の弁護士懲戒請求(対象弁護士は、読売の代理人・喜田村洋一自由人権協会代表理事)を経験している。

また、パネルディスカッションでは、江上弁護士の他、評論家の天木直人氏、行橋市議の小坪慎也氏がメディアについて意見を述べる。

場所:板橋文化会館(大会議室・東京都板橋区)《地図》

日時:10月2日(日) 午後13時開場、13:30開演

入場は無料

詳細は、次のリンク先で。

■「押し紙」問題を考える全国集会の詳細

2016年09月27日 (火曜日)

元最高検察庁刑事部長の松田昇氏の再就職先、博報堂DYホールディングスだけではなく、3月から読売巨人軍にも、官民汚職の温床に

裁判官や検察官などの国家公務員が退官後に民間企業に再就職するケースが後を絶たない。このような行為を広義に「天下り」と呼ぶ。目的は、現役の国家公務員に対して、先輩の影響力を発揮し、自らの再就職先のために便宜を図ることであると言われている。

官民汚職の温床にほかならない。「天下り」は前近代的な悪しき慣行のひとつであると言えよう。

縦の人間関係が支配的な日本では、退職者を部外者として扱う習慣もない。

◇司法改革の障害

博報堂DYホールディングスの有価証券報告書によると、同社には元最高検察庁刑事部長の松田昇氏が再就職している。同報告書によると、同氏の経歴は次の通りである。

興味深いのは、「平成」28年、つまり今年の3月から、野球賭博などの不祥事に揺れている読売巨人軍の外部取締役に就任していることだ。これで野球賭博や覚醒剤の捜査が徹底して行われるのか、注視する必要がある。

過去に松田氏は、読売新聞大阪本社の社外監査役にも就任している。読売が、元最高検察庁・刑事部長を受け入れた背景は不明だが、メディア企業としてのあり方としては尋常ではない。ジャーナリズムの役割は、権力の監視であるからだ。権力と一体化してしまえば、旧ソ連、北朝鮮、それに大本営に依存していたかつての日本の新聞社とかわらない。

ちなみに大手弁護士事務所へは、最高裁判事の「天下り」が目立つが、これについては、別の機会に氏名と所属事務所を公表しよう。彼らは判決に影響を与えかねない存在で、日本の司法の公平性を脅かす存在と言っても過言ではない。司法改革の障害となる。こちらは、全面的に法律で禁止すべきだというのが筆者の考えだ。

2016年08月02日 (火曜日)

6月度のABC部数、「読売1000万部」の時代は過去に、前年同月比で朝日が-26万部、読売が-13万部

2016年6月度の新聞のABC部数が明らかになった。それによると中央紙(朝、読、毎、産、日)はいずれも、前年同月よりも部数を減らしている。

朝日が-26万部、読売が-13万部、毎日が-19万部、産経が-4万部、日経が-1万部となっている。

新聞部数の低落傾向には依然として歯止めがかかっていない。

6月度のABC部数は次の通りである。

朝日:6,505,026(-285,927)
読売:8,982,568(-125,510)
毎日:3,058,129(-191,799)
産経:1,565,858(-38,257)
日経:2,728,912(-10,115)

■2016年6月度のABC部数(全日刊紙)

◇ABC部数は「押し紙」を含む

ちなみに実際に配達されている新聞部数(実配部数)とABC部数との間には乖離がある。ABC部数に「押し紙」が含まれているからだ。

「押し紙」とは、広義には新聞社が新聞販売店に対して供給する過剰な新聞部数を意味する。残紙ともいう。たとえば2000部しか配達していない販売店に対して3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部に対しても、新聞社は卸代金を徴収する。普通の新聞とまったく同じ扱いにしているのだ。

かりにジャーナリストが「押し紙」問題で新聞社を追及しても、新聞社は自分たちは一度も「押し紙」をしたことはないと真面目な顔で反論してくる。

しかし、「押し紙」隠しの実態は、2002年に提起された真村訴訟の中で完全に暴露された。しかも、それが裁判で認定された。

■真村裁判福岡高裁判決の全文

【冒頭の画像】「押し紙」の回収場面。広告のスポンサーに対する背信行為である。