公共事業は諸悪の根源 ジャーナリズムでなくなった朝日 その8(前編)
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)
【サマリー】
◇品性が欠落したNHKの経営委員
◇反原発発言を制限した籾井会長
◇メディア企業の「異能分子」
◇メディア企業の労組とは何だ?
◇朝日と闘う覚悟
◇年俸制の下で差別待遇
◇記者職の剥奪、5年間昇給なし
◇箱島社長宛に調査依頼書を送付
◇朝日ジャーナリズムの限界
従軍慰安婦問題で、NHK籾井勝人会長の「戦争地域ではどこにでもあった」との記者会見発言が問題となっています。昨年、同様の趣旨の発言をしたのは維新・橋下徹共同代表です。橋本氏は反省したはずでしたが、「言っていることは正論。僕がずっと言い続けてきたことだ」と理解を示したことからも、これもやはり彼の本音なのでしょう。
しかし、ジャーナリズムを担うNHK会長や政治家の立場で、この発言・資質がなぜ不適確なのでしょうか?。私はそれをツイッターで何回か書いています。発言の根底に「戦争なら何をやってもいい」との考え方、「女性は戦争の道具」という度し難い女性蔑視思想があるからです。この考え方で報道や政治が行われたら、この国、世界がどうなってしまうのか、それを考えただけでも恐ろしいことです。
それだけではありません。朝日に押し入り、拳銃自殺した新右翼「大悲会」の野村秋介・元会長を追悼する文集に、メディアへの暴力行使を礼賛したとも取れる文章を発表した長谷川三千子氏もNHKの経営委員です。
長谷川氏はこの文集に「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」と書いています。また、野村氏の自殺で「わが国の今上陛下はふたたび現御神(あきつみかみ)となられたのである」との記載もあります。「人間宣言」された天皇が誰より、この文章に困惑されているのではないかと思います。
また、都知事選で田母神俊雄候補の応援演説に立ち、他候補を「人間のくず」呼ばわりした作家の百田尚樹氏も経営委員です。彼は、「戦争では恐らく一部軍人で残虐行為がありました。でも日本人だけじゃない。アメリカ軍も、中国軍も、ソ連軍もありました。
こういうことを義務教育の子どもたち、少年少女に教える理由はどこにもない。何も知らない子どもたちに自虐史観を与える必要はどこにもない」との持論も展開しています。