読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由
『月刊Hanada』(7月号)に掲載した筆者(黒薮)の記事に対して、読売新聞の滝鼻太郎広報部長が抗議文を送りつけてきた。これに対する筆者の反論を作成した。反論は形式上は滝鼻氏に宛てたものになっているが、読者にも理解できるように構成した。
滝鼻氏の抗議の中身は、究極のところ真村訴訟の福岡高裁判決が読売の「押し紙」を認定したとするわたしの判例解釈は間違っているというものだ。わたしはかねてから、社会の「木鐸」といわれる新聞社がかかわってきた(広義の)「押し紙」問題のように公共性が極めて強い問題は、公の場で論争するのが、係争の理想的な解決方法だと考えている。とりわけ言論人にはそれが求められる。
従って、滝鼻氏にもメディア黒書のサイト上で、あるいは自社・読売新聞の紙上で自分の意見をより詳しく公表してほしい。反論権は完全に保証する。
もちろん滝鼻氏には、近々、公式に「押し紙」問題についての論争を申し入れる。
本来、論争に先立って滝鼻氏の抗議文を公開するのが、相手に対する配慮であるが、実は2008年、読売の法務室長がわたしに送付した催告書をメディア黒書で公開したところ、著作権違反で提訴された経緯があるので、今回は滝鼻氏の承諾を得られれば公開する。ひとには公表を控えたい文書もあるものなのだ。
■参考記事:喜田村洋一弁護士が作成したとされる催告書に見る訴権の濫用、読売・江崎法務室長による著作権裁判8周年①
なお、滝鼻氏が問題としている真村訴訟の判決は、次のリンク先で閲覧できる。読者は、判決の中で読売の「押し紙」、あるいは「押し紙」政策が認定れていないとする滝鼻氏の見解の是非を自身で検証してほしい。
【反論文の全文】
貴殿から送付されました抗議書に対して、記事の執筆者である黒薮から回答させていただきます。まず、貴殿が抗議対象とされている箇所を明確にしておきます。と、言うのも貴殿の抗議書は、故意に問題の焦点を拡大しており、そのために議論が横道へそれ、本質論をはずれて揚げ足取りに陥っているきらいが多分に見うけられるからです。
貴殿が問題とされている箇所は、枝葉末節はあるものの、おおむね『月刊Hanada』 (7月号)に掲載された「公取が初めて注意『押し紙』で朝日も崩壊する」(黒薮執筆)と題する記事の次の引用部分です。この点を確認し、共有する作業から、わたしの反論を記述します。
「裁判の結果は、真村さんの勝訴でした。2007年12月に、最高裁で判決が確定しました。裁判所は「真村さんが虚偽報告をしていたのは批判されるべきだが、その裏には読売の強引な販売政策があった」との見解を示し、真村さんの地位を保全したのです。この裁判で裁判所は、新聞史上初めて、押し紙の存在を認定したのです」