Meta、Google、TikTokなどがブラジル大統領選挙で規則違反――他国の問題ではない巨大IT企業による選挙介入の危険性

メキシコの「ラ・ホルナダ」紙など、ラテンアメリカの主要メディアは、10月に行われたブラジル大統領選挙の第1回投票で、Meta、Google、TikTokなどの巨大IT企業が運営するプラットフォーム上で、選挙規則に違反する広告が多数配信されていたと報じた。
これらの報道によると、ブラジルのリオデジャネイロ連邦大学(UFRJ)の研究機関NetLabは、大統領選挙の期間中、複数のソーシャルメディアで500件以上の規則違反広告が確認されたと報告した。
ブラジルの高等選挙裁判所(TSE)の規則では、投票の48時間前から投票終了後24時間まで、インターネット上で有料広告などを利用した選挙運動が禁止されている。しかし、Instagram、Facebook、WhatsAppなど、Metaが運営するプラットフォームで、規則に違反する広告568件が確認された。
さらに、高等選挙裁判所の公式通知を装い、携帯電話や自宅から投票できるという架空の投票方法を宣伝する広告も6件見つかった。これらの広告は、健康上の問題や大雨などを理由に遠隔投票を促し、一部は利用者を外部サイトに誘導して、ブラジルの納税者番号(CPF)の入力を求めていた。
動画共有サービスのKwaiでも、投票日当日に配信されていた選挙広告18件と、掲載終了日が投票日まで延長されていた広告45件が確認された。
調査では、各プラットフォームの動画推薦システムも分析した。その結果、10月3日と4日に、TikTokは7人の候補者の動画18本を、YouTubeは6人の候補者の動画17本を利用者に推薦していたことが分かった。
◆日本でも定着したSNS選挙戦略
トランプ政権の発足以降、中南米では右派勢力が台頭し、左派政権への圧力が強まっている。チリやコロンビア、ホンジュラスなどでも、選挙をめぐる不正疑惑や政治的対立が繰り返し問題となってきた。
今回のブラジル大統領選挙では、巨大IT企業が運営するプラットフォーム上で、多数の選挙規則違反が発生していたことが具体的な数字で示された。IT企業が意図的に選挙に介入したかどうかは、さらに検証する必要があるが、選挙の公正さを揺るがしかねない重大な問題である。
今回指摘された問題は主に選挙広告に関するものだが、もう一つ、考えなければならない問題がある。それは、SNS上の情報の表示や拡散、アカウントの利用を制限する権限を、巨大IT企業が握っているという点である。
実際、SNSの運営企業は、投稿の削除やアカウントの停止だけでなく、情報の表示順位や推薦内容を決定するアルゴリズムを管理している。こうした仕組みが選挙期間中にどのように運用されているのか、外部から十分に検証することは難しい。
日本の選挙についても、今後、慎重に検証する必要があるのではないか。IT企業が情報の表示や拡散を恣意的に操作すれば、特定の候補者のSNSへのアクセス数を増やしたり、逆に減らしたりすることも技術的には可能だからだ。
選挙の公正さを守るためには、SNSの運営を巨大IT企業の裁量に任せるのではなく、厳格な規制と透明性の確保が必要である。
私は、選挙期間中のSNSの使用を禁止すべきだと考える。
