1. なぜ中国はウクライナへのドローン関連製品の販売を止めないのか?

Andrew Korybkoに関連する記事

2026年09月08日 (火曜日)

なぜ中国はウクライナへのドローン関連製品の販売を止めないのか?

(Why Won’t China Cut Ukraine Off From Drone-Related Sales?)ウクライナのドローン生産は、今なお中国製部品への依存が大きい。なぜ中国はロシアとの緊密な関係を維持しながら、ウクライナへの関連製品の流通を止めないのか。筆者は、戦争の長期化によって中国が得る地政学的・経済的利益と、双方を支える「積極的中立」という戦略から読み解く。

 

執筆者:アンドリュー・コリブコ

ウクライナ紛争が延々と続けば、アメリカが計画している「(再び)東アジアへ軸足を移す」戦略の本格的な実施も、それだけ先送りされる。また、ロシアが豊富な天然資源を中国に格安で売る状況につながる可能性もある。そして中国は、いわば「積極的中立」という立場を維持することができる。

ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティ(RFE/RL)は先月末、「ウクライナのドローン戦争が浮き彫りにした、中国への不都合な依存」と題する記事を掲載した。

この記事では、EUがウクライナのドローン調達用として約束した60億ユーロのうち、最初の10億ユーロをこの夏に拠出したことが取り上げられている。

注目すべきなのは、この資金を使ってウクライナが中国製の部品を購入することも認められている点だ。つまり、率直に言ってしまえば、以前指摘されたように「EUが中国に金を払い、ウクライナによるロシア兵への攻撃を間接的に支援する」という構図になっている。

RFE/RLによれば、ウクライナは中国から完成品のドローンを購入する量を減らしているものの、モーター、リチウム電池、光ファイバーなどの中国製部品に対する需要は依然として非常に大きい。

さらに、「2026年上半期だけで、中国製部品の輸入額はすでに前年1年間の約76%に達した」という。

またRFE/RLはウクライナ側の報告書を引用し、「2025年上半期にウクライナが輸入したドローン部品の金額ベースで38%が中国からのものだった」としている。

この記事の狙いは、ウクライナと西側諸国に危機感を持たせ、ドローンの国内生産を大幅に増やす必要があると訴えることにあるようだ。そうすることで、記事に登場する専門家の一人が「敵対的な相互依存」と表現した、ウクライナの中国への依存を減らそうというわけである。

記事ではさらに、「中国は依然としてウクライナ最大の貿易相手国であり、一方のウクライナは中国にとって重要な農産物供給国である」と説明している。これは事実であり、中国がウクライナへのドローン関連製品の販売を完全には止めない理由の一つでもある。しかし、理由はそれだけではない。

現在の中国とロシアの関係は、歴史上でも非常に良好な水準にある。それでも2023年初頭の時点ですでに、「中国はウクライナ戦争で誰にも勝ってほしくないのではないか」という見方があった。

その理由は、ある程度コントロール可能な形で戦争が長期化すれば、アメリカが計画する「(再び)東アジアへ軸足を移す」戦略の本格的な実施を、いつまでも遅らせることができるからだ。

それだけではない。天然資源の豊富なロシアが中国への依存を強めすぎれば、モスクワは石油や天然ガスをはじめとする天然資源を、北京に非常に安い価格で売らざるを得なくなる可能性がある。

こうした冷徹な利益を追求するため、中国は一方で、ウクライナにとって欠かせないドローン、部品、光ファイバーなどの供給源となってきた。
仮に中国企業から直接供給されているのではなく、中国擁護派が主張するように第三国などの仲介業者を通じた間接的な供給にすぎないとしても、中国製品が重要な役割を果たしていることには変わりない。

その一方で中国は、ロシアにとっても、西側諸国による制裁の圧力を逃がすための欠かせない「安全弁」の役割を果たしている。その結果、ウクライナはロシアの軍事技術上の進歩にある程度ついていくことができる。同時にロシア経済も、西側諸国が制裁によって引き起こそうとした深刻な危機を回避できている。

そして中国は、「積極的中立」とでも呼ぶべき立場を維持している。ここでいう「積極的中立」とは、中国がウクライナとロシアの双方を積極的に支援することで、どちらか一方の側につくことを避けている、という意味である。

中国はウクライナによるドローン関連製品の購入から金銭的利益を得ている。また、大幅に値引きされたロシア産エネルギーを大量に輸入することで、中国経済の成長にもつなげている。さらに、中国が実はロシアと「同盟」を結んでいるわけではないと示すことで、西側諸国から中国自身に向けられる圧力を、相対的に弱める効果も得ている。

この政策をどう評価するかは別として、結果としてウクライナ紛争の長期化に寄与してきたことは否定できない、わたしは考える。

ロシアが「特別軍事作戦」と呼ぶ軍事行動を開始する数週間前、中国とロシアは「限界のない」パートナーシップを宣言していた。もし中国がこの関係に沿ってウクライナへのドローン関連製品の販売を停止していたなら、ロシアは現在までに、この紛争で掲げた目標をより多く達成できていたかもしれない。場合によっては、最大限の勝利を収めていた可能性さえある。

もちろん、ウクライナにとっては、中国からのドローン関連製品よりも、アメリカによる軍事・情報面での支援のほうが重要である。しかし、アメリカによる支援が近いうちに終わる兆しはない。したがってロシアは、中国に対してウクライナへのドローン関連製品の供給を今度こそ完全に止めるよう働きかけるべきだ――というのが、この記事の結論である。

筆者紹介:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』

Source:https://korybko.substack.com/p/why-wont-china-cut-ukraine-off-from