1. 新たな冷戦に向かうのか?――ウクライナ、中国、ベネズエラと世界秩序をめぐる争い

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2026年06月16日 (火曜日)

新たな冷戦に向かうのか?――ウクライナ、中国、ベネズエラと世界秩序をめぐる争い

執筆者:ビクトル・M・ロドリゲス

アンドリュー・コリブコは、ウクライナ戦争が多極化する世界への移行を加速させたと主張する。一方で、その動きに対しアメリカは、新たな地政学的圧力の手法を通じて自らの影響圏を強化することで対抗していると警告する。

アレシャンドレ・ガランチとの長時間にわたる対談の中で、このアナリストは、現在の国際紛争、ヨーロッパの将来、そして競争が激しさを増す世界情勢におけるブラジルの役割について、議論を呼ぶ見解を提示している。

注:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
アメリカ出身の地政学アナリスト。ハイブリッド戦争、多極化、米中露関係、ユーラシア情勢などを主な研究対象としています。ロシア寄りの視点から国際政治を論じることが多く、ウクライナ戦争やBRICS諸国、グローバル・サウスに関する分析で知られている。

注:アレシャンドレ・ガランチ(Alexandre Galante)
ブラジルのジャーナリスト・軍事評論家。軍事・安全保障・国際政治を専門とし、ブラジルの防衛・航空宇宙分野のメディアで活動している。軍事技術や地政学に関するインタビューや解説記事を数多く手がけており、本稿の対談では聞き手を務めた。

もはやウクライナ戦争は、モスクワとキーウの間の領土紛争としてだけ捉えることはできない。また、民主主義と権威主義の単純な対立として説明することもできない。

ハイブリッド戦争や大国間競争の研究で知られるアンドリュー・コリブコによれば、いま問われているのは、今後数十年にわたって形成される国際秩序そのものの姿である。

この見方では、ウクライナは世界的な転換期を象徴する最大の地政学的実験場となっている。そこでは、一見すると相反する二つの力学が同時に進行している。ひとつは世界の多極化の進展、もうひとつは、新たな勢力圏の台頭に直面するアメリカが、自らの戦略的主導権を維持・強化しようとする動きである。

コリブコはこう述べる。

「世界システムが多極化へ向かう流れは、ロシアの軍事作戦以前から始まっていた。しかし、その後に起きた一連の出来事によって、その移行は前例のない速度で加速した。」

ただし彼は、西側の衰退を楽観的に語るわけではない。むしろ、ワシントンは欧州やアジアの同盟国に対する政治・軍事面での統率力を強めることで対応してきたと指摘する。

こうしてウクライナ戦争は、東欧の地域紛争という枠を超え、より大きな世界規模の覇権争いの震源地として位置づけられるのである。

◆ウクライナ――終わりの見えない消耗戦

コリブコは、この紛争が、ユーロマイダンへとつながった政治過程に伴う「ハイブリッド戦争」の段階から、大規模な通常戦争へと発展したとみている。しかし同時に、制裁、情報戦、外交的圧力、さらには新たなテクノロジーを通じて、ハイブリッド戦争の手法そのものは今なお機能し続けていると指摘する。

また、和平交渉の見通しについては極めて悲観的だ。アメリカとウクライナは停戦による戦線の固定化を目指している一方、ロシアはドンバス全域の支配が保証されない限り、いかなる合意も不十分だと考えているという。この戦略的な隔たりが、早期の外交的解決を難しくし、長期対立の危険性を高めている。

さらに彼によれば、モスクワは停戦が実現したとしても、それが西側諸国によるウクライナ再軍備の時間稼ぎとなり、将来的にロシアとの代理的対立を再開する準備に利用されるのではないかと疑っている。

その結果、この戦争は単なる一時的な危機ではなく、新たな欧州秩序を支える構造的要素の一つになりつつあるように見える。

◆ヨーロッパ――軍備を強化する一方で脆弱性も増す

コリブコの分析の中でも特に議論を呼びそうなのが、2022年以降のヨーロッパの立場に関する見解である。彼は、この戦争によってヨーロッパの戦略的自立性が高まったのではなく、むしろワシントンへの依存が深まったと主張する。

彼の見方では、欧州連合(EU)はアメリカ主導の安全保障体制の中で、より従属的な役割を担うようになった。ただし、その一方で欧州諸国には、防衛面でこれまで以上の負担と責任を引き受けることが求められている。

その文脈の中で、彼は三つの並行した動きを指摘する。

• イギリス主導による北極圏・バルト海地域の連携強化
• ポーランドによる地域的影響力の回復への試み
• トルコがコーカサスおよび中央アジアへの影響力を拡大する動き

コリブコによれば、この戦争はヨーロッパを安定化させるどころか、むしろ新たな地政学的再編の時代を切り開いた。そして、その帰結がどのようなものになるのかは、いまだ見通せないままである。

◆台湾――次なる世界的対立の火種

ウクライナが現在の最大の紛争だとすれば、台湾は将来における最大の緊張の焦点となるかもしれない。

コリブコは、米中対立はすでに経済や技術の領域を大きく超え、恒常的な戦略的対立の段階に入ったと考えている。

彼の分析によれば、トランプ政権は中国の台頭を封じ込めるため、いわば「アジア版NATO」とも呼べる枠組みの構築を進めている。一方の北京は、ウクライナ戦争から得られる軍事・経済・外交上の教訓を注意深く研究しているという。

その中でも特に重要なのは、たとえ同盟国自身に大きな経済的負担を強いることになっても、ワシントンが同盟国や友好国を結集させる能力を示した点である。

もう一つの教訓は、現代戦争を大きく変えつつある技術革新だ。コリブコは次のように語る。

「ドローンは、この世代の軍事革命を主導してきた。」

そして、もし台湾海峡で危機が発生すれば、その戦いは高度な技術色を帯び、無人システムがこれまで以上に大きな役割を果たすことになるだろうと予測している。

◆イラン、ベネズエラ、そしてハイブリッド戦争の拡大

コリブコの中東およびラテンアメリカに対する見方も、世界規模の戦略競争という枠組みの中で理解されている。

イランについては、ロシアと中国を中心とする結束した「ユーラシア陣営」が存在するという見方を否定する一方、両国の間に重要な協調関係があることは認めている。

彼の見解では、もしテヘランがワシントンとの関係改善に向かうならば、それはユーラシアの地政学的均衡を根本から揺るがすほどの衝撃をもたらす可能性がある。

一方、ラテンアメリカに関しては、アメリカがこの地域への関与を一段と強めているとみている。コリブコは、ニコラス・マドゥロの拘束(※原文の表現)を、西半球におけるアメリカの影響力を回復するための長期戦略の一環として解釈している。

彼はこの政策を「コンドル作戦2.0」と呼び、その目的は、ラテンアメリカをアメリカにとっての戦略的な資源供給地、市場、そして政治的安定の基盤として再編することにあると説明する。さらに、制裁、軍事的圧力、情報戦、選択的介入を組み合わせる手法は、彼が長年研究してきたハイブリッド戦争からの逸脱ではなく、そのより強力な進化形だという。

コリブコはこう主張する。

「目的は、抵抗する国々にアメリカの要求を受け入れさせることにある。」

◆多極化時代の課題に直面するブラジル

この世界的な勢力図の中で、ブラジルはグローバル・サウスを代表する重要なプレーヤーの一つとして位置づけられている。コリブコはブラジルを、正当な自主性への志向を持つ新興大国と評価する一方で、外部勢力の影響を受けやすく、国内には深刻な政治・社会的分断を抱える国でもあるとみている。

彼によれば、ブラジル外交の最大の課題は、アメリカ、中国、ロシア、その他の主要国との実利的な関係を維持しながら、激化する陣営間対立に巻き込まれないことである。

そのための参考例として彼が挙げるのが、インドの「マルチアライメント(多方面連携)」戦略だ。これは複数の大国と緊密な関係を築きつつも、自国の外交的自立性を損なわないことを目指すアプローチである。

コリブコは、ブラジルが優先すべき課題として次の三点を挙げている。

•戦略的重要資源に対する主権的管理を維持すること
• イデオロギー色を抑えた現実的な外交を展開すること
• 国際的な大規模紛争に対して実利的な中立姿勢を取ること

◆形成されつつある新しい世界

アンドリュー・コリブコの見解には賛否があるだろう。しかし彼の議論は、国際社会が歴史的な転換期にあるという認識を、ますます多くの国際政治アナリストが共有し始めていることを示している。ウクライナ戦争、台湾海峡をめぐる緊張、中東の不安定化、そしてラテンアメリカをめぐる競争――これらはもはや個別の出来事ではない。

それらはすべて、「21世紀のルールを誰が決めるのか」をめぐる一つの世界的競争の異なる側面なのである。もはや問題は、世界が新たな地政学的秩序へ向かうのかどうかではない。その移行が、

• どのような条件の下で進むのか
• どの勢力が主導権を握るのか
• どれほどの代償を伴うのか

という点に移りつつある。そしてその過程において、ヨーロッパやラテンアメリカ、新興国は単なる傍観者ではいられない。

多極化が進展する一方で、それを抑え込もうとする圧力も強まるなか、自らの戦略的自立性をどこまで守り抜く意思があるのか――各国はその選択を迫られているのである。

 

■執筆者:ビクトル・M・ロドリゲス
ジャーナリスト兼ディレクター:Píldoras Digitales、ウルグアイ報道協会編集委員:APU

Fuente: https://siquesepuede.jimdofree.com/2026/06/11/hacia-una-nueva-guerra-fr%C3%ADa-ucrania-china-venezuela-y-la-disputa-por-el-orden-mundial/