1. 滋賀県の広報紙『滋賀プラスワン』、7万部を水増し、新聞発行部数・39万部に対して広報紙・46万部を提供、背景に「押し紙」

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滋賀県の広報紙『滋賀プラスワン』、7万部を水増し、新聞発行部数・39万部に対して広報紙・46万部を提供、背景に「押し紙」

新聞に折り込まれて配布される地方自治体の広報紙が水増されているケースが次々と発覚している。

滋賀県が発行する広報紙『滋賀プラスワン』を筆者が調査したところ、滋賀県全域のABC部数(新聞の発行部数)が392,586部(4月の部数)しかないのに、滋賀県当局が464,000部の『滋賀プラスワン』(最新号)を提供していることが分かった。71,414部が水増しになっている。

配達中に折込媒体が破損する「事故」に備えて、通常、卸部数の2%程度は予備紙として認められているが、それに相当する部数は9280部しかない。この部数を差し引くとしても、大幅な水増し状態になっている。

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広報紙の水増しは刑法上の詐欺に該当する。しかし、販売店経営者のだれもが、このような「水増し制度」を望んでいるわけではない。水増しが発覚した場合、折込広告を受注できなくなるリスクが高いからだ。正常な取引を望んでいるひとも少なくない。

しかし、新聞社が構築して運用してきた新聞のビジネスモデルが、「押し紙」と折込媒体の水増しを前提としていることが多いので、この制度に異議を申し立てると、販売店経営そのものが成り立たなくなる。ここに構想的な問題があるのだ。責任は、新聞発行本社にある。

「押し紙」を取り締まらない公正取引委委員会にも責任がある。

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折込媒体そのものは、PR対象となる業種によっては、ある程度のPR効果がある。というのも、新聞と一緒に折込媒体が家庭内に持ち込まれるからだ。

これに対して全戸配布(ポスティング)の媒体は、飲食店のメニューなどを除いて、ポストからゴミ箱へ直行することが多いので、家庭内には持ち込まれない傾向がある。従ってPR効果は期待できない。

千葉県内の元販売店主は、次のように話す。

「広報紙の水増しが許されるとなれば、新聞関係者は、『押し紙』を含めて、なにをやってもいいことになりかねません。絶対に裁きを受けないことになります」

 

【調査報告】豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い

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