2015年09月14日 (月曜日)

常総市の水害報道の裏で進む安保関連法案の報道自粛

【サマリー】茨城県常総市の水害にマスコミ報道が集中している裏側で、安保関連法案の成立が刻々と近づいている。連日、国会議事堂前をはじめ全国で安保関連法案に反対する活動が展開されているが、マスコミはそれをほとんど報じない。

その原因を突き詰めていくと、メディア企業の経営上の汚点が要因になっているようだ。新聞に対する軽減税率適用問題。「押し紙」問題。再版制度を巡る問題。粉飾決算の問題・・・・。

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2015年09月10日 (木曜日)

歌手で作家の八木啓代氏が志岐武彦氏に訴えられた裁判と、黒薮が八木氏に訴えられた裁判の関係はどうなっているのか?

【サマリー】志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏に対して、東京地裁で起こした名誉毀損裁判(請求は200万円)が、9日、結審した。判決は、11月25日に言い渡される。実はこの裁判には、関連する4件の裁判がある。元国会議員・森裕子氏が起こした裁判を起点として、複数の裁判が起こされ、このうちに2件がいまも進行している。

このうちの1件にわたしも被告として巻き込まれている。その中には、言論表現の自由にかかわる重大なテーマ--記事を執筆した際に、特定の取材内容を入れなかったことが名誉毀損にあたるかどうか?--も含まれている。4つ裁判の関係がどうなっているのかを解説した。

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2015年09月09日 (水曜日)

日本は米国憲法を持つ国になったのか、改めて法的安定性を問う

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

安倍政権の本質が、丸見えになればなるほど、安保法制を何としてでも今国会で成立させてしまおうと、躍起になっている。憲法の「法的安定性」の議論は、最近下火になっているが、この国の主権者は誰なのか。それだけ考えても、安倍政権は憲法の法的安定性を守るつもりがないことは明らかだ。

しかし、それ以上に安保法制が成立したなら、日本の自衛隊は、国民の意思と関係なく、米国の軍事戦略に組み込まれ世界で活動する軍隊となる。つまり、日本から憲法9条の指し示す「法的安定性」を失い、実質、米国憲法を持つ国になる。安保法制強行採決を目前とするこの時期だからこそ、安倍首相が憲法の「法的安定性を維持する」と言うなら、安保法制を廃案にすることを改めて求める。

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2015年09月08日 (火曜日)

共産党が指摘した自衛隊内部文書「統幕長訪米時の(ママ)おける会談の結果概要について」をネット公開、日米両軍の合体に向けた計画の存在を暴露

【サマリー】日米両軍の合体に向けた計画が着々と進んでいる。 共産党の仁比聡平議員はそれを裏付ける自衛隊の内部文書を国会で暴露した。タイトルは「統幕長訪米時の(ママ)おける会談の結果概要について」。「黒書」はこの文書を入手し、公開に踏み切った。

この内部文書は、会話形式のもので、たとえばワーク国防副長官は河野統幕長に対して、「ガイドラインの見直し作業は進展しており、私だけでなくヘーゲル長官や我々の政治チームも10月の中間報告には満足している。現在は4月の作業完了を期待している」などと述べている。

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2015年09月07日 (月曜日)

都市部は「電磁波地獄」、東京練馬区の住民らが携帯電話基地局の点在状況を示す地図を作成、約2キロ×2キロの範囲に約60基

【サマリー】練馬区で基地局の設置に反対する住民らが、基地局の設置状況をビジュアルに示す地図を作成した。それによると約2キロ×2キロの範囲に、少なくとも58基もの基地局が設置されていることが分かった。本当に新しい基地局が必要なのかを検証するための資料になりそうだ。

最近の基地局問題の特徴として、基地局の設置場所を提供する地権者がトラブルに巻き込まれていることである。地権者になることは、賃料収入を得られる反面、健康被害に対する損害賠償裁判の被告にされた場合、たとえ勝訴しても大きなリスクを背負うことになる。

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2015年09月04日 (金曜日)

「仕掛け人」の世代交代、小沢一郎氏から橋下徹氏へ、野党再編の茶番劇20年の中身とは?

【サマリー】野党再編の仕掛け人が、小沢一郎氏から橋下徹氏に交代しようとしている。これまで野党再編の場に常に登場してきたのが小沢氏である。小沢氏は自民党政治に不満を持つ人々の受け皿になりながら、政策の中身は自民党と基本的に変わらない構造改革=新自由主義の路線を支持してきた人物である。

安倍政権が危機に立たされるなか、同じような役割を担って登場してきたのが橋下徹氏である。しかし、橋下新党は、自民党に不満を持つ有権者の受け皿となっても、中身は基本的に同じだ。結局、自民党延命装置として機能する可能性が高い。

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2015年09月03日 (木曜日)

懸念される安保関連法と特定秘密保護法の「複合汚染」、核兵器の運搬を支援物資の運搬と偽ることも可能に

【サマリー】安保関連法と特定秘密保護法は、相乗効果によりとんでもない事態を招きかねない。たとえば自衛隊から戦死者が出た場合、戦死者に関する情報を特定秘密に指定してしまえば、だれがどのような状況で戦死したのか、誰も知ることができない。核兵器を運搬しても、それに関する作業を特定秘密に指定しておけば、「支援物資を運んだ」で通用してしまう。

特定秘密保護法は広義の安保関連法である。特定秘密保護法を廃止に追い込めば、ジャーナリズム活動により戦争の実態を伝え、安保関連法も廃止に追い込むことができるが、同法への関心は薄れはじめているようだ。

今、日本では安保関連法の「複合汚染」が始まろうとしている。

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2015年09月02日 (水曜日)

海外派兵の新スタイルとは?旧日本軍の侵略・占領スタイルとは何が異なり、何が問題なのか

【サマリー】30日の安保関連法案に反対する東京集会の場に、右翼の街宣車が「出征兵士を送る歌」を流しながらやってきた。しかし、法案が成立した後に本当に、徴兵制が敷かれるのだろうか。答えは、NOである。

想定されているのは、米軍と同様に世界の紛争地帯へピンポイントで兵力を投入する体制である。投入される兵士は、ジャーナリスト寺澤有氏の取材で判明した「隊員家族連絡カード」などを参照に選任される可能性が高い。

実際に想定されいる海外派兵のスタイルとは何か?右翼が考えている旧日本軍のスタイルとは何が異なるのか?海外派兵の実態を客観視する。

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2015年09月01日 (火曜日)

森裕子氏に対するジャーナリズムの視点からの回答書、志岐武彦氏が『最高裁の黒い闇』を出版、『財界にいがた』が書評

 【サマリー】 『財界にいがた』(9月号)が、志岐武彦氏の新刊書『最高裁の黒い闇』を紹介している。これは小沢一郎氏が検察審査会の議決で法廷に立たされた事件の舞台裏に、最高裁事務総局の策略があったことを、膨大な内部資料によって検証したものである。

従来、定説となってきた説、つまり検察が捏造報告書により検察審査員を誘導して起訴相当議決を下させたとする説を否定して、最高裁事務総局による謀略説を唱えたものである。

その根拠となっているのが、情報公開請求によって入手した段ボール2箱分の資料である。小沢氏の起訴は、検察による謀略か、それとも最高裁による謀略か、この点を巡っては志岐氏との間に論争があり、元国会議員の森裕子氏は、志岐氏を名誉毀損で訴え、敗訴した。本書は、こうした挑発行為に対するジャーナリズムの視点からの回答書でもある。

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2015年08月31日 (月曜日)

中央紙は安保関連法案に反対する12万人規模集会をどう報じたのか?

【サマリー】30日に安保関連法案に反対する集会が開かれ、主催者の発表で東京だけでも12万人が参加した。この大規模集会を中央紙はどう扱ったのだろうか。朝日、読売、毎日、産経を検証した。

結論を先に言えば、4紙とも一応は大規模集会を報じているが、別の問題もある。海外派兵に対して、一貫して警鐘を鳴らしてこなかったことである。

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2015年08月28日 (金曜日)

現職大統領に対して「不逮捕特権」を奪う決定、三権分立の理想を示した中米グアテマラの最高裁判所

【サマリー】汚職事件に関与したとされる中米グアテマラの現職大統領に対して、同国の最高裁は、「不逮捕特権」を取り上げる決定を下した。グアテマラでは、世界に先駆けて三権分立のあるべき理想を実践している。

これに先立つ2013年には、軍政時代の元将軍であり大統領であったリオス・モントに対して禁固80年を言い渡した。また、今年の1月には1982年にスペイン大使館焼き討ち事件を指示した元警察のトップに対して禁固90年の判決を下している。

三権分立が正しく機能した時、社会正義はどう実現されるのか。グアテマラは世界に先駆けて、その模範を示している。

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2015年08月27日 (木曜日)

共産・小池氏が指摘した防衛省の内部文書に対する情報公開請求、9月24日までの回答を防衛省が通知

【サマリー】 共産党の小池晃氏が暴露した防衛省の内部文書の情報公開を防衛省の中谷元防衛大臣に対して請求したところ、8月21日付けで受付が完了した旨を伝える通知が送られてきた。防衛省はこれを開示するか、それとも隠すか、同省の姿勢を観察する機会となった。

小池氏が指摘した内部文書の例でも明らかなように、このところ法案が成立していないのに、成立を前提に行動を起こす「見切り発車」が増えている。その背景に官僚による政治の復活があるのでは?

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2015年08月25日 (火曜日)

「押し紙」70年⑧、日露戦争の時代から「押し紙」があった、読売・宮本友丘元専務は自社の「押し紙」を全面的に否定

【サマリー】日本新聞販売協会が編集した『新聞販売百年史』によると、日露戦争の当時から「責任紙」と呼ばれる「押し紙」が存在した。しかし、それは表向きは契約によって取り決められたノルマにあたるために、「押し紙」には該当しないという論理の根拠でもあった。

問題は、こうしたゆがんだ論理が現在にまで受け継がれ、新聞販売店に配達されない新聞が多量に残っている事実があるにもかかわらず、「押し紙」とは見なされていないことだ。弁護士の中にも、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士のように読売には「押し紙」が存在しないという見解の者がいる。

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