1. 毎日新聞「押し紙」裁判で販売政策の実態が判明――補助金処理によるスキームが明らかに

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2026年06月29日 (月曜日)

毎日新聞「押し紙」裁判で販売政策の実態が判明――補助金処理によるスキームが明らかに

毎日新聞社を被告とする「押し紙」裁判で、「押し紙」を販売政策に組み入れるスキームの全容が明らかになった。その仕組みがどのようなものなのか、簡単な数字を使って説明しよう。

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、この裁判は兵庫県阪神地区の毎日新聞の元新聞販売店主が、「押し紙」などによって生じた損害の賠償を求めて大阪地裁に提訴したものである。代理人は江上武幸弁護士が務めている。

■「押し紙」を組み入れたスキーム

1. 「押し紙」とは、新聞販売店の経営に真に必要な部数(実売部数+2%の予備紙)を超えて供給された新聞のことである。「押し紙」は独禁法の新聞特殊指定に抵触する。

2. 仮に、「押し紙」が原因で販売店が新聞社に対する新聞仕入れ代金50万円を納入できなかったとする。この場合、この50万円は新聞代金の未払い金として経理処理されるのではなく、新聞社が販売店に支払う補助金の未払い金として処理される。この点が裁判の中で解明されたのだ

なぜ、新聞代金の未払い金ではなく、補助金の未払い金として処理されるのだろうか。

その理由は、独禁法の新聞特殊指定が「押し紙」を禁止している以上、「押し紙」によって発生した新聞代金の未納分を、そのまま未収金として処理することはできないからだ。そのため、新聞社からの補助金の未払い金として経理処理せざるを得ないのである。

阪神地区の元店主のケースでは在職中に、「補助金の未払い金」が累積した時期が複数回あった。しかし毎日新聞は、時期を見てはまとめ払いして、帳簿上は差し引きゼロとしていた。

これは、「押し紙」によって販売店が被った損害を、「押し紙」に連動する折込広告の水増し収入と補助金によって相殺するスキームが存在することを示している。

しかし、この元店主のケースでは、廃業時点で「補助金の未払い金」が大量に累積したままとなっていた。そこで江上弁護士は、訴訟の請求内容を変更し、「押し紙」による損害ではなく、「補助金の未払い金」の支払いを求める請求へと切り替えたのだ。

「押し紙」を組み入れたスキームが、解明された今、裁判所がどのような判断を示すかは現時点では不明である。しかし、政治的な外圧などの特殊な事情がない限り、毎日新聞に対して「補助金の未払い金」の支払いが命じられる可能性は極めて高い。

ただ、判決の結論がどうであれ、「押し紙」を販売政策に組み入れるスキームが、毎日新聞側の具体的な資料によって裏付けられた意義は大きい。この裁判の判決は、日本の新聞業界全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。「押し紙」問題を解決するための貴重な判例になる可能性がある。

ない、元店主と毎日新聞との口頭弁論(ウェブ会議)は、本日(29日)開かれる。

 

写真:中村史郎・日本新聞協会会長、出典は東大新聞