
佐賀新聞の元店主・寺崎昭博さんが起こした「押し紙」裁判で、裁判所が佐賀新聞社による独占禁止法違反を認定したのを受けて、7月8日に東京永田町の国会議員会館で、「残紙と独禁法」と題する学習会が開催される。
この企画は小坪慎也・行橋市議(福岡県)の提案に、筆者や寺崎さんの弁護団が賛同するかたちで開催される。イデオロギーの違いを超えた共闘で、当日は寺崎さんと弁護団のほか、自民党の大物議員も登壇する。
筆者は、東京23区における区の広報紙の水増しの実態を報告する。情報公開請求で入手した生の資料も配布する。事前予約なしに誰でも参加できる。
スケジュールは次の通りである。
日時:7月8日 13時から16時
場所:国会議員会館(部屋は未定)
※新型肺炎が流行しているので、中止になる可能性もある。開催の有無、会場になる部屋の番号等は、7月7日付けの「メディア黒書」で最終告知する。
【参考記事】
1、佐賀新聞「押し紙」裁判、判決の公開と解説、佐賀新聞社の独禁法違反を認定
2、「押し紙」認定の判例、2007年の対読売新聞裁判(福岡高裁判決)、PC上に架空の配達区
3、【調査報告】豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い
【動画・ドキュメント折込詐欺の実態】
2020年06月11日 (木曜日)

朝霞市岡3丁目のKDDI基地局設置問題で筆者は、11日、朝霞市(富岡勝則市長)に対して公益通報を行った。原因は、基地局設置を請け負っている会社が、重機と機材を工事現場から搬出した後、標識(写真)も撤去したことである。標識の掲示は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」や建設業法で定められている。
違反した場合は、懲罰の対象になる。
これについて請負会社の担当者は、
「現状ではこうするよりなかった」
と、話している。
◆◆
ちなみに請負会社は、重機と機材を搬出した後、囲いの補強工事を行った。その際、支え木の土台に、公園内のはがした石畳を使用した。(写真)これは市の所有物である。この点について筆者が指摘すると、対策を考えるとのことだった。
以下、公益通報である。
大塚課長
公益通報を行います。
発信者:黒薮哲哉
朝霞市岡3丁目で、9日から標識をかかげないまま工事が放置されています。
一旦、元の状態に復旧するように進言します。以下、法的な根拠です。
写真の撮影日時は、6月11日、12時29分です。
【電気工事業の業務の適正化に関する法律】
第二十五条 電気工事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その営業所及び電気工事の施工場所ごとに、その見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号その他の経済産業省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。)
【罰則】
第42条 次の各号の一に該当する者は、1万円以下の過料に処する。
四 第25条の規定に違反して標識を掲げない者
なお、建設業法40条は以下のとおり。
【建設業法40条】
建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見易い場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
【罰則】
第五十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
三 第四十条の規定による標識を掲げない者
2020年06月10日 (水曜日)

朝霞市(埼玉県)岡3丁目の基地局問題の続報である。既報(9日付け本サイト)したように、朝霞市の富岡勝則市長は、KDDIに対して、同社が城山公園の敷地内(市が所有)に通信基地局を設置する許可を与えた。それを受けて工事が始まった直後、わたしが計画に気付いて、朝霞市とKDDIに対し工事の中止を申し入れたのである。
朝霞市のみどり公園課の大塚繁忠課長は、法的な不備はないとして、申し入れを拒否した。
一方、KDDI(事業会社は開発電子技術)はわたしからの要請を承諾した。
◆◆
9日の午前、KDDIは約束通り、現場から重機などの機材の搬出作業を行った。作業工程を記した掲示板も撤去した。
次の写真は、作業の開始前(上)と開始後(下)のものである。重機と掲示板(タテカン)が消えている。
◆◆◆
次のプロセスは、KDDIによるわたしに対する事情説明の実施である。説明日は現時点では未定。わたしは、希望として2週間が過ぎたあたりに日時を設定してほしい旨を申し入れた。と、いうのもわたしは、昨日付けで朝霞市に対してKDDI関連の公文書(基地局設置に関係する全文書)の開示を請求しており、それが実施されるまで2週間を要するからだ。
KDDI関連の公文書を確認してから、説明を受けたいというのがわたしの希望だ。
◆◆◆
私的なことになるが、このところ多忙で基地局問題の取材が手薄になっていた。この事件を機に、仕事のウェートを再び基地局問題へ移すことにした。
念のために朝霞市における基地局設置の全実態を調査する。
【写真】朝霞市大字根岸のKDDI基地局。手前は、白百合園(保育園)。
2020年06月09日 (火曜日)

わたしの自宅から100メートルの地点にある公園に、KDDIが基地局を設置しようとしている。設置場所は、朝霞市岡3丁目にある城山公園の入口である。市が所有する敷地だ。
工事現場にある掲示板を確認して、KDDIと朝霞市による基地局設置計画を知った。
わたしは、みどり公園課(大塚繁忠課長)に対して設置工事を暫定的に中止するように申し入れた。これに対して同課は、、近隣住民に対する説明会も開いており、法的な不備はないので、申し入れには応じられないと回答した。
一方、KDDI側(事業会社は開発電子技術)はわたしに対して、暫定的に工事を中止して、機材を搬出すると回答した。(20時20分ごろ)
◆◆
この案件には、大別して2つの問題がある。
まず、第一に朝霞市当局が公園という市民の共有地の一部を私企業に提供して、便宜をはかる決定を下したことである。
第二に朝霞市の富岡市長と大塚課長が電磁波や放射線による人体影響を理解しているのかどうかという点である。景観についても配慮が必要だ。これらのことを理解していれば、近隣住民から意見を聴取すべきだった。そのプロセスを経ていないわけだから、最低限の説明義務を果たしていない。少なくとも、わたしは説明会の案内書を受け取っていない。
ちなみにアメリカの国立環境衛生科学研究所のNTP(米国国家毒性プログラム)は、2018年にスマホなど無線通信に使われるマイクロ波(電磁波の一種)と発がんの関係について、「明らかな証拠(clear evidence)」があるとする動物実験の最終報告を公表した。
現時点で朝霞市城山公園に設置を予定している基地局の仕様は不明だが、かりに5Gであれば、マイクロ波よりもエネルギーが高く、さらに危険性が高まる。
わたしはKDDIと朝霞市の関係を調べるために、この件に関する交渉記録や契約書など、基地局設置に関する全文書を公開するように情報公開請求(8日付け)を行った。また、富岡市長と大塚課長に対しては、以下の公開質問状を提出した。
◆◆◆
以下、富岡勝則市長と大塚忠繁課長に対する公開質問状である。
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2020・06・09
公開質問状
朝霞市:富岡勝則市長
朝霞市みどり公園課:大塚忠繁課長
発信者:黒薮哲哉
朝霞市岡3-27-
公開媒体:http://www.kokusyo.jp/ 、
(9日に公開)。その他。
全戸配布:KDDI基地局周辺の民家
KDDIに対して、公共の場である城山公園内に電波基地局を設置する許可をだされました貴殿らに、公開質問状という形式で、電磁波による人体影響に関する質問状を送付させていただきまます。
1、朝霞市の所有地であり、市民のくつろぎの場所である城山公園にKDDI基地局を設置することになった経緯を時系列でご説明してください。貴殿らとKDDIはどのような関係なのでしょうか。常識的にはKDDIのビジネスよりも、市民の生存権を優先すべきだと考えますが。
2、アメリカの国立環境衛生科学研究所のNTP(米国国家毒性プログラム)は、2018年、スマホなど無線通信に使われるマイクロ波と発がん性の関係について、「明らかな証拠(clear evidence)」があるとする動物実験の最終報告を公表しました。貴殿は、通信基地局で使用されるマイクロ波やミリ波による人体への影響についてどのような見解をお持ちでしょうか。
3、総務省が定めている電波防護指針(1000μW/cm2.)が安全だとする根拠を説明してください。ちなみにEUの推奨値は、屋内が0・01μW/cm2で屋外が0・1μW/cm2です。遺伝子毒性を考慮して、低く設定されているわけです。WHOの外郭団体である世界癌研究機関は、2011年にマイクロ波に発がんの可能性があることを認定しています。基地局周辺で癌の発症率が想定的に高くなることを示す、疫学調査の結果も複数あります。
4、公園周辺の住民や通学生(基地局の設置場所は、朝霞2中の通学路)に健康被害が発生した場合、市としてどのような対策と補償をされるのでしょうか。
5、KDDIは住民に対して説明会を開いたとのことですが、公園から100メートルの距離に自宅を持つわたしは案内を受けていません。具体的に、いつ、どの住民に対して、どこで説明会を開催されたのでしょうか。説明を受けていない住民が多く、朝霞市とKDDIは、危険物の設置に関する説明義務を果たしておりません。
6、2010年にわたしが朝霞市議会に提出した「無線基地局の設置に関する条例の制定を求める請願」を、その後、どのように利用されたのでしょうか。この文書の中で、電磁波による人体影響にも十分に言及しています。原文がない場合は、再送付します。
7、朝霞市にある小学校10校を対象に、それぞれの学校の近辺(200メートル以内)にある基地局設置の情況を調査したところ次のようなデータが集まりました。
朝霞第一小学校:2局
朝霞第二小学校:1局
朝霞第三小学校:1局
朝霞第四小学校:1局
朝霞第五小学校:1局
朝霞第六小学校:2局
朝霞第七小学校:4局
朝霞第八小学校:1局
朝霞第九小学校:2局
朝霞第十小学校:0局
(2014年11月時点のデータ)
※朝霞第九小学校についていえば、KDDI基地局の直近に白百合園(保育園)もある。さらに近くを高圧電線(低周波電磁波)が走っている。
こうした実態も踏まえて、貴殿らが考えておれる今後の基地局問題の対策を提示してください。条例などを定めて設置を規制したり、既存のものを撤去させる方針をお持ちでしょうか。具体的な対策を提示ください。
以上の点について、金曜日の午前中までにメールで回答してください。
わたしは基地局設置問題に関して、2010年5月20日、「無線基地局の設置に関する条例の制定を求める請願書」を朝霞市議会に提出しております。その際に指摘したことが、その後、まったく市政で生かされていないことを知って失望しております。
貴殿らは、そもそも電磁波や放射線による人体影響について把握されているのでしょうか。今後は、訴訟も含めて早急に対処することになりますので、あらかじめお知らせしておきます。私企業の活動により、市民が迷惑を受ける情況が起きたときは、市民の利益を優先するのが当たり前ではないでしょうか。
連絡先:xxmwg240@ybb.ne.jp 048-464-1413

『紙の爆弾』(7月号)に、わたしが執筆した滋賀医科大事件の記事が掲載された。タイトルは、「前立腺がん患者をモルモットに 滋賀医大病院事件『疑惑の判決』」。
このルポは、4月14日に判決が下された滋賀医科大事件の判決に、「報告事件」の疑惑があることを伝えたものである。「報告事件」というのは、全国の裁判所を管理する最高裁事務総局の政治的判断と介入により、公正・中立な判決が阻害された可能性がある事件を意味する。
裁判の進行を担当書記官が最高裁事務局へ「密告」して、最高裁が政治的判断が必要と考えた場合、担当裁判官を人事異動させることによって、最高裁事務局の意に沿う判決を下させる事件のことである。
滋賀医大病院事件では、結審の後、2人の裁判官が異動になった。判決を読み上げたのは、結審の後、裁判官に就任した新しい裁判長だった。前裁判長は、判決に捺印していない。
国立病院で起きた人間モルモット事件に審判を下すのは、厚生労働省の信用失墜につながりかねない。実際、厚生労働省はこの事件を傍観し続けたのである。
この裁判が「報告事件」であることは、書面を読めば判断できる。わたしのようにジャーナリストの端くれであっても、長年に渡って記事やルポを書いていると、論理が破綻している「作文」には反応する。編集者やライターの視点で、判決文を読んでみると、判決文が後から、誰かが修正を加えたものであることが分かるのだ。
「作文」としては、書き直しが求められるレベルなのだ。繰り返しになるが、それは「作文」で最も大事な論理が破綻しているからだ。
◆◆
「報告事件」の指定は、国策にかかわる案件が法廷に持ち込まれた際に行われるようだ。次のユーチューブは、わたしが「報告事件」について、報告・講演しときの記録(1時間47分50秒~)である。
【動画】シンポジウム「裁判所は本当に駆け込み寺か?」、田中哲郎判事の例に見る不自然な裁判官の人事異動
田中哲郎裁判長は、携帯電話の基地局の撤去を求める住民訴訟が起きるたびに、事件が所属している裁判所へ異動させられ、次々と住民を敗訴させた人物である。わたしが原告になった対読売新聞のスラップ裁判(3件の裁判、約8000万円の請求に対して、反訴した裁判)でも、途中から登場した。この瞬間に、わたしは敗訴を確信した。
「報告事件」の指定は、「押し紙」がらみの裁判でもたびたびおこなわれてきた。多くの裁判官が、「押し紙」の存在を認めない判決を下してきたわけだが、それが間違いであったことが、近年、否定できなくなってきた。新聞社は、日本の権力構造の一部であるから、裁判でも有利になる傾向がある。
◆◆◆
「報告事件」が広がっている背景に、司法ジャーナリズムの機能麻痺がある。日本のマスコミは、原則として裁判が提起されたときと、判決が下されたときにしか、事件を報道しない。判決を検証することはまれだ。が、これでは役割を果たしていない。
『紙の爆弾』の記事は、判決の矛盾に踏み込んでいる。

NKHがはじめて「押し紙」問題を報じた。佐賀地裁が5月15日に、佐賀新聞による「押し紙」政策を独禁法違反と認定する判決を下した直後、インターネットで報じたのである。
わたしにとっては予想外の報道だった。もう10年ぐらい前になるが、NHKに「押し紙」問題を持ち込んだところ、資料の受け取りを拒否されたことがあったからだ。それほど、「押し紙」問題に対する拒否反応が強かったのだ。当時、雑誌がさかんに「押し紙」問題を報じていたから、知らないはずはなかったはずだが。
資料の送付先を尋ねても、担当者の名前も部署も明かさない。かりに一方的に資料を送付すれば、紛失する可能性があるので、資料を送付しないようにとの注意まで受けた。何を恐れているのかさっぱり分からなかった。よほど「押し紙」問題とはかかわりたくなかったようだ。
NHKが本気で「押し紙」「積み紙」の報道をすれば、この問題はすぐに解決するが、裁判で新聞社による独禁法違反を認定するまで報じなかったのである。タイミングが40年ほど遅れだ。「安全地帯」に到着してから、報じても遅いというのがわたしの実感だ。【続きはウェブマガジン】

新聞を無料で提供する慣行がいつのまにか定着した。ホテルのロビーに朝刊が山積みになっている光景はすっかり定着した。
これらの新聞は、ホテルが一旦仕入れたものを、客に無料配布しているのか、それとも新聞社サイトがPR用に無料で提供しているのかは不明だが、いずれにしても問題がある。仮に仕入れたものであるとしても、読者の実態が不明なPR紙がABC部数に加算されているからだ。
新聞社にとってABC部数の維持は新聞社経営の中心的課題である。と、いうのもABC部数の規模に応じて紙面広告の価値が決まるからだ。民間企業との広告取引では、この基本原則は崩壊の方向へ向かっているが、内閣府などが出稿する公共広告は、厳密にABC部数のランクによって、広告費が割り当てられている。
従って残紙(「積み紙」「押し紙」)政策を続けたり、ホテルなどにPR紙を搬入することで、新聞社はABC部数を維持して、紙面広告の価値を維持する販売政策を取っているのだ。
◆◆
また、ABC部数を維持することは、読者を維持することでもある。意外に知られていないが、新聞購読者の中には、折込広告が主要な目的で新聞を定期購読している人もいる。販売店に対して、「新聞本体はいならい。折込チラシだけ配布してほしい」という要望もあるらしい。
ABC部数が減ると広告効果が低下して、折込チラシの需要が下がる。その結果、読者ばなれが起きる。それゆえに残紙をしてでも、無料配布をしてでも、とにかくABC部数を維持したいというのが、新聞人の本音といえるだろう。
◆◆◆
新聞の無料配布は、地方紙でも行われている。右写真◆は、新潟日報が発行している「おとなプラス」という新聞である。これはフリーペーパーではない。
月ぎめで1750円の日刊紙である。この新聞も無料配布されている。広告営業を優位に展開するために、このような戦略が取られているのではないか。
ちなみに新聞の価格を割り引きしたり、無料配布する行為は、新聞特殊指定で禁止されている。公正取引委員会は、広義の無料配布の実態について調査すべきだろう。
◆◆◆◆
日本の新聞社が主導している残紙政策は、実は海外でも問題になっている。
ウィキペディアの英語版に、世界の新聞の発行ランキング(2016年)が掲載されていて、そこには次のような但し書きがある。
Some figures are disputed; the numbers for Japanese newspapers have been subjected to claims of "oshigami" (exaggeration by over-supplying papers to businesses).[一部の数字には議論がある。日本の新聞の部数は押し紙(過剰供給による誇張)ではないかという主張にずっとさらされてきている]
実は、2010年ごろ、わたしはたびたび海外のメディアから「押し紙」についての取材を受けていた。次の記事は、最初にThe Australianに掲載されたものである。それからAsia Pacific Journalに転載された。
■https://apjjf.org/-David-McNeill/3318/article.html
近々、ギネスブックに調査を申し立てる必要があるだろう。

横浜副流煙裁判の被告の連れ合いである藤井敦子さんが、作田学医師が作成した疑惑の診断書に関して、新しい調査に乗り出した。
既報したように、横浜地裁は昨年の11月に原告3人(同じマンションの住民)の訴えを棄却した。そして提訴の有力な根拠となった作田医師作成の診断書のうち、原告A娘の診断書が正規の手続きを経ずに作成されていた事実を司法認定した。
判決は、この診断書を作成した作田医師の行為が、医師法20条違反(患者を直接診察せずに診断書を作成する行為)に該当すると認定したのだ。
作田医師による医師法20条違反の認定を踏まえて、藤井さんは、作田医師が3月末に除籍になるまで在籍していた日本赤十字社医療センターに対して、原告A娘の断書作成を根拠として請求が起こされた公的医療費を返済するように求めた。その額は2000円にも満たないが、ニセ診断書によって日赤が公的資金を請求したとすれば大きな問題なので、返済を進言したのだ。
これに対して、日赤は既に返金した旨を藤井さんに回答した。そこでそれが事実かどうかを確認するために、自らが居住している横浜市青葉区の保険年金課窓口に調査を申し立てたのである。具体的な方法としては、「疑義請求連絡票」と呼ばれる書面を提出することである。それを受けて、調査が行われる。
ただ、青葉区の窓口の担当者は、「いかなる場合も結果を教えられない」と言っている。それでは意味がない。

『週刊金曜日』(5月29日)が佐賀新聞の「押し紙」裁判で、佐賀新聞の独禁法違反が司法認定されたことを報じている。タイトルは、「佐賀新聞社の押し紙実態を裁判所が断罪、『販売店犠牲に収入増』認定」。執筆者は鹿児島大学の宮下正昭准教授である。
佐賀地裁が下した歴史的な判決を高く評価すると同時に、この事件をマスコミがどう扱ったかに言及している。テレビが初めて「押し紙」問題を取り上げたことを高く評価している。「押し紙」問題はテレビが絶対に扱わなかったテーマだった。例外的にコメンテーターが談話の中で言及したことはあるそうだが、「押し紙」裁判を取り上げたのは初めてである。
『週刊金曜日』の記事によると、「NHK佐賀放送局と県内唯一の地上波民法テレビ・佐賀テレビが報じた」という。
※佐賀テレビの画像はすでに削除されている。
◆◆
「押し紙」が最初に社会問題になったのは、1980年代である。滋賀県新聞販売労組の沢田治さんが、滋賀県選出の国会議員に接近して、85年までの5年間に15回の国会質問を実現させたのだ。質問に立ったのは、共産党、公明党、社会党だった。
この時代の「押し紙」報道は、『赤旗』、『潮』、それに統一協会の『世界日報』である。その後、『週刊文春』、『噂の真相』、『スキャンダル大戦争』などの雑誌が断続的に「押し紙」問題を取り上げはじめた。
2007年に福岡高裁で、読売の「押し紙」政策を認定する歴史的な判決が下された。
この判決を機として、週刊誌や月刊誌が一斉に「押し紙」報道をはじめた。『週刊ダイヤモンド』、『SAPIO』などが、「新聞没落」の特集を組み始めたのである。こうした流れ中で、2009年に『週刊新潮』が反「押し紙」キャンペーンを展開した。これに対して、読売は、わたしと新潮社に5500万円を金銭支払いを求める裁判を起こした。わたしに対しては、それ以前にも2件の裁判を起こしていた。
こうした裁判戦略の影響は大きく、「押し紙」問題の報道は下火になっていた。
しかし、右派系の人々が熱心に「押し紙」問題をクローズアップするようになる。右派系メディアの中心は、インターネットの動画である。佐賀新聞の事件では、ユーチューブに番組がアップされたほか、虎ノ門ニュースやチャンネル桜も判決を取り上げた。
◆◆◆
コロナウィルスの影響で、新聞の折込チラシが激減している。販売店は、もともとチラシ収入で経営の採算を合わせているので、このところ危機的な状況にある。ビジネスモデルそのものが成り立たなくなっているのだ。
当然、今後、「押し紙」裁判が増えるだろう。
わたしの取材体験から言えば、「押し紙」裁判は、集団で起こすと有利になる。新聞社の「押し紙」政策が、特定の販売店に対してだけのものではなくて、全販売店に対するものであることを裁判官に理解させやすくなるからだ。
集団訴訟によって和解解決した例としては、次のケースがある。
北国新聞、長崎新聞、南日本新聞、琉球新報。
2020年05月30日 (土曜日)

27日に参議院で可決されたスーパーシティ法をご存じだろうか。これは5Gの普及に連動して国家戦略特区を設け、そこで5Gの「実験」を可能にする法律である。厳密に言えば、国家戦略特区法の改正である。
この法案に賛成したのは、自民、公明、維新の保守3党である。
スーパーシティ法を必要とする構想は、日本のテクノロジーを使って、理想的な都市を建設して、現在の日本が直面している過疎や少子化などの問題を解決しようというものである。5Gの技術と連動しているのが大きな特徴だ。その中身は、「移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全」などの領域に及ぶ。
そのための実験都市を設置を可能にすることがこの法律の目的である。
◆
5Gを導入する立場の企業にとっては、今後の戦略の新しい一歩を踏み出したと言っても過言ではない。しかし、最大の問題は、5Gで使われるマイクロ波やミリ波が実験都市に指定された地域の住民に深刻な人体影響を及ぼしかねないことである。
マイクロ波による人体影響は、もはや否定できなくなっている。2018年には、アメリカの国立環境衛生科学研究所のNTP(米国国家毒性プログラム)が、マイクロ波の発癌性を示す「明らかな証拠」があるとする最終報告をまとめている。同研究所は、現在は癌が発生するメカニズムの解明に入っている。
それにもかかわらず、たとえばKDDIは、この結果を認めていない。認めないまま基地局の設置を進めている。
◆◆
電磁波による人体影響が指摘されるようになったのは、1980年代に入ってからである。最初は、米国で超低周波と小児白血病の関係が指摘された。それからマイクロ波など周波数が比較的高い電磁波の人体影響も指摘されるようになった。
かつて電磁波(放射線)の仲間のうち、原発のガンマ線やレントゲンのX線など周波数が極端に高いものについては、人体影響があるとされていたが、現在では周波数とはかかわりなく、人体影響があるとする考えが主流を占めている。こうした科学的見解の変化を象徴しているのが、アメリカの国立環境衛生科学研究所の最終報告にほかならない。
日本でも同じ流れがあり、たとえば電磁波研究の第一人者である荻野晃也氏は、『携帯電話基地局の真実』の中で次のように述べている。
これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。
また、北里大学の名誉教授・宮田幹夫氏らがまとめた『生体と電磁波』にも、次のような記述がある。
エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。
が、5Gを推進しようとしている勢力は、これらの研究結果がなかったことにして、計画を前へ押し進めようとしているのである。事実を「なかったことにする」行為は、このところ何の罪悪感もなく行われることが増えている。厚顔とはこのことである。
◆◆◆
人体の不調や病気の発生には、必ず外的な原因がある。神や天など実在しないものの力で生み出されている祟(たたり)りではない。病気の起源には、客観的な外的要因があるのだ。Covid-19による新型肺炎も例外ではない。環境の変化を無視して語ることはできない。
戦後、最も大きな環境の変化は、化学物質による汚染と、電磁波による汚染である。米国のケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)が登録する新しい化学物質の数は、1日で優に1万件を超えるという。もちろん、そのすべてが有害なわけではないが、化学物質や電磁波による複合汚染は、解明されていない部分の方がはるかに多いのである。
1990年代から電磁波利用が急速に進んでいるのは周知の事実である。こうした環境の中で、病因のリスクを考察すべきだろう。
たとえば子宮頸癌は、ヒト・パピローマ・ウィルスに感染した状態で、外的な要因が加わった時に、発症すると言われている。
ヒト・パピローマ・ウィルスに感染した人全員が必ず子宮頸癌になるわけではない。たとえば感染した状態で、ある環境因子にさらされてDNAがダメージを受けるなどの条件が重なった場合、発症のリスクが高くなるのだ。(『性感性症』、利部輝雄著、悠飛社)
携帯電話の普及に伴って癌が増えている原因を考える上に、示唆に富む記述である。
電磁波の危険性が指摘されているにもかかわず企業が5Gの開発を進めるのは、それが巨大ビジネスに結び付くからにほかならない。推進派の人々は経済上の利益以外は何も考えていないのである。他のことは枝葉末節にほかならない。
スーパーシティ構想もそういう性質のものなのだ。

読者は、内閣府からメディア企業に対して支出される広報宣伝費の額を推測できるだろうか。2018年度の内閣府の資料によると、総額で約33億円が支出されている。
内訳は国内が19億7500万円、国外が13億2700万円。
これらの資金の受け皿になっているのが、電通、博報堂、それにエヌ・ティ・ティ・アドの3社である。いずれも随意契約のかたちで、潤沢な資金提供を受けている。
しかし、この額でもかつてに比較すると、かなり予算が縮小されているのである。
【参考記事】内閣府から疑惑のプロジェクトで電通へ25億7200万円
http://www.kokusyo.jp/%e5%a4%a7%e6%89%8b%e5%ba%83%e5%91%8a%e4%bb%a3%e7%90%86%e5%ba%97/12008/
◆◆
内閣府からの広報宣伝費の恩恵にあずかるメディア企業は、こられの広告代理店を通して内閣府からの広報宣伝費を受け取る。経営が悪化している新聞・テレビ企業にとっては、実にありがたい収入となる。
新聞の紙面広告費の場合ABC部数に準じて、広告の掲載料が決まる。このところABC部数に大量の残紙が含まれていることが明るみに出ているが、当然、掲載料の配分そのものが不正になっている可能性が高い。
朝日新聞と産経新聞の記者が検察官と賭博をしていた事件に象徴されるように、新聞人と公権力は癒着している。ずぶずぶの関係なのだ。そのうえ新聞人らが所属する社が内閣府から電通などを通じて多額の公費を受け取っているわけだから、公正な報道など期待できるはずがない。
新聞は公器どころか、公衆を誤った情報で洗脳するという点では、むしろ害を及ぼしているのである。
メディアの堕落は記者の心がけが悪かったり職能が未熟であるからではない。現在の制度の中に客観的な欠陥があるのだ。

佐賀新聞の「押し紙」裁判で、佐賀新聞による独禁法違反が認定されたことを受けて、過去の「押し紙」裁判の資料を再検証してみた。このうち朝日新聞のASA宮崎大塚の店主が起こした「押し紙」裁判(途中から本人訴訟、敗訴)では、店主の敗訴だったが、明らかな独禁法違反の証拠が残っていることが分かった。少なくともわたしの解釈では、独禁法違反である。
◆◆
この点に言及する前に、佐賀地裁の判決に関して特に重要な2点を指摘しておこう。
【1】佐賀地裁は、佐賀新聞が全店を対象とした一斉減紙を行ったことを認定した。一斉減紙の時期と部数は次の通りである。
2009年2月:1491部
2010年3月:1148部
2013年3月:1743部
2014年4月:2965部
2016年2月:3608部
独禁法の新聞特殊指定は、「販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給すること」を禁止している。佐賀新聞の場合は、一斉減紙の例に見るように発行本社が搬入部数を調節していたわけだから、完全に独禁法に抵触する。
【2】佐賀地裁は、販売店が必要な予備紙の定義を「原告が実際に原告販売店を経営する上で必要としていた」部数と認定した。原告は繰り返し予備紙は搬入部数の2%で十分であると言っていたので、予備紙は搬入部数の2%という計算になる。他の残紙は、理由のいかんを問わずすべて「押し紙」である。
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以上の点を踏まえたうえで、ASA宮崎大塚が朝日新聞に対して起こした「押し紙」裁判で、明らかになった興味深い資料を紹介しよう。
朝日新聞は、2006年12月に「07目標数のお願い」と際する書面をASAの各所長宛てに送付している。これは2007年度の新聞拡販の目標部数を決定した旨の通知である。その中に次の一文がある。
貴ASAの2007年の目標数案を別紙の通り決定致しましたので、ご通知申し上げます。皆様方の更なるご活躍とより一層の飛躍をお祈り申し上げます。■出典
引用分が示すように、朝日新聞が新聞拡販の目標部数を指定しているのである。その具体的な数値は次の通りである。
1月~9月:4740部
10月:4765部
11月~12月:4740部
■出典
次に上の数字と下の数字を照合いただきたい。
【1月】
送り部数:4770部
実配部数:3219部
【2月】
送り部数:4770部
実配部数:3191部
(以下略)■出典
各月とも送り部数(搬入部数)と目標部数が完全に一致している。これは佐賀新聞の場合と同様に、発行本社の側が注文部数を決めていることを意味する。独禁法が禁止している「販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給する」行為に抵触する。その結果、大量の「押し紙」が発生していたのである。販売店にとって不要な予備紙(押し紙)が発生していたのである。
この裁判の判決は、完全に間違っているというのがわたしの見解である。朝日新聞に忖度した判決であることは疑いない。
他年度についても、朝日新聞は同じパターンで「押し紙」をしている。
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記憶は定かではないが、2009年ごろ産経新聞も一斉減紙をやったような気がする。一斉減紙は、独禁法違反の決定的な証拠だ。

