2017年05月02日 (火曜日)

■山田幹夫(フリーランス取材者・元通信社記者)

「赤報隊」という名前を覚えていますか?
30年前の憲法記念日、朝日新聞阪神支局が襲撃されて記者2人が殺傷し、
未解決事件のままである。5月3日を前に、あらためて記憶しておきたい。

1987年5月3日、40回目の憲法記念日に散弾銃を手にした黒ずくめの男が朝日新聞阪神支局を襲撃し、記者2人を殺傷。「赤報隊」を名乗るテロ犯人は未だに特定されず、未解決事件になったままだ(広域重要指定116号事件)。

*1987年から1990年にかけて「赤報隊」を名乗る犯人が起こした事件は次の通りである。

朝日新聞東京本社銃撃事件(1987年1月24日)
朝日新聞阪神支局襲撃事件(1987年5月3日)
朝日新聞名古屋本社社員寮襲撃事件(1987年9月24日)
朝日新聞静岡支局爆破未遂事件(1988年3月11日)
中曾根・竹下両元首相脅迫事件(1988年3月11日の消印)
江副元リクルート会長宅銃撃事件(1988年8月10日)
愛知韓国人会館放火事件(1990年5月17日)

当時は「自主憲法制定」を主張する国家主義者の中曽根康弘首相の下で、国家秘密法の制定が急がれ、8月の終戦記念日には靖国神社の公式参拝を首相として初めて強行、防衛費のGNP(国民総生産)1%枠が撤廃された時代だった。

あれから30年、国家主義者の安倍晋三首相の下、中曽根首相が果たせなかった国家秘密法は「特定秘密保護法」となり、「安保法制」(戦争法)ともども強行採決され成立。さらに、戦前の「治安維持法」もどきの、犯罪など計画していない国民のLINEなども盗聴される懸念が強い「共謀罪」の強行成立も予断を許さない状況となっている。

30年前は、政権に対してリベラルな論調ゆえに朝日新聞が赤報隊の標的にされたが、「この日本を否定するものを許さない」(阪神支局事件)、「占領軍政いらい 日本人が日本の文化伝統を破壊するという悪しき風潮が、世の隅隅にまでいきわたっている」(東京本社襲撃事件)と書いた赤報隊の声明文に流れる戦前回帰の思想は面々と流れて、現在と密接に結びついている。

歴史は、現実世界に無関心でいると、逆行や退行させる動きに負けて、人として生きる基本的人権などが奪われることになる、ということを示している。肝に銘じたい。

◇支局内に襲撃事件の資料室、見学が可能

阪神支局の3階に「朝日新聞襲撃事件資料室」が開設されている。記者2人が殺傷された阪神支局事件を中心に、言論機関を狙ったテロに関する資料を展示して公開することで、事件を多くの人に語り継ぎ、言論の自由はじめ民主主義の大切さを伝えていくことが目的だと聞いた。

資料室に展示されているのは、死亡した小尻知博記者(当時29歳)と重傷を負った犬飼兵衛記者(同42歳)が銃撃された編集室から採取された散弾粒、2人が座っていた応接セット、血に染まった原稿用紙、散弾粒の跡が残る身につけていたボールペン、財布、犯行声明文、犯人が声明文に使用したワープロ、犯人が身につけていた目出し帽や靴、着衣の類似品、小尻記者の遺影、事件に関連した写真・年表・書籍など。さらに朝日新聞が遺族や関係者から提供を受けた品々もある。

品々を間近にすると、近距離から銃に撃たれた記者2人がどんなに恐怖だったか、どんなに悔しかったか、憤りとともに感情がじわりと沸いてくる。

新人記者らはこの資料室で研修する。「時代が君たちを鍛える」と講義も受けるということだった。自由にものが言える社会を何よりも大切だと考える記者、頼もしく骨のあるジャーナリストがどんどん出てくることを期待したい。そして、新聞読者、国民も自分にできることを少しでもすることを、自分自身に誓いたいと思う。

なお、見学には予約が必要。阪神支局=兵庫県西宮市与古道町1-1 (阪神電鉄本線・西宮駅から250m)。電話:0798-33-5151

2017年05月01日 (月曜日)

テレビなどの電波を管理している総務省が、「放送確認書」が何かを理解していないことが分かった。周知のように「放送確認書」とは、テレビでCMが放送された際に、放送の実施を証明するために発行される書類である。

これは手動で作成されるのではない。制作したCMに10桁コードを付番して、コンピューターシステムに入力しておくと、放送が完了した際にその10桁コードを印字した放送確認書が自動作成される。民放連はこの制度の運用を義務づけている。

テレビCMをコンピューター管理することで、CM間引きを防止するシステムである。放送業界では常識になっている。

ところが総務省にみずからが広告代理店に依頼して制作した政府広報CMの放送確認書の全部を公開するように請求したところ、「『テレビCMの放送確認書』がどのような文書か判然としないため、総務省が開示する行政文書を特定することができず、このままでは手続を進めることができません」と回答してきた。

次に示すのが、総務省からの通知である。

  黒薮様が開示を希望されている行政文書は、行政文書開示請求書によりますと、下記のとおりです。

「現在、総務省が保管しているテレビCMの放送確認書の全部」

 しかし、当該行政文書開示請求書の記述のみでは、「テレビCMの放送確認書」がどのような文章か判然としないため、総務省が開示する行政文書を特定することができず、このままでは手続を進めることができません。開示する行政文書を特定するために、「テレビCMの放送確認書」がどのような情報が記載された文書なのかを下欄に記入していただけますようお願いします。

  仮に上記の行政文書開示請求の記述のみで開示請求を維持されるということであれば、テレビCMに関する「放送確認書」という名称の文章のみについて、当省における保有状況を確認のうえ、開示決定等の手続を進めさせていただきます。

■行政文書開示請求書の補正について

◇放送確認書を廃棄

しかし、総務省は本当に放送確認書が何かを知らないのだろうか。実は、筆者は、ひと月ほど前にも総務省に対して、放送確認書の開示を求めたことがあるのだが、その時の対応は今回とは異なっていた。

開示を求めた理由は、総務省が国勢調査の政府広告(新聞による告知)の半分以上を掲載(契約では述べ25回の掲載予定が、12回に間引かれていた)していないなかった事が判明し、理由を尋ねたところ、政府CMに変更したからという回答が戻ってきたので、そのCMの放送確認書を点検したいと思ったからだ。

これに対して総務省は、書面で次のように回答してきた。

「放送確認書については、履行確認が終了し、処分しております。」

この文脈からすると、総務書は確認書が何かを把握しているのである。把握していながら、上記のような通知をしてきたのだ。

ちなみに筆者が今回、総務書に求めた情報公開請求の内容は次の通りである。

「現在、総務省が保管しているテレビCMの放送確認書の全部」

筆者の理解では、放送確認書などの行政文書の保存期間は5年である。そこで総務省が、実際には何年のあいだこの文書を保存しているのかを調べるめに情報公開を求めたのだ。

◇日本会議の構成員が総務大臣

余談になるが、総務省の高市早苗大臣は、国会でマネーロンダリングを指摘された。奈良地検はこの件で高市氏に対する刑事告発を受理している。しかし、依然として大臣の座にある。この人の経歴を調べてみると、日本会議のメンバーであることも判明した。総務大臣としては問題があるだろう。

【参考記事】本日、参議院総務委員会で高市早苗総務大臣の「還付金詐欺」疑惑を追及

 

2017年05月01日 (月曜日)

国会で審議入りしている共謀罪。その危険な性質から、現在の治安維持法とも呼ばれている。

次に紹介するのは、フリーランスの表現者らが制作した共謀罪をテーマとした短編の映画の「続編」である。筋書きは次の通りだ。

【 第2話】
共謀罪で懲役5年の実刑判決を受けたイラストレーター、来生高志は刑務所で暴力団会長の水野幸二と出会う。聞けば、水野も共謀罪で服役中という。しかし、水野の場合、警察と暴力団との裏取引に共謀罪が利用されたのだった。

2017年04月29日 (土曜日)

国会で審議入りしている共謀罪。その危険な性質から、現在の治安維持法とも呼ばれている。

次に紹介するのは、フリーランスの表現者らが制作した共謀罪をテーマとした短編の映画である。筋書きは次の通りだ。

『週刊現在』(講談堂)に掲載された大森首相の風刺イラストが名誉毀損として問題となる。しかし、編集長の桜木英雄は「首相は公人中の公人」と意に介さない。桜木は編集部員の高田正子に指示し、追加のイラストを来生高志に発注しようとするが…。

2017年04月28日 (金曜日)

安倍晋三夫妻が地球温暖化防止の政府広報ポスターにみずから登場していたことを、読者はご存じだろうか。制作したのは博報堂で、制作を依頼したのは環境省である。地球温暖化防止のPR活動の一端である。

筆者がこれを知ったのは、民進党(旧民主党)の末松義規議員の国会質問を過去にさかのぼって調べていた時である。2007年ごろ環境省が3年間で約90億円のPR業務を博報堂に発注していた問題などを追及した国会質問の議事録のなかで、首相夫妻が登場したポスターの存在を知ったのである。

末松議員の質問に答えて、政府参考人は次のように答弁している。

「ポスターにつきましては、総理が先頭に立ってやっていただくわけですが、今回のアイデアが、特に家庭における省エネで電球等の買いかえでございます。そういった観点から、主婦の方にご理解いただきたいということで、私どもから官邸にお願いして、ご婦人にも御出演いただいたわけでございます」

■末松議員の国会質問議事録(2ページ目の後半部分)

◇温暖化防止の巨大ビジネス

地球温暖化防止キャンペーンは短絡的にみると、環境に配慮する世論を育てるための試みのように思えるが、その背景には企業の巨大利権がある。これについては盲点となっているが、2007年に『エコノミスト』(5月15日)が「儲かる『温暖化』」と題する特集を組み、詳しく説明している。

それによると「企業にとって『温暖化関連ビジネス』は単なる社会貢献活動ではなく、利権を生む本格的なビジネスに変質しようとしている」のだという。
具体的には、バイオエタノール、太陽光発電、ヒートポンプ、自動車エンジンの再開発などである。

改めて言うまでもなく、これらの産業は「輸出」が可能な技術でもある。事実、安倍首相もそれを念頭においていたらしく、2007年4月に中国の温家宝首相が来日して首脳会談を行った際、「環境保護協力の一層の強化に関する共同声明」が発表された。

安倍首相は、さかんに中国脅威論を唱えて軍事大国化を進めてきたが、実は日中戦争などまったく想定していないと言えよう。中国脅威論は、国民の不安をあおって、みずからの兄が関係する三菱重工などの軍事産業に大もうけさせるためのプロパガンダと考えても過言ではない。

このような企業利権とプロパガンダとの関係は、地球温暖化防止キャンペーンでも働いている。温暖化防止の世論を形成することで、実は温暖化防止ビジネスの利権を持つ企業を応援しているのだ。プロパガンダの一次目的は、むしろこちらではないか。

そのための国家予算が3年間で約90億円だったのだ。末松議員の質問の中でも、政府参考人はそれを認めている。その90億円を多人数の「天下り」を受け入れてきた博報堂へ支出したのである。

◇LEDによる人体影響

なお、博報堂が制作したポスターには、内容そのものにも疑問点がある。ポスターのキャッチコピーは、白熱灯の使用をやめてLEDに切り替えることを提唱している内容になっているが、LEDのうちブルーライトが人体に有害であることが明らかになっている。

ブルーライトは太陽光に近いために、夜間にこれを浴びると、脳が時間帯を日中と勘違いして、睡眠障害の原因になる。また、質の悪いブルーライトは目の網膜を傷つけることが知られている。

 

【参考記事】危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー①

2017年04月27日 (木曜日)

フランスのパリに本部を置く、国境なき記者団が26日に、2017年の「報道の自由度ランキング」を発表した。これは毎年の恒例行事である。日本は72位だった。前年も同様の順位だった。

1,ノルウェー
2,スウェーデン
3,フィンランド
4,デンマーク
5,オランダ
6,コスタリカ
7,スイス
8,ジャマイカ
9,ベルギー
10,アイスランド

■報道の自由度・全ランキング

◇米国43位?、グアテマラ118位??

筆者は、毎年、このランキングを見るたびに違和感を覚える。何を基準に自由度を決めているのかさっぱり分からないからだ。信用できないというよりも、「自由度」という主観的なものに序列を付ける愚行に主催者の感覚を疑うのだ。

たとえば筆者が昔から取材対象にしている中央アメリカのグアテマラなどは、毎年、130位ぐらいに位置している。1960年代から36年にわたって内戦を体験し、その間に軍部による殺戮が繰り返された国である。その中で
ジャーナリズム活動も展開されてきたのである。

1996年の和平の後、戦争犯罪の検証がはじまり、2014年には1980年代の初頭に大統領職にあったグアテマラ軍の元将軍リオス・モントに対して、裁判所は禁固80年の判決を下した。

2015年の1月には、当時の警察トップに対して、禁固90年の判決を下した。これは、1982年のスペイン大使館焼き討ち事件に連座したものである。先住民族と学生37人が、軍による暴力を世界にむけてアピールするために、スペイン大使館に駆け込んだところ、軍が大使館のドアと窓を釘付けにして放火し、館内にいた人々を皆殺しにしたのである。生存者は、大使会員を含めて2人。事件後、スペインはグアテマラとの国交を断絶した。この事件の責任を警察関係者が問われたのだ。

さらにこの年、現職のオットー・ペレス=モリナ大統領が、裁判所の判断で大統領の不逮捕特権を奪われた。原因は税関汚職事件である。

【参考記事】中米グアテマラで進む戦争犯罪の検証、ジェノサイド作戦を指揮した元軍人18人を逮捕

◇自由度の序列化の愚

こうしたニュースは、インターネットを通じて米国系由で、あるいはグアテマラから直接に伝わってきた。その米国は43位で、グアテマラは118位である。これ自体がおかしなことだ。

しかし、米国の映像ジャーナリズムは伝統的にレベルが高く、それは今も健在だ。ヨーロッパや北欧の比ではない。1980年代にグアテマラなどの内戦を精力的に記録したのも、その多くはやはり米国の映像ジャーナリストである。

ニュースや報道の自由度にランキングを付けるゲームには、あまり根拠がない。筆者の私的な見解になるが、記者が特定の国に取材に入り、利便性も含めてその国の印象がよければランキングが高くなり、悪ければランキングも低くなるのではないか。

中米のコスタリカは6位になっているが、この国は中米では例外的に利便性がよく、ホテルに行けば湯が出るシャワーがあるし、水道水もそのまま飲める。
清潔な環境で育った欧米人にはうれしい。そういう国はランキングが高いが、反面、衛生面も悪く水のシャワーしかないような国は、記者の苦労も多く心証が悪くなり、ランキングも低くなっているだけの話ではないだろうか。

筆者は自由度の序列化には関心がない。

【参考サイト】米国発のDemocracy Now! (日本版)

2017年04月26日 (水曜日)

博報堂が内閣府と中央省庁に対して発行してきたPR業務に関する請求書にインボイスナンバー(コンピューター制御により、見積書や請求書に印字されるナンバー)が欠落している問題の続報である。既にのべたように、インボイスナンバーが付番されていない事実は、コンピューター制御の下で経理処理が行われていない可能性を示唆する。

会計システム監査の専門家によると、インボイスナンバーの不在は不正の温床にはなるが、違法行為ではないし、不在になっていても経理処理はできるという。

しかし、インボイスナンバーを付番して経理処理した方がはるかに合理的であることはいうまでもない。事実、個人業者は別として、大企業はほぼ全面的にインボイスナンバーを使って経理処理している。わざわざそれを不在にして、経理処理する合理的な理由がまったくないからだ。

◇内閣府から中央省庁へ疑惑拡大

当然、コンピュータ制御の会計システムを持っている企業がインボイスナンバーを故意に不在にした請求書などを発行した場合、会計監査やシステム監査を故意に回避している疑惑が浮上する。と、なれば収入を税務署に申告していない可能性もある。

現時点で明らかになっているインボイスナンバーが不在の請求書が発見されているのは、内閣府と次の省庁である。

内閣府
農林水産省
防衛省
文部科学省
環境省
復興庁

このうち防衛省については、インボイスナンバーは印字されているが、書面がおそらくワードで作成されており、ナンバーも手打ちで、おそらくコンピュータ制御システムの下で発行されたものではない。

次に示すPDFは、請求書の例である。最初の厚生労働省のものは、インボイスナンバーもロゴも入った博報堂の通常の請求書である。以下、農林水産省、防衛省、文部科学省、環境省、復興庁の順。いずれもインボイスナンバーは入っていない。書式も、おそらくはワードである。

■インボイスナンバー不在の請求書

今後、筆者は地方自治体や第3セクターについても調査する。

◇博報堂へ質問状

この問題について念のために、博報堂へ次の質問状を送付した。

 お世話になります。
 フリーライターの黒薮哲哉です。

 お尋ねしたいことがありご連絡させていただきました。
 内閣府をはじめ中央省庁へ貴社がこれまで送付されました各種の請求書に、インボイス・ナンバーが欠落しているものが多量にあります。会計監査、システム監査を受ける場合、インボイス・ナンバーが欠落していれば、システム上は監査が受けられないと思いますが、どのような処理をされているのでしょうか。また、なぜ、公的機関に対する請求書ではインボイス・ナンバーを付番されないケースが多量にあるのでしょうか。

2017年04月26日 (水曜日)

国会では共謀罪が審議されているが、住民レベルでは、これに反対する運動が広がっている。23日には、全国一斉に共謀罪に反対する運動が繰り広げられた。25日には、弁護士会館で弁護士らが共謀罪反対緊急集会を開いた。26日の12時からは、衆議院第一議員会館で院内集会が開かれる。

共謀罪というのは、ごく簡単にいうと犯罪の実行について口に出しただけで、処罰できる法律である。たとえば酒によって、「あの政治家を痛い目にあわせてやろうか」と呟いたのを、たまたま録音され、警察に通報されると、逮捕される可能性がある。ツイッターやフェイスブックで、同様の内容が書き込まれているのを発見して、リツイートしても、「いいね」をクリックしてもアウト。

ただし密告すれば無罪になる。

このような法律そのものが問題であるだけではなく、共謀罪を運用するにあたり、共謀の証拠を集めるために、警察を中心としたスパイ国家が形成されていく。通信盗聴(盗聴)などは、日常的になる。どこにでもスパイが紛れ込む。当然、言論は萎縮する。戦前の日本、現在の北朝鮮、旧ソ連、軍事政権下のチリのように統制された国家が出現する。

安倍政権ならではの危険な発想である。

冒頭の動画は、23日に開かれた共謀罪に反対する集会で、長崎からわざわざ東京へかけつけた吉村正寿・長崎県議会議員の感動的なスピーチである。

2017年04月25日 (火曜日)

NHKが4月23日に「目撃!にっぽん 高校生ワーキングプア 『旅立ちの春』」という番組を放映した。NHKの番組案内によると次のような内容だ。

6人に1人の子どもが相対的貧困とされる日本。今、家計を支えるために働かざるを得ない「高校生ワーキングプア」が増えている。幼い妹や弟のためにアルバイトで働き詰めの日々を送る女子高生は、家族のために大学をあきらめて専門学校へ進学することを決断した。一方、アルバイトをしながら兄弟2人で生きてきた男子高生は、春、そろって就職。助け合って生きてきた日々から卒業する。高校生ワーキングプアの旅立ちの春を描く。

この番組をぼんやりと視聴していると、「立派な高校生もいるものだ」「わたしも頑張ろう」という感想を抱くだろう。事実、この番組に登場していた高校生たちは、模範的な人物である。この点に異論はない。

しかし、なぜ憲法で保障されているはずの教育を平等に受ける権利が侵害されているのかという点に、番組はまったく言及していない。その原因を究明するのがジャーナリズムだが、NHKはもっとも肝心な点を避けているのだ。

そのために高校生による重労働が美談のように感じてしまう。

◇観念論による国策プロパガンダ

意外に認識されていないが、実はこれが見えざる世論誘導のかたちなのだ。人間の思考を観念論(心がけさえよくすれば、運命は開けるという観念)で染め上げてしまう洗脳なのだ。『旅立ちの春』に感動した人は、自分も熱心に働けば、道が開けると感じるだろう。それは真理の一面もあるが、貧困から脱出するための根本的な解決方法ではない。人類全体の救済にはつながらない。

根本的な解決は、貧困の客観的な原因が何かを追求して、そこへ政治のメスを入れることである。端的にいえば、小泉政権の時代から急進的に導入された新自由主義の経済政策を改めることである。これが格差社会や貧困の原因になっているのだ。

社会問題の原因を客観的に把握させないためには、世論誘導が必要だ。しかも、世論誘導とは認識できない巧みな方法で、日常のあらゆる場面で国民を洗脳していく必要があるのだ。それがメディアの役割になっている。

国策プロパガンダというのは、なにも政府広報でマイナンバー制度や消費税の税率アップをPRすることだけではない。メディアを通じて日常的に行われているのだ。そは空気のような存在で、まったく認識できないケースの方がはるかに多いのだ。「根性と努力」をテーマとしたスポーツ・ドキュメンタリーもそのひとつである。

その役割を先頭に立って担っているがNHKにほかならない。だから筆者は、NHKとは契約していない。自分の生活費を切り詰めて「寄付」する資金が、NHK職員の高級待遇とその見返りとしての国策プロパガンダに使われることに我慢できないからだ。

◇根拠のない中国・北朝鮮脅威論

中国・北朝鮮の脅威論にも同じ世論誘導の原理が働いている。日中両国は貿易依存度がお互いに極めて高い。いまや多くの日本企業が中国へ進出している。
中国から日本への観光客も多い。

その中国を日米が武力攻撃できるはずがない。日本の財界がこれまでたびたび嫌中嫌韓の安倍首相に苦言を呈してきたのも、中国に配慮している結果にほかならない。日中戦争など、実はありえないのだ。

北朝鮮問題にしても、日本の報道はかなりおかしい。このところ米軍による北朝鮮攻撃の可能性を示唆する報道が増えたが、ある軍事専門家の話によると、他国に侵攻するには、空母が4隻から6隻必要だという。1隻ではありえないという。それが常識だそうだ。

とすればなぜ中国や北朝鮮の脅威論が日本で盛んに展開されるのだろうか。

答えは簡単で安倍政権が、軍事大国化の政策を推し進め、三菱重工などの軍事産業に大儲けさせようと考えているからだろう。また、現在、国会で審議されている戦争法案のひとつ、共謀罪を成立させたいからにほかならない。

これらの国策プロパガンダに日本のメディアの多が加担している。

 

2017年04月24日 (月曜日)

内閣府が博報堂と契約したプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」の請求書がほとんど「黒塗り」で開示された件は、メディア黒書で繰り返し報じてきたとおりである。

■黒塗りの請求書

「黒塗り」が原因で、各新聞社や各テレビ局が受け取った広告費、あるいは放送料の金額が分からない。つまり国家予算の使い方が不明瞭になっている問題がある。

しかも、請求書にはインボイス・ナンバーが付番されておらず、会計監査やシステム監査の対象外になっている可能性もあるのだ。個人事業者がインボイス・ナンバーが付番されていない請求書を発行することはあっても、博報堂のような大企業がインボイス・ナンバーのない請求書を発行するのは尋常ではない。その理由も説明されていない。博報堂の監査法人であるあずさ監査法人も取材を拒否している。

この件についてこれまで何度か内閣府と話し合ったが、やはり内閣府の方針は変わらない。黒塗り部分の開示は行わない方針だ。インボイス・ナンバーが付番されていない明確な説明もしていない。

そこで筆者は次の取材戦略を採用することにしたので、読者にお知らせしたい。博報堂を通じて「国家予算」を受け取ったすべての新聞社とテレビ局に対して、「黒塗り」部分の金額を開示するように求めるのである。近々に請求書の実物と質問状、それにプレスリリースを送付する。

回答につてはメディア黒書で随時公開していきたい。

◇国策プロパガンダに高額国家予算のおろかさ

確かに新聞社やテレビ局に自分たちが受け取った「国会予算」を公表する義務はないが、道義的な責任はあるだろう。「国家予算」の元をたどれば、国民の血税であるからだ。その額は、2015年度の場合、博報堂ルートの新聞広告だけで総額20億円を超えている。

筆者の個人的な見解を言えば、「国家予算」が問題の多い国策のプロパガンダに使われるのは問題がある。国策がどのようなものであるかをメディアがジャーナリズムの視点から報道することは自由だが、政府広告の形を取ると完全なプロパガンダ目的になる。たとえばマイナンバー制度に反対している国民も数多くいるわけだから、「税金」からマイナンバー制度のPR費を支出することは問題が多い。しかも、その額は尋常ではない。

最近の国策プロパガンダには次のようなものがある。

・マイナンバー制度のPR
・消費税アップのPR
・詐欺の防止
・一億総活躍社会
・伊勢サミット
・北方領土返還
・戦没者追悼
・国民年金
・福島の「風評被害」
・女性の活躍
・電気の小売全面自由化
・春秋叙勲の候補者としてふさわしい者の推薦

これらのテーマが新聞やテレビでPRされてきた。
しかし、たとえばマイナンバー制度の導入や消費税の税率アップについては、反対意見も多い。国会予算を使って大々的にPRすること自体に大きな問題がある。そのための国家予算が各メディアに流れ込んでいるのだが、その金額を公開しないのは問題があるのではないだろうか。

このような観点から筆者は、「国家予算」を受け取った各メディアに問い合わせることにした。

2017年04月22日 (土曜日)

報道にも国境の壁がなくなってきた。

博報堂事件についての海外メディア向けリリースを作成した。日本語の原盤と英語の翻訳版を紹介しよう。

これは国際化の時代に対応したものである。メディア黒書でプレスリリースの内容を紹介するに先立って、ニューヨークタイムス、BBC、国境なき記者団など主要な海外メディアへは、すでにメディアリリースを送った。今後、100社を目標に海外のメディアへ情報を発信していく。

海外へ情報発信することにより、日本国内ではなかなか報道されない重大な問題を海外で先に紹介する機会が生まれる。

■海外向けプレスリリースの日本語版

■海外向けプレスリリースの英語版

2017年04月21日 (金曜日)

元大阪高検公安部長の三井環氏が20日、安倍昭恵氏と同氏の付職員3人に対する刑事告発状を東京地検特捜部に送付した。告発状によると、昭恵氏は2016年夏の参院選で自民党の候補者14人の選挙活動に参加した。その際、首相夫人付の政府職員を同行させていた。これが国家公務員の政治活動を禁じた国家公務員法102条1項に抵触するというのが告発の趣旨である。

昭恵氏は国家公務員ではないが、刑法60条は、「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定めており、この条項が昭恵に該当する。

告発状によると昭恵氏が選挙応援した候補者は、次の通りである。全員が自民党である。

①小野田紀美(岡山)
②朝日健太郎(東京)
③島尻安伊子(沖縄)
④江島清(山口)
⑤山本順三(愛媛)
⑥自見はなこ(福岡)
⑦元栄田一郎(千葉)
⑧伊藤高江(兵庫)
⑨中原八一(新潟)
⑩岩城みつひで(福島)
⑪古庄玄知(大分)
⑫山崎力(青森)
⑬山本さちこ(三重)
⑭高野剛(山梨)

◇福島みずほ議員の国会質問

告発の発端になったのは、4月3日の参議院予算委員会で、社民党の福島みずほ議員が、この問題を指摘したことであった。福島氏が、昭恵氏の国家公務員法違反を指摘したところ、土生栄二内閣審議官は、「公務遂行補助活動のための、活動に関する連絡・調整の必要性から職員が同行している」と答えた。

これに対して、三井氏は、告発状の中で、次のように反論している。

被告発人安倍昭恵が、国家公務員を同行した当時は、かような説明はなく、かかる文書は存在しないと思われる。そもそも国家公務員法には、連絡・調整のため同行するなどという規程は存在しないし、福島みずほ議員の追及や、市民団体が告発するとの情報を察知し、意図的に犯罪行為にならないように、安倍内閣は、後付けで説明したものと思われる。

なお、告発状には昭恵氏に同行した国家公務員が、実際に昭恵氏と一緒に選挙活動をしている写真などが、証拠として提出されている。

【動画】福島みずほ議員の国会質問(4:28:00から)

◇司法・メディアの後進国

しかし、告発状が受理される可能性は皆無に等しい。日本における三権分立の原理は表向きだけのもので、実態は司法もマスコミも国家の権力構造の一部に組み込まれているからだ。当然、このニュースもほとんど報道されないだろう。NHKと読売はまず報じないだろう。そもそも不偏不党の報道などありえないわけだから、政権サイドのNHK・読売が報じないのは当たり前である。

この点、たとえば欧米や韓国、それに中米のグアテマラなどに比較すると、日本は後進国である。社会変革の点では、既にかつての「発展途上国」にも追い越されているのである。

 

【参考記事】現職大統領に対して「不逮捕特権」を奪う決定、三権分立の理想を示した中米グアテマラの最高裁判所

【国家公務委員法】
第102条   職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。

【刑法】
(共同正犯)第60条 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。