1. ウクライナによる相次ぐ対ロシア攻撃、戦略というより単なる演出

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2026年06月30日 (火曜日)

ウクライナによる相次ぐ対ロシア攻撃、戦略というより単なる演出

執筆者:アンドリュー・コリブコ

主な狙いは、欧米で戦争疲れがますます明らかになる中、印象深い映像を生み出すことで、ウクライナへの支援を維持・拡大し、またイランでの敗北を受けて11月の中間選挙を控えるトランプ氏の政治的立場に影響を与えることだ。

ゼレンスキー大統領は最近、自国がロシアのウラル地方や西シベリアに対して行った長距離攻撃を誇示した。これに先立って、数か月にわたりサンクトペテルブルクへの散発的な攻撃が続いた後、モスクワに対する大規模な攻撃も実施されていた。また同大統領は、ロシアに対してウクライナ紛争の凍結を受け入れるよう圧力をかけることを目的とした40日間に渡る働きかけを開始すると発表しており、その期間中には同様の攻撃がさらに数多く行われる可能性が高い。こうした最近の動きは、EUがウクライナ向け900億ユーロ融資のうち、最初の32億ユーロを支払った時期とも重なっている。

欧米で戦争疲れが目立つようになっていることは、チェコ、スロバキア、さらにはEU寄りの新政権となったハンガリーまでもが、この融資への資金拠出を拒否したことからも示されている。さらに、その後にはブルガリアの新政権がウクライナへの武器供与を禁止した。こうした状況が、ゼレンスキー大統領に見栄えのする映像を伴う攻撃を承認させた要因だったとも考えられる。トランプ氏はかつてゼレンスキー氏を「地球上で最高のセールスマン」と評したが、その言葉どおり、ゼレンスキー氏は人々の関心を引きつけ、支援資金を集め続けるための演出に長けている。これが、こうした攻撃の第一の目的だという。

第二の目的は、「ウクライナが勝利しつつある」という誤った見方を広めることだ。この見解は、2023年夏の反転攻勢の失敗によって完全に信頼を失った後、この半年ほどの間に主要メディアによって徐々に復活させられてきた。米国務省の報道官も先週、この主張をそのまま繰り返した。しかし、RTのセルゲイ・ポレタエフは「ドローン戦争は目くらましだ。前線を見よ」と述べ、ロシア軍はリマン、ライ・アレクサンドロフカ、コンスタンチノフカで前進を続けていると主張している。

黒薮注:RT(ロシア国営国際メディア)のセルゲイ・ポレタエフ(Sergei Poletaev)は、ロシアの外交・安全保障の論者。

最後に、ゼレンスキー大統領が大々的に宣伝した一連の攻撃を実施した最終目的は、国内の士気を高めることにある。紛争による生活上の負担が続いていることに加え、とりわけ徴兵対象年齢の男性を街頭で拘束して前線へ送る、いわゆる「バス化政策」によって、国内の士気は依然として非常に低い。大規模な民衆蜂起が起きる可能性はほとんどなく、仮に起きたとしても成功する見込みはほぼない。それでもゼレンスキー大統領は、国民に少なくとも「ロシアに報復している」と感じさせたいと考えている。要するに、この一連の攻撃は見せかけの要素が大きいということである。

もちろん、ウクライナはロシアのエネルギー産業に一定の損害を与えてはいる。しかし、それは戦局を大きく変えるようなものではなく、軍事・戦略上の力関係をウクライナに有利な方向へ転換させるほどの規模には遠く及ばない。それにもかかわらず、トランプ氏は第三次湾岸戦争における米国の敗北をいまだに引きずっており、その一方で、11月の中間選挙を前に、ゼレンスキー大統領がロシアで演出する印象的な映像によって有権者の関心をそらしたいと考えている。「セールスマン」としての資質はゼレンスキー氏と同様であり、そのような演出の効果を理解しているからだ、という。

このことは、トランプ氏がロシアに対して「エスカレーションによって緊張緩和を図る」方針を採り、3段階から成る「消耗戦」を進めようとしている理由の一つでもある。その第1段階には、ウクライナの攻撃能力を強化することが含まれている。ロシア国営資源企業の支配権を伴う持ち分をプーチン大統領に売却させるというトランプ氏の大戦略上の目標は、おそらく実現しないだろう。それでもトランプ氏は、この目標を追求し続ける可能性が高い。その一環として、この夏には米国の支援を受けたウクライナによる対ロシア攻撃がさらに行われると予想される。

総じて言えば、ウクライナによる一連の対ロシア攻撃は、戦略というよりも演出の性格が強い。その主な目的は、欧米で戦争疲れが一段と明らかになる中で、印象的な映像を生み出し、ウクライナへの支援を維持・拡大するとともに、イランでの敗北を受けて11月の中間選挙を控えるトランプ氏の政治的立場にも資することにあるという。トランプ氏とゼレンスキー大統領はロシアへの圧力をさらに強めようとしているが、その計画によってプーチン大統領の戦争終結に関する判断が変わるとも、ウクライナが実際に「勝利」を収めるとも考えられていない。

 

筆者紹介:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
モスクワ在住のアメリカ人政治アナリスト。MGIMO(モスクワ国際関係大学)で博士号を取得。著書に『ハイブリッド戦争―カラー革命からクーデターまで』

Source:https://korybko.substack.com/p/ukraines-spree-of-strikes-against?utm_campaign=post&utm_medium=web&triedRedirect=true