1. 特定秘密保護法が12月10日に施行、逮捕、そして「えっ、どうして私が」

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2014年11月05日 (水曜日)

特定秘密保護法が12月10日に施行、逮捕、そして「えっ、どうして私が」

昨年12月に安倍内閣が成立させた特定秘密保護法が、12月10日から施行される。この法律は、戦前の治安維持法に匹敵する恐ろしい法律だという評価がほうぼうから聞こえてくるが、具体的にはどのような性質の法律なのだろうか。

厳密に説明すれば複雑になるが、ごく端的に言えば、日本が軍事大国化-解釈改憲の採用、名護市における新米軍基地の設置等-する状況のもとで、日米共同の軍事作戦を行う際に不可欠になる情報共有事項のうち、作戦上、秘密にしなければならない事柄を「特定秘密」として指定できる環境を整備するための法律である。

しかし、問題は「特定秘密」の範囲が、際限なく拡大され、日米共同作戦に関連した「秘密情報」の領域をはるかに超え、公権力が隠したい情報の多くが、「特定秘密」として指定できる仕組みになっている点だ。

事実、特定秘密の指定を行う権限を持つ行政機関は、軍と警察に関連した機関だけではなくて、原発を含む次の19機関に及んでいる。

①国家安全保障会議
②内閣官房
③内閣府
④国家公安委員会
⑤金融庁
⑥総務省
⑥消防庁
⑦法務省
⑧公安審査委員会
⑨公安調査庁
⑩外務省
⑪財務省
⑬厚生労働省
⑫経済産業省
⑬資源エネルギー庁
⑭海上保安庁
⑮原子力規制委員会
⑯防衛省
⑲警察庁

これら19の行政機関が特定秘密に指定した情報は、特定秘密保護法の対象になる。

特定秘密の指定対象になる情報は、次の4項目である。

 防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止

これら4項目を見る限り、特定秘密の指定範囲は極めて限定されているように感じられるが、拡大解釈が一人歩きする可能性が高い。

一例をあげると、次のような状況が想定できる。

Aさんの自宅近くに携帯電話の基地局が設置された。Aさんは携帯電話から発せられるマイクロ波で体調を崩し、基地局の所有会社を総務省に問い合わせた。すると、

「基地局は緊急時における大事な無線通信網です。テロの標的になるといけないので、情報開示できません」

 と、言われた。

 説明に納得できないAさんが、その後もしつこく情報開示を求めた場合、Aさんは逮捕→裁判というリスクを背負う。