1. コロンビア大統領選、投票したが、その分断は解決されなかった

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2026年06月25日 (木曜日)

コロンビア大統領選、投票したが、その分断は解決されなかった

コロンビア大統領選決選投票は、右派のアベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ氏が左派のイバン・セペダ氏を僅差で破り、新大統領に選出された。治安回復を訴える保守層と、社会正義や和平を重視する進歩派との対立は最後まで拮抗し、国民の深い政治的分断を映し出した。新政権は治安、経済格差、和平プロセスをめぐる難しいかじ取りを迫られる。

執筆者:ビクトル・M・ロドリゲス

決選投票によって勝者は決まった。しかし、この選挙はそれだけではなかった。安全と平和、不安と希望の間で揺れる国の姿を改めて浮き彫りにし、政治的な分断が統治を妨げないようにするという課題も示した。

コロンビアでは新しい大統領が選ばれた。しかし、この決選投票を勝者と敗者という視点だけで見るのは適切ではない。今回の選挙結果が示したのは、もっと深刻で考えさせられる現実だった。それは、長年にわたる対立や暴力、そして果たされなかった公約によって、政治的に分断され、社会に緊張が広がり、人々も精神的な疲れを抱えた国の姿である。

アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ(黒薮注:右派)が率いる陣営と、イバン・セペダ(黒薮注:左派)率いる「歴史的協定(Pacto Histórico)」との票差はわずかだった。この僅差は、選挙戦が接戦だったことを示しているだけではない。そこには、コロンビアという国をどう考えるかをめぐる根本的な対立が表れている。ひとつは秩序と安全の確保を求めるコロンビアであり、もうひとつは、社会的正義、地域に根ざした平和、そして格差の縮小がなければ持続的な安定は実現しないと考えるコロンビアである。

番組『ES LA HORA DE HABLAR(今こそ語る時)』の分析コーナーでは、ダンナ・ウルダネタとフェリペ・メンドーサが、単に選挙結果を分析するだけではなく、より重要なテーマについて議論した。それは、この選挙後にどのようなコロンビアが生まれるのか、そして8月7日の新政権発足以降、この国はどのような課題やリスクに直面するのかという点である。

黒薮注:ダンナ・ウルダネタ(Danna Urdaneta)。ベネズエラ出身のジャーナリスト・研究者。専門分野は、コロンビアの武力紛争、和平プロセス、安全保障、ジェンダー問題。

黒薮注:フェリペ・メンドーサ(Felipe Mendoza Corredor)
フェリペ・メンドーサはコロンビアの政治学者(Politólogo)で、政治アナリスト、選挙戦略家・政治コンサルタント。

最初に示されたのは象徴的ではあるが、強い印象を与える光景だった。事実上の当選者は、防弾設備を備えた選挙対策本部(バンカー)で支持者の前に姿を現した。それは決して些細な場面ではなかった。

メンドーサは、この光景は長年にわたって築かれてきた選挙戦のメッセージと一致していると指摘する。「治安が悪化しているという認識を定着させ、この国には強力な統治が必要だという考えを強めようとする試みだった」というのである。つまり、これは単なる身辺警護ではなく、一種のコミュニケーション戦略だった。安全保障そのものが政治的なアイデンティティとして提示されたのである。

一方、ウルダネタは重要な視点を付け加えた。コロンビアでは、防弾設備に守られた政治活動は例外ではなく、日常の一部となっている。候補者、社会運動の指導者、人権擁護活動家は、絶えず脅威にさらされながら活動している。多くの地域では、地域社会のリーダーとして活動すること自体が、今なお非常に危険な仕事である。この点は、現在のコロンビアを理解するうえで欠かせない。

今回の選挙は、平和が完全に実現した国で行われたわけではない。選挙制度そのものは堅固な民主主義の下で実施されたものの、その一方で、武力紛争、違法経済、麻薬取引、地域支配をめぐる対立、そして地方に根強く残る暴力が依然として国を覆っている。だからこそ、本当に問われているのは誰が勝ったかではなく、どのような形で紛争を管理していくのかという点である。

選挙期間中、治安の回復は勝利した陣営が最も強く訴えた公約の一つだった。しかしウルダネタは、問題を軍事的な手段だけで解決しようとする考え方には限界があると警告した。「コロンビアには、あらゆる暴力に対する構造的かつ政治的な解決策が必要だ」と彼女は述べる。強硬路線を掲げる主張は選挙では支持を集めやすいが、何十年もの間に主体や地域、そしてその様相を変えながら続いてきた複雑な紛争を、単純化してしまう危険があるというのである。

ここに、新たな政治状況の大きな課題の一つがある。治安政策は、すぐに成果が期待できるという安心感を与えるため、政治的には支持を得やすい。一方で、平和の実現には時間と交渉、そして段階的な成果が求められる。一方は統制を約束し、もう一方は社会の構造そのものを変えていくことを求める。コロンビアには、そのどちらも必要なのである。

今回の選挙が示したもう一つの重要な点は、政治的な分極化は確かに存在するものの、それだけではすべてを説明できないということである。この国を左派対右派という対立だけで捉えるのは、わかりやすい反面、危険な単純化でもある。

メンドーサは、この点について特に明確な見方を示した。セペダに投じられた票はすべて左派票であり、保守陣営への票はすべて右派票であると考えるのは、分析として不十分だという。彼の見方では、有権者のかなりの部分は、イデオロギーへの共感よりも、反発や不安、あるいは変化への期待によって投票した。こうした事実は、コロンビアの政治地図が変わりつつあることを示している。

コロンビアは、進歩派の国と保守強硬派の国という二つだけに分けられるわけではない。そこには複数のコロンビアが存在する。進歩派のコロンビアがあり、保守強硬派のコロンビアがあり、さらに、現実的な判断を重視する人々や、イデオロギーへのこだわりを失った人々、あるいは政治全体に失望した人々からなる、非常に大きな第三のコロンビアも存在する。

さらに、見出しでは見落とされがちな事実もある。何百万人ものコロンビア国民が投票しなかったのである。棄権率は過去の選挙より低下したものの、政治的な意味は依然として大きい。それは単なる政治への無関心を示すだけではなく、政治から距離を置く姿勢や疲労感、あるいは自分を代表してくれる存在がいないという思いの表れでもある。

依然として残る重要な問いは、こうした対立する二つの陣営のいずれにも共感しない人々は何を考えているのか、ということである。おそらく、その中にこそコロンビアの将来を左右する鍵がある。分断された国を統治するには、選挙で過半数を得るだけでは足りない。継続的な政治的正統性が必要であり、合意を築く努力が求められる。そして、自分に投票しなかった人々の声にも耳を傾ける姿勢が欠かせない。

その意味で、「歴史的協定(Pacto Histórico)」の今後の動向は重要になるだろう。左派連合は消滅するどころか、新たな再編の段階に入ろうとしているように見える。メンドーサは、今回の敗北は左派の崩壊を意味するものではなく、再編を意味するものだと考えている。この勢力は地域における基盤と動員力を維持し、特に2027年の地方選挙に向けて引き続き大きな影響力を持ち続けるという見方である。

しかし、野党側もまた重要な選択を迫られている。街頭で抵抗するのか、それとも制度の枠組みの中で対抗するのか。この点は、番組の討論でも最も重要な論点の一つとなった。

メンドーサは、政治的対立が街頭へと持ち込まれる危険性について警鐘を鳴らした。彼によれば、民主主義とは選挙結果を受け入れ、態勢を立て直し、制度の枠内で政治的な力を競い合うことで成り立つ。暴力が政治闘争の手段となってはならないというのである。

これに対し、ウルダネタは重要な補足を行った。市民の動員と対立は同じものではない。平和的に街頭へ出ることは、必ずしも民主主義を損なうものではなく、むしろ民主主義を強めることにもつながる。暴力や相手へのレッテル貼りを伴わない限り、抗議し、組織化し、権利や保障を求めることは、民主主義に認められた正当な政治参加の一つだからである。

この違いは極めて重要である。なぜなら、ラテンアメリカには、抗議運動を体制不安定化と同一視するという古くからの思考の落とし穴があるからだ。社会的抗議運動が深い傷跡を残したコロンビアでは、この議論が今後の政治を左右する重要なテーマとなるだろう。

第三の大きな論点は地政学である。今回のコロンビア大統領選の影響は国内にとどまらない。ベネズエラやエクアドル、さらには地域全体の勢力均衡にも、直ちに影響を及ぼすことになる。

コロンビアとベネズエラの国境地帯は、再び重要な焦点となっている。この地域では、正規の貿易と違法経済、密輸、移民、武装組織、そして国家の統治が十分に及ばない状況が複雑に絡み合っている。新政権がカラカスとの関係をどのように築くかは、この地域の安定に直接影響するだろう。

ウルダネタは、明確な見解を示した。貧困が改善されない限り、暴力は繰り返され続けるというのである。彼女は、国境問題は安全保障だけでなく、経済開発、地域統合、そして社会的正義という観点から考えなければならないと主張した。「暴力を根本からなくす唯一の方法は、貧困をなくすことだ」と彼女は強調した。

メンドーサも、重要な点では同じ認識を示した。国境を閉鎖したり、イデオロギー対立の最前線に変えたりしても、不安定な状況はさらに深まるだけだというのである。実際の国境とは、地図の上に引かれた一本の線ではない。そこには人々の暮らしがあり、商取引があり、交流があり、生きるための営みがある。

国家がその役割を果たせなくなると、その空白は別の勢力によって埋められる。犯罪組織、武装集団、密輸組織などである。そして、この点こそが討論で最も強く警告された問題だったのかもしれない。コロンビアにとって最大の危険は、新政権の政策や野党の抵抗だけではない。対立する相手を、決して和解できない「敵」とみなす考え方が定着してしまうことである。

政治が正当な意見の対立という枠を離れ、相手を絶対的な敵とみなす論理へと入り込んだとき、民主主義は内側から蝕まれ始める。おそらく、この点こそが今回の討論で最も本質的な指摘だった。

今回の選挙は、不安と期待、そして歴史の中で積み重なった深い傷を抱えた社会の姿を映し出した。しかし同時に、見過ごしてはならない事実も示している。コロンビアでは、なお人々が選挙を通じて対立を決着させようとしているということである。それは決して小さな意味を持つものではない。

長年にわたり、権力をめぐる争いが武力による暴力と切り離せなかった国において、現在では主要な対立の舞台が選挙となっていることは、民主主義にとって大きな前進と言える。しかし、投票だけで社会に根深く残る分断が解消されるわけではない。

次の政権が引き継ぐのは、根強い貧困、地域間の格差、姿を変えながら続く暴力、そして余裕のない政治運営という課題を抱えた国である。選挙では一つの候補者が勝利した。しかし、より大きな課題を克服した者はまだ誰もいない。社会の信頼を取り戻し、政治の対立を和らげることである。

恐怖にもとづく政治から、合意を重んじる政治文化へと転換できるか。コロンビアでは決選投票は終わった。しかし、本当の試練はこれから始まる。

■執筆者:ビクトル・M・ロドリゲス(Víctor M Rodríguez)

ジャーナリスト兼ディレクター:Píldoras Digitales、ウルグアイ報道協会編集委員:APU

Fuente:https://siquesepuede.jimdofree.com/2026/06/24/colombia-vot%C3%B3-pero-no-resolvi%C3%B3-su-fractura/