2018年10月12日 (金曜日)

森裕子(参議院議員)事務所の前スタッフで会計責任者などを務めた廣田正夫氏が、ひき逃げなどの疑いで8日に、警察に逮捕されていたことが分かった。新潟県の地元メディアによると、廣田氏は、「電柱かくいにぶつかったが、人にぶつかった覚えはない」と容疑を否認しているという。
廣田容疑者は、6日の夕方、新潟県三条市柳沢の市道で69歳の男性をはねた。男性は道路脇の溝に転落して死亡した。廣田氏は、そのまま現場を立ち去ったとされている。
しかし、事故で飛び散ったヘッドライトの破片が、自動車修理工場に搬入されていた廣田容疑者の車のものと一致して、逮捕の決め手となった。
森氏に対しては、現在、マネーロンダリングなどの疑惑で2件の刑事告発が行われており、この内の1件は既に受理されている。もう一件も近々に受理される見込みだ。
廣田氏は森事務所に入る前は銀行に勤務しており、マネーロンダリングの実態も把握していたものと思われる。今後、新潟地検による森裕子氏の事件の捜査にも影響を及ぼす可能性がある。

新聞販売店の経営が悪化して、自主廃業する店主が増えている。ここに来て、かつては想像もできなかった新しい問題が発生している。横浜市内の店主が言う。
「廃業を申し出たところ、廃業しないように泣きつかれました。変な話でしょう。契約に従って手続きを踏めば廃業できるはずですが、もう少しだけ続けててくれと言うのです」
販売店の後継者を探すのが難しい状況が生まれているのだ。前任者から店を引き継いでも、最初から「押し紙」付きの引き継になることを、業界関係者は経験則から知っている。開業してまもなく破産に追い込まれた「先輩」の例が業界中に知れ渡っているから、店主のなり手がいないのだ。
それに新聞の将来についての見通しも、後継者がいない原因だ。都内の毎日新聞の元店主が、販売網の余命についていう。
「もう数年で崩壊すると思います。来年かも知れません」
販売店主が強引に辞職した場合、新聞社は店主が不在になった店を本社直営にするか、販売店を閉鎖して、他紙の販売店に配達を依頼するかの選択に迫られる。あるいは、新店主がみつかるまで、暫定的に本社が店舗を管理する。
かつては販売店主を公募して採用者が研修を受け、店主になるケースがあった。しかし、こうした人々の多くはやはり「押し紙」で廃業に追い込まれた。脱サラして店主になったが、騙されたと感じている人が少なからずいる。
今後、「押し紙」による損害賠償問題が次々と起きてくるのではないか。裁判は証拠の有無によって勝敗が決まるので、販売店は全書類を整理・保存しておくべきだろう。「押し売り」の証拠があれば、勝訴できる時代になっている。
2007年の真村裁判の福岡高裁判決よりも前の時代は、販売店に勝ち目はなかった。だが、今は状況が変わっている。販売店の方が有利になりはじめている。
改めて言うまでもなく、店主の廃業を妨害するのはパワハラだ。これについても証拠を残しておくべきだろう。

メディア界の中心的な存在として君臨してきた新聞とテレビ。新聞社がこれまで展開してきた「押し紙」を柱としたビジネスモデルは崩壊の一歩手前まで追い詰められた。
そしていま、新たにテレビ局と広告代理店による組織的なCMの水増し疑惑、あるいは「中抜き」疑惑が浮上している。偽造が疑われる大量の放送確認書が見つかっている。その全部がローカル局だ。
昨日紹介した写真(放送局の社印)を再度提示しよう。そして読者にクイズを出題しよう。
【問い】次の2枚の写真は、同じ日に放送されたとされ、広告主から制作費や放送料を徴収したCMの放送確認書です。検証すべき点が1箇所あります。それはどの箇所でしょう。なお、放送確認書は、2000年からコンピュータが自動的に出力する仕組みになっています。偽造防止のために、人力は使われません。これは1990年代の後半にCMの水増しが発覚して、その防止策として民法連などが導入したシステムです。

【答】社印の位置が1ミリほど左右にずれている。社印と社名・住所・電話番号などは、統一されたひとつの「画像」なので、コンピュータによる出力では、本来、位置がずれることはありえない。人間が社印を押した可能性が極めて高い。
筆者注:鹿児島テレビの反論は、10月18日付け記事を参照にしてください。
正常な放送確認書の例として、次の画像を紹介しよう。

◇公開質問状
筆者は、本日、次の内容の公開質問状を送付する。
【公開質問状】
同封しましたのは、貴社が2015年1月6日に発行された2枚の放送確認書です。以下の点について教えてください。
1,社印の位置が1ミリほど左右にずれている理由。
2,異なる放送確認書の発行番号が同じになっている理由。
3,貴社が博報堂を通じて制作されたCMの広告主を公開してください。

CMのクライアントが広告代理店と交わした放送契約どおりに、CMが放送されているかどうかを検証するためには、CMの放送記録である放送確認書の性質を正しく把握しておかなければならない。この点を曖昧にしておくと、CMに関する不正を見抜くことはできない。
結論を先に言えば、放送確認書は公式の証明書である。CMが放送されたことを示す証明書なのだ。学位を示す卒業証書や、国籍・身分を示すパスポート、金の受け取りを示す領収書と同じように、放送確認書は、CMを放送したことを示す証明書なのである。従って単なるペーパーとは、その重みが異なる。
放送確認書が導入された経緯については、1990年代の後半に静岡第一テレビや福岡放送なので、大量のCM間引き事件が発覚したことである。テレビ業界の信用を回復するために、民放連などがコンピューターによる放送確認書の発行をシステム化したのである。これによりCMが放送されると、それをコンピューターが認識して、データを蓄え、自動的に放送確認書が出力されるようになったのである。
人間が人工的になにか作業を加えないことで、偽造のリスクを減らしたのだ。
このシステムが導入された当初にも、事故は起きているが、それはシステム上のトラブル、たとえばナイター中継でCM放送のスケジュールが変更になったが、それが反映されなかったといったケースで、いわゆる人の手による書面の偽造ではない。それゆえに放送確認書は、極めて信頼性の高いものとして定着している。民放連は、このシステムの導入を義務づけている。
◇疑問点だらけの放送確認書
次に偽造の意味について述べておこう。偽造には多種多様ある。犯罪としてよく問題になるのは、紙幣の偽造である。たとえば1万円札。福沢諭吉の像の位置がずれていたり、紙幣に番号が刻印しいてなかったり、紙幣のすかしがなかったら偽造紙幣だと分かる。放送確認書の場合も同じである。具体的には、次の諸点に着目しなければならない。
①10桁のCMコードが付番されているかどうか。
②テレビ局の印鑑がない。あるいはあっても位置が一定ではない。
③放送確認書がモノクロになっている。
④発行番号がない。
⑤放送確認書が「代筆」されている。
⑥テレビ局等の住所が間違っている。
⑦放送確認書の発行日とCM放送日が整合していない。
⑧放送確認書の発行日が月末締め、翌月初旬の発行になっていない。
①~⑧の要件のどれかに該当すれば、それは人力で放送確認書が偽造された可能性が高いといえる。
◇発行日の誤り
2018年9月になって、アスカコーポレーションが博報堂から受け取った放送確認書が偽造されている疑惑が持ち上がった。次に示すのが、分かりやすい具体例のひとつである。実物を提示して、解説を加えよう。
①

②

③

①~③はいずれもFOXインターナショナル・チャンネルズというテレビ局が発行した放送確認書である。これらの書面によると、CM放送は2012年2月に放送されたことになっている。当然、放送確認書は2月末締めで、3月初旬に発行される。広告代理店が前月分の請求書を発行する必要があるから放送確認書も必要になり、月末締め次月初旬発行になるのだ。
以上を踏まえて、筆者は2つの点を指摘しなければならない。まず、CM放送は2012年2月に放送されたのに、②の放送確認書の発行日が7月5日に
なっている点だ。①と③は、3月2日に発行されている。正常の範囲だ。
◇社印の位置が異なる
次に①~③社印の位置に注意してほしい。以下の解説と見解は、筆者(黒薮)の個人的なものである。
①~③は、全て微妙に位置関係が異なっている。読者には、0.05ミリ単位で、位置関係を観察してみてほしい。社印の高低差、背景にある住所やFAXを示す文字と、社印の接触点がそれぞれ微妙に異なっている。最も分かりやすいのは、②と①③の比較。②では社印の底辺が、社名の上にあるが、①③ではFAX番号の上にある。
不正のない放送確認書では社印の位置は一定だ。たとえば次の放送確認書の社印を確認してほしい。0.001ミリの狂いもない。これがこれがコンピューターによって出力された正常な放送確認書の社印の位置関係なのだ。

つまりFOXインターナショナル・チャンネルズの①②③の放送確認書は、コンピューターが自動的に出力したものではなく、なんらかの方法で人工的に偽造したものである可能性が極めて高いのだ。
放送確認書は、ひとつの基幹システムから出力されるのだから、タイトル、社印、住所といった記述の位置は精巧に固定されていると考えるのが自然だ。と、なれば社印の位置がそれぞれ異なる事実は、人的な作業が行われた重大な疑惑となるのである。一万円札で福沢諭吉の像が定位置が1ミリでもずれていれば、偽造の可能性が高くなるのと同じ原理だ。
コンピューターの基幹システムから出力されたものではない可能性が高い。

テレビCMの「中抜き」、あるいは水増し請求疑惑が浮上した。テレビ局がCMを放送していないにもかかわらず、放送したことにして、広告代理店がCMスポンサーに料金を請求する手口である。新聞の折込広告の「中抜き」や水増し請求の手口に類似した犯罪が、テレビ業界でも、行われてきた疑惑が浮上したのだ。
実は、CMにまつわるこの種の不正は、1990年代の後半に、静岡第一テレビ、福岡放送、北陸放送、岩手朝日テレビなどで発覚している。新聞もこれらの事件を報道している。
CMスポンサーに対する信用を失墜した放送業界は、民放連や広告主協などを中心に
対策に乗りだした。そして2000年から放送確認書を発行する制度を導入したのである。
放送確認書は、CMを放送したことを示す一種の証明書である。発行のプロセスは、まずCMコードを付番して、それをコンピューターに入力し、CM放送が完了するとコンピューターがそれを認識して、放送確認書を自動的に作成する。全行程をコンピューターに委ねることで、人間による改ざんや偽造を防止する。
放送局は、コンピューターから出力された放送確認書を広告代理店へ届ける。広告代理店は、それを請求書と一緒にCMスポンサーに届ける。完璧なCM不正防止のための制度として定着してきたのだ。
◇複数の弁護士が一致して偽造だと判断
2000年にこの制度が導入されたのち、CM不正の噂が流れたことはあるが、ほぼ完璧な制度とされてきた。CMの「中抜き」や水増し請求はあり得ない過去の事件と見なされるようになったのだ。当然、CMスポンサーも不正を疑うことはなかった。
ところが2018年の9月に、現在の放送確認書制度に重大な盲点があることが判明したのだ。盲点とは、広告代理店の介在である。放送局が直接、CMスポンサーに放送確認書を届ける制度であれば、CMの水増し請求は起こりえなかったが、両者の間に広告代理店が介在することで、放送確認書制度を骨抜きにしていたのである。
博報堂がアスカコーポレーションに持ちこんだ放送確認書の中に、人的に加工されたものが紛れ込んでいることが分かったのだ。そのうちの数枚を筆者は確認した。同社によると、偽装枚数はさらに増えるという。広報係は次のように話す。
「膨大な費用と人員を使って放送確認書の画像分析、超高精度のスキャナーによる細部の画像分析、システム鑑定と偽造文書鑑定、紙質の組成や添加物の分析やインクの分析を行い、複数の弁護士が一致して偽造だと判断しました」
現時点では、博報堂の言い分を聞いていないので、偽造と断定することはできないが、重大な疑惑が持ち上がっていることは疑いない。偽造の枚数が最終的にどの程度になるのかは不明だが、たとえ1件であろうが、放送界を揺るがす大スキャンダルである。
メディア黒書は、連休明けから、博報堂(厳密には、博報堂DYメディアパートナーズ)がからんでいるこの事件を詳細に報道していく。(週に2回程度の記事掲載を予定している)
◇ワードとエクセルで作成か?
放送確認書の偽造については、実は2015年の取材でも、一部が明らかになっていた。おそらくはワードとエクセルを使って作成したもので、「偽造ミス」が原因で発覚したのである。当然、他の放送確認書にも疑惑がかかったが、筆者には解明の糸口が掴めなかった。
参考までに2016年8月23日のメディア黒書の記事を紹介しよう。
既報したように、チャンネルMnet(CJE&MJapan株式会社)の放送確認書である。疑惑の根拠は次の「ミス」である。最初に問題の書面を示そう。
まず、第1に住所の間違いである。同社の正しい住所は、「港区西新橋2-7-4」であるが、「西新橋」が欠落し、「港区2-7-4」と記している。しかも、同じ「ミス」を何度も繰り返しているのだ。もし、放送確認書をCJE&MJapanが作成したのであれば、住所を間違うはずがない。
第2のミスは、2014年5月29日付けになっている放送確認書に、5月30日と31日にCMが放送されたとする記載がある点だ。これも「偽造」の過程で発生した「ミス」の可能性が高い。[参照:上記書面の赤の①②の部分]
第3の疑問点は、ウィンドウズ貼付画面が確認できることだ。ウィンドウズ画面の右上には、常に、「-」「□」「×」のマークが表示されるが、上記の放送確認書にも、それが確認できる。これについて、アスカは次のように話している。
「弊社には各放送局から提出された1万枚を超える放送確認書がありますが、このような放送確認書は、民放もBSもCSもあわせてチャンネルMnetだけです」
さらに10桁CMコードが使われていない。
この問題で22日に、CJE&MJapanに問い合わせたところ、書面で質問を送ってほしいとのことだった。次の書面が質問状である。
【質問状全文】
2016年8月23日
CJE&MJapan 株式会社様
発信者:黒薮哲哉
連絡先:(電話)048-464-1413
(メール)xxmwg240@ybb.ne.jp
昨日、電話で問い合わせをさせていただきました黒薮です。
貴社の放送確認書について、お尋ねしたいことがあり、貴社の要望に沿って
書面で質問させていただきます。
質問は、いずれもこの質問状に添付しました放送確認書に関するものです。
1、この放送確認書は、貴社が発行されたものでしょうか?
2、この放送確認書に記された貴社の住所は、「東京都港区2-7-4CJビル3F」となっており、「港区」の後に「西新橋」が欠落しています。同じミスが約1年にわたり、他の放送確認書でも確認できますが、原因を教えてください。
3、この放送確認書の発行日は、5月29日(①の部分)になっていますが、30日と31日に放送されたとする記述(②の部分)があります。30日と31日に放送されたCMの放送確認書が、なぜ29日に発行されたのでしょうか。不可能だと思いますが。
4、10桁CMコードを使用していない理由を教えてください。
26日までに回答していただくようにお願いします。
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冒頭写真:戸田裕一・博報堂DYホールディングス代表取締役社長 兼 博報堂取締役会長

新聞社の系統を超えるかたちで、販売店の整理統合が進んでいる。その中でいろいろな問題が噴出しているようだ。筆者は、系統を超えた販売店の整理統合、つまり合売店化が進めば、新聞社による優越的地位の濫用がなくなるのではないかと考えていたが、そうではないようだ。各新聞社が、新規の販売店に対して「押し紙」を買い取るように、「交渉」を続けているという情報提供があった。
新聞社は、搬入部数の決定に際しては、販売店の合意を得ているから、たとえ過剰な新聞を搬入しても、それは「押し紙」行為には該当しないと主張してきたが、この論理は独禁法の新聞特殊指定を正しく解釈していない。
新聞特殊指定でいう「押し紙」とは、実配部数に予備紙を加えた部数を超える残紙のことである。予備紙の部数は、伝統的には搬入部数の2%だったが、現在は、「2%」ルールは無くなっている。新聞人がなくしたのである。
そして残紙のことを「予備紙」と命名したのである。こうして新聞特殊指定の網の目をかいくぐって、「押し紙」行為を続けてきたのだ。かつて新聞人たちは、筆者が「押し紙」問題を指摘すると、「残紙のことですか?」と逃げていた。ところが現在では、「予備紙のことですか?」と言ってくる。
しかし、「予備紙」というからには、実際に予備紙として配布されている実態がなければならない。実態はほどんどなく、その大半はトラックで回収されている。この回収事実を見るだけで、残紙が「予備紙」として使われていないことは、誰の目にも明らかだ。
合売店化が進む中で、新店舗に対する「押し紙」の強制があった場合は、押し売りの証拠(録音等)を残したうえで、訴訟を起こすことを勧める。今は、裁判所もかつてとは異なり「押し紙」行為に対しては、一定の批判的な見解を持つようになっている。

11月1日(木)にNO!残紙キャンペーン委員会が、国会内で開催を予定している「『押し紙』を考える全国集会」のPDFの案内状が完成した。読者には、ネット上での拡散をお願いします。
既報したようにこの集会が国会内で実現するのは、小坪慎也行橋市議の尽力の果実である。
「押し紙」問題を考えるのに思想信条の違いは関係ない。販売する予定がない商品を、詭弁を弄して押し売りする行為が誤りだという立場に立つだけで十分なのだ。
当日は、佐賀新聞の「押し紙」裁判の原告・寺崎昭博氏も登壇して、ABC部数の具体的な改ざん方法についても言及することになりそうだ。
ABC部数の信用は急激に失墜しており、折込広告の水増し詐欺を警戒して、広告主の間で新たな対策も取るようになっている。東京都内の毎日新聞の元店主が、次のように話す。
「わたしの店には、広告代理店を通さずに広告主が直接、折込広告を持ち込むケースもありました。広告代理店の信用を失墜しているのです」
店主が具体的に名をあげた広告主企業は、(株)ユーキャンである。
従来、「折込詐欺」の主犯は販売店だというイメージが拡散されてきたが、これは誤りだ。主犯は新聞社と広告代理店である。広告代理店が、販売店に割り当てる折込広告の枚数を決定しているのである。詐欺が発覚して、倒産した広告代理店もある。
【参考記事】広告代理店・アルファトレンドが倒産、折込広告の詐欺発覚で
【写真】水増しされ廃棄される岡山県の広報紙『晴れの国おかやま』

新聞販売店の経営悪化に伴い、新聞社は各販売店に割り当てる「押し紙」を減らさざるを得ない状況に追い込まれているが、例外的に「押し紙」が増えている販売店もあるようだ。それは新聞社が直営している販売店である。地方紙の店主さんらと懇談して、そんな証言があった。
新聞販売店は大別して2種類ある。個人か経営する販売店と新聞社が直営する販売店である。個人経営の販売店が廃業して、後継者がいないと新聞社の直営になる。また、政策として、販売店を新聞社の直営(販売会社化)に再編する流れもある。
なぜ、新聞社の直営店に「押し紙」が増えるのだろうか。答えは簡単で、新聞社と販売店が実質的には同じだから、「押し紙」代金を直営店から販売会社へ移動させるだけで、痛くもかゆくもないからだ。「押し紙」は負担にならない。
何のメリットもないようにも思えるが、「押し紙」によりABC部数を増や(あるいは維持し)すことで、それに準じた折込広告も水増しすることができる。また、紙面広告の媒体価値を高めることができる。
しかも、新聞社と販売店が一体なので、こうした犯罪めいた連携プレーを内部告発されるリスクもない。
同じ手口を10年ほど前に山陽新聞の店主さんも言っていた。
販売店の販売会社化は、全国規模でますます進んでいる。従って、現在は新聞社の販売会社の店舗に、大量の「押し紙」と水増しされた折込広告がある可能性が極めて高い。
「押し紙」には、次にあげる諸問題がある。
①新聞の商取引が「押し売り」になっていること。
②「押し紙」にも折込広告がセットになっているケースがあること。その結果、新聞折り込みの形で配布される地方自治体の広報紙も廃棄されていること。
③「押し紙」が20%を超えると第三種郵便の認可基準を満たさないこと。従って、毎日新聞を筆頭に多くの新聞社がこれに該当する。
④環境破壊(資源の無駄づかい)の大きな要因になっていること。
メディア業界の水面下は真っ黒である。

博報堂や電通がインボイスナンバーを外した請求書を大量に発行して、中央省庁へ送りつけ、それを媒体とした疑惑だらけの取り引きをしてきた事実は、メディア黒書で繰り返し報じてたきたが、これらの広告代理店の会計書類を監査する監査法人は、この実態をどう考えているのだろうか。
筆者は、以前、博報堂の監査法人である「あずさ監査法人」に取材を申し入れたが、何の問題もないという前提で、取材を拒否された。
あずさ監査法人が問題なしとしているのは、たとえば博報堂が内閣府に対して発行した次の請求書である。

読者は、この請求書を奇妙だと感じないだろうか。ひと昔まえであれば、一応は普通の請求書ともいえる。が、大企業の会計システムがコンピューターと連動している現在では明らかにおかしい。プリントアウトされたロゴ入りの請求書になるのが普通だ。
■異常1
まず、インボイスナンバーが外してある点に注目してほしい。コンピューターと連動した会計システムの下では、インボイスナンバーを外してしまえば、コンピュータ処理ができない。クレジットカードに番号がなければ、コンピューター処理できないのと同じ原理だ。
つまりインボイスナンバーを外した請求書を媒体とした取り引きは、正規の会計とは別会計(2重会計)になっている疑惑があるのだ。コンピューターと連動した会計システムを持つ企業が、わざわざインボイスナンバーを外した請求書を作成する合理的な理由は存在しない。それを敢えて行ってきたところに、重大な疑惑があるのだ。
■異常2
その請求書の作成方法も奇妙だ。請求書を見る限り、エクセルとワードで作成されている。内閣府関係のものは、エクセルが主流で、防衛庁関係のものは、ワードが多いようだ。個人業者は別として、上場企業がエクセルやワードで請求書を大量作成している点も不可解だ。
■異常3
ちなみにいわく付きの請求書の量は尋常ではない。たとえば博報堂の場合、内閣府だけでこの種の請求書による請求額が2012年から15年の4年で、約64億円に上っている。
博報堂のあずさ監査法人は、なぜ、博報堂が請求書からインボイスナンバーを外しているのか合理的な理由を説明すべきだろう。

「押し紙」を問題視する有志が、11月1日(木)に、国会の衆議院第2議員会館で、議員たちを招いて「押し紙」を考える全国集会を開くことが急遽決まった。誰でも参加できる。スケジュールは次のとうりである。
タイトル:「押し紙」を考える全国集会
日時:11月1日(木)、17:00~19:00
場所:衆議院第2議員会館 地下1F 第一会議室
「押し紙」を考える集会が、国会内で行われるのは初めてだ。かねてから「押し紙」に疑問を呈してきた人々のあいだで、解決への具体策を模索してきたが、日本新聞協会が「押し紙」の存在をいまだに認めていない事情を踏まえて、政治的な解決が必要という見解で一致していた。
こうした事情を背景に、中央政界とも人脈がある小坪慎也市橋市議(福岡県)が、国会議員と交渉を進めた結果、議員会館での集会が実現することになった。日本新聞協会が主催する新聞週間(15日から)期間中の開催が望ましいという声もあったが、会場の都合で11月1日の開催となった。
【参加方法】
当日、衆議院第2議員会館のロビーで、入館証を受け取ってください。16:30分から配布します。事前の申し込みは不要です。
※「押し紙」に関しての相談窓口(048-464-1413、くろやぶ)

10月は新聞に関連した行事があちこちで開催される。その中でも最も有名なのが、日本新聞協会が主催する新聞週間だ。今年は、15日からはじまる。
新聞週間に先立って、6日からは、第71回新聞大会開催記念フォーラム「ことばと脳のおいしい関係」が東北福祉大学仙台駅東口キャンパス(仙台市)で開かれる。
筆者は、「押し紙」の取材をはじめてのち、新聞人たちの言動に耳をかたむけてきたが、新聞大会で「押し紙」について議論したという話は聞いたことがない。本来であれば、真正面から議論して、解決しなければならない問題なのだが、新聞協会は、大会でこのテーマを扱うどころか、今だに「押し紙」は一部も存在しないと開きなおっている。
現場をなによりも重視しなければならない新聞人の良心を疑う。
日本の新聞人にとって、ジャーナリズムなどは二の次で、新聞業の目的は、政府広報として機能することである。ジャーナリズムの仮面をかぶって、上手に国民を世論誘導することである。
森友事件の報道はある程度評価できるとしても、なぜ、他の汚職については取材しないのだろうか。森友事件よりももっと悪質な汚職はたくさんある。たとえば、オリンピック選手村建築予定地(都の公有地)を約1200億円で値引き販売した事件。中央省庁と広告代理店の間の取り引きで、インボイスナンバーを外した請求書が多数使われている問題。ピックアップしてみると際限がない。
記者としての職能がないから取材しないのではなく、公権力の顔色をうかがっているからだ。
一方、公権力が「押し紙」を放置するのは、新聞社が政府広報部としての役割を果たしてくれるからにほかならない。汚職を徹底追及できないのは、「押し紙」という経営上の弱味を握られているからだ。
こうした状況の下で、われわれ「押し紙」反対派も、何かアクションを起こす必要があるのかも知れない。新聞人には、何も期待できないから。
2018年09月27日 (木曜日)

新潮社は25日、『新潮45』の休刊を発表した。実質的には廃刊との見方も出ている。LGBTに関する差別的表現で、激しいバッシングを受けたことが背景にある。
この事件は、2つの側面を孕んでいる。杉田水脈氏が執筆した記事そのものをどう評価するのかという問題と、バッシングによって休刊に追い込まれたことをどう考えるのかという点である。
まず、杉田氏の記事についてだが、明らかに偏見に満ちたもので、筆者には到底受け入れがたい。つまらない記事だと思う。
一方、バッシングによって『新潮45』が休刊に追い込まれたことは、憂慮すべき事態だというのが筆者の受けとめ方だ。一部のネットウジは、鬼の首を取ったように喜んでいるが、圧力でメディアを消滅させる行為は、最終的にはブーメランのように自分に跳ね返ってくる。言論統制への道を開きかねない。
◇言論抑圧事件の多発
このところ言論に関係した事件が多発している。メディア黒書で既報したように、6月には、アニメ化が決まっていたライトノベル『二度目の人生を異世界で』の原作者が、中国や韓国に対する差別的な発言をしたとして、出版元のホビージャパンが、これまでに刊行した計18巻を出荷停止にすることを決めた。背景には、やはり版元に対する圧力があったようだ。■出典
さらに東京の新宿区は、デモを規制するために公園の使用基準を見直した。デモの出発地に使える区立公園をたった1カ所に限定してしまったのだ。従来は、4箇所だった。ヘイトデモ対策というのがその口実である。吉住区長は、東京新聞の取材に対して次のように答えている。
■「新宿区デモ規制「やむを得ない措置」 吉住区長に聞く」(東京新聞・8月14日)
◇市民運動の「オウンゴール」
こんなふうに言論の規制は、市民運動の誤った方針によって進んでいる。サッカーでいる「オウンゴール」が続いている。
公権力が、特定秘密保護法や共謀罪(法)を行使するまでもなく、言論の自由はどんどん狭まっている。
『新潮45』の休刊問題も、このような脈絡の中で考えるべきだろう。


