2016年06月13日 (月曜日)

かつて1000万部の発行部数を誇っていた読売新聞が900万部を切ったことが、2016年4月度の新聞のABC部数で明らかになった。最新のABC部数は、899万8789部である。「読売1000万部」の時代は、事実上、終わったと見て間違いない。

前年同月差では、読売は約11万部の減少である。

一方、朝日新聞の部数は、661万部。前年同月差では、約19万部の減少である。

中央紙各社のABC部数は次の通りである。

朝日:6,606,562(-191,631)
読売:8,998,789(-111,356)
毎日:3,115,972(-185,819)
産経:1,633,827(-30,863)
日経:2,730,772(-8,937)

■4月度ABC部数一覧(全社)

◇朝日バッシングで部数が減ったという誤解

ABC部数の減少は、一般的には読者離れと解釈されがちだが、新聞販売店を取材した限りでは、新聞社の側が自主的に「押し紙」を減らした可能性の方が高い。新聞社にとって「押し紙」が負担になってきたのだ。

「押し紙」が新聞社に負担になってきたと書くと、不思議に感じる読者も多いかも知れない。販売店にとって「押し紙」が負担になるのであれば、理解できるが、新聞社にとって「押し紙」が負担になるとはどういう意味なのかと?

答えは単純だ。「押し紙」の負担を相殺する手段は、折込広告の水増しである。ところが折込広告の需要が落ち込んで、「押し紙」の負担が相殺できなくなってきた。こうなると新聞社は、販売店に補助金を支給せざるを得ない。さもなければ戸別配達制度が崩壊するからだ。

補助金を支給する代わりに「押し紙」を減らすと、ABC部数が落ちるので、これも簡単には出来ない。ABC部数を維持して紙面広告の媒体価値を維持する必要がある。

さらに2014年4月から消費税が5%から8%に上がった。「押し紙」は販売部数として経理処理されるので、「押し紙」にも消費税がかかる。本来は販売店が支払う税金だが、経営が悪化しているので、これについても新聞社は補助金を提供せざるを得ない。

◇自作自演の可能性も

従軍慰安婦問題の「誤報」と「朝日バッシング」で朝日は、大幅に読者離れを起こしたことになっているが、これは間違いで、朝日新聞の側が「誤報」「朝日バッシング」を逆手に取って、これを理由として「PR」し、みずから「押し紙」を減らしたのだ。わたしが取材した限り、「誤報」による部数減は朝日の自作自演である。

不祥事なしに大幅に「押し紙」を切ると、ABC部数が激減して、広告主が不信感を抱くからだ。どうしても理由が必要だったのだ。

事実、朝日がみずから「誤報」を宣言するという奇妙な行動に出たのは、2014年8月。この時期は、消費税が5%から8%になったわずか4カ月後である。3%の税率アップで、「押し紙」が大きな負担になってきた結果だ。他社も同じ事情があったとわたしは見ている。

事実、新聞業界は今、消費税の軽減税率を5%にするように政界工作を続けている。

ちなみに新聞購読を長年の習慣にしてきた人が、「朝日バッシング」程度で購読を中止することはほとんどない。

2016年06月10日 (金曜日)

新聞・テレビの没落に歯止めがかからない。
NHKが2015年7月に実施した世論調査の結果が、それを物語っている。

ふだんの日にテレビを見る時間*(ビデオやDVDの再生は除く)は、1985年から2010年までは“長時間化”の傾向が続いていたが、この5年で「ほとんど、まったく見ない」人と「短時間」(30分~2時間)視聴の人が増加、「長時間」(4時間以上)視聴の人が減少し、全体の視聴時間は初めて“短時間化”する傾向に転じた。

■「日本人とテレビ 2015」調査 結果の概要について

テレビ離れの背景に、インターネットの台頭があることは論を待たない。たとえテレビの愛好者であっても、番組を録画して、自分が見たいときにそれを視聴する行動パターンが定着してきた。このような視聴者は、CMは、「早送り」でスキップしてしまうことが多い。

こうした状況の下で大きな影響を受けていると推測されるのがテレビ局と大手広告代理店である。クライアントのPR戦略がテレビから、他媒体、たとえばインターネットやイベントに移行する傾向が顕著になっているなか、広告代理店も同じ方向へ連動し始めているが、新分野でも問題を起こしているようだ。これについては、後述する機会があるかも知れない。

最近、メディア黒書に視聴率の「偽装」に関する情報が寄せられている。「視聴率」を偽装してCM営業を展開するケースが増えているというのだ。筆者は、長いあいだ新聞部数の偽装を問題視して取材にしてきたが、テレビ業界でも「偽装」が起こっているようだ。

◇0.1%の視聴率偽装でも影響は大きい

過去の視聴率の偽装事件として有名なのは、2003年に起こった日本テレビ視聴率買収事件である。おそらくこの時期からテレビの没落は始まっていた。ウィキペディアは、この事件を次のように記述している。

日本テレビ制作局に所属していたバラエティ番組担当のプロデューサー・Aが、自分の制作したテレビ番組の視聴率が上がるよう、埼玉県内の探偵業者に(ナンバープレートを示して)ビデオリサーチの車を尾行するよう依頼し、同社のモニター世帯を割り出し(探偵業者は、尾行に気付いたビデオリサーチから抗議文書が届き、数件の割り出しに成功した時点でAと相談して調査を中止した)、番組アンケートや機械の点検を装って23世帯に接触し、水増しした番組制作費を私的に流用した金銭を渡して視聴を依頼した。

2003年10月24日に事件が発覚。Aは懲戒解雇処分となったが、事件発覚後に流用した金額を日本テレビに全額返却したことから、同局からの詐欺容疑での刑事告訴は行われなかった一方で、電通・ビデオリサーチから民事訴訟を起こされている。(このうち電通とは2005年に1000万円の損害賠償を支払うことで和解が成立している)。ビデオリサーチは当初、偽計業務妨害容疑での刑事告訴も検討していたが、「捜査が調査協力世帯に及んで迷惑をかけることにつながる」という理由で断念した。

テレビ局と広告代理店は、たとえ0.1%でも視聴率を高く見せたがる。理由は単純で、視聴率が高い番組は、CM価格を高く設定できるからだ。それはちょうど新聞社がABC部数をかさ上げすることで、新聞広告の価格をつり上げるのと同じ原理である。

視聴率の場合、0.1%という数値は、極めて大きな数字である。たとえば3000万人がテレビを視聴している瞬間、ある番組の視聴率が0.1%とすれば、30万人がその番組の視聴者ということになる。これを1%にかさ上げするだけで、「300万人がこのCMを見ますよ」と言ってCM営業できることになる。

新聞の部数偽装(「押し紙」問題)については、メスが入るのも秒読み段階になっているが、視聴率の偽装は、これから大問題になりそうだ。メディアの主流がインターネットに移行してきた状況下では、報道できる条件も十分に整っている。

【情報提供窓口】048-464-1413(メディア黒書)

2016年06月09日 (木曜日)

日本のメディアの2大汚点は、新聞部数の「偽装」と、テレビ視聴率の「偽装」である。

新聞とテレビは、日本においては系列関係にある。彼らの共通した収入源のひとつに公的機関からの広告費、CM費、それに企画費などがある。その額は膨大になる。庶民感覚からすれば、公的資金の「ぼったくり」と評価されてもやむを得ない。

このようなビジネスを仲介しているのが大手広告代理店である。

筆者の手元に、2通の内部資料がある。読売新聞社が民間企業A社に提示した広告提案書と、株式会社読売エージェンシーが発行した公共広告の請求書である。

結論を先に言えば、両者の書類にはいずれも紙面広告の価格が提示され、しかも、両者間に凄まじい価格差がみられる。

◇民間企業A社の広告価格は1300万円

まず、民間企業A社が2011年6月に読売新聞東京本社から打診された広告の提案書を紹介しょう。この企画は、朝刊と夕刊に広告をそれぞれ4回掲載することを提案したものである。広告のスペースは選択できる。朝刊の場合、最大で全面広告(15段)にすることが可能だ。一方、夕刊は最大で10段のスペースである。

広告価格は、朝刊と夕刊が連動していたり、あるいはシリーズ広告にすることで提案価格に幅が生じる傾向があることを若干考慮する必要があるけれど、単純に朝刊の全面広告を1回掲載した場合の試算価格は、1269万6000円である。これに若干の「企画運営費」が請求されるので、おおむね1300万円ぐらいの価格になる。

ただし、既に述べたように、この広告企画は、4回シリーズ、朝刊と夕刊の連動であるから価格幅がある。そうはいいながらも、筆者が取材した限りでは、全国紙の民間企業向け全面広告の相場は500万円から1000万円前後という答えが多いので、上記の試算に大きな間違いはないだろう。

◇内閣府の広告価格は約3200万円

一方、公共機関が読売新聞の朝刊に全面広告を掲載する場合は、どの程度の価格が設定されるのだろうか。これを知る恰好の資料が筆者の手元にある。

2011年3月11日に掲載された内閣府の「自殺対策」の全面広告である。
読売エージェンシーが内閣府に送付した請求書によると、この広告の掲載価格は、3194万5500円(消費税を含まない)となっている。

民間企業Aに対して提案している価格の3倍近い価格が請求対象になり、実際に支払われているのである。公共広告が新聞社や広告代理店の大きな収入源になっている実態があるのだ。

ちなみに読売に「自殺対策」の広告が掲載されたのとほぼ同じ時期、3月1日に朝日新聞にはやはり内閣府の「消費税および地方消費税」をテーマとする全面広告が掲載されてる。

価格は3092万8275円である。さらに毎日新聞にも、「消費税および地方消費税」の全面広告が掲載されており、こちらの価格は1921万5000円である。

民間企業A社に提示された価格、約1300万円が適正だとすれば、公的機関に対して提示される価格は、極めて高額だと言わなければならない。しかも、役所の側はおそらく慎重な検討も経ずに承認しているのである。

こうして公共機関がメディアの大きな収入源になってしまったのである。

2016年06月08日 (水曜日)

大手広告代理店の実態を検証するシリーズ。博報堂と通販のアスカコーポレーション(本社・福岡市)の係争に焦点を当てみよう。
両社の係争は、昨年の10月に表面化した。博報堂がアスカに対して約6億1000万円の未払い金を請求する裁判を起こしたのに対して、アスカコーポレーションは長年にわたって過剰請求があったとして、今年5月に約15億3000万円の支払いを求める訴訟を福岡地裁へ提起した。

アスカコーポレーションからメディア黒書が入手した資料のうち、同社が主張しているタレント料の過剰請求の中身を検証してみよう。(博報堂は係争を理由に取材を拒否している。)

タレント料が不自然に右肩上がりになっているというのがアスカコーポレーション側の主張である。次に示す表は、2008年度と2011年度におけるタレント料の比較である。(裁判資料を基にメディア黒書で作成した。エクセル

この表を見る限り、わずか数年の間にタレント料が高騰している。平均タレント料は次の通りである。

2008年度:411,333円
2011年度:708,000円

同じタレントで2008年度と2011年度の両年度で博報堂がアレンジしたケースについて比較しても、やはり2011年度の方がはるかに高くなっている。たとえば上の表中の浜木綿子(「1」と「1a」)の場合、45万円から70万円になっている。「2」「2a」から「4」「4a」のタレントについても同じ傾向を示している。

◇タレントの年齢と職業

比較対象にしたタレントの年令と職業は次のとおりである。

浜木綿子
1935年10月31日(80歳)
女優

片岡愛之助
1972年3月4日(44歳)
歌舞伎役者

鈴木砂羽
1972年9月20日(43歳)
女優

小野寺昭
1943年9月19日(72歳)
俳優

博報堂に対して約15億3000万円の不当利得返還請求、通販のアスカコーポレーションが提訴

 

博報堂による「過去データ」流用問題、編集の実態、アスカ側は情報誌のページ制作費だけで7億円の過剰請求を主張

 

2016年06月07日 (火曜日)

折込広告の「折り込め詐欺」で2010年に訴訟を起こされ、約250万円の返金と弁護士費用の返済で事件を処理した広告代理店が、今年の3月に倒産していたことが分かった。倒産したのは、大阪市と東京都に拠点を構えていた広告代理店アルファトレンド(飯干正芳社長)。

同社は読売広告社(現在、博報堂DYホールディングス傘下)の元社員・飯干正芳氏が設立した会社で、読宣など読売系の会社とも連携して業務を進めていた。

この事件の発端は、アルファトレンドが大阪市内のクリニックに対して折込広告の未払金を請求する裁判を起こしたことだった。このクリニックは、PR活動の戦略として折込広告を採用していたのだが、ある時期から広告効果がまったくないことに気づいた。

そこで原因を調査するうちに、「折り込め詐欺」を疑うようになった。

※「折り込め詐欺」:折込広告の新聞販売店への搬入枚数は、新聞販売店に搬入される新聞の総部数に一致させる基本原則がある。そのために新聞の搬入部数に「押し紙」が含まれていると、折込広告が水増し状態になる。当然、「押し紙」が大量にある現在の状況下では、折込広告の広告効果は期待できない。
   「折り込め詐欺」には、折込広告を水増しするもののほかに、販売店に搬入する前の段階で「押し紙」分を捨てる「中抜き」の手口もある。

クリニックは、アルファトレンドに対する支払いを一時的に保留した。これに対してアルファトレンドは、未払い金の支払いを求める裁判を起こしたのである。

◇「押し紙」分の折込広告67万枚を「中抜き」

ところが裁判中にクリニック側が調査したところ、発注した35万枚の折込広告のうち5万枚が新聞販売店に到着していないことが判明。物流のどこかの過程で、「中抜き」されていた疑いが強まったのだ。

裁判は、アルファトレンドの敗訴だった。裁判所はアルファトレンドの請求を認めなかったのである。

ところが事件はこれだけではすまなかった。裁判中にクリニックが行った調査の中で、アルファトレンドが他の広告主に対しても、「中抜き」詐欺を行っていたことが発覚したのだ。クリニックから「中抜き」詐欺を通告された広告主は、(株)バーステーだった。

(株)バーステーは直ちに過去の帳簿類を精査し、アルファトレンドに対して返金を求める裁判を起こした。が、本格的な審理に入るまでもなく、アルファトレンドは非を認めて、約250万円の返金と弁護士費用の返済に応じた。

(株)バースデーが被害を受けていた期間は、2008年6月から2009年3月までの10カ月。同社は、この期間に253万枚の折込広告を発注したが、このうち67万枚が中抜きされていた。さらにこの67万枚のうち、少なくとも42万枚は、チラシの印刷すらも行われていなかった。アルファトレンドは、印刷せずに印刷代を請求していたのである。

■(株)バーステーが受けた「折り込め詐欺」被害一覧

◇参考記事

■大阪市北区の広告代理店業「株式会社アルファ・トレンド」に破産開始決定 オリコミ広告の中抜き問題で訴訟に発展

■《メディア黒書》折込広告「折り込め詐欺」から「中抜き詐欺」へ、253万枚のうち67万枚を秘密裏に「廃棄」、被害額約250万円、広告代理店・アルファトレンドが広告主に提訴され、全額賠償+弁護士費用で和解

2016年06月06日 (月曜日)

「押し紙」で損害を受けたとして、佐賀新聞の元販売店主が6月3日、佐賀新聞社を相手どって約7100 万円の損害賠償を請求する裁判を佐賀地裁で起こした。元店主は、「押し紙」の負担で販売店経営が悪化し、佐賀新聞に対して執拗に「押し紙」の中止を求めていた。新聞社の「押し売り」問題が法廷で審理されることになった。

「押し紙」の実態と損害は次のPDFに示した通りである。

■佐賀新聞の「押し紙」の実態と損害一覧

「押し紙」率は、原告が店主になった2009年4月の段階では、10%だったが、ピーク時の2012年6月には19%に増えている。原告が年間に被った損害は、年度によって異なるが年間に、約460万円から約1000万円だった。多額の借金を背負わされて、昨年12月に廃業に追い込まれていた。

◇ABC部数「偽装」の恐るべき手口

訴状によると、佐賀新聞社は、「押し紙」部数を隠すために、ABC部数を偽装するための工作を原告に指示していた。これについて訴状は次のように述べている。

公査を受ける時期になると、被告佐賀新聞社から各販売店へ公査に備えるように連絡がされ、対象となる販売店には1~2日前にはABC協会が公査を告知するため、その販売店に対して被告佐賀新聞は次のような具体的な作業を指示する。
①足りない読者数を穴埋めするために過去の読者を現在の読者のようにみせかけたり、実在する人物を架空の読者に仕立て上げたりする。

②1年ないし半年分の架空の領収書を印刷させ、半券を切り取って破棄し、残った半証を過去の領収書の控えの間に挟ませ、各月の売上金額や配達料を支払った金額、配達部数などの数字もすべて作り変えさせる。

③あとは公査当日に店舗に残っている押し紙(残紙)を必要数以外は隠させ、前日のチラシの作業の終了時には定数近くまで折込機会のカウンターだけ回させる。

④日々の紙分けの作業に使う手板(各配達員に渡すべき部数を書く道具)の数字も各月ごとに不審な点が無いように作り変えさせる。

 原告の店舗にABC協会の公査が入った平成23年5月のときも上記の具体的な指示を佐賀新聞より受けており、また被告佐賀新聞は普段から各販売店に上記の隠蔽工作を指導している。

◇新聞社サイドが「押し紙」減部数を指示

「押し紙」は1部も存在しないというのが、従来からの新聞社の主張である。しかし、訴状によると佐賀新聞社は、販売店に指示してABC部数を偽装させているうえに、2013年3月には、全販売店を対象に、全体で搬入部数を2000部減らしている。これは佐賀新聞社が搬入した新聞がすべて配達されていないことをみずから把握していた証拠にほかならない。

さらに翌2014年6月には、やはり全販売店を対象に、搬入部数を3000部減らしている。原告店主の販売店の場合は90部が減数の対象になった。

◇読売・真村訴訟の弁護団が代理人に

新聞社の「押し紙」が初めて司法による認定を受けたのは、2007年である。読売新聞社を相手に、販売店が提起した真村訴訟の判決で、福岡高裁が読売による「押し紙」政策を認定し、その後、判決は最高裁で確定した。

■真村訴訟・福岡高裁判決

今回の佐賀新聞の「押し紙」裁判では、真村訴訟を担当した江上武幸弁護士らが原告の代理人を務める。

※なお、訴状は準備ができしだいメディア黒書で全文を公開する予定。

 

2016年06月03日 (金曜日)

森裕子元参議院が、今夏の参院選に新潟選挙区から野党統一候補として立候補する。野党共闘は全国各地で予定されており、「野党連合VS自民党」の構図が鮮明になっている。自民党が大勝するという当初の予想がはずれるのではないかとの見方も出始めている。

筆者は、野党連合の勝利を願うが、森裕子元参議院については、選挙での勝敗以前に出馬すべきではないという見解を持っている。

森氏の言動については、市民運動家の志岐武彦氏が運営する次のウエブサイトに詳しく記録されている。

■一市民相手に恫喝訴訟を起こし、完全敗訴した森裕子元参院議員は、野党統一候補にふさわしいか!『森裕子vs志岐武彦裁判の顛末記』

森氏の何が問題なのかを、志岐氏のブログも交えて、手短に紹介しておこう。森氏は、たとえ当選しても、桝添東京都知事のように、極めて苦しい立場に追い込まれる人物である。

◇一市民に対する恫喝裁判の敗者

志岐氏のブログにもあるように、もともと森氏と志岐氏は、共同戦線を張って小沢一郎氏が検察審査会により法廷に立たされた事件の背景にある策略を調査していた。

特に志岐氏は、卓越した調査能力を発揮して、検察や裁判所から膨大な量の文書を開示させ、策略の主導者が最高裁事務総局であることを突き止めた。志岐氏から調査結果の報告を受けていた森氏も、最高裁事務総局の疑惑を追及する活動を続けていた。

ところがある時期から森氏は、志岐氏とは別の見解を打ち出す。策略の主導者は、検察であるとする見解だ。当然、志岐氏と森氏は意見が対立した。ネット上で論争になった。森氏は、『検察の罠』を出版し、これに対抗して志岐氏は『最高裁の罠』を出版した。

これに歌手で作家の八木啓代氏が加わった。(八木氏は、後に名誉毀損で10万円の賠償命令を受けた。参考:判決全文

見解の変更は自由だ。それ自体は非難される性質のことではない。

が、問題は森氏が志岐氏を名誉毀損で提訴したことである。しかも、500万円のお金を要求した上に、志岐氏の言論活動の一部禁止を求めたのである。

裁判は、志岐氏の勝訴だった。裁判の中で、志岐氏側の山下幸夫弁護士は、小沢一郎氏と彼の代理人だった弘中 惇一郎弁護士の証人尋問を求めた。だれが検察の捏造報告書をメディアに流出させたかを解明するために、両氏の尋問が必要だったのだ。

※捏造報告書の流出ルートは、検察か小沢サイドの2つしかない

が、両氏の尋問は実現することなく結審となった。

参考小沢一郎・森裕子サイドは、捏造捜査報告書の流出犯として検察を名指するが、自分たちに向けられている疑惑の説明責任はどうなのか? 流出ルートは2つだけ、参院選を前に検証が不可欠

◇高速ガソリン代470万円

最近、民主党山尾志桜里議員によるガソリン代の高額出費が問題になったが、
森議員のガソリン代は山尾氏の比ではない。たとえば2013年度は、約470万円にも達している。山尾議員と同様に、森氏も記者会見を開いて説明すべきだろう。だれが考えても尋常ではない金額であるからだ。

■2011年から13年度の森氏の「高速ガソリン代」(エクセル)

この問題については、今月発売の『財界にいがた』が詳しく報じている。

◇還付金受給の疑惑

次に示すPDFのは、森氏が支部長を務めていた民主党新潟県参議院選挙区第1総支部の政治資金収支報告書の一部だ。

■政治資金収支報告書の一部

この政治資金収支報告書によると、森氏は自分で自分の政党支部に年間640万円の寄付をしている。この寄付に対して、所得税還付を受けていれば、マネーロンダリングに該当する。この金額についても森氏は、説明すべきだろう。弁明が必要だ。

 

2016年06月02日 (木曜日)

携帯電話に使われる電磁波のリスクに警鐘を鳴らす情報が米国から飛び込んできた。米国政府が取り組んでいるNTP(National Toxicology Program、毒物研究事業)で、携帯電話などが発している電磁波にラットを被曝させたところ、オスのみに腫瘍が発生することが判明したのだ。

日本語のサマリーは、次のように実験結果を報告している。

この2年間の研究は、何千匹ものラットに2年間毎日、一定量の電磁波を照射した。電磁波をまったく当てないコントロールグループも、同期間養育した。被曝したラットの2ないし3%が脳に神経膠腫を生じ、1ないし6%が心臓に神経鞘腫を発現した。

■出典:日本語抄訳

■出典:英語オリジナル

携帯電話に使われる電磁波とは、マイクロ波のことである。今回、マイクロ波と発ガンの関係をNTPが指摘したわけだが、実は、今から5年前の2011年にWHOの外郭団体である世界ガン研究機関が、すでにマイクロ波に発ガン性がある可能性を認定している。

さらにドイツやイスラエル、それにブラジルなどで行われた疫学調査でも、両者の因果関係は随分まえから明らかになっていた。これに関しては、2014年9月8日付けのメディア黒書で紹介している。次の記事である。

■携帯基地局から200メートル以内、発癌リスクが極めて高い、ブラジルの調査でも判明、日本では秘密保護法の施行で情報ブロックも

◇化学物質による複合汚染

しかし、発ガンとマイクロ波の関係を考える時、考慮に入れなければならないもうひとつの要素がある。それは化学物質による人体の複合汚染である。同じようにマイクロ波を浴びても、ガンを発症する人と発症しない人がいるが、これはひとつには化学物質による人体の汚染度のちがいに起因している可能性が高い。このような複合汚染の原理は、なにもマイクロ波とガンの関係に限定されたものではない。

たとえば分かりやすい例としては、子宮頸ガンの発症に関する次のような説がる。子宮頸ガンの原因がHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)の感染であることは周知となっているが、HPVに「感染した人全員がかならず子宮頸ガンになるわけではない。たとえば感染した状態で、ある環境因子にさらされて、DNAがダメージを受けるなどの条件が重なった場合、発癌リスクが高くなる」(利部輝雄著『性感染症』)のである。

なんらかの化学物質に汚染された人体で、携帯電話を使っていると、ガンのリスクが高くなると考えても間違いないだろう。実際、発ガンとマイクロ波の関係を調べる動物実験では、マウスを発ガン性物質で汚染させた上で、被曝させるなどの方法が取られることがある。

その化学物質は、地球上にどの程度存在するのだろうか。驚くべき数字がある。

前出のNTP(National Toxicology Program、毒物研究事業)によると、NTPに登録されている使用目的がある化学物質は、8万種類に達しており、さらに毎年、2000種類が新たに加わっている。また、同じく米国のCAS(Chemical Abstracts service)には、すでに1億件の化学物質が登録され、今後、50年で6億5,000万件以上の新規化学物質の登録が見込まれている。

つまり生活環境は、われわれの目に見えないところで常に変化しているのである。静止状態にはならない。当然、リスクの程度もそれに応じて変化している。携帯電話の電磁波にリスクがあるゆえんである。

こうした観点からすると、リスクを評価する際、もっとも信頼できるのは疫学調査である。動物実験では不十分。動物の肉体と人間の肉体は異なっている上に、生活環境や化学物質による汚染度も異なるからだ。

疫学調査により被害が発生している可能性があれば、対策を採るのが、今や世界の常識になっている。しかし、日本政府は科学的な根拠が解明されるまでは、何もしない。携帯電磁波の問題では、特にこの傾向が強い。背景に大企業の利権が絡んでいるからだ。

◇基地局問題の裁判

次に紹介するのは、『財界にいがた』が掲載してくれた、筆者の講演録である。携帯電話の基地局公害と裁判についての話だが、マイクロ波のリスクについても言及している。

■携帯電話基地局で原告敗訴請負人の裁判官がいた(前半)

■携帯電話基地局で原告敗訴請負人の裁判官がいた(後半)

2016年06月01日 (水曜日)

ボクシングの元世界チャンピオン・亀田兄弟(興毅・和毅)がタレントの北村 晴男弁護士を代理人としてフリージャーナリスト・片岡亮氏に対して2,000万円の金銭支払いなどを請求した名誉毀損裁判で、2016年1月27日、東京地裁の中吉徹郎裁判長は、300万円の支払いを命じた(控訴せず確定)。

それから3カ月、筆者が、敗訴した片岡氏をはじめ本件を取材したところ、曖昧な名誉毀損の認定基準が改めて浮かび上がった。片岡氏がブログで取り上げた事件は、『東スポ』も取り上げていた。両者の内容はほとんど同じだが、なぜか片岡氏のブログだけが名誉毀損にあたり、『東スポ』の記事は名誉毀損には該当しない、という判断が裁判所で下った。

『東スポ』記事には、「JBC職員に密室で怒声」「(亀田側が)報道陣を退去させて“密室状態”にすると」「部屋の外まで聞こえるような大声で会話しており、穏便なものではなかった」などの表現がある。一方、片岡氏は『東スポ』と同じ内容を、簡潔に「監禁」「恫喝」などと表現した。名誉毀損裁判とは何なのか?その、いいかげんな「机上の論理」の実態に迫る。【続きはMyNewsJapan】

2016年05月31日 (火曜日)

博報堂による「過去データ」の流用問題検証の続編である。前編は、30日付けのメディア黒書に掲載している。

■30日付けのメディア黒書 

メディア黒書が検証しているは、通販のアスカコーポレーション(本社・福岡市)が博報堂に制作させていた情報誌である。詳細は、後述するとして、読者は、以下に掲載した画像を注意深く観察してほしい。

それぞれ11月号(2011年)と12月号(2011年)の情報誌のページを比較したものである。左が11月号、右が12月号である。

両者の違いを発見するには、そうとう注意を払わなくてはならない。つまり全部とはいわないまでも、ほとんどのデータが11月号から「流用」されているのだ。

もちろん前号のデータを「流用」することを前提とした契約を結んでいたのであれば、問題はない。ところが見積書の内容はそうはなっていない。情報誌の全ページで「新規」あるいは「リライト・リデザイン」の約束になっている。

「新規」の定義は、改めて言うまでもなく、過去データの「流用」は一切行わずに、まったく新しい内容に仕上げることである。また、「リライト・リデザイン」は、少なくとも50%のデータを変更しなければならない。

以下、実際の画像である。ここに表示したものは、ほんの数例である。

 

 

 

 

 

2016年05月30日 (月曜日)

電通のオリンピック「賄賂」の疑惑や、博報堂による過去データの流用問題など、大手広告代理店の業務の実態が輪郭を現してきた。

既に述べたように、博報堂と通販のアスカコーポレーション(本社・福岡市)の間で、請求額を巡る大規模な係争が勃発している。昨年、博報堂がアスカに対して約6億1000万円の未払い金を請求する裁判を起こしたのに対して、アスカも今月になって、博報堂に対して約15億3000万円の過剰請求費の返済を求める裁判を起こした。

■参考記事:博報堂に対して約15億3000万円の不当利得返還請求、通販のアスカコーポレーションが提訴

本稿では、アスカが起こした裁判で、同社が指摘している情報誌制作に見る過去データの流用問題を検証してみよう。もちろん、以下に紹介するのはアスカ側のデータに基づいた記述である。しかし、筆者が検証した限りでは、信憑性が高い。後に紹介するように、画像の証拠はごまかせない。

なお、博報堂の広報部に対してもたびたび取材を申し入れているが、係争中を理由に拒否している。

◇制作費の内訳

アスカは通販会社である関係で毎月、商品のカタログ雑誌を制作する。その制作を請け負っていたのが博報堂だった。昨年、岩手県大槌町が博報堂に発注した震災の記録誌で、過去データの流用(パクリ)が発覚する事件などがあり、アスカは提訴されたのを機に、過去の博報堂関連の仕事と請求実態を洗い直したところ、不自然な箇所が次々に発見された。

情報誌の制作には、タレントの起用から、商品の写真撮影、それにページのデザインなど、さまざまな業務が絡んでくるが、ここでは「情報誌のページ制作」(編集の分野)だけに焦点を絞ってみよう。

アスカ側のプレスリリースによると、1ページあたりの単価は、制作内容の違いによって次のように分類されている。

【新規ページ】 10万円/1ページ。画像も説明文のすべて新規。

【リデザインページ】 7万円/1ページ。デザインの50%以上を変更。

【リライトザインページ】 4万円/1ページ。文章をほぼ書き直したページ。

【調整ページ】0円/1ページ データ転用が可能。

◇通販情報誌『ASKA』に見る過去データの流用

さて、実際に完成した情報誌はどのようになっていたのだろうか。
具体例として取り上げるのは、通販情報誌『ASKA』(2011年)の11月号と12月号である。両者を比較する中で、博報堂の業務の実態が浮上した。

12月号のページ内訳は次のようになっている。

新規制作ページ   :63ページ (完全に新しいページ)
リライト・リデザイン:52ページ  (2分の1以上を変更)
表紙        :1ページ    (完全に新しいページ)

上記の制作条件からすれば、12月号の各ページは、11月号と比較したとき、少なくとも50%以上の変更点が確認できなければ、契約に違反していることになる。

実際に2つの号を比較してみよう。左が11月号で、右が12月号である。

 

 

■プレスリリース分1PDF

  ■プレスリリース分2PDF

■プレスリリース分3PDF

ここで紹介したのは、ほんの一部である。

◇「ページ制作費」だけで7億6000万円

アスカ側がページの内容が契約とは異なっていたことを前提に「ページ制作費」で受けた過剰請求の額は(別冊の除く)は、訴状によると7億6000万円にもなる。内訳は次のエクセルに示した。ただし、これはアスカ側の主張であり、博報堂が取材を拒否しているために、博報堂の主張は分からない。メディア黒書は、申し出があれば、常に反論の機会を保証する。

■過剰請求額のリスト(情報誌・別冊は除く)

※裁判資料をベースにメディア黒書で制作

金額が異常に高いのは、もともと大手広告代理店の請求額は、編集プロダクションと比較して、比較にならないほど高額だからだ。職能の差が請求額の差になるからだ。

◇博報堂は取材拒否

筆者は博報堂に対して取材を申し入れた。

藤井様

 お世話になっています。
 フリーランスライターの黒薮哲哉と申します。

 貴社とアスカコーポレーションの係争を取材しております。このたびアスカ側から
訴訟が提起されたのを機に、貴社の主張も取材させていただけないでしょうか。
 特にわたしは新聞広告・折込広告を重点的に取材してきた関係で、この分野については
お尋ねしたい部分が数多くあります。

 ご検討いただくようにお願い申し上げます。  黒薮

博報堂からの回答は次の通りだった。

黒薮さま

お世話になっております。
博報堂広報の藤井です。

 ご連絡を頂戴いたしました件です。
先般お電話を頂戴した際にもお話し申し上げましたことと同様、
係争中ですのでご取材に関しましてはご遠慮申し上げます。

ご依頼にお応えできず恐縮ではありますが、ご理解のほど
お願いいたします。

博報堂広報室 藤井

 

2016年05月27日 (金曜日)

旭化成、日産、ジャスコ、マクドナルド・・・騙されていた広告主の数は際限がない。「折り込め詐欺」の闇は深い。

「押し紙」により広告主はどのような被害を受けているのか、具体的な例を
紹介しよう。

折込広告の搬入枚数は、新聞販売店に搬入される新聞の部数に一致させる基本原則があることは、メディア黒書で繰り返し説明してきた。搬入部数には、「押し紙」が含まれているわけだから、当然、「押し紙」にも折込広告が割り当てられる。

ところが最近、広告主がこのような新聞社のビジネスモデルを知るようになり、自主的に折込広告の発注枚数を減らす傾向が生まれている。

次に示す表は、折込広告がどの程度、過剰になっているかを示したものである。資料の提供元は、山陽新聞岡輝販売センターの元所長で、「押し紙」裁判で勝訴した廣田(仮名)さんである。

当時、岡輝販売センターの実配部数は、1702部だった。しかし、それを遥かに超える折込広告が搬入されていた。次に示すのが、その詳細である。

なお、廣田(仮名)さんが内部告発したのは、「詐欺」「偽装」 に加担させられていたからである。責任は、新聞発行本社にあるからだ。