2017年05月16日 (火曜日)

『見えざる政府』が記録している博報堂コンサルタンツのその後の軌跡を紹介しよう。2回目、後編である。前編は次のリンクから。

■前編

児玉が乗っ取った博報堂コンサルタンツ(持ち株会社、前身は伸和)は、「まず企業を児玉の系列下に置く作業からはじめた」

手口はブラックジャーナリズムである。メディアに企業スキャンダルの記事を書かせる。スキャンダルを暴かれた企業は、対策として博報堂と取引を開始する。それにより危機を回避する。『見えざる政府』によると、三越や味の素がこうした戦略の標的になったという。

このような戦略の裏付けは、はからずもロッキード事件を機に明らかになった。

「東京地検特捜部、警視庁、国税局のロッキード事件合同捜査本部は、51年2月24日、児玉誉士夫の自宅を家宅捜索した。その際、十数社にのぼる政治・経済雑誌の会社証券が多数発見された。それは、児玉がブラック・ジャーナリズムに資本金の形で出資し、連帯を深めていたことを物語っていた。これらの新聞、雑誌のなかには、児玉とは別に博報堂と資本提携を結んでいたものもあれば、博報堂の口ききで三菱地所など一流企業が所有するビルの中に事務所を開設していたものもあった」

 「しかし、福井社長が(黒薮注:特別背任罪容疑で)逮捕され、児玉もロッキード事件の容疑者になったことで、『言論統制機関を作る構想は挫折したのだが・・・』」

◇警察と連携した新戦略

『見えざる政府』によると、その後、新しい戦略が浮上したという。結論を先に言えば、それは警察の情報を利用したものだった。

「福井が特別背任容疑で逮捕された事件を取材した新聞記者は、元警察関係役員とからませて次のように説明した。
『警視庁は今年の9月をメドに〝土地カン情報管理システム〝を発足させるが、児玉らはこれを利用して会社の乗っ取り、マスコミ支配を進めようとしていたのではないか。このシステムは都内を2万7000個のメッシュ(網の目)に分けて、前歴者、素行不良者、非行少年をプット・インしてコンピューターに覚え込ませるほか、氏名、生年月日、本籍、住居、勤務先なども記憶させている。だから企業乗っ取りの場合など社長からヒラ社員に至るまで必要な全情報を短時間に入手できるわけだ。そして、児玉はこの警察の資料をもとに言論出版を自由にコントロールしようとした。そのためにも、元警察高級官僚を役員に入れて、警察関係とコネクションをもつ必要があった。』」

元警察高級官僚を天下りさせて、このような路線を選択した可能性があるというのだ。

◇国税局におびえる企業

以上が『見えざる政府』に描かれた博報堂に関する記述の要約である。どこまでが真実であるかは、検証する必要があるが、少なくとも博報堂への天下りに関しては、信頼できる。筆者が調査した範囲でも、児玉が博報堂を乗っ取った1975年以降、現在まで博報堂へ多人数の警察関係者と内閣府の官僚が「天下って」いる。
財務省からも元国税局長官が2名天下り、いずれも社長に就任している。これでは企業は、国税局の摘発を警戒せざるを得なくなる。ある意味では、児玉が目指したブラックジャーナリズムよりも脅威だ。

『現代の眼』(1975年7月)によると、乗っ取りの時期に次の人々が博報堂へ天下っている。博報堂が児玉とかかわりを持つようになった時期である。

・松本良佑(副社長):元警察大学教頭

・佐藤彰博(公共本部長):内閣審議官室審議官兼総理府広報室参事官

・千島克弥(顧問):総理府広報室参事官

・池田喜四郎(公共本部次長):内閣総理大臣官房副長官秘書

・毛利光雄(社長秘書):警視庁総監秘書

・町田欣一(特別本部CR担当):警視庁科学検査部文書鑑定課長

 また、日本経済新聞の人事欄によると、旧大蔵省からの天下りも確認できる。

・近藤道生(社長):国税庁長官

・磯邊 律男(社長):国税庁長官

また、2017年3月の時点での天下り者は次の通りだ。

・阪本和道氏(審議官)[博報堂の顧問]

・田幸大輔氏(広報室参事官補佐・広報戦略推進官)[博報堂の顧問]

・松田昇(最高検刑事部長)[博報堂DYホールディングスの取締役]

・前川信一(大阪府警察学校長)。[博報堂の顧問]

・蛭田正則(警視庁地域部長)。[博報堂DYホールディングスの顧問  ]

このほかにも多人数が確認されている。
筆者は、今世紀になってから博報堂が起こした経済事件の背景を考える場合、「社史」の検証は不可欠だと考えている。

 

郵政事件・博報堂に関する総務省の調査報告書(博報堂関連の記述は29ページから)

『見えざる政府』の博報堂関連の記述

2017年05月16日 (火曜日)

共謀罪の強行採決が予測させるなか、5月16日の夕方に、日比谷野外音楽堂で「共謀罪廃案・安倍政権の改憲暴走を止めよう!5.16大集会」が開かれる。詳細は次の通り。

 日時:5月16日(火)18時半~

 場所:日比谷野外音楽堂
 <国会議員あいさつ>
民進党、共産党、自由党、社民党、沖縄の風

 <連帯あいさつ(予定)>
中野晃一(市民連合)
海渡雄一(法律家7団体連絡会)
小野文珖(日蓮宗僧)
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)

19時45分 デモ出発(銀座・東京駅方面)

  共催:共謀罪NO!実行委員会

  戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

2017年05月15日 (月曜日)

日本の広告業界は寡占化されている。その寡占化の下で、企業やメディアをコントロールできる暗黙の仕組みが構築されているようだ。当然、これではジャーナリズムは育たない。メディアを単なるプロパガンダの機関に変質させてしまう。

博報堂のケースを例に、この問題を検証してみよう。

筆者の手元に『見えざる政府―児玉誉士夫とその黒の人脈』 (白石書店、竹森久朝著 、1976年)という書籍がある。この中にある児玉誉士夫による博報堂支配に関する記述を紹介しよう。出版されたのは40年前だから、記述の正確さについては、再検証する必要があるが、筆者が調べた限りでは、信憑性が高いので、ありのまま内容を紹介しておこう。ひとつの資料として読んでほしい。

メディアによる世論誘導の舞台裏がどのようになっているのかが克明に描かれている。

◇暴力からブラックジャーナリズムへ

 「児玉誉士夫が言論出版問題について『統制機関』をつくる構想をもっていた事実はあまりよく知られていない。だが、この構想は、彼が築いていった『見えざる政府』の組織の拡大強化とともに芽生え、ふくらみ、そして一部は実行に移されたのである。」

その背景には、民主主義や人権の感覚が社会全体に芽生えてきた事情があるようだ。社会が成熟するにつれて、「黒い利権」を追い続ける中で当たり前になっていた脅しすかしの手法が通用しなくなってきた事情がある。警察も暴力を放置しなくなっていた。そこで児玉は新戦略を模索したのだ。

それはマスコミ支配だった。記事による恫喝(ブラックジャーナリズム)である。近代国家では、暴力よりも、こちらの方が有効なのだ。

「とくに総会屋業界の「総元締」の地位に就いた昭和44年頃からのちは、いわゆる児玉系マスコミを積極的に動員することによって、容易に経済事件に介入できたし、フィクサーとしての役割も無難にこなせるようになった。」

児玉系マスコミの代表格のひとつは、東京スポーツである。児玉系マスコミを使ったブラックジャーナリズムの手法で、児玉は暗黙のうちに企業に圧力をかけるようになったのである。企業にとってイメージダウンは命取りになる。

「こうした体験が実は、さらに数多くのマスコミを児玉の支配下に組み込ませる構想へと発展したのである。もちろんこの考え方の根底には、児玉が世論は国民大衆が作るものではなくて、マスコミが扇動していく過程で作られることを知っていた。」

児玉がターゲットにしたのが博報堂だった。博報堂を支配することで、広告やCMをコントロールできる。児玉の意にそぐわないメディアに対して、広告やCMの取引を中止すると恫喝する戦略だったようだ。

「博報堂はわが国の広告業界では電通につぐ第2の大手。宣伝、PR、マーケッティングが主な業務だが、あらゆる業種の広告をマスコミに橋渡しする際に、『わが社の意向に添わないマスコミに広告を扱わせるわけにはいかない』と拒否権を発動して、博報堂の意のままにマスコミを操縦できる利点があった。」

◇博報堂コンサルタンツ

 「博報堂が児玉誉士夫によって乗っ取られたのは、瀬木庸介(社長)を社外に追放、福井純一が社長に就任した昭和47年11月30日である。」

福井が社長に就任した経緯は、いくつかの説があるが、博報堂の社史によると、瀬木庸介(社長)が新興宗教・白光真宏会(「人類みな教団」をモットーとする団体)の活動に専念するためだったという。一方、『見えざる政府』は、福井による陰謀説を紹介している。

「『情報新聞』、『中央世論新聞』を使って、瀬木社長が「新興宗教に狂った』とか『某女性に横恋慕した』というニュースを流させた。とくに『情報新聞』には、前後3回も社長の醜聞を特集させて、博報堂内にばら撒かせたのである。このスキャンダル攻勢にたまらず瀬木社長は退陣した。」

児玉のブラックジャーナリズムの手法を福井もまねたのである。福井は、

「『株式を持たないサラリーマン社長では経営はできない』と瀬木前社長から博報堂の持株会社「伸和」と財団法人「博報堂児童教育振興会」(博報財団)、それに瀬木の所有株について議決権行使の委任状を取り、全社員に対しては、『5年後には、電通の総水揚げの5割台まで博報堂の扱いを増やす』とぶちあげた」

福井体制下の戦略は次のようなものだった。

「一つは、博報堂の取引き先の会社を児玉系列に組み込んでいく。こうすることによって、博報堂の水揚げも増え、また系列化された企業からマスコミに対する苦情、注文が直接児玉のところに持ち込まれやすくなる。二つは、この苦情や注文をよりどころにしてマスコミを操作し、それでも児玉の側につかない情報産業は、博報堂を経由した宣伝広告を受け付けないようにすることだった。」

この役割を担ったのが、博報堂の持株会社・伸和(後の博報堂コンサルタンツ)だった。人事は次の通りである。

「役員は、広田隆一郎社長のほかに、町田欣一、山本弁介、太刀川恒夫が重役として名を連ねたが、広田は福井の大学時代のラグビー部関係者で、警視庁が関西系暴力団の準構成員としてマークしていた要注意人物。町田は元警察庁刑事部主幹。山本は元NHK政治部記者。そして太刀川は児玉側近グループのナンバーワンで、児玉が脳血栓で倒れたあと、完全に児玉の分身となった人物であることはすでにのべた。」

ちなみに博報堂コンサルタンツ(改名:日比谷コミュニケートコンサルタンツ)の閉鎖登記簿を調べたところ、取締役として戸田裕一会長と沢田邦夫取締役の名前があった。一方、博報財団の登記簿にも、社内の重要人物の名前がある。

◇広告業界の寡占化とジャーナリズム

現在の博報堂に、1975年ごろの方針が継続されているかどかは、調査する必要があるが、筆者は、少なくとも思想的な面では、共通点があると解釈している。また、今世紀になってから、社員が郵政がらみの諸事件を起こしたり、準強制わいせつ容疑で逮捕されているが、これも「児玉機関」の体質から起こった、半ば必然的な事件なのかも知れない。ドラスチックな体質の名残ともいえる。

日本の広告業界は寡占化されており、その寡占化の中で、ジャーナリズムを殺してしまう構図があるのだ。

 

【続く】

注:資料の公開については、連載終了後にまとめておこなう。

 

2017年05月15日 (月曜日)

共謀罪法案が、18日に衆議院本会議で強行採決される可能性がある。共謀罪については、特定秘密保護法など、広義の安保関連法案が採決に至るプロセスでわき起こったような激しい反対運動は起きていない。

国会周辺をはじめ、全国各地では点々と集会が繰り返されているが、国会全体を動かすような盛り上がりを欠いている。

その背景には、この法案がテロ防止の法律だという勘違がある。東京オリンピック・パラリンピックを開催するためには、必要な法律だと勘違いしている人が多い。

勘違いの原因は、「テロ等準備罪」という用語である。NHKや読売新聞など、政府系の御用メディアがこの用語を採用している。しかも、都合の悪いことに、NHKは国策放送局という事情から、読売は発行部数が異常に多いという事情から、大きな影響力を持っている。

◇急に出て来たテロ防止の口実

共謀罪は過去に3回、国会で審議の舞台にあがっている。しかし、いずれの試みも失敗し、自民党としては、今回で4度目の挑戦となる。

しかし、過去の3回においては、共謀罪の法制化は、マフィアによる国際金融犯罪の防止が主要な目的であった。テロ対策という口実は今回ほど強調されることはなかった。過去に廃案になった背景には、審議の中で矛盾点が鮮明になったことに加えて、マフィアによる国際金融犯罪を取り締まる法律が十分に整備されていた事情もあるだろう。

日本の刑法では、犯罪を実行した段階で摘発の対象とするのが大原則である。摘発の段階には、実行、未遂、予備、共謀の4レベルがあるのだが、実行した時点での処罰が基本原則である。

しかし、テロや殺人など極めてたちの悪い犯罪では、例外的に実行の前段階でも摘発できる法体系になっている。即ち悪質な犯罪は、あえて共謀罪を設けなくても、十分に取り締まれるのだ。たとえば殺人は未遂の段階で逮捕できる。特定秘密保護法のように共謀の段階で取り締まれるものもある。

ところが現在、国会で審議されている「共謀罪」は、なぜかいきなり共謀の段階で取り締まれる犯罪を無制限に拡大した内容である。その罪の数は、277件(91の法律)にもなる。著作権法違反から名誉棄損まで、極めて広い範囲に及ぶ。「平成の治安維持法」と言われるゆえんに他ならない。ただし、政治家が返り血をあびる公職選挙法などは対象外になっている。

共謀の段階で犯罪を立証するためには、共謀して準備した証拠が必要になる。と、なれば、日本は必然的に監視社会へ向かっていく。警察による盗聴の範囲を限りなく拡大し、街に設置する監視カメラを限りなく増やすことになる。パソコン通信も筒抜け、傍受の状態になる。

かつてのソ連「収容所群島」や、軍事政権下のチリのようになりかねない。

◇1973年のチリ軍事クーデター

しかし、日本が共謀罪を持った翌日から、社会が画期的に変化するわけではない。おそらくしばらくは何も変わらないだろう。が、変化はある日、突然にやってくる。そして、突然に逮捕され、「えっ? どうして私が?」と自問させられる時代がやって来るのだ。政変とはそのようなものなのだ。小沢一郎ふうの「政変」とはわけが違うのだ。

その典型例として筆者はチリのケースをあげたい。チリは1973年の軍事クーデターを境にして、言論の自由がない暗黒の社会へ転落した。そして民主主義を取り戻すまで、多くの犠牲と長い歳月を要したのである。

1973年のクーデター以前、チリは南米の先進国だった。イギリスから導入した議会制民主主義がよく発達した国で、2人のノーベル文学賞詩人を輩出するなど、文化的な水準も極めて高かった。

こうした成熟した社会の中から、1970年には、世界ではじめて、選挙による左翼政権を誕生させるに至ったのだ。民主主義のお手本のような国だった。それまでラテンアメリカの左翼革命は、武力に頼る以外に道はないとする説が有力だったのだ。チリがその定説を打ち破ったのである。

このチリ革命で大統領に就任したのが、サルバドール・アジェンデだった。アジェンデ政権は、最初から社会主義のチリをまっしぐらに目指したのである。米国の鉱山を国有化するなどの急進的な政策を進めた。チリの「実験」に世界が注目した。

が、そのためにアジェンデ政権は、米国のニクソン政権をはじめ内外からさまざな挑発行為にさらされる。資本家によるストが広がり、チリ経済は破綻した。アジェンデ政権は窮地に追い込まれたのである。しかし、アジェンデ政権の支持層は広く、強固だった。鉱山労働者ら幅広い人々が、アジェンデ政権を支援したのだ。

1973年3月の総選挙では、大方の予想に反して、アジェンデ政権の与党は議席を増やした。チリの人々は、「経済」だけで大統領を選ばなかったのだ。この時点で、アジェンデ政権を合法的な手段では倒せないことがはっきりした。そこで米国のニクソン政権が選んだのが、9.11日の軍事クーデターだったのだ。

この日を境にして、チリはそれまで築きあげてきた民主主義をドブに葬り、監視網を張り巡らせた軍事独裁国家に転落したのである。著名な作家やジャーナリストが次々と海外へ亡命を余儀なくされた。チリは人権侵害の世界チャンピオンになったのだ。

共謀罪を日本が持てば、日本もチリを同じリスクを背負うことになる。戦後、70年の「民主主義」など、長い歴史のスパンからみれば、蜃気楼のように崩壊しても不思議はない。ある日、突然、チリと同じ血の海が全土に広がりかねない。

その危険性を孕んだ法律が、国会を通過しようとしている。

【写真】サルバドール・アジェンデ大統領

2017年05月14日 (日曜日)

安倍晋三首相と統一協会=国際勝共連合の親密な関係を示す証拠を幾つか紹介しよう。

まず、冒頭の写真をはじめ、この記事に使った写真に注目していただきたい。いずれも国際勝共連合の機関誌『世界思想』の表紙である。

驚くべきことに、安倍首相が何度も登場しているのだ。

◇国際勝共連合

  国際勝共連合は統一協会の下部組織として1968年に文鮮明氏が作った。「日本の初代会長は『統一協会』の会長でもあった久保木修己。名誉会長は笹川良一、顧問団に小川半次、大坪保雄、辻寛一、千葉三郎、玉置和郎、源田実らがいた」(ウィキペディア)。

国際勝共連合のウエブサイトによると、彼らの主張は安倍首相の主張と極めてよく似ている。

■北朝鮮について

共産主義問題はなくなったが、財政・経済、環境、社会福祉問題は深刻だ」というような間違った見解が定着しつつあります。ところが、このような風潮を背景に共産主義思想の策動が進んでいるのです。

勿論、アジアに存在する共産主義国、中国や北朝鮮がもたらす軍事的脅威も極めて大きな問題です。アジアと世界が平和と安定、そして繁栄を享受することができるようになるためには、日本、韓国、米国の結束をもって現実的脅威に対備するとともに、大きな変化を引き起こす戦略が求められています。

■憲法について

現在の世相から現行憲法がいかに矛盾に満ちているかは、多くの国民の知るところであります。今こそ戦後レジームから脱却し、日本人自らが新たな国家像を求め自主憲法を制定すべきです。

■教育について

教育基本法が改正されたにもかかわらず、教育の現場では日教組によって骨抜きにされつつあります。

今こそ国の基である教育の再生を実現すべきです。家庭を愛し、地域を愛し、国を愛し、世界を愛する子供を育てましょう。

■出典(ウエブサイト)

◇児玉誉士夫・笹川良一の名も

既に述べたように、国際勝共連合は、文鮮明が創立した統一協会の下部組織である。文鮮明氏は1960年ごろから、日本でも布教に乗りだした。集団結婚式で有名だが、国際勝共連合の「反共活動」というもう一つの柱があるのだ。(ちなみに文氏の宗教は、キリスト教とは縁もゆかりもない。)

 この動きに加わったのが、児玉誉士夫、笹川良一といった右翼の人々だった。
「反共」で一致したのだろう。このあたりの事情について、国際勝共連合のウエブサイトは次のように述べている。

その創立の経緯は次の通りだ。67年6月、日韓両国の反共首脳会談が実現し、韓国側文鮮明師、劉孝元氏、日本側は笹川良一氏、児玉誉士夫氏代理・白井為雄氏、市倉徳三郎民らが出席して、山梨県本栖湖畔で「第1回アジア反共連盟結成準備会議」が開催され、勝共運動日本受け入れの合意が成立。同年11月、久保木修己氏が中心となり国際勝共連合の前身、「勝共啓蒙団」が結成された。

■出典(ウエブサイト)

文鮮明と安倍首相の祖父・岸信介(元首相、元A級戦犯容疑者)が親しい関係にあったことは、よく知られている。たとえば江本武忠氏の次のウエブサイトには、文鮮明・岸信介の両氏が日本の統一協会の本部を訪問した際の写真が掲載されている。

■出典(江本武忠氏のウエブサイト)

◇共謀罪の成立で統一協会=勝共連合の天下か?

一時期、創価学会が日本を牛耳る日が来ると考えていたひとが多かった。が、それは正しくない。日本の支配層にのし上がったのは、統一協会=勝共連合である。実際、安倍政権になってから、特定秘密保護法を制定したり、憲法9条の解釈を変えたりするなど戦前回帰が進んでいる。そして今、共謀罪を法制化する段階にまで至った。

しかし、「反共」は戦争の前夜である。安倍首相が日本をどこへ導くのか、慎重に検証していく必要がある。その際、必ず連動してくるのが、広告代理店を使った大がかりな、しかし、洗脳とは認識できないプロパガンダである。

2017年05月13日 (土曜日)

読売新聞(電子版・5月13日)に、「陸上型イージス導入へ…ミサイル防衛強化」というタイトルの記事が掲載されている。この防衛システムの構築費用は、なんと800億円。当初、導入を検討していたTHAADよりも、価格的には450億円安い。とはいえ、莫大な国家予算の支出であることには変わりない。この800億円が米国の軍事産業の手に渡るのだ。

安倍政権からの高額なプレゼントである。安倍首相が推薦する読売の記事を引用してみよう。

 政府は北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、ミサイル防衛態勢強化策として、「イージスアショア」と呼ばれる陸上型イージスシステムを導入する方向で最終調整に入った。

  複数の政府関係者が明らかにした。防空能力や費用対効果の面で、米最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」よりも適していると判断した。

日本のメディアはさかんに北朝鮮脅威論を書き立てた。(海外メディアは加熱していない)北朝鮮攻撃Xデーの報道を繰り返した。東京では鉄道までストップさせた。

ところがゴールデンウィークになると永田町での周辺国危機の議論は休みとなり、外遊する閣僚があいついだ。この時点で、「Xデー」が嘘であることが判然としたはずだ。

実際、何も起きなかった。結局、北朝鮮報道は軍事予算を国から引き出して、軍事産業に関係している米国の企業に奉仕するためのプロパガンダであったことがはっきりした。450億円安くなったので、国民も納得したようだ。

◇記事を書かせることもPR戦術

PR戦略とは、何も新聞に広告を出したり、テレビでCMを流すことだけではない。タレントを看板にすることでもない。さりげなく記事を書かせて世論誘導することも、今や当たり前の戦略になっているのだ。

そのための「広告費」がどこから捻出されているかは、これから調査する必要があるだろう。

軍事産業が駆使できるメディア戦略は、このような方法しかないのだ。第一、新聞に戦車や鉄砲の広告を出すわけにはいかない。テレビCMで戦闘機をPRするわけにもいかない。

そこで「記事」を書かせて、ある産業に利益をもたらす戦略が行われる。このような手法は水面下ではかなり進んでいる。たとえば裁判員制度のPRで、地方紙がタウンミーティングを主催して、「さくら」を動員して会場を盛り上げ、記事を書く戦略が取られたことがある。この企画にも、広告代理店が絡んでいた。

「クールビズ」(地球温暖化防止)でも、はやり同じことが行われている。「記事」により世論を誘導して、間接的に利権が絡む業界に奉仕しているのだ。

読売の記者は、このあたりの国策プロパガンダを見抜いてほしいものだ。

2017年05月12日 (金曜日)

博報堂が内閣府や中央省庁に対して発行した請求書にインボイス・ナンバー(書類の番号)が欠落しているものが多量にあることは既報したとおりである。

これに対して、博報堂が地方自治体に対して発行した請求書はどうだろうか。筆者がこれについて調べたところ、サンプル数は少ないものの、正常であることが分かった。

つまり不正経理疑惑の対象となるのは、内閣府と中央省庁だけということになる。内閣府と中央省庁からは、これまで博報堂へ多人数が天下りしており、癒着関係はないのか、厳密な調査が必要になる。

【参考記事】1975年ごろから博報堂へ続々と天下り、元国税庁長官2名、内閣府からも多数、警察関係者も、病的腐敗の温床か?

◇インボイス・ナンバー欠落の何が問題なのか?

この問題に言及する前に、一般論になるが、インボイス・ナンバーの欠落がどのような疑惑の温床になっているのかを再度説明しておこう。重要なポイントであるからだ。

結論を先に言えば、インボイス・ナンバーの欠落は、裏金づくりの温床になる。そこで大企業の場合、ほとんど例外なくコンピューターと連動した会計システムを導入し、インボイス・ナンバーにより、見積書、請求書、納品書の正しいく管理している。例外的にインボイス・ナンバーを使わないのは、個人業者だけである。

そのインボイス・ナンバーが、中央の「役所」においては、付番されていない驚くべき事実は、原則的にはコンピューター連動の正規の会計システムから外されていることを意味する。これでは、少数の例外はあるにしろ、会計監査やシステム監査の対象外になってしまう。すなわち裏金作りの温床にもなるのである。

コンピューターが打ち出す公式の請求書ではないわけだから、必然的に企業のロゴも入っていない。

あえてインボイス・ナンバーを外した請求書からは、次の点を検討する必要がある。

裏金づくりの可能性。

裏金は申告しないから、脱税の可能性。

請求書が裏金づくりを目的とした正規のものではないわけだから、有印私文書偽造になる可能性。

「①」から「③」を事情を請求書を受け取った側が知っていれば、担当者は背任ということになる。

業務実態と請求内容や金額が異なる場合は、詐欺または横領となる。

既報したように、現在、筆者は会計検査院に対して博報堂と内閣府の取り引きを調査するように申し立てを行っている。あまりにも分からない部分が多く、しかも、あずさ監査法人が取材を拒否したからである。博報堂も十分に説明していない。社内ではインボイス・ナンバーを付番して、問題も起きていないと説明しているだけだ。あえてインボイス・ナンバーを外して、別の仕立ての請求書にした合理的な理由は分からない。

◇疑惑があるのは中央の「役所」

さて、博報堂は地方自治体との取り引きに関しては、どのような請求書を発行しているのだろうか。既に述べたように、請求書のサンプル数は少ないものの、筆者が調査した範囲では、正常な請求書が使われている。

たとえば次に示すのは、岩手国体(2015年度)の実行委員会宛に送った請求書である。

■岩手国体(2015年度)の実行委員会宛の請求書

「うな子」の動画が児童ポルノとの批判を受けた鹿児島県志布志市に宛てた請求書も正規のものだ。制作費が800万円で、通常の8倍から16倍ぐらいになっている異常さはあるが、請求書そのものには問題がない。

調査結果から、疑惑のある請求書が使われているのは、内閣府と中央省庁だけということになる。これらの「役所」で、博報堂があえてインボイス・ナンバーを外した「手作り」請求書を使った理由は、現段階では不明だ。

筆者は不透明な国家予算を新聞広告の掲載料として受け取ったとされる全国73の新聞社の広報担当に、受領した金額の開示を求めている。現段階で、回答した新聞社は1社もない。受け取ったのか、受け取らなかったのか、それすらも回答していない。

【動画解説】博報堂を通じて「血税」を新聞社やテレビ局に湯水のように流し込む仕組み

◇「手続請求書」の実物

博報堂がインボイス・ナンバーが付番されていない請求書を発行した先は、
内閣府、農林水産省、防衛省、文部科学省、環境省、復興省。下記のPDFを参考にしてほしい。1枚目は、博報堂の正常な請求書(厚生労働省宛て)である。2枚目からが、ワープロやエクセルによると思われる「手作り」の請求書である。(内閣府分は入っていない)

■請求書の実物

【写真】児玉誉士夫氏、元内閣参与、元A級戦犯容疑者

2017年05月11日 (木曜日)

安倍首相の国会答弁が失笑をかっている。憲法改正の考え問われて、

  「読売新聞をぜひ熟読して」

と、答弁したのだ。

政界と新聞業界の関係は古くて新しい。手短に歴史を振り返ってみよう。

次に紹介する資料については、何度か単行本などで内容を紹介したが、生資料をインターネットで公開するのは今回がはじめてだ。

資料のタイトルは、「第四十回 通常総会資料」。1991年7月26日に日販協(日本新聞販売協会)が東京の如水会館で開いた通常総会の資料である。

この中に当時、新聞関係者の政界工作の受け皿になっていた自民党議員の一覧表が出ている。有力な議員が続々と名前を連ねている。小泉、小沢、森、石原・・・・。議員一覧(自民党新聞販売懇話会)は次の通りである。

■議員一覧

新聞関係者が本格的に政界工作に乗りだしたのは、1980年代の後半である。当時、新聞販売店に対する事業税の軽減措置が取られていた。しかし、これを廃止する政策が打ち出されていた。そこで金銭がらみの政界工作により、延長させていたのである。

新聞販売店から政治献金を募り、それを自民党新聞販売懇話会の議員に献金していた。

1990年代に入ると政界工作のテーマは、再販制度の維持に変わった。再販制度がなくなると、おなじ系統の新聞販売店のあいだで競争がはじまり、有力な販売店が台頭する。それは新聞社と販売店の縦の関係を崩壊させる。販売店のコントロールが難しくなる。

そして現在は、新聞に対する消費税の軽減税率適用を求める政界工作が続いている。新聞関係者は、2015年に税率8%の据え置きを勝ち取った。しかし、それに満足せず、現在は5%への軽減を求めている。

「押し紙」にも消費税がかかるからだ。しかも、「押し紙」には読者がいないので、消費税を販売店が負担することになるからだ。

現在、新聞販売懇話会に属する議員数は不明だが、2006年頃は、少なくとも100名を超えていた。山本一太議員や高市早苗議員が中心だった。

◇政府広報であることが発覚

しかし、政界工作とジャーナリズムは共存できない。こんな事は常識中の常識だが、日本では問題になってこなかった。お金がからんだ工作であるにもかかわらず誰も指摘しない。

「押し紙」問題にメスが入らないのも、新聞関係者が政治献金を通じて政界との「良好」な関係を構築しているからにほかならない。逆説的に考えれば、政界は新聞社の弱点を巧みに握ることで、新聞・テレビをコントロールしているのだ。

しかし、大半の新聞が、「政府広報」であることが発覚し始めている。国会の答弁で、首相が堂々と「読売新聞をぜひ熟読して」という段階にまでなっているのだ。

【写真】正力松太郎(元読売新聞社長、特高警察の出身で元A級戦犯容疑者)

2017年05月11日 (木曜日)

特定秘密保護法の施行から約2年半が過ぎた。(2014年12月10日に施行)。この法律の危険性がそろそろ忘れ去られる時期である。この法律の下で生活している事実を、多くの人々が忘れはじめている。

忘れたころ、誰かが理由もわからないまま突然に逮補され、投獄され、罪名も告げられないまま裁判に巻き込まれて、

「え?どうしてわたしが?」

と、呟くことになる。筆者はこの法律は違憲だと確信している。違憲訴訟は原告が敗訴したが、最高裁の方が判断を誤ったと考えている。

■特定秘密保護法の解説

この危険な法律についても、取材・報道を続ける必要がる。筆者は近々に環境省と防衛省に対して次の趣旨の情報公開請求を実施することにした。

「2014年12月に、特定秘密保護法が施行された後、貴省が指定した特定秘密の件数が分かる文書」

請求先を環境省と防衛省にしたのは、次の理由による。
まず、環境省であるが、原発関連の情報が大量に特定秘密に指定された可能性があるからだ。原発には巨額の利権がからんでおり、過去には最高裁判事が東芝に天下りした例もある。原発企業と環境省の関係を検証するためには、特定秘密指定の状況を把握しなければならない。

また、防衛省について言えば、安倍政権下で進む軍事大国化の中で、安倍政権と軍事産業の関係を検証する必要があるからだ。筆者は、大量の情報が特定秘密に指定されたと推測している。

◇情報隠し、回答期限が過ぎても環境省から回答なし

余談になるが、特定秘密保護法が施行された後、中央省庁が情報を非開示にする傾向が強まっている。少なくとも筆者はそんな印象を受けている。たとえば真っ黒に塗りつぶされた博報堂の請求書については、メディア黒書で繰り返し伝えてきたとおりである。

本来、公共の情報はオープンにしなければならない。とりわけ国家予算の財源は、税金であるから、消費税値上げを控えた時期に、税金の使い道を開示するのが常識である。
ところが特定秘密保護法が施行された後、官僚たちが不都合な情報を黒塗りにする傾向を強めている。本来、開示しなければならない情報までが隠される。

筆者は今年の3月、環境省に対して、ある情報公開資料を黒塗りにした職員の名前を示す文書の公開を求めた。次の文面である。

「平成27年度低炭素社会づくり推進事業委託業務」の見積書の内訳を黒塗りにして開示するように決定を下した人物を特定できる文書。

回答期限の1月が過ぎているが回答はない。

 

誰が環境省の見積もり内訳を「黒塗り」にしたのか、情報公開請求で調査を開始

特定秘密保護法に関する記事

2017年05月10日 (水曜日)

内閣府と博報堂のPR業務に関する商取引に疑惑があるとして、筆者が8日に山下幸夫弁護士を通じて会計検査院に提出した審査要求書とそれに添付した筆者の陳述書を紹介しよう。この事件について背景を把握していない読者は、陳述書を先に読むほうが全体の構図がとらえやすい。

■審査要求書

■陳述書

ごく簡潔に審査要求に踏み切った理由と事件の流れと説明しよう。

審査要求に踏み切った理由は、内閣府やいくつかの中央省庁で、普通の市民感覚からすると犯罪にも等しい国家予算の使い方が横行していることが分かったからである。たとえば2007年ごろ、環境省が博報堂に対して3年間で約90億円分の仕事を発注した事実がある。2015年度には、博報堂ルートから新聞の政府広告だけで約20億円が支出されている。文部科学省のホームページ1件の制作が2100万円にもなっている。

こうした国家予算の使い方の実態をさらに詳しく調べるために、情報公開制度を利用して情報開示を求めても、開示を大幅に遅らせたり、たとえ開示しても肝心な箇所を全部黒塗りで隠したうえで開示する。

裁判を提起しようにも、国家予算の使い方に関しては、裁判も認められていない。(地方自治体を被告にする裁判は、地元住民であれば可能)。

民主党が政権を取った2009年から、国家予算の無駄づかいを一層するための「事業仕分け」が始まったが、結局、何も変わっていなかったのだ。しかも、無駄づかいの背景に「天下り」が関係しているらしい。筆者が調査したところ、1975年に内閣府から博報堂への天下りが始まっていた。この時期に、児玉誉士夫の秘書・太刀川恒夫氏が博報堂コンサルタンツ(博報堂の持ち株会社)の取締役に就任している。

こうした実態は、官民癒着の観点からすれば、森友学園の事件よりも、深刻である。金額の規模が格段に大きいからだ。もちろん現段階では疑惑であるが、その疑惑には十分な根拠がある。

それにもかかわらず大メディアがその実態を報道しない。大手の広告代理店がからんだ問題であるからだ。広告代理店に対するマスコミ・タブーが薄らいできたとはいえ、まだ、報道のハードルは高い。しかし、このまま放置すれば、「無かったこと」として処理され、今後も延々と国家予算の無駄づかいが続くであろう。

筆者が会計検査院に審査を求めたゆえんにほかならない。

◇民間企業における業務の実態

審査を求めるに至った経緯についても説明しておこう。事件の詳細については、陳述書に詳しいので、そちらを参考にしてほしい。

発端は2016年2月だった。筆者は福岡市に本社がある化粧品の通販会社・アスカコーポレーションから1本の電話を受けた。折込詐欺(折込広告を水増して過剰な料金を徴収する詐欺)にあった可能性があるので、アドバイスしてほしいというのが要件だった。筆者は依頼者の素性を確かめてから協力を約束した。

アスカコポーレーション(以下、アスカ)は2015年ごろまで、博報堂に全面的にPR業務を依頼していた。筆者は取引の実態を知るためにアスカから、折込詐欺に関する資料だけではなく、博報堂との取り引きに関する膨大な資料を開示してもらった。

その結果、折込詐欺よりも、むしろテレビCMの間引き疑惑や、CMを作成する際に提示される番組枠の視聴率が偽装されている疑惑、それに通販誌の編集に関する約束違反などに、より深刻な問題があることが分かった。そこで筆者は関係者を取材して、ZAITENや週刊金曜日に記事を書いた。

筆者がこれまで抱いていた博報堂の清潔なイメージが完全に崩壊した。ずいぶんドラスチックなことをする企業だと感じた。戦車のようなイメージに変化したのである。

博報堂は、初期のころは取材にも応じなかった。

◇アスカから内閣府へ

筆者はメディアを取材している関係で、定期的に内閣府と広告代理店の取引の実態を調査してきた。その一端として、2016年の夏、内閣府に対して広告代理店から受け取った全請求書・全契約書・全見積書の開示を申し立てた。こうして開示させた資料を精査したところ、博報堂と内閣府の取引に不透明な面があることが判明した。

おりしもアスカと博報堂の事件を取材していた時期でもあったので、「また、博報堂か」とあきれた。そこで内閣府との取引を調べてみると、不可解な点が次々と浮上した。

たとえば既に述べたように、「構想費」の名目で、2015年度に年間6700万円の国家予算が支払われていた。内閣府は、毎日のように博報堂と打ち合わせをしていたから金額が増えたと、その理由を説明しているが、たとえ日当が10万円で365日打ち合わせしても、3650万円にしかならない。有り得ない金額なのだ。当然、裏金疑惑が浮上する。この点だけを取っても、極めて重大な問題なのである。

また、請求書が「手作り」になっていて、インボイス・ナンバーが外してある事実にも驚いた。社のロゴも入っていない。しかも、この種の請求書は、内閣府に対してだけではなく、複数の省庁に対しても送付されているのだ。

インボイス・ナンバーが附番されていない請求書の送付が違法というわけではないが、コンピューターと連動した会計システムを導入している博報堂が、あえてインボイス・ナンバーを外した請求書を送付する合理的な理由がわからない。インボイス・ナンバーを外した状態で会計監査やシステム監査をどのようにして受けているのかも疑問だ。社内で付番しているのであれば、内閣府と省庁向けのものに対しては、インボイス・ナンバーを外す理由が不明だ。

筆者は、ここでも大がかりな裏金づくりを疑ったのである。

今回、会計検査院に提出した審査要求書では、筆者が取材の中で遭遇した数々の疑惑の解明を要求している。

◇内閣府から中央省庁

筆者は次に中央省庁と博報堂の取引の取材に入った。その結果、既に述べたように中央省庁でも、インボイス・ナンバーが外してある請求書が何枚も見つかった。防衛省にいたっては、ワープロで作成したと思われる手作りの請求書の存在が明らかになった。昭和時代の八百屋さんが作っていた請求書のレベルなのだ。コンピュータの時代にそれ自体が不思議なことである。

さらに他の疑惑も浮上した。たとえば繰り返しになるが、文部科学省では、たった数ページのウエブサイトの制作で2100万円が博報堂へ支払われていた。前年にも1500万円がウエブサイト制作の名目で博報堂に支払われている。

総務省では、国勢調査(2015年)の新聞告知が契約どおり行われていないことが分かった。契約では、延べ回数25回の告知予定が、実際には12回に間引きされ、料金は全額徴収されていた。

省庁については、現在も調査中である。主要な事件については、陳述書に記録した。

◇博報堂へ乗り込んだ児玉誉士夫の秘書・太刀川恒夫

あまりにもすさまじい実態に筆者は暗い好奇心を刺激された。そこで博報堂の歴史を調べてみると、既に述べたように1975年に、児玉誉士夫氏の秘書・太刀川恒夫氏が、博報堂コンサルタンツ(博報堂の持ち株会社、前身は伸和)の取締役に就任していたことが判明した。このころから内閣府の官僚や警察関係者が続々と博報堂へ天下りしている。現在も少なくとも天下り者が5名在籍している。資金の流れを当時までさかのぼって調査するのは、さすがに難しいが、証言だけでも集めたいと筆者は考えている。

この博報堂コンサルタンツの閉鎖会社登記を調べたところ、現在の戸田裕一会長や沢田邦夫取締役の名前があった。

ちなみに児玉誉士夫氏とは、自民党の前身である日本民主党の設立時に、同党へ資金の一部を援助した右翼の大物である。自民党の生みの親である。そのお金は、「児玉機関」が戦中に中国で荒稼ぎしたものである。児玉氏は、岸信介氏と同様に元A級戦犯容疑者である。終戦直後の時代には、不思議なことに内閣参与にも就任している。

戦後も、児玉氏は数多くの経済事件にかかわってきた。日本の黒幕である。「児玉機関」の流れが、現在も博報堂内部で持続しているかどうかは不明だが、児玉氏が内閣参与になっていた事実や博報堂の大株主・博報財団の関係者に右翼の関係者が名を連ねている事実などからすれば、少なくとも現在でも思想的には極めて右寄りといえるだろう。「天下り」を通じた内閣府との深い関係が出来ている事実との整合性もあるのだ。

◇受理か不受理か?

以上が会計検査院に審査を求めるに至った経緯である。
なお、審査要求書が受理されるかどうか、現時点ではわからない。それは会計検査院が決める。しかし、メディア黒書で指摘してきたように、この問題は森友学園の問題以上に重大である。調査を回避するのであれば、これまでの構図にメスは入らないだろう。膨大な国家予算が国策プロパガンダに使われることになる。

 

【写真】左から自民党の生みの親・児玉誉士夫氏、菅内閣官房長官、安倍首相、

2017年05月10日 (水曜日)

今月末に筆者(黒薮)の新刊『新聞の凋落と「押し紙」』(花伝社)が発売される。これは新聞をテーマとした7冊目の本である。

この本では、「押し紙」の最新情報を紹介した。
また、新しい2つのテーマを扱った。

まず、第一に「押し紙」の正しい定義である。現在は、「新聞社が販売店に強制的に買い取りを求める新聞」という定義が普及している。しかし、公正取引委員会の見解を歴史的に調べてみると、若干異なっていることが分かった。これは「押し紙」問題に取り組んできた江上武幸弁護士らの研究の功績である。

詳しくは新刊の中で説明しているが、結論を先に言えば、「押し紙」の正しい定義は、「新聞の実配部数に予備紙を加えた部数」を超える部数である。「新聞の実配部数に予備紙を加えた部数」が販売店経営にとって真に必要な部数であり、それを超える部数は、機械的に「押し紙」と認定するのが公正取引委員会の見解だ。

従って、これまで「押し紙」裁判の争点となってきた点、つまり新聞の買い取りを新聞社が強制したか否かで、「押し紙」の有無を判断する構図は間違っている。「新聞の実配部数に予備紙を加えた部数」が経営に必要な部数で、それを超えると理由のいかんによらず、すべて機械的に「押し紙」となる。

仮に公正取引委員会が正確な「押し紙」の定義を前面に押し出せば、「押し紙」問題にメスが入るはずだが、公正取引委員会にその気はないようだ。「押し紙」は独禁法違反であるから、それを逆手に取り、新聞社に対して「押し紙」で「メスを入れるぞ!」と恫喝すれば、簡単にメディアコントロールができるからだ。こうした構図の結果、新聞の多くが「政府広報」に変質している。

その意味で「押し紙」問題は、ジャーナリズムのあり方にかかわる問題なのだ。

◇消費税の軽減税率問題と「押し紙」

新刊で扱ったもうひとつのテーマは、消費税の軽減税率問題と「押し紙」の関係である。新聞関係者は、新聞の戸別配達制度は日本の文化であるから、新聞に軽減税率を適用すべきだと主張してきたが、それは真っ赤な嘘である。

消費税が「押し紙」にも課せられて、極めて重い負担になるから、軽減税率の適用を求めているのだ。消費税が「押し紙」にも課せられる理由は、独禁法による取り締まりを逃れるために、「押し紙」が1部も存在しないという偽りのリアリティーを帳簿上で示す必要があるからだ。その結果、「押し紙」を普通の新聞と同じ扱いで経理処理することになる。

しかし、「押し紙」には、消費税を払ってくれる読者がいない。と、なれば販売店がこれを負担せざるを得ない。その負担がいかに莫大なものになるかを新刊で試算した。

なお、巻末資料に博報堂事件に関して、海外のメディアへ送ったプレスリリースの日本語原版も収録した。(花伝社・価格1500円)

2017年05月09日 (火曜日)

【臨時ニュース

内閣府が博報堂と契約を交わしたPRプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」(2015年度)の不正経理疑惑の解明が新しい段階に入った。

筆者は、8日、山下幸夫弁護士を通じて、会計検査院に審査要求書を提出した。これにより会計検査院が申し立てを受理すれば、内閣府と博報堂の取引を会計検査院が調査することになる。

どのような疑惑があるかについては、メディア黒書で報じてきた通りである。
(参考:本ウエブサイトのバナー「博報堂事件の重要記事」)また、週刊金曜日、ZAITEN、紙の爆弾、ビジネスジャーナルなどが取り上げてきた。

審査要求書の中身については、近々に筆者(黒薮)の陳述書と証拠資料も含めて、全文を公開する予定だ。(詳細は後日)