2012年11月13日 (火曜日)

黒薮哲哉氏の『新聞の危機と偽装部数』出版に際し、 改めて黒薮VS読売訴訟の勝者を考える、 最高裁・国家権力が手に入れたのは、報道弾圧社会の再来

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

「言論・報道の自由」を脅かす黒薮VS読売訴訟の異例とも言える最高裁逆転判決。その不当性についても書いた黒薮哲哉氏の著書『新聞の危機と偽装部数』(花伝社刊)が出版される。

この判例が今後、下級審でも罷り通ればスラップ(恫喝)訴訟など訴訟多発社会を誘発する恐れもある。私もこの著作に「黒薮VS読売訴訟の本当の勝者とは?」と題し、特別寄稿している。出版を機会に改めて判決の問題点を考えてみたい。

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2012年11月13日 (火曜日)

レコード会社31社が作曲家・穂口氏を訴えた高額訴訟、訴状には違法ファイルが1万431個、しかし証拠として提出できたのは128個、「見せしめ」狙う

移動通信機器を対象としたファイル変換サービス「TubeFire」が違法に当たるかを巡って、レコード会社とミュージックゲート社(代表は作曲家の穂口雄右氏)との間で争われている音楽著作権裁判。

レコード会社側は違法にダウンロードされたファイルがTubeFireに1万431個蔵置されていると当初より主張してきたが、9月に提出された証拠ファイルは128個にすぎなかったことがわかった。

10月1日から「違法ダウンロード」に懲罰を課す法律が施行されるなど国家権力による厳罰化が進むなか、レコード会社側としても、2億円を超える高額を嫌がらせ的に著名人に請求することで、公衆を威嚇しているように見える。根拠のない事実を前提とした“見せしめ裁判”の疑いを検証する。(続きはマイニュースジャパン)

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2012年11月08日 (木曜日)

損害賠償裁判の控訴審、福岡高裁が江崎と黒薮の尋問を決定

読売が起した3件の裁判が「一連一体」の言論弾圧にあたるとして黒薮が損害賠償を求めた裁判の控訴審(1回目)が7日、福岡高裁で開かれ、木村元昭裁判所は、12月12日に黒薮と江崎法務室長の双方に対する尋問を行うことを決めた。読売は即日の結審を主張したが、裁判官による合議の末、尋問を行うことになった。

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2012年11月05日 (月曜日)

読売による「一連一体」の言論弾圧を問う控訴審、7日に福岡高裁でスタート

読売新聞社がわたしに対して仕掛けた3件の裁判が、「一連一体」の言論弾圧に該当するとの観点から、読売を被告としてわたしが提起した損害賠償裁判の控訴審が、7日に福岡高裁で始まる。

福岡地裁で開かれた第1審は、読売が勝訴した。しかし、第1審の裁判長は、わたしの本人尋問を拒否したり、陳述書の受け取りに難色を示すなど、明らかに差別的な方法で審理をすすめた。そして読売を勝訴させて、わたしを敗訴させる判決を下した。

訴因となった3件の裁判は、次の通りである。

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2012年11月04日 (日曜日)

裁判の公平な土壌に疑問 裁判員制度のPRで読売に登場していた加藤新太郎裁判官….被告・池田大作氏に対しては「訴権の濫用」を適用

ウエブサイトの記事(Yomiuri Online)に日付が明記されてないので、正確にいつの時点で発表されたものなのかは不明であるが、文中に「裁判員制度が2009年5月までに始まる」という記述があるので、恐らくその直前の時期ではないかと思う。

タイトルは「本紙記者が裁判員体験」。記者を対象とした模擬裁判が行われ、それを体験した読売新聞・大藪剛史記者の体験記である。

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2012年11月01日 (木曜日)

深まる警察と新聞社のスクラム 読売に続き毎日も警察との連携

警察権力と新聞社がますます親密な関係になってきた。10月29日付け『毎日新聞』は、「<世界のお巡りさんコンサート>都内で懇親会」と題する記事を掲載した。

東京で開催中の「第17回世界のお巡りさんコンサート」(主管・毎日新聞社)に参加する各国の警察音楽隊が29日、都内のホテルで懇親会を開いた。警視庁、インドネシア国家警察士官学校、ソウル特別市地方警察庁、ニューヨーク市警察、ベトナム警察の5隊が出席した。

 引用した記事でも明らかなように、毎日新聞社がこのイベントの主管を務めている。

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2012年10月30日 (火曜日)

酔っ払い先輩記者の教えたものは? 橋下出自報道「お詫び」の背景を考える

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

緊急連載「ハシシタ 奴の本性」での「お詫び」が、週刊朝日11月2日号に掲載されている。河畠大四編集長の言葉は、朝日に居た私にはむしろ痛々しく聞こえる。

◇河畠編集長の謝罪

「同和地区を特定するなど極めて不適切な記述を複数掲載してしまいました。 タイトルも適切ではありませんでした。この記事を掲載した全責任は編集部にあります」と、河畠氏は陳謝する。さぞ、朝日グループの中でも、四面楚歌なのだろう。

 

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2012年10月29日 (月曜日)

2012年10月28日 (日曜日)

裁判員制度の新聞広告に年間6億円の広告費、偽装部数を放置してきた最高裁の責任は重大

新聞の紙面広告の媒体価値を決める要素はなにか?  この問いに対する答えは、一般論としては、新聞の公称部数の大小と新聞社のステータスである。

まず、前者については、新聞の発行部数が多ければ多いほど、紙面広告が読者の目にふれる機会が増えるわけだけから、当然の原理といえよう。

後者については、信頼できるメディアに広告が掲載されることで、広告そのものの信頼性が高まるので、これもあたりまえだ。

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2012年10月24日 (水曜日)

携帯基地局の新聞報道 地方レベルでは活発も中央は自己規制

かつて携帯電磁波の人体影響は新聞が自己規制して報じないテーマのひとつだった。しかし、17日に判決が下された延岡大貫訴訟では、それが完全に崩壊した。

判決は住民側の敗訴であったが、新聞各社は判決を厳しく批判する視点の記事を掲載した。住民運動の団体から、わたしが入手した判決に関する記事は、全部で15本。この中には、単に判決の結果を伝えた記事もあるが、大半は判決を批判する視点から書かれている。KDDIよりも住民側の主張を大きく紹介している。

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2012年10月23日 (火曜日)

大阪府警本部捜査2課が折込チラシの水増し事件の刑事告訴を受理

大阪府内の広告主A社が、折込チラシの代金を水増し請求されたとして、広告代理店Bの社長を刑事告訴した事件で、大阪府警本部捜査2課が、去る7月に広告主の告訴を受理していたことが分かった。

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2012年10月22日 (月曜日)

ソフトバンクが埼玉新都心のど真ん中で巨大電波中継局建設へ 住民に広がる健康懸念

10月15日に米国で事業規模3位の携帯電話会社、スプリント・ネクステルの買収を発表したソフトバンク。ウィルコムやイーモバイルの子会社化も含め、急ピッチで拡大を進めている。だがその裏では、携帯ビジネスをめぐるコンプライアンスが問われ始めている。

去る8月、同社がさいたま市大宮区の商業地区に、巨大な電波中継局を設置する計画を発表したところ、携帯電磁波の人体影響を懸念する声が住民たちからあがった。中継局は、携帯電話機と送受信する基地局よりも、さらに高い周波数を使うため、特に高層マンションや高台に建つ住宅の住民が健康被害を受ける可能性がある。

計画されている電波中継局の中身とは実際にどのようなものなのか。ソフトバンクと住民を取材した。

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2012年10月21日 (日曜日)

週刊朝日、差別連載記事の土壌 「橋下出自報道」を考える

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

週刊朝日の橋下徹大阪市長の出自を巡る「ハシシタ 奴の本性」との連載記事。週刊朝日はやっと重い腰を上げ、おっとり刀で謝罪のコメントを発表した。

しかし、差別報道がいかに人を傷つけるか。筆者は論外として、その痛みが週刊朝日編集者に分かっていたとは思えない。橋下氏が市長の立場で、朝日記者の質問拒否という手段に出たことが適当かは、議論がある。でも、怒りはよく理解出来る。改めて、この報道を生んだ朝日の土壌を考えてみたい。

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