2014年10月31日 (金曜日)

年間減部数率は地方紙が4.59%、中央紙が4.16%、衰退を逆手に取った言論統制

新聞の公称部数を示す9月のABC部数によると、以下に示すように中央紙よりも、地方紙(ブロック紙・子ども新聞等を含む)の方がより部数を減らしている。減部数率が高い。

地方紙の総計部数:1566万9925部(対前月差は、7万2273部)

これに対して中央紙(朝日、読売、毎日、産経、日経)の総計部数は次の通りである。

中央紙の総計部数:2412万840部(対前月差は、3万4079部)

9月度の減部数率を整理すると次にようになる。

 地方紙の減紙率:0.46%(対前月比)
 中央紙の減紙率:0.14%(対前月比)

しかし、この1年の部数動向は、次に示すように、地方紙も中央紙もほどんど変わらない。

 中央紙の減紙率 4.16%(対前年比)
 地方紙の減紙率 4.59%(対前年比)

相対的に新聞産業の衰退が進んでいることを示している。

続きを読む »

2014年10月30日 (木曜日)

朝日バッシングの9月に読売が増やした部数はわずか8770部、9月のABC部数で判明、国民が見放したジャーナリズム

従軍慰安婦の問題で朝日新聞に対するバッシングが始まったのは、8月の下旬だった。この機に乗じて、読売新聞が「朝日叩き」のリーフレットをポスティングすると同時に、新聞拡販に乗り出したことは周知の事実である。

が、読売は肝心の購読者を増やすことに成功したのだろうか。次に示すのが9月のABC部数である。(括弧)内は対前月差。

【2014年9月ABC部数(読売朝刊)】  
読売(北海道) 210,259(-535)
読売(東京) 5,684,468 (9,102)
読売(中部) 159,489(181)
読売(大阪) 2,293,649 (17)
読売(西部) 797,781(-139)
読売(北陸) 96,968(144)
読売(合計) 9,242,614 (8,770)

結論を先に言えば、読売新聞が9月中に増やした部数は、全国でたったの8770部だった。読売の9月のABC部数は、924万2614部であるから、その1000分の1に満たない。拡販戦略に失敗したと評するのが妥当だ。

一方、週刊誌や月刊誌が「読者ばなれ」を報じていた朝日新聞は、本当に部数を減らしたのだろうか?

続きを読む »

2014年10月29日 (水曜日)

高市早苗総務大臣は3700万円、中川秀直元議員は4000万円、不透明なパーティー参加費による政治家の収入

政治と金の問題が浮上している。

わたしの手元に2010年度の自民党奈良県第2選挙区支部の政治資金収支報告書がある。高市早苗総務大臣のもので、数年前に入手した。

このうち収入欄の一部を紹介しよう。

高市早苗さんをみんなで激励する会:22,070,000(H22.5.17)
(イブニングセミナー&懇親会)  

高市早苗さんをみんなで激励する会:15,240,000(H22.12.8)

(裏付け資料PDF)

日本新聞販売協会:400,000(H22.10.29)

松庵山専行院:500,000(H22.3.18)

アイテック株式会社:500,000(H22.4.23)

株式会社 昭和:1,000,000(H22.5.13)

株式会社 日経サービス:2,000,000(H22.5.14)

高市氏が新聞業界から献金を受けていることは有名だが、ここでわたしが指摘したいのは、「高市早苗さんをみんなで激励する会」のパーティー収入である。2回のパーティーで得た総額3731万円の中身である。

中身の明細がなく、これでは政治資金の流れを公開しているとはいえない。

たしかに、パーティー参加費を支払った者の名前などを明かす義務はないが、有権者から見れば、だれが「献金」したのか気になる。

ちなみに政治資金パーティーの場合、参加費が20万円を超える支払いをした者は、氏名、住所などを公表しなければならないが、20万円に満たなければその必要がない。「パーティー参加費」の明細は、ブラックボックスの中だ。

続きを読む »

2014年10月28日 (火曜日)

視覚障害者にも容赦しないソフトバンク、今年4月から多摩市で携帯基地局の設置をめぐるトラブル

巨大ビジネスを展開するソフトバンクが、住民との間で次々とトラブルを起こしている。今年になってわたしが把握したものだけでも、3件。そのうちのひとつ、東京都多摩市のケースを紹介しよう。人権問題の側面が顕著に現れている。

◇携帯基地局と癌のリスク

初老にさしかかったころ両眼の視力を失った吉田綾子(仮名)さんは、今年の春から電磁波問題に巻き込まれている。吉田さんの自宅は、屋上に携帯基地局が設置された低層マンションの真向かいにある。窓を開けると、目と鼻の先に基地局が聳えているが、吉田さんはそれを自分の眼で確かめることができない。

ソフトバンクがこの基地局を設けたのは、半年前の4月だった。今のところ同社は、住民の抗議を受けて基地局を稼働させていないが、稼働が始まると、光が遮断された吉田さんの世界に容赦なくマイクロ波が忍び寄ってくる。

携帯基地局から放射されるマイクロ波による人体影響は、日本ではあまり報じられないが、世界的な問題になっている。二〇一一年にWHOの外郭団体である国際癌研究機関が発がん性の可能性を認定するなど、マイクロ波は健康リスクを高めると考えるのが常識になっている。世界各地で行われてきた疫学調査でも、危険を示す結果が導き出されている。

続きを読む »

2014年10月27日 (月曜日)

安倍首相が「共同通信加盟社編集局長会議」に参加、進むマスコミと政府の病理、背景に新聞に対する消費税の軽減税率適用問題など

蛙(かえる)を入れた器に冷水を注ぎ、コンロにかけて緩やかに加熱すると、蛙は水温の上昇を知覚できず、死にいたる。環境に順応すると神経が麻痺して、とんでもない悲劇を招きかねない。

10月24日、共同通信に加盟する新聞社編集局長らが集う「共同通信加盟社編集局長会議」が開かれ、安倍晋三首相が参加した。権力監視の役割を担っている新聞社の編集局長の会議に一国の長が参加するという非常識なことが起きたのである。世界に類なき異常事態である。

共同通信の加盟社は次の通りである。

北海道新聞、道新スポーツ、室蘭民報、東奥日報、デーリー東北、秋田魁新報、山形新聞、岩手日報、河北新報、福島民報、福島民友、下野新聞、茨城新聞、上毛新聞、千葉日報、神奈川新聞、埼玉新聞、日本経済新聞、産経新聞、SANKEI EXPRESS 、夕刊フジ、The Japan Times 、毎日新聞 、スポーツニッポン 、報知新聞 、日刊スポーツ 、サンケイスポーツ 、東京新聞 、東京中日スポーツ 、山梨日日新聞 、信濃毎日新聞 、新潟日報 、静岡新聞 、中日新聞 、中日スポーツ 、中部経済新聞 、伊勢新聞 、岐阜新聞 、北日本新聞 、富山新聞 、北國新聞 、北陸中日新聞 、福井新聞 、日刊県民福井、大阪日日新聞 、京都新聞 、奈良新聞 、神戸新聞 、デイリースポーツ 、山陽新聞 、中國新聞 、日本海新聞 、山陰中央新報 、四國新聞 、愛媛新聞 、徳島新聞 、高知新聞 、西日本新聞 、西日本スポーツ 、大分合同新聞 、宮崎日日新聞 、長崎新聞 、佐賀新聞 、熊本日日新聞 、南日本新聞 、沖縄タイムス 、琉球新報

首相官邸のウエブサイトに掲載された安倍首相のあいさつによると、「皆さんの前でこうやってお話をさせていただくのは3年連続」だという。わたしは安倍首相が3年前から編集会議に参加していた事実は知らなかった。

一国の長が全国の新聞社が共同で開催する編集会に参加した例を、わたしは知らない。軍事政権の国でも、こうしたことはあり得ない。それどころか軍事政権下の新聞社の中には、命がけで戦っているところも少なくない。

安倍首相自身がマスコミの影響力、あるいは世論誘導の道具としてのマスコミの利用価値を十分に自覚していることは、編集会議の場における次の発言でも明らかだ。

 本日お集まりの加盟社の皆さんを全部合わせると、発行部数はなんと3000万部であります。日本の全世帯の半分以上が、皆さんの新聞をとっている計算になります。社会への影響力は、凄まじいものがあると思います。

■出典:首相官邸

編集会議に参加した首相側も、参加を許可した新聞社側も、まったくジャーナリズムのルールをわきまえていないことになる。

新聞人の感覚は完全に麻痺(まひ)している。30年も40年も報道の仕事に携わってきて、一体、何を学んで来たのだろか?ここにも別の深刻な社会病理がある。

続きを読む »

2014年10月24日 (金曜日)

MEDIA KOKUSYOの有料会員(有料読者)の登録削除のお知らせ

有料会員(有料読者)の登録削除のお知らせ

MEDIA KOKUSYOの「有料会員(有料読者)」の登録を、25日付けで全員削除しました。これまでシステムの不具合でご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

来月に最後の決済が行われます。

既に何度か報告しましたが、ここ2年ぐらいの間、課金システムの不具合(登録できない、有料画面にアクセスしようとすると、契約が切れている、等の表示が出て、アクセスできない)が続いてきました。修復にも失敗しました。今後、サイトを構築したGMOクラウド社に対しては内部調査を依頼し、場合によっては損害賠償も視野に入れて対処します。

なお、サーバーの引っ越しはすでに完了しており、修復は最後の段階に入っています。カード会社も変更しました。有料会員の登録を削除したのも、カード会社の変更に伴うものです。

再登録の準備が完了した時点で、再度、告知します。
これまでの支援にお礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いします。

続きを読む »

2014年10月23日 (木曜日)

吉田清治氏の証言と朝日の報道は本当に日韓関係を悪化させたのか?木村幹教授の客観的な論考

10月18日に「草の根アカデミー」の招きで、朝日バッシングを批判する講演を行った。タイトルは、「朝日バッシングと御用メディア&御用文化人」。次の動画(日本海賊TV)は、その時のものである。

■講演「朝日バッシングと御用メディア&御用文化人」

以下、いくつかのポイントを紹介しておこう。まず第一に、朝日が報じた吉田清治氏の証言が日韓関係を悪くしたとするネオコンの主張が事実なのかという点である。第二に、新聞記事の「誤報」に対して「謝れ」と主張するメンタリティーの評価である。

◇日韓関係悪化の本当の原因は?

朝日バッシングの中で週刊誌や月刊誌が組んだ特集記事の中には、皮肉なことに、比較的客観的に書かれていて、説得力のあるものも含まれている。

たとえば『中央公論』(2014年11月)に掲載された「朝日報道は実際、韓国にどのような影響を与えたか」と題する木村幹(神戸大学大学院教授)の論考である。さすがに研究者だけあって、客観的な事実に基づいて書かれた記事で、学ぶべき点がある。

木村氏は、日本の新聞が従軍慰安婦に関する記事を掲載した後、韓国のメディアがどのように反応したかを調査し、吉田証言によって、韓国の世論が大きく動いた事実はないと結論づけている。韓国のメディアが敏感に反応したのは、吉田証言よりも、むしろ1992年1月11日付けの朝日が報じた記事だという。それは慰安所の経営に軍が関与していたことを示す資料の存在をスクープしたものである。このあたりの事情について、木村氏は次のように述べている。

基本的には韓国の言説は、我が国のそれとは独自に展開している。その意味において、問題となっている朝日新聞の「誤報」がもたらした韓国側への影響はあくまで限定的である。

しかし、だからといって、慰安婦問題の展開において朝日新聞の「他の報道」が与えた影響が小さかったとは言えない事例がある。その代表例が一九九二年一月十一日になされた「軍関与示す資料」発見というスクープ報道である。注意しなければならないのは、この記事が少なくともその本文においては「誤報」ではないことである。この報道は、慰安婦への政府の「関与」は存在しない、と繰り返してきた日本政府の公式見解を覆す「内容」を持つものであった。

だからこそ、韓国メディアは即日、これを大々的に報道し、韓国の元慰安婦支援団体の運動も活気づき、デモ参加者は六倍にまで増加した。朝日新聞の報道のなかで、韓国における慰安婦問題の展開に最も大きな影響を与えたのは一連の「誤報」ではなく、間違いなくこの報道である。

ちなみに吉田証言に対して韓国が敏感に反応した記事をあえてあげるとすれば、木村氏によると、1991年11月22日付け北海道新聞の記事、「朝鮮人従軍慰安婦の強制連行『まるで奴隷狩りだった』-日本人元責任者が痛恨の告白-千葉在住の吉田さん」だという。原因は、①タイトルがセンセーショナルだったこと、②元慰安婦・金学順氏が実名を公表した時期で、韓国でも慰安婦問題の関心が高まっていたことなどである

続きを読む »

2014年10月22日 (水曜日)

朝日バッシングに見る国際感覚の欠落、雑誌ジャーナリズムにおける海外との質の差が顕著に

8月の下旬から始まった朝日新聞に対するバッシングは醜(みにくい)の一言に尽きる。これで雑誌の部数も大幅に減りそうだ。たとえ安倍首相から、新聞や書籍、それに雑誌に対する消費税の特別軽減措置を、「プレゼント」してもらっても、ダメージを回復するのは難しいかも知れない。

次に示すのは、10月初旬までに、週刊誌4誌が掲載した朝日関連の記事に割かれたページ数である。統計を取る作業を簡素に進めたために、多少、数字に誤差が生じた可能性はあるが、少なくともおおまかな傾向は反映している。

【週刊新潮】 
8月28日:5
9月4日 :4
9月11日:10
9月18日:12
9月25日:14
10月2日:9
10月9日:3
計:57ページ

【週刊文春】 
8月28日:4
9月4日 :10
9月11日:16
9月18日:10
9月25日:15
10月2日:17
10月9日:15
計:87ページ

【週刊現代】 
9月6日 :6
9月27日:4
10月4日:4
10月11日:5
10月25日:4
計:23ページ

【週刊ポスト】 
8月22日:4
8月29日:10
9月5日 :4
9月12日:7
9月26日:8
10月3日:12
計:45ページ

【注】連載コーナーで作家が取り上げた朝日関連記事は含まない。

続きを読む »

2014年10月21日 (火曜日)

小渕優子議員の自民群馬県第5選挙区支部から、東京ドームへ入場料84万円、明治座から寄付金24万円

小渕優子経産相が有権者を明治座に招待したり、ワイン、ベビー用品、化粧品、下仁田ネギなどの「品」を送っていたことが問題になっている。公職選挙法の第199条が、選挙区内の有権者に対する利益供与を禁止しているからだ。

実は小渕氏のお金の使い方については、わたしも2010年ごろに検証したことがある。その際に入手した政治資金収支報告書(群馬県選挙管理委員会・自由民主党群馬県第5選挙区支部)の2008年度分が手元にある。

それによると収入の欄に「観劇費」という項目は見あたらない。それにもかかわらず支出の欄に「会場費・観劇代」として、明治座に630万円を支払ったことを示す記録がある。かなり以前から同じ手口を使っていたことになる。

■会場費・観劇代として明治座に630万円(PDF)

つまり小渕氏が代表を務める自由民主党群馬県第5選挙区支部が、会場費・観劇費として630万円を自己負担したことになる。支援者から「会場費・観劇代」を集めて、それを明治座に支払ったのであれば、「接待」の類にはあたらないが、「会場費・観劇代」の集金は行われていない。

と、いうことは有権者を明治座に「接待」した可能性が極めて高い。

また、収入欄には、明治座からの寄付金24万円が記されている。

■明治座からの寄付金24万円(PDF)

続きを読む »

2014年10月17日 (金曜日)

吉田証言は本当に妄想なのか? 2005年のNHK「問われる戦時性暴力」でも朝日叩きの過ち

8月から始まった朝日新聞に対するバッシングの中で、従軍慰安婦の「連行」を告発した吉田証言は、ウソだったとする共通認識が広がっている。が、この点に関しては、当時の植民地政策や旧日本軍による戦争犯罪と照らしあわせてみなければ評価できない。一般論からすれば、軍による統治には残忍非道な暴力が伴っている。そんなふうに考えるのが常識である。

わたしも含めて「戦争を知らない世代」は、たとえば御嶽山(おんたけさん)での救助活動に励む日本の自衛隊員の姿をイメージしながら、軍人の世界を想像する。その際に植民地支配という歴史的な背景を考慮することはあまりない。

が、空想の世界と現実の世界には、必ず乖離(かいり)がある。その距離を埋めるには、実際に戦争が起きている地域に足を運んでみることである。

わたしは1980年代に中米のニカラグア、エルサルバドル、グアテマラを取材した。当時は、内戦のさなかで、軍隊による暴力が大問題になっていた。軍隊が村を急襲して、住民をトラックに押し込めて「連行」することなど、半ば当たり前だった。特に珍しいとは思わなかった。

「連行」の手口は単純で、軍がいきなりトラックで村に入ってきて、住民全員を中央広場(ラテンアメリカには、小さな村にも中央広場があり、そこにカトリック教会が隣接している)に集合させ、空き屋となった集落を、一斉に家宅捜索する。そして武器が発見された家の住人を連行したり、見せしめに村人の前で射殺することが当たり前に行われていた。

2013年の5月、中米グアテマラの裁判所は、内戦中にこのような犯罪を指導したリオス・モント元大統領に対して、禁固80年の判決を下した。冒頭の動画は、米国の映像ジャーナリストらが制作し、高い評価を受けたWhen The Mountains Tremble(1983年)の一場面である。

村に乗り込んできた軍隊(35秒~)、住民の拘束、家宅捜索の様子が記録されている。この時、カメラが入っていなければ、何が起こったか想像できる。

同じようなことが中国大陸で行われていたことは周知の事実になっている。グアテマラの比ではないかも知れない。たとえば731部隊による生体解剖の事実は、だれも否定できない。次に示すのは、731部隊に息子を連行された母親から、湯浅医師にあてた手紙の一部である。

湯浅医師は、生体解剖を行い、戦後、中国当局に拘束された。

湯浅よ。わたしは、お前に息子を殺された母親だ。あの日の前日、息子は路安の憲兵隊に引っ張っていかれた。わたしは憲兵隊までいき門の前でずっと見張っていた。次の日、突然門があいて、息子が縛られてトラックに乗せられて、どこかに連れていかれた。わたしは自動車の後を追いかけたが、・・・(『戦争と罪責』、野田正章著・岩波書店)

続きを読む »

2014年10月16日 (木曜日)

順天堂大学病院の血液内科受診者が急増、東京都も原発の汚染地帯か?特定秘密保護法の施行で隠蔽される情報

『アトピー解決篇』(鳥影社)の著者・吉岡英介氏のウエブサイトに、関東全域が福島第一原発を発生源とする環境汚染にさらされている高い可能性を示唆するデータが紹介されている。

同ウエブサイトによると、東京都文京区本郷にある順天堂大学病院の血液内科を受診する患者数が、3・11の後に急増しているという。

新外来患者は次の通りである。

2011年: 230人
2012年: 822人
2013年: 875人

吉岡氏によると「血液内科とは、悪性リンパ腫とか血球数の異常とか骨髄の異常などを診断治療する診療科」である。詳細情報へは、次のリンクでアクセスできる。

■http://www.minusionwater.com/juntendo

続きを読む »

2014年10月15日 (水曜日)

産経新聞、大阪で損害賠償を請求される、販売店とのトラブルか?

大阪地方裁判所の第1009号法廷(本館10階)で、本日11時、原告を民間人、被告を産業経済新聞社(本社:東京都千代田区)とする損害賠償請求事件の口頭弁論(証人尋問)が行われた。

第22民事部合議1係の担当で、裁判長は相澤眞木氏(第40期)、裁判官は小山恵一郎氏(第54期)および大畑拓也氏がつとめる。書記官は藤原義幸氏。

事件番号は、平成25年(ワ)第1670号。【続きを読む】

続きを読む »

2014年10月15日 (水曜日)

駅のキオスクからも多量の売れ残り新聞を回収、その一方で読売の即売は2002年から6倍に増、

 次に紹介するのは、過去にも何度か紹介した読売新聞の即売部数(駅やコンビニなどで販売される新聞)の変遷である。今年の部数は把握していないが、昨年までの部数を見る限りは、順調に増えている。

2002年7月に約2万5000部だったものが、2013年1月には、約15万3000部に。6倍の伸びである。

2002.7ー 12月平均:25,037

2008.7ー12月平均 :67,736

2012.7-12月平均 :151,657

2013.7-12月平均 :160,005

このような傾向は、朝日新聞や毎日新聞には見られない。

続きを読む »

2014年10月14日 (火曜日)

HOYA事件にみる株主提案権の侵害を助長させてきた裁判所の責任

【山口亮】

 

◇取締役8名に東京地裁が損害賠償命令

会社法305条1項に基づいて適法に提出されていた株主提案を、株主総会の招集通知に掲載しなかったとして、当時の役員らが「HOYA企業統治適正化委員会」の株主から提訴されていた。決着がついたのは、9月30日のこと。取締役らに「33000円の損害賠償を支払え」との判決(東京地裁民事45部、山田明裁判長、平成24年(ワ)14392号)が東京地裁で下され、耳目を集めた。

これで、「企業統治適正化委員会」の株主側は連勝したことになる。【続きを読む】

続きを読む »

2014年10月14日 (火曜日)

NTTドコモが茅ヶ崎市で、住民の反対を押し切って携帯基地局を稼働、隣接するマンション住民らの怒り心頭に

マンションやオフィースビルの屋上に携帯基地局が設置された場合、マイクロ波の影響を直に受けやすいのは、隣接するビルに住む人々である。

もっとも実際に電磁波密度を測定すると、基地局の真下で高い数値が測定されることもあり、厳密にはどの位置が高リスクであるかは一概に断定できないが、少なくとも理論上は、基地局があるビルの住民よりも、むしろ隣接するビルの住人の方が被害を受けやすい。マイクロ波に直撃されるからだ。

◇工事のペンディングを申し入れ

神奈川県茅ケ崎市は、人口24万人。湘南海岸に面した首都圏のベットダウンである。

茅ヶ崎市の○○地区で携帯基地局の設置をめぐる問題が勃発したのは、2012年の10月だった。住民の鈴木直人(仮名)さんが、自らが住むマンション群と境界を接する6階建てマンションの屋上に、工事用の足場が組まれているのを発見し、作業員に事情を尋ねたところ、NTTドコモが基地局を設置する計画が判明したのである。鈴木さんが言う。

「常識的に考えて強い電波を発するものを、住居のすぐ近くに設置するのは、危険ではないかと思い、工事を一旦ストップするようにお願いしました」

鈴木さんが住むマンションは、1棟を除いてすべて5階建てである。このうち基地局が設置されたマンションと通路や庭を挟んで向き合っている棟は、基地局からのマイクロ波を直射される可能性が高い。それにもかかわらずNTTドコモは、基地局設置についての何の通知もしなかったことに、鈴木さんらは納得できなかった。

続きを読む »

2014年10月13日 (月曜日)

公共事業は諸悪の根源⑰ デッチ上げまでした司法【その3】

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

 従軍慰安婦、原発報道をめぐる誤報問題で、朝日は今、バッシングの嵐を受けています。慰安婦記事を書いた元記者が在籍する大学には、嫌がらせとも取れる大量のメールが届き、ネット上には朝日記者の殺害予告らしきリストまで流されています。

「『報道の自由』を守れとは、朝日社員なら誰でも言います。しかし、『本気で言えば唇寒し』との空気がこの組織に流れて、もうどれほどの時間が経ったのでしょうか。このままにしておけば、やがて取り返しのつかない事態になります」。

私がこの手紙を当時の箱島信一社長に送ったのは、2005年。週刊朝日がサラ金会社から「編集協力費」名目で訳の分からないカネを受け取った武富士問題や若い記者による記事盗用など不祥事が相次ぐ直前のことでした。

今回もまた、朝日の紙面には「読者の声に謙虚に耳を傾けます」との幹部の言葉が朝日の紙面に載っています。しかし、私にはそれも白々しく響きます。ジャーナリズムなら、正すべき誤報は正し、謝罪すべきものは謝罪する。その上できちんとした論陣を張れる体制を整え、不当な批判があるなら、毅然と対抗すべきです。

でも、それが出来ず、朝日が何故、バッシング勢力につけ込まれる弱々しい体質になってしまったか。私は誰よりもよく分かっているつもりです。この欄の読者も、私の報告した具体論からとっくにお分かり戴けているのではないかと思います。

最初に慰安婦報道をし、バッシングを受けている記者に多くの責任はありません。「ダブルスタンダード」などと言うと難しく聞こえますが、外には厳しく高邁な論理で人や組織の在り方を説くのに、自分には甘く、発した言葉で自らを律しきれない二枚舌…。責任を取りたくない幹部の官僚体質が何一つ是正されていないのが、問題を大きくした原因です。

続きを読む »

2014年10月10日 (金曜日)

読売新聞の77万部減、本日(10日)発売の『週刊金曜日』で報道

本日(10月10日)発売の『週刊金曜日』が、読売新聞社の部数減について書いた記事(黒薮執筆)を掲載している。タイトルは、「昨年11月から77万部以上、部数減に歯止めなし」、「読売新聞が朝日叩きに熱心なわけ」。

参考:10月10日号の目次

この記事では、「押し紙」問題にも言及している。読売の「押し紙」については、司法判断が異なる2つの代表的な判例がある。

■読売の「押し紙」を認定した判例

読売と新聞販売店の間で起きた訴訟-真村訴訟で、2007年に福岡高裁(西理裁判長)は、読売の「押し紙」政策を認定した。判決の一部を引用してみよう。

 このように、一方で定数(黒薮注:新聞の搬入部数)と実配数が異なることを(黒薮注:読売は)知りながら、あえて定数と実配数を一致させることをせず、定数だけをABC協会に報告して広告料計算の基礎としているという態度が見られるのであり、これは、自らの利益のためには定数と実配数の齟齬をある程度容認するかのような姿勢であると評されても仕方のないところである。

そうであれば、一審原告真村の虚偽報告を一方的に厳しく非難することは、上記のような自らの利益優先の態度と比較して身勝手のそしりを免れないものというべきである。

判決は2007年12月に、最高裁が上告を棄却するかたちで確定した。

参考:福岡高裁判決の全文

■読売の「押し紙」を否認した判例

読売が新潮社(黒薮)に対して起こした裁判で、読売の「押し紙」が争点になった裁判(村上正敏裁判長)。東京地裁は読売に「押し紙」は存在しないと認定した。また、被告が証拠として提出した「押し紙」についての記述がある魚住昭氏の『メディアと権力』などの書籍には、記述の裏付けがないと認定した。

控訴審、上告審とも読売が勝訴した

続きを読む »

2014年10月09日 (木曜日)

日韓関係が悪化した原因は朝日の「誤報」ではなく、日本の軍事大国化と右傾化、朝日バッシングを検証する、

朝日新聞の慰安婦報道に対するバッシングは、ようやく峠を越えた感がする。わたしは、週刊誌や月刊誌の報道を自分なりに検証してきたが、誤った歴史認識が随所にみうけられた。

■吉田証言の評価

まず、多くの識者が吉田証言は「嘘」という共通認識を前提に、議論をしていることに違和感を覚えた。彼らが「嘘」と判断した根拠は、①朝日新聞が記事を取り消した事実、②吉田証言についての第3者証言が得られなかったことなどである。

かりに「第3者証言の不在=史実の否定」という論理がまかり通るのであれば、歴史の詳細を記録する作業は成立しない。吉田証言そのものがたとえ事実ではないにしても、それは枝葉末節の誤りであって、旧日本軍による戦争犯罪全体を否定するものではない。

当時、中国大陸では、日本軍による「強制連行」が行われていた事実は否定しようがなく、たとえば、731部隊による「強制連行」については、野田正彰氏の『戦争と罪責』(岩波書店)などにその実態が描かれている。

吉田証言だけを切り離して、当時の植民地政策がどのようなものであったのかを論じないのは、「木を見て森を見ない」論法の域をでない。この点を無視して、吉田証言の評価はできない。まして吉田氏は、発言権を持たない故人である。

■朝日報道が国益を損ねたという暴論

朝日による「誤報」が国益を損ねたとか、日韓の友好関係を割いたといった論調にも違和感を感じた。この種の発言は、右翼の媒体はいうまでもなく、リベラル派の『週刊現代』などにも見られる。たとえば、次の発言である。

「いずれにしても、アジアの融和を説く朝日の過失が、結果として日韓両国において偏狭なナショナリズムを増長させることになってしまった」(河内孝氏、『週刊現代』)

はたして朝日の「誤報」が日韓関係を悪くしたのだろうか?
わたしは本質論として、このような論理は完全に誤っていると思う。結論を先に言えば、日韓関係を悪くしたのは、日本の軍事大国化である。それが、韓国に警戒心を起こさせ、反日感情を煽っている根本的な原因だと思う。

続きを読む »

2014年10月08日 (水曜日)

LEDのリスクを提起する視点が欠落、ノーベル物理学賞をめぐるマスコミ報道の盲点

サバンナに生息するシマウマの先頭が銃声に反応し、地を蹴って東へ駆けだすと、群れ全体が東へ突進する。先頭が西へ急転回すると、後続の群れも西へ急転回する。これをスタンピード現象という。

10月8日付けの新聞各紙は、3人の日本人がノーベル物理学賞を受賞したことを伝えた。これに先立って、テレビやインターネットがこのニュースを報じたことは言うまでもない。メディアを通じて祝賀ムードが生まれた。

3人の日本人が、世界で最も権威がある賞を受賞したのであるから、メディアが祝賀ムードを煽るのも、やむを得ないが、ジャーナリズムとしての視点が完全に抜け落ちている。

それはLEDの安全性の検証である。科学技術の進歩には、たいてい負の側面も付随している。人間が人工的につくりだしたものが、生態系の中に侵入してきたときに、人体や環境に影響が現れないのかどうかに着眼するのは、科学ジャーナリズムの常識である。

が、今回のノーベル賞受賞に関する報道には、こうした視点がまったく見られない。単に歓喜に浸っているだけだ。そのうち日本人の優位性をPRする記事が登場するのではないか?

LEDが人体に及ぼす影響については、最近になって、ようやく指摘されるようになっている。たとえば岐阜薬科大学の原英彰教授の研究グループが LEDから発せれるブルーライト(青色光)が目に障害を及ぼすメカニズムを解明して、今年の6月に英国の学術誌Scientific Reportsに論文を掲載している。

続きを読む »

2014年10月07日 (火曜日)

『財界にいがた』が森裕子裁判の総括特集、旭化成で鍛えた志岐氏の調査手法

『財界にいがた』が、森裕子裁判の総括特集を組んでいる。13ページを割いた大掛かりな企画で、タイトルは、「総括・最高裁と検察審査会の闇」。次の3編の記事から構成されている。

■勝訴した被告担当弁護士が語る″名誉毀損裁判″で敗訴した原告・森裕子の大誤算

■正義の実現のために今こそ国民は最高裁に厳しい監視の目を

■福島原発事故の刑事責任追及でカギを握る″霞が関の検察審査会

同誌の読者が多い新潟県は、森裕子前参院議員の地元である。その意味では、政治家などの公人を監視するジャーナリズムの役割を果たす価値ある特集だ。

続きを読む »

2014年10月06日 (月曜日)

文科省の「全国学力・学習状況調査」、露呈した旧世代の教育観、新聞を読む中学生は8.2%

文科省が8月に発表した「平成26年度全国学力・学習状況調査」の調査項目のひとつに、「児童生徒のメディア・社会との関係」と題する項目がある。

この中に「新聞を読んでいますか」という質問項目がある。
回答は、次の通りである。

【小学校】

ほぼ毎日:10.1%
週に1~3回程度:17.2%
月に1~3回程度:22.3%
ほとんど・全く読まない:50.2%

【中学校】

ほぼ毎日:8.2%
週に1~3回程度:13.3%
月に1~3回程度:19.1%
ほとんど・全く読まない:59.1%

■「児童生徒のメディア・社会との関係」PDF

調査の結果を踏まえて、一部の新聞業界紙が「新聞を読む生徒ほど正答率高く」といったタイトルの記事を掲載している。しかし、調査結果を見る限りでは、新聞を読む行為と学力の向上の関係は読み取れない。

新聞を読んでいる生徒がたったの10%程度で、しかも多用なメディアが存在する状況下で、新聞を読む行為と学力の向上を調べること自体が難しい。第一、学力とは何かという問題もある。

ちなみに「小説やエッセイ、ルポを読んでいますか?」という設問はなく、新聞だけをことさらに質問項目としてクローズアップしている点も不自然だ。新聞を読んでいる生徒は、もともと文字に親しんでおり、新聞も読むが、書籍も読んでいる可能性が高いからだ。

かりに「活字を読むこと=学力の向上」であれば、どのような文字媒体が学力の向上につながったのかを突き止めなければ、調査の意味はない。

なぜ、児童を対象とした調査で新聞に関連した項目が入ってくるのだろうか。答えは簡単で、小学生のころから、「新聞=信頼できる情報」という先入観を植え付けることである。

続きを読む »

2014年10月03日 (金曜日)

新聞の発行部数、地方紙もブロック紙も低落傾向に、進む新聞ばなれ

読売新聞と朝日新聞のABC部数が激減している。特に読売は、昨年の11月を起点にすると、8月末までに約77万4000部も減らしている。

一方、地方紙やブロック紙のABC部数は、どのような実態になっているのだろうか。昨年の11月と今年の8月を比較してみよう。

まず、ブロック紙の部数変遷。

                     13年11月         14年8月        差異
北海道新聞 1,101,504    1,069,839   -31,665
中日新聞       2,633,677       2,531,163    -102,514
西日本新聞      727,008          710,365     -16,643

ブロック紙も同様にABC部数を減らしている。

続きを読む »

2014年10月02日 (木曜日)

最高裁事務総局は反論できますか? 「小沢一郎検審起訴議決を”架空議決”と結論付けた”7つの根拠”」!


 

■小沢一郎検察審起訴議決を"架空議決"と結論付けた"7つの根拠"

■添付資料:証拠書類

私達市民は、4年間、小沢検察審疑惑について調べ続けた。最高裁事務総局、検察審査会事務局、東京地方裁判所、会計検査院、東京地方検察庁などには何度も足を運んだ。そして、これらの役所への情報開示請求は60回以上に及んだ。開示資料も山のように集まった。

どの開示資料も怪しいものばかりで、審査員と審査会議の実在を示す証拠は一つとして存在しなかった。【続きを読む】

 

続きを読む »

2014年10月02日 (木曜日)

文科省と読売が読売新聞ビルの20階から24階を賃貸借契約、独立行政法人・日本医療研究開発機構の本部に、一般入札で読売が落札

独立行政法人・日本医療研究開発機構が東京大手町にある読売新聞ビル(地上33階建て、2013年11月に竣工)に入居することが分かった。業界紙の報道によると、8月29日に読売新聞東京本社と文部科学省が、「今年12月から来年3月までの定期建物賃貸借契約を締結」したという。

日本医療研究開発機構の設置は、安倍内閣が今年の7月22日に閣議決定で決めた。それからひと月あまりで、読売新聞ビルへの入居が決まった。

参考:平成26年7月22日 閣議決定

続きを読む »

2014年10月01日 (水曜日)

小渕&塩崎大臣の手腕に疑問を呈す

月間テーミス10月号の連載、「政官パトロール」で、編集人の横田が「小渕経産&塩崎厚労相に早くも黄信号」という記事を書いています。

塩崎大臣、またもや日銀から秘書官を・・GPIF対策なのでしょうが、その性質から言ってなかなか「モノ言う株主」にはなりにくいのではないかと思うのであります。【続きを読む】

続きを読む »

2014年10月01日 (水曜日)

出版物に対する消費税の軽減税率問題、適用は「確実」、既得権がメディアコントロールの道具に

新聞や書籍、それに雑誌などを対象とした消費税の軽減税率の適用問題が山場を迎えている。業界紙の報道によると、日本新聞協会と日本新聞販売(日販協)が協同で、「100万人署名」を展開している。

出版物に対する軽減税率の問題は、MEDIA KOKUSYOで繰り返し報じて来たように、適用される可能性が極めて高い。マスコミは「適用は難しい」という見方をしているが、わたしは99%適用されると考えている。

理由は以下の通りである。

【1】日販協を中心とした政界工作により、既に幅広い国会議員や官僚の支持を取り付けている。たとえば、日販協の政治連盟から、150人を超える議員に政治献金が支出されている。次に示すのは、高市早苗総務大臣に対する政治献金の証拠である。

参考:高市早苗総務大臣への政治献金(2009年度・奈良県選挙管理委員会)

高市氏への政治献金は、ほんの氷山の一角に過ぎない。

続きを読む »

2014年09月30日 (火曜日)

読売新聞に見る旧日本軍に関する記述の変化、過去に吉田清治氏も登場

新聞の編集方針は、時代によってころころと変化するようだ。このところ話題になっている強制連行(従軍慰安婦を含む)など旧日本軍の戦争犯罪を、読売新聞がどのように扱っていたかを調べてみた。

1985年9月27日の朝刊「顔」の欄(冒頭写真)には、吉田清治氏が登場している。改めていうまでもなく、吉田氏は、朝日の「誤報」問題の発端となった人である。吉田氏は、旧日本軍が従軍慰安婦を強制連行した旨の証言をしたが、第3者証言の不在を理由に、証言はウソだったと決めつけられてしまった人物である。

その吉田氏を読売新聞も、かつては肯定的に取り上げている。次のようなタッチである。

続きを読む »

2014年09月29日 (月曜日)

8月のABC部数、朝日も読売も微減、朝日の「誤報」と部数変動は無関係、前年同月比は読売が-61万部、朝日が-30万部

日本ABC協会が公表した8月のABC部数によると、朝日新聞と読売新聞の8月の新聞部数の変動は、ほとんど変わらないことが分かった。両者の部数比較は次の通りである。

【8月の朝刊】
朝日:7,252,277部
読売:9,233,844部

【対前月差】
朝日:-14,589部
読売:-14,602部

【対前年同月比】
朝日:-303,582部
読売:-612,990部

【8月の夕刊】
朝日:2,360,526部
読売:3,079,110部

【対前月比】
朝日:-78,710部(販売店:-78,014部)
読売:-22,104部(販売店:-20,583部)

【対前年同月比】
朝日:-370,948部
読売:-273,575部

■全国の新聞の部数変動PDF

これらの数字から、従軍慰安婦問題の「誤報」で、朝日が部数を減らしているという週刊誌や月刊誌の報道が間違いであることが分かる。以下、解説である。

続きを読む »

2014年09月26日 (金曜日)

「志岐VS八木」裁判の注目点は、「小沢検審」架空説と経理問題の根拠、志岐氏は新資料も入手、森裕子裁判の「戦後処理」②

『最高裁の罠』の著者・志岐武彦氏は、25日、歌手で作家の八木啓代氏を東京地裁へ提訴した。裁判は民事15部が担当する。

この裁判についてわたしは次のような見方をしている。名誉毀損裁判であるから、争点は当然、志岐氏が名誉毀損として指摘している八木氏による約200件のTwitterが名誉毀損に該当するか否かという点になる。しかし、客観的にみると、この裁判は個人の名誉よりも、もっと重大な問題をはらんでいる。

それは八木氏の一連のTwitterの引き金となっている最高裁事務総局が管轄していた東京第5検察審査会(俗に「小沢検審」)に関する数々の疑惑である。

日本の名誉毀損裁判では、名誉毀損を指摘された文章表現や発言に公益性があることや摘示内容が真実、あるいは真実に限りなく近いことを被告側が立証しなければならい。立証責任は八木氏の側にある。

◇新たな疑惑も浮上

「小沢検審」に関する疑惑は、MEDIA KOKUSYOでも繰り返し取り上げてきたが、志岐氏の一貫した主張は、小沢検審が架空であったと推測するに足りる十分すぎる証拠が存在する、というものである。

これは市民オンブズマンの石川克子氏の協力を得て、最高裁事務総局などに対して情報公開請求を繰り返し、膨大な量の資料を入手し、それを丹念に分析した結果、たどりついた根拠のある推論である。「妄想」ではない。

八木氏は、TWITTERなどを通じて、志岐氏の理論を「妄想」などと主張してきた。従って法廷では、志岐理論が妄想かどうかを検証せざるを得ない。すなわち法廷で志岐氏の理論が問われるのだ。

わたしは特に次の点に注目している。

検察審査のクジ引きソフトが、不正操作できる仕組みになっている疑惑の再検証。(これについては森裕子氏が議員の特権で調査し、『検察の罠』に詳しく記している)。

検察審査会が起訴相当の議決を下す前に、義務づけられる検察官による意見表明が行われていない疑惑の解明。志岐氏らが情報公開で得た検察官の出張記録によると、小沢検審の議決前に、担当検察官が小沢検審に出張した記録がない。

森議員の要請で、会計監査院が検察審査員(あるいは架空の検察審査員)に対する旅費支払いの有無などを調査したところ、肝心の「小沢検審」に関する調査は行っていなかった事実が判明した。(これは石川克子氏が膨大な資料を精読した結果判明した。ななめ読みしていれば、見落としていた可能性が高い)

検察審査員(あるいは架空の検察審査員)に対する旅費支払いの発議日が小沢検審ではばらばらになっている事実。これも情報公開で判明した。

だれが週刊朝日などに、検察の捏造報告書をリークしたのか。ルートは2つしかない。(窃盗のケースを除く)検察内部の者が捏造報告書を持ち出した可能性。小沢弁護団を介して何者かが、外部に持ち出した可能性。

ほかにも最近になって志岐氏が新たに入手した裏付け資料が存在する。たとえば検察審査会の経理を担当している東京地裁の経理書類を、何者かが修正液を使って偽造した疑惑が浮上している。また、原本のコピーとされる書類に記された金額の字体などが、原本と一致していない。この書類の原本は、会計監査院が保管している。

これに関して志岐氏は、東京地裁に説明を求めている。現在、東京地裁は総がかりで調査しているので、真相が分かり次第にMEDIA KOKUSYOでも報告したい。

(これに関しては実物のコピーがあるので、東京地裁の説明に道理がない場合、あるいは説明しない場合は、MEDIA KOKUSYOでも公開します。)

続きを読む »

2014年09月25日 (木曜日)

森裕子裁判の「戦後処理」、勝者の志岐武彦氏が25日に歌手の八木啓代氏を提訴、Twitterで「虚言癖」「早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います」

『最高裁の罠』の著者で、7月に判決が下された森裕子裁判に完全勝訴した志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏に対して、200万円などを請求する名誉毀損裁判を起こすことが分かった。訴状は、25日に東京地裁に提出される予定。

八木氏は、ラテンアメリカと日本を往復しながら、歌手、作家、市民運動家として活動している。みずからのTWITTERのプロフィールは、自身の生き方について次のように述べている。

 立てば歌い手、座れば作家、歩く姿は放浪者。 座右の銘は「敵もできないような無難な人間になってはいけない」 Cantando se recrea esta mujer. この人何なの?と思われた場合は、とりあえず名前をググってください。Wikipediaなどに項目があります。

◇繰り返された「妄言癖」という表現

提訴の理由は、森裕子氏と志岐氏が、検察審査会の「闇」(東京第5検審が、2009年9月14日の民主党代表選の当日に、候補者だった小沢一郎氏に対して起訴相当の議決を下した事件)をめぐる解釈の違いから、ネット上で論争した際に、Twitterで執拗に志岐氏を誹謗中傷し続けたというものである。

参考記事:森裕子裁判が提起した最高裁事務総局の問題、だれが検察の捏造報告書をリークしたのか? ルートは2つしかない 

TWTTER攻撃は、2013年5月から始まり、2014年7月18日の「森裕子―志岐裁判」判決当日まで延々と続いた。ちなみに判決当日のツイートは次のようなものである。

卑劣な奴はとことん卑劣という好例ですね RT @moriyukogiin 裁判について小倉秀夫弁護士が説明文を RT ……

志岐氏が特に「許しがたい」としているのは、TWITTERの次のような表現である。一部を紹介しよう。

とにかく明らかなのは、志岐さんには、誰もかけていない電話が聞こえ、会ってもいないのに会った記憶が作られ、そこでは、志岐さんに都合の良い事実が曝露されるらしいことである。早急に病院に行かれた方がよろしいかと思う

ちなみに、どうせまともな人は信じないので改めて書く必要もないと思いますが、志岐氏が昨日付けブログに書いていることは、すべて妄想です。かなり症状が進んでいるなと思います。早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います

病的な虚言癖でなければそういうことになりますね

人格障害の可能性もありますね

病的な虚言癖」でなければそういうことに

自著を売るために、証拠もないのに妄言を並べているだけ。RT・・・

志岐さんは妄想の世界に入られました。私は私で独自の路線ですRT・・・

(注:太字は黒薮)

「早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います」といった精神障害者やキリスト教徒を、高慢な視点で蔑視した表現もある。

続きを読む »

PICK UP

横浜副流煙裁判、カウンター裁判で藤井敦子さんらが敗訴、検証が不...

横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙...

福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策...

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...

西日本新聞押し紙訴訟判決とオスプレイ搭乗記事の掲載について―モ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・ 江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月20日 11月28日(木...

関東地区新聞労連役員会における意見発表について -モラル崩壊の...

福岡・佐賀押し紙弁護団・ 江 上 武 幸 (2024年「令和6年」12月19日) 去る11月29日(金...

動画で見る「押し紙」回収の現場

「押し紙」の回収現場を撮影した画像を紹介しよう。新聞社は、回収されている新聞は、「押し紙」ではないと主張して...

「押し紙」関連資料の閲覧制限、問われる弁護士の職業倫理、黒塗り...

「押し紙」裁判を取材するなかで、わたしは裁判書面に目を通す機会に接してきた。弁護士から直接書面を入手したり、...

「香害、すなわち化学物質過敏症」の誤り、1月に2つの判決、横浜...

別稿・事件の概要 来年2025年の1月に、横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が下される。詳細は次...

国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発...

インターネットのポータルサイトにニュースが溢れている。衆院選挙後の政界の動きから大谷翔平選手の活躍まで話題が...

モラル崩壊の元凶 ―押し紙― 西日本新聞押し紙訴訟判決期日決...

2024年10月15 (文責)福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士江上武幸 第1 はじめに  西日本新聞...

訴状を公開、毎日新聞の「押し紙」裁判、約1億2000万円を請求...

福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(9月2...

「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、...

読売新聞社会部(大阪)が、情報提供を呼び掛けている。インターネット上の「あなたの情報が社会を動かします」とい...

モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ

福岡・佐賀押し紙弁護団  弁護士 江上武幸(文責) 2024年(令和6年)9月20日 兵庫県で毎日新聞販...

「香害」をめぐる診断と議論、メディアに氾濫する誇張された被害の...

柔軟剤や煙草など、広義の「香害」をどう診断するかをめぐる議論が沸騰している。日本では、「香害」による体の不調...

―モラル崩壊の元凶、「押し紙」― 西日本新聞・押し紙訴訟の報...

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 去る7月2日、西日本新聞販売店を経営していたAさ...

西日本新聞「押し紙」裁判、証人尋問で残紙部数を把握した機密資料...

長崎県の元販売店主が2021年に起こした西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、7月2日の午後、福岡...

7月2日に尋問、西日本新聞の「押し紙」裁判、福岡地裁で、「4・...

西日本新聞社を被告とする「押し紙」裁判の尋問が、次のスケジュールで実施される。 場所;福岡地裁 903...

PICK UP

国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサ...

『週刊金曜日』(6月7日付け)が、「報道の自由度、世界ランキング70位でいいのか」と題する記事を掲載している...

読売新聞押し紙訴訟 福岡高裁判決のご報告 ‐モラル崩壊の元凶「...

福岡・佐賀押し紙訴訟弁護団 弁護士・江上武幸(文責) 2024(令和6年)5月1日 長崎県佐世保...

読売「押し紙」裁判、喜田村洋一(自由人権協会代表理事)らが勝訴...

読売新聞「押し紙」裁判の続報である。読売の代理人を務める自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士らが、大阪高裁...

しばき隊による大学院生暴行事件、加害者が取材していた作家を提訴

添付した写真は、2014年12月の深夜に、大阪北新地で40分に渡って殴る蹴るの暴行を受けた大学院生(当時)の...

読売新聞「押し紙」裁判、判決日を3月28日に急遽変更、不自然な...

大阪高裁は、3月7日に予定していた読売新聞(大阪)を被告とする「押し紙」裁判の判決日を、急遽延期した。新しく...

市民運動の外圧に屈した『週刊金曜日』、タブーなき編集方針はどこ...

次の記事は、『紙の爆弾』(2023年10月号)に掲載した記事のネットでの再掲載である。原題は、「週刊金曜日 ...

台湾の蔡英文総統と全米民主主義基金(NED)のずぶずぶの関係、...

米国の外交政策を考えるときに、欠くことができない視点がある。それは全米民主主義基金(NED = Nation...

化学物質過敏症の診断をめぐる新しい流れ、一定の割合で精神疾患

化学物質過敏症がクローズアップされるようになっている。化学物質過敏症は、文字どおり、ある種の化学物質を体内に...

横浜副流煙裁判を描いた映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立...

映画『[窓]MADO 』が、ロンドン独立映画賞(London Independent Film Award)...

市民運動に対するタブー 『週刊金曜日』と『人権と利権』の書籍広...

株式会社金曜日の植村隆社長が鹿砦社の『人権と利権』に「差別本」のレッテルを張った事件からひと月が過ぎた。7月...

多発する携帯電話の基地局設置をめぐるトラブル、楽天モバイル、人...

携帯電話の基地局設置をめぐる電話会社と住民のトラブルが絶えない。この1年間で、わたしは40~50件の相談を受...

ジャニー喜多川のパワハラ、報道のタイミングが25年遅れた 

ジャニー喜多川の性癖が引き起こしたパワハラにようやくマスコミの光があたった。とはいえ報道のタイミングがあまり...

新刊の『新聞と公権力の暗部』-(「押し紙」問題とメディアコント...

新刊の『新聞と公権力の暗部』-(「押し紙」問題とメディアコントロール)《鹿砦社》の書店販売が開始された。 ...

「押し紙」驚愕の実態 新聞社不正収入35年で3兆円以上、統一教...

◆「押し紙」による不正収入は年間932億円規模 田所 実態として日本には5大紙を含め地方紙もたくさんあ...

【転載】「日本では、主要メディアと政府との距離が非常に近い」─...

情報には国境がなく、知ろうとする意思さえあれば、名も知れぬ国の天気や画像や中継動画までをも確認することができ...

ウィキリークスの創立者ジュリアン・アサンジをめぐる問題、言論弾...

ウィキリークスの創立者ジュリアン・アサンジをめぐる問題、言論弾圧という西側諸国の汚点 黒薮哲哉 ウィキ...

新聞業界から政界へ政治献金598万円、103人の政治家へ「お小...

昨年の11月に総務省が公開した2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598...

原告準備書面(2)(3)、藤井敦子陳述書の公開、日赤医療センタ...

横浜副流煙裁判の「反訴」で原告が裁判所へ提出した3件の書面を公開しよう。3件の書面は、事件の核心をずばり突い...

毎日新聞社長室へ公開質問状、「押し紙」問題についての見解、販売...

企業には広報部とか、広報室と呼ばれる部門がある。筆者のようなルポライターが、記事を公表するにあたって、取材対...