公共事業は諸悪の根源⑮ デッチ上げまでした司法 その1 【前編】
吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)
「官僚も、ジャーナリズムも、そして裁判所までが! 無駄な公共事業を追及し続けた記者の見たものは、そのすべてが壊れたこの国の姿だった」。私の著書「報道弾圧」(東京図書出版)の帯に書いた文章です。
「公共事業は諸悪の根源」シリーズは、そのダイジェスト版です。現行憲法15条で、官僚・政治家は、「国民全体の奉仕者」と定めています。しかし、シリーズ①―④「長良川河口堰に見る官僚の際限ないウソ」では、官僚・政治家が利権に目がくらみ、「国民全体の奉仕者」には程遠く、いかに壊れていたかを報告しました。
ジャーナリズムは、21条で定める「表現の自由」を国民に発揮してもらうため、情報提供する「奉仕者」、21条の担い手です。しかし、⑤―⑭「ジャーナリズムでなくなった朝日」で報告したように、派閥腐敗で壊れていました。自浄作用が働かないまま、「人々の知る権利」に応えず、「権力監視」という基本的な責務さえ放棄したのです。
この国が何故、1000兆円もの借金を抱え、超高齢化社会の中で身動きが取れなくなったのか。もう読者の皆さんは、嫌と言うほどの具体的事実をもって原因をお分かり戴けたのではないかと思います。
今回から、私が朝日に対して不当差別で訴えた損害賠償訴訟の成り行きについて、報告して行きます。結論を先に言えば、この裁判で私は敗訴しました。判決では、「取材不足があったから、記事にならず、朝日に不当性はない」と言うものでした。