取材を要する奇妙な博報堂の見積書と、CMコードの非表示・代筆放送確認書の関係

博報堂とアスカコーポレーションの裁判の中で、次々と疑惑が浮上している。その中でもとりわけ放送倫理の観点から問われているのは、視聴率の偽装とCMコードが無表示になった放送確認書、それに通販番組の「休止→料金の請求→番組枠の転売」である。
放送に関係したこれら一連の問題をアスカが本格的に調査するようになった引き金は、わたしが取材したところ、博報堂の遠藤常二郎弁護士らが執筆した原告準備書面(2)だった。


博報堂とアスカコーポレーションの裁判の中で、次々と疑惑が浮上している。その中でもとりわけ放送倫理の観点から問われているのは、視聴率の偽装とCMコードが無表示になった放送確認書、それに通販番組の「休止→料金の請求→番組枠の転売」である。
放送に関係したこれら一連の問題をアスカが本格的に調査するようになった引き金は、わたしが取材したところ、博報堂の遠藤常二郎弁護士らが執筆した原告準備書面(2)だった。
フリーランスで報道活動を行っている寺澤有、林克明、それに筆者(黒薮)の3名は、7月5日、日本弁護士連合会に対して、スラップ対策の研究チームを設置するように、日弁連に申し入れた。(動画は、その後、司法記者クラブで行った記者会見)
スラップとは、「公共性のある問題をテーマとしたジャーナリズム活動や住民運動を抑え込むために、言論抑圧を一次的な目的として、企業や政府など優越的な地位にいる者が、フリージャーナリストや住民運動家などを相手に提起する高額訴訟」のことである。
申し入れの内容は次の通りである。
神奈川県湯河原町に住む老婦人が殺害され、自宅が放火された事件から1年が過ぎた。この湯河原事件は、2015年4月21日の早朝に発生した。
新聞販売店から得た情報によると、この事件の容疑者に元新聞拡張団の男が浮上しているらしい。販売店の店主が次のように話す。
「警察が公開捜査に踏み切ったところ、新聞セールス団の団員のひとりが警察に通報したという話です。セールス団の飲み会があり、容疑者の男が事件のことをもらし、それを聞いていた他の団員が警察に通報したようです。わたしの店にも警察が来ました」
老婦人は額に包丁が刺さった状態で発見された。66歳だった。

博報堂とアスカコポレーションの係争の中で、広告にまつわる奇妙な事件が発生した。アスカが発行する月刊通販誌に他社の広告が掲載されたのだが、広告主と博報堂の間で、取り引き契約が結ばれていなかった疑惑があるのだ。
事実、アスカに対する広告料金の支払いも行われなかった。博報堂も「広告費の差引計算がなされていない事実は」裁判書面(第2準備書面)の中で認めている。
ただ、損害額については、アスカが1260万円としているのに対して、博報堂は「否認」している。
この事件の渦に巻き込まれた広告主は、着物や宝飾の販売などを業としている京都きもの友禅と、旅行代理店のHISである。
支払いが履行されなかった広告が掲載された年月日は次の通りである。

8年前にウェブサイト「MyNewsJapan」に筆者(黒薮)が書いた記事に対し、毎日育英会(新聞奨学生制度を運営)の寺島哲弁護士から、記事の削除を求める通告書が届いたことを読者はご存じだろうか。
寺島哲弁護士が削除を要求している記事は、毎日新聞販売店(東京板橋区)で働いていた新聞奨学生が、ほとんど無報酬で集金業務に従事している実態、弁当代のピンハネ、それに重労働などを内部告発した次の記事である。
言論の抑圧行為に対して筆者は、徹底して反撃するのが方針なので、その第1段として、まず寺島弁護士の通告書を公開しておこう。MyNewsJapanでもすでに公開されているが、繰り返し報じるのがメディア黒書の方針なので、再度、掲載しておこう。

BPO(放送倫理・番組向上機構)という団体をご存じだろうか。この団体は端的に言えば、「放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関」(ウェブサイト)である。
視聴者から番組などに関する申し立てを受けて、BPOが重要と判断した問題に関して、意見を表明してきた。
このBPOに対して、筆者は先週、次の4件の申し立てを行った。
①朝日放送が「噂のお買い得セレクション」(2011年3月15日、27:42~29:12の放送予定)を休止したにもかかわらず、クライアント(通販のアスカコーポレーション)に対して、CMを仲介した博報堂から料金が請求されていた問題。
②テレビ北海道が「テレショップ」(2011年3月15日と22日、27:00~27:30の放送予定)を休止したにもかかわらず、クライアントに対して、CMを仲介した博報堂から、料金が請求されていた問題。
③テレビ愛知が「サーズデープレゼント」(2011年3月17日の10:30~11:00の報道予定)を休止したにもかかわらず、クライアントに対して、CMを仲介した博報堂から、料金が請求されていた問題。
④博報堂がクライアントに提示した番組提案書の中に記された視聴率のデータが偽装(ビデオリサーチのデータ)されていた問題。
※注:但し、上記資料の14ページのデータは、出典となっている番組提案書に記された数値が何を指しているのか曖昧なので、参考の数値とする。紛らわしい数値の提示により、クライアントに数値の意味を誤解させ、意図的に高い視聴率のような印象づけをさせようとする意図が感じられる。
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)
部数減に歯止めがかからないまま6月24日、大阪・中之島のホテルで朝日新聞社の株主総会が開かれた。朝日批判の急先鋒である「週刊文春」のスクープばかりが目立つなか、「ジャーナリズムの使命は権力監視」を標榜する朝日に意地はないのか。
だが、総会に出席してみて、経営陣の危機感の乏しさ、とりわけ「対権力」への緊張感の欠如に失望するしかなかったのだ。
朝日は2014年8月の従軍慰安婦報道の検証記事以降、部数を大幅に減らしている。日本ABC協会調査では同年6月に740万部があったのが、社長謝罪会見後の10月に700万部と40万部急減。今年4月には660万部となっている。
「1000万部」の発行部数を誇って来たライバルの読売も、4月部数は900万部を僅かに切るまでに減っている。しかし、やはり朝日の部数減が目立っている。
その影響は広告費にも及んで、今期の朝日決算は総営業収入の2748億円で、前期比138億円減。しかし、社員の給与改革などの経費削減で営業利益は78億円、前期比40億円増を確保した。「減収」ながら「増益」決算を渡辺雅隆社長は誇らしげに報告した。
通販番組が休止になったにもかかわらず、番組企画を仲介した広告代理店の博報堂が、放送枠の主であるアスカコーペレーションに料金を請求していた事件が拡大の様相を見せている。「番組の休止→料金請求」の不正パターンは1件でないことが分かった。
東日本大震災の混乱時期の事件で、博報堂に悪意があったかどうかは分からない。悪意があったとすれば、「火事場泥棒」ということになる。
筆者は防衛省に対して、8日、次の内容で情報公開請求の書面を送付した。
電通と博報堂が陸・海・空自衛隊に提出した請求書の全部

BPO (放送倫理・番組向上機構)に対して筆者は次の申し立てを行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
番組名:噂のお買い得セレクション
放送局名:朝日放送
放送日:2011年3月15日
放送時間:27:42~28:12
続きは、次のPDFで。
ここで示した「噂のお買い得セレクション」をめぐる問題は、筆者が取材しているテレビ関連の事件の一部に過ぎない。氷山の一角だ。視聴率の偽造やCMの「間引き」疑惑なども発覚している。
博報堂の事件は、日本の放送界を舞台とする前代未聞の経済事件の様相が強い。テレビ界の在り方が根底から問われているのである。ある意味では、新聞社の部数偽装問題よりも深刻だ。テレビは圧倒的な影響力を持つからだ。
それが後述するように、関係者の極端な「拒否反応」を生んでいる原因かも知れない。

『月刊Hanada』(7月号)に掲載した筆者(黒薮)の記事に対して、読売新聞の滝鼻太郎広報部長が抗議文を送りつけてきた。これに対する筆者の反論を作成した。反論は形式上は滝鼻氏に宛てたものになっているが、読者にも理解できるように構成した。
滝鼻氏の抗議の中身は、究極のところ真村訴訟の福岡高裁判決が読売の「押し紙」を認定したとするわたしの判例解釈は間違っているというものだ。わたしはかねてから、社会の「木鐸」といわれる新聞社がかかわってきた(広義の)「押し紙」問題のように公共性が極めて強い問題は、公の場で論争するのが、係争の理想的な解決方法だと考えている。とりわけ言論人にはそれが求められる。
従って、滝鼻氏にもメディア黒書のサイト上で、あるいは自社・読売新聞の紙上で自分の意見をより詳しく公表してほしい。反論権は完全に保証する。
もちろん滝鼻氏には、近々、公式に「押し紙」問題についての論争を申し入れる。
本来、論争に先立って滝鼻氏の抗議文を公開するのが、相手に対する配慮であるが、実は2008年、読売の法務室長がわたしに送付した催告書をメディア黒書で公開したところ、著作権違反で提訴された経緯があるので、今回は滝鼻氏の承諾を得られれば公開する。ひとには公表を控えたい文書もあるものなのだ。
■参考記事:喜田村洋一弁護士が作成したとされる催告書に見る訴権の濫用、読売・江崎法務室長による著作権裁判8周年①
なお、滝鼻氏が問題としている真村訴訟の判決は、次のリンク先で閲覧できる。読者は、判決の中で読売の「押し紙」、あるいは「押し紙」政策が認定れていないとする滝鼻氏の見解の是非を自身で検証してほしい。
【反論文の全文】
貴殿から送付されました抗議書に対して、記事の執筆者である黒薮から回答させていただきます。まず、貴殿が抗議対象とされている箇所を明確にしておきます。と、言うのも貴殿の抗議書は、故意に問題の焦点を拡大しており、そのために議論が横道へそれ、本質論をはずれて揚げ足取りに陥っているきらいが多分に見うけられるからです。
貴殿が問題とされている箇所は、枝葉末節はあるものの、おおむね『月刊Hanada』 (7月号)に掲載された「公取が初めて注意『押し紙』で朝日も崩壊する」(黒薮執筆)と題する記事の次の引用部分です。この点を確認し、共有する作業から、わたしの反論を記述します。
「裁判の結果は、真村さんの勝訴でした。2007年12月に、最高裁で判決が確定しました。裁判所は「真村さんが虚偽報告をしていたのは批判されるべきだが、その裏には読売の強引な販売政策があった」との見解を示し、真村さんの地位を保全したのです。この裁判で裁判所は、新聞史上初めて、押し紙の存在を認定したのです」
2016年07月06日 (水曜日)

携帯電話やスマホの通信に使われるマイクロ波による人体影響が否定できなくなっている状況のもと、市民団体ガウスネットは、9日(土)に東京板橋区で「科学技術依存社会を考える」と題するシンポジウムを開く。詳細は次の通りである。
◇マイクロ波と発ガン
WHOの傘下にあるIARC(国際がん研究機関)は、2011年5月31日、マイクロ波に発癌の可能性があると発表した。
IARCは、化学物質やウイルス、それに放射線など約800種の発癌性リスクについて、次のように分類している。
「1」発癌性がある
「2A」おそらく発癌性がある
「2B」発癌性の可能性がある
「3」発癌性の分類ができない
「4」おそらく発癌性はない

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