2021年01月25日 (月曜日)

大阪府(吉村洋文知事)の『府政だより』の発行部数に関して疑惑が浮上している。この問題については、1月22日付けの記事で、新聞折込部数がABC部数を下回り、「水増し」とは言えないと報告したが、その後、過去の取材記録を再検証したところ、次の疑問点が明らかになった。
既報したように筆者らは、都道府県が発行する広報紙の新聞折り込み部数について調査している。このうち大阪府が筆者に公表した『府政たより』の発行総部数と新聞折込部数が、1回目の取材と2回目の取材では異なっているのだ。
1回目の取材では、関連するデータについて大阪府は次のように報告していた。
発行部数:約282万部
新聞折込部数:約277部
(ABC部数は約232万部で、『府政たより』は45万部水増し)
新聞折込が45万部ほど水増し状態になっている疑惑が浮上したのだ。そこで筆者は、大阪府に対して公式に情報公開請求を申し立てた。
ところが大阪府は、開示には積極的ではなかった。情報開示には第3者の承諾が必要などとして、速やかに公開しなかった。その代わりにメールでこれらに関するデータを提供すると提案した。
その結果、送られてきたデータが次の通りある。2回目の取材のデータである。
発行総部数: 232部
新聞折込部数:227部
(ABC部数は約232部で、『府政たより』は水増し状態にはなっていない)
『府政だより』の新聞折込部数は水増しにはなっていないが、1回目の取材時に比べて、発行総部数が50万部減部数されている。また新聞折込部数は、約50万部が減部数されている。1回目の取材時に得たデータと、2回目の取材時に得たデータが異なるのだ。
1回目の取材で筆者が、『府政だより』の水増しを指摘したので、大阪府は情報公開をしぶり、非公式のデータ(総発行部数を50万部、新聞折込部数を50万部減らしたデータ)を筆者に通知した可能性がある。
今後、筆者は当初の方針どおり公式に情報公開請求を行うことにした。過去10年を対象として『府政だより』の総発行部数と新聞折込部数の開示を請求する。

先日、地下鉄の車両に貼られた日能研の広告を見て唖然とした。日脳研は、小学生のための中学受験塾である。広告の中で、次に引用する作文の設問が紹介されていたのだ。このような作文の設問で、小学生を指導しますということなのだろう。
「魚にとって、性は、私たち人間が思っているよりもずっと自由なものなのだ。男らしいとか、女らしいなど、魚にとってはそれほど重要なことではないのだ。」とありますが、人間社会でも「男らしい」「女らしい」と区別しなくなってきています。その例としてどのようなことがあげられますか。それに対するあなたの意見とそう考える根拠を書きなさい。
この設問を読んだ時、わたしは自分が生まれ育った国の知的レベルが致命的に劣化し、将来、日本は世界から孤立しかねないと思って、寂しい気持ちになった。洗脳の恐ろしさと大罪を思った。
おそらく受験のために作成された設問ではないかと想像するが、「教育者」がこのレベルでは絶望的だ。
設問の何がおかしいのかと言えば、まず、第一に魚の世界でも、性に関する認識が存在するという前提に立って、設問していることである。出題者の知的レベル、あるいは基礎学力が問われるのだ。【続きはウェブマガジン】
2021年01月22日 (金曜日)

新聞折り込みの際の水増しの疑惑がかかっている『府政だより』について、大阪府の広報部は、折込定数(新聞に折り込まれる『府政だより』部数)を公表した。
それによると2020年の11月時点における、『府政だより』の新聞折り込み部数は、2,273,200部だった。
これに対して新聞の発行部数を示すABC部数は、2020年4月の時点で、2,321,305部である。
ABC部数の方が約48万部多い。
※最初の取材時に大阪府は、全体の発行部数が282万部、折込枚数が277万部と説明している。
※ABC部数は4月と10月に公表され、適用期間は次のようになっている。4月の部数は「6月から11月の広告営業」に、10月の部数は「12月から翌年の5月の広告営業」に活用される。
しかし、5万部程度では、新聞販売店に残紙(広義の「押し紙」)があれば、『府政だより』が水増しになっている可能性が高くなる。そこで大阪府の販売店に残紙があるかどうかの検証が必要になる。幸いに、筆者の手元に広域における産経新聞の残紙の実態を示す内部資料がある。
これは「平成28年7月度 カード計画表」と題する資料で、その中に大阪府の寝屋川市、門真市、箕面市、四条畷市など(北摂第3地区)を地盤とする21店における「定数」(搬入部数)と、「実配数」が明記されている。
下記の公開資料では店名を匿名にした。「定数」(新聞の搬入部数)の総計は、4万8899部。これに対して「実配数」は、3万5435部である。差異の1万3464部が残紙である。予備紙として社会通念上認められている若干の部数を除いて、残りは「押し紙」ということになる。残紙率にすると28%である。
この地区にある産経新聞・販売店に搬入される新聞のうち少なくとも28%は残紙であり、『府政だより』と一緒に廃棄されていた可能性が濃厚だ。
内部資料が外部にもれたのは、販売店を訪問した産経の担当員が店にこの資料を置き忘れたことである。
次に示すのが資料の実物である。
産経以外の新聞の残紙率がどの程度あるかにもよると、産経と同様に28%もあれば、『府政だよりは』やはり水増しになる。
【参考記事】■大阪府の広報紙『府政だより』を毎日新聞社系の印刷会社が印刷、請負先の代理店は福岡市のホープオフセット共同企業体、新聞折込部数については情報公開請求中
2021年01月21日 (木曜日)

東京都が発行する広報紙、『広報東京都』が水増し状態になっている高い可能性が浮上した。東京都によると、『広報東京都』の折込定数(新聞折り込み部数)は、282,1000部(2020年4月)である。これに対して東京都全域における新聞発行部数(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経のABC部数)は、2,777,430部である。
新聞に折り込まれる『広報東京都』の部数が新聞発行部数を約4万部ほど上回っている。この過剰になった4万部を予備部数とみなすこともできるが、それは残紙(広義の「押し紙」)が1部も存在しない場合の解釈である。しかし、実際は東京都でも大量の残紙が確認されている。
たとえば右の写真は、江戸川区内の販売店で撮影した残紙である。
広報紙の場合、新聞の搬入部数と折込定数が原則的に一致しているので、残紙が廃棄されていれば、それに相応した広報紙も廃棄されていることになる。
ちなみにこの商取引では、読売PR社が広告代理店として、東京都と販売店を仲介している。
東京都は当初、折込定数を非公開にしていたが、筆者らの強い要請に応じて、20日に公表に踏み切った。筆者に対して電話で通知してきた。全国の都道府県のうち、折込定数を公表していなかったのは東京都だけだった。
◆◆
既報してきたように、東京都では、『広報東京都』だけではなく、都を構成する区が発行する広報紙が水増しされている例が確認されている。筆者が東京の23区を対象に、調査したところ、23区のうち12区で広報紙が水増しされていた。次の記事で詳細を確認できる。
2021年01月20日 (水曜日)

「電磁波からいのちを守る全国ネット」のウエブサイトより転載。
昨年の秋ごろから、基地局設置をめぐるトラブル相談が「全国ネット」へ多数寄せられている。その9割以上が楽天基地局に関するものである。そのほかにソフトバンク、KDDI、ドコモの基地局に関する相談も寄せらた。
各電話会社との対応状況は次の通りである。
■楽天
相談があった。トラブル件数は多いが、楽天は一応は住民の意思に配慮している。トラブルの大半は解決している。
千葉市で小学校へ複数の基地局を設置したケースがある。
■KDDI
相談があった。住民の抗議を無視して強引に工事を強行したケースが複数件ある。警察も出動している。
■ソフトバンク
相談があった。神奈川県川崎市のケースでは、担当者との連絡がなかなか取れない。直通電話もメールも公表しないので交渉に手間取る。テレビCMで描かれた善良な家族のイメージではなかった。
■ドコモ
相談があった。
◆◆
公有地(公園、学校など)へ基地局を設置したケースでは、設置場所の賃借料が、私有地の場合と比較して各段に安い。地域により価格差があるが、たとえば埼玉県朝霞市岡3丁目の城山公園に設置されたKDDI基地局の場合は、年間で3400円である。ビルの屋上に設置した場合の相場は、50万円から80万円ぐらいである。
公有地に基地局が設置され、賃借料が相場からかけ離れている場合は、市長を被告として、実際の賃借料と相場の賃借料の差額を市に支払うように求める住民訴訟を提起することができる。
電話会社に土地を提供した地主が、賃借契約を結んだ後に、住民から電磁波問題を指摘されてはじめて電磁波のリスクを知ったケースもある。このような場合、電話会社が電磁波の「非熱作用」説の存在を説明していない可能性が高く、地主は説明義務違反で電話会社を提訴して、契約を無効にできる可能性もある。
行政の対応は、基本的に電話会社に配慮しており、基地局に関する情報公開には応じない。従って、住民は基地局の所有会社を特定することすらもできない。基地局から放射されている電磁波の周波数や電力密度も把握できない。
基地局問題が発生したときの電話会社の言い分は、自分たちは、総務省の電波防護指針を遵守しているから、人体への影響はないというものである。
住民説明を開かないまま基地局を設置したケースもある。
◆◆◆
対策としては、電磁波についての住民学習会の開催、署名活動の展開、地方自治体レベルで基地局設置を規制する条例を制定させる活動の展開、商品不買運動などがある。

今週の『週刊金曜日』(1月15日号)に、「押し紙」に関する興味深い記事が掲載されている。タイトルは、「新聞社が『販売店の提案部数を尊重』対等な関係で販売戦略可能に」。執筆したのは、「押し紙」問題に取り組んでいる鹿児島大学の宮下正明准教授である。
この記事は、南日本新聞の5名の現役店主が起こした広義の「押し紙」裁判だが、裁判の争点は従来型(損害賠償)とは異なっていた。争点になったのは新聞販売店が自分で新聞の注文部数を決める権利の有無である。販売店が、自分の希望で注文部数を自由に増減する権利の有無が争われたのである。
従来の「押し紙」裁判は、「押し紙」によって販売店が被った被害の賠償が目的であった。ところが南日本新聞の「押し紙」裁判では、注文部数の「自由増減」の権利が争われたのだ。
裁判は昨年の12月24日に和解で終わった。宮下准教授が鹿児島地裁で閲覧した和解条項によると、原告・被告の双方は注文部数を決めるに際、「合意に至らない場合」は、販売店主らの「提案する取引部数を尊重する」ことで決着したという。
この和解条項により、南日本新聞は実質的に「押し紙」政策が採用できなくなった。
南日本新聞のこのケースは、今後、他の新聞社の現役の販売店主が選択する新しい訴訟形態になり得る。
筆者も一度だけ原告の店主さんらにあったことがある。その時、搬入されてくる「押し紙」を、毎日、南日本新聞の本社へ運んで積み上げていると話されていた。
「ヒラメ裁判官」の多い東京地裁とは異なり、地方裁判所では、「押し紙」にメスを入れる司法判断が次々に出始めているのである。

昨年12月に判決が下された産経「押し紙」裁判(東京地裁)で、原告の販売店を敗訴させた野村武範裁判長の履歴が不自然だ。次のようになっている。
R 2. 5.11 東京地裁判事・東京簡裁判事
R 2. 4. 1 東京高裁判事・東京簡裁判事
H29. 4. 1 名古屋地裁判事・名古屋簡裁判事
名古屋地裁から東京高裁へ異動したのは、2020年4月1日。そのわずか40日後に、野村判事は東京地裁は異動して、産経「押し紙」裁判の裁判長に就任した。
野村判事は、東京高裁での40日の間に具体的にどのような仕事をして、何を理由に最高事務総局により異動させられたのか、今後の解明が必要だ。不自然な人事異動の事実を前に、「報告事件」の疑惑が浮上している。
少なくとも司法ジャーナリズムの観点からすれば、検証が必要だ。判決の結果を垂れ流すだけが、司法ジャーナリズムではないだろう。
ちなみに新聞社が被告となった事件では、過去にも不自然な事例がある。携帯電話の基地局撤去をめぐる事件でも、類似したケースがある。前者は国家によるメディアコントロールの問題と、後者も国家による電波政策の問題とかかわりを持っている。
◆◆
「報告事件」というのは、最高裁事務総局が判決の方向性を決める事件のことである。その具体的な手口は、裁判官の人事異動である。たとえばある事件で被告企業A社が敗訴する公算が強くなったにもかかわらず、最高裁事務総局がA社を勝訴させたい意向を持っている場合、事件の担当裁判官を交代させることで、判決の方向性を変えると言われている。国策がからんだ裁判に多いようだ。
事件を担当する書記官が、最高裁事務総局に審理の内容を「報告」することから、「報告事件」と呼ばれている。大阪高裁の元判事・生田輝男弁護士らが「報告事件」を問題にしてきた。このような最高裁事務総局による「操作」が事実であれば、司法界の一大汚点である。裁判そのものがペテンということになる。司法ジャーナリズムは、この点を検証しなければならない。
◆◆
産経「押し紙」裁判は、東京地裁が舞台になった。事件の担当裁判長は、複数回にわたって産経に対し、解決金を支払って和解するように提言した。そのための期日も設けた。これは判決になった場合は、産経が敗訴する可能性を示唆している。原告を敗訴させる方針であれば、わざわざ和解を提案しなくても、判決で請求を棄却させればそれですむことだからだ。
ところがコロナウィルスの感染拡大で、東京地裁が半ば閉鎖されている時期に、この事件の裁判長が交代になった。新裁判長は、野村武範判事だった。野村判事は裁判が再開されると、早々に裁判を結審して原告を完全敗訴させた。
◆◆
以下、再検証のための基礎資料を紹介しておこう。
【参考記事】野村武範裁判長が執筆した判決文にみる論理の破綻、「押し紙」は認定するが賠償は認めない、産経新聞「押し紙」裁判の解説、判決全文を公開

本日発売の『週刊金曜日』が「『押し紙』を認めて責任認めず?」(金曜アンテナ)と題する記事を掲載している。黒薮の執筆である。この記事は、昨年12月1日に判決が言い渡された産経新聞「押し紙」裁判で、販売店を敗訴させた判決(野村武範裁判長)を批判した内容だ。
記事の中で、筆者は裁判の結審に先立って、産経の奥村毅弁護士と小泉裕樹弁護士が、期日の早期再設定(コロナウィルス感染拡大の影響で、一旦、取り消されていた)を求める上申書を裁判所へ提出し、その中で「メディア黒書」と筆者を批判していたことを報告している。紙面のスペースに制限あり、批判箇所の全体を引用できなかったので紹介しておこう。
以下、批判部分の記述である。
しかし、今般、本件訴訟につき悪質な記事がインターネットで配信されていることが発覚しました。
配信しているのは、フリージャーナリストと称する黒薮哲哉氏で、「メディア黒書」と題するサイトの本年7月22日付けの記事(http://www.kokusyo.jp/oshigami/15389/)に本件訴訟に関する記事が掲載されております。記事には、本件訴訟で提出された資料がそのまま掲載されているうえ、訴訟経過についても原告有利に事実が歪曲されています、原告が訴訟を有利に進めるために黒薮氏と連携し、記事を配信させていることが明らかです。
被告としても、当面は静観する予定でおりましたが、悪質な報道が繰り返され、エキサイトした場合は放置できないと考えております。
裁判所におかれましては、以上の事情を斟酌いただいたうえ、できるだけ早期に期日を指定していただきますよう、上申いたします。
「原告が訴訟を有利に進めるために黒薮氏と連携し、記事を配信させている」と述べている。しかし、このような事実はなく、原告を取材し広義の「押し紙」問題を公にするように促したのは、筆者の側である。「押し紙」のような犯罪的行為は、容赦なく告発するように説得したのである。
もちろん産経側から取材は受けていない。
また、「悪質な報道が繰り返さ」たと述べているが、「悪質な報道」が何を意味しているのか具体的に示されていない。
昔、「裁判となればわが方のもの」と豪語した新聞人がいたが、恥ずかしい発言である。新聞人であれば、「調査報道となればわがほうのもの」でなくてはならない。自社のメディアで「押し紙」報道を批判すればいいだけの単純な話ではないか。

2020年11月度のABC部数が明らかになった。それによると読売新聞は年間で約60万部の減部数、朝日新聞は約40万部の減部数となった。毎日新聞は、約26万部の減部数である。
全国の日刊紙の年間減部数は、約226万部である。東京新聞社が5社消えたに等しい。
新聞離れに歯止めはかかっていない。
減部数の原因は、新聞社が残紙(広義の「押し紙」)を減らした結果だと推測される。
折込広告の需要が高ければ残紙が多くても、販売店はある程度まで残紙による損害を相殺できるが、折込広告の受注が少なければ、残紙の損害を相殺できないので、新聞社は残紙を減らさざるを得ない。さもなければ新聞の戸別配達制度そのものが崩壊する。
ちなみに、紙媒体の読者と電子新聞の読者の分離は、ほぼ完了しているとみるのが妥当だ。
2020年11月度(最新)の部数は次の通りである。()内は前年同月差である。
朝日:4,892,411(−407,561)
毎日:2,045,652(−263,999)
読売:7,351,854(−602,272)
日経:2,048,943(−178,941)
産経:1,228,940(−122,302)
なお読売は年間では約60万部の減部数を招いたが、対前月差は約1万2500部の増加となっている。コロナ禍の中でも増加に転じた。
2021年01月13日 (水曜日)

全国の地方自治体が税金で発行している広報紙の水増し実態を調査している筆者らの取材チームは、東京都が制作する『広報東京都』の調査に入った。しかし、東京都は、新聞折り込み部数データを「非公表」とした。これまでに実施した都道府県を対象とした調査では、全自治体が広報紙に関する情報を開示しているが、東京都だけが拒否するかたちになった。
取材チームは、東京都に対して、メールで次の点を問い合わせた。
1、発行している広報紙の名称……広報東京都
2、総発行部数(2020年6月の時点)
3、ポスティング枚数とポスティング業者
4、新聞折込枚数
5、広告代理店
6、印刷会社
東京都からは次の回答があった。
このたびは、「広報東京都」へのご質問をいただき、ありがとうございます。ご照会のあった事項につき、下記の通り回答いたしますので、ご確認いただければ幸いです。
今後とも「広報東京都」をよろしくお願い致します。
東京都 生活文化局 広報広聴部
広報課出版担当
電話:03-5388-3093
1、発行している広報紙の名称
広報東京都
(以下2020年6月の時点)
2、総発行部数
約303万部
3、ポスティング枚数とポスティング業者
ポスティングは実施しておりません。
4、新聞折込枚数
非公表とさせていただいております。
5、広告代理店
(新聞折込み等)株式会社読売PR
6、印刷会社
あかつき印刷株式会社
黒薮注:読売PRは読売新聞社系の広告代理店である。
黒薮注:あかつき印刷は、共産党の印刷会社である。
◆◆
東京都が公表した『広報東京都』の総発行部数は、303万部である。これに対して2020年4月時点でのABC部数(公式の新聞発行部数)は、2,777 ,430部である。
約25万部が過剰になっているが、東京都の場合も他の大半の自治体と同様に、新聞折込のほかに、「都の施設、区市町村の窓口・出張所・区民センター、公立図書館、公立文化施設、郵便局、金融機関、都営地下鉄・JR・私鉄線の駅、公衆浴場、生活協同組合の店舗、医療機関、警察署、保健所、4年制大学など」にも置いているので、この約25万部が廃棄されているとは限らない。
今後の調査を要する。
ただ、次の3点を指摘しておきたい。
1、たとえ『広報東京都』の卸部数が、ABC部数を超えていなくても、新聞社の残紙問題は全国的に深刻になっており、依然として『広報東京都』が廃棄されている可能性がある。
2、筆者が東京23区を対象として、それぞれ23区が発行する広報紙の水増し実態を調査したところ、23区のうち12区で水増しが明らかになった。この調査は、情報公開請求で入手したデータに基づいており、裏付けがある。調査結果を『紙の爆弾』(2020年5月)で公表したので、読者にはその記事の概要を次のリンク先で確認していただきたい。
【調査報告】豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い
3、東京都のケースでは、仲介業者が読売系の広告代理店になっている。読売新聞は多数の新聞販売店と権益関係を持っている。従って、透明な取引という観点からすると、東京都は新聞社系ではない広告代理店を使うべきではないか。
4、『広報東京都』を印刷しているのが、日本共産党の組織であることも問題だ。共産党は、国会の場で残紙問題を追及してきた経緯がある。従って、東京都と権益関係を持っていると、『報告東京都』が水増しになっていた場合、残紙問題の追及がしずらくなる可能性がある。
◆◆
肝心なデータを非公開とした東京都に対して、今後、どのように対処するかは未定だが、おそらく過去10年に渡るデータの開示を、情報公開請求制度を通じて行うことになる。
2021年01月12日 (火曜日)

新聞拡販時のトラブルが絶えない。東京都はウエブサイトに、高齢者に対して注意を喚起する記事を掲載している。トラブルの具体例をいくつか紹介している。そのうちのひとつは、次のように拡販の実態を報告している。
2か月前、新聞の勧誘員が来訪し、購読契約を勧められたが、目が悪いので断った。しかし、景品の洗剤8個入り2箱、米(10kg)2袋を次々と差し出し、帰ろうとしない。早く帰って欲しかったので、契約書にサインしてしまった。翌日、契約書を確認すると、半年後から1年間の購読期間となっていた。半年も先の契約を強引にさせられたので解約したい。景品を受け取ってしまったので解約できないだろうか。 (契約者 90歳代 女性)■出典
新聞紙面の質が低下したことに加えてインターネットが普及したことが重なって新聞購読者が激減する状況下で、新聞拡販のターゲットが高齢者になっている。視力や認知機能の低下などに向き合う弱者を狙った悪質な新聞拡販が後を絶たない。
しかも、勧誘の際に使う景品が、伝統的な洗剤やビール券に加えて、米まで登場しているようだ。新聞販売店が米を仕入れて配達する状況が生まれている。
拡販時のトラブルに対して、東京都は次のようにアドバイスしている。
景品を受け取っていても、解約したい場合は、まずは事業者(販売店)に申し出てみましょう。事業者が、定められた上限額(※)を超える景品類の提供を行ったり、消費者の判断力が不足している状態(認知症など)で契約したときなどは、消費者の解約申し出に直ちに応じなければならないと、「新聞購読契約に関するガイドライン」に定められています。また、景品を消費していても解約できる場合があります。
※「新聞業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」に基づき、景品の上限額は、購読料(最大6か月)の8%です。
◆◆
2007年(平成19年)に国会で、悪質な訪問販売を防止する対策として特定商取引法の改正が議題にあがった。その際、新聞協会は、新聞が「公共性の高い商品」などとして、規制の強化に反対する見解を表明した。「自分たちには身に覚えがない」と言わんばかりの開き直った記述である。
1.法改正の趣旨は、悪質事業者から高齢者などを保護することであるはずだが、勧誘を拒絶する消費者に対する勧誘の禁止および勧誘意思の確認義務が、すべての訪問販売に導入されることになれば、営業活動の自由が侵害される恐れがある。規制強化は本来の趣旨に限定し、悪質事業者の違法な行為自体を取り締まれば足りるものであり、通常の営業行為は規制すべきでない。入り口の段階で、幅広く営業行為に規制の網をかけることは、過剰な規制につながる。
2.新聞は、極めて公共性の高い商品であり、広く読まれ普及することによってその公共的役割を果たすことができる。その普及の方法については、これまで訪問販売を主体にし、94%という世界的にみても最高水準の戸別配達率を達成してきた。こうした新聞の公共的役割を妨げるような過度な規制はすべきではない。一方、消費者からの苦情については、各社ごとに苦情・相談窓口を設置し、解決している。また、特定商取引法の指定商品として、新聞セールス近代化センターを設立し、悪質セールスの排除に努めるなど、自主的な改善努力を積み重ねてきた経緯があることも、ぜひご理解いただきたい。■出典
これらの記述から、「ナベ・釜合戦」と批判された過去の新聞拡販に対する反省は読み取れない。あたかも正常販売を持続してきたように描いている。かつてのような恫喝めいた拡販が激減したことは事実だが、高価な景品を使って新聞購読を締結する戦略には変わりがない。
景品と引き換えに新聞購読契約を結ぶ発想は、筆者の知る限り、南北アメリカにはない。新聞はジャーナリズムの質で販売するというのが当たり前の理念として住民の間に定着しているからだ。もっとも日本と同様に公権力の意向に配慮しながら、記事を制作する新聞社はあるが、それは社の方針であり、読者もそれを承知の上で講読している。権力構造の歯車にはなっていない。

トランプ大統領の支持者らが米国の議会党に乱入して、4人が死亡した。この事件は、はからずもベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、それに中国に対するトランプ政権の敵対戦略の手口を露呈した。
その意味では、単に米国政治を考える機会というだけではなく、米国の対外戦略(策略)を考える格好の機会を与えてくれる。とりわけ日本のメディアは、ラテンアメリカの政情をほとんど報じないうえに、報じても不正確な情報しか提供しないので、トランプ政権による他国に対する内政干渉の手口を考える糸口になる。
米国の第3世界に対する戦略は、かつては海外派兵を柱としたが、現在は、他国の市民運動を資金面でテコ入れすることで、政治的な混乱を誘発し、「反米政権」の転覆を企てる戦略へ変わりつつあるのだ。現在の米国の「市民運動」をみるとそれが輪郭を現す。
◆◆
ベネズエラとボリビアでは、トランプ政権下の時代に大統領選挙が実施された。ニカラグアの場合は、トランプ政権が発足したのと同じ2017年に左派のFSLN政権(サンディニスタ民族解放戦線)の2期目に入った。(厳密に言えば、FSLNは1985年にも政権を取っている3期目)
これらの国では、大統領選の直後、あるいは大統領選から若干の期間を経た後、「不正選挙」を口実とした反政府キャンペーンが展開された。「西側メディア」が、反政府キャンペーンを大々的に報じてきた。
国会議員選挙のレベルでも、やはりメディアは「不正選挙」の反政府プロパガンダを繰り返し展開してきた。
その反政府運動を展開してきたのは、トランプ政権の支援を得た現地の市民運動体だった。たとえばニカラグアの場合、次の4団体が、ニカラグア国内の市民運動体に対して資金援助を行ってきた。
1、 N E D(全米民主主義基金)
2、アメリカ合衆国国際開発庁
3、 米国国防省
4、 その他
このうちNE D(全米民主主義基金)は、「各国の民主化を支援する非営利団体だが、予算の大半は米政府が拠出している。人権問題が米中間の大きな懸案となるなか、中国政府はNEDを米政府の先兵とみなす」(朝日新聞)団体である。
2019年のボリビア大統領選の後には、反政府派の市民運動が「不正選挙」を口実として、クーデターを起こした。モラレル大統領は海外へ亡命を余儀なくされた。しかし、「西側メディア」はモラレス大統領が不正選挙の批判をあびて、身の安全のための亡命したと報じたのである。
この反政府キャンペーンには、米州機構が関与していたことも明らかになっている。(ボリビアでは昨年、再選挙が行われ、モラレス派が圧勝した。)
ちなみにNED(全米民主主義基金)は、香港の市民運動に対しても資金援助を行ってきた。チベット問題にも介入している。
が、日本を含む「西側メディア」は、世界各地で混乱を引き起こしてきた市民運動を、正当な運動として報じてきたのである。現在の米国の混乱については、トランプ派を批判するスタンスを取っているが、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、香港については、混乱を起こしてきたグループを擁護する報道を延々と続けてきたのである。
◆◆◆
「西側メディア」は、トランプ政権による他国に対する内政干渉については報じていない。
新聞研究者の故・新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、次のような提言をしている。
「新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、『どのような記事を載せているか』ではなく、『どのような記事を載せていないか』なのである」
仮に香港の市民運動で死者が4人も発生すれば、「西側メディア」は、大々的な報道を展開するだろう。反中国の世論を形成する格好の機会になるからだ。中国政府にも責任があるというスタンスを取るにしても、米国から支援された香港の市民運動の本質については客観的に伝えるべきだろう。民族自決主義の尊重という観点からすれば、問題がある。
現在の米国の混乱を検証すると、トランプ政権の内政干渉を柱とした戦略の手口が見えてくる。
幸いに米国での「不正選挙騒動」のデタラメが露呈したために、メディアによる反共プロパガンダは鳴りをひそめている。ただし、次のような例外はあるが。
■(毎日新聞) ベネズエラの野党指導者グアイド氏が単独会見 国会議員選「完全な不正」 「マドゥロ政権、独裁にコロナ利用」

