2015年11月24日 (火曜日)

11月16日付けの森裕子氏のTWITTER。森氏は来年の参院選に「野党統一候補」として出馬する意欲を記している。市民グループから森氏に対して、野党統一候補になるように要請があったというのだ。
来夏参院選から一人区の新潟選挙区。
市民グループから森ゆうこに対し、野党統一候補になるようにとの要請が行われた。11月15日に生活県連拡大幹事会が開催され、森ゆうこ代表が「野党統一候補」立候補を目指す!
との方針が確認された。
文中にある「市民グループ」が具体的にどの団体を意味しているのかは不明だが、「市民グループ」と「森裕子」が同じ文脈に現れると、わたしは2013年10月の一事件を思い出す。森氏が一市民に対して500万円の金銭支払いと言論活動の一部禁止を求め、辣腕・小倉秀夫弁護士を代理人に立てて一市民を名誉毀損で提訴した件である。
一市民とは志岐武彦氏のことである。
元国会議員によるスラップの可能性を疑った日本ジャーナリスト会議のフリーランス部会は、訴えられた側の志岐氏から話を聞く場を設けた。
これら一連の経緯は志岐氏の近刊『最高裁の黒い闇』(鹿砦社)に詳しい。この本には、森氏が起こした裁判の背景に、日本の司法の闇をめぐる志岐氏と森氏の論争があったことが記されている。その議論は森氏による提訴によって、法廷に持ち込まれたわけだが、不思議なことに肝心の森氏は法廷に一度も出廷しなかった。従って、わたしには訴訟の提起が単なる嫌がらせ(スラップ)に映った。国会議員によるスラップと位置付けた。
裁判は志岐氏が勝訴した。その後、志岐氏は森氏を擁護していた歌手で作家の八木啓代氏を名誉毀損で提訴した。「森VS志岐」論争に関して、志岐氏を批判する多量のツイートを投稿し続けたのが訴因だった。たとえば次のようなツイートである。
『とにかく明らかなのは、志岐さんには、誰もかけていない電話が聞こえ、会ってもいないのに会った記憶が作られ、そこでは、志岐さんに都合の良い事実が暴露されるらしいことである。早急に病院に行かれた方がよろしいかと思う』
『ちなみに、どうせまともな人は信じないので改めて書く必要もないと思いますが、志岐氏が昨日付のブログに書いていることは、すべて妄想です。かなり症状が進んでいるなと思います。早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います。』
『とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」でいらっしゃるとしか申し上げようがありません。個人的には、すみやかに病院に行かれることをおすすめしたいです。』
『Masato Shiotsu - co2@co2masato統失じゃあないですか!RT @nobuyoyagi: とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」でいらっしゃるとしか申し上げようがありません。』
【注】:「統失」は、統合失調症の意味。
『病的な虚言癖」でなければそういうことになりますね RT @co2masato 統失じゃあないですか!RT @nobuyoyagi: とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」』
『山崎氏のブログ記事からだとそういう可能性もありますね。… いずれにしても医師の診断を受けるべきかと RT @co2masato 人格障害の可能性もありますね。』
◇まず、裁判の「戦後処理」を
これに対して八木氏も、志岐氏に対して本人訴訟(弁護士抜き)で名誉毀損裁判を起こした。ところが八木氏はどういうわけか被告として、わたしの名前も加えていたのだ。「サクラ・フィナンシャル・ニュース」の次の記事で名誉を毀損されたというのだった。
■【特報】「志岐武彦VS八木啓代」の名誉毀損裁判、背景に疑惑の小沢一郎検審をめぐる見解の違い
さらに八木氏は、メディア黒書の次の4本の記事についても、名誉毀損だという自論を展開している。
■「志岐武彦VS八木啓代」裁判の本人尋問、ツイッターによる名誉毀損は認められるのか? 8日の13:30分から東京地裁
■「志岐武彦VS八木啓代」裁判の口頭弁論、7月8日に尋問の予定、注目されるツイッターの表現に対する司法判断
■「志岐武彦VS八木啓代」裁判、争点外のもうひとつの着目点「ツイッター表現に見る精神障害に対する偏見の有無」
■森裕子裁判の「戦後処理」、勝者の志岐武彦氏が25日に歌手の八木啓代氏を提訴、Twitterで「虚言癖」「早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います」
(詳細については、裁判が終わってからメディア黒書か書籍で公表予定)
つまり森裕子氏が口火を切った訴訟による「司法の闇」をめぐる論争は、また終わっていないのである。不幸にも法廷で続いている。
と、すれば森氏は問題が解決するまで森氏は、参院選への出馬を控えるべきではないか。
わたしは森氏が出馬するのであれば、新潟県の各市民団体に「森VS志岐」裁判、「八木VS志岐」裁判、それに「八木VS志岐・黒薮」裁判に関する情報を提供するつもりだ。
同時に森氏に対しては、最高裁がらみの諸問題についての見解と公約を明らかにするように求めたい。
裁判官の資質について考える機会があった。改めて言うまでもなく機会とは、18日に判決が言い渡された特定秘密保護法違憲訴訟の法廷で、谷口豊裁判長が記者クラブに対しては、判決の言い渡し前に2分間の撮影を許可したが、フリーランスのフォトジャーナリストに対してはそれを認めず、しかも、その理由説明を回避した事件のことである。
既に述べたように、18日の判決法廷では、原告のフリージャーナリストの1人が突然に立ち上がり、谷口裁判長に対してフリーランスに対しては、撮影を許可しない理由の説明を求めた。
これに対して谷口裁判長は、判決後にその理由を説明することを約束した。しかし、これに納得せず、5,6名の原告が抗議の退廷を行った。
わたしは谷口裁判長は、忠実に約束を守るものと思っていた。しかし、理由を説明することはなかった。
原告が不穏当な行動を取ったというのが前言を翻し、説明を拒否した理由らしい。しかし、質問したり、退廷する行為は原告の正当な権利である。それを理由に、約束を破ってもいいことにはならない。
今回の谷口裁判長の姿勢は、裁判官の資質を評価する大事な指標になる。裁判では裁判官に中立・公平さが求められる。法廷に立つ人々は、たいてい裁判官は中立・公正な姿勢を守りながら係争を裁くものと考えている。このようなイメージが消えると、裁判所の存在価値そのものがなくなってしまう。軍事法廷が民主主義の国で受け入れられないのは、裁判官そのものが中立の立場ではないことをが周知になっているからにほかならない。
今回、谷口裁判長が起こした差別事件を通じて、当然、わたしは谷口氏の裁判官としての資質を疑わぜるを得ない。そして特定秘密保護法違憲訴訟において谷口裁判長は、そもそも訴訟が始まった時点で、すでに国側を勝訴させることを決めていたのではないかと勘ぐる。
原告と被告の双方が提出した膨大な量の紙面を熟読したうえで、どちらの主張が正しいかを判断したのではなく、訴訟の初めから結論を決めていたのではないかを考えざるを得ない。法廷撮影をめぐる露骨な差別を通じて、わたしはそんなふうに考えるようになった。少なくとも、裁判官にとって最も大事な中立・公正の意識が欠落しているようだ。
谷口裁判長が最初から、国を勝訴せることを決めていたとすれば、1年半に渡った審理は一体何だったのか? これほど原告をバカにした話はないだろう。
国が裁判官に高給を支払い、人を裁くただならぬ特権を与えている前提には、中立・公正は裁判の遂行よりも、別の目的があるのではないか。が、今回の差別事件で、日本の裁判官の質が見えてきた。
◇判決法廷の中継が不可欠
ちなみにすでに法廷での審理や判決を実況中継している国もある。中米のグアテマラである。次に示すのは、米国の独立系テレビ局「Democracy Now! 」が放映した画像で、1980年代の初頭に先住民族に対してジェノサイド(大量虐殺)を断行した元将軍で元大統領・リオス・モントが禁固80年の判決を受ける場面を記録した動画である。
■日本語版
現在の日本では、判決の瞬間を画像で記録することは禁じられている。グアテマラよりもはるかに遅れている。
18日に東京地裁で判決の言い渡しがあった特定秘密保護法違憲訴訟で、メディアが報じなかった「密室」での事件があった。既報したように、判決そのものは原告が敗訴した。
判決が言い渡される午後3時を過ぎたころ、法廷正面の扉から黒服に身を包んだ3人の裁判官が現れて、所定の席に着いた。とはいえ、判決言い渡しの前に司法記者クラブの記者が画像撮影を行う段取りになっている。テレビのニュースなどで法廷の内部が映し出されることがあるが、その画像撮影は判決の前に行い、判決の瞬間そのものを記録に残すことは厳しく禁じられている。
改めて言うまでもなくこのような理不尽なルールがあることは、原告も知っていた。それでも原告の豊田直巳氏ら3人の映像ジャーナリストが裁判所に対して事前に撮影申請を行った。しかし、谷口豊裁判長は、それを認めなかった。記者クラブに所属する記者に対しては撮影を認めたが、フリーランスの映像ジャーナリストについては認めなかったのだ。
原告であるわたしは、原告たちの中にこの問題について釈然としない思いで出廷している人が多いことを知っていた。
■記録に残すに値する差別事件
谷口裁判長を中に2人の判事が狛犬(こまいぬ)のように両側に並び判決法廷の段取りが整った。記者クラブの記者による撮影が始まる一瞬のすきをついて原告席から元朝日新聞記者の吉竹幸則氏が立ち上がった。そして谷口裁判長に発言を求めた。
吉竹氏は、フリーランスに対しては撮影を許可しなかった理由を説明するように求めた。
谷口裁判長は、判決を言い渡した後にその理由を説明すると答えた。
これに対して吉竹氏は、撮影が終わってから説明を受けても画像記録は残らないので意味がないと反論した。
谷口裁判長は、再び判決後に説明すると繰り返した。
吉竹氏に続いてやはり原告で元読売新聞記者の山口正紀氏が立ち上がり、裁判所の差別的な扱いに対して抗議の念を現すために、記者クラブによる撮影の間、退席すると宣言して、傍聴席のエリアにある出入口へ向かった。山口氏に続いて5人の原告が退廷した。
張り詰めた空気の中で裁判所の書記官が、記者クラブの記者たちに撮影に入るように指示した。2分間の撮影の間、3人の裁判官は石像のように動かなかった。表情も変えなかった。
この後、谷口裁判長は原告を敗訴させる判決を読み上げた。判決の言い渡しでは、通常は主文しか読まないが、谷口裁判長は、判決要旨を読み上げた。
判決の言い渡しを終えると、3人の裁判官は席を立って法廷正面の「ほら穴」の中へ一列になって戻っていった。法廷から彼らの背中へ向けてブーイングが起こったことは言うまでもない。
書記官が法廷を埋めた傍聴者に退席を促した。しかし、納得できないのか、なかなか席を立とうとはしない。が、やがてぼつぼつと退廷が始まった。最後まで残ったのは、三一書房のOBで編集工房朔の三角忠氏だった。三角氏は席を立つ気配がない。やがて複数の職員が三角氏を取り囲んだ。それでも三角氏は平然と動かない。
どれだけ時間が経過したかは不明だが、三角氏はようやく腰を上げた。
再び三人の裁判官が「ほら穴」から現れた。着席してしばらく無言だったが、谷口裁判長は、「差別」理由の説明はおこなわないと前言を翻した。吉竹氏らの行動により信頼関係が損なわれたのが、説明しない理由なのだと言う。訴訟の最終段階になって、原告に裏切られたのが許せないと告白した。ただし、「これはオフレコにしてほしい」と念を押した。
「オフレコにしてほしい」と言えば、オフレコにしてもらえると考えているらしい。原告は繰り返し説明を求めたが、結局、谷口裁判長は「差別」理由を説明しないまま法廷を去った。
逮捕されたり起訴されても被疑者がその罪状を知ることができない異常な実態を正当化する特定秘密保護法に対して、はっきりと「違憲」を宣告する独立性と勇気がない裁判官に、われわれ国民は人を裁くというただならぬ特権と高給を与えてもいいものだろうか。司法が権力構造の歯車として組み込まれていると考えざるを得ないのである。疑問が多い裁判だった。
新聞やテレビが、判決後のこの事件を記録し、報じなかったことは、日本のジャーナリズムの立ち位置をよく示している。これではダメなんだ。
フリーランスのジャーナリスト・編集者・写真家など43名が、特定秘密保護法は違憲であり、取材活動を委縮させられるとして、同法の無効確認などを求めた裁判で、東京地裁は、18日、原告の請求を退ける判決を下した。
谷口豊裁判長は、特定秘密保護法が実際に適用された具体例が存在しないことを理由に、現在の段階では「法律が憲法に適合するか否かを判断することはできない」として、原告の請求を退けた。
裁判所が公開した判決要旨は、この点について次のように述べている。
我が国の法体系の下において,裁判所は,具体的な紛争を離れて,法律が憲法に適合するか否かを判断することはできない。また,具体的な紛争を前提とする場合であっても,法律の違憲無効.を抗告訴訟として争うことができるのは,例外的な事情があるときに限られる。
しかるに,本件において,原告らの主張をみても,特定秘密保護法に関する具体的な紛争が生じているということはできないし,抗告訴訟として争うことができる例外的な事情があるとも認められない。したがって,本件法律無効確認請求に係る訴えは,不適法であるから,これを却下することとした。
原告団はすでに控訴を決定している。
■解説/特定秘密保護法の性質を無視した判決
この訴訟は、2013年12月に成立し、1年後に施行された特定秘密保護法が憲法に違反するという認定を求めた憲法裁判である。ところが日本の司法制度の下では、実際に発生した具体的事件で、取り締りの根拠となった法律が適用された場合に限って、違憲か合憲を判断するのを原則としている。従って特定秘密保護法を理由とした逮捕・起訴・言論抑圧などが明確に確認できない現在の段階では、同法が違憲か合憲かを具体的事件にそくして判断しようがないから、原告の訴えを却下したというのが、この判決のポイントである。
谷口豊裁判長は、特定秘密保護法が違憲であるとも、合憲であるとも判断せずに、原告の訴えを「肩すかし」というかたちでかわしたことになる。この種の司法判断をするのは、いわゆる憲法裁判所の役割という立場のようだ。その憲法裁判所は、日本の司法制度の中には組み込まれていない。存在しない。
ちなみに特定秘密保護法を根拠とした具体的な逮捕・起訴・取り締りが存在しないから憲法判断が出来ないという見解は、特定秘密保護法の危険な本質をよく理解していない証にほかならない。たとえば理解していても、故意に隠したとしかいいようがない。
と、いうのも特定秘密保護法の下では、公権力が言論を規制する事件を起こしたとしても、その行為が特定秘密保護法に基づいたものであることが公言されることはないからだ。警察は、「特定秘密保護法に基づいて逮捕する」とは宣告しない。起訴後の裁判でも、この点は秘密にされたまま審理が進む。
当然、逮捕された側は、その根拠が分からず、ロシアの作家・ソルジェニーツィンのように「えっ、どうして私が?」と自問することになる。シリアで消息を絶っているジャーナリストの安田純平氏に関する報道が皆無なのも、特定秘密保護法による規制を疑うより仕方がない。つまり、特定秘密保護法が原因で不可解な事態が生じたとしても、それを立証することは出来ないことになっているのだ。
このような事態が発生することが特定秘密保護法の大きな落とし穴であり、問題点であるとすれば、こうした法律の制定行為自体が、憲法の精神を無視した行為にほかならない。事件である。当然、その行為が行き着いた先にある特定秘密保護法が違憲か否かを判断しなければならい。
施行されたばかりの法律の違憲性を問うた今回の裁判を、「門前払い」にした谷口判例は、TPP違憲訴訟や今後に予想される安保関連法案の違憲訴訟にも影響を及ぼしそうだ。こうして日本はファシズムへ向かって進んでいく。
フリーランスのジャーナリスト、編集者、写真家などが起こした特定秘密保護法違憲訴訟の判決が18日に東京地裁で下される。判決後、参議院会館で報告集会が開かれる。詳細は次の通りである。
日時:3月18日 15時
場所:東京地裁 103号法廷
報告集会:15時30分から、参議院会館B109会議室
◇多国籍企業のための海外派兵という脈絡の中で
メディア黒書でも既報したように、特定秘密保護法は、もともと日本が軍事大国化する中で、米軍と自衛隊の共同作戦の際に生じる秘密事項を保持するための法的根拠を得る目的で浮上してきた。しかし、いざフタをあけてみると、秘密指定の権限をもつ行政機関が次に示す19省庁にも広がっていた。
(1)国家安全保障会議 (2)内閣官房 (3)内閣府 (4)国家公安委員会 (5)金融庁 (6)総務省(7)消防庁 (8)法務省 (9)公安審査委員会 (10)公安調査庁 (11)外務省 (12)財務省 (13)厚生労働省 (14)経済産業省 (15)資源エネルギー庁 (16)海上保安庁 (17)原子力規制委員会 (18)防衛省 (19)警察庁
秘密指定の権限をもつ行政機関を並べてみれば明らかなように、この法律により、日本の政治に関する情報は、「役所」の裁量でほとんど特定秘密あつかいにすることができる。特定秘密に指定された情報を職員が開示したり、逆に何者かが収集する行為が発覚した場合、最高で禁固10年という重い刑罰がある。戦前の治安維持法の現代版にほかならない。
報道に携わる者には、この法律の適応が除外されるという条項はあるが、「報道に携わる者」とは、NHKや新聞社などいわゆる企業に所属し、記者クラブや軽減税率(新聞社)、それに補助金(NHK))などの既得権益を提供することで簡単にコントロールできる記者のことで、フリーランスに関しては、除外される可能性が高い。そこでフリーランスの報道関係者43名が違憲訴訟を起こしたのである。
従ってこの点に関して裁判所がどのような判断を下すのかが、ひとつの注目点である。
◇安保関連法との複合汚染
この法律の脅威は、安保関連法と連動したときに一層危険度が増す。たとえば海外における自衛隊員の戦闘による死者数や活動実態が特定秘密により封印された場合、「日本軍」が海外でなにをやっているのかがまったく把握できなくなる。
核兵器の運搬が行われていても、その運搬作業が特定秘密に指定された場合、表向きは、運搬作業など実施されなかったことになってしまう。これでは憲法で保障された国民の知る権利が侵害されてしまう。
太平洋戦争下の中国大陸で旧日本軍が起こした重大な戦争犯罪に対する深い反省のない安倍政権が、このような法律を運用する危険性をいくら強調してもしすぎることはない。
繰り返しになるが、特定秘密保護法の危険性は、安保関連法案と連動すると規模を増す。「複合汚染」により猛毒と化すのだ。
2015年11月16日 (月曜日)
フランスでISが断行した「同時多発テロ」は、今世紀の戦争の特徴を象徴している。客観的に見れば、ISが戦争をヨーロッパにまで持ち込んだというのが最も冷静な評価だ。テロの定義は間違っている。テロよりも悪質な戦争である。
小泉内閣が2003年に民主党の協力を得て(修正協議に応じて合意・成立)有事法制を成立させたころ、特攻隊の生還者で『昭和は遠く』(径書房)の著者・松浦喜一さんが、新世代の戦争について次のように話されていた。
「これからの戦争は、小泉さんが考えているように、上陸作戦を展開して、陣地を占領して攻撃に入る昔のスタイルではありません。いきなりミサイルが飛んでくるんです」
高いテクノロジーにより攻撃する側が反撃を受けることなく、安全地帯から相手を巧みに攻撃する戦術が定着するであろうという予想を、松浦さんはミサイルによる攻撃を例に説明されたのである。事実、シリアでそれが起こっている。
有志連合と呼ばれる軍事同盟は、最新技術の結晶である無人攻撃機を使ったり、はるか上空から、爆撃機による兵器の投下を繰り返し、地上を火の海と化している。だれが火だるまになるか分からない。民間人と軍人の区別などできるはずがない。もちろんISから市民へ向けた攻撃も想像されるが。その結果、難民がヨーロッパへ流入している。原因が自分たちにあるわけだから、ヨーロッパも彼らを受け入れざるを得ない。
こうした状況の下でIS側は、パリを舞台とした自爆テロに走った。追いつめられた側が極めて過激な行為に走った先例としては、日本の特攻隊による自爆攻撃がある。また米国市民を無差別に狙った爆弾搭載の気球作戦もあった。
パリの同時多発テロは、シリアでの戦争がヨーロッパまで拡大したことを意味する。単なるテロ行為ではない。テロ行為よりも悪質な戦闘行為である。しかも、空爆と同様に市民を巻き添えにしている。
現在の先進工業国と第3世界の間には、天然資源などが絡んだ利権の構図があるが、それについては報じない。大半のメディアは今回の事件を単なるISによるテロと位置づけ、戦争犯罪としては報じない。
「戦争」として定義すれば、自分たちの側の空爆も戦争犯罪として認識されてしまうからである。そこでどうしてもテロと定義させるを得ないのだ。恐らくこの点は、西側メディアの間で暗黙の報道協定になっているのではないか。
しかし、実態は新生代の戦争にほかならない。
今回の戦争の背景に、中国やロシアを含む先進工業国の利権があることをメディアは隠している。世界的なグローバリゼーションの流れが、他民族の自決権や文化・価値観を踏み倒していった結果、国際紛争が起きているのだ。
が、あまりも軽率に、テロ撲滅を口実に有志連合に参加しよというのが安倍政権の意向である。グローバリゼーションのあり方を問う米国の9・11の教訓とは何だったのだろうか?
2015年11月13日 (金曜日)
メディア黒書(12日付け)で「NHKから国民を守る党」について書いたところ、NHKに対する何件かの疑問が読者からわたしのもとに届いた。
まず、携帯電話にワンセグの機能があることを理由に受信料を請求されたという話である。ワンセグとは、「携帯機器を受信対象とする地上デジタルテレビ放送」(ウィクペディア)のことだ。従ってワンセグの機能が備わった通信機器も受信料の徴収対象になるらしい。
また、テレビを所有しないために当然受信料の支払いを断ったところ、集金人が調査権を主張してきたという。集金人が室内に立ち入って、テレビを所有しているかしていないかを調査する権限があると強い口調で主張したというのだ。
そこでこの読者は、どういう法律に基づいて調査権を主張しているのかを質問したところ、放送法に書いてあるという。これに対して放送法のどこに書いてあるのかを尋ねると、いきなりインターホンを切って逃げていったという。もちろん放送法にNHKの集金人が他人の家に立ち入って、テレビの有無を確認できるとする条項は存在しない。
さらにわたし自身のNHK体験についていえば、次のようなことがあった。もう10年ぐらい前になるが、わたしは新聞の「押し紙」問題を取材している関係で、NHKにも「押し紙」に関する資料を提供しようとしたことがある。NHKは新聞社と経営上の取引がないので、「押し紙」問題をもっとも報じやすいメディア企業であると考えたのだ。
普通、メディア企業は、ある種の資料提供があった場合、断ることはない。提供を受けた資料を使うか使わないかは別として、少なくとも受け取った上で扱い方を決めるものだ。
ところがNHKの場合は、「押し紙」に関する資料の受け取りを頭から拒否してきたのだ。おそらく電話応対した職員が、「押し紙」はメガトン級のタブーであることを知っていたのではないか。「なんで報じないのか?」と詰め寄られるのが恐かったのか、拒否するときの声が震えていた。
「押し紙」問題を報じなくてもかまわないから、少なくとも資料の中身だけでも把握してほしいと説得したが、それも頑なに拒否してきた。たとえわたしが一方的に資料を送りつけても、誰が受け取るか分からないので、「無駄になります」とまで付け加えた。
NHKは「押し紙」問題に関しては、どのメディア企業よりも、無関心だった。おそらく最近、浮上している最高裁や検察審査会の問題についても、弱腰ではないかと思う。携帯電話の電磁波問題に至っては、一度も報じたことがないのではないか?肝心な問題に関しては、ダメなメディアというのがわたしの評価である。
ちなみにNHKの元会長・海老沢勝二氏は、2005年に読売新聞社に再就職している
2015年11月12日 (木曜日)

NHKに向ける国民の眼が厳しくなっている。籾井勝人氏が、2014年1月に会長に就任するや、籾井氏は早々に百田尚樹氏ら極右の面々を経営委員に抜擢したのを皮切りに、従軍慰安婦の問題で暴言を繰り返し、NHKの国際放送が政府広報の性質を帯びることを宣言し、私的に使ったハイヤー代を経費として計上したことは記憶に新しい。最近では「クローズアップ現代」でやらせがあったことが発覚した。
さらにほとんど報道されていないが、NHKは受信料を支払わない人に対して次々と裁判を起こしている。わたしの知人で出版労連傘下の労組・出版ネッツの委員長である澤田裕氏も、提訴され、敗訴して受信料24万円を強制的に支払わされた。
■参考記事:24万円の受信料滞納で出版労組委員長を訴えたNHKの「番組押し売り」と強制徴収の手口
◇内部留保1兆円
ここ数日、さらにNHKについて考えさせられる報道があった。まず、JCPの機関誌「しんぶん赤旗」が「NHK調査 戦争法反対の世論 設問変えごまかす?」と題する記事を掲載した。
NHKは10日、11月世論調査(6~8日実施)で、安保関連法(戦争法)が必要かと尋ねたところ「必要だ」が40%で「必要でない」が21%だと報じました。設問で賛否を問うのでなく「必要」かどうかを聞くことによって、反対世論が多数から逆転したかのような印象を流す結果となっています。
同時期実施のJNN(TBS系)世論調査(7、8日)では、戦争法成立について「評価しない」51%で、「評価する」を上回っています。
10日の「読売」が発表した同紙世論調査でも、戦争法成立を「評価しない」が47%で、「評価」は40%。8日放送のフジテレビ番組では、視聴者対象の調査で戦争法を「廃止すべき」が65・7%となり、「可決してよかった」34・3%を圧倒しました。
NHKの10月世論調査では、安保法の成立を評価するかどうかを質問していました。「評価」39%で、「評価せず」が54%で圧倒していました。安保法について“抑止力が高まる”という政府の説明に「納得できない」は59%と多数。戦争法反対の世論の流れを明確に示していました。今回の調査発表でこの設問の中身を変えたのです。(略)
さらに読売新聞が「NHK総資産、初めて1兆円超える…受信料増収」と題する記事を掲載する。
NHKは10日、2015年度の中間決算を発表した。
受信料収入は3316億円で、事業収入全体では3424億円となった。事業支出は3168億円で、事業収支差金は256億円を確保。予算に対し194億円の収支改善になっている。
9月末の受信料支払率は年度目標の77%は下回っているものの、76・3%で昨年9月末の75・2%を1・1ポイント上回った。また、堅調な受信料の増収などにより、総資産が初めて1兆円を超える1兆27億円となった。負債を差し引いた純資産合計は6847億円。
これだけの資金力は、みずからの生活を切り詰め、時にはサラ金などから借金して受信料を支払う「まじめ」な人々がいるから確保できるのである。ちなみにわたしは、貧困層に属するので支払っていない。自分の取材費を切り詰めてまで、同業者(ジャーナリズム)の職員らの高級待遇をサポートしようとは思わない。
◇ビジネスモデルの問題
わたしが在住している埼玉県朝霞市の駅頭で、このところしばしば遭遇する興味深い活動がある。「NHKから国民を守る党」という団体が、オレンジ色の幟を立てて、街宣活動を展開しているのだ。街宣車も市内を走り回っている。
はじめて街宣車を見たとき、わたしはかつて滋賀県の大津市で新聞販売店の労組が街宣車をだして、新聞の強制勧誘に応じないように呼びかけていたのを思い出した。周知のように日本では、洗剤やビール券などの景品を提供したり、時には恫喝により新聞購読の契約を迫る勧誘行為がはびこってきた。現在は、だいぶ下火になっているものの、以前はそれが社会問題になっていた。
勧誘員による暴行事件も頻発していた。
新聞とNHKという違いはあるが、両者のビジネスモデルは根本から間違っている。ジャーナリズムが結社の一次的目的ではなく、企業としての収益の方を優先しているのだ。その意味では、普通の企業と同じである。扱う商品がジャーナリズムの仮面をかぶっているに過ぎない。
しかも、両者とも日本の権力構造の歯車に組み込まれ、政治利用されているという共通点がある。「しんぶん赤旗」が報じた世論調査を悪用した世論誘導はその典型例ではないか? また、読売が報じた内部留保1兆円は、NHKが巨大な利益追求型の企業である証にほかならない。
「NHKから国民を守る党」のチラシ(上記PDF)には、NHKによる偏向報道については詳しくは書かれていないが、ビジネスモデルについてはポイントを得た説明をしている。これを読めば報道検証をするまでもなく、とんでもない集団であることが分かる。
新聞と同様に報道の質以前のビジネスモデルに問題があるようだ。
メディア黒書でかねてから、奇抜でにわかに信じがたい現象として報じてきた事柄のひとつに新聞人と警察の「友好関係」がある。ジャーナリズムの重要な役割のひとつは、権力の監視である。その権力組織と親密になって情報をもらったり、なんらかの協力関係を構築することは、ジャーナリズムの基本原則そのものを崩してしまう。新聞ジャーナリズムの死活問題にほかならない。
日本新聞協会が主宰している「地域貢献賞」を呼ばれる賞がある。今年、この賞を受けた団体のひとつに東京世田谷区のASA(朝日新聞販売店)16店がある。受賞理由は、警察署と協働で防犯活動に取り組んでいるというものである。
新聞協会のウエブサイトによると、受賞理由は次のようになっている。
東京都世田谷区の成城警察署管内16の朝日新聞販売所ASAは、2005年から地域で発生した事件や防犯対策をまとめた「朝日新聞 防犯ニュース」を毎月4万4000部発行し、新聞に折り込んで配布している。警察署から提供される最新の情報を広く読者に届けることで、地域で暮らす人々の安全・安心に寄与している。
取り上げる情報は、高齢者を狙う振り込み詐欺や悪質商法の事例からひったくり対策、スマートフォン利用の危険性など幅広い。身近で起きる犯罪や事故への対策を詳しく紹介しており、安全なまちづくりに貢献する存在となっている。
「警察署から提供される最新の情報を」まとめて『朝日新聞 防犯ニュース』を発行し、新聞折込のかたちで配布しているというのだ。こうした活動には次のような問題点がある。
①警察にとって好都合な情報だけが開示されて、住民に広報されている可能性が高い。
②ASAの側から警察に恩を売ることで、かりに「押し紙」や折込広告の水増し・廃棄などが発生した場合も、刑事事件として処理されなくなる可能性が高い。事実、「押し紙」と折込広告の問題が取り締りの対象になったことは、皆無ではないにしろ、ほとんどない。
③警察業務の一部が新聞販売網に入り込んでくることになり、公権力から独立したジャーナリズムの原則が完全に崩壊してしまう。
①から③のような重大な問題を新聞人が認識していないのだから、問題は相当に深刻といえよう。野球賭博が発覚した読売ジャイアンツの取締役オーナーでもある日本新聞協会の会長・白石興二郎氏が、この不祥事を理由に会長を辞任しないわけだから、「腐敗」や「癒着」についての認識があまい。
◇読売防犯協力会
ちなみに警察と新聞販売店の協力関係は、朝日に限ったことではない。YC(読売新聞販売店)が全国読売防犯協力会という組織をつくって警察に協力してきた事実は新聞業界内では周知となっている。同協会のウエブサイトは、会の目標について次のように述べている。
わたしたちの防犯活動の基本は「見ること」と「見せること」です。街をくまなく回って犯罪の予兆に目を配ります。そして、オレンジ色のベストや帽子を犯罪者に見せつけ、「この街は犯罪をやりにくい」と思わせることも狙っています。さらに、新聞のお家芸である情報発信なども含め、活動の目標は次の4点に集約できると思います。
1.配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する
2.警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する
3.「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める
4.警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる
日ごろから地域のみなさんのお世話になっているYCスタッフたちは、少しでも地元のお役に立ちたいと思っております。街で見かけたときは、気軽に声をかけていただければ幸いです。
新聞配達員や集金員が路地の隅々にまで、あるいは家庭の中にまで視線を走らせる行為は、「おせっかい」ではすまないだろう。何を基準に「犯罪の予兆」と判断するのかは個人差があるわけだから、彼らがスパイに変質する可能性も孕んでいる。
ちなみに全国読売防犯協力会と覚書を交わしている都道府県の警察は次の通りである。年月日は、覚書を交わした日を示す。
高知県警 2005年11月2日
福井県警 2005年11月9日
香川県警 2005年12月9日
岡山県警 2005年12月14日
警視庁 2005年12月26日
鳥取県警 2005年12月28日
愛媛県警 2006年1月16日
徳島県警 2006年1月31日
群馬県警 2006年2月14日
島根県警 2006年2月21日
宮城県警 2006年2月27日
静岡県警 2006年3月3日
広島県警 2006年3月13日
兵庫県警 2006年3月15日
栃木県警 2006年3月23日
和歌山県警 2006年5月1日
滋賀県警 2006年6月7日
福岡県警 2006年6月7日
山口県警 2006年6月12日
長崎県警 2006年6月13日
茨城県警 2006年6月14日
宮崎県警 2006年6月19日
熊本県警 2006年6月29日
京都府警 2006年6月30日
鹿児島県警 2006年7月6日
千葉県警 2006年7月12日
山梨県警 2006年7月12日
大分県警 2006年7月18日
長野県警 2006年7月31日
福島県警 2006年8月1日
佐賀県警 2006年8月1日
大阪府警 2006年8月4日
青森県警 2006年8月11日
秋田県警 2006年8月31日
神奈川県警 2006年9月1日
埼玉県警 2006年9月14日
山形県警 2006年9月27日
富山県警 2006年9月29日
岩手県警 2006年10月2日
石川県警 2006年10月10日
三重県警 2006年10月10日
愛知県警 2006年10月16日
岐阜県警 2006年10月17日
奈良県警 2006年10月17日
北海道警 2006年10月19日
沖縄県警 2008年6月12日
2015年11月10日 (火曜日)

今週の週刊金曜日が書評欄で志岐武彦氏の新刊『最高裁の黒い闇』(鹿砦社)を取り上げている。書評を書いているのは、元レバノン大使で評論家の天木直人氏である。
凄い本が出た。(略)本書で記されているとおり、私(天木氏)は小沢一郎を嵌めた国策捜査を追及すべく、著者と協力して検察審査会の不正を暴こうとした。その過程でこの国の司法のすべては最高裁が取り仕切っていることを知った。
小沢一郎検審については、元参院議員の森裕子氏が志岐氏に対して500万円の金銭支払いや言論活動の一部禁止を主張して起こした名誉毀損裁判を機に、メディア黒書でも繰り返し取り上げてきた。その結果、わたし自身が歌手で作家の八木啓代氏から、200万円のお金を請求される名誉毀損裁判を起こされる事態になった。
■参考:歌手で作家の八木啓代氏が志岐武彦氏に訴えられた裁判と、黒薮が八木氏に訴えられた裁判の関係はどうなっているのか?
本書で志岐氏は、小沢一郎検審が孕んでいる「架空検審」疑惑だけではなく、森氏と八木氏が志岐氏の調査活動に対して、どのようなリアクションを示したかを詳しく記録している。それがストーリーの柱となって、重いはずのテーマを分かりやすく伝えている。
残念ながら八木氏がわたしに対して起こした裁判(被告は黒薮と志岐氏)については、記されていないが、読者は少なくとも、この新裁判の背景にある大本の事件については知ることができる。
◇八木氏らによる攻撃に耐えて
天木氏が書評で書いているように本書を読めば、「この国の司法のすべては最高裁が取り仕切っている」ことが具体的に理解できる。わたしは不祥事を繰り返してきた検察を擁護するつもりはないが、検察の「暴走」は裁判所が公正な裁判をおこなえば阻止できる。その意味では、やはり日本の司法は最高裁事務総局が牛耳っているといえよう。
その構図を典型的に示しているのが、本書が取りあげている小沢一郎氏に対する検察審査会による架空検審・架空議決疑惑だった。もちろん志岐氏は、その直接の証言者ではないが、疑惑を裏付ける資料(その大半は情報公開によって入手したもの)にはすべて裏付けがある。と、なれば志岐氏の主張は真実に相当することになる。
それにしても一市民の手で綿密な取材と調査が行われ、八木氏らによる批判に耐えながら、単行本として世に出た意義は大きい。
前最高裁長官の竹崎博允氏が、大綬章を受けた。毎日新聞(11月5日付け)は「<秋の叙勲>皇居で大綬章授与式 竹崎前最高裁長官ら」というタイトルでこのニュースを報じた。
秋の叙勲の大綬章授与式が5日、皇居・宮殿「松の間」で行われた。桐花大綬章の竹崎博允前最高裁長官(71)ら日本人9人と、イタリアのマリオ・モンティ元首相(72)ら外国人2人に、天皇陛下が勲章を手渡された。
受章者を代表して竹崎さんが「それぞれの分野において一層精進する決意でございます」とあいさつし、陛下は「国や社会のために、また人々のために尽くされてきたことを深く感謝しております」と述べて祝った。
竹崎氏は、2008年11月25日に最高裁長官に就任。そして2014年3月31日 に退官した。この約5年半の間に、わたしがなんらかの形で関係した範囲ですら、司法の公平性と欺瞞(ぎまん)を露呈する事件などが立て続けに起こっている。いずれも裁判の公平性と法治国家の信用にかかわる事件である。従って住民運動の間では、竹崎氏に対して厳しい評価が多い。
まず、わたしにとって最も身近な「押し紙」問題と「押し紙」裁判である。最高裁は「押し紙」問題に関しては、全面的に新聞社サイドに立っており、「押し紙」は1部も存在しないという新聞人の主張をうのみにしてきた。最高裁がかかわった「押し紙」裁判では、いずれも新聞社の主張を支持してきた。
前任長官の時代はそうではなかった。第1真村裁判のように、読売新聞社による「押し紙」を認定したケースもある。最高裁は、次の判決を認定している。
◇2230万円請求の読売裁判
読売新聞社と3人の社員が名誉を毀損されたとして、わたしに対して2230万円の金銭支払いを主張し続けた裁判では、最高裁は、わたしを勝訴させた地裁と高裁の判決を否定して口頭弁論を開き、判決を高裁へ差し戻した。そして加藤新太郎裁判官がわたしに対して、110万円の金銭支払いを命じる判決を下したのだ。
その加藤氏も退官後にやはり勲章を受け、アンダーソン・毛利・友常法律事務所へ顧問として、(広義の)天下りをした。「(広義の)天下り」と書いたのは、最近、再就職した本人が所属していた「役所」が就職を斡旋していなければ、「天下り」にはあたらないと、やけに言葉の定義に執着している揚げ足取りの弁護士が増えているからだ。社会通念では、国策などに大きな影響を及ぼす国家公務員が退官後に役員として再就職することを、広義に「天下り」というのだ。
さらに竹崎長官時代に起きた重大事件としは、改めて言うまでもなく小沢一郎検審疑惑がある。小沢検審は、開かれていなかったのではないか、あるいは架空検審だったのではないかという疑惑が掛かっているのだ。疑惑を裏付ける十分な根拠もある。これについては、メディア黒書でも繰り返し報じてきたし、最近、志岐武彦氏が出版した『最高裁の黒い闇』(鹿砦社)に詳しい。
◇内閣府賞勲局
ところで読者は、この種の勲章制度を運営している組織をご存じだろうか。
結論を先に言えば内閣府である。内閣府に賞勲局という部署があり、「栄典制度の調査、研究、企画業務のほか、春秋叙勲等における勲章等の授与の審査などの栄典に関する事務を行って」いる。
もちろん授章者に支給される年金も税金から支出されている。
このような事実を考慮に入れて竹崎氏の授章を考える時、司法の独立性とはなにかという問題が浮上してくる。
たとえば特定の政治家を恣意的に政治の表舞台から消すことを可能にする検察審査会制度。それを運用している最高裁事務総局の元長官が、内閣府から勲章を授与されるのは、三権分立の制度にとって問題がある。鳩山由紀夫、小沢一郎、小渕優子といった政治家は、竹崎氏の受賞をどのように感じているのだろうか。
天皇と安倍首相の前で、黒い礼服に身をつつみ、頭(こうべ)をたれる竹崎氏の姿は、われわれに日本の司法とは何かという重大な問題を突きつけるのである。
余談になるが、先日、元裁判官で日本の裁判所を厳しく批判している瀬木比呂志(せぎ・ひろし)明治大教授が、「ニッポンの裁判」(講談社)で第2回城山三郎賞を受賞された。こちらについては、真っ当な受賞だ。
2015年11月06日 (金曜日)
The Hunffington Postの日本版が、5日に「育児中にがんと診断、年間5万6千人もいた」と題する記事を掲載した。
国立がん研究センター(東京)は4日、18歳未満の子どものいる国内のがん患者が年間約5万6千人発生しているとする初の推計結果を発表した。
2009年から13年までに同センター中央病院に初めて入院したがん患者のデータをもとに都道府県のがん登録のデータなどから推計した。患者の平均年齢は男性46・6歳、女性43・7歳。子どもの総数は約8万7千人に上り、0~12歳が63%を占めた。
2011年に国内で新たにがんと診断された患者は推計で年間約85万人とされ、今回の約5万6千人は患者全体の約7%に相当する。
このところ癌患者の増加が指摘されている。噂ではなく、公式データでも裏付けられている。わたしはその原因が携帯電話の普及にあるのではないかと、考えて、牛歩ながら検証を進めている。
次に示すのは、拙著『電磁波に苦しむ人々』(花伝社)に収録して資料である。携帯電話の普及率(ページ上段)と癌患者数の年度別変化(ページ下段)を比較したものである。
2つのグラフを比べてみると、両方とも同じような上昇線を描いている
携帯電話は1990年代の初頭から普及が始まり、90年代の半ばを過ぎたころから爆発的に急増した。2013年の段階では、普及率が95%にも達している。それに伴いマイクロ派を送受信する携帯基地局も増えている。
一方、癌患者が増え始めるのも90年代の半ば以降である。
◇マイクロ波に発癌の可能性
メディア黒書で繰り返し注意を喚起してきたように、WHOの外郭団体であるIARC(国際がん研究機関)は、2011年にマイクロ波に発癌性の可能性があることを認定している。携帯電話基地局の周辺に住む人々が癌になる確率が相対的に高いと結論づけた疫学調査もある。特にドイツ、イスラエル、ブラジルで行われたマイクロ波と癌の関係を検証する疫学調査は有名だ。
さらに世界の著名な研究者がまとめた「バイオイニシアチブ報告2012」は、極めて微弱なマイクロ波であっても頭痛や睡眠障害の原因になることを指摘している。
ちなみに日本の総務省が定めているマイクロ波の規制値は、1000μW/cm2である。これに対して、たとえばオーストリアのザルツブルグ市の目標値は、0.0001μW/cm2である。日本の10万分の1である。欧米と日本では、マイクロ波の危険性についての認識が根本から異なっているのだ。
◇リスクがあるのは基地局周辺だけではない
最近までわたしは、癌のリスクにさらされるのは、携帯基地局の近隣住民だけと考えていたが、この考えは正しくないようだ。次の実験の結果だ。
わたしは、携帯基地局が近くに設置されていない住宅の一室で、携帯電話を通話の状態にしてマイクロ波の強度を測定してみた。その結果、携帯基地局の周辺とほとんど変わらない数値、あるいはそれ以上の数値が観測されたからだ。
つまり携帯電話で通話すると、本人だけではなく、近くにいる人々もマイクロ波による被曝が及ぶと言えよう。
携帯電話と脳腫瘍の関係は周知になり、通話の時はイヤホンを使う人がいるが、影響を受けるのは、本人の頭部だけではない。当然、電車内で携帯電話を使えば、同じような被曝状態になる。毎日、1時間、あるいは2時間、車内でイクロ波に被曝していれば、5年後、10年後に人体影響が生じるのはむしろ当然といえるだろう。
