2014年03月21日 (金曜日)

対読売裁判の検証、最高裁の担当調査官はだれなのか? 違憲訴訟の提起を

6年におよんだ対読売裁判(1年半の間に、読売による提訴が4件、黒薮による提訴が1件+弁護士懲戒請求)を通じて、わたしの内部で生じたジャーナリズムのテーマは多岐にわたる。裁判の舞台が最高裁に移ってから、とりわけ疑問に感じるようになったのは、裁判を担当する調査官の氏名が裁判の当事者にも公表されていないことである。

意外に知られていないが、最高裁では口頭弁論(法廷)はほとんど開かれない。大半の上告(憲法違反を理由とした異議申立)事件、あるいは上告受理申立(判例違反を理由とした異議申立)は、調査官と呼ばれる最高裁事務総局に直属する裁判官により処理される。

と、いうのも上告事件と上告受理申立事件の件数は、年間で優に4000件を超えるにもかかわらず最高裁判事の数が14名なので、物理的に処理しきれないからだ。そこで調査官の出番となるのだが、その調査官も50名に満たない。

たとえば次に示すのは、2011年度の調査官リストである。補佐人を含めても42人しかいない。

■2011年度の調査官リスト

続きを読む »

2014年03月20日 (木曜日)

5件の対読売裁判が終了 疑問が残る裁判の公平性と自由人権協会代表理事による改憲派・読売支援

最高裁は12日、わたしが2009年に提起した読売に対する損害賠償訴訟(原告・黒薮哲哉、被告・読売3社、江崎徹志)の上告を棄却した。これにより読売との間で起きた5件の係争は、すべておわった。残っている係争は、読売の代理人、喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求だけになった。

13日付けの読売新聞(ネットは12日付け)は、「黒薮氏の上告を棄却、読売側の勝訴が確定」 と、題する記事を掲載している。しかし、情報が乏しく著しく客観性を欠いた記事なので、補足しておきた。

この裁判は読売がわたしに対して、1年半あまりの間に起こした4件の訴訟(賠償請求額は約8000万円)が、「一連一体」の言論弾圧にあたるとして、約5500万円の損害賠償を求めたものである。

4件の裁判の勝敗は次の通りである。改めて言うまでもなく、原告はいずれも読売、あるいは読売の社員である。

1、著作権裁判の仮処分申立:読売の勝訴

2、著作権裁判:地裁、高裁、最高裁で黒薮が勝訴

3、名誉毀損裁判1:地裁、高裁は黒薮の勝訴 最高裁で読売が逆転勝訴

4、名誉毀損裁判2:地裁、高裁、最高裁で読売が勝訴

勝敗は、5勝5敗である。わたしが5連勝した後、5連敗に転じた。

わたしはこれら4件(実質的には、「1」と「2」は継続性があるので3件)の提訴が、スラップに該当するとして、読売に損害賠償を求めたのである。

それぞれの裁判の判決について、わたしは独自の見解をもっているが、詳細を語るには、スペースに限界があるので、関心があるかたは、拙著『新聞の危機と偽装部数』(花伝社)を読んでほしい。

ただ、結果についてひとつだけコメントすれば、名誉毀損裁判ではわたしが敗訴したとはいえ、著作権裁判では勝訴しており、しかも、読売側のあるまじき行為が司法認定されたにもかかわらず、それに対する賠償が認められなかったのは、不当だと考えていることを付け加えておきたい。「読売側のあるまじき行為」については、次の記事を参考にしてほしい。

■読売・江崎法務室長による著作権裁判6周年 「反訴」は最高裁で、喜田村弁護士に対する懲戒請求は日弁連で継続

これが不当訴訟に該当しないとなれば、司法の秩序は崩壊する。

続きを読む »

2014年03月19日 (水曜日)

読売・YC久留米文化センター前店における部数内訳 47%が「虚偽」も、「押し紙」ゼロの司法判断

読売新聞の部数内訳を示す資料を紹介しよう。具体例として取り上げるのは、YC久留米文化センター前店のケースである。裁判の中で「押し紙」の有無が争点になったケースの検証である。(地位保全裁判であるにもかかわらず、なぜ「押し紙」の有無が争点になるのかは後述する。)

※YC=読売新聞販売店

「押し紙」の定義は、2つ存在する。?新聞経営者(以下、新聞人)が主張し、裁判所が全面的に認定している定義と、?一般の人々が社会通念を働かせてイメージしている定義の2つがある。そこであらかじめこの点について若干説明しておきたい。

?新聞人と裁判官の定義

新聞人と裁判官が採用してきた「押し紙」の定義とは、新聞社が販売店に対して押し売りした新聞部数のことである。したがって、「押し売り」の証拠がなければ、たとえ多量の新聞が店舗に余っていても、それは「押し紙」ではないという判断になる。

こうした論法を「へりくつ」と批判する声もあるが、裁判所はそれを認定してきた。広告主がうける被害という視点が欠落している結果にほかならない。

たとえば販売店に新聞を2000部搬入し、実際に配達していた部数が1200部とすれば、800部が過剰になる。しかし、新聞社がこの800部を「押し売り」をした事実を販売店が立証できなければ、「押し紙」とはみなされない。「押し紙」は1部も存在しないということになる。

新聞人は、この種の新聞を「残紙」、あるいは「積み紙」と呼んでいる。最近では、「予備紙」と言うようにもなっている。口が裂けても「押し紙」とは言わない。

次に示すのは、2009年に読売が提起した名誉毀損裁判(被告は、新潮社と黒薮)で、読売の宮本友丘副社長が、自社には1部の「押し紙」も存在しないと断言した証言である。

それゆえにわたしが読売の名誉を毀損したとする論理であるが、証言の中で宮本氏が言及している「押し紙」とは、「押し売り」の証拠がある新聞のことである。それゆえに「押し紙」は、過去にも現在も、1部たりとも存在しないと胸を張って断言したのである。

続きを読む »

2014年03月14日 (金曜日)

経済同友会の提言から読み解く、改憲=海外派兵の隠された目的 多国籍企業の防衛部隊としての自衛隊

安倍内閣が憲法9条の「改正」へと突き進んでいる中で、これに反対する勢力が繰り返し使っている表現のひとつに、「戦争が出来る国」がある。

この表現は、安倍内閣が憲法9条を「改正」して、日本を戦争が出来る国にしようとしているという文脈の中で使われている。

わたしは憲法9条の「改正」には反対だが、それとは別に、「戦争が出来る国」という表現は非常に分かりにくいと感じている。大半の人は、ピンとこない。と、いうのも社会通念からして、戦争を好む人はほとんどいないからだ。

なぜ、安倍内閣が憲法9条を改正して「戦争が出来る国」にしようとしているのか、説得力のある説明が不可欠だ。さもなければ、論理が飛躍していると思われる。

◇企業の海外進出と派兵の関係  

結論を先に言えば、安倍内閣が日本を「戦争が出来る国」にしたがっている背景には、ビジネスに国境がなくなった事情がある。それに加えて、世界的な規模で住民のパワーが台頭し、多国籍企業が進出先で営利を貪ることが、倫理的に許されなくなってきた事情がある。

こうした状況の下で、日本の多国籍企業を政変から防衛するために、安倍内閣は軍隊を派遣できる体制を構築する必要性に迫られているのだ。

しかも、多国籍企業の防衛を米国を中心とした同盟国で分担する体制を整えようというのが、オバマや安倍の目論見である。

わたしがこんなふうに自衛隊の「国際化」の背景を解釈するようになったのは、1980年代から90年代にかけてメキシコと中米諸国を取材した時期である。多国籍企業と軍隊の関係を直接観察する機会があったからだ。

たとえば中米のホンジュラス。ホンジュラスのカリブ海沿岸には米国の果実会社(Dole社など)の農園が広がっている。ここで収穫されたバナナやパイナップルは、港から船で米国へ運ばれる。豊かな農作物を前に、現地住民は飢えている。先進国の繁栄と、第3世界の悲劇が共存しているのだ。

これらの農園には、農園警備隊(Guardia de hacienda)と呼ばれる特別の部隊が配備されている。もちろん農園警備隊は、米軍の所属ではないが、ホンジュラスは米軍の対ニカラグア戦略のプラットホームであり、バックに米軍がいたことは間違いない。

拙著『バイクに乗ったコロンブス』(現代企画室)のあとがきで、海外派兵と多国籍企業の関係を概略しているので、紹介しておきたい。

90年代に入ってから、頻繁に耳にするようになった2つの言葉がある。企業の「海外進出」と、自衛隊の「海外派兵」である。この両者、国際化の中での日本の対応という観点を除いては、あたかもまったく関係がないかのような論理が大勢を占めているが、メキシコと中米の取材を通して、私はこの2つが密接に関連しているという確信を得た。

つまり、企業の海外進出にともなう治安部隊の派兵という性質が海外派兵にあること。あるいは企業の用心棒としての自衛隊の海外での活動の必要性が、海外派兵推進の根底にあるということ。それは、海外で政変が起きて企業が危機に直面したとき、軍事力を駆使して「治安の回復」をはかることを意味している。

続きを読む »

2014年03月13日 (木曜日)

中米エルサルバドルの大統領選、FMLNが僅差でリード、投票結果の再集計へ、ラテンアメリカで進む構造改革=新自由主義からの脱皮

9日に行われた中米エルサルバドルの大統領選挙の決戦投票は、選挙管理委員会が公式に勝者を宣言できない状態になっている。決戦投票は、左派のFMLN(ファラブンド・マルチ民族解放戦線)のサルバドル・サンチェス・セレン氏と、右派のノルマン・キハノ(元サンサルバドル市長)の間で行われた。

得票率は、サンチェス・セレン氏が50・11%、対立候補のノルマン・キハノ氏が49.89%の僅少差だった。このために選挙管理委員会は、開票結果を再検証している。

ただ、10日付けのNew York Timesは、サンチェス・セレン氏のリードが覆ることはないだろう、との選挙管理委員会の談話を伝えている。

FMLNは2009年の大統領選で初めて勝利したが、この時のマウリシオ・フネス大統領は、ジャーナリストでFMLNのメンバーではなかった。今回、出馬したセレン氏は、内戦(1980年?92年)を戦ったFMLNのメンバーである。

◇塗りかわる政治勢力図

かつてラテンアメリカといえば、コスタリカのような少数の例外を除くと、概して軍部の勢力が極めて強い地域だった。多国籍企業の利権を守るために、米軍による軍事介入が頻繁に繰り返されてきた地域である。

ところが1998年のベネズエラ革命を機に、次々と左派の政権が誕生するようになった。しかも、かつてのように米軍による軍事介入も、ほとんどできなくなっている。

政治手法も、旧来の社会主義国とは異なり、議会制民主主義を重視しながら、徐々に福祉国家をめざす柔軟路線を取っている。

次に示すのは、カリブ海諸国を除くラテンアメリカ(スペイン語圏・ポルトガル語圏)における大統領名と政治傾向である。赤文字の大統領が、左派、または中道左派を示す。

メキシコ:エンリケ・ペーニャ・ニエト

ホンジュラス:フアン・オルランド・エルナンデス

グアテマラ:オットー・ペレス・モリーナ

エルサルバドル:マウリシオ・フネス?

ニカラグア:ダニエル・オルテガ

コスタリカ:ラウラ・チンチージャ

パナマ:リカルド・マルティネリ

コロンビア:フアン・マヌエル・サントス

ベネズエラ:ニコラス・マドゥロ?

ペルー:オジャンタ・ウマラ

エクアドル:ラファエル・ コレア

チリ:ミチェル・バチェレ 

アルゼンチン:クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル 

ボリビア:フアン・エボ・モラレス・アイマ 

パラグアイ:オラシオ・マヌエル・カルテス・ハラ

ウルグアイ:ホセ・ムヒカ

ブラジル:ジルマ・ヴァナ・ルセフ

続きを読む »

2014年03月12日 (水曜日)

最高裁、野村総合研究所へ「裁判員等選任手続の検証等業務」の名目で約6400万円

裁判員制度で使われた出費を検証したところ、野村総合研究所が最高裁に対して、「裁判員等選任手続の検証等業務」の名目で、約6400万円の支払を求めていたことが分かった。請求書の日付は、2009年3月31日。裁判員制度がはじまるひと月まえである。

請求書には、最高裁の受領印があり、実際に請求金額が支払われた可能性が高い。請求書のPDFは次の通りである。

■野村総合研究所の請求書PDF

◇NTTデータに2億4300万円

MEDIA KOKUSYOで既報したように、(株)NTTデータに対しては、裁判員候補者名簿管理システムの開発と保守名目で2億4300万円を支出していた事実もある。(厳密には、NTTデータが請求)。

■請求書(裁判員候補者名簿管理システムの開発)

■請求書(裁判員候補者名簿管理システム開発のアプリケーション保守)?

不自然に高い金額である。相場は700万円ぐらいである。

続きを読む »

2014年03月11日 (火曜日)

読売・渡邉会長、「無読者層が(東京23区で)約5割に」  読売のABC部数が1ヶ月で24万部減、朝日と日経は「部数整理」へ

新聞社が発行する新聞部数を公式に示す数字は、日本ABC協会が毎月公表するABC部数である。これは発行(印刷)部数を表す数字であるから、実際に新聞販売店が配達している部数との間に差異があるが、一般的には実配部数として受け止められている。もちろん広告主も、ABC部数=実配部数という前提で、広告代理店と広告(紙面広告、折込チラシ)価格の交渉を行ってきた。

ところがこのところ(と、いっても数年前から)、ABC部数と実配部数の間にかなりの差異があることを、新聞経営者が認めざるを得ない状況が生まれている。

ABC部数と実配部数の差異は、「押し紙」(偽装部数)として、少なくとも1970年代から水面下の大問題になってきたが、新聞人はこの事実を認めようとはしなかった。たとえ両者に差異があることを認めても、それは販売店の責任で、「自分たちはあずかり知らぬこと」という態度を貫いてきた。

日本の裁判所も、このような新聞社の見解を全面的に合意してきた。公取委もほとんどこの問題で指導に乗り出したことはない。

そのために販売店主が、「押し紙」問題をいくら内部告発しても、新聞社は聞く耳を持たなかった。それはちょうど電車の中で携帯電話を耳にあて、声高に話しているならず者を注意しても、「わが権利」とばかりに、平然と喋り続ける光景に類似している。

が、ここに来て、読売の渡邉恒雄会長までが新聞があまり購読されていない実態を認めはじめている。「押し紙」の存在を全面否定しても、少なくとも新聞離れが広がっている事実は否定できなくなっているのだ。

◇読売・渡邉会長「無読者層が(東京23区で)約5割に」

渡邉恒雄氏は、今年の1月6日に、読売新聞東京本社で開かれた賀詞交換会で次のように発言している。業界紙の記事を引用してみよう。

続きを読む »

2014年03月10日 (月曜日)

毎日新聞・蛍ヶ池販売所、搬入された新聞の70%が「押し紙」、裏付け資料6年分を全面公開

新聞に対する軽減税率の導入をめぐり賛否両論が広がっている。わたし自身は、消費税率のアップそのものを中止するべきだという考えである。したがって、この問題は議論するに値しない。あえていえば適用に反対だ。理由としては、次の点があげられる。

新聞業界が公称部数を偽っている事実(「押し紙」問題)がある。

読売が、裁判により七つ森書館等に対して裁判攻勢をかけている事実がある。 言論機関として恥ずべき行為である。

新聞業界から政界へ政治献金を支出している。

紙の新聞が必需品ではなくなっている。

販売店に公的な支援をほどこすのであれば、むしろ公取委などに介入してもらい、「押し紙(新聞の偽装部数)」を全面禁止する方が、経営改善につながる。

◇「押し紙」の検証を避けて新聞の再生はありえない

新聞に対する軽減税率について考える大前提として、新聞社経営の実態を検証しなければならない。その際に、避けて通ることができない最大の問題が、「押し紙」問題である。公称部数を偽っている問題である。これをタブー視すると、新聞社経営の客観的な実態がみえなくなる。

わたしがこれまで取材した「押し紙」のケースで、最も多量の「押し紙」を負担していたのは、毎日新聞豊中販売所と蛍池販売所(いずれも大阪府)である。これら2店では、2007年6月の廃業時で、搬入される新聞の約70%が「押し紙」だった。信じがたい数字であるが、公式の記録が残っているので公開しよう。

これら2店を経営していたのは、高屋肇氏(故人)である。

高屋氏は、2007年に現役を退いた後、自店における「押し紙」の実態を公表した。それによると退職した2007年6月時点における「押し紙」(偽装部数)は、次のとおりだった。

【蛍ケ池】

搬入部数: 2320部

実配部数:  695部

「押し紙」: 1625部

【豊中販売所】

搬入部数: 1780部

実配部数:  453部

「押し紙」: 1327部

2001年から2007年まで(注:2002年は除く)の各月ごとの詳細データは、次の通りである。PDFで紹介しよう。

続きを読む »

2014年03月07日 (金曜日)

新聞業界が新聞に対する軽減税率求め大規模な政界工作、289の地方議会から安倍首相宛の意見書

新聞に対する軽減税率の適用を求めて、日本新聞販売協会(日販協)が、地方議会を巻き込んだ大掛かりな政界工作を進めていることがわかった。地方議会に「新聞への消費税の軽減税率適用を求める意見書」を採択させ、それを安倍首相に送付させているのだ。

地方議員との交渉で使う意見書の例文には、「内閣総理大臣 安倍晋三様」の記述まである。これまでに採択した地方議会は全国で289にのぼった。その一方で安倍首相や高市・自民党政調会長など、160人余の国会議員に対し政治献金を支出。

新聞協会が定めた新聞倫理綱領には、新聞は公正な言論を守るために「あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」。メディア対策に余念がない安倍政権のもと、政界との癒着を深めながら公正・中立な報道を貫けるのか。新聞が報道できない、軽減税率問題をめぐる自らの陳情活動の実態を追った。

【続きはMyNewsJapan】

【写真】読売新聞東京本社の新社屋

続きを読む »

2014年03月06日 (木曜日)

新聞協会が内閣府で「広告営業」 広告予算44億から65億円へ 財務省公共広告にみる「謎」の実態

業界紙の報道によると、日本新聞協会広告委員会の手塚泰彦委員長は、昨年の12月、内閣府に対して「政府広報における新聞広告ご活用のお願い」と題する文書を手渡したという。「これは新年度予算で政府広報予算が増額される見通しとなったことから、改めて新聞広告の特性を説明し、利用拡大を求めた」ものである。

2014年度の広報予算は65億円。昨年度の44億円から大幅に増えている。これを機に手塚委員長が、大口広告主に対して広告営業を行ったのである。

続きを読む »

2014年03月05日 (水曜日)

読売・江崎法務室長による著作権裁判6周年 「反訴」は最高裁で、喜田村弁護士に対する懲戒請求は日弁連で継続

読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長が、わたしに対して著作権裁判を起こして6年が過ぎた。先月25日は、提訴6周年である。読売が提訴した目的が何だったのか、わたしは今も検証を続けている。

周知のように、この裁判は既にわたしの勝訴が確定している。地裁、高裁、最高裁とすべてわたしの勝訴だった。勝訴を受けて現在、わたしは2つの「戦後処理」を行っている。

まず第一は、江崎氏と読売に対する損害賠償請求訴訟である。しかし、残念ながら地裁、高裁ではわたしの訴えは認められず、現在は最高裁で裁判を継続している。読売は、やはり裁判にはめっぽう強い。

「戦後処理」の第二は、江崎氏の代理人を務めた喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求の申し立てである。これは、現在、日弁連が審理している。

続きを読む »

2014年03月04日 (火曜日)

神田警察署が三角さんを釈放 『警察白書』に見る警察権力の拡大 スパイ活動の対象は・・・・

警視庁神田警察署に拘留されていた出版人・三角忠さんが、3月3日に釈放された。これにともない同日の午後3時から予定されていた勾留理由開示公判は中止となった。

三角さんは昨年の11月にJR水道橋駅で駅員とのトラブルに巻き込まれ、それを理由に3ヶ月後の先月20日、逮捕された。三角さんを支援している救援センターによると、24日以降は取り調べも行われなかった。

■参照:救援センターの抗議声明

この事件の背景には、安倍政権が導入を進めている構造改革=新自由主義がもたらしている貧困や格差社会に萌芽した社会運動を取り締まるための戦略があるようだ。警察権力の拡大である。秘密保護法の運用へ向けた流れと同じ脈絡の中で起きた事件といえる。

実際、構造改革=新自由主義の浸透と、国策としての警察権力の拡大を裏付ける客観的なデータも存在している。2013年度の『警察白書』である。同白書によると、2001年から2012年までの間に、都道府県警察の地方警察官の人員は、2万8266人も増えている。

現在の定員は、28万5867人

白書によると、これは自然増ではなくて、「増員を行ってきた」結果である。

2001年は、構造改革=新自由主義の「本丸」、小泉内閣がスタートした年である。?? しかし、日本の構造改革が本格的に始まったのは、それ以前の1996年、橋本内閣の成立時である。

ところが橋本首相は、大店法の廃止など、ドラスチックな規制緩和を進めた結果、国民の反発をかった。そのために橋本内閣に続く小渕内閣、森内閣の時代は、構造改革=新自由主義の導入にもたついた。むしろ民主党の方が、急進的な構造改革=新自由主義の導入を主張したのである。

そんな時、森喜朗首相に代わり、自民党の「救世主」として登場し、一気に構造改革=新自由主義を導入したのが小泉首相だった。

本来、構造改革=新自由主義の政策は、?規制緩和、?公共サービスの縮小など、「小さな政府」の実現、?法人税の減税と、消費税のアップ、?成長産業に対する公的支援の拡大、?大企業のブレインの育成、?「観念論」教育の徹底、?多国籍企業のための海外派兵体制の構築、などを柱としている。

これらの方針の背景には、国境なき時代に、非正規社員の拡大など国民を半ば奴隷化し、その一方で「治安」を維持し、大企業の国際競争力を高める狙いがある。

このうち?「小さな政府」を目指すのは、無駄な出費をなくすことで大企業の税負担を軽減することが目的である。同じ脈絡から、医療や福祉の切り捨ても行われる。省庁も再編してスリム化し、無駄な財政支出を抑制する。

公務員の人員削減の典型例として分かりやすいのは、国会議員の定数削減である。国民に対して、「国会議員みずから無駄を省いていきます」と意思表示することで、さらに公共機関全体のリストラを目論んでいるのだ。

もっとも、議員定数を減らしたり、参議院を廃止する程度では、財政支出の抑制も「焼け石に水」である。定数削減の本当の目的は、国民の参政権を縮小して、共産党と社民党を国会から排除することにある。

こうした流れからすれば、警察組織のリストラも必然的に断行されてもおかしくはないはずだが、実際は、警官の数に関しては、ここ10年の間に約3万人も増えているのだ。なぜ、増員が必要になるのか。

既に述べたように、構造改革=新自由主義の「前進」で拡大している社会矛盾が爆発するのを、警察の力で食い止める必要に迫られているからではないだろうか。

三角さんの逮捕も、このような脈絡から検証する必要がありそうだ。今後、出版人を狙った同じような「嫌がらせ」が繰り返される可能性が高い。

続きを読む »

PICK UP

90.7% vs 10.1%――「香害」アンケート結果の異常な...

「香害」は、横浜副流煙裁判を通じてクローズアップされた。それ以前にも『週刊金曜日』など一部メディアがこの問題...

「押し紙」制度と折込媒体の水増し、新聞社の内部資料が示す虚像

「押し紙」裁判における発行本社の主張は、もはやパターン化している。それはおおむね次のような内容である。新聞社...

『ZAITEN』9月1日発売、参院選の選挙公報が水増し・廃棄さ...

9月1日発売の『ZAITEN』(財界展望新社)は、「朝日新聞『選挙公報』折込で“水増し発覚”」と題する記事を...

新聞社系印刷会社が参院選公報を独占受注 首都圏1都3県の実態 ...

選挙公報など、税金で制作された新聞折込媒体を新聞社系の印刷会社が印刷するケースが少なからず存在する。既報のと...

東京高裁判決を誤解させる「またも会」の投稿 作田医師による医師...

8月20日に東京高裁が判決を下した横浜副流煙事件「反訴」の判決をめぐって、日本禁煙学会の会員である「またも会...

「司法の独立・裁判官の独立」について-モラル崩壊の元凶 押し紙...

執筆者:弁護士 江上武幸(福岡・佐賀押し紙弁護団、文責)2025年8月21日 井戸謙一・樋口英明両元裁...

東京高裁が作田学医師の医師法20条違反などを認定、控訴人の控訴...

東京高裁は20日、横浜副流煙裁判控訴審の「反訴」で、控訴人の控訴を棄却する判決を言い渡した。ただし、被控訴人...

参院選選挙公報、首都圏で新聞社系が印刷を独占,神奈川新聞は1億...

7月2o日に投票が行われた参議院選挙の選挙公報について、首都圏の一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)を対象に...

【書評】『前立腺がん患者、最善の治療を求めて』—記録された大学...

大阪市の都心から離れた住宅街に、2024年4月、前立腺がんの小線源治療を専門とするクリニックが開業した。院長...

新聞発行部数が大幅減 2025年6月度ABC発表、読売41万部...

2025年6月度のABC部数が明らかになった。これは、新聞各社が公表する最新の発行部数であり、新聞業界の...

若者たちがリーダーシップを発揮!(腐敗防止に挑むコロンビアの若...

執筆者:ロベルト・トロバホ・エルナンデス 想像してみてほしい。教室で生徒たちが学んでいるのは、数学や歴...

佐賀県西日本新聞店押し紙訴訟の裁判官交代について、モラル崩壊の...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士江上武幸(文責)2025年7月31日 長崎県販売店の地裁裁判官の交代につ...

【YouTube配信9】西日本新聞 4月と10月に「押し紙」を...

「4・10増減」(よんじゅう・そうげん)と呼ばれる変則的な「押し紙」の手口がある。4月と10月に「押し紙」を...

【YouTube】読売新聞社の「押し紙」を認定した真村訴訟、読...

007年12月、読売新聞の「押し紙」を認定した判決が最高裁で確定した。この裁判は、新聞販売店が地位保全を求め...

しばき隊の活動家が森奈津子氏と鹿砦社を訴えた裁判、実名報道の是...

しばき隊の活動家・A氏が、作家の森奈津子氏と鹿砦社に対して、プライバシーを侵害されたとして、110万円を請求...

【YouTube 配信7】 徹底検証「押し紙」、新聞業界から政...

2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598万円の政治献金を行った。献金元...

東京高裁が和解を提案、作田医師の責任は免れない、横浜副流煙事件...

横浜副流煙事件「反訴」の控訴審第1回口頭弁論が、26日、東京高裁で開かれた。裁判所は、結審を宣言すると同時に...

【YouTube版】レイバーネットTVが「押し紙」問題を特集

レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。 出演者:黒薮哲哉(...

PICK UP

元店主側が控訴準備書面(1)を提出、新聞特殊指定でいう「注文し...

西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1...

【YouTube配信6】徹底検証 産経、読売の「押し紙」、新聞...

「配信6」では、産経新聞と読売新聞の「押し紙」の実態を紹介する。「押し紙」は1999年の新聞特殊指定の改定を...

1999年の新聞特殊指定の改訂、大量の「押し紙」を容認する方向...

「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、...

煙草の副流煙をめぐる極論、法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだと...

煙草の副流煙が第3者に及ぼす影響についての議論が活発になっている。法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考...

トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資...

トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されて...

甲斐弦著『GHQ検閲官』の読後感-モラル崩壊の元凶「押し紙」-

福岡・佐賀押し紙弁護団 江上武幸(文責) 2025(令和7)年5月 1日 阿蘇の北外輪山に、カルデラの...

2025年2月度のABC部数、読売は前年同月比で-40万部、毎...

2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった...

押し紙(その1)平成11年の新聞特殊指定「改正」の謎-モラル崩...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)4月15日 (年号は、西暦と和暦...

検察審査会が「不起訴処分相当」の結論、作田学医師の法廷での発言...

横浜副流煙事件の法廷で作田学医師(冒頭写真、当時、日本禁煙学会理事長)が行った証言の内容をめぐり、刑事告訴に...

統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円、「押し...

東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連...

【書評】喜田村洋一の『報道しないメディア』、著者の思想の整合性...

『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景...

雑誌『創』の新聞社特集、「押し紙」問題の隠蔽と誌面の劣化

『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定...

ニューソク通信がインタビュー(youTube)、作田学医師が主...

横浜副流煙事件の「反訴」について筆者は、ニューソク通信の須田慎一郎氏から、インタビューを受けた。メディア黒書...

喫煙撲滅運動と専門医師の関係、客観的な事実が欠落した診断書、横...

診断書がアクションを起こすための通行証になる現象は昔から続いてきた。たとえば大相撲の力士が本場所を休場すると...

患者が退出して3分後に煙草臭、偽証の疑い、作田学医師の証言、横...

喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした...

横浜副流煙裁判、カウンター裁判で藤井敦子さんらが敗訴、検証が不...

横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙...

福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策...

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...