公共事業は諸悪の根源⑰ デッチ上げまでした司法【その3】
従軍慰安婦、原発報道をめぐる誤報問題で、朝日は今、バッシングの嵐を受けています。慰安婦記事を書いた元記者が在籍する大学には、嫌がらせとも取れる大量のメールが届き、ネット上には朝日記者の殺害予告らしきリストまで流されています。
「『報道の自由』を守れとは、朝日社員なら誰でも言います。しかし、『本気で言えば唇寒し』との空気がこの組織に流れて、もうどれほどの時間が経ったのでしょうか。このままにしておけば、やがて取り返しのつかない事態になります」。
私がこの手紙を当時の箱島信一社長に送ったのは、2005年。週刊朝日がサラ金会社から「編集協力費」名目で訳の分からないカネを受け取った武富士問題や若い記者による記事盗用など不祥事が相次ぐ直前のことでした。
今回もまた、朝日の紙面には「読者の声に謙虚に耳を傾けます」との幹部の言葉が朝日の紙面に載っています。しかし、私にはそれも白々しく響きます。ジャーナリズムなら、正すべき誤報は正し、謝罪すべきものは謝罪する。その上できちんとした論陣を張れる体制を整え、不当な批判があるなら、毅然と対抗すべきです。
でも、それが出来ず、朝日が何故、バッシング勢力につけ込まれる弱々しい体質になってしまったか。私は誰よりもよく分かっているつもりです。この欄の読者も、私の報告した具体論からとっくにお分かり戴けているのではないかと思います。
最初に慰安婦報道をし、バッシングを受けている記者に多くの責任はありません。「ダブルスタンダード」などと言うと難しく聞こえますが、外には厳しく高邁な論理で人や組織の在り方を説くのに、自分には甘く、発した言葉で自らを律しきれない二枚舌…。責任を取りたくない幹部の官僚体質が何一つ是正されていないのが、問題を大きくした原因です。