2015年02月04日 (水曜日)

危険が指摘され始めたLED照明(ブルーライト)による人体影響、理学博士・渡邉建氏インタビュー①

青色LEDの開発に貢献した日本の研究者3名のノーベル物理学賞受賞を機に、関連製品のPRが大々的に行われている。一方で、ここ半年余りの間に、青色LEDによる人体への悪影響も指摘されるようになった。

東北大学大学院の研究チームは昨年12月、青色LEDを昆虫に照射したところ死に至ったとする研究結果を、英国の科学誌『Scientific Reports』に発表した。

また、岐阜薬科大学も同誌に、青色LEDが加齢黄斑変性症など失明に至る病気の原因になっているとの研究結果を発表。

さらに、LED光を浴びた熱帯魚の奇形など、民間レベルでもリスクが報告されている。LEDはどのような性質のものなのか。「これまで『安全』と言われてきたLEDは、そう簡単な問題ではない」と話す理学博士の渡邉建氏に、リスクとその対処法を聞いた。

--LEDはどこで使われていますか?

 渡邉:もっとも身近なものとしては、部屋の照明や街灯です。丈夫で長持ちして、電力の使用量も抑えられるということで従来の照明から、LEDへ切り替える人が増えています。また、パソコンのバックライトの照明にも使われています。

かつては特殊な蛍光灯を使っていたのですが、今はそれをやめて白色LEDのバックライトになっています。そこに液晶のスクリーンを置いているわけです。さらに携帯電話やスマートフォンのバックライトにも、LEDは使われています。

ちなみにLEDではありませんが、紫外線は冷蔵庫などの殺菌装置や、水をきれいにする装置で実用化されています。紫外線に毒性があることは周知ですが、青色LED(ブルーライト)にも、毒性があることが最近になって指摘されるようになっています。

後で述べますが、東北大学のグループが、ブルーライトを害虫駆除に応用する方向で研究を進めています。ですから、当然、人間の人体にも有害な可能性があります。

◇ブルーライトと電磁波

--そもそもLEDとはどのようなものなんでしょうか?

 渡邉:LEDは、Light-emitting diodeの頭文字を取った略称です。半導体の発光ダイオードのことです。これに電流を流すと光を発します。ですから文字通り「発光」ダイオードというわけです。

しかし、眼にみえない光を発する領域もあります。たとえばテレビのリモコンなどは、赤外線のLEDなので知覚できませんが、センサーが赤外線を感知するから機能するわけです。

 --LEDでは、どのような光の色が出せるのでしょうか?

 渡邉:赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫です(不可視光の赤外光、紫外光を出すLEDもあります)。これらの色光を組み合わせることで、別の色も合成できます。このうちブルーライト(青色LED)の開発は日本の3人の研究者によってなされ、昨年、ノーベル物理学賞を受賞しました。

最初に発明された色は赤でした。米国人のニック・ホロニアックという人が1960年代に赤LEDを作ったのです。そのうち黄や緑が開発されました。今、青が出てきたので、光の合成により白色もできるようになりました。

その意味では、ブルーライトの開発は、産業界にとっては、大きな貢献には違いありません。しかし、ブルーライトによる人体への影響も指摘されはじめているのです。

そもそもブルーライトとはどういう性質のものなのだろうか。
 読者は意外に感じるかも知れないが、この点を理解するためには、電磁波とは何かを理解しなければならない。

電磁波の「電」とは電気のことである。一方、電磁波の「磁」とは、磁気のことである。

 つまり電磁波とは、ごく端的に言えば、電気と磁気がその影響範囲である電磁場を作った電波の形状を描写した言葉である。「電磁波=電波」と考えてもよい。

  電磁波にはさまざまな種類がある。原発のガンマ線から医療現場のエックス線、さらには携帯電話の通信に使われるマイクロ波まで、かなり細かく分類されている。その分類の基準となるのが、電波の周波数(サイクル数)である。一秒間に繰り返す波の数により、下図PDFのように分類され、ヘルツ(サイクル/秒)という単位で表示される。

電磁波の分類PDF

 たとえば電力会社が提供する電気の周波数は、50ヘルツ(東日本)である。これは1秒間に50サイクルの波を意味する。ある種の無線PCは、2.5ギガヘルツ(25億サイクル/秒)、電子レンジは、2.45ギガヘルツ(約24億サイクル/秒)である。

周波数が高いほど波が小刻みになるので、波長が短くなる。それに伴いエネルギーも高くなるので波長によって、電磁波を分類することができる。

 さて、この電磁波の分類対象のひとつに可視光(380 ~ 780 nm)と呼ばれる帯域がある。文字通り、光として視ることが可能な帯域の電磁波である。本稿のテーマであるブルーライトは、可視光線に分類される。ブルーライトも、電磁波である。

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2015年02月03日 (火曜日)

酔っ払い文化こそ朝日再生の道、官僚の作文で解決しない朝日の体質

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日記者)

昨年来の原発・従軍慰安婦報道批判を受け、私の古巣でもある朝日新聞は、「信頼回復と再生のための行動計画」を発表。「外部の声に耳を傾ける」と、バッシング勢力に屈するかのような再生案を示した。

しかし、それでは今でも自信を無くしている編集現場をますます委縮させるだけだ。ジャーナリズムは人々の「知る権利」に応え、権力監視するのが本来の仕事だ。外部の声を尊重するだけで、使命を果たせるはすもない。朝日が力強いジャーナリズムに、いかに生まれ変わるか。具体策も、熱意さえ伝わって来ない従来通りの官僚体質の作文で、再生が図れるとは私には思えない。

朝日が昨年来続けて来た慰安婦、原発報道の検証のための第3者委員会や「再生のための委員会」で、社外委員らとともにまとめた改革案では、「経営と編集の分離」とともに、「公正な姿勢で事実と向き合う」「多様な言論の尊重」を挙げ、読者とともに「課題の解決策を探る」としている。

読者からの意見・指摘を紙面に反映出来る編集から独立した「パブリックエディターの導入」、多様な意見を載せる「フォーラム面」、訂正記事を集める「訂正コーナー」の新設、読者と対話する「車座集会」の開催を具体策として示している。

今回問題になった調査報道についても、「さまざまな形で充実」としているものの、「広い視野と多角的なものの見方を心がける」としただけ。事実を掘り起こし、検証する記者の力量をどう高めて正確な記事を書くか、肝心要の部分では目立った具体策もなく、「情報技術の駆使」など小手先の改善策に終始している。

◇読者の「知る権利」を軽視

慰安婦、原発誤報問題で、朝日が批判を浴びた最大の元凶は、私が本ブロク「朝日は派閥官僚体質の病根を絶て 社長辞任では解決しない朝日の再生」で、詳しく書いた通りだ。根っこにある病巣は、読者の「知る権利」に応えることへの真剣さに欠け、内部論理を優先。責任を取らず、利権漁りに走って、社内言論さえ封殺して来た幹部の派閥官僚主義に起因する。

私は、当たり前に記事になるはずの長良川河口堰報道を幹部から止められた。編集局長に異議を申し立てたら、記者職を剥奪されている。拙書「報道弾圧」〈東京図書出版〉に詳述しているが、これも表裏一帯の関係。その後、私の定年までの18年間は、朝日の派閥官僚体質との内部での闘いだった。

だから。報道倫理が欠如した朝日幹部の体質が現場記者に伝染、ジャーナリズムとしての力が、何故ここまで落ちたか。今回の問題に至る真の原因は、私が一番よく知っている。朝日の経営者は、長年、編集出身者が占めている。いくら「経営」と「編集」を分離してみても、編集幹部の体質が変わらない限り、何も変わらないのだ。

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2015年02月02日 (月曜日)

イスラム国報道で隠された石油利権、救出作戦の真実、そして武器輸出解禁と民間軍事会社の関係

イスラム国が2人の日本人を拘束した事件は、「処刑」という最悪の結末を迎えた。この事件では、新聞・テレビが報じなかった重要な点が幾つかある。ジャーナリズムの役割は感情に流されずに、事実を伝えることであるから、事件を正しく理解する上で必要な情報をすべて明らかにするのが原則だ。

まず、イスラム国報道で隠された最大の情報は、有志連合による空爆の背景に石油利権が絡んでいる事実である。それは単に欧米諸国だけではなくて、中国などについても言える。

中東調査会の「中東かわら版」によると、「『イスラーム国』がイラクで占拠した油田の数はおよそ80カ所」だという。この80カ所を先進工業国が役割分担して取り戻そうというのが、イスラム国をターゲットにした空爆である。

新聞・テレビが積極的に報じなかったふたつめの重要な情報は、湯川遥菜氏が活動の拠点として設立した会社が、民間の軍事会社である点だ。その背景に安倍政権が進めている新自由主義と軍事大国化の中で武器の輸出を原則解禁にした事情がある。

「戦争業務」を民間にゆだねる戦略は、公的な仕事を民間に丸投げすることで、「小さな政府」を実現する新自由主義の思想から派生していることは間違いない。が、紛争地帯で射撃などの軍事訓練をすれば、軍事行動と受け止められても仕方がない。カーキ色の衣類を身に着けているだけで、ターゲットになることもある。

さらに、湯川氏を救出する作戦を、第3者が後藤氏に依頼した可能性である。
「ブログ・世に倦む日日」によると、2泊3日の行程で、救出計画が練られていた足跡が、生前の後藤氏の発言から裏付けられるという。

昨夜(1/20)のテレビ報道を見ていると、後藤健二は、湯川遥菜が8月にシリアでイスラム国に拘束された件について、自身が責任を感じており、イスラム国に潜入して身柄を救出する準備を進め、10月下旬にそれを実行している。10月22日にトルコに向かい、23日にトルコのコーディネーターに電話をかけ、24日に国境の町で接触し、25日に国境を越えてイスラム国の首都であるラッカに向かっている。

帰国予定は10月29日だった。29日に帰国ということは、28日にイスタンブールから飛行機に乗らなくてはいけない。テレビ報道でのトルコのコーディネーターの証言だと、27日になっても帰らなかった場合、家族を含めた5件の連絡先に電話を入れてくれと後藤健二に頼まれ、本人の携帯電話を直に渡されたと言っていた。ここから察知できることは、後藤健二による湯川遥菜救出の行動がきわめて短期の計画だったということだ。

25日に国境を越えてシリアに潜入し、27日には再び国境を超えてトルコに戻っていなくてはいけない。2泊3日の行程。つまり、後藤健二は何も事前に情報のないままイスラム国(ラッカ)に入ったのではなくて、イスラム国側のコーディネーターの手引きに従い、イスラム国側との打ち合わせに従って、本人の主観からすれば、湯川遥菜の身柄を引き取りに行ったのだ。現地で時間をかけて捜索するのではなく、調整した約束どおりに素早く身柄を引き取って戻ってくる予定だったのだ。

救出作戦に第3者がかかわっていたことを前提に考えれば、一部の週刊誌が報じた保険金に関する事実-後藤氏が加入していた保険が、1日10万円の保険料だった-との整合性も見えてくる。フリージャーナリストが1日に10万円の保険料を自腹で支払うことは、まず不可能。

ちなみにわたしは、「ブログ・世に倦む日日」の内容を全面的に是認しているわけではない。が、少なくとも救出の日程に関する考察は、参考にすべきものがある。救出計画の全容を、検証すべきではないか?

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2015年02月01日 (日曜日)

原因不明の体調不良で苦しんでいませんか—その②

携帯基地局の地権者で、しかも基地局の真下に住んでいるOさんは、常に0.3〜0.6μW/c㎡ほどの強度のマイクロ波を浴びており、Oさんの知り合いによれば頭が錯乱しているという。

4〜5年前から白血病を患っているKさんの自宅の二階にある寝室からは、基地局が直視できる。著者が訪ねて行って基地局からのマイクロ波が健康によくないことを伝えても、そんなに危険なものなら、国が許可を出すはずがないと、何度説明をしても納得してもらえなかった。

この他にも携帯基地局(アンテナ)が発するマイクロ波によると見られる被害者を数多く取材している。【続きを読む】

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2015年01月31日 (土曜日)

原因不明の体調不良で苦しんでいませんか—その①

以前は昼間の電車に乗ると、大半の人が俯いている異様さに驚いたが、近頃ではだいぶ慣れてきた。

携帯電話は1990年代の初頭から普及が始まり、1993年の3.2%から、わずか10年後の2003年には94.4%へ、そして20年後の2013年には95%にも達している。

それに伴い携帯電話で通話する際に欠かせない携帯電話基地局(アンテナ)も急増し、全国に網の目のように張り巡らされるようになってきた。【続きを読む】

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2015年01月30日 (金曜日)

新聞社の闇-「押し紙」問題の変遷②、新聞の商取引のカラクリ

【29日付け記事の続】さて、「押し紙」の割合が搬入部数の60%にも、70%にもなった場合、新聞販売店の経営は成り立つのかという問題がある。「押し紙」にあたる部数に該当する卸代金が免除されるのであればまだしも、販売店の経理帳簿の上では、搬入される新聞はすべて販売店が注文した部数になっているので、支払い免除の対象にはならない。

言葉を変えると、配達していない「押し紙」の卸代金を強制的に支払わされるから、「押し売り」になぞらえて、「押し紙」と呼んでいるのである。

常識的に考えれば、「押し紙」が60%も、70%もあれば、販売店の経営は成り立たない。が、実は経営を成り立たせる知られざるカラクリがあるのだ。このカラクリこそが新聞社のビジネスモデルにほかならない。

◇新聞の商取引のカラクリ

結論を先に言えば、それは折込広告の水増しと補助金である。

まず、折込広告の水増しについて説明しよう。
新聞販売店に搬入する折込広告の適正枚数は、原則として、新聞販売店に搬入される新聞の搬入部数に一致させることになっている。たとえば搬入部数が3000部とすれば、折込広告の搬入枚数も、3000枚になる。つまり形式上は、「押し紙」にも、折込広告が折り込まれるのだ。

従って3000部の搬入部数に対して、「押し紙」が1000部あれば、折込広告も(一種類につき)1000枚余っていることになる。

そのために意外に知られていないが、「押し紙」と一緒に、折込広告も古紙回収業者の手で処分されているのである。

もちろんこうした「犯罪」は、水面下で行われているために、多くの広告主は、実態を感知していない。感知しないまま、広告代金だけは全額支払わされているのである。もちろん、これでは市場調査に基づいたPR戦略も狂ってしまう。

こうしたカラクリを前提に、折込広告で販売店が得る収入について考えてみよう。新聞1部が生み出す広告収入がかりに月額1800円とする。この1800円は、当然、「押し紙」からも発生する。

一方、新聞の卸代金が1部につき、月額2000円とする。そうすると販売店は、「押し紙」1部に付き、2000円の負担を強いられるが、同時に折込広告の代金として、1800円の収入を得る。

2000円を負担して、1800円の収入を得るわけだから、損害はたった200円だ。つまり折込広告の需要が多い新聞販売店では、「押し紙」はそれほど大きな負担ではないということになる。

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2015年01月29日 (木曜日)

新聞社の闇-「押し紙」問題の変遷① 1977年の全国平均「押し紙」率は8・3%、日本新聞販売協会の調査

新聞業界がかかえる最大の問題は、「押し紙」である。「押し紙」とは、配達部数を超えて新聞社が販売店に搬入する新聞のことである。たとえば2000部しか配達先がないのに、3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部についても、販売店は新聞の原価を支払わなければならない。

かくて「押し売り」→「押し紙」となる。

「押し紙」問題は、どのように表面化してきたのか、概略を紹介しよう。

日本で最初に「押し紙」が社会問題となったのは、1977年だった。この年、新聞販売店の同業組合である日本新聞販売協会(日販協)が、販売店を対象として、アンケートのかたちで残紙(実質的に「押し紙」を意味する)調査を実施した。

その結果、1店あたり平均して搬入部数の8・3%が「押し紙」であることが判明した。これは搬入部数が1000部の店であれば、83部が「押し紙」であることを意味する。

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2015年01月28日 (水曜日)

私設の軍事会社と戦争の民営化の関係、現地リクルートの兵士で日本兵の輸送費などの大幅削減が可能に

イスラム国で戦死した湯川遥菜氏が設立した(株)民間軍事会社(PMC)のようなビジネスが、浮上してきた背景には、新自由主義、武器輸出の原則解禁、それに軍事大国化など安部内閣が押し進めている政策がある。

民間の軍事会社は、今後、その数を増していくと思われる。事実、湯川氏の会社も、シリア、イラク、トルコ、アフリカに支社(OVERSEAS BRANCH)を持っている。

改めて言うまでもなく、戦争に関する業務は、伝統的に国家が管轄してきた。そこに民間企業が参入してきたわけだから、戦争そのものの民営化にほかならない。

◇新自由主義とは?

ちなみに新自由主義の基本的な政策は、国家の財政を縮小することで、大企業の税負担を軽減し、国際競争力を高めることである。また、同じ目的で、弱小企業を淘汰する。さらに労働条件を国際水準に引き下げたり、司法制度を海外の基準に修正することで、海外からの投資を呼び込む。すなわち「世界一、企業が活動しやすい国」の条件を整備するのだ。

が、単に「小さな政府」をつくって、市場原理に経済をゆだねるだけではない。

公的なサービスを縮小し、それによって出現する需要を民間企業に提供することで、新市場を生み出す。その典型的例が、郵政民営化である。また、医療の公的部分を縮小して、質の高い医療は私費で行う体制である。これにより経費を削減すると同時に医療市場を生み出す。

さらに大学をはじめとした教育機関を少数のエリート育成の機関にして、その目的に合致しない学校は、補助金をカットするなどして切り捨て、公的な負担を縮小する。現在の企業には、少数エリートしか必要ないとする考え方が新自由主義者の中にあるからだ。こうした安倍政権の政策をあげると際限がない。

わたしはどこまで民営化が進むのか、暗い好奇心を抱いてきたが、結果的に軍事部門までが、民営化の方向へ向かっているとは想像もしなかった。

◇なぜ、戦争の民営化なのか?

軍事部門における民営化の典型例は、傭兵の派遣会社である。この方式は、「小さな政府」を目指す国家にとっては、さまざまなメリットがある。具体的には、

①傭兵を現地でリクルートするので、兵隊の派遣費用がゼロ円になる。

②戦死者に対して国が責任を負わないので、補償問題が生じない。

③先進工業国よりも、第3世界の方が傭兵のリクルートが簡単。

④地理的な感がない日本兵では戦力にならないゲリラ戦にも、現地傭兵で対応できる。

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2015年01月27日 (火曜日)

国際紛争の地でばらまかれた人道支援金は本当に戦争被害者に届くのか?

安倍内閣が、エジプトで約束したイスラム国難民に対する2億ドルの人道支援をどう解釈すべきだろうか。イスラム国からの難民救済が主要な目的らしいが、民主主義が深く根付いていない地域や紛争地帯における資金援助は、使途が不明になることがままある。極めて慎重に実施するのが常識だが、安倍首相は軽々しく外遊中に資金援助を約束した。

資金援助の使途に疑義が生じた例を紹介しよう。典型例として紹介するのは、米国の要請で日本も「資金援助」に加わった1980年代の中米紛争のケースである。

当時、中米はニカラグア内戦とエルサルバドル内戦という2つの大きな紛争が進行していた。紛争の構図は、左派と右派の武力による政権争いである。中東のように宗教戦争の側面はない。

このうちにニカラグアでは、1979年にFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)が首都を制圧して、左翼政権を樹立した。これに刺激されたかのように、エルサルバドルでも左派系のFMLN(ファラブンド・マルチ民族解放戦線)が、
首都へ向けて大攻勢をかけた。首都の陥落は免れないと言われたが、米国のレーガン政権が介入し、泥沼化したのである。

ふたつの内戦という状況の下で、米国が注目したのは、ホンジュラスの地理的な位置だった。この国は、ニカラグアともエルサルバドルとも国境を接している。

ホンジュラスを基地の国にかえ、そこをプラット・ホームとして、ニカラグアのFSLN政権とエルサルバドルのFMLNを撲滅する作戦が現実味を帯びてきたのである。(以下、拙著『バイクに乗ったコロンブス』からの抜粋である。)

こうした状況の下で1983年、ホンジュラス軍のアルバレス将軍が米国を公式訪問した。その時、レーガン政権に対して3年間で最低4億ドルの軍事援助を要望する旨を明言している。

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2015年01月26日 (月曜日)

安倍政権下の新自由主義と軍事大国化が生んだ最初の戦死者、(株)民間軍事会社(PMC)の顧問は自民党の元茨城県議

ニュースを読み解く際の視点は、メディアが「ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる」(故新井直之創価大学教授)。

イスラム国に関する報道で、日本の新聞・テレビがほとんど報じなかった事実のひとつに、湯川遥菜氏の職業がある。(ただし死後は、職業を公にしている)

湯川氏は、(株)民間軍事会社(PMC)という企業の設立者である。通常、軍隊に関する業務は、国家の管轄になるが、それを私企業として代行するのが、この種の会社の役割である。つまり戦争関連業務の民営化である。

公的なものを民間へゆだねることで、市場を創出する新自由主義政策の中で、PMCは誕生したと言っても過言ではない。いわば橋本内閣(1996年成立)以後の自民党が押し進めてきた新自由主義と軍事大国化の中で生まれた会社である。

安部内閣は、昨年の4月に閣議決定により、武器輸出を原則禁止から、条件付きで認めることを取り決めた。こうした軍事大国化の流れの中で、民間企業が海外の紛争地帯で、戦争ビジネスを展開できる温床ができあがったのである。

湯川氏が設立したPMCの顧問は、自民党の元茨城県議・木本信男氏である。 この民間企業が紛争地帯でどのようなビジネスを展開しようとしていたのかについての詳細は、不明だが、いつくかのヒントがある。

たとえば湯川氏がみずからのFACEBOOKで公開している射撃訓練の様子である。

■射撃の動画

ちなみに湯川氏は元•航空幕僚長の田母神俊雄氏とも関係があったらしく、両氏が撮影された数多くの写真が存在する。

■湯川氏と田母神氏の写真

◇恣意的に客観性を欠いた報道

新聞・テレビが積極的に報じない2つ目の事実は、米国とその同盟国がイスラム国に対して激しい空爆を行っている事実である。たとえば、1月23日付け「ロイター」の報道によると、米国の同盟国は、前日に25回に渡ってイスラム国を空爆している。

また、欧米だけではなく、ロシアや中国もからんでいる石油利権についても、故意に報じていない。資源の収奪という問題が隠されているのだ。民族自決権を蹂躙(じゅうりん)しているのは、「先進工業国」の側であるという重い事実がある。

なお、報道用語について言えば、日本の新聞は、イスラム国の軍隊に対して「イスラム過激派」という言葉を使っている。海外の報道は、単なるIslamic State militants(イスラム州戦士)である。

改めて言うまでもなく、イスラム国は現在、戦時下である。戦時下では、戦闘に参加する者は、敵味方を問わず、すべて「過激派」である。米国主導の空爆も、イスラム国による捕虜殺害も、同じ蛮行である。

ところが日本の新聞は、イスラム国は過激派で、米国とその同盟国は過激派ではないという間違った前提で報道を続けている。その姿勢が、「過激派」という言葉の選択にも現れている。

なお、テレビ画像の解析に関して、注意しなければならない点がある。それはイスラム国側の軍隊が、黒い覆面をしている映像が、視聴者に恐怖感を与えている点である。覆面をしている理由は単純で、敵対国側のブラックリストに顔写真が登録されるリスクを避けるためである。従って、この点を考慮して、公正中立の立場から画像を読み解かなければならない。

◇湯川氏と後藤氏の質的な違い

戦争報道では、こうした基本的な解釈を踏まえなければならないはずだが、日本の新聞・テレビは、今回の事件の舞台が戦時下にある点をきれいさっぱりと忘れている。故意にさけているのではなく、おそらく認識できていないのではないかと思う。これが安倍首相ら「戦争を知らない人々」の実態だ。

政府の対応も同じ初歩的な問題をはらんでいる。他国に乗り込んで戦争ビジネスの準備をしていた湯川氏と、ジャーナリストとして正当な活動をしていた後藤健二氏を、同一に捉えて対処しているわけだから、救出できるはずがない。

湯川氏に関しては、最初から釈放の意思など毛頭なかったはずだ。「捕虜」として認識していた可能性が高い。それゆえに裁判(後述)を予定していたのである。

イスラム国にしてみれば、湯川氏と行動を共にしていた後藤氏を湯川氏の仲間と勘違いするのは当然である。激しい空襲の下で、スパイ行為に対しては極めて敏感になっていることが推測される。これがしばしば内ゲバの引き金になったりする。それゆえにスパイ活動に対しては、極めて厳しい。

と、なれば政府は、湯川氏と後藤氏の質的な違いをはっきりとイスラム国に伝えたうえで、湯川氏の助命と後藤氏の釈放を求めるべきだった。

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2015年01月23日 (金曜日)

イスラム国・人質事件の背景に新自由主義と戦争の民営化

イスラム国で拘束され生命の危機に直面している2人の日本人のうち、湯川遥菜氏のFACEBOOKには、みずからの職業を「民間軍事会社CEO」と書かれている。この民間軍事会社とは何かは、ほとんど知られていない。

結論を先に言えば、これは新自由主義の下で、戦争の民営化が進行する過程で出現する企業である。戦争に関連した諸業務を代行する企業である。

改めて言うまでもなく、公的なものを切り捨てて、民間にゆだねるのが新自由主義の基本的な方針である。それにより「小さな政府」をつくり、大企業の税負担を軽減して、国際競争力を高める国策である。公的医療を切り捨てて、民間企業に医療と福祉の市場を解放する安倍内閣の方針と同じ脈絡から、民間軍事会社も現れたのではないか。

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2015年01月22日 (木曜日)

地下鉄の車両内で高い数値のマイクロ波を記録、EUの安全基準の約4倍、将来的に発癌のリスクが拡大

電車で通勤・通学する人々にとっては、歓迎すべからぬニュースである。が、それを避けて通ると将来、発癌という後悔しかねない事態を招きかねない。

地下鉄の車両内でマイクロ波の測定を行ったところ、人体に悪影響を及ぼすと推測させる数値が観測された。

1月21日、午後8時ごろ、地下鉄有楽町線の社内で、わたしは高周波電磁波の測定器を使って、マイクロ波を測定した。観測された数値(6分の平均)は、 1223.6mv/mだった。この数値を国際比較するために、「μW/c㎡」に変換すると、「0.397μW/c㎡」となる。

ちなみに測定時には、座席がすべて埋まっていた。立っている乗客が10人程度。その多くの人々がスマフォなどの通信機器を使っていた。観測場所は、車両のドア付近である。

観測された「0.397μW/c㎡」をどのように評価すべきだろうか。マイクロ派の規制値を国際比較することで検討してみよう。恐るべき実態が見えてくる。

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007年12月、読売新聞の「押し紙」を認定した判決が最高裁で確定した。この裁判は、新聞販売店が地位保全を求め...

しばき隊の活動家が森奈津子氏と鹿砦社を訴えた裁判、実名報道の是...

しばき隊の活動家・A氏が、作家の森奈津子氏と鹿砦社に対して、プライバシーを侵害されたとして、110万円を請求...

【YouTube 配信7】 徹底検証「押し紙」、新聞業界から政...

2021年度の政治資金収支報告書によると、新聞業界は政界に対して、総額で598万円の政治献金を行った。献金元...

東京高裁が和解を提案、作田医師の責任は免れない、横浜副流煙事件...

横浜副流煙事件「反訴」の控訴審第1回口頭弁論が、26日、東京高裁で開かれた。裁判所は、結審を宣言すると同時に...

【YouTube版】レイバーネットTVが「押し紙」問題を特集

レイバーネットTVで「押し紙」問題について黒薮が解説した。出演者は次の通りである。 出演者:黒薮哲哉(...

PICK UP

元店主側が控訴準備書面(1)を提出、新聞特殊指定でいう「注文し...

西日本新聞社に対する「押し紙」裁判(原告:長崎県の元店主)で、元店主の弁護団は、5月12日、控訴準備書面(1...

【YouTube配信6】徹底検証 産経、読売の「押し紙」、新聞...

「配信6」では、産経新聞と読売新聞の「押し紙」の実態を紹介する。「押し紙」は1999年の新聞特殊指定の改定を...

1999年の新聞特殊指定の改訂、大量の「押し紙」を容認する方向...

「押し紙」が急激に増えたのは、1999年に新聞特殊指定の改訂で、「押し紙」の定義が変更されたのち。改訂前は、...

煙草の副流煙をめぐる極論、法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだと...

煙草の副流煙が第3者に及ぼす影響についての議論が活発になっている。法律で集合住宅全体を禁煙にすべきだという考...

トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資...

トランプ政権が凍結したはずのUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)向けの資金提供の一部が、3月から再開されて...

甲斐弦著『GHQ検閲官』の読後感-モラル崩壊の元凶「押し紙」-

福岡・佐賀押し紙弁護団 江上武幸(文責) 2025(令和7)年5月 1日 阿蘇の北外輪山に、カルデラの...

2025年2月度のABC部数、読売は前年同月比で-40万部、毎...

2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった...

押し紙(その1)平成11年の新聞特殊指定「改正」の謎-モラル崩...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)4月15日 (年号は、西暦と和暦...

検察審査会が「不起訴処分相当」の結論、作田学医師の法廷での発言...

横浜副流煙事件の法廷で作田学医師(冒頭写真、当時、日本禁煙学会理事長)が行った証言の内容をめぐり、刑事告訴に...

統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円、「押し...

東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連...

【書評】喜田村洋一の『報道しないメディア』、著者の思想の整合性...

『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景...

雑誌『創』の新聞社特集、「押し紙」問題の隠蔽と誌面の劣化

『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定...

ニューソク通信がインタビュー(youTube)、作田学医師が主...

横浜副流煙事件の「反訴」について筆者は、ニューソク通信の須田慎一郎氏から、インタビューを受けた。メディア黒書...

喫煙撲滅運動と専門医師の関係、客観的な事実が欠落した診断書、横...

診断書がアクションを起こすための通行証になる現象は昔から続いてきた。たとえば大相撲の力士が本場所を休場すると...

患者が退出して3分後に煙草臭、偽証の疑い、作田学医師の証言、横...

喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした...

横浜副流煙裁判、カウンター裁判で藤井敦子さんらが敗訴、検証が不...

横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告...

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙...

福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日 令和6年12月24日の西日...

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策...

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気...

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 ...

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日 昨日(24...