2015年01月17日 (土曜日)

新聞に対する軽減税率問題の背景にある「押し紙」問題、腐敗が進むなかでメディアコントロールのアキレス腱に

メディアをコントロールして世論誘導するための合理的な方法は、メディア企業の経営上の汚点を逆手に取って、「アメとムチ」の政策を導入することである。

新聞関係者が安倍首相と飲み食いを繰り返す一方で、新聞に対する(消費税の)軽減税率適用を求めて、選挙協力したり、政治献金を支出している事実は、すでに両者が情交関係を構築していることを如実に現している。腐敗と堕落は想像以上に進んでいる。

メディアコントロールの鍵を握るのは、経営部門への介入である。編集内容への介入は、実は枝葉末節にすぎない。この原理は戦前から変わらない。

たとえば新聞研究者の故新井直之(創価大学教授)は、『新聞戦後史』(栗田出版)の中で、1940年2月12日に内閣情報部が制作した「新聞指導方針について」と題する文書を紹介して、メディアコントロールの原理が戦前から変わっていないことを説明している。

・・幸いここに新聞用紙の国家管理制度が現存する。現在商工省に於いてはこの用紙問題を単なる物資関係の『事務』として処理しているが、もしこれを内閣に引取り政府の言論対策を重心とする『政務』として処理するならば、換言すれば、政府が之によって新聞に相当の『睨(にらみ)』を利かすこととすれば、新聞指導上の効果は相当の実績を期待し得ることと信ずる。

しかし、現在、日本の公権力が新聞社に対するメディアコントロールの最上の材料にしているものは、用紙問題ではない。軽減税率の問題でもない。意外に知られていないが、「押し紙」問題である。

「押し紙」とは、新聞社が販売店に対して搬入する新聞のうち、過剰になって配達されないまま廃棄される新聞のことである。たとえば、実配部数(実際に配っている新聞の部数)が2000部しかないのに、3000部を搬入すると1000部が過剰になる。この1000部が「押し紙」である。

肝心な留意点は、「押し紙」についても、新聞社は販売店に対して卸代金を請求している事実である。帳簿上では、「押し紙」部数についても販売店が注文したことになっているからだ。当然、消費税もかかる。読者から消費税を徴収できる実配新聞とは異なり、「押し紙」の消費税は、販売店が支払う。

これではあまりにも販売店の経済負担が増えるので、新聞関係者は新聞に対する軽減税率の適用を求めているのである。従って、新聞社が「押し紙」をやめれば、軽減税率を適用しなくても、新聞販売店の経営は維持できる可能性が高い。

と、すればなぜ新聞は「押し紙」をやめないのだろうか。その理由は、次の3点に集約できる。

①「押し紙」をやめると、販売収入が激減する。

②「押し紙」により新聞の公称部数をかさ上げして、紙面広告の価格をつり上げているために、「押し紙」をやめると、広告収入も減ってしまう。

③「押し紙」を中止すると、これまでの公称部数がウソだったことが判明して、広告主(紙面広告・折込広告)が、訴訟を起こすリスクが生じる。

ちなみに「③」に関連して補足説明するが、折込広告の適正枚数は、新聞販売店に搬入する新聞の総数に一致させる基本原則があるので、「押し紙」がある販売店では、折込広告は水増し状態になることが多い。この水増し行為で得た収益で、販売店は「押し紙」で生じる損害を相殺する。相殺し切れない部数については、新聞社が補助金を支給する。

それゆえに新聞社が補助金を中止すると、販売店は簡単に自主廃業に追い込まれる。販売店が、新聞社に対して従順になり、「押し紙」をも受け入れざるを得ないゆえんにほかならない。

これが多くの新聞社のビジネスモデルである。繰り返しになるが、新聞関係者がこうした「商法」を中止すれば、軽減税率を適用しなくても、経営が成り立つ可能性が高い。むしろ経営はよくなるだろう。

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2015年01月15日 (木曜日)

2014年11月度のABC部数、読売は年間で66万部減、朝日は48万部減

2014年11月度における新聞のABC部数が公表されている。わたしが注目していたのは、読売新聞と朝日新聞の部数増減だった。

まず、読売新聞のABC部数は、1年でどの程度変動したのだろうか?

2013年11月度部数:1000万7440部 

2014年11月度部数:934万5155部

対前年同月差:66万285部減

ちなみに読売のウエブサイト「数字で見る読売新聞」は、現在(2015年1月15日)の時点でも、2013年11月の数字「1000万7440部」を表示している。「読売1000万部」へのこだわりのようだ。

これに対して朝日新聞の内訳は次の通りである。

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2015年01月14日 (水曜日)

昨年の衆院選で新聞関係者が自民を中心に139人の候補者を推薦していた、新聞に対する軽減税率適用と引き替え

ジャーナリズムの役割を放棄して、情報産業に変質した日本の新聞社の実態を如実に示す2つの事実を紹介しよう。もっとも「情報産業に変質した」といっても、これは昨今に起こった現象ではなく、枝葉末節の新聞肯定論は否定しないとしても、基本的に日本の新聞社は創業以来、公権力と本気で戦ったことはない。特に、ここ数年のデタラメぶりは目にあまるものがある。

まず、最初に紹介する事実は、昨年暮れに行われた衆議院議員選挙で新聞関係者が選挙活動を行ったことである。業界紙の報道によると、日本新聞協会と協同して新聞に対する消費税の軽減税率の適用を求めている日本新聞販売協会(日販協)が、衆院選で139人の候補者を推薦し、このうち131人が当選したという。

支援の対象となった候補者は、業界紙によると、「新聞への軽減税率適用に協力する候補」である。当選した議員の政党別内訳は、自民が102人、公明が19人、民主が9人、無所属が1人である。詳細は次の通りである。

■当選議員一覧PDF

結果として新聞関係者は、安倍政権下で進む新自由主義の再起動と軍事大国化の流れを、後押ししたことになる。安倍政権のサポーターになることで、新聞に対する軽減税率の適用を勝ち取る道を選んだのだ。

改めていうまでもなく、政治献金も支出している。

■参考記事:新聞業界から150人を超える議員へ献金、背景に軽減税率の問題、90年代には「新聞1部につき1円」の献金も

ちなみ新聞関係者は、なぜ、軽減税率適用にこだわりを見せるのだろうか。それは「押し紙」(販売店へ搬入される読者数を超えた新聞で、卸代金の徴収対象になる。「押し紙」は独禁法に違反する。)にも、消費税がかかるからだ。

読者から購読代金が集金できない「押し紙」の消費税を負担すれば、新聞販売店がつぶれて、販売網は崩壊しかねない。本来、「押し紙」政策をやめれば、軽減税率適用は不要だが、新聞社は、公称部数をかさ上げすることで、紙面広告の収入を増やそうとしている。それゆえに「押し紙」政策をやめない。

「1部も『押し紙』はない」と開き直ってきたのである。

第2の事実は、軽減税率に関する密約存在の可能性である。

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2015年01月13日 (火曜日)

「黒書」が携帯電話、スマフォ、無線PCのリスクを知らせるチラシを無料で提供、携帯基地周辺で配布を

携帯電話や無線PCなどの通信に欠くことができないのが、基地局である。マイクロ波による人体影響を想定して、インドや欧米では、基地局の設置を規制する動きがある。特にインドのムンバイ市では、2013年1月に、市当局が約3200局の基地局を撤去の対象に指定した。

ところが日本では、基地局の設置に実質的に規制がない。電磁波の規制値をクリアーしていれば、自由に設置してもいいことになっている。その規制値は、たとえばオーストリアのザルツブルグ市に比較すると、1000万倍も緩やかなもので規制にはなっていない。箸にも棒にもかからない数値である。

こうした実態の背景に、ひとつには、IT関連の企業や業界団体、それに電話会社の労働組合からの莫大な政治献金がある。

自民党の政治資金団体・日本国民政治協会の政治資金収支報告書(2012年度分)によると、携帯電話3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)のうち、NTTドコモとKDDIが政治献金を送っている。

■参考記事:携帯ビジネス関連の企業から、自民党の政治資金団体へ多額の献金、日本電機工業会から5000万円、ドコモから600万円、東芝から1400万円、2大政党制の影のカラクリ

改めて言うまでもなく、政治献金を提供するということは、政策の買収である。議会制民主主義の国では、やってはいけないことである。ところが日本では、自民党政治の下でそれが慣行化している。

かつて「エコノミック・アニマル」という言葉が流行したが、自社の収益を伸ばすために、住民の健康を犠牲にする企業の姿勢は、「エコノミック・アニマル」を通りこして、「死の商人」に等しい。

電磁波問題に関しては、国会議員もなかなか腰をあげないのが実態である。携帯電話や無線PCのヘビーユーザーが増えている状況の下で、これらの通信機器のリスクを口にすると、嫌われるからだ。大衆(特に若い世代)の支援を失いかねないからだ。ヘビーユーザーの大半は、「完全」と信じて、携帯電話を使いたい人々である。

「タバコはストレス解消になる」と言って、頑なに禁煙を拒否する心理と同じだ。

◇自由に配布できるチラシ

次にリンクしたのは、無線通信機器(携帯電話、無線PC,スマートフォンなど)や携帯基地局の安全性について考えるためのチラシである。特定の電話会社を名指していないので、修正することなくすべての基地局の周辺で配布できる。わたしを含めた制作者が著作権を放棄したので、誰でも自由に使うことができる。

表裏の両面を印刷して、基地局周辺や駅頭で配布することができる。

 ■著作権を放棄したチラシPDF

 ■著作権を放棄したチラシWORD

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2015年01月12日 (月曜日)

NTTドコモのインド戦略に暗雲、背景に携帯基地局の設置を厳しく規制する動き

『東洋経済(電子版)』(1月10日)に、「NTTドコモの誤算、インド投資撤退に難航、投資先の通信会社は960億円の債務超過」と題する記事が掲載されている。インドにおける携帯ビジネスが当初の予想どおりにいかなくなり、撤退しようにも、撤退できなくなったというのだ。

インドの投資案件から撤退を決めていたNTTドコモが、退くに退けない状況に陥っている。懸案は2009年に行った投資だ。ドコモは現地の通信事業者であるタタ・サービシズリミテッド(以下、タタ社)に合計2670億円を出資し、株式の26.5%を保有している。

だが、厳しい競争環境に加えて、獲得した電波が割り当てられないという誤算続き。業績は赤字で、投資から5年で減損など2220億円もの関連損失を計上している。

実は、インドで携帯ビジネスを進めている企業は、NTTドコモに限らず、大きな壁に突き当たっている。現地を取材していないので、確定的なことは言えないが、その大きな背景には、日本では報じられていないある決定的な事情があるのだ。

結論を先に言えば、携帯基地局の設置が極めて厳しく規制されるようになったのだ。その背景については、MEDIA KOKUSYO(2014年11月28日)で紹介した次の記事に詳しい。

インドで携帯基地局の規制がはじまる

ムンバイ市が、学校、大学、孤児院の近くでの携帯基地局設置を禁止

インドで最も人口が多いムンバイ市は、2013年8月、学校、大学、孤児院、児童リハビリテーション施設、それに老人ホームから100メートル以内に携帯基地局を設置することを禁止した。同市は、学校や大学、それに病院などに設置されているアンテナを撤去するように命じた。

さらにムンバイ市は、マンションの最上階に住む全居住者の承諾と、マンション居住者全体の70%の承諾がない場合、住宅の屋根にアンテナを設置することを禁止した。

 これにより法律に抵触する状態で設置されている3200の基地局の撤去が始まった。この政策は、もともと2013年1月に発案されたもの。(略)

ムンバイ市があるマハラシュトラ州の州政府は、2013年10月の中旬、放射線の規制値を10倍厳しくするかわりに、ムンバイ市の方針を採用しない試案を発表した。現在、州政府と市当局の交渉が続いている。(黒薮訳)

■出典

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2015年01月09日 (金曜日)

ブログ「一市民が斬る」が鳩山検審裏金疑惑の裏付け資料を公開、問われる最高裁事務総局の責任

最高裁事務総局の組織である検察審査会の裏金疑惑を追及している志岐武彦氏が主宰するブログ「一市民が斬る」が、8日付けで、鳩山検審における裏金作りを証拠だてる主要な資料を公開した。

鳩山検審の主要な資料PDF

裏金作りの手口は、架空と思われる審査員の日当と旅費を、偽の請求書で支出させ、銀行口座に振り込むという古典的なものだった。しかし、裏金作りの首謀者が、偽の請求書に誤った金額やシリアル番号などを書き込んでいた足跡が、情報公開資料の精査によって発覚した。

偽の審査員の名前も間違っていた可能性が極めて高いが、情報公開資料にあるこの箇所が黒塗りにされているので、確実なことは言えない。

鳩山検審における裏金作りの手口は次の通りである。

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

志岐氏が解明した2つの検審事件-小沢検審と鳩山検審-のうち後者には、確証がある。実在する審査員が自分で請求書を作成したのであれば、絶対に起こりえない記入ミスを犯し、それに捺印(情報公開資料では、黒塗り)しているからだ。

なぜ、裁判所の不正が重大問題なのだろうか?

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2015年01月08日 (木曜日)

小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑のルーツは自民党の時代、輪郭を現す権力抗争

本サイトで繰り返し報じてきた検察審査会をめぐる2つの疑惑。小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑の共通点について、解説しておこう。そこから検察審査会制度の闇、あるいはそれを牛耳っている最高裁事務総局の実態が輪郭を現してくる。

なお、2つの検審疑惑の詳細については、次の記事を参考にされたい。

「最高裁をただす市民の会」が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

繰り返しになるが、検察審査会とは、「検察」の名を付しているものの、検察による不起訴決定の当否を審査する最高裁事務総局の組織である。従って検察審査会の不正は、裁判所の不正にあたる。

2つの検審疑惑を解明した『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏によると、この問題を考えるうえで、欠くことができないのは、2008年1月に最高裁がおこなったある「改革」である。

2008年1月21日、最高裁は、「全国に201カ所ある検察審査会のうち地方の50カ所を廃止し、9都市の大規模地裁管内で計14カ所を増設再編案を発表した」(日経新聞・2008年1月22日)のである。

このうち小沢検審と鳩山検審の舞台となった東京検察審査会(東京地裁内)は、「審査会を2カ所から6カ所へ増やす」ことになった。つまり従来は、第1検察審査会と第2検察審査会の2つだけだったが、これに第3、第4、第5、第6の検審を新たに設置することになったのだ。

事実、この計画は実施され、現在、東京地裁管内には、6つの検察審査会が置かれている。

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2015年01月07日 (水曜日)

2015年01月06日 (火曜日)

携帯基地局問題、解決への展望は地権者へ健康被害に対する損害賠償を求める勇気

携帯電話の基地局撤去を求める裁判は、九州を中心に全国で発生している。その大半は、住民が原告となって、電話会社に対し裁判を起こすオーソドックスな構図である。

次に示すのは、全国で最も基地局関連の裁判が多発している九州地区における訴訟の「足跡」である。

・沼山津裁判(熊本市)1997年

・御領裁判(熊本市)1998年

・三潴裁判(久留米市)2001年

・楡木裁判(熊本市)2001年

・春木裁判(別府市)2002年

・荘園裁判(別府市)2005年

・霧島裁判(霧島市)2005年

・延岡大貫裁判(延岡市)2009年

裁判の勝敗は、いずれも原告住民の敗訴である。電磁波による人体影響が医学的に立証されていないというのが、これまでの司法判断だった。

ただし、2009年に起こされた延岡大貫裁判(被告KDDI)では、基地局の周辺で健康被害が多発している事実は認定された。しかし、この裁判でも、医学的な立証が大きな壁として立ちはだかったのである。結果、今も住民たちは、基地局からの強い電磁波に被曝している

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2015年01月05日 (月曜日)

安倍首相と報道関係者との会食、山本太郎議員が質問主意書、小林秀雄ら戦前にも風に靡く文化人

第2次安倍政権が発足してから2年になる。この間の安倍首相と報道機関の親密な関係が批判の的になってきたが、昨年の12月24日、山本太郎議員が、公式に質問主意書のかたちで、この問題を指摘した。

質問主意書は8ページからなり、冒頭で安倍首相がこの2年間で報道関係者との会食を40回以上も重ねている事実を指摘して、「政権のトップとメディア関係者の親密な関係、メディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない」と述べている。

さらに飲食に関しては、報道関係者だけではなくて、企業や団体の関係者とも会食を重ねていることを指摘している。

一連の会食のうち、質問主意書では、具体的にいくつかの会食を指摘して、会計に関する明細を明らかにするように求めている。たとえば次の会食である。

特定秘密保護法が成立した10日後の2013年12月16日に、東京・赤坂の中国料理店で行われた会食。

安倍首相が初めて靖国神社を参拝した2013年12月26日に、東京・赤坂の日本料理店で行った会食。

消費増税が施行された2014年4月2日と翌3日に、行った会食。(料亭名は記されていない)。

2014年12月14日に行われた衆議院議員総選挙の2日後にあたる12月16に、東京・西新橋のすし店で行った会食。

会食に関する経理問題に加えて、山本議員は政府見解を求めている。

◇「アメと鞭」の政策

戦前から現代にいたるまで、国策を進めるうえで報道関係者(特に新聞)や文化人が果たしてきた負の役割は重大だ。しかし、両者が癒着する原因は、単に情交関係だけではなくて、利権がからんでいる。この点を見落としてはならない。

まず、新聞社についていえば、政府により新聞社の経営上の弱点を握られている事情がある。弱点を握ることで、政府は「アメと鞭」の政策を進める。たとえば次の「アメ」である。

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2014年12月30日 (火曜日)

KDDI基地局の操業停止を求める延岡大貫訴訟で原告が上告、原告団声明が司法を厳しく批判、「住民に苦痛と絶望を与えているのは裁判所」

KDDI基地局の稼働差し止めを求めた延岡大貫訴訟の原告団(岡田澄太原告団長)は、12月5日の控訴審敗訴(福岡高裁宮崎支部・田中哲朗裁判長)を受けて、地域住民を交えた今後の対応策を話し合い、19日に最高裁に上告した。

控訴審判決は、一審に続いて健康被害が発生していることは認めつつも、「科学的観点からの立証は不十分だと言わざるを得ない」という内容だった。

控訴審では、過去に起きた携帯基地局の稼働差し止めを求める3件の裁判で、いずれも被告の電話会社を勝訴させた前歴がある裁判長が担当するなど、電磁波問題とは別に、司法の公平性も問われていた。

12月5日の判決後に発表された原告団声明で岡田団長は、みずからの体験に照らし合わせて、日本の司法制度を次のように批判している。

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