米国とキューバが国交回復へ、背景にラテンアメリカの激変と国際政治地図の更新
これから両国が話し合いに入るわけだから、最終的にどのような形で関係が改善されるのかは分からないが、このような動きの背景には、国際政治の勢力図が大きく変化した事情がある。
オバマ大統領による人権重視の姿勢や人道主義が今回の決断を生んだのではない。ラテンアメリカ全体と米国の力関係が決定的に変わってきたことが根底にある。
周知のように米国は、1959年のキューバ革命の後、1961年からキューバとの国交を断絶した。経済封鎖も断行し、現在に至っている。また、CIAがカストロ主将の暗殺計画を巡らせるなど、キューバの左派政権を排除する動きを延々と続けてきた。
ところが今世紀に入るころから、米国の裏庭といわれてきたラテンアメリカで政治地図が塗り変わりはじめる。次に示すのは、現在の南アメリカ(スペイン語・ポルトガル圏)における各国政府の政治姿勢を色分けしたものである。赤表示が左派、あるいは中道左派の政権である。
コロンビア:フアン・マヌエル・サントス
ベネズエラ:ニコラス・マドゥロ
ペルー:オジャンタ・ウマラ
エクアドル:ラファエル・ コレア
チリ:ミチェル・バチェレ
アルゼンチン:クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル
ボリビア:フアン・エボ・モラレス・アイマ
パラグアイ:オラシオ・マヌエル・カルテス・ハラ
ウルグアイ:ホセ・ムヒカ
ブラジル:ジルマ・ヴァナ・ルセフ
ラテンアメリカの中でも南米は、左傾化が典型的に現れている地域である。
赤で示した国々がキューバと親密な関係にあることは言うまでもない。特にベネズエラとキューバの間には強い連帯がある。
中米のニカラグアとエルサルバドルも左翼政権で、キューバとは極めて親密な関係にある。つまりラテンアメリカでは、キューバの孤立はほぼ解消しているのだ。